JP4316836B2 - 磁気センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁界測定用、ナビゲーション用の地磁気センサ等の磁気センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の磁気センサとしては、磁気抵抗効果素子(MR素子)、磁気インピーダンス素子(MI素子)、フラックスゲートセンサ、半導体ホール効果センサ等が用いられている。このうち、近年開発されたMIセンサによれば、MI素子という磁気抵抗素子を用いることで薄膜化・小型化が容易なため、近年その改良も盛んである。また、MR素子の場合もこのMR素子に高周波電流を流した場合のその高周波インピーダンスの磁界による変化をもって磁界強度を検知することができる。
【0003】
このような磁気センサに対して、最近では、磁性薄膜層が絶縁層を介して複数層形成され、伝導に関わる電子がスピンを維持しながら絶縁層をトンネル現象によって伝導されることから、この際の磁化の状態によってトンネル透過係数が異なることを利用して磁界検知を行なう原理のトンネル型磁気抵抗効果素子(TMR素子)が提案されている。強磁性体トンネル効果は非常に高い磁場感度を有するため、超高密度磁気記録におけるHDD用磁気再生ヘッドとしての利用可能性がある。この他、モータ用磁界測定装置、ナビゲーション用地磁気センサ等の磁気センサや、いわゆるMRAMと称される磁気固体メモリデバイス等への利用も可能といえる。
【0004】
このようなTMR素子に関しては、例えば特開平11−161919号公報(特許第3004005号)によれば、静磁気相互作用の動作の向上が図られている。
【0005】
また、MR素子一般を方位計に用いる場合、特開平5−157566号公報等に示されるように、磁界感度の鋭敏さとヒステリシスのために補助磁界を与えて高感度化を図るようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平11−161919号公報(特許第3004005号)の場合、積層化により静磁気相互作用の動作の向上を図っているもので、本質的な解決法とはいえず、コスト高にもつながる対応策である。
【0007】
また、例えば方位センサを実現する上で、MR素子のように補助磁界を与えて高感度化を図るのもあまり得策とはいえない。
【0008】
結局、このような従来の磁気センサ類では、小型・軽量・低コスト化の点及び感度的な面でまだ十分とはいえず、改良の余地が多分にある。
【0009】
そこで、本発明は、小型・軽量で高感度な磁気センサを提供することを目的とする。
【0010】
併せて、このような磁気センサを利用することで地磁気検知等の精度を向上させることができ、ナビゲーションシステム等に有効な方位検知システム又は携帯通信端末を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の磁気センサは、(i)少なくとも磁性体層と非磁性体層との積層構造を含み、前記磁性体層のうちで一軸磁気異方性及び磁化反転可能な保磁力を有する磁界感知用軟磁性体層が隣接ないし近接する他層との磁気的な結合により本来の磁気特性より特性が劣化した固着部層を含み、前記磁界感知用軟磁性体層の膜厚が前記固着部層の膜厚の20倍以上である薄膜磁気抵抗効果素子と、(ii)保磁力が前記磁界感知用軟磁性体層の保磁力よりも低く、膜厚が前記磁界感知用軟磁性体層の膜厚よりも厚い磁性体層により前記磁界感知用軟磁性体層上に形成された引出電極と、を備え
【0012】
従って、成膜表面の荒れ等によって静磁気的な固着部層が磁界感知用軟磁性体層と非磁性体層との界面に発生し、この固着部層の膜厚は成膜条件によって著しく異なるものの、このような固着部層の膜厚に対して磁界感知用軟磁性体層の膜厚を20倍以上とすることにより、成膜条件に依らず、本来の磁気特性より特性が劣化した固着部層の影響を緩和して、感度等の点で良好なる素子特性が得られる。また、磁界感知用軟磁性体層の保磁力よりも保磁力の低い磁性体層を引出電極とすることで、センサ部への磁束集中効果が期待でき、より一層感度を向上させることができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の磁気センサにおいて、前記磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異方性の方向が前記固着部層の磁化方向に対して略直交する方向に設定されている。
【0014】
