JP2017031984A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】転動体と軌道面間で潤滑油が枯渇する前に潤滑油の再供給が行われ、より長時間のドライラン状態での運転を可能にする転がり軸受を提供する。
【解決手段】内輪2の内径面に潤滑油を保持するための潤滑油保持空間7と前記潤滑油保持空間7から軸受内部に潤滑油を供給するための潤滑油供給路10a、10b、10cを備えた転がり軸受1において、前記潤滑油供給路10a、10b、10cの途中に閉塞部材11を設け、この閉塞部材11が内輪を介してある一定温度まで上昇した際に、初めて内輪2の内径面で保持されていた潤滑油を軸受内部に供給するようにした。
【選択図】図3
【解決手段】内輪2の内径面に潤滑油を保持するための潤滑油保持空間7と前記潤滑油保持空間7から軸受内部に潤滑油を供給するための潤滑油供給路10a、10b、10cを備えた転がり軸受1において、前記潤滑油供給路10a、10b、10cの途中に閉塞部材11を設け、この閉塞部材11が内輪を介してある一定温度まで上昇した際に、初めて内輪2の内径面で保持されていた潤滑油を軸受内部に供給するようにした。
【選択図】図3
Description
この発明は、ドライラン状態での運転を長時間可能にする転がり軸受に関する。
航空機用ジェットエンジンの主軸等に使用される転がり軸受は、急旋回時の巨大な重力や給油系統の異常により潤滑油が一時的に供給されない状態、いわゆるドライラン状態が発生する場合があり、潤滑油が遮断されても、一定時間焼付かずに運転できることが要求される。
このドライラン状態において、内輪内径面に保持した潤滑油を軸受内部に供給する転がり軸受として、内輪内径面に潤滑油を保持する空間を設け、通常運転時にはその空間に潤滑油が保持され、ドライラン状態になると内輪の遠心力によって保持していた潤滑油を供給路を介して軸受内部に供給することができるようにしたものが特許文献1に開示されている。
ところが、特許文献1に開示された技術では、内輪内径面で保持した潤滑油を軸受内部に供給するための供給路が常に開口した状態であるため、特に高速回転で使用される転がり軸受の場合、その遠心力によって、内輪内径面に保持されていた潤滑油はドライラン開始直後から比較的早い段階で枯渇してしまい、より長時間のドライラン状態での運転を行うことは困難である。
そこで、この発明は、内輪内径面に一定量の潤滑油を保持する潤滑油保持空間と、その空間に保持された潤滑油を軸受内部に供給するための潤滑油供給路を設けた転がり軸受において、転動体と軌道面間で潤滑油が枯渇する前に潤滑油の再供給が行われ、より長時間のドライラン状態での運転を可能にしようとするものである。
前記の課題を解決するために、この発明は、内輪内径面に潤滑油を保持するための潤滑油保持空間と前記潤滑油保持空間から軸受内部に潤滑油を供給するための潤滑油供給路を備えた転がり軸受において、前記潤滑油供給路の途中に閉塞部材を設け、この閉塞部材が内輪を介してある一定温度まで上昇した際に、初めて内輪内径面で保持されていた潤滑油を軸受内部に供給するようにしたものである。
以上のように、この発明では、ドライラン状態が続き、閉塞部材と内輪がある一定温度まで上昇した際に初めて潤滑油保持空間で保持されていた潤滑油が軸受内部に供給されるため、転動体と軌道面間で潤滑油が枯渇する前に潤滑油の再供給が行われ、より長時間のドライラン状態での運転が可能になる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の第1実施形態に係る転がり軸受1は、内輪2と、外輪3と、複数の転動体4と、転動体4を保持する保持器5とを備える。転動体4は、玉を使用している。
この発明の第1実施形態に係る転がり軸受1は、内輪2と、外輪3と、複数の転動体4と、転動体4を保持する保持器5とを備える。転動体4は、玉を使用している。
第1実施形態に係る転がり軸受1は、外輪3の内径面には外輪軌道面13が形成されている。内輪2は回転軸6を保持する回転部材であり、軸方向に二分割された第1内輪2aおよび第2内輪2bからなる。第1内輪2aと第2内輪2bの外径面には内輪軌道面12が形成されている。
転がり軸受1は、転動体4が、外輪軌道面13、第1内輪2aと第2内輪2bのの内輪軌道面12と接触する、3点接触玉軸受である。
第1実施形態に係る転がり軸受1は、内輪回転の軸受であり、給油方式としてアンダーレース潤滑を採用している。
第1内輪2aもしくは第2内輪2bの少なくとも一方の内径面に、通常運転時に潤滑油を保持するための空間、即ち、潤滑油保持空間7を備える。
そして、第1内輪2aと第2内輪2bの合わせ面には、油溝9を設けている。また、前記潤滑油保持空間7で保持した潤滑油を、内輪外径面と、内輪軌道面12と、油溝9とに供給するための潤滑油供給路10a、10b、10cを第1内輪2aに設けている。
なお、潤滑油供給路10a、10b、10cは、第1内輪2aに少なくとも一つ設けていればよい。
潤滑油供給路10a、10b、10cの途中には、通常運転時に潤滑油保持空間7で保持された潤滑油を、ドライラン開始直後に軸受内部に流入するのを防ぐための閉塞部材11が圧入されている。
