JP2023002228A - 情報処理装置および磁気センサシステム - Google Patents

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Abstract

Figure 2023002228000001
【課題】磁気センサから出力される出力信号の周波数が高くなっても、周波数の測定の精度が低下しにくく、微小な周波数変化率であっても、高い周波数測定の検出限界を有する情報処理装置および磁気センサシステムを提供する。
【解決手段】磁気センサ110により出力され、磁界の強さに応じて決まる周波数を有して発振される出力信号を取得する取得部31と、出力信号と、基準となる周波数である基準周波数を有する基準信号との干渉を利用し、出力信号の周波数を決定する周波数決定部32と、決定された出力信号の周波数から、磁界の強さを算出する磁界算出部40と、を備える情報処理装置120。
【選択図】図1

Description

本発明は、情報処理装置、磁気センサシステムに関する。
公報記載の従来技術として、2個のCMOSインバータと、抵抗と直列に接続されるアモルファスワイヤと、キャパシタンスよりなるマルチバイブレータ発振回路を有する磁界センサにおいて、電源電圧を3V以下、抵抗Rとアモルファスワイヤの直列抵抗を500Ω以下に設定し、2個のCMOSインバータの入力電圧が閾値電圧に保持される時間幅が外部印加磁界によって変化するように構成したる周波数変調形磁界センサが存在する(特許文献1参照)。
特開2004-108778号公報
例えば、磁界を感受する感受素子として磁気インピーダンス効果素子を用いた磁気センサでは、感受素子に交流電流を供給し、感受素子におけるインピーダンスの変化から磁気を検出する。この際、感受素子におけるインピーダンスの変化を、感受素子の周波数の変化によって検出することがある。
磁気インピーダンス効果素子は、高透磁率合金磁性体の表皮効果により、外部磁界でインピーダンスが敏感に変化する。表皮効果において、電流が流れる表面層の深さ(skin depth δ)は、δ=√(2ρ/ωμ)(ρ:電気抵抗率、ω:通電電流の角周波数、μ:通電電流に直角方向の最大微分透磁率)で表されるので、周波数が高いほどδは薄くなり、インピーダンス変化が大きくなる。したがって、高周波ほど、磁気インピーダンス効果素子を用いた磁気センサの感度を高くしやすい。
しかしながら、感受素子から出力される出力信号の周波数が高くなると、周波数を測定する際のサンプリング速度が不足し、周波数の測定の精度が低下するときがある。
また、微小な磁界を検出する場合、得られる周波数変化も小さくなり、限られたサンプリング速度では周波数分解能が不十分で磁界変化を検出できない場合がある。したがって、外部磁界による周波数変化率を拡大させて、周波数測定の検出限界を向上させることが望ましい。
本発明は、磁気センサから出力される出力信号の周波数が高くなっても、周波数の測定の精度が低下しにくく、微小な周波数変化率であっても、高い周波数測定の検出限界を有する情報処理装置および磁気センサシステムを提供する。
かくして本発明によれば、磁気センサにより出力され、磁界の強さに応じて決まる周波数を有して発振される出力信号を取得する取得部と、出力信号と、基準となる周波数である基準周波数を有する基準信号との干渉を利用し、出力信号の周波数を決定する周波数決定部と、決定された出力信号の周波数から、磁界の強さを算出する磁界算出部と、を備える情報処理装置が提供される。
ここで、周波数決定部は、干渉の結果、周波数変化量を維持したまま出力信号の周波数を低周波数にすることで周波数変化率を向上させ、低周波数にした出力信号を使用することで出力信号の周波数を決定するようにすることができる。
また、周波数決定部は、干渉の結果、出力信号と基準信号との位相差に基づき得られる波形を基に、出力信号の周波数を決定するようにすることができる。
さらに、周波数決定部は、波形を、時間に対し平均化することで生成される三角波を基に、出力信号の周波数を決定するようにすることができる。
またさらに、周波数決定部は、積算し平均化した出力信号と基準信号とを干渉させ、三角波を生成するようにすることができる。
そして、周波数決定部は、基準周波数として複数の周波数を使用して、出力信号と基準信号とを干渉させ、三角波を生成するようにすることができる。
また、干渉は、論理演算および/または位相比較器により行うようにすることができる。
さらに、周波数決定部は、スーパーヘテロダイン方式により出力信号の周波数と基準信号とをミキシングすることで干渉を行うようにすることができる。
またさらに、周波数決定部は、出力信号と基準信号との間の干渉により生じるエイリアシングを利用して、出力信号の周波数を決定するようにすることができる。
そして、周波数決定部は、基準信号として、出力信号に対するサンプリングの周波数を変更することで、干渉を行うようにすることができる。
また、周波数決定部は、D-フリップフロップを用いて干渉を行うようにすることができる。
また、周波数決定部は、デジタル信号入力ポートのサンプリングクロック信号を用いて干渉を行うようにすることができる。
また本発明によれば、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子と容量素子とが直列接続された遅延生成部と、遅延生成部に接続され、遅延生成部により周波数が設定される交流電流が遅延生成部に流れるように電位を供給する電位供給部とを備え、交流電流を出力信号として出力する磁気センサと、出力信号と、基準となる周波数である基準周波数を有する基準信号との干渉を利用し、出力信号の周波数を決定する周波数決定部と、決定された出力信号の周波数から、磁界の強さを算出する磁界算出部と、を備える磁気センサシステムを提供することができる。
本発明によれば、磁気センサから出力される出力信号の周波数が高くなっても、周波数の測定の精度が低下しにくく、微小な周波数変化率であっても、高い周波数測定の検出限界を有する情報処理装置および磁気センサシステムを提供することができる。
第1の実施の形態が適用される磁気センサシステムを説明する図である。 感受素子の一例を説明する図である。(a)は、感受素子の平面図、(b)は、(a)のIIB-IIB線での感受素子の断面図である。 感受素子の磁界に対する電気的特性を示す図である。(a)は、感受素子の感受部の長手方向に印加された磁界と感受素子のインピーダンスとの関係を説明する図である。(b)は、感受素子の感受部の長手方向に印加された磁界と感受素子の抵抗との関係を説明する図である。(c)は、感受素子の感受部の長手方向に印加された磁界と感受素子のリアクタンスとの関係を説明する図である。(d)は、感受素子の感受部の長手方向に印加された磁界と感受素子のインダクタンスとの関係を説明する図である。 第1の実施の形態が適用される磁気センサを説明する図である。(a)は、論理記号で示す等価回路、(b)は、トランジスタで示す等価回路、(c)は、(b)を変形した等価回路である。 周波数設定部がRC直列回路である場合において、第1の実施の形態が適用される磁気センサの動作を説明するタイミングチャートである。(a)は、図4(c)に示した磁気センサの等価回路、(b)は、接地電位を基準としたα点、β点及びγ点の各電位のタイミングチャート、(c)は、γ点の電位を基準としたα点、β点の各電位のタイミングチャート、(d)は、α点の電位を基準としたβ点、γ点の各電位のタイミングチャートである。 論理演算を使用して出力信号と基準信号とを干渉させる回路構成の概念図である。 (a)~(e)は、論理演算部および三角波生成部の動作について示した図である。 スーパーヘテロダイン方式を使用して出力信号と基準信号とをミキシングする回路構成の概念図である。 エイリアシングを利用して出力信号の周波数を決定する回路構成の概念図である。 (a)~(e)は、アナログ信号に対するエイリアシングについて示した図である。 (a)~(e)は、デジタル信号に対するエイリアシングについて示した図である。 (a)はデジタル信号に対するエイリアシングにおいて、サンプリング周波数が300MHz、入力信号周波数を270MHzから299.9997MHzまで変えた場合の出力周波数およびそのばらつきを測定した結果である。(b)は、上記(a)の測定で、サンプリング周波数と入力周波数の差に対する周波数誤差およびばらつきを示した図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(磁気センサシステム100)
図1は、第1の実施の形態が適用される磁気センサシステム100を説明する図である。磁気センサシステム100は、磁気センサ110と、情報処理装置120とを備える。
磁気センサ110は外部磁界による感受素子1の特性変化によって周波数が変化する発振回路であり、さまざまな種類の発振回路を用いることができる。例えば、感受素子1のインダクタンスと容量素子によるLC共振回路は、外部磁界で感受素子1のインダクタンスが変化すると、LC共振周波数が変わって発振周波数が変化するため、磁気センサ110に用いることができる。また、感受素子1の抵抗やインダクタンスと容量素子を組み合わせたRLC直列回路は、外部磁界で感受素子1の抵抗やインダクタンスが変化するため、RLC直列回路で生じる遅延時間が変わる。この遅延時間の変化を利用した弛張式発振回路も、外部磁界で発振周波数が変化するため、磁気センサ110に用いることができる。図1に示すように、磁気センサ110は、周波数設定部10と周波数設定部10に電圧を供給する電位供給部20とを備える。周波数設定部10は、所謂磁気インピーダンス効果を用いた感受素子1を含む感受素子部11と、容量素子2を含む容量素子部12とを備える。なお、容量素子2は、電荷を蓄積する素子であって、コンデンサ又はキャパシタと呼ばれることがある。
感受素子部11と容量素子部12とは直列接続されている。感受素子1は抵抗とインダクタンスが直列接続された等価回路で表すことができ、抵抗・インダクタンスそれぞれが外部磁界変化に対して変化する。感受素子部11と容量素子部12が直列接続されることでRLC直列回路を形成する。なお本実施の形態では、感受素子部11および容量素子部12は、遅延生成部の一例として機能する。
周波数設定部10において、感受素子部11を介して容量素子部12における容量素子2が充放電を繰り返すことにより、感受素子部11における感受素子1に交流電流が流れる。この際、感受素子1は、磁界又は磁界の変化によって、抵抗とインダクタンスが変化する。よって、周波数設定部10において、容量素子2が充放電を繰り返す周期が変化する。つまり、感受素子1に流れる交流電流の周波数が変化する。
感受素子部11は、感受素子1に加え、他の電子素子、例えば抵抗素子やインダクタンス素子を直列接続又は並列接続で含んでいてもよい。容量素子部12は、容量素子2に加え、他の電子素子、例えば抵抗素子やインダクタンス素子を直列接続又は並列接続で含んでもよい。以下では、説明の簡単化のために、感受素子部11は感受素子1で構成され、容量素子部12は、容量素子2で構成されているとして説明する。そして、感受素子部11を感受素子1、容量素子部12を容量素子2と表記する。つまり、感受素子1は、感受素子部11であり、容量素子2は容量素子部12である。そして、図1では、感受素子部11を11(1)と表記し、容量素子部12を12(2)と表記する。
情報処理装置120は、磁気センサ110に流れる交流電流を処理し、磁界の強さを求める。
情報処理装置120は、磁気センサ110に流れる交流電流の周波数を測定する周波数測定部30と、周波数測定部30により測定された周波数に基づいて、後述する感受素子1で感受される磁界又は磁界の変化を算出する磁界算出部40とを備える。
周波数測定部30は、磁気センサ110から発振された交流電流の周波数を測定し、磁界算出部40に出力する。周波数測定部30は、図示するように、取得部31と、周波数決定部32とを備える。周波数測定部30について、詳しくは後述する。
磁界算出部40は、周波数測定部30が決定した周波数に基づいて、感受素子1が感受する磁界又は磁界の変化を算出する。磁界算出部40は、感受素子1の抵抗・インダクタンスと感受される磁界の強さとの関係を記憶している。よって、磁界算出部40は、周波数測定部30にて測定された周波数から感受素子1のインピーダンスを算出し、インピーダンスに基づいて感受素子1で感受される磁界または磁界の変化を算出する。
(感受素子1の構成)
