JP2003318466A - 磁気センサ、この磁気センサを用いた方位検知システム及び携帯通信端末 - Google Patents
磁気センサ、この磁気センサを用いた方位検知システム及び携帯通信端末Info
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Abstract
る。 【解決手段】 少なくとも磁性体層4,6と非磁性体層
5との積層構造を含み、磁性体層4,6のうちで一軸磁
気異方性及び磁化反転可能な保磁力を有する磁界感知用
軟磁性体層6を備える小型・軽量な薄膜磁気抵抗効果素
子2の場合、成膜表面の荒れ等によって静磁気的な固着
部層7が磁界感知用軟磁性体層6と非磁性体層5との界
面に発生し、この固着部層7の膜厚は成膜条件によって
著しく異なるが、このような固着部層7の膜厚に対して
磁界感知用軟磁性体層6の膜厚を20倍以上とすること
により、成膜条件に依らず、本来の磁気特性より特性が
劣化した固着部層7の影響を緩和して、感度等の点で良
好なる素子特性が得られるようにした。
Description
ゲーション用の地磁気センサ等の磁気センサ、この磁気
センサを用いた方位検知システム及び携帯通信端末に関
する。
気抵抗効果素子(MR素子)、磁気インピーダンス素子
(MI素子)、フラックスゲートセンサ、半導体ホール
効果センサ等が用いられている。このうち、近年開発さ
れたMIセンサによれば、MI素子という磁気抵抗素子
を用いることで薄膜化・小型化が容易なため、近年その
改良も盛んである。また、MR素子の場合もこのMR素
子に高周波電流を流した場合のその高周波インピーダン
スの磁界による変化をもって磁界強度を検知することが
できる。
は、磁性薄膜層が絶縁層を介して複数層形成され、伝導
に関わる電子がスピンを維持しながら絶縁層をトンネル
現象によって伝導されることから、この際の磁化の状態
によってトンネル透過係数が異なることを利用して磁界
検知を行なう原理のトンネル型磁気抵抗効果素子(TM
R素子)が提案されている。強磁性体トンネル効果は非
常に高い磁場感度を有するため、超高密度磁気記録にお
けるHDD用磁気再生ヘッドとしての利用可能性があ
る。この他、モータ用磁界測定装置、ナビゲーション用
地磁気センサ等の磁気センサや、いわゆるMRAMと称
される磁気固体メモリデバイス等への利用も可能といえ
る。
特開平11−161919号公報(特許第300400
5号)によれば、静磁気相互作用の動作の向上が図られ
ている。
合、特開平5−157566号公報等に示されるよう
に、磁界感度の鋭敏さとヒステリシスのために補助磁界
を与えて高感度化を図るようにしている。
−161919号公報(特許第3004005号)の場
合、積層化により静磁気相互作用の動作の向上を図って
いるもので、本質的な解決法とはいえず、コスト高にも
つながる対応策である。
MR素子のように補助磁界を与えて高感度化を図るのも
あまり得策とはいえない。
は、小型・軽量・低コスト化の点及び感度的な面でまだ
十分とはいえず、改良の余地が多分にある。
磁気センサを提供することを目的とする。
ことで地磁気検知等の精度を向上させることができ、ナ
ビゲーションシステム等に有効な方位検知システム又は
携帯通信端末を提供することを目的とする。
気センサは、少なくとも磁性体層と非磁性体層との積層
構造を含み、前記磁性体層のうちで一軸磁気異方性及び
磁化反転可能な保磁力を有する磁界感知用軟磁性体層が
隣接ないし近接する他層との磁気的な結合により本来の
磁気特性より特性が劣化した固着部層を含む薄膜磁気抵
抗効果素子を備え、前記磁界感知用軟磁性体層の膜厚が
前記固着部層の膜厚の20倍以上である。
的な固着部層が磁界感知用軟磁性体層と非磁性体層との
界面に発生し、この固着部層の膜厚は成膜条件によって
著しく異なるものの、このような固着部層の膜厚に対し
て磁界感知用軟磁性体層の膜厚を20倍以上とすること
により、成膜条件に依らず、本来の磁気特性より特性が
劣化した固着部層の影響を緩和して、感度等の点で良好
なる素子特性が得られる。
気センサにおいて、前記磁界感知用軟磁性体層の一軸磁
気異方性の方向が前記固着部層の磁化方向に対して略直
交する方向に設定されている。
層の磁化方向に倣うが、このような固着部層の磁化方向
に対して略直交する方向に磁界感知用軟磁性体層の一軸
磁気異方性の方向を設定することで、磁界感知用軟磁性
体層の困難軸方向の磁化状態をデバイス構成に活かすこ
とができる。また、固着部層との磁気的カップリングも
