JP2017031550A - 使用済み衛生用品からリサイクルパルプを製造する方法 - Google Patents

使用済み衛生用品からリサイクルパルプを製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収し、灰分が少ない、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを製造する方法を提供する。【解決手段】本発明の方法は、使用済み衛生用品を水溶性カルシウム化合物で処理することによって使用済み衛生用品中の高吸水性ポリマーを脱水するカルシウム処理工程、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって使用済み衛生用品をパルプ繊維とその他の材料に分解する分解工程、分解工程において生成したパルプ繊維とその他の材料の混合物からパルプ繊維を分離する分離工程、消毒薬による消毒工程、およびpHが酸性の状態で、分離されたパルプ繊維をクエン酸水溶液で処理するクエン酸処理工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収し、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを製造する方法に関する。
使用済み衛生用品からパルプを回収し再利用しようとする動きがある。衛生用品は、通常、吸収体を含み、その吸収体はパルプと高吸水性ポリマーから構成されている。したがって、使用済み衛生用品からパルプを回収するためには、パルプと高吸水性ポリマーを分離する必要がある。しかし、水を吸って膨潤した高吸水性ポリマーとパルプを分離することは容易ではない。そこで、消石灰、生石灰、塩化カルシウム等の水溶性カルシウム化合物で処理することにより、高吸水性ポリマーを脱水し、沈降分離、乾式分級(たとえばエア分級)、篩による分離等により、分離することが行われている。(特許文献1、特許文献2)
特許文献3および特許文献4には、パルプ製造工程において、パルプに由来する鉄、銅、マンガン等の金属が酸素系漂白薬品の分解を促進し、酸素系漂白薬品を無駄に消費することから、漂白工程に先立って、それらの金属を、無機酸、有機酸またはキレート剤で処理し、除去する方法が開示されている。しかし、これらの先行技術文献にはカルシウムの除去については注目していない。
特開2010−84031号公報 特開2004−42038号公報 特開平10−72788号公報 特開2007−270383号公報
使用済み衛生用品を、消石灰、生石灰、塩化カルシウム等の水溶性カルシウム化合物で処理して、高吸水性ポリマーを脱水し、パルプを分離し、回収したパルプ(以下「回収パルプ」という。)は、カルシウムに由来する灰分が高濃度で残留し、衛生用品に再利用するには、不適当であった。
本発明は、使用済み衛生用品から、灰分が少ない、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを回収する方法を提供する。
本発明者らは、使用済み衛生用品を、水溶性カルシウム化合物で処理して、高吸水性ポリマーを脱水し、パルプを分離し、回収したパルプを、クエン酸水溶液で処理することにより、効果的に、灰分が少ない、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを得ることができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収し、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを製造する方法であって、該方法が、
使用済み衛生用品を水溶性カルシウム化合物で処理することによって使用済み衛生用品中の高吸水性ポリマーを脱水するカルシウム処理工程、
使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって使用済み衛生用品をパルプ繊維とその他の材料に分解する分解工程、
分解工程において生成したパルプ繊維とその他の材料の混合物からパルプ繊維を分離する分離工程、
消毒液による消毒工程、および
pHが酸性の状態で、分離されたパルプ繊維をクエン酸水溶液で処理するクエン酸処理工程
を含むことを特徴とする。
本発明は、次の態様を含む。
[1]パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収し、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを製造する方法であって、該方法が、
使用済み衛生用品を水溶性カルシウム化合物で処理することによって使用済み衛生用品中の高吸水性ポリマーを脱水するカルシウム処理工程、
使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって使用済み衛生用品をパルプ繊維とその他の材料に分解する分解工程、
分解工程において生成したパルプ繊維とその他の材料の混合物からパルプ繊維を分離する分離工程、
消毒液による消毒工程、および
pHが酸性の状態で、分離されたパルプ繊維をクエン酸水溶液で処理するクエン酸処理工程
を含むことを特徴とする方法。
[2]クエン酸処理工程におけるpHが2〜6の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