図2は、感受素子1の一例を説明する図である。図2(a)は、感受素子1の平面図、図2(b)は、図2(a)のIIB-IIB線での感受素子1の断面図である。図2(a)において、紙面の右方向をx方向、紙面の上方向をy方向とし、紙面の表面方向をz方向とする。図2(b)において、紙面の右方向をx方向、紙面の上方向をz方向とし、紙面の裏面方向をy方向とする。
図2(b)に示すように、感受素子1は、非磁性体の基板50上に設けられた硬磁性体(硬磁性体層503)で構成された薄膜磁石60と、薄膜磁石60に対向して積層され、磁場を感受する感受回路70と、ヨーク80とを備える。
なお、感受素子1の断面構造については、後に詳述する。
ここで磁性体における軟磁性体とは、外部磁界によって容易に磁化されるが、外部磁界を取り除くと速やかに磁化がないか又は磁化が小さい状態に戻る、いわゆる保磁力の小さい材料である。磁性体における硬磁性体とは、外部磁界によって磁化されると、外部磁界を取り除いても磁化された状態が保持される、いわゆる保磁力の大きい材料である。
なお、本明細書においては、感受素子1を構成する要素(薄膜磁石60など)を二桁の数字で表し、要素に加工される層(硬磁性体層503など)を500番台の数字で表す。そして、要素に対して、要素に加工される層を( )内に表記する。例えば薄膜磁石60の場合、薄膜磁石60(硬磁性体層503)と表記する。図においては、60(503)と表記する。また、要素に加工される層に対して、要素を( )内に表記する。例えば、硬磁性体層503の場合、硬磁性体層503(薄膜磁石60)と表記する。他の場合も同様である。
図2(a)により、感受素子1の平面構造を説明する。感受素子1は、一例として四角形の平面形状を有する。ここでは、感受素子1の最上部に形成された感受回路70及びヨーク80を説明する。感受素子1の平面形状は、数mm角である。なお、感受素子1の大きさは、他の値であってもよい。
感受回路70は、軟磁性体(軟磁性体層505)で構成された複数の感受部71と、感受部71間をつづら折りに直列接続する接続部72と、直列接続された感受部71の一方の端部と他方の端部に設けられた端子部73とを備える。
感受部71は、平面形状が長手方向と短手方向とを有する短冊状である。図2(a)に示す感受部71は、x方向を長手方向、y方向を短手方向とする。そして、図2(a)では、4個の感受部71がy方向に並列配置されている。感受部71が、磁気インピーダンス効果を示す。よって、感受素子1を磁気インピーダンス素子と表記することがある。
各感受部71は、例えば長手方向の長さが1mm~10mm、短手方向の幅が50μm~150μmである。厚さ(軟磁性体層505の厚さ)が0.5μm~5μmである。隣接する感受部71の間隔は、50μm~150μmである。そして、感受部71の数は、図2(a)では4個を示すが、これ以外であってもよい。感受部71の数は、例えば20である。
なお、それぞれの感受部71の大きさ(長さ、面積、厚さ等)、感受部71の数、感受部71同士の間隔等は、感受、つまり計測したい磁界の大きさなどによって設定されればよい。なお、感受部71は、1個でもよい。
接続部72は、隣接する感受部71の端部間に設けられ、複数の感受部71を直列接続する。つまり、接続部72は、隣接する感受部71をつづら折り(ミアンダ状)に接続されるように設けられている。図2(a)に示す4個の感受部71を備える感受素子1では、接続部72は3個である。接続部72の数は、感受部71の数によって異なる。例えば、感受部71が6個であれば、接続部72は5個である。また、感受部71が1個であれば、接続部72を備えない。なお、接続部72の幅は、感受回路70に流す電流などによって設定すればよい。例えば、接続部72の幅は、感受部71と同じであってもよい。
端子部73は、直列接続された感受部71の一方の端部と他方の端部に設けられている。図2(a)においては、紙面の下側の端部に端子部73aが設けられ、紙面の上側の端部に端子部73bが設けられている。端子部73a、73bをそれぞれ区別しないときは、端子部73と表記する。端子部73は、ワイヤボンディング、導電性接着剤、機械的接触等で回路と電気的に接続するのに用いられ、これらの接続に必要な大きさであればよい。なお、図2(a)に示す感受素子1では、感受部71が4個であるため、端子部73a、73bは、紙面の左側に設けられている。感受部71の数が奇数の場合には、2個の端子部73a、73bを紙面の左右に分けて設ければよい。
以上説明したように、感受回路70は、感受部71が接続部72によってつづら折りに直列接続され、両端部に設けられた端子部73a、73bから電流が流れるように構成されている。よって、感受回路70と表記する。
さらに、感受素子1は、感受部71の長手方向の端部に対向して設けられたヨーク80を備える。ここでは、感受部71の長手方向の両端部に対向してそれぞれが設けられた2個のヨーク80a、80bを備える。なお、ヨーク80a、80bをそれぞれ区別しない場合には、ヨーク80と表記する。ヨーク80は、感受部71の長手方向の端部に磁力線を誘導する。このため、ヨーク80は磁力線が透過しやすい軟磁性体で構成されている。この例では、感受部71及びヨーク80は、同じ軟磁性体層505で構成されている。なお、感受部71の長手方向に磁力線が十分透過する場合には、ヨーク80を備えなくてもよい。
次に、図2(b)により、感受素子1の断面構造を説明する。感受素子1は、非磁性体の基板50上に、密着層501、制御層502、硬磁性体層503(薄膜磁石60)、誘電体層504、軟磁性体層505(感受部71及びヨーク80)が、この順に配置されて構成されている。
基板50は、非磁性体からなる基板であって、例えばガラス、サファイアといった電気絶縁性の酸化物基板、シリコン等の半導体基板、又は、アルミニウム、ステンレススティール、ニッケルリンメッキを施した金属等の金属基板などである。
密着層501は、基板50に対する制御層502の密着性を向上させるための層である。密着層501としては、Cr又はNiを含む合金を用いるのがよい。Cr又はNiを含む合金としては、CrTi、CrTa、NiTa等が挙げられる。密着層501の厚さは、例えば5nm~50nmである。なお、基板50に対する制御層502の密着性に問題がなければ、密着層501を設けることを要しない。なお、本明細書においては、Cr又はNiを含む合金の組成比を示さない。以下同様である。
制御層502は、硬磁性体層503で構成される薄膜磁石60の磁気異方性が膜の面内方向に発現しやすいように制御する層である。制御層502としては、Cr、Mo若しくはW又はそれらを含む合金(以下では、制御層502を構成するCr等を含む合金と表記する。)を用いるのがよい。制御層502を構成するCr等を含む合金としては、CrTi、CrMo、CrV、CrW等が挙げられる。制御層502の厚さは、例えば10nm~300nmである。
薄膜磁石60を構成する硬磁性体層503は、Coを主成分とし、Cr又はPtのいずれか一方又は両方を含む合金(以下では、薄膜磁石60を構成するCo合金と表記する。)を用いることがよい。薄膜磁石60を構成するCo合金としては、CoCrPt、CoCrTa、CoNiCr、CoCrPtB等が挙げられる。なお、Feが含まれていてもよい。硬磁性体層503の厚さは、例えば1μm~3μmである。
制御層502を構成するCr等を含む合金は、bcc(body-centered cubic(体心立方格子))構造を有する。よって、薄膜磁石60を構成する硬磁性体(硬磁性体層503)は、bcc構造のCr等を含む合金で構成された制御層502上において結晶成長しやすいhcp(hexagonal close-packed(六方最密充填))構造であるとよい。bcc構造上にhcp構造の硬磁性体層503を結晶成長させると、hcp構造のc軸が面内に向くように配向しやすい。よって、硬磁性体層503によって構成される薄膜磁石60が面内方向に磁気異方性を有するようになりやすい。なお、硬磁性体層503は結晶方位の異なる集合からなる多結晶であり、各結晶が面内方向に磁気異方性を有する。この磁気異方性は結晶磁気異方性に由来するものである。
なお、制御層502を構成するCr等を含む合金及び薄膜磁石60を構成するCo合金の結晶成長を促進するために、100℃~600℃に加熱するとよい。この加熱により、制御層502を構成するCr等を含む合金が結晶成長しやすくなり、hcp構造を持つ硬磁性体層503が面内に磁化容易軸を持つように結晶配向されやすくなる。つまり、硬磁性体層503の面内に磁気異方性が付与されやすくなる。
誘電体層504は、非磁性の誘電体で構成され、薄膜磁石60と感受回路70との間を電気的に絶縁する。誘電体層504を構成する誘電体としては、SiO、Al、TiO等の酸化物、又は、Si、AlN等の窒化物等が挙げられる。また、誘電体層504の厚さは、例えば0.1μm~30μmである。
感受回路70における感受部71は、長手方向に交差する方向、例えば直交する短手方向(幅方向)に一軸磁気異方性が付与されている。なお、長手方向に交差する方向とは、長手方向に対して45°を超え、且つ90°以下の角度を有すればよい。
感受部71を構成する軟磁性体層505としては、Coを主成分とした合金に高融点金属Nb、Ta、W等を添加したアモルファス合金(以下では、感受部71を構成するCo合金と表記する。)を用いるのがよい。感受部71を構成するCo合金としては、CoNbZr、CoFeTa、CoWZr等が挙げられる。感受部71を構成する軟磁性体の厚さは、例えば0.2μm~2μmである。
感受回路70における接続部72及び端子部73は、導電性に優れた導電体層506で構成されている。例えば、Ag、Cu、Au、Al等が用いられるが特に限定されるものではない。なお、接続部72と端子部73とを異なる導体層で構成してもよい。また、接続部72及び端子部73を、感受部71と一体に形成してもよい。このようにすることで、感受部71と、接続部72及び端子部73とを別途形成することを要しない。
密着層501、制御層502、硬磁性体層503、及び誘電体層504は、平面形状が四角形(図2(a)参照)になるように加工されている。そして、露出した側面のうち、x方向の対向する二つの側面において、薄膜磁石60がN極(図2(b)における(N))及びS極(図2(b)における(S))となっている。なお、薄膜磁石60のN極とS極とを結ぶ線が、感受回路70における感受部71の長手方向(ここでは、x方向)に向くようになっている。ここで、長手方向に向くとは、N極とS極とを結ぶ線と長手方向とがなす角度が45°未満であることをいう。なお、N極とS極とを結ぶ線と長手方向とがなす角度は、小さいほどよい。
感受素子1において、薄膜磁石60のN極から出た磁力線は、一旦感受素子1の外部に出る。そして、一部の磁力線が、ヨーク80aを介して感受部71を透過し、ヨーク80bを介して再び外部に出る。そして、感受部71を透過した磁力線が感受部71を透過しない磁力線とともに薄膜磁石60のS極に戻る。つまり、薄膜磁石60は、感受部71の長手方向に磁界を印加する。
なお、薄膜磁石60のN極とS極とをまとめて両磁極と表記し、N極とS極とを区別しない場合は磁極と表記する。
なお、図2(a)に示すように、ヨーク80(ヨーク80a、80b)は、基板50の表面側から見た形状が、感受回路70に近づくにつれて狭くなっていくように構成されている。これは、感受部71における磁束密度を高める(磁力線を集める)ためである。つまり、感受部71における磁界を強くして感度のさらなる向上を図っている。なお、ヨーク80(ヨーク80a、80b)の感受回路70に対向する部分の幅を狭くしなくてもよい。
ここで、ヨーク80(ヨーク80a、80b)と感受回路70との間隔は、例えば1μm~100μmであればよい。
上記においては、感受部71は、一層の軟磁性体層505で構成されているとしたが、軟磁性体層505を上層軟磁性体層と下層軟磁性体層との二層とし、上層軟磁性体層と下層軟磁性体層との間に、上層軟磁性体層と下層軟磁性体層とを反強磁性結合(AFC:Anti-Ferro-Coupling)させる反強磁性結合層を設けてもよい。このような反強磁性結合層としては、Ruなどが挙げられる。反強磁性結合層を設けることで、反磁界が抑制され、感受素子1の感度が向上する。
また、感受部71を構成する上層軟磁性体層と下層軟磁性体層との間に、感受部71の電気抵抗を低減する導電体層を設けてもよい。導電体層としては、導電性が高い金属または合金を用いることが好ましく、導電性が高く且つ非磁性の金属または合金を用いることがより好ましい。このような導電体としては、アルミニウム、銅、銀等の金属が挙げられる。導電体層の厚さは、例えば、10nm~500nmである。導電体層を設けることで、感受回路70に流す交流電流の周波数を高くできる。