従って、固着部層の磁化方向は他の磁性体層の磁化方向に倣うが、このような固着部層の磁化方向に対して略直交する方向に磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異方性の方向を設定することで、磁界感知用軟磁性体層の困難軸方向の磁化状態をデバイス構成に活かすことができる。また、固着部層との磁気的カップリングも低下する。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の磁気センサにおいて、前記磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異方性の方向が前記固着部層の磁化方向に対して鋭角なる角度を持つ方向に設定されている。
【0016】
従って、固着部層の磁化方向は他の磁性体層の磁化方向に倣うが、このような固着部層の磁化方向に対して鋭角なる角度を持つ方向に磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異方性の方向を設定することで、固着部層との磁気的カップリングを併用できるので、所望の電気特性を得る。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記磁界感知用軟磁性体層以外の前記磁性体層が、スピンバルブ構造を持つピン層構造とされている。
【0018】
比較的広範囲の磁界状態においても、安定した性能をピン層が持つように設計すると、いわゆるスピンバルブ構造を持つピン層構造とした場合も請求項1ないし3記載の発明の作用・効果をいわゆる保磁力差型センサに比べて維持できる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記磁界感知用軟磁性体層は、保磁力が地磁気の強度の2/3以下に設定されている。
【0020】
従って、磁界感知用軟磁性体層の保磁力特性としてヒステリシス特性を持たせることにより、4値以上の磁気センサとなるが、マージンを含めてその保磁力が地磁気の強度の2/3以下で十分に機能させることができる。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記磁界感知用軟磁性体層は、異方性磁界強度が地磁気の強度以下に設定されている。
【0022】
従って、磁界感知用軟磁性体層の困難軸方向の磁化特性に関して、異方性磁界強度が地磁気の強度以下となるように設定することで、軟磁性体の飽和磁束密度まで使えることになるので、S/Nを向上させ、センサ特性をより一層安定させることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1に基づいて説明する。図1は本実施の形態の磁気センサ1の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【0040】
本実施の形態の磁気センサ1は、TMR素子(トンネル型磁気抵抗効果素子)2を磁気検知用の薄膜磁気抵抗効果素子に用いたもので、基本的には、石英、ガラス等の絶縁性の基板3上に積層させた中程度の保磁力を持つ磁性体層4、絶縁性を有する非磁性体層5、磁性体層である磁界感知用軟磁性体層6の所定パターンによる積層構造として構成されている(積層順序は逆であってもよい)。ここに、磁界感知用軟磁性体層6は磁性体層4に対して直交するパターンで形成され、後述するような方向の一軸磁気異方性及び磁化反転容易な保磁力を有する層として、他層に比べて低い保磁力を持たせてあり、フリー層とも称される。
【0041】
これらの層の具体例として、中程度の保磁力を持つ磁性体層4は例えばCo50Fe50,Co75Fe25等により形成され、非磁性体層5はAl−O,Al,Si−O,SiO,Si−O−N,ZnO,Si等により形成され、磁界感知用軟磁性体層6はFe20Ni80,Fe21Ni79等のパーマロイ、Mo−パーマロイ、Cu−Moパーマロイ、センダスト、CoZrNbアモルファス等により形成されている。
【0042】
本実施の形態で利用するTMR素子2は、基本的には、近年において見出された現象、即ち、強磁性体と絶縁膜と強磁性体との接合構造により形成されて、両強磁性体の磁化の相対角度に依存してトンネル効果が現れる強磁性体トンネル効果という現象を利用したもので、例えば、特開平10−91925号公報、特開平10−255231号公報中にも記載されているように、S.Maeksawa and V.Gafvert等は、IEEE Trans.Magn.,MAG−18,707(1982)において、磁性体/絶縁体/磁性体結合で両磁性層の磁化の相対角度に依存してトンネル効果が現れることが規定されることを理論的、実験的に示している。
【0043】
このような基本構成において、成膜表面の荒れ等によって磁界感知用軟磁性体層6中には非磁性体層5との界面に静電気的な固着部層7が発生する。この固着部層7は、隣接ないし近接する他層との磁気的な結合により本来の磁気特性より特性が劣化した層として発生する。
【0044】