[3]さらに水洗工程を含む、[1]または[2]に記載の方法。
[4][1]〜[3]のいずれか1つに記載の方法によって製造された、灰分が4.0質量%未満であるリサイクルパルプ。
[5]リサイクルパルプ10gをイオン交換水100mLに加えて含浸したときの液のpHが弱酸性を呈することを特徴とする[4]に記載のリサイクルパルプ。
[6]リサイクルパルプが、衛生用品を構成する吸収体、ティッシュおよび不織布の少なくとも1つに使用されることを特徴とする[4]または[5]に記載のリサイクルパルプ。
本発明によって製造されるリサイクルパルプは、衛生用品として再利用可能な程度に灰分が少ない。
図1は、吸水倍率を測定する装置の概略図である。
本発明は、パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収し、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを製造する方法に関する。
衛生用品としては、パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含むものであれば、特に限定されず、使い捨ておむつ、失禁パッド、尿取りパッド、生理用ナプキン、パンティーライナー等を例示することができる。なかでも、施設等でまとめて回収される失禁パッドや使い捨ておむつが分別の手間がなくパルプ量が比較的多い点で好ましい。
パルプ繊維としては、特に限定するものではないが、フラッフ状パルプ繊維、化学パルプ繊維等を例示することができる。
高吸水性ポリマーとは、SAP(Superabsorbent Polymer)とも呼ばれ、水溶性高分子が適度に架橋された三次元網目構造を有するもので、数十倍〜数百倍の水を吸収するが、本質的に水不溶性であり、一旦吸収された水は多少の圧力を加えても離水しないものであり、たとえば、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状または繊維状のポリマーを例示することができる。
この明細書においては、本発明の方法によって製造されたパルプを「リサイクルパルプ」と称する。
本発明の方法は、
使用済み衛生用品を水溶性カルシウム化合物で処理することによって使用済み衛生用品中の高吸水性ポリマーを脱水するカルシウム処理工程、
使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって使用済み衛生用品をパルプ繊維とその他の材料に分解する分解工程、
分解工程において生成したパルプ繊維とその他の材料の混合物からパルプ繊維を分離する分離工程、
消毒液による消毒工程、および
pHが酸性の状態で、分離されたパルプ繊維をクエン酸水溶液で処理するクエン酸処理工程
を含む。
本発明の方法は、必要に応じ、さらに、水洗工程を含む。
本発明の方法は、使用済み衛生用品を水溶性カルシウム化合物で処理することによって使用済み衛生用品中の高吸水性ポリマーを脱水するカルシウム処理工程を含む。
この工程では、使用済み衛生用品中の水を吸って膨潤した高吸水性ポリマーを、カルシウムイオンによって脱水する。
高吸水性ポリマーは、親水性基(たとえば−COO)を有し、その親水性基に水分子が水素結合により結合することにより、大量の水を吸収することができるものであるが、水を吸収した高吸水性ポリマーを水溶性カルシウム化合物で処理すると、親水性基(たとえば−COO)にカルシウムイオンが結合し(たとえば−COO−Ca−OCO−)、親水性基と水分子の水素結合が切れ、水分子が放出され、高吸水性ポリマーが脱水されると考えられている。
高吸水性ポリマーを脱水することによって、パルプ繊維と高吸水性ポリマーの分離が容易になる。カルシウム処理をしていない使用済み衛生用品を、消毒薬を含む水溶液で消毒しようとすると、高吸水性ポリマーが消毒剤を含む水溶液を吸水し、処理効率が低下するが、カルシウム処理により高吸水性ポリマーを脱水しておくことによってそれを避けることができる。水溶性カルシウム化合物が含まれない消毒剤を含む水溶液で消毒する場合、高吸水性ポリマーをあらかじめ脱水しておかないと、高吸水性ポリマーが水溶液を吸水するため、槽内の固形分濃度が高まり、機械的な分解操作が困難になり、より多くの水溶液が必要となる。
分解工程で用いる水溶性カルシウム化合物は、水溶性のカルシウム化合物であって、水に溶けてカルシウムイオンを電離するものであれば、特に限定されず、塩化カルシウム、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)等を例示することができる。なかでも、塩化カルシウム、酸化カルシウムが好ましい。
水溶性カルシウム化合物で処理する際の処理の方法は、使用済み衛生用品中の高吸水性ポリマーと水溶性カルシウム化合物の接触を可能にする方法であれば、特に限定されないが、たとえば、固体状の水溶性カルシウム化合物を使用済み衛生用品に直接ふりかける方法でもよいし、水溶性カルシウム化合物の水溶液に使用済み衛生用品を浸漬する方法でもよい。
カルシウム処理工程において使用する水溶性カルシウム化合物の量は、高吸水性ポリマー1kg(乾燥基準)あたり、好ましくは4モル以上、より好ましくは4〜40モル、さらに好ましくは5〜20モルである。排泄液を含む衛生用品から正確な高吸水性ポリマーの質量(乾燥基準)を把握することは困難だが、目安としては排泄液を含む衛生用品の5〜15質量%が高吸水性ポリマーの質量(乾燥基準)に相当する。水溶性カルシウム化合物の量が少なすぎると、高吸水性ポリマーの脱水が不充分となる。水溶性カルシウム化合物は、通常、処理効率担保の余裕を見て過剰に投入する。