さらにまた、感受部71を構成する上層軟磁性体層と下層軟磁性体層との間に、上層軟磁性体層及び下層軟磁性体層に還流磁区の発生を抑制する磁区抑制層を設けてもよい。このような磁区抑制層としては、Ru、SiO等の非磁性体や、CrTi、AlTi、CrB、CrTa、CoW等の非磁性アモルファス金属が挙げられる。感受部71における還流磁区の発生を抑制することにより、磁壁の移動に基づく、所謂バルクハウゼン効果によるノイズの発生が抑制される。
なお、感受部71を構成する軟磁性体層505を二層を超える多層とし、それぞれの層の間に、反強磁性結合層、導電体層又は磁区抑制層を設けてもよい。また、上記の反強磁性結合層、導電体層及び磁区抑制層の二つ又はすべてを組み合わせて用いてもよい。
以上においては、感受素子1は、感受回路70に加え、薄膜磁石60及びヨーク80を備えるとした。薄膜磁石60は、感受回路70における感受部71に後述するバイアス磁界Hbを印加するために設けられている。バイアス磁界Hbを、感受素子1の外部から印加する場合には、感受素子1は、薄膜磁石60を備えることを要しない。この場合には、薄膜磁石60のために設けられた密着層501、制御層502、硬磁性体層503、及び誘電体層504を備えることを要しない。つまり、感受素子1は、基板50上に、感受回路70を設けて構成すればよい。この場合、ヨーク80は、設けられてもよく、設けられなくてもよい。
バイアス磁界Hbを感受素子1の外部から印加する方法としては、永久磁石を用いる方法やバイアスコイルを用いる方法が挙げられる。これらを感受素子1の近傍に配置するだけでも良いが、フェライトコア等の軟磁性材料から成る磁路を用い、永久磁石やバイアスコイルによるバイアス磁界が外部に漏洩するのを抑制する構造が好ましい。
基板50上に感受回路70を設ける場合、基板50が、シリコン等の半導体基板、又は、アルミニウム、ステンレススティール、ニッケルリンメッキを施した金属等の金属基板などであると、導電性が高い。このような場合には、感受回路70が設けられる側の基板50の表面に、基板50と感受回路70とを電気的に絶縁する絶縁体層を設けるとよい。このような絶縁体層を構成する絶縁体としては、誘電体層504を構成する誘電体と同様のSiO、Al、TiO等の酸化物、又は、Si、AlN等の窒化物等が挙げられる。
本明細書における感受素子1は、図2(a)、(b)に示した薄膜磁石60を備えるものの他、基板50上に感受回路70が設けられたものであってもよい。さらに、感受素子1は、感受回路70のみであってもよい。
(感受素子1の作用)
続いて、感受素子1の作用について説明する。
図3(a)は、感受素子1の感受部71の長手方向(図2(a)のx方向)に印加された磁界Hと感受素子1のインピーダンスZとの関係を説明する図である。図3において、横軸が磁界H、縦軸がインピーダンスZである。なお、インピーダンスZは、図2(a)に示す感受回路70の端子部73a、73b間に交流電流を流して測定される。よって、インピーダンスZは感受回路70のインピーダンスであるが、感受素子1のインピーダンスと表記する。
図3(a)に示すように、感受素子1のインピーダンスZは、感受部71の長手方向に印加する磁界Hが大きくなるにしたがい大きくなる。そして、印加する磁界Hが感受部71の異方性磁界Hkより小さい範囲において、磁界Hの変化量ΔHに対してインピーダンスZの変化量ΔZが急峻な部分(ΔZ/ΔHが大きい)を用いると、磁界Hの微弱な変化をインピーダンスZの変化量ΔZとして取り出すことができる。図3(a)では、ΔZ/ΔHが大きい磁界Hの中心を磁界Hbとして示している。つまり、磁界Hbの近傍(図3で矢印で示す範囲)における磁界Hの変化量(ΔH)が高精度に測定できる。ここで、インピーダンスZの変化量ΔZが最も急峻な(ΔZ/ΔHが最も大きい)部分、つまり磁界Hbにおける単位磁界当たりのインピーダンスの変化量Zmaxを、磁界HbでのインピーダンスZ(インピーダンスZbと表記する。)で割ったもの(Zmax/Zb)が感度である。感度が高いほど、磁気インピーダンス効果が大きく、磁界又は磁界の変化を計測しやすい。そして、感度は、感受回路70に流される交流電流の周波数が高いほど、高くなる。磁界Hbは、バイアス磁界と呼ばれることがある。以下では、磁界Hbをバイアス磁界Hbと表記する。
感受素子1は、図2(b)に示した薄膜磁石60によって、予めバイアス磁界Hbが印加された状態となっている。
感受素子1を1つのインピーダンス素子として着目すると上述のような説明ができるが、感受素子1は抵抗とインダクタンスが直列に接続された等価回路で表すことができ、容量素子と組み合わせてRLC直列回路を形成するため、その特性を考える上では抵抗R、リアクタンスX、インダクタンスLの特性を考慮することが必要である。
図3(b)は、感受素子1の感受部71の長手方向(図2(a)のx方向)に印加された磁界Hと感受素子1の抵抗Rとの関係を説明する図である。図3(b)において、横軸が磁界H、縦軸が抵抗Rである。
図3(c)は、感受素子1の感受部71の長手方向(図2(a)のx方向)に印加された磁界Hと感受素子1のリアクタンスXとの関係を説明する図である。図3(c)において、横軸が磁界H、縦軸がリアクタンスXである。
図3(d)は、感受素子1の感受部71の長手方向(図2(a)のx方向)に印加された磁界Hと感受素子1のインダクタンスLとの関係を説明する図である。図3(d)において、横軸が磁界H、縦軸がインダクタンスLである。
ここで、インピーダンスZ、抵抗R、リアクタンスX、インダクタンスLは下記の関係になる。ωは角周波数(rad)、fは周波数(Hz)である。
Z=R+jX=R+jωL ω=2πf
図3に示した感受素子では、抵抗R、リアクタンスX、インダクタンスLいずれもインピーダンスZと同様、磁界Hb付近で磁界Hが増加すると各値も増加し、変化が最も大きくなっている。
(磁気センサ110)
図4は、第1の実施の形態が適用される磁気センサ110を説明する図である。図4(a)は、論理記号で示す等価回路、図4(b)は、トランジスタで示す等価回路、図4(c)は、図4(b)を変形した等価回路である。
図4(a)に示すように、磁気センサ110は、周波数設定部10と、二個のインバータINV1、INV2を備える電位供給部20とを備える。前述したように、ここでは、周波数設定部10は、感受素子1と容量素子2とが直列接続されているとして説明する。以下において、感受素子1を感受素子1(R)、感受素子1(RL)、容量素子2(C)と表記する場合がある。感受素子1(R)は感受素子の等価回路が抵抗Rのみの場合、感受素子1(RL)は感受素子の等価回路が抵抗RとインダクタンスLの直列回路の場合を意味する。また、図4(a)では、感受素子1を1(RL)、容量素子2を2(C)と表記する。以下同様とする。なお、インバータINV1が第1のインバータの一例であり、インバータINV2が第2のインバータの一例である。
インバータINV1は、入力端子IN1、出力端子OUT1を備える。インバータINV2は、入力端子IN2、出力端子OUT2を備える。以下では、入力端子を入力、出力端子を出力と表記する。
インバータINV1、INV2は、入力信号の論理レベルを反転して出力信号とする素子である。つまり、インバータINV1は、入力IN1に論理レベル“H”が入力されると、出力OUT1より反転した論理レベル“L”を出力し、入力IN1に論理レベル“L”が入力されると、出力OUT1より反転した論理レベル“H”を出力する。なお、インバータINV1、INV2をそれぞれ区別しない場合は、インバータINVと表記する。また、インバータINVの出力が反転することをスイッチングすると表記することがある。
ここで、感受素子1(RL)の一方の端子部73(例えば、端子部73a(図2(a)参照))と容量素子2(C)の一方の端子とが接続された接続点をα点、感受素子1(RL)の他方の端子部73(例えば、端子部73b(図2(a)参照))をβ点、容量素子2(C)の他方の端子をγ点とする。なお、端子とは、図2(a)に示した配線を接続するために設けられたパッド状のものの他、回路基板などに設けられて、容量素子2が搭載される配線パターンなどを含む。また、端子を省略して、容量素子2の一方、容量素子2の他方と表記したり、容量素子2の一方側、容量素子2の他方側と表記したりすることがある。他の場合も同様である。
インバータINV1とインバータINV2とは、直列接続されている。つまり、インバータINV1の出力OUT1とインバータINV2の入力IN2とが接続されている。そして、周波数設定部10のβ点が、インバータINV1の出力OUT1とインバータINV2の入力IN2との接続点に接続されている。つまり、β点、出力OUT1及びIN2は、同じ電位である。よって、β点(出力OUT1)、β点(IN2)などと表記し、同じ電位であることを示すことがある。そして、周波数設定部10のα点がインバータINV1の入力IN1に接続され、周波数設定部10のγ点がインバータINV2の出力OUT2に接続されている。つまり、α点及びIN1は同じ電位であり、γ点及びOUT2は同じ電位である。よって、α点(IN1)、γ点(OUT2)と表記して同じ電位であることを示すことがある。
図4(b)では、インバータINV1、INV2を、一例としてCMOS構成のインバータとして示している。ここで、インバータINV1は、pチャネルのトランジスタpTr1とnチャネルのトランジスタnTr1とを備える。同様に、インバータINV2は、pチャネルのトランジスタpTr2とnチャネルのトランジスタnTr2とを備える。そして、インバータINV1において、トランジスタpTr1のゲートとトランジスタnTr1のゲートとが接続されて入力IN1となっている。また、トランジスタpTr1のドレインとトランジスタnTr1のドレインとが接続されて出力OUT1となっている。同様に、インバータINV2において、トランジスタpTr2のゲートとトランジスタnTr2のゲートとが接続され、入力IN2となっている。また、トランジスタpTr2のドレインとトランジスタnTr2のドレインとが接続されて出力OUT2となっている。そして、トランジスタnTr1のソースとトランジスタnTr2のソースとに基準電位である接地電位GNDが供給され、トランジスタpTr1のソースとトランジスタpTr2のソースとに電源電位VCCが供給される。ここで、INV1、INV2それぞれのOUT1、OUT2出力の電圧レベルは、接地電位GNDが論理レベル“L”であり、電源電位VCCが論理レベル“H”とする。
インバータINV1、INV2の動作をインバータINV1で説明する。
インバータINV1の入力IN1が接地電位GND(論理レベル“L”)であると、トランジスタpTr1がオンに、トランジスタnTr1がオフになり、出力OUT1が電源電位VCC(論理レベル“H”)になる。逆に、インバータINV1の入力IN1が電源電位VCC(論理レベル“H”)であると、トランジスタpTr1がオフに、トランジスタnTr1がオンになり、出力OUT1が接地電位GND(論理レベル“L”)になる。そして、入力IN1が、接地電位GND側からしきい電圧Vthを超えて電源電位VCC側に移行する際、入力IN1がしきい電圧Vthに達した時点で、出力OUT1が電源電位VCC(論理レベル“H”)から接地電位GND(論理レベル“L”)に反転する。逆に、入力IN1が、電源電位VCC側からしきい電圧Vthを下回って接地電位GND側に移行する際、入力IN1がしきい電圧Vthに達した時点で、出力OUT1が接地電位GND(論理レベル“L”)から電源電位VCC(論理レベル“H”)に反転する。
図4(c)では、図4(b)の等価回路を変形して、周波数設定部10が図の中央になるように示している。素子間の接続関係は、図4(b)と図4(c)とで同じである。図4(c)から分かるように、インバータINV1、INV2は、フルブリッジを構成する。
(磁気センサ110の動作)
最初に、周波数設定部がRC直列回路である場合について説明する。