このような構成において、固着部層7の膜厚は10nm以下であることが多いが、成膜条件によって著しく異なる。そこで、本発明者は、固着部層7の膜厚に対して磁界感知用軟磁性体層6の膜厚を数種類変えたバッチを作製し、各々のバッチ(磁界感知用軟磁性体層6/固着部層7の比)のバッチ内最小保磁力、最大保磁力を評価する実験を行ったところ、表1に示すような結果が得られたものである。
【0045】
【表1】
Figure 0004316836
【0046】
この実験結果によれば、磁界感知用軟磁性体層6/固着部層7の比が20以上、即ち、固着部層7の膜厚に対して磁界感知用軟磁性体層6の膜厚が20倍以上であれば、成膜条件に依らず、バッチ内最大保磁力が0.2Oeに収まり、本来の磁気特性より特性が劣化した固着部層7の影響が緩和され、感度等の点で良好なる素子特性が得られたものである。
【0047】
ところで、本実施の形態の磁気センサ1の磁化方向について説明する。まず、磁性体層4は図1中に矢印aで示すようにそのパターン形状長手方向に磁化方向が設定されている。ここに、固着部層7の磁化方向は磁性体層4の磁化方向に倣うため、固着部層7の磁化方向も矢印aで示す方向となる。一方、磁界感知用軟磁性体層6の一軸磁気異方性の方向が、図1中に矢印bで示すように、固着部層7の磁化方向aに対して直交する方向に設定されている(厳密に90°である必要はなく、多少の許容範囲を考慮すると、略直交でよい)。
【0048】
このような方向性の設定により、磁界感知用軟磁性体層6の困難軸方向の磁化状態を当該磁気センサ1のデバイス構成に活かすことができる。また、固着部層7との磁気的カップリングも低下する。
【0049】
なお、本実施の形態の磁気センサ1を構成する上で、その層構成としては、中程度の保磁力を持つ磁性体層4をいわゆるスピンバルブ構造を持つピン層構造としてもよい。即ち、特に図示しないが、磁性体層4部分を、低又は中程度の保磁力の磁性体層/反強磁性体層/保護層により構成するものである。この場合も素子全体における積層順序を逆としてもよい。また、この場合の反強磁性体層としては、FeMn,IrMn,PtMn等により形成され、保護層はDLC,Ta,Ti,SiO,Si等により形成される。
【0050】
本発明の第二の実施の形態を図2に基づいて説明する。第一の実施の形態で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以降の各実施の形態でも同様とする)。
【0051】
本実施の形態の磁気センサ1は、基本的には、第一の実施の形態の場合と同様であるが、磁界感知用軟磁性体層6の一軸磁気異方性の方向を、図2中に矢印bで示すように、磁性体層4(固着部層7)の磁化方向aに対して鋭角なる角度を持つ方向に設定したものである。
【0052】
このような方向性の設定により、当該磁気センサ1のデバイス構成において固着部層7との磁気的カップリングを併用できるので、所望の電気特性を得ることができる。
【0053】
本発明の第三の実施の形態を図3に基づいて説明する。本実施の形態は、前述したような磁気センサ1に関して、磁界感知用軟磁性体層6のヒステリシス特性として図3に示すような特性を持たせたものである。
【0054】
このようなヒステリシス特性により、当該磁気センサ1として4値以上の地磁気検知が可能な地磁気センサを提供できる。ここに、図示例では、磁界感知用軟磁性体層6の保磁力として地磁気を1(磁界相対値)に対して1/2に設定した例を示すが、通常、地磁気センサとして利用する上では、最低でも4方向の検知能力が要求されるので、マージン等を含めて4方向の検知能力を発揮し得る範囲を検討したところ、保磁力として地磁気の2/3以下であれば十分機能し得ることを確認したものである。
【0055】
本発明の第四の実施の形態を図4に基づいて説明する。本実施の形態は、前述したような磁気センサ1に関して、磁界感知用軟磁性体層6の困難軸方向の磁化特性(異方性磁界強度)として図4に示すような特性を持たせたものである。
【0056】
このような磁化特性を持たせることにより、磁気センサ1としてのセンサ特性をより一層安定させることができる。ここに、図示例では、異方性磁界強度として地磁気の強度程度の場合を示しているが、マージン等を含めてその適正な範囲を検討したところ、地磁気の強度程度以下であれば、軟磁性体の飽和磁束密度まで使えることになるので、S/Nが向上し、十分センサ特性のより一層の安定性が確認できたものである。
【0057】
本発明の第五の実施の形態を図5に基づいて説明する。本実施の形態は、前述したような磁気センサ1に関して、磁界感知用軟磁性体層6の上層にこの磁界感知用軟磁性体層6を覆うような引出電極8を設けたものである。この引出電極8は、その保磁力が磁界感知用軟磁性体層6の保磁力よりも低く、かつ、その膜厚が磁界感知用軟磁性体層6の膜厚よりも厚い磁性体層により積層形成されている。
【0058】
このように、磁界感知用軟磁性体層6の保磁力よりも保磁力の低い磁性体層を引出電極8とすることで、センサ部への磁束集中効果が期待でき、センサとしてより一層感度を向上させることができる。