カルシウム処理工程の時間は、カルシウムイオンが高吸水性ポリマーに取り込まれるのに十分な時間であれば特に限定されない。
カルシウム処理工程における処理時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは20分〜2時間、さらに好ましくは40分〜90分である。
処理時間が短すぎると、高吸水性ポリマーの脱水が不充分となる。処理時間がある値を超えると、高吸水性ポリマーに取り込まれるカルシウムイオンの量は飽和するので、その値を超える処理時間は無意味である。
水溶性カルシウム化合物の水溶液で処理する場合の温度は、カルシウムイオンが高吸水性ポリマーに取り込まれる温度であれば特に限定されないが、通常、0℃より高く、100℃より低い温度である。室温でも充分であるが、反応速度を速めるために加熱してもよい。加熱する場合は、室温〜60℃が好ましく、室温〜40℃がより好ましく、室温〜30℃がさらに好ましい。
水溶性カルシウム化合物の水溶液で処理する場合の水溶液の量は、使用済み衛生用品を充分に浸漬することができる量であれば、特に限定されないが、汚物を含む使用済み衛生用品1kgに対し、好ましくは3〜50kg、より好ましくは3〜10kgである。水溶液の量が少なすぎると、使用済み衛生用品を水溶液中で効果的に攪拌することができない。水溶液の量が多すぎると、水溶性カルシウム化合物の浪費につながり、処理費用を増加させる。
水溶性カルシウム化合物の水溶液に使用済み衛生用品を浸漬する場合、攪拌は必須ではないが、攪拌することが好ましい。
固体状の水溶性カルシウム化合物を使用済み衛生用品に直接ふりかけた場合も、攪拌は必須ではないが、攪拌することが好ましい。必要に応じ、固体状の水溶性カルシウム化合物を使用済み衛生用品に直接ふりかけた後、適当な時間経過後、攪拌可能な最低限の水を給水して攪拌してもよい。
本発明の方法は、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって使用済み衛生用品をパルプ繊維とその他の材料に分解する分解工程を含む。
衛生用品は、通常、パルプ繊維、高吸水性ポリマー、不織布、合成樹脂フィルム等の各材料から構成されている。この分解工程では、使用済み衛生用品を上記各材料に分解する。分解の程度は、パルプ繊維の少なくとも一部が回収できる程度に分解されればよく、必ずしも完全でなくてもよく、部分的であってもよい。
ここで、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させる方法としては、限定するものではないが、攪拌、叩き、突き、振動、引き裂き、切断、破砕等を例示することができる。なかでも、水中での攪拌が好ましい。攪拌は、洗濯機のような攪拌機付きの容器内で行なうことができる。攪拌の条件も、衛生用品が分解される限り、特に限定されないが、たとえば、攪拌時間は、好ましくは5〜60分であり、より好ましくは10〜50分であり、さらに好ましくは20〜40分である。
分解工程は、カルシウム処理工程の後に行なってもよいし、カルシウム処理工程の前に行なってもよい。たとえば、使用済み衛生用品を引き裂いて吸収体とその他の材料に分解し、分解した吸収体または分解した吸収体とその他の材料を水溶性カルシウム化合物の水溶液で処理してもよい。ただし、カルシウム処理工程の前に分解工程を行なう場合は、その分解工程は水を使用しないで行なう。分解工程において水または消毒液を用いる場合は、カルシウム処理工程の後に分解工程を行なう。
また、分解工程は、カルシウム処理工程と別個に行なってもよいし、カルシウム処理工程と分解工程を1つの工程として行なってもよい。すなわち、カルシウム処理工程と分解工程を別々に行なう代わりに、カルシウム処理と分解を同時に行なう1つのカルシウム処理・分解工程を設けてもよい。たとえば、洗濯機に、使用済み衛生用品、水溶性カルシウム化合物および水を投入し、使用済み衛生用品が分解する程度に攪拌することにより、カルシウム処理と使用済み衛生用品の分解を同時に行なうことができる。
本発明の方法は、分解工程において生成したパルプ繊維とその他の材料の混合物からパルプ繊維を分離する分離工程を含む。
分離工程では、使用済み衛生用品の分解によって生成したパルプ繊維、脱水した高吸水性ポリマー、その他の素材の混合物からパルプ繊維を分離する。パルプ繊維を分離する方法は、限定するものではないが、たとえば、分解された構成素材(パルプ繊維と高吸水性ポリマーとプラスチックなど)の比重差を利用して水中で沈殿分離する方法、分解されたサイズの異なる構成素材を所定の網目を有するスクリーンを通して分離する方法、サイクロン式遠心分離機で分離する方法を例示することができる。
本発明の方法は、消毒液による消毒工程を含む。
この消毒工程は、消毒液で消毒対象物を処理することにより行なうことができる。たとえば、容器に、消毒対象物および消毒液を投入し攪拌することにより行なうことができる。
消毒工程において使用する消毒液は、特に限定されないが、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素等の消毒薬を溶かした水溶