低下する。
気センサにおいて、前記磁界感知用軟磁性体層の一軸磁
気異方性の方向が前記固着部層の磁化方向に対して鋭角
なる角度を持つ方向に設定されている。
層の磁化方向に倣うが、このような固着部層の磁化方向
に対して鋭角なる角度を持つ方向に磁界感知用軟磁性体
層の一軸磁気異方性の方向を設定することで、固着部層
との磁気的カップリングを併用できるので、所望の電気
特性を得る。
の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記磁界感知用
軟磁性体層以外の前記磁性体層が、スピンバルブ構造を
持つピン層構造とされている。
した性能をピン層が持つように設計すると、いわゆるス
ピンバルブ構造を持つピン層構造とした場合も請求項1
ないし3記載の発明の作用・効果をいわゆる保磁力差型
センサに比べて維持できる。
の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記磁界感知用
軟磁性体層は、保磁力が地磁気の強度の2/3以下に設
定されている。
性としてヒステリシス特性を持たせることにより、4値
以上の磁気センサとなるが、マージンを含めてその保磁
力が地磁気の強度の2/3以下で十分に機能させること
ができる。
の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記磁界感知用
軟磁性体層は、異方性磁界強度が地磁気の強度以下に設
定されている。
向の磁化特性に関して、異方性磁界強度が地磁気の強度
以下となるように設定することで、軟磁性体の飽和磁束
密度まで使えることになるので、S/Nを向上させ、セ
ンサ特性をより一層安定させることができる。
の何れか一記載の磁気センサにおいて、保磁力が前記磁
界感知用軟磁性体層の保磁力よりも低く、膜厚が前記磁
界感知用軟磁性体層の膜厚よりも厚い磁性体層により前
記磁界感知用軟磁性体層上に形成された引出電極を備え
る。
りも保磁力の低い磁性体層を引出電極とすることで、セ
ンサ部への磁束集中効果が期待でき、より一層感度を向
上させることができる。
の何れか一記載の磁気センサにおいて、前記薄膜磁気抵
抗効果素子は、磁性体層、非磁性体絶縁層及び磁性体層
の積層構造を含むトンネル型磁気抵抗効果素子であっ
て、モノリシックに薄膜形成されている。
の磁気センサを実現する上で、各薄膜磁気抵抗効果素子
がトンネル型磁気抵抗効果素子として薄膜作製基板上に
モノリシックに作製されるので、高精度な磁気センサと
することができる。また、製品間のばらつきが抑えら
れ、低コストに製造でき、さらには、並列型センサの実
現も容易である。
気センサにおいて、チップ構成された複数個の前記トン
ネル型磁気抵抗効果素子がチップ搭載基板上にチップ方
向を異ならせて実装されている。
する上で、各薄膜磁気抵抗効果素子がトンネル型磁気抵
抗効果素子としてチップ構成されてチップ搭載基板上に
実装されて作製されるので、一括して熱処理工程を行な
うことが可能で、その分、製造が容易となり、薄膜磁気
抵抗効果素子モジュール作製の歩留まりが高く、低コス
トな磁気センサとすることができる。
磁気センサにおいて、チップ外形形状に対して異なる方
向の磁気異方性を持たせてチップ構成された複数個のト
ンネル型磁気抵抗効果素子が、チップ搭載基板上にチッ
プ外形形状を揃えて実装されている。
する上で、各薄膜磁気抵抗効果素子がトンネル型磁気抵
抗効果素子としてチップ構成されてチップ搭載基板上に
実装されて作製されるので、薄膜磁気抵抗効果素子作製
の歩留まりが高く、低コストな磁気センサとすることが
でき、さらには、チップ外形形状に対して磁気異方性の
方向を異ならせてチップ外形形状を揃えて実装させてい
るので、汎用実装機を用いることもでき、より一層の低
コスト化を図ることができる。また、チップの実装面に
対して垂直異方性を採る構成も可能であり、これによ
り、3軸ベクトル検知も容易に実現できる。
0記載の磁気センサにおいて、隣接する前記各薄膜磁気
抵抗効果素子間の出力の差動をとる差動演算手段を有
し、これらの差動演算手段の差動演算結果に基づき対象
となる磁気を検知するようにした。
間の出力の差動をとり、その差動演算結果に基づき対象
となる磁気を検知することで、特に近傍からの磁界ノイ
ズをキャンセルでき、よって、ノイズによる誤検知動作
を防止できる。また、携帯電話等へ搭載する上で、他の
部品から発生する磁界に対して耐性を持つことになる。
は、地磁気を検知対象とする請求項1ないし11の何れ