図5は、簡単化のため、感受素子1の等価回路が抵抗Rのみである場合について、第1の実施の形態が適用される磁気センサ110の動作を説明するタイミングチャートである。簡単化のため、インバータの伝播遅延時間は考慮しておらず、出力の反転は瞬時に行われると仮定して説明する。図5(a)は、図4(c)に示した磁気センサ110の等価回路、図5(b)は、接地電位GNDを基準としたα点、β点及びγ点の各電位のタイミングチャート、図5(c)は、γ点の電位を基準としたα点、β点の各電位のタイミングチャート、図5(d)は、α点の電位を基準としたβ点、γ点の各電位のタイミングチャートである。なお、図5(d)に示す、α点の電位を基準としたβ点の電位は、感受素子1(R)に印加される電圧に該当する。なお、電位とは接地電位GNDを基準とした電圧であり、電圧とは2点間の電位差であるが、電位と電圧との両者を区別しない場合がある。
図5(b)、図5(c)、図5(d)では、横軸が時間、縦軸が電圧である。そして、横軸において時刻t~tとして、この順に時間が経過するとする。ここでは、接地電位GNDを“0V”、電源電位VCCを“5V”とする。ここで、しきい電圧Vthは、接地電位GND(0V)と電源電位VCC(5V)との間の“2.5V”とする。電位とは接地電位GNDを基準とした電圧であり、電圧とは2点間の電位差であるが、両者を区別しない場合がある。
図5(b)において、図5(a)を参照して、接地電位GNDを基準にしたβ点の電位、γ点の電位及びα点の電位を説明する。
時刻tにおいて、α点(入力IN1)が0V側からしきい電圧Vth(2.5V)になると、インバータINV1が反転してβ点(出力OUT1)が5Vから0Vに移行する。これにより、インバータINV2のβ点(入力IN2)が5Vから0Vに移行するので、インバータINV2が反転してγ点(出力OUT2)が0Vから5Vに移行する。インバータINV1が反転する直前において、α点は、しきい電圧Vth(2.5V)、γ点は0Vである。容量素子2(C)に印加される電圧はα点とγ点の電位差であるため、容量素子2(C)にかかっている電圧は2.5Vである。インバータ出力の反転が瞬時に行われると、瞬時には容量素子2(C)は充放電されず、2.5Vの電位差を維持するため、インバータINV2が反転してγ点(出力OUT2)が0Vから5Vに移行すると、α点は、しきい電圧Vth(2.5V)に5Vが加えられた7.5Vに移行する。
この後、7.5Vのα点から0Vのβ点に向かって、容量素子2(C)に蓄積された電荷が感受素子1(R)を介して流れる。これにより、α点の電位は、徐々に下降する。この下降の過渡応答は、時定数τによって定まり、この時定数τは、感受素子1の抵抗Rと容量素子2の容量Cとによって決まる。ここで、時定数τは、
τ=RC
で与えられる。時刻tにおける電圧がVCC+しきい電圧Vthであることから、時刻tからt秒経過した後のα点の電位V(t)は、
(t)=(VCC+Vth)e-t/τ
となり、電位は7.5Vから徐々に下降する。
そして、時刻tにおいて、α点(入力IN1)が7.5Vから下降してしきい電圧Vthになると、インバータINV1が反転してβ点(出力OUT1)が0Vから5Vに移行する。これにより、インバータINV2のβ点(入力IN2)が0Vから5Vに移行するので、インバータINV2が反転してγ点(出力OUT2)が5Vから0Vに移行する。インバータINV1が反転する直前において、α点は、しきい電圧Vth(2.5V)であった。よって、インバータINV2が反転してγ点(出力OUT2)が5Vから0Vに移行すると、α点は、しきい電圧Vth(2.5V)から5Vが減じられた-2.5Vに移行する。この上昇の過渡応答も時定数τによって定まる。
この後、5Vのβ点から-2.5Vのα点に向かって、感受素子1(R)を介して容量素子2(C)に電荷を蓄積するように電流が流れることで、α点の電位が徐々に上昇する。
そして、時刻tにおいて、α点(入力IN1)が-2.5Vから上昇してしきい電圧Vth(2.5V)になると、インバータINV1が反転してβ点(出力OUT1)が5Vから0Vに移行する。これにより、インバータINV2のβ点(入力IN2)が5Vから0Vに移行するので、インバータINV2が反転してγ点(出力OUT2)が0Vから5Vに移行する。インバータINV1が反転する直前において、α点は、しきい電圧Vth(2.5V)であった。よって、インバータINV2が反転してγ点(出力OUT2)が5Vに移行すると、α点は、しきい電圧Vth(2.5V)に5Vが加えられた7.5Vに移行する。つまり、時刻tは、時刻tと同様である。
この後、時刻tから時刻tまでの電位変化が繰り返される。
図5(c)において、図5(a)を参照して、γ点を基準にしたα点の電圧及びβ点の電圧を説明する。なお、図5(c)では、α点の電圧を実線で、β点の電圧を破線で示している。α点の電圧及びβ点の電圧は、それぞれ図5(b)におけるα点の電位及びβ点の電位とγ点の電位との差から得られる。
γ点を基準にしたα点の電圧は、容量素子2(C)に印加される電圧を意味する。また、γ点を基準にしたβ点の電圧は、周波数設定部10に印加される電圧を意味する。
β点は、時刻tで5Vから-5Vに移行し、時刻tで-5Vから5Vに移行する。そして、時刻tで時刻tと同様に5Vから-5Vに移行する。つまり、β点とγ点との電位差は、常に±5Vである。インバータINV1、INV2は、フルブリッジを構成するため、周波数設定部10にはインバータの出力反転時に10Vの電圧変化が生じる。
一方、α点は、時刻tでしきい電圧Vth(2.5V)となり、時刻t2で負側にしきい電圧Vthずれた電圧(-2.5V)に移行し、時刻tでしきい電圧Vth(2.5V)に戻る。
したがって、容量素子2(C)は±Vthの電圧で充放電を繰り返す。
そして、α点及びβ点とも、時刻tから時刻tまでの電圧変化が繰り返される。
図5(d)において、図5(a)を参照して、α点を基準にしたβ点の電圧及びγ点の電圧を説明する。なお、図5(d)では、β点の電圧を実線で、γ点の電圧を破線で示している。β点の電圧及びγ点の電圧は、それぞれ図5(b)におけるβ点の電位及びγ点の電位とα点の電位との差から得られる。なお、β点の電圧は、図5(a)から分かるように、α点とβ点との間、つまり感受素子1(R)に印加される電圧である。
γ点は、α点とγ点との電位差であるので、図5(c)に示したα点の電圧を正負逆にしたものである。
β点は、時刻tで、しきい電圧Vth(2.5V)から、負側においてしきい電圧Vth(2.5V)と電源電位VCC(5V)とを足した-7.5Vに移行する。そして、時刻tから時刻tにかけて、徐々に電圧が上昇し、時刻tで、負側においてしきい電圧Vth(-2.5V)に至る。そして、時刻tにおいて、-2.5Vからしきい電圧Vth(2.5V)と電源電位VCC(5V)とを足した7.5Vに移行する。そして、時刻tから時刻tにかけて、徐々に電圧が下降し、時刻tで、しきい電圧Vth(2.5V)に至る。そして、時刻tにおいて、2.5Vから負側においてしきい電圧Vth(2.5V)と電源電位VCC(5V)とを足した-7.5Vに移行する。
そして、β点は、時刻tから時刻tまでの電圧変化が繰り返される。
上記したように、感受素子1(R)には、時刻tから時刻tまでの期間を1周期とする交流電圧が印加され、交流電流が流れる。交流電流の周波数は、感受素子1の抵抗Rと容量素子2の容量Cとで決まる。そこで、感受素子1を含む感受素子部11と容量素子2を含む容量素子部12とをまとめて周波数設定部10と表記する。そして、感受素子1の抵抗Rは、図3に示したように、磁界Hにより変化する。よって、周波数測定部30により、磁気センサ110に流れる交流電流の周波数、又は周波数の変化を測定することにより、感受素子1が感受した磁界又は磁界の変化が計測される。つまり、インバータINV1、INV2で構成されたフルブリッジは、交流電流を発生する発振回路として構成される。
次に、周波数設定部がRLC直列回路である場合について説明する。
ここで、感受素子1(RL)は感受素子の等価回路が抵抗RとインダクタンスLの直列回路であり、さらに容量素子2(C)と直列接続されることでRLC直列回路を形成する。この場合における、第1の実施の形態が適用される磁気センサ110の動作について説明する。
基本的な動作は図5に示した周波数設定部がRC直列回路である場合と類似しているが、インダクタンスLが加わると、既述のτ=RCによる減衰に、ω=1/√LCによる振動による遅延が加わる。ここでωはLC回路の共振周波数(rad/秒)である。Cが一定の場合、Lが増加するとωが低下するため振動周期が長くなる。その分、Vthまで電圧が減衰するのに要する時間が延びるため、磁気センサ110に流れる交流電流の周波数は低下する。
このように、交流電流の周波数は、感受素子1の抵抗R、インダクタンスLおよび容量素子2の容量Cとで決まる。そして、感受素子1の抵抗RとインダクタンスLは、図3に示したように、磁界Hにより変化する。よって、周波数測定部30により、磁気センサ110に流れる交流電流の周波数、又は周波数の変化を測定することにより、感受素子1が感受した磁界又は磁界の変化が計測される。
なお、第1の実施の形態における磁気センサ110は、RLC直列回路による弛張式発振回路として説明したが、磁気センサ110は外部磁界による感受素子1の特性変化によって周波数が変化する発振回路であれば、さまざまな種類の発振回路を用いることができる。
例えば、感受素子のインダクタンスと容量素子でLC共振回路を形成し、外部磁界による感受素子のインダクタンス変化によってLC共振周波数が変わることを利用したLC発振回路を用いることができる。LC発振回路の例としてはコルピッツ発振回路が挙げられる。LC発振回路のインダクタンスLの代わりに感受素子1(RL)を用いれば、外部磁界変化によって感受素子1(RL)のインダクタンスLが変化するため発振回路の周波数が変化する。
(周波数測定部30の構成)
周波数測定部30は、前述したように、取得部31と、周波数決定部32とを備える。
取得部31は、磁気センサ110から出力される出力信号を取得する。この出力信号は、磁気センサ110を利用することで、磁界の強さに応じて決まる周波数を有して発振される交流電流であると言うことができる。
なお、取得部31は、磁気センサ110から出力される出力信号をそのまま利用するだけでなく、所定の処理を行うこともできる。例えば、取得部31は、磁気センサ110から出力される出力信号を成形し、方形波とする。そしてこれを出力信号として利用する。また、取得部31は、所定の処理として、出力信号を、積算し平均化することが好ましい。これにより、位相ノイズが低減され、出力信号の周波数の測定の精度が向上する。
なお、磁気センサ110の出力信号の位相ノイズが少なく、周波数が安定していれば、磁気センサ110の出力を、取得部31を介さず、直接周波数決定部32に出力することができる。
周波数決定部32は、出力信号の周波数を決定する。本実施の形態では、周波数決定部32は、出力信号と、基準となる周波数である基準周波数を有する基準信号との干渉を利用し、出力信号の周波数を決定する。
取得部31や周波数決定部32は、ハードウェア資源とソフトウェアとが協働することにより実現される。ハードウェア資源としては、後述するロジックIC、ミキサ、D-フリップフロップ回路、PC(Personal Computer)等のコンピュータ装置等を挙げることができる。また、ソフトウェアとしては、コンピュータ装置内の図示しないCPU(図示せず)が、ソフトウェアとしてプログラムをメインメモリ(図示せず)にロードして実行することにより各種信号の処理が行われる。
(周波数決定部32の構成)
次に、周波数決定部32の構成について詳述する。
従来、出力信号の振幅を測定し、測定した振幅を基に電界の強さを算出していた。これは、出力信号の電圧を測定し、測定した電圧を基に電界の強さを算出していた、と言うこともできる。この場合、電圧の微細な変化を検出することは困難であり、これから算出される電界の強さの精度も低下しやすい。例えば、1ppmの差は、1Vの電圧に対して、1μVとなり、ノイズに埋もれる差である。また、電圧を増幅し、この差を拡大する方法もあるが、増幅前に生じたノイズも増幅されるので、電圧の変化を検出することは、困難である。
そこで、本実施の形態では、出力信号の周波数を測定することで、この問題の解決を図っている。これは、出力信号を時間測定すると言うこともできる。周波数の微細な変化を測定することは、電圧を測定する場合に比較して、より容易であり、これから算出される電界の強さの精度も向上しやすい。例えば、1ppmの差は、時間測定では、月差2.6秒の精度であり、時間測定では、検出可能である。