【0059】
本発明の第一の参考例を図6に基づいて説明する。図6は本参考例の磁気センサ11の原理的構成を示す模式図である。本参考例の磁気センサ11は、複数の薄膜磁気抵抗効果素子として、Si熱酸化基板等の薄膜作製基板上に並列に配置させてモノリシックに薄膜形成される高精度なTMR素子を利用することを基本とする。より具体的には、例えば、外形形状が長方形状にチップ構成されてその長手方向に磁気異方性を持たせた4個のTMR素子12a〜12dをプリント基板等のチップ搭載基板13上に実装させることにより構成されている。即ち、長方形状を利用した形状効果異方性を持たせたTMR素子12a〜12dが用いられており、各々のチップ方向=磁気異方性の方向A〜D(従って、TMR素子12a〜12dの長手方向)が相互に相対角度を持つように並列に配置されている。なお、図示した磁気異方性の方向A〜Dは、中程度の保磁力を持つ磁性体層4(又は、相当するピン層)の磁化方向を示している。
【0060】
このような磁気センサ11は検知対象となる磁気が作用し得る環境下に置かれ、各々のTMR素子12a〜12dの検知出力に基づき磁界のベクトル成分(磁気角度或いは磁気方位)を検知するために使用される。ここに、磁気センサ11に或る磁界が作用した場合、並列に配置されている複数のTMR素子12a〜12d間の磁気異方性の方向A〜Dがずれており、各々のTMR素子12a〜12dが呈示する抵抗値対応の検知出力が大小異なることとなり、これらの検知出力を簡単な演算回路により演算処理することにより、磁気方位を特定検知することができる。即ち、複数のTMR素子12a〜12d間の磁気異方性の方向A〜Dをずらすことにより、磁界のベクトル成分を検知するにあたってその角度検知分解能を向上させ、高感度化を図れるものとなる。
【0061】
また、元々薄膜技術等を用いて作製されるTMR素子12a〜12dを用いているので、磁気センサ11としても小型・軽量化を図ることができる。また、各薄膜磁気抵抗効果素子がTMR素子12a〜12dとしてチップ構成されてチップ搭載基板13上に実装されることにより磁気センサ11が作製されるので、一括して熱処理工程を行なうことが可能で、その分、製造が容易となり、TMR素子モジュール作製の歩留まりが高く、低コストな磁気センサ11とすることができる。
【0062】
本発明の第二の参考例を図7に基づいて説明する。本参考例も、前述したような磁気センサ21のより実際的な構成例を示すものである。
【0063】
参考例では、前述のTMR素子12a〜12dに相当するTMR素子22a〜22dが、そのチップ外形形状(長方形状)に対して異なる方向の磁気異方性を持たせてチップ構成されたTMR素子であって、チップ搭載基板23上にチップ外形形状を揃えて並列配置させて実装させることにより磁気センサ21が構成されている。作用的には、前述した参考例の場合と同様である。
【0064】
従って、前述の第一の参考例の効果に加えて、本参考例によれば、チップ外形形状に対して磁気異方性の方向を異ならせてチップ外形形状を揃えて並列配置させてTMR素子22a〜22dを実装させているので、実装に際して汎用実装機を用いることもでき、より一層の低コスト化を図ることができる。
【0065】
本発明の第三の参考例を図8に基づいて説明する。本参考例は、前述したような磁気センサの一次的な信号処理も含めた構成例を示すものである。
【0066】
参考例の磁気センサ31は、隣接する各薄膜磁気抵抗効果素子32a,32b間、32b,32c間、及び、32c,32d間の出力の差動をとる差動演算手段としての差動演算器33a,33b,33cを備えて構成されている。即ち、磁気異方性の方向A〜Dに関して各々相対角度を持たせた隣接する各薄膜磁気抵抗効果素子32a,32b間、32b,32c間、及び、32c,32d間の出力の差動を差動演算器33a,33b,33cで演算し、これらの差動演算手段の差動演算結果を比較し、この比較結果に基づき対象となる磁気ベクトルを検知特定するように構成されている。
【0067】
参考例のように、隣接する各薄膜磁気抵抗効果素子32a,32b間、32b,32c間、及び、32c,32d間の出力の差動をとり、その差動演算結果に基づき対象となる磁気ベクトルを検知特定することで、ノイズをキャンセルでき、よって、磁気センサ31としてノイズによる誤検知動作を防止することができる。また、携帯電話等へ搭載する上で、他の部品から発生する磁界に対して耐性を持つことになる。
【0068】
なお、これらの参考例では、薄膜磁気抵抗効果素子としてTMR素子を用いたが、磁性体層、非磁性絶縁体層及び磁性体層で構成される膜面に垂直に電流を流すcpp型巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)の場合にも同様に適用することができる。
【0069】