か一記載の磁気センサと、この磁気センサの検知出力に
基づき磁気ベクトルを検知する検知手段と、前記磁気セ
ンサの検知出力の絶対値と予め設定されている閾値とに
基づき検知結果に異常があるか否かを判断する異常検知
手段と、この異常検知手段により異常が検知された場合
にはその旨を報知する報知手段と、を備える。
システムに適用した場合、基本的には、高感度な請求項
1ないし11の何れか一記載の磁気センサの検知出力に
基づき検知される磁気ベクトルが利用されるが、この
際、磁気センサの検知出力の絶対値を測定済みの地磁気
強度に測定マージンを加味した閾値との比較により検知
結果に異常があるか否かを判断しており、異常が検知さ
れた場合にはその旨を報知させることで、誤った検知結
果の利用を未然に防止できる。さらには、磁気センサに
よる検知結果とともに、異常検知の結果の情報も当該シ
ステムの使用者に通信により伝送するGPSシステムや
携帯電話等の携帯通信端末のようなビジネス形態に利用
することも可能である。
は、3軸ベクトル以上の方向に独立して配置されて地磁
気を検知対象とする請求項1ないし11の何れか一記載
の複数の磁気センサと、これらの磁気センサの検知出力
に基づき3軸以上のベクトルを検知する検知手段と、を
備える。
て配置された高感度な請求項1ないし11の何れか一記
載の磁気センサの検知出力に基づき検知される3軸以上
のベクトルを利用することで、地磁気を検知対象とする
方位検知システムに適用することができる。特に、加速
度センサ等を併用することなく、当該センサのみで使用
中の運動を検知することができる。
表示部を備える携帯通信端末であって、地磁気を検知対
象として前記表示部の裏面側に埋め込まれた請求項1な
いし11の何れか一記載の磁気センサを備える。
携帯通信端末に関して、方位検知用の磁気センサを備え
るGPS対応の機種の場合でもその実装面積の低減が見
込まれる。特に、表示部の裏面側に埋め込み実装してい
るので、折り畳みタイプの端末の場合であっても、表示
面に近接又は一体化され、検知誤差が少なくなる。ま
た、当該磁気センサは受動的な部品であるので、他に電
気・磁気的なノイズは発生せず、表示部のように外来ノ
イズに敏感な箇所にも適合可能となる。
に基づいて説明する。図1は本実施の形態の磁気センサ
1の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)はその
概略断面図である。
子(トンネル型磁気抵抗効果素子)2を磁気検知用の薄
膜磁気抵抗効果素子に用いたもので、基本的には、石
英、ガラス等の絶縁性の基板3上に積層させた中程度の
保磁力を持つ磁性体層4、絶縁性を有する非磁性体層
5、磁性体層である磁界感知用軟磁性体層6の所定パタ
ーンによる積層構造として構成されている(積層順序は
逆であってもよい)。ここに、磁界感知用軟磁性体層6
は磁性体層4に対して直交するパターンで形成され、後
述するような方向の一軸磁気異方性及び磁化反転容易な
保磁力を有する層として、他層に比べて低い保磁力を持
たせてあり、フリー層とも称される。
力を持つ磁性体層4は例えばCo5 0Fe50,Co
75Fe25等により形成され、非磁性体層5はAl−
O,Al2O3,Si−O,SiO2,Si−O−N,
ZnO,Si3N4等により形成され、磁界感知用軟磁
性体層6はFe20Ni80,Fe21Ni79等のパ
ーマロイ、Mo−パーマロイ、Cu−Moパーマロイ、
センダスト、CoZrNbアモルファス等により形成さ
れている。
基本的には、近年において見出された現象、即ち、強磁
性体と絶縁膜と強磁性体との接合構造により形成され
て、両強磁性体の磁化の相対角度に依存してトンネル効
果が現れる強磁性体トンネル効果という現象を利用した
もので、例えば、特開平10−91925号公報、特開
平10−255231号公報中にも記載されているよう
に、S.Maeksawa andV.Gafvert等は、IEEE
Trans.Magn.,MAG−18,707(1982)において、磁性体
/絶縁体/磁性体結合で両磁性層の磁化の相対角度に依
存してトンネル効果が現れることが規定されることを理
論的、実験的に示している。
荒れ等によって磁界感知用軟磁性体層6中には非磁性体
層5との界面に静電気的な固着部層7が発生する。この
固着部層7は、隣接ないし近接する他層との磁気的な結
合により本来の磁気特性より特性が劣化した層として発
生する。
厚は10nm以下であることが多いが、成膜条件によっ
て著しく異なる。そこで、本発明者は、固着部層7の膜