しかしながら、出力信号の周波数が高周波になった場合、単に周波数の変化を検出する方法では、検出が困難になることがある。このような場合、微少な周波数変化を検出するには、周波数分解能を上げる必要がある。即ち、時間分解能を上げる必要があり、高速サンプリングが必要である。一方、出力信号の周波数が、例えば、100MHz以上になると、その1周期を高分解能で測定する高速サンプリングは困難である。例えば、出力信号の周波数が、200MHzの場合、1周期は、5n秒となる。このときの1ppmは、5f秒であり、短時間すぎて測定が困難である。
一方、出力信号の周波数が低すぎても、磁界信号検出の時間分解能が低下するという問題がある。例えば、1Hzの信号周波数では1Hzの磁界信号の波形を表現することができない。1Hzの磁界信号を100点/周期で表現する場合、10m秒の時間分解能が必要になる。そのためには、10m秒の間に信号周波数を正確に読み取る必要があるが、信号周波数が1Hzだと、1周期の1/10の波形から信号周波数を読み取る必要があり、正確に測定することは困難である。したがって、微小な周波数変化が検出可能で、かつ、磁界信号検出の時間分解能を十分に高くできる適正な周波数に変換することが必要である。
これを解決するため、例えば、出力信号の周波数を分周すれば、低周波数に変換でき、所定のサンプリング速度における周波数分解能は、向上する。一方、この方法では、周波数の変化量についても、共に低下するので、周波数の変化率は向上しない。
例えば、200MHzの周波数の1ppmの差を検出する場合、1/1,000,000に分周すれば1ppmの時間変化は5n秒になり測定可能になる。しかし、出力信号の周波数も1/1,000,000になるため、200MHzの出力信号は2Hzになって、磁界信号検出の時間分解能が低下してしまう。そのため、周波数の変化量をできるだけ変えずに、周波数を低下させて、周波数の変化率を向上させる方法が必要になる。
よって、本実施の形態では、出力信号の周波数を測定する際に、以下に説明するように、出力信号と、基準となる周波数である基準周波数を有する基準信号との干渉を利用して、時間測定を行うことでこの問題の解決を図る。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施形態について説明を行なう。第1の実施形態では、周波数決定部32は、出力信号と基準信号との干渉の結果、出力信号と基準信号との位相差に基づき得られる波形を基に、出力信号の周波数を決定する。
ここでは、まず論理演算により、出力信号と基準信号とを干渉させる場合について説明する。
図6は、論理演算を使用して出力信号と基準信号とを干渉させる回路構成の概念図である。
図示する回路構成は、基準信号を出力する基準信号出力部311と、磁気センサ110により発振された出力信号を分周する出力信号分周部312と、基準信号出力部311から出力された基準信号を分周する基準信号分周部313と、論理演算を行う論理演算部314と、三角波を生成する三角波生成部315と、A/D変換を行うA/D変換部316と、三角波の周波数を求める信号処理部317と、周波数を出力する出力部318とを備える。
基準信号出力部311は、予め定められた周波数の基準信号を出力する。ここでは、磁気センサ110からの出力信号は、取得部31により予め方形波に変換されているものとする。そして、基準信号出力部311は、予め定められた周波数の方形波を基準信号として出力する。基準信号出力部311は、出力信号の周波数に比較的近い周波数を有することが好ましい。そのため、基準信号の周波数は、一通りであるとは限らず、複数の周波数を有する基準信号を用意する。複数の周波数を有する基準信号は、基準信号分周部313において、基準信号の分周により生成することができる。
出力信号分周部312は、必要に応じ出力信号を分周する。分周すると位相ノイズが積算・平均化されて低減されるが、磁界検出の時間分解能も低下するので、論理演算部314で正確に処理できる位相ノイズに低減できる最低限の分周比に抑えることが望ましい。また、基準信号分周部313は、必要に応じ基準信号を分周する。出力信号分周部312および基準信号分周部313はバイナリカウンタやプリスケーラにより構成することができる。また、クロックジェネレータ等のPLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)により基準信号出力部311と基準信号分周部313を一体化した構成にすることができる。
論理演算部314は、出力信号分周部312により分周された出力信号と、基準信号分周部313により分周された基準信号との論理演算を行う。これらの信号は、方形波であり、パルスがONのときを1、OFFのときを0としで論理演算を行う。論理演算は、特に限られるものではなく、XOR(排他的論理和)、NOR(否定論理和の)、NAND(論理積の否定)、OR(論理和)、AND(論理積)の何れも使用できる。論理演算部314は、例えば、ロジックICにより構成することができる。また、PLLの位相比較器を用いることもできる。
三角波生成部315は、論理演算部314により出力された波形を基に、三角波を生成する。
図7(a)~(e)は、論理演算部314および三角波生成部315の動作について示した図である。
このうち図7(a)は、出力信号および基準信号の方形波を重ね合わせた場合を示している。ここで、出力信号は、点線で示し、基準信号を実線で示す。
そして、図7(b)は、論理演算部314により、出力信号および基準信号の論理演算をし、その結果出力された波形を示している。ここでは、論理演算部314は、XOR(排他的論理和)により、論理演算を行う。
図7(c)は、図7(a)、(b)の領域R1の拡大図であり、図7(d)は、図7(a)、(b)の領域R2の拡大図である。
図7(c)の上側に示すように、領域R1では、出力信号の波形および基準信号の波形が、ほぼ一致している。これは、両者の間の位相がほぼ一致している状態であると言うことができる。このとき、論理演算部314が、XOR(排他的論理和)により、論理演算を行うと、出力信号および基準信号の何れか一方がONであり、他方がOFFの場合に、ONとなる波形が得られる。その結果、図7(c)の下側に示すように、ONの時間が短い方形波が得られる。
また、図7(d)の上側に示すように、領域R2では、出力信号の波形および基準信号の波形が、ずれている。これは、両者の間の位相がずれている状態であると言うことができる。このとき、論理演算部314が、XOR(排他的論理和)により、論理演算を行うと、上述した通り、出力信号および基準信号の何れか一方がONであり、他方がOFFの場合に、ONとなる波形が得られる。その結果、図7(d)の下側に示すように、ONの時間が比較的長い方形波が得られる。
つまり、論理演算部314が、XOR(排他的論理和)により生成される波形は、出力信号および基準信号の位相差が一致するほど、短いパルス幅を有する方形波となり、ずれるほど長いパルス幅を有する方形波となる。すなわち、PWM(パルス幅変調)出力が得られる。
そして、三角波生成部315は、図7(c)、(d)のように生成された方形波の波形を、時間に対し平均化する。三角波生成部315は、LPF(Low-pass filter :低域通過濾波器)であると考えることもできる。すなわち、PWM出力を三角波に変換する。その結果、図7(c)、(d)の太線で示すような波形が得られる。つまり、図7(c)の場合は、短いパルス幅を有する方形波であるためこの、波形を、時間に対し平均化した場合、その電圧レベルは低い。一方、図7(d)の場合は、長いパルス幅を有する方形波であるためこの、波形を、時間に対し平均化した場合、その電圧レベルは高くなる。
そして、これを図7(b)の場合のような、より長い時間に適用した場合、図7(b)の太線に示すような三角波Ws1が得られる。
この三角波Ws1の周波数は、出力信号の周波数と基準周波数とのずれ量により定まる。つまり、出力信号の周波数と基準信号の周波数が、一致するほどより長周期となる。即ち、三角波Ws1の周波数は、より小さくなる。対して、出力信号の周波数と基準信号の周波数がずれ、相違するほどより短周期となる。即ち、三角波Ws1の周波数は、より大きくなる。
三角波Ws1の周波数は出力信号の周波数と基準信号の周波数の差の絶対値で表される。
よって、三角波Ws1の周波数により、論理演算部314に入力された出力信号分周部312の周波数と基準信号分周部313の出力の周波数差がわかり、さらに出力信号分周部312と基準信号分周部313の分周比から、出力信号の周波数と基準信号の周波数との差がわかる。基準信号の周波数は、予め決まっているため、この差から、出力信号の周波数がわかる。一方、三角波Ws1の周波数は出力信号の周波数と基準信号の周波数の差の絶対値で表されるため、外部磁界によって微小変化した出力信号の周波数の変化量はそのまま維持される。三角波Ws1は出力信号の周波数の変化量が維持されつつ、周波数が低下するので、周波数変化率は増加する。そのため、外部磁界による微小な周波数差を測定することが可能になる。
なお、図7(e)に図7(b)よりも出力信号の周波数と基準信号の周波数のずれ量がより大きい場合に生成される三角波Ws2について示している。この三角波Ws2は、三角波Ws1よりも短周期である。
この三角波Ws1、Ws2の周波数は、出力信号の周波数よりも低い周波数を有する。よって、出力信号の周波数を直接検出するよりも、三角波Ws1、Ws2の周波数を検出する方が、より低いサンプリング速度で足りることになる。即ち、三角波Ws1、Ws2の周波数を検出することで、高速サンプリングを行わなくても、出力信号の周波数がわかる。
この場合、周波数決定部32は、出力信号と基準信号との干渉の結果、出力信号の周波数を低周波数にするとともに変化率を増大させ、低周波数・大変化率にした出力信号を使用することで出力信号の周波数を決定する、と言うこともできる。
図6に戻り、A/D変換部316は、A/D変換を行い、三角波生成部315により生成された三角波を、デジタル信号に変換する。A/D変換部316は、例えば、A/Dコンバータである。
そして、信号処理部317は、三角波の周波数を求め、三角波の周波数を基にして出力信号の周波数を求める。これは、例えば、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)により行うことができる。FFTは、例えば、PCにA/D変換部316により変換されたデジタル信号を取り込み、FFTの処理を行う所定のプログラムを実行することで行うことができる。
また、FFTに限られるものではなく、三角波の1周期にかかる時間を計測する方法や所定時間内の三角波の周期数をカウントする方法等、様々な方法を用いることができる。
なお、出力信号分周部312で出力信号を分周した場合は、分数比Nに応じて、周波数補正を行う。
出力部318は、求めた出力信号の周波数を磁界算出部40に出力する。
上述した例では、論理演算部314は、ロジックICのみならず、PLL(Phase Locked Loop) ICの位相比較器(PFC: Phase Frequency Comparator)を使用することで、同様の機能を実現することができる。つまり、位相比較器に、出力信号分周部312により分周された出力信号と、基準信号分周部313により分周された基準信号を入力する。位相比較器では、両者の位相差を比較し、デジタルロックを検出する。これは、両者の位相差が、例えば、15n秒以内で、それが3回連続で検出された場合、デジタルロックが検出される、また、両者の位相差が、例えば、30n秒以上あった場合、デジタルロックを解除する。そして、デジタルロックが検出されたときの、位相比較器の誤差信号パルスを使用する。この誤差信号パルスは、例えば、図7(b)、(e)に示したものとなる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施形態について説明を行なう。第2の実施形態では、周波数決定部32は、スーパーヘテロダイン方式により出力信号の周波数を変換し、変換後の出力信号と基準信号とをミキシングすることで干渉を行う。
図8は、スーパーヘテロダイン方式を使用して出力信号と基準信号とをミキシングする回路構成の概念図である。
図示する回路構成は、基準信号を出力する基準信号出力部321と、出力信号と基準信号をミキシングするミキシング部322と、A/D変換を行うA/D変換部323と、三角波の周波数を求める信号処理部324と、周波数を出力する出力部325とを備える。
基準信号出力部321は、予め定められた周波数の基準信号を出力する。基準信号は、例えば、クロックジェネレータにより生成される。そして基準信号として、方形波を有するクロック信号を出力する。