なお、3点接触玉軸受の場合、通常運転時、オイルスクープ8に流入した潤滑油は、第1内輪2aと第2内輪2bの合わせ面の油溝9を介して軸受内部に供給されるが、一定量の潤滑油は遠心力によって潤滑油保持空間7に保持される(図2参照)。なお、図2の矢印は、通常運転時における潤滑油の流れを示している。
内輪2の内径面に設ける潤滑油保持空間7は、その周方向断面形状が矩形や円形の環状溝、及び内輪内径面の周上に複数個配置した溝等、一定量の潤滑油を保持できる形状や構造であれば、いずれでも良い。ただし、潤滑油保持空間7の容積については、通常運転時に保持できる潤滑油量を増加させるため、軸受の使用回転数や作用荷重等を考慮し、軸受の機能や剛性の面で問題とならない範囲内にて大きくすることが望ましい。
潤滑油供給路10a、10b、10cの長さ及び径については、軸受の使用回転数や作用荷重、給油条件によって適宜決定することができる。なお、潤滑油供給路10a、10b、10cの径については、必ずしも均一にする必要は無く、閉塞部材11の前後での圧力差を大きくし、潤滑油供給路10a、10b、10cが開口した際の潤滑油供給量を増加させることを目的に、不均一としても良い。
閉塞部材11は、通常運転時に潤滑油保持空間7で保持した潤滑油が、ドライラン開始直後に軸受内部に流入するのを防ぐことを目的として設けられる。ドライラン状態が続き、閉塞部材11と内輪2がある一定温度まで上昇した際に、それまで潤滑油保持空間7で保持されていた潤滑油を初めて軸受内部に供給できる構造・形状であれば、閉塞部材11はいずれでも良い。
閉塞部材11を形成する第1の素材としては、内輪2を形成する部材よりも熱膨張係数が小さい部材、例えば、窒化ケイ素やジルコニア等のセラミック材料、チタンやタングステン、鋳鉄等の金属材料、ガラス等を使用することができる。
また、閉塞部材11を形成する第2の素材としては、潤滑油保持空間7から軸受内部に潤滑油の供給を開始したい温度付近で融点を持つ部材、例えば、ポリプロピレンやポリアミド、アセタール等の樹脂材料やゴム等を使用することができる。
閉塞部材11として第1の素材、即ち、内輪2を形成する部材よりも熱膨張係数が小さい部材を使用すると、ドライラン状態が続き、内輪2及び閉塞部材11がある一定温度以上になると、内輪2と閉塞部材11との熱膨張量の差が大きくなり、図3に示すように、それまでしまりばめであった潤滑油供給路10a、10b、10cと閉塞部材11との間ですきまが生まれ、潤滑油保持空間7に保持されていた潤滑油が軸受内部に供給される。図3の矢印は、ドライラン状態が続いた後の潤滑油の流れを示している。
ここで、熱膨張係数と併せ、熱伝導率が内輪2よりも小さい閉塞部材11を用いることで、転動体4と内輪軌道面12間で発生した熱がより閉塞部材11に伝導しにくくなるため、潤滑油供給路10a、10b、10cと閉塞部材11の間で形成されるすきまが増加し、潤滑油保持空間7から軸受内部への潤滑油供給量を増加させることができる。
なお、第1の実施形態では、潤滑油供給路10a、10b、10cと閉塞部材11の間ですきまを発生させる構造であるため、すきま発生時に閉塞部材11が遠心力によって潤滑油供給路10a、10b、10cから飛び出し、軸受内部に進入することを防ぐために、軸受形式に関わらず、図4に示すように、潤滑油供給路10aを座ぐり形状に形成し、この座ぐり形状の潤滑油供給路10aに、図5(a)に示すようなスリット14を設けた閉塞部材11や、図5(b)に示すような突状15を設けた閉塞部材11を圧入してもよい。
この場合、内輪2及び閉塞部材11がある一定温度以上になり、潤滑油供給路10a、10b、10cと閉塞部材11の間ですきまが発生したとしても、閉塞部材11が潤滑油供給路10a、10b、10cから飛び出すことなく、潤滑油保持空間7に保持されていた潤滑油が閉塞部材11のスリット14や突状15の間を通過して軸受内部に流入する(潤滑油の流れは、図6の矢印を参照)。
この発明の実施形態1では、外部からの潤滑油の供給が再開すると、内輪2及び閉塞部材11が冷却され、潤滑油供給路10a、10b、10cと閉塞部材11とのはめあいが再度しまりばめとなり、潤滑油保持空間7への潤滑油の保持が再び行われるため、ドライラン状態が繰り返し発生しても同じように機能することが可能である。
次に、閉塞部材11として、潤滑油保持空間7から軸受内部に潤滑油の供給を開始したい温度付近で融点を持つ第2の素材を使用した場合、ドライラン状態が続き、閉塞部材11が内輪2を介してある一定温度まで上昇すると、閉塞部材11自体が溶融することで、それまで閉塞部材11によって閉塞されていた潤滑油供給路10a、10b、10cが開口し、潤滑油保持空間7で保持されていた潤滑油が軸受内部に供給される(潤滑油の流れは、図7の矢印を参照)。
図8は、転動体4として円筒ころ軸受を使用した転がり軸受1の実施形態を示している。
この図8の転がり軸受1は、内輪2と、外輪3と、転動体4としての円筒ころと、転動体4を保持する保持器5とを備える。
図8の転がり軸受1は、外輪3の内径面には外輪軌道面13が形成されている。内輪2は回転軸(図示省略)を保持する回転部材である。
内輪2の外径面には内輪軌道面12が形成されている。