厚に対して磁界感知用軟磁性体層6の膜厚を数種類変え
たバッチを作製し、各々のバッチ(磁界感知用軟磁性体
層6/固着部層7の比)のバッチ内最小保磁力、最大保
磁力を評価する実験を行ったところ、表1に示すような
結果が得られたものである。
体層6/固着部層7の比が20以上、即ち、固着部層7
の膜厚に対して磁界感知用軟磁性体層6の膜厚が20倍
以上であれば、成膜条件に依らず、バッチ内最大保磁力
が0.2Oeに収まり、本来の磁気特性より特性が劣化
した固着部層7の影響が緩和され、感度等の点で良好な
る素子特性が得られたものである。
磁化方向について説明する。まず、磁性体層4は図1中
に矢印aで示すようにそのパターン形状長手方向に磁化
方向が設定されている。ここに、固着部層7の磁化方向
は磁性体層4の磁化方向に倣うため、固着部層7の磁化
方向も矢印aで示す方向となる。一方、磁界感知用軟磁
性体層6の一軸磁気異方性の方向が、図1中に矢印bで
示すように、固着部層7の磁化方向aに対して直交する
方向に設定されている(厳密に90°である必要はな
く、多少の許容範囲を考慮すると、略直交でよい)。
用軟磁性体層6の困難軸方向の磁化状態を当該磁気セン
サ1のデバイス構成に活かすことができる。また、固着
部層7との磁気的カップリングも低下する。
する上で、その層構成としては、中程度の保磁力を持つ
磁性体層4をいわゆるスピンバルブ構造を持つピン層構
造としてもよい。即ち、特に図示しないが、磁性体層4
部分を、低又は中程度の保磁力の磁性体層/反強磁性体
層/保護層により構成するものである。この場合も素子
全体における積層順序を逆としてもよい。また、この場
合の反強磁性体層としては、FeMn,IrMn,Pt
Mn等により形成され、保護層はDLC,Ta,Ti,
SiO2,Si3N4等により形成される。
て説明する。第一の実施の形態で示した部分と同一部分
は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以降の各実
施の形態でも同様とする)。
は、第一の実施の形態の場合と同様であるが、磁界感知
用軟磁性体層6の一軸磁気異方性の方向を、図2中に矢
印bで示すように、磁性体層4(固着部層7)の磁化方
向aに対して鋭角なる角度を持つ方向に設定したもので
ある。
センサ1のデバイス構成において固着部層7との磁気的
カップリングを併用できるので、所望の電気特性を得る
ことができる。
て説明する。本実施の形態は、前述したような磁気セン
サ1に関して、磁界感知用軟磁性体層6のヒステリシス
特性として図3に示すような特性を持たせたものであ
る。
磁気センサ1として4値以上の地磁気検知が可能な地磁
気センサを提供できる。ここに、図示例では、磁界感知
用軟磁性体層6の保磁力として地磁気を1(磁界相対
値)に対して1/2に設定した例を示すが、通常、地磁
気センサとして利用する上では、最低でも4方向の検知
能力が要求されるので、マージン等を含めて4方向の検
知能力を発揮し得る範囲を検討したところ、保磁力とし
て地磁気の2/3以下であれば十分機能し得ることを確
認したものである。
て説明する。本実施の形態は、前述したような磁気セン
サ1に関して、磁界感知用軟磁性体層6の困難軸方向の
磁化特性(異方性磁界強度)として図4に示すような特
性を持たせたものである。
り、磁気センサ1としてのセンサ特性をより一層安定さ
せることができる。ここに、図示例では、異方性磁界強
度として地磁気の強度程度の場合を示しているが、マー
ジン等を含めてその適正な範囲を検討したところ、地磁
気の強度程度以下であれば、軟磁性体の飽和磁束密度ま
で使えることになるので、S/Nが向上し、十分センサ
特性のより一層の安定性が確認できたものである。
て説明する。本実施の形態は、前述したような磁気セン
サ1に関して、磁界感知用軟磁性体層6の上層にこの磁
界感知用軟磁性体層6を覆うような引出電極8を設けた
ものである。この引出電極8は、その保磁力が磁界感知
用軟磁性体層6の保磁力よりも低く、かつ、その膜厚が
磁界感知用軟磁性体層6の膜厚よりも厚い磁性体層によ
り積層形成されている。
磁力よりも保磁力の低い磁性体層を引出電極8とするこ
とで、センサ部への磁束集中効果が期待でき、センサと
してより一層感度を向上させることができる。
て説明する。図6は本実施の形態の磁気センサ11の原
理的構成を示す模式図である。本実施の形態の磁気セン
サ11は、複数の薄膜磁気抵抗効果素子として、Si熱
酸化基板等の薄膜作製基板上に並列に配置させてモノリ