ミキシング部322は、出力信号と基準信号とをミキシングする。これにより、ミキシング部322は、出力信号の周波数と基準信号の周波数の差である中間周波数を有するミキシング信号を生成する。中間周波数は、出力信号の周波数より周波数が低い。即ち、ミキシング部322によるミキシングにより、出力信号と基準信号とを干渉させ、出力信号を低周波数にする。即ち、スーパーヘテロダイン方式により、出力信号を低周波数にする。例えば、出力信号の周波数が、100MHzであり、基準信号の周波数が、99.9MHzであった場合、中間周波数は、100kHzとなる。
A/D変換を行うA/D変換部323と、AD変換された波形の周波数を求める信号処理部324と、周波数を出力する出力部325は、図6のA/D変換部316、信号処理部317、出力部318と同様である。また、AD変換される前の波形をそのままデジタル入力ポートで取り込み、デジタル信号として信号処理部324で処理することも可能である。その場合はA/D変換部323は不要になる。
このようにして得られた磁界信号は、スーパーヘテロダイン方式による干渉で変化量を維持しつつ周波数を低減できるので、検出に適切な周波数に変換しつつ、周波数変化率を増大させることができるため、微小磁界信号の高感度測定が可能になる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施形態について説明を行なう。第3の実施形態では、周波数決定部32は、出力信号と基準信号との間で生じるエイリアシングを利用して、出力信号の周波数を決定する。
図9は、エイリアシングを利用して出力信号の周波数を決定する回路構成の概念図である。
図示する回路構成は、基準信号を出力する基準信号出力部331と、出力信号と基準信号とを干渉させエイリアシングを生じさせる干渉部332と、エイリアシングにより観測される波形の周波数を求める信号処理部333と、周波数を出力する出力部334とを備える。
基準信号出力部331は、予め定められた周波数の基準信号を出力する。基準信号は、例えば、クロックジェネレータにより生成される。そして基準信号として、方形波を有するクロック信号を出力する。
なお、第1の実施形態と同じく、分周部を設け、出力信号および基準信号の少なくとも一方を予め分周してもよい。
干渉部332は、出力信号と基準信号とを干渉させる。干渉部332は、例えば、D-フリップフロップである。
図10(a)~(e)は、アナログ信号の正弦波のサンプリングを例に、エイリアシングの概念について示した図である。
ここでは、正弦波である信号をサンプリングしたときに観測される周波数について示している。図10(a)~(e)で、実線は、信号を表し、実線上の点は、信号をサンプリングした箇所を表す。さらに、点線は、サンプリングした結果、観測される信号を表す。
このうち、図10(a)は、信号の周波数よりもサンプリングの周波数が十分大きい場合を示している。この場合、サンプリングした値により、信号の波形を測定できる。
また、図10(b)、(c)は、図10(a)の場合よりも、信号の周波数が大きくなり、サンプリング周波数に近づいた場合を示している。ただし、サンプリング数は信号周波数の2倍より大きい場合である。この場合、波形を正確に再現できなくなる。
さらに、図10(d)は、図10(b)、(c)の場合よりも、さらに信号の周波数が、より大きくなり、サンプリング周波数が信号周波数のちょうど2倍になった場合を示している。このときサンプリングされる値は、一定となり、サンプリングされた波形は信号周波数を示さなくなる。
そして、図10(e)は、図10(d)の場合よりも、さらに信号の周波数が大きくなった場合、すなわち、サンプリング周波数が信号周波数の2倍未満の場合を示している。その結果、干渉により実際には存在しない周波数の波形が観測される(エイリアシング)。
エイリアシングは、図10(e)のように、信号の周波数がサンプリングの周波数の1/2より小さい場合に生じ、エイリアシングにより観測される波形の周波数は、信号の周波数とサンプリングの周波数との差である。これは、(観測される周波数の絶対値)=(信号の周波数)-(サンプリングの周波数)であると言うこともできる。つまり、エイリアシングにより観測される波形の周波数がわかれば、信号の周波数がわかる。
なおここでは、信号の周波数を変化させたが、実際には、干渉部332は、サンプリングの周波数を変化させ、エイリアシングを発生させる。つまり、基準信号であるクロック信号の周波数を変化させる。この場合、干渉部332は、基準信号として、出力信号に対するサンプリングの周波数を変更することで、干渉を行う、と言うこともできる。
エイリアシングの概念を理解するため、正弦波のアナログ信号で説明を行ったが、デジタル信号でも同様のエイリアシングが生じるため、微小な周波数変化の測定に用いることができる。
図11(a)~(e)は、デジタル信号のサンプリングを例に、第3の実施の形態に用いられるエイリアシングの概念について示した図である。
ここでは、デジタル信号をサンプリングしたときに観測される周波数について示している。図11(a)~(e)で、実線は、干渉部に入力するデジタル信号および干渉部から出力されるデジタル信号を表す。
図11では、磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じない周波数の場合と、エイリアシングを生じる周波数の場合の2つのケースにおける動作を説明する。
図11(a)、(b)、(c)は、磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じない周波数の場合の例、図11(a)、(d)、(e)は、磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じる周波数の場合の例を示す。
図11(a)は基準信号出力部331の基準信号のデジタル波形である。
図11(b)は磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じない周波数の場合の例における、磁気センサ110の出力信号のデジタル波形である。
図11(c)は磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じない周波数の場合の例における、干渉部332の出力信号のデジタル波形である。
図11(d)は磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じる周波数の場合の例における、磁気センサ110の出力信号のデジタル波形である。
図11(e)は磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じる周波数の場合の例における、干渉部332の出力信号のデジタル波形である。
まず、磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じる周波数の場合の例について説明する。
干渉部332はD-フリップフロップである。D-フリップフロップはデジタル信号を入出力する。すなわち、論理レベル“H”および論理レベル“L”の信号が入出力される。
ここではCLK端子、D端子、Q端子の3つの端子を備えたD-フリップフロップを用いる。CLK端子は基準信号の入力端子である。基準信号が立ち上がる瞬間のD端子への入力を、D-フリップフロップが記憶する。D端子は磁気センサ110の出力信号をD-フリップフロップに入力する端子である。Q端子はD-フリップフロップが記憶している論理レベルの状態を出力する端子である。
図11(a)で示される基準信号が基準信号出力部331から出力されて、干渉部332で示されるD-フリップフロップのCLK端子に入力される。図11(b)で示される磁気センサ110の出力信号がD-フリップフロップのD端子に入力される。基準信号が立ち上がる瞬間における磁気センサ110の出力信号がD-フリップフロップに記憶され、その論理レベルの状態がQ端子から出力されて、図11(c)に示されるデジタル波形を出力する。
図11(abc拡大)の矢印は(a)の基準信号が立ち上がって(b)の磁気センサ110の出力信号がD-フリップフロップに記憶され、その論理レベルの状態が(c)の出力波形としてQ端子から出力されるタイミングを示している。このタイミングでのみ(c)の出力信号の論理レベルが変化しうる。
矢印(1)では、(b)の論理レベルが“H”なので、(c)の出力の論理レベルは“H”である。矢印(1)から矢印(2)の間に(b)の論理レベルが“H”から“L”に反転しているが、(b)が反転した瞬間では、まだ、D-フリップフロップに(b)の論理レベルが記憶されていないので、(c)の論理レベルは“H”のままである。その後、矢印(2)のタイミングで(b)の論理レベルがD-フリップフロップに記憶され、(c)の論理レベルが“L”に反転する。以後、矢印(3)、矢印(4)のタイミングで(b)の論理レベルがD-フリップフロップに記憶されるが、(b)の論理レベルは“L”のまま変わらないので、(c)の論理レベルは“L”のまま維持される。このように、磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号の1/2未満の周波数で、エイリアシングが生じない場合、(b)と(c)は、ほぼ同じ周波数になる。(b)の論理レベルの変化と(a)の基準信号の立ち上がりのタイミングがずれた分、(b)と(c)の論理レベル反転のタイミングがずれ、(c)の出力信号のデューティーが50%からずれる。したがって、エイリアシングが生じない条件においては、磁気センサ110の出力信号の周波数は、基準信号出力部331の基準信号の周波数に対して十分に遅い周波数にすると、周波数を正確に測定できる。ただし、エイリアシングによる干渉は起こらないので、磁気センサ110の出力信号が微小に変化した場合の周波数変化率が、そのままD-フリップフロップの周波数変化率となり、変化率の拡大は起こらない。
次に、磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じる周波数の場合の例について説明する。
図11(a)で示される基準信号が基準信号出力部331から出力されて、干渉部332で示されるD-フリップフロップのCLK端子に入力される。図11(d)で示される磁気センサ110の出力信号がD-フリップフロップのD端子に入力される。基準信号が立ち上がる瞬間における磁気センサ110の出力信号がD-フリップフロップに記憶され、その論理レベルの状態がQ端子から出力されて、図11(e)に示されるデジタル波形を出力する。
図11(ade拡大)の矢印は(a)の基準信号が立ち上がって(d)の磁気センサ110の出力信号がD-フリップフロップに記憶され、その論理レベルの状態が(e)の出力波形としてQ端子から出力されるタイミングを示している。このタイミングでのみ(e)の出力信号の論理レベルが変化しうる。
矢印(1)では、(d)の論理レベルが“L”なので、(e)の出力の論理レベルは“L”である。矢印(1)から矢印(2)の間に(d)の論理レベルが“L”から“H”に反転しているが、(d)が反転した瞬間では、まだ、D-フリップフロップに(d)の論理レベルが記憶されていないので、(e)の論理レベルは“L”のままである。
その後、矢印(2)のタイミングで(d)の論理レベルがD-フリップフロップに記憶され、(e)の論理レベルが“H”に反転する。
矢印(2)から矢印(3)の間に(d)の論理レベルが“H”から“L”に反転したのち、さらに“H”に反転しているが、この間の“L”の論理状態を読み取るタイミングで(a)の基準信号が立ち上がっていないため、D-フリップフロップには記憶されない。矢印(3)でD-フリップフロップに記憶される状態は矢印(2)で記憶された“H”と同様の“H”の論理レベルであるため、(e)の論理レベルの出力は“H”が維持される。さらに、矢印(4)、矢印(5)のタイミングで同じ動作が繰り返されるため、(e)の論理レベルの出力は“H”が維持され続ける。(a)の周波数は(d)の周波数よりわずかに高いので、矢印(2)~矢印(5)のタイミングでは、いずれも(d)の論理レベルは“H”のままであるが、その間(a)と(d)の位相が少しずつずれ続ける。
そして、(a)と(d)が同位相を過ぎると、今度は(a)の論理レベルが立ち上がるタイミングにおける(d)の論理レベルが“L”になり、(e)の論理レベルが“L”に反転する。その後、(a)の論理レベルが立ち上がる瞬間の(d)の論理レベルは“L”のまま維持されるが、その間(a)と(d)の位相が少しずつずれ続けて、(a)と(d)が逆位相を過ぎると、再度(a)の論理レベルが立ち上がるタイミングにおける(d)の論理レベルが“H”になり、(e)の論理レベルの出力が“H”に反転する。