内輪2の内径面には、通常運転時に潤滑油を保持するための空間、即ち、潤滑油保持空間7を備えている。
そして、潤滑油保持空間7で保持した潤滑油を、内輪軌道面12の両端に供給するための潤滑油供給路10a、10bを内輪2に設けている。
潤滑油供給路10a、10bの途中には、通常運転時に潤滑油保持空間7で保持された潤滑油を、ドライラン開始直後に軸受内部に流入するのを防ぐための閉塞部材11を圧入している。
閉塞部材11は、この発明の第1実施形態と同様に、内輪2を形成する部材よりも熱膨張係数が小さい素材、または潤滑油保持空間7から軸受内部に潤滑油の供給を開始したい温度付近で融点を持つ素材を使用することができる。
以上のように、この発明によれば、ドライラン状態が続き、閉塞部材11と内輪2がある一定温度まで上昇した際に初めて潤滑油保持空間7で保持されていた潤滑油が軸受内部に供給されるため、転動体と軌道面間で潤滑油が枯渇する前に潤滑油の再供給が行われ、より長時間のドライラン状態での運転を可能にすることができる。
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
1 :転がり軸受
2 :内輪
2a :第1内輪
2b :第2内輪
3 :外輪
4 :転動体
5 :保持器
6 :回転軸
7 :潤滑油保持空間
8 :オイルスクープ
9 :油溝
10a、10b、10c :潤滑油供給路
11 :閉塞部材
12 :内輪軌道面
13 :外輪軌道面
14 :スリット
15 :突状
2 :内輪
2a :第1内輪
2b :第2内輪
3 :外輪
4 :転動体
5 :保持器
6 :回転軸
7 :潤滑油保持空間
8 :オイルスクープ
9 :油溝
10a、10b、10c :潤滑油供給路
11 :閉塞部材
12 :内輪軌道面
13 :外輪軌道面
14 :スリット
15 :突状
Claims (4)
- 内輪内径面に潤滑油を保持するための潤滑油保持空間と前記潤滑油保持空間から軸受内部に潤滑油を供給するための潤滑油供給路を備えた転がり軸受において、前記潤滑油供給路の途中に閉塞部材を設け、この閉塞部材が内輪を介してある一定温度まで上昇した際に、初めて内輪内径面で保持されていた潤滑油を軸受内部に供給することを特徴とする転がり軸受。
- 前記閉塞部材として、内輪よりも熱膨張係数が小さい部材を用いたことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記閉塞部材として、前記潤滑油保持空間から軸受内部に潤滑油の供給を開始したい温度付近で融点を持つ部材を用いたことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
- 航空機用として使用される請求項1〜3のいずれかに記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015149094A JP2017031984A (ja) | 2015-07-29 | 2015-07-29 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015149094A JP2017031984A (ja) | 2015-07-29 | 2015-07-29 | 転がり軸受 |
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---|---|
JP2017031984A true JP2017031984A (ja) | 2017-02-09 |
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ID=57985884
Family Applications (1)
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JP2015149094A Pending JP2017031984A (ja) | 2015-07-29 | 2015-07-29 | 転がり軸受 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2017031984A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114909401A (zh) * | 2021-02-08 | 2022-08-16 | 中国航发商用航空发动机有限责任公司 | 轴承和机械设备 |
-
2015
- 2015-07-29 JP JP2015149094A patent/JP2017031984A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114909401A (zh) * | 2021-02-08 | 2022-08-16 | 中国航发商用航空发动机有限责任公司 | 轴承和机械设备 |
CN114909401B (zh) * | 2021-02-08 | 2024-01-19 | 中国航发商用航空发动机有限责任公司 | 轴承和机械设备 |
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