シックに薄膜形成される高精度なTMR素子を利用する
ことを基本とする。より具体的には、例えば、外形形状
が長方形状にチップ構成されてその長手方向に磁気異方
性を持たせた4個のTMR素子12a〜12dをプリン
ト基板等のチップ搭載基板13上に実装させることによ
り構成されている。即ち、長方形状を利用した形状効果
異方性を持たせたTMR素子12a〜12dが用いられ
ており、各々のチップ方向=磁気異方性の方向A〜D
(従って、TMR素子12a〜12dの長手方向)が相
互に相対角度を持つように並列に配置されている。な
お、図示した磁気異方性の方向A〜Dは、中程度の保磁
力を持つ磁性体層4(又は、相当するピン層)の磁化方
向を示している。
る磁気が作用し得る環境下に置かれ、各々のTMR素子
12a〜12dの検知出力に基づき磁界のベクトル成分
(磁気角度或いは磁気方位)を検知するために使用され
る。ここに、磁気センサ11に或る磁界が作用した場
合、並列に配置されている複数のTMR素子12a〜1
2d間の磁気異方性の方向A〜Dがずれており、各々の
TMR素子12a〜12dが呈示する抵抗値対応の検知
出力が大小異なることとなり、これらの検知出力を簡単
な演算回路により演算処理することにより、磁気方位を
特定検知することができる。即ち、複数のTMR素子1
2a〜12d間の磁気異方性の方向A〜Dをずらすこと
により、磁界のベクトル成分を検知するにあたってその
角度検知分解能を向上させ、高感度化を図れるものとな
る。
TMR素子12a〜12dを用いているので、磁気セン
サ11としても小型・軽量化を図ることができる。ま
た、各薄膜磁気抵抗効果素子がTMR素子12a〜12
dとしてチップ構成されてチップ搭載基板13上に実装
されることにより磁気センサ11が作製されるので、一
括して熱処理工程を行なうことが可能で、その分、製造
が容易となり、TMR素子モジュール作製の歩留まりが
高く、低コストな磁気センサ11とすることができる。
て説明する。本実施の形態も、前述したような磁気セン
サ21のより実際的な構成例を示すものである。
a〜12dに相当するTMR素子22a〜22dが、そ
のチップ外形形状(長方形状)に対して異なる方向の磁
気異方性を持たせてチップ構成されたTMR素子であっ
て、チップ搭載基板23上にチップ外形形状を揃えて並
列配置させて実装させることにより磁気センサ21が構
成されている。作用的には、前述した実施の形態の場合
と同様である。
加えて、本実施の形態によれば、チップ外形形状に対し
て磁気異方性の方向を異ならせてチップ外形形状を揃え
て並列配置させてTMR素子22a〜22dを実装させ
ているので、実装に際して汎用実装機を用いることもで
き、より一層の低コスト化を図ることができる。
て説明する。本実施の形態は、前述したような磁気セン
サの一次的な信号処理も含めた構成例を示すものであ
る。
る各薄膜磁気抵抗効果素子32a,32b間、32b,
32c間、及び、32c,32d間の出力の差動をとる
差動演算手段としての差動演算器33a,33b,33
cを備えて構成されている。即ち、磁気異方性の方向A
〜Dに関して各々相対角度を持たせた隣接する各薄膜磁
気抵抗効果素子32a,32b間、32b,32c間、
及び、32c,32d間の出力の差動を差動演算器33
a,33b,33cで演算し、これらの差動演算手段の
差動演算結果を比較し、この比較結果に基づき対象とな
る磁気ベクトルを検知特定するように構成されている。
気抵抗効果素子32a,32b間、32b,32c間、
及び、32c,32d間の出力の差動をとり、その差動
演算結果に基づき対象となる磁気ベクトルを検知特定す
ることで、ノイズをキャンセルでき、よって、磁気セン
サ31としてノイズによる誤検知動作を防止することが
できる。また、携帯電話等へ搭載する上で、他の部品か
ら発生する磁界に対して耐性を持つことになる。
抵抗効果素子としてTMR素子を用いたが、磁性体層、
非磁性絶縁体層及び磁性体層で構成される膜面に垂直に
電流を流すcpp型巨大磁気抵抗効果素子(GMR素
子)の場合にも同様に適用することができる。
て説明する。本実施の形態は、前述した各実施の形態の
ような磁気センサを利用して構成した地磁気検知の方位
検知システムへの適用例を示す。まず、例えば3つの磁
気センサ41a,41b,41c(前述した磁気センサ
1,11,21,31の何れの形態でもよい)をxyz
3軸ベクトルの方向に独立して配置させた地磁気センサ
42が設けられている。これらの磁気センサ41a,4
1b,41cの検知出力はデータ取り込み部43を介し