このように、(d)の周波数が(a)の周波数の1/2を超える周波数から基準信号の2倍を超えない周波数の範囲である場合、エイリアシングが生じる。(a)と(d)の信号の干渉によって(e)の信号の出力が決まり、その周波数は(a)と(d)の差の周波数の絶対値となる。したがって、(e)は(d)に対して低周波化され、(a)と(d)の周波数の差が小さいほど(e)の周波数は低くなる。また、外部磁界の変化によって、磁気センサ110の出力信号の周波数がわずかに変化して、(d)の周波数に微小な変化が生じた場合、(a)の周波数は一定であるため、(a)と(d)の差の絶対値である(e)では(d)と同様な周波数の差が維持される。(e)は(d)に対して、周波数が低下し、周波数の変化量は維持されるため、周波数の変化率が増大する。
(d)の論理レベルの変化と(a)の基準信号の立ち上がりのタイミングがずれた分、(e)の論理レベルの反転のタイミングが(a)と(d)の干渉のタイミングからずれ、(e)の出力信号のデューティーが50%からずれる。したがって、エイリアシングが生じる条件においては、磁気センサ110の出力信号の周波数は、基準信号出力部331の基準信号の周波数に対してできるだけ近い周波数にすると、周波数を正確に測定できる。
ただし、周波数が近すぎると、エイリアシングによる干渉周波数が低周波になりすぎるので、磁界信号検出の時間分解能が低下する。また、周波数が近すぎると、磁気センサ110の出力信号の周波数のジッタにより、安定した干渉信号が得られなくなるという問題がある。
したがって、磁気センサ110の出力信号の周波数と基準信号出力部331の基準信号の周波数の差は、磁界信号検出の時間分解能を満たし、かつ、安定した干渉信号が得られる範囲で、できるだけ小さくすることが好ましい。
信号処理部333は、エイリアシングにより観測される波形の周波数を求め、求めた周波数を基にして出力信号の周波数を求める。これは、第1の実施形態と同様に、例えば、FFTにより行うことができる。また、FFTに限られるものではなく、第1の実施形態と同様に、干渉部332の出力の1周期にかかる時間を計測する方法や所定時間内の干渉部332の出力の周期数をカウントする方法等、様々な方法を用いることができる。
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。基本的な動作は第3の実施の形態と同じであり、出力信号と基準信号との間で生じるエイリアシングを利用して、出力信号の周波数を決定する。
回路構成も図9と同じであるが、干渉部332はデジタル入力ポートのデジタル信号サンプリング機能を利用する。
通常、デジタル入力ポートは所定または任意に設定できるサンプリング周波数でサンプリングされる。その仕組みは第3の実施の形態の図11で説明したのと同様な仕組みで動作しており、サンプリング周波数のタイミングで入力データがサンプリングされる。
そのため、干渉部332を設けなくても、磁気センサ110の出力信号の周波数とサンプリング周波数がエイリアシングを生じる周波数差であれば、両者が干渉してエイリアシングが起こり、入力信号の低周波化、変化率増大が生じる。
エイリアシングが起こる周波数差にするには、磁気センサ110の出力信号を分周して、デジタル入力ポートのサンプリング周波数付近になるように調整すればよい。
また、デジタル入力ポートのサンプリング周波数が磁気センサ110の出力周波数付近になるように設定しても同様の効果が得られる。
また、所定の周波数になるように、磁気センサ110の出力周波数を分周するとともに、デジタル入力ポートのサンプリング周波数を設定しても良い。
デジタル入力ポートでサンプリングされた信号は信号処理部333で周波数に変換されたのち、信号磁界に変換されて出力部334から出力される。
第4の実施の形態は、干渉部332が不要になるので、装置をコンパクトにすることができ、また、低コスト化が可能になるため、多チャンネルを同時計測するシステムを構成するのに適している。
この実施の形態の性能確認のため、図9の磁気センサ110の代わりにクロックジェネレータを用いて動作確認を行った。クロックジェネレータはPLLで構成されており、水晶発振器の正確なクロックを基準にして出力周波数を生成している。入力分周器、電圧制御発振器(VCO)、出力分周器の設定を調整して、出力周波数を270MHz~299.9997MHzまでのさまざまな周波数を出力した。
クロックジェネレータの出力信号はFPGAでサンプリング、データ処理、出力される。FPGAは基準信号出力部331、干渉部332、信号処理部333、出力部334の各機能を備えている。基準信号出力部331の機能は、FPGA内のPLLでサンプリング周波数を生成することで実現している。サンプリング周波数は300MHzに設定した。干渉部332は、デジタル入力ポートによる入力信号のサンプリングで実現している。デジタル入力ポートはPLLで生成したサンプリング周波数で入力信号をサンプリングするため、入力信号がサンプリング周波数に近い周波数になるとエイリアシングが生じて、両者の差の周波数のデジタル信号が計測される。
周波数の計測は、デジタル入力ポートで計測されたデジタル信号の立ち上がりエッジ間(計測された周波数の1周期に相当)でのサンプリングクロック数をカウントすることで行った。例えば、計測された周波数が100kHzの場合、計測された周波数の立ち上がりエッジ間の時間は10μ秒であり、その間に300MHzのサンプリングクロックが3000回カウントされる。カウントされた数値はFPGAにプログラムされた数値演算で周波数に変換され、さらに、エイリアシングを考慮して入力信号の周波数に変換される(信号処理部333の機能)。この値はディスプレイにグラフや値として表示するとともに、外部記憶装置に書き込まれる(出力部334の機能)。なおこの場合、干渉部332は、デジタル信号入力ポートのサンプリングクロック信号を用いて干渉を行う、と言うことができる。
図12(a)は入力信号の周波数を270MHz~299.9997MHzまで変えた場合に上記方法で計測された周波数とそのばらつきである。
“サンプリング周波数”はFPGAのPLLで設定したデジタル入力ポートのサンプリング周波数、“入力周波数”はクロックジェネレータからFPGAのデジタル入力ポートに入力された信号の周波数、“Δ”は“サンプリング周波数”と“入力周波数”の差である。
“計測された周波数”はFPGAのデジタル入力ポートでのエイリアシングで低周波化して計測された周波数、“変換後”は“サンプリング周波数”と“計測された周波数”の差から計算して求められた入力周波数、“誤差”は“入力周波数”と“変換後”の差から計算された測定誤差(Hz)および、それを“入力周波数”で除して求めた割合(ppm)、“周波数ばらつき”は“計測された周波数”の標準偏差を“入力周波数”で除した値である。
“変換後”の周波数は“入力周波数”とほぼ同じ値になっており、第4の実施の形態で、周波数を理論通りに正確に測定できることを示している。
図12(b)は上記の計測における出力周波数の誤差(実線)とばらつき(点線)のグラフである。サンプリング周波数と入力周波数の差が小さいと、周波数誤差および周波数のばらつきが小さくなるため、微小周波数差を正確に測定できるようになることを示している。
上記第1の実施形態~第4の実施形態では、周波数決定部32は、出力信号と基準信号との干渉の結果、出力信号の周波数を低周波数にする。これは、出力信号と基準信号との位相差に基づく周波数となる。そして、低周波数にした出力信号を使用することで出力信号の周波数を決定する。これにより、磁気センサ110から出力される出力信号が、100MHz以上になる高周波信号である場合でも、低周波数にすることで、通常のサンプリング速度でも十分な周波数分解能が得られる。そして、周波数の測定の精度が低下しにくく、より正確に磁界の強さを測定できる。また、この方法では、周波数変化量が低下せず、周波数変化率が向上するため、磁界の感度の測定が可能となる。また分周を用いる場合でも、分周比は、従来よりも小さくてすむため、周波数変化量が低下する問題も生じにくい。
1…感受素子、2…容量素子、10…周波数設定部、11…感受素子部、12…容量素子部、20…電位供給部、30…周波数測定部、31…取得部、32…周波数決定部、40…磁界算出部、100…磁気センサシステム、110…磁気センサ、120…情報処理装置
感受素子1は、図2(b)に示した薄膜磁石60によって、予めバイアス磁界Hbが印加された状態となっている。
感受素子1を1つのインピーダンス素子として着目すると上述のような説明ができるが、感受素子1は抵抗とインダクタンスが直列に接続された等価回路で表すことができ、容量素子と組み合わせてRLC直列回路を形成するため、その特性を考える上では抵抗R、リアクタンスX、インダクタンスLの特性を考慮することが必要である。
図3(b)は、感受素子1の感受部71の長手方向(図2(a)のx方向)に印加された磁界Hと感受素子1の抵抗Rとの関係を説明する図である。図3(b)において、横軸が磁界H、縦軸が抵抗Rである。
図3(c)は、感受素子1の感受部71の長手方向(図2(a)のx方向)に印加された磁界Hと感受素子1のリアクタンスXとの関係を説明する図である。図3(c)において、横軸が磁界H、縦軸がリアクタンスXである。
図3(d)は、感受素子1の感受部71の長手方向(図2(a)のx方向)に印加された磁界Hと感受素子1のインダクタンスLとの関係を説明する図である。図3(d)において、横軸が磁界H、縦軸がインダクタンスLである。
ここで、インピーダンスZ、抵抗R、リアクタンスX、インダクタンスLは下記の関係になる。ωは角周波数(rad/秒)、fは周波数(Hz)である。
Z=R+jX=R+jωL ω=2πf
図3に示した感受素子では、抵抗R、リアクタンスX、インダクタンスLいずれもインピーダンスZと同様、磁界Hb付近で磁界Hが増加すると各値も増加し、変化が最も大きくなっている。
ここで、感受素子1(RL)の一方の端子部73(例えば、端子部73a(図2(a)参照))と容量素子2(C)の一方の端子とが接続された接続点をα点、感受素子1(RL)の他方の端子部73(例えば、端子部73b(図2(a)参照))をβ点、容量素子2(C)の他方の端子をγ点とする。なお、端子とは、図2(a)に示した配線を接続するために設けられたパッド状のものの他、回路基板などに設けられて、容量素子2が搭載される配線パターンなどを含む
インバータINV1とインバータINV2とは、直列接続されている。つまり、インバータINV1の出力OUT1とインバータINV2の入力IN2とが接続されている。そして、周波数設定部10のβ点が、インバータINV1の出力OUT1とインバータINV2の入力IN2との接続点に接続されている。つまり、β点、出力OUT1及び入力IN2は、同じ電位である。よって、β点(出力OUT1)、β点(入力IN2)などと表記し、同じ電位であることを示すことがある。そして、周波数設定部10のα点がインバータINV1の入力IN1に接続され、周波数設定部10のγ点がインバータINV2の出力OUT2に接続されている。つまり、α点及びインバータINV1の入力IN1は同じ電位であり、γ点及びインバータINV2の出力OUT2は同じ電位である。よって、α点(入力IN1)、γ点(出力OUT2)と表記して同じ電位であることを示すことがある。
図5(b)、図5(c)、図5(d)では、横軸が時間、縦軸が電圧である。そして、横軸において時刻t~tとして、この順に時間が経過するとする。ここでは、接地電位GNDを“0V”、電源電位VCCを“5V”とする。ここで、しきい電圧Vthは、接地電位GND(0V)と電源電位VCC(5V)との間の“2.5V”とする
次に、周波数設定部がRLC直列回路である場合について説明する。
ここで、感受素子1(RL)は感受素子の等価回路が抵抗RとインダクタンスLの直列回路であり、さらに容量素子2(C)と直列接続されることでRLC直列回路を形成する。この場合における、第1の実施の形態が適用される磁気センサ110の動作について説明する。
基本的な動作は図5に示した周波数設定部がRC直列回路である場合と類似しているが、インダクタンスLが加わると、既述のτ=RCによる減衰に、ω=1/√LCによる振動による遅延が加わる。ここでωはLC回路の共振周波数(rad/秒)である。Cが一定の場合、Lが増加するとωが低下するため振動周期が長くなる。その分、Vthまで電圧が減衰するのに要する時間が延びるため、磁気センサ110に流れる交流電流の周波数は低下する。