本発明の第四の参考例を図9に基づいて説明する。本参考例は、前述した磁気センサを利用して構成した地磁気検知の方位検知システムへの適用例を示す。まず、例えば3つの磁気センサ41a,41b,41c(前述した磁気センサ1,11,21,31の何れの形態でもよい)をxyz3軸ベクトルの方向に独立して配置させた地磁気センサ42が設けられている。これらの磁気センサ41a,41b,41cの検知出力はデータ取り込み部43を介して検知手段としての3磁気成分検知部44に入力されている。この3磁気成分検知部44は地磁気検知に関して、磁気センサ41a,41b,41cの検知出力に基づき3軸ベクトル成分を検知する。一方、データ取り込み部43を介して取り込まれた磁気センサ41a,41b,41cの検知出力に関してその絶対値を算出する絶対値演算部45と、この絶対値演算部45により算出された絶対値の大きさを予め設定されている比較地磁気強度に測定マージンを加味した閾値と比較する比較部46とによる異常検知手段47が設けられている。比較部46では算出された絶対値の大きさが閾値を越えている場合に検知結果に異常があると判断する。この比較部46の出力側には異常検知出力に基づき動作する報知手段としての警報部48が設けられている。
【0070】
これにより、本参考例の方位検知システムによれば、測定済みの地磁気強度に測定マージンを加味して予め設定されている閾値を超えるような大きさの検知結果が得られた場合には、警報部48を通じて測定値に異常がある旨を報知するので、誤った検知結果の利用を未然に防止できる。なお、より実際的には、3磁気成分検知部44から得られる検知結果とともに、この警報部48の出力も通信部49を通じて当該システムの使用者に通信によって通知するシステム構成とすればよい。これにより、GPSシステムや後述の携帯電話等の通信システムのようなビジネス形態に利用することも可能となる。
【0071】
なお、本参考例の方位検知システムでは、3つの磁気センサ41a,41b,41cを用いたが、3つ以上の磁気センサを3軸ベクトル以上の方向に独立に配置させて地磁気の方向検知を3軸以上のベクトル検知として行なうようにしてもよい。或いは、逆に、1つの磁気センサのみを用いる一軸ベクトル検知を行なう方位検知システムとして構成してもよい。
【0072】
本発明の第五の参考例を図10に基づいて説明する。本参考例は、前述した磁気センサを利用して構成したGPS対応の携帯通信端末としての携帯電話51への適用例を示す。図10は携帯電話51の外観構成を示す概略正面図で、種々の構成例があるが、一例としてマイク部52、入力操作部53、スピーカ部54、LCD等による表示部55等を備え、ヒンジ部56により2つ折り構造とされている。
【0073】
このような基本的な構成に加え、本参考例では、GPS機能を発揮させるための地磁気の方位検知に利用する磁気センサ57(前述した磁気センサ1,11,21,31の何れの形態でもよい)が表示部55の裏面側に埋め込まれることにより搭載されている。
【0074】
従って、携帯電話51等の実装面積が限られた携帯通信端末に関して、方位検知用の磁気センサ57を備えるGPS対応の機種の場合でもその実装面積の低減が見込まれる。特に、表示部55の裏面側に埋め込み実装しているので、本参考例のような折り畳みタイプの携帯電話51の場合であっても、表示面に近接又は一体化されるので、誤差が少なくなる。また、磁気センサ57は受動的な部品であるので、他に電気・磁気的なノイズは発生せず、表示部55のように外来ノイズに敏感な箇所にも適合可能となる。
【0075】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の磁気センサによれば、成膜条件に依らず、本来の磁気特性より特性が劣化した固着部層の影響を緩和し、感度等の点で良好なる素子特性を得ることができるだけでなく、センサ部への磁束集中効果が期待でき、より一層感度を向上させることができる
【0076】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の磁気センサにおいて、固着部層の磁化方向は他の磁性体層の磁化方向に倣うが、このような固着部層の磁化方向に対して略直交する方向に磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異方性の方向を設定したので、磁界感知用軟磁性体層の困難軸方向の磁化状態をデバイス構成に活かすことができ、また、固着部層との磁気的カップリングも低下させることができる。
【0077】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の磁気センサにおいて、固着部層の磁化方向は他の磁性体層の磁化方向に倣うが、このような固着部層の磁化方向に対して鋭角なる角度を持つ方向に磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異方性の方向を設定したので、固着部層との磁気的カップリングを併用できるので、所望の電気特性を得ることができる。