て検知手段としての3磁気成分検知部44に入力されて
いる。この3磁気成分検知部44は地磁気検知に関し
て、磁気センサ41a,41b,41cの検知出力に基
づき3軸ベクトル成分を検知する。一方、データ取り込
み部43を介して取り込まれた磁気センサ41a,41
b,41cの検知出力に関してその絶対値を算出する絶
対値演算部45と、この絶対値演算部45により算出さ
れた絶対値の大きさを予め設定されている比較地磁気強
度に測定マージンを加味した閾値と比較する比較部46
とによる異常検知手段47が設けられている。比較部4
6では算出された絶対値の大きさが閾値を越えている場
合に検知結果に異常があると判断する。この比較部46
の出力側には異常検知出力に基づき動作する報知手段と
しての警報部48が設けられている。
テムによれば、測定済みの地磁気強度に測定マージンを
加味して予め設定されている閾値を超えるような大きさ
の検知結果が得られた場合には、警報部48を通じて測
定値に異常がある旨を報知するので、誤った検知結果の
利用を未然に防止できる。なお、より実際的には、3磁
気成分検知部44から得られる検知結果とともに、この
警報部48の出力も通信部49を通じて当該システムの
使用者に通信によって通知するシステム構成とすればよ
い。これにより、GPSシステムや後述の携帯電話等の
通信システムのようなビジネス形態に利用することも可
能となる。
は、3つの磁気センサ41a,41b,41cを用いた
が、3つ以上の磁気センサを3軸ベクトル以上の方向に
独立に配置させて地磁気の方向検知を3軸以上のベクト
ル検知として行なうようにしてもよい。或いは、逆に、
1つの磁気センサのみを用いる一軸ベクトル検知を行な
う方位検知システムとして構成してもよい。
いて説明する。本実施の形態は、前述した各実施の形態
のような磁気センサを利用して構成したGPS対応の携
帯通信端末としての携帯電話51への適用例を示す。図
10は携帯電話51の外観構成を示す概略正面図で、種
々の構成例があるが、一例としてマイク部52、入力操
作部53、スピーカ部54、LCD等による表示部55
等を備え、ヒンジ部56により2つ折り構造とされてい
る。
形態では、GPS機能を発揮させるための地磁気の方位
検知に利用する磁気センサ57(前述した磁気センサ
1,11,21,31の何れの形態でもよい)が表示部
55の裏面側に埋め込まれることにより搭載されてい
る。
れた携帯通信端末に関して、方位検知用の磁気センサ5
7を備えるGPS対応の機種の場合でもその実装面積の
低減が見込まれる。特に、表示部55の裏面側に埋め込
み実装しているので、本実施の形態のような折り畳みタ
イプの携帯電話51の場合であっても、表示面に近接又
は一体化されるので、誤差が少なくなる。また、磁気セ
ンサ57は受動的な部品であるので、他に電気・磁気的
なノイズは発生せず、表示部55のように外来ノイズに
敏感な箇所にも適合可能となる。
ば、成膜表面の荒れ等によって静磁気的な固着部層が磁
界感知用軟磁性体層と非磁性体層との界面に発生し、こ
の固着部層の膜厚は成膜条件によって著しく異なるもの
の、このような固着部層の膜厚に対して磁界感知用軟磁
性体層の膜厚を20倍以上とすることにより、成膜条件
に依らず、本来の磁気特性より特性が劣化した固着部層
の影響を緩和し、感度等の点で良好なる素子特性を得る
ことができる。
載の磁気センサにおいて、固着部層の磁化方向は他の磁
性体層の磁化方向に倣うが、このような固着部層の磁化
方向に対して略直交する方向に磁界感知用軟磁性体層の
一軸磁気異方性の方向を設定したので、磁界感知用軟磁
性体層の困難軸方向の磁化状態をデバイス構成に活かす
ことができ、また、固着部層との磁気的カップリングも
低下させることができる。
載の磁気センサにおいて、固着部層の磁化方向は他の磁
性体層の磁化方向に倣うが、このような固着部層の磁化
方向に対して鋭角なる角度を持つ方向に磁界感知用軟磁
性体層の一軸磁気異方性の方向を設定したので、固着部
層との磁気的カップリングを併用できるので、所望の電
気特性を得ることができる。
いし3の何れか一記載の磁気センサにおいて、磁界感知
用軟磁性体層以外の磁性体層を、いわゆるスピンバルブ
構造を持つピン層構造とした場合も請求項1ないし3記
載の発明の作用・効果を維持することができる。
いし4の何れか一記載の磁気センサにおいて、磁界感知
用軟磁性体層の保磁力特性としてヒステリシス特性を持
たせることにより、4値以上の磁気センサとなるが、マ