このように、交流電流の周波数は、感受素子1の抵抗R、インダクタンスLおよび容量素子2の容量Cとで決まる。そして、感受素子1の抵抗RとインダクタンスLは、図3に示したように、磁界Hにより変化する。よって、周波数測定部30により、磁気センサ110に流れる交流電流の周波数、又は周波数の変化を測定することにより、感受素子1が感受した磁界又は磁界の変化が計測される。
(周波数決定部32の構成)
次に、周波数決定部32の構成について詳述する。
従来、出力信号の振幅を測定し、測定した振幅を基に磁界の強さを算出していた。これは、出力信号の電圧を測定し、測定した電圧を基に磁界の強さを算出していた、と言うこともできる。この場合、電圧の微細な変化を検出することは困難であり、これから算出される磁界の強さの精度も低下しやすい。例えば、1ppmの差は、1Vの電圧に対して、1μVとなり、ノイズに埋もれる差である。また、電圧を増幅し、この差を拡大する方法もあるが、増幅前に生じたノイズも増幅されるので、電圧の変化を検出することは、困難である。
そこで、本実施の形態では、出力信号の周波数を測定することで、この問題の解決を図っている。これは、出力信号を時間測定すると言うこともできる。周波数の微細な変化を測定することは、電圧を測定する場合に比較して、より容易であり、これから算出される磁界の強さの精度も向上しやすい。例えば、1ppmの差は、時間測定では、月差2.6秒の精度であり、時間測定では、検出可能である。
一方、出力信号の周波数が低すぎても、時間変動する磁界強度の時間分解能が低下するという問題がある。例えば、1Hzの信号周波数では1Hzの周期で変動する磁界強度の波形を表現することができない。1Hzの周期で変動する磁界強度を100点/周期で表現する場合、10m秒の時間分解能が必要になる。そのためには、10m秒の間に信号周波数を正確に読み取る必要があるが、信号周波数が1Hzだと、1周期の1/10の波形から信号周波数を読み取る必要があり、正確に測定することは困難である。したがって、微小な周波数変化が検出可能で、かつ、磁界強度変動の時間分解能を十分に高くできる適正な周波数に変換することが必要である。
つまり、論理演算部314が、XOR(排他的論理和)により生成される波形は、出力信号および基準信号の位相が一致するほど、短いパルス幅を有する方形波となり、ずれるほど長いパルス幅を有する方形波となる。すなわち、PWM(パルス幅変調)出力が得られる。
図6に戻り、A/D変換部316は、A/D変換を行い、三角波生成部315により生成された三角波を、デジタル信号に変換する。A/D変換部316は、例えば、A/Dコンバータである。
そして、信号処理部317は、三角波の周波数を求め、三角波の周波数を基にして出力信号の周波数を求める。これは、例えば、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)により行うことができる。FFTは、例えば、PCにA/D変換部316により変換されたデジタル信号を取り込み、FFTの処理を行う所定のプログラムを実行することで行うことができる。
また、FFTに限られるものではなく、三角波の1周期にかかる時間を計測する方法や所定時間内の三角波の周期数をカウントする方法等、様々な方法を用いることができる。
なお、出力信号分周部312で出力信号を分周した場合は、分比Nに応じて、周波数補正を行う。
出力部318は、求めた出力信号の周波数を磁界算出部40に出力する。
上述した例では、論理演算部314は、ロジックICのみならず、PLL(Phase Locked Loop) ICの位相比較器(PFC: Phase Frequency Comparator)を使用することで、同様の機能を実現することができる。つまり、位相比較器に、出力信号分周部312により分周された出力信号と、基準信号分周部313により分周された基準信号を入力する。位相比較器では、両者の位相を比較し、デジタルロックを検出する。これは、両者の位相差が、例えば、15n秒以内で、それが3回連続で検出された場合、デジタルロックが検出される、また、両者の位相差が、例えば、30n秒以上あった場合、デジタルロックを解除する。そして、デジタルロックが検出されたときの、位相比較器の誤差信号パルスを使用する。この誤差信号パルスは、例えば、図7(b)、(e)に示したものとなる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施形態について説明を行なう。第2の実施形態では、周波数決定部32は、出力信号と基準信号とをミキシングすることで干渉を行い、スーパーヘテロダイン方式により出力信号の周波数を変換する
エイリアシングは、図10(e)のように、信号の周波数がサンプリングの周波数の1/2より大きい場合に生じ、エイリアシングにより観測される波形の周波数は、信号の周波数とサンプリングの周波数との差である。これは、(観測される周波数の絶対値)=(信号の周波数)-(サンプリングの周波数)であると言うこともできる。つまり、エイリアシングにより観測される波形の周波数がわかれば、信号の周波数がわかる。
まず、磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号に対して、エイリアシングが生じない周波数の場合の例について説明する。
干渉部332はD-フリップフロップである。D-フリップフロップはデジタル信号を入出力する。すなわち、論理レベル“H”および論理レベル“L”の信号が入出力される。
ここではCLK端子、D端子、Q端子の3つの端子を備えたD-フリップフロップを用いる。CLK端子は基準信号の入力端子である。基準信号が立ち上がる瞬間のD端子への入力を、D-フリップフロップが記憶する。D端子は磁気センサ110の出力信号をD-フリップフロップに入力する端子である。Q端子はD-フリップフロップが記憶している論理レベルの状態を出力する端子である。
図11(a)で示される基準信号が基準信号出力部331から出力されて、干渉部332で示されるD-フリップフロップのCLK端子に入力される。図11(b)で示される磁気センサ110の出力信号がD-フリップフロップのD端子に入力される。基準信号が立ち上がる瞬間における磁気センサ110の出力信号がD-フリップフロップに記憶され、その論理レベルの状態がQ端子から出力されて、図11(c)に示されるデジタル波形を出力する。
図11(abc拡大)の矢印は(a)の基準信号が立ち上がって(b)の磁気センサ110の出力信号がD-フリップフロップに記憶され、その論理レベルの状態が(c)の出力波形としてQ端子から出力されるタイミングを示している。このタイミングでのみ(c)の出力信号の論理レベルが変化しうる。
矢印(1)では、(b)の論理レベルが“H”なので、(c)の出力の論理レベルは“H”である。矢印(1)から矢印(2)の間に(b)の論理レベルが“H”から“L”に反転しているが、(b)が反転した瞬間では、まだ、D-フリップフロップに(b)の論理レベルが記憶されていないので、(c)の論理レベルは“H”のままである。その後、矢印(2)のタイミングで(b)の論理レベルがD-フリップフロップに記憶され、(c)の論理レベルが“L”に反転する。以後、矢印(3)、矢印(4)のタイミングで(b)の論理レベルがD-フリップフロップに記憶されるが、(b)の論理レベルは“L”のまま変わらないので、(c)の論理レベルは“L”のまま維持される。このように、磁気センサ110の出力信号が、基準信号出力部331の基準信号の1/2未満の周波数で、エイリアシングが生じない場合、(b)と(c)は、ほぼ同じ周波数になる。(b)の論理レベルの変化と(a)の基準信号の立ち上がりのタイミングがずれた分、(b)と(c)の論理レベル反転のタイミングがずれ、(c)の出力信号のデューティーが50%からずれる。したがって、エイリアシングが生じない条件においては、磁気センサ110の出力信号の周波数は、基準信号出力部331の基準信号の周波数に対して十分に小さい周波数にすると、周波数を正確に測定できる。ただし、エイリアシングによる干渉は起こらないので、磁気センサ110の出力信号が微小に変化した場合の周波数変化率が、そのままD-フリップフロップの周波数変化率となり、変化率の拡大は起こらない。
上記第1の実施形態~第4の実施形態では、周波数決定部32は、出力信号と基準信号との干渉の結果、出力信号の周波数を低周波数にする。これは、出力信号と基準信号との位相差に基づく周波数となる。そして、低周波数にした出力信号を使用することで出力信号の周波数を決定する。これにより、磁気センサ110から出力される出力信号が、100MHz以上になる高周波信号である場合でも、低周波数にすることで、通常のサンプリング速度でも十分な周波数分解能が得られる。そして、周波数の測定の精度が低下しにくく、より正確に磁界の強さを測定できる。また、この方法では、周波数変化量が低下せず、周波数変化率が向上するため、磁界の感度の測定が可能となる。また分周を用いる場合でも、分周比は、従来よりも小さくてすむため、周波数変化量が低下する問題も生じにくい。

Claims (13)

  1. 磁気センサにより出力され、磁界の強さに応じて決まる周波数を有して発振される出力信号を取得する取得部と、
    前記出力信号と、基準となる周波数である基準周波数を有する基準信号との干渉を利用し、当該出力信号の周波数を決定する周波数決定部と、
    決定された前記出力信号の周波数から、前記磁界の強さを算出する磁界算出部と、
    を備える情報処理装置。
  2. 前記周波数決定部は、前記干渉の結果、前記出力信号の周波数を低周波数にし、低周波数にした当該出力信号を使用することで当該出力信号の周波数を決定する請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記周波数決定部は、前記干渉の結果、前記出力信号と前記基準信号との位相差に基づき得られる波形を基に、前記出力信号の周波数を決定する請求項1に記載の情報処理装置。
  4. 前記周波数決定部は、前記波形を、時間に対し平均化することで生成される三角波を基に、前記出力信号の周波数を決定する請求項3に記載の情報処理装置。
  5. 前記周波数決定部は、積算し平均化した前記出力信号と前記基準信号とを干渉させ、前記三角波を生成する請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 前記周波数決定部は、前記基準周波数として複数の周波数を使用して、前記出力信号と前記基準信号とを干渉させ、前記三角波を生成する請求項4に記載の情報処理装置。
  7. 前記干渉は、論理演算および/または位相比較器により行う請求項4に記載の情報処理装置。
  8. 前記周波数決定部は、スーパーヘテロダイン方式により前記出力信号の周波数と前記基準信号とをミキシングすることで前記干渉を行う請求項3に記載の情報処理装置。
  9. 前記周波数決定部は、前記出力信号と前記基準信号との間の干渉により生じるエイリアシングを利用して、当該出力信号の周波数を決定する請求項1に記載の情報処理装置。
  10. 前記周波数決定部は、前記基準信号として、前記出力信号に対するサンプリングの周波数を変更することで、前記干渉を行う請求項9に記載の情報処理装置。
  11. 前記周波数決定部は、D-フリップフロップを用いて前記干渉を行う請求項9に記載の情報処理装置。
  12. 前記周波数決定部は、デジタル信号入力ポートのサンプリングクロック信号を用いて前記干渉を行う請求項9に記載の情報処理装置。
  13. 磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子と容量素子とが直列接続された遅延生成部と、当該遅延生成部に接続され、当該遅延生成部により周波数が設定される交流電流が当該遅延生成部に流れるように電位を供給する電位供給部とを備え、当該交流電流を出力信号として出力する磁気センサと、
    前記出力信号と、基準となる周波数である基準周波数を有する基準信号との干渉を利用し、当該出力信号の周波数を決定する周波数決定部と、
    決定された前記出力信号の周波数から、磁界の強さを算出する磁界算出部と、
    を備える磁気センサシステム。
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