【0078】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3の何れか一記載の磁気センサにおいて、磁界感知用軟磁性体層以外の磁性体層を、いわゆるスピンバルブ構造を持つピン層構造とした場合も請求項1ないし3記載の発明の作用・効果を維持することができる。
【0079】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一記載の磁気センサにおいて、磁界感知用軟磁性体層の保磁力特性としてヒステリシス特性を持たせることにより、4値以上の磁気センサとなるが、マージンを含めてその保磁力が地磁気の強度の2/3以下で十分に機能させることができる。
【0080】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサにおいて、磁界感知用軟磁性体層の困難軸方向の磁化特性に関して、異方性磁界強度が地磁気の強度以下となるように設定することで、軟磁性体の飽和磁束密度まで使えることになるので、S/Nを向上させ、センサ特性をより一層安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態の磁気センサを示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【図2】 本発明の第二の実施の形態の磁気センサを示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【図3】 本発明の第三の実施の形態の磁気センサの保磁力の特性図である。
【図4】 本発明の第四の実施の形態の磁気センサの異方性磁界強度の特性図である。
【図5】 本発明の第五の実施の形態の磁気センサを示し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図である。
【図6】 本発明の第一の参考例の磁気センサの原理的構成を示す模式図である。
【図7】 本発明の第二の参考例の磁気センサの原理的構成を示す模式図である。
【図8】 本発明の第三の参考例の磁気センサの原理的構成を示す模式図である。
【図9】 本発明の第四の参考例の方位検知システムの構成例を示す模式図である。
【図10】 本発明の第五の参考例の携帯電話の構成例を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 磁気センサ
2 薄膜磁気抵抗効果素子、TMR素子
4 磁性体層
5 非磁性体層
6 磁界感知用軟磁性体層
7 固着部層
8 引出電極
11 磁気センサ
12 薄膜磁気抵抗効果素子、TMR素子
21 磁気センサ
22 薄膜磁気抵抗効果素子、TMR素子
23 チップ搭載基板
31 磁気センサ
32 薄膜磁気抵抗効果素子
33 差動演算手段
41 磁気センサ
42 薄膜磁気抵抗効果素子
43 薄膜作製基板
44 検知手段
47 異常検知手段
48 報知手段
55 表示部
57 磁気センサ

Claims (6)

  1. 少なくとも磁性体層と非磁性体層との積層構造を含み、前記磁性体層のうちで一軸磁気異方性及び磁化反転可能な保磁力を有する磁界感知用軟磁性体層が隣接ないし近接する他層との磁気的な結合により本来の磁気特性より特性が劣化した固着部層を含み、前記磁界感知用軟磁性体層の膜厚が前記固着部層の膜厚の20倍以上である薄膜磁気抵抗効果素子と、
    保磁力が前記磁界感知用軟磁性体層の保磁力よりも低く、膜厚が前記磁界感知用軟磁性体層の膜厚よりも厚い磁性体層により前記磁界感知用軟磁性体層上に形成された引出電極と、
    を備え磁気センサ。
  2. 前記磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異方性の方向が前記固着部層の磁化方向に対して略直交する方向に設定されている請求項1記載の磁気センサ。
  3. 前記磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異方性の方向が前記固着部層の磁化方向に対して鋭角なる角度を持つ方向に設定されている請求項1記載の磁気センサ。
  4. 前記磁界感知用軟磁性体層以外の前記磁性体層が、スピンバルブ構造を持つピン層構造とされている請求項1ないし3の何れか一記載の磁気センサ。
  5. 前記磁界感知用軟磁性体層は、保磁力が地磁気の強度の2/3以下に設定されている請求項1ないし4の何れか一記載の磁気センサ。
  6. 前記磁界感知用軟磁性体層は、異方性磁界強度が地磁気の強度以下に設定されている請求項1ないし5の何れか一記載の磁気センサ。
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