ージンを含めてその保磁力が地磁気の強度の2/3以下
で十分に機能させることができる。
いし5の何れか一記載の磁気センサにおいて、磁界感知
用軟磁性体層の困難軸方向の磁化特性に関して、異方性
磁界強度が地磁気の強度以下となるように設定すること
で、軟磁性体の飽和磁束密度まで使えることになるの
で、S/Nを向上させ、センサ特性をより一層安定させ
ることができる。
いし6の何れか一記載の磁気センサにおいて、磁界感知
用軟磁性体層の保磁力よりも保磁力の低い磁性体層を引
出電極とすることで、センサ部への磁束集中効果が期待
でき、より一層感度を向上させることができる。
いし7の何れか一記載の磁気センサを実現する上で、各
薄膜磁気抵抗効果素子がトンネル型磁気抵抗効果素子と
して薄膜作製基板上にモノリシックに作製されるので、
高精度な磁気センサとすることができ、また、製品間の
ばらつきが抑えられ、低コストに製造でき、さらには、
並列型センサの実現することができる。
載の磁気センサを実現する上で、各薄膜磁気抵抗効果素
子がトンネル型磁気抵抗効果素子としてチップ構成され
てチップ搭載基板上に実装されて作製されるので、一括
して熱処理工程を行なうことが可能で、その分、製造が
容易となり、薄膜磁気抵抗効果素子モジュール作製の歩
留まりが高く、低コストな磁気センサとすることができ
る。
記載の磁気センサを実現する上で、各薄膜磁気抵抗効果
素子がトンネル型磁気抵抗効果素子としてチップ構成さ
れてチップ搭載基板上に実装されて作製されるので、薄
膜磁気抵抗効果素子作製の歩留まりが高く、低コストな
磁気センサとすることができ、さらには、チップ外形形
状に対して磁気異方性の方向を異ならせてチップ外形形
状を揃えて実装させているので、汎用実装機を用いるこ
ともでき、より一層の低コスト化を図ることができる。
また、チップの実装面に対して垂直異方性を採る構成も
可能であり、これにより、3軸ベクトル検知も容易に実
現することができる。
又は10記載の磁気センサにおいて、隣接する各薄膜磁
気抵抗効果素子間の出力の差動をとり、その差動演算結
果に基づき対象となる磁気を検知することで、特に近傍
からの磁界ノイズをキャンセルでき、よって、ノイズに
よる誤検知動作を防止することができ、また、携帯電話
等へ搭載する上で、他の部品から発生する磁界に対して
耐性を持たせることもできる。
によれば、地磁気を検知対象とする方位検知システムに
適用した場合、基本的には、高感度な請求項1ないし1
1の何れか一記載の磁気センサの検知出力に基づき検知
される磁気ベクトルが利用されるが、この際、磁気セン
サの検知出力の絶対値を測定済みの地磁気強度に測定マ
ージンを加味した閾値との比較により検知結果に異常が
あるか否かを判断しており、異常が検知された場合には
その旨を報知させることで、誤った検知結果の利用を未
然に防止することができ、さらには、磁気センサによる
検知結果とともに、異常検知の結果の情報も当該システ
ムの使用者に通信により伝送するGPSシステムや携帯
電話等の携帯通信端末のようなビジネス形態に利用する
ことも可能である。
によれば、3軸ベクトル以上の方向に独立して配置され
た高感度な請求項1ないし11の何れか一記載の磁気セ
ンサの検知出力に基づき検知される3軸以上のベクトル
を利用することで、地磁気を検知対象とする方位検知シ
ステムに適用することができ、特に、加速度センサ等を
併用することなく、当該センサのみで使用中の運動を検
知することができる。
れば、表示部を備える携帯通信端末であって、地磁気を
検知対象として前記表示部の裏面側に埋め込まれた請求
項1ないし11の何れか一記載の磁気センサを備えるの
で、携帯電話等の実装面積が限られた携帯通信端末に関
して、方位検知用の磁気センサを備えるGPS対応の機
種の場合でもその実装面積の低減化を図ることができ、
特に、表示部の裏面側に埋め込み実装しているので、折
り畳みタイプの端末の場合であっても、表示面に近接又
は一体化されるので、検知誤差を少なくすることがで
き、また、当該磁気センサは受動的な部品であるので、
他に電気・磁気的なノイズは発生せず、表示部のように
外来ノイズに敏感な箇所にも適合させることができる。
し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図であ
る。
し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図であ
る。
力の特性図である。
性磁界強度の特性図である。
し、(a)は概略平面図、(b)はその概略断面図であ
る。
的構成を示す模式図である。
的構成を示す模式図である。
的構成を示す模式図である。
の構成例を示す模式図である。
例を示す概略正面図である。
Claims (14)
- 【請求項1】 少なくとも磁性体層と非磁性体層との積
層構造を含み、前記磁性体層のうちで一軸磁気異方性及
び磁化反転可能な保磁力を有する磁界感知用軟磁性体層
が隣接ないし近接する他層との磁気的な結合により本来
の磁気特性より特性が劣化した固着部層を含む薄膜磁気
抵抗効果素子を備え、 前記磁界感知用軟磁性体層の膜厚が前記固着部層の膜厚
の20倍以上である磁気センサ。 - 【請求項2】 前記磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異
方性の方向が前記固着部層の磁化方向に対して略直交す
る方向に設定されている請求項1記載の磁気センサ。 - 【請求項3】 前記磁界感知用軟磁性体層の一軸磁気異
方性の方向が前記固着部層の磁化方向に対して鋭角なる
角度を持つ方向に設定されている請求項1記載の磁気セ
ンサ。 - 【請求項4】 前記磁界感知用軟磁性体層以外の前記磁
性体層が、スピンバルブ構造を持つピン層構造とされて
いる請求項1ないし3の何れか一記載の磁気センサ。 - 【請求項5】 前記磁界感知用軟磁性体層は、保磁力が
地磁気の強度の2/3以下に設定されている請求項1な
いし4の何れか一記載の磁気センサ。 - 【請求項6】 前記磁界感知用軟磁性体層は、異方性磁
界強度が地磁気の強度以下に設定されている請求項1な
いし5の何れか一記載の磁気センサ。 - 【請求項7】 保磁力が前記磁界感知用軟磁性体層の保
磁力よりも低く、膜厚が前記磁界感知用軟磁性体層の膜
厚よりも厚い磁性体層により前記磁界感知用軟磁性体層
上に形成された引出電極を備える請求項1ないし6の何
れか一記載の磁気センサ。 - 【請求項8】 前記薄膜磁気抵抗効果素子は、磁性体
層、非磁性体絶縁層及び磁性体層の積層構造を含むトン
ネル型磁気抵抗効果素子であって、モノリシックに薄膜
形成されている請求項1ないし7の何れか一記載の磁気
センサ。 - 【請求項9】 チップ構成された複数個の前記トンネル
型磁気抵抗効果素子がチップ搭載基板上にチップ方向を
異ならせて実装されている請求項8記載の磁気センサ。 - 【請求項10】 チップ外形形状に対して異なる方向の
磁気異方性を持たせてチップ構成された複数個のトンネ
ル型磁気抵抗効果素子が、チップ搭載基板上にチップ外
形形状を揃えて実装されている請求項8記載の磁気セン
サ。 - 【請求項11】 隣接する前記各薄膜磁気抵抗効果素子
間の出力の差動をとる差動演算手段を有し、これらの差
動演算手段の差動演算結果に基づき対象となる磁気を検
知するようにした請求項9又は10記載の磁気センサ。 - 【請求項12】 地磁気を検知対象とする請求項1ない
し11の何れか一記載の磁気センサと、 この磁気センサの検知出力に基づき磁気ベクトルを検知
する検知手段と、 前記磁気センサの検知出力の絶対値と予め設定されてい
る閾値とに基づき検知結果に異常があるか否かを判断す
る異常検知手段と、 この異常検知手段により異常が検知された場合にはその
旨を報知する報知手段と、を備える方位検知システム。 - 【請求項13】 3軸ベクトル以上の方向に独立して配
置されて地磁気を検知対象とする請求項1ないし11の
何れか一記載の複数の磁気センサと、これらの磁気セン
サの検知出力に基づき3軸以上のベクトルを検知する検
知手段と、を備える方位検知システム。 - 【請求項14】 表示部を備える携帯通信端末であっ
て、地磁気を検知対象として前記表示部の裏面側に埋め
込まれた請求項1ないし11の何れか一記載の磁気セン
サを備える携帯通信端末。
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JP2008286739A (ja) * | 2007-05-21 | 2008-11-27 | Mitsubishi Electric Corp | 磁界検出器及び回転角度検出装置 |
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2002
- 2002-04-26 JP JP2002125377A patent/JP4316836B2/ja not_active Expired - Fee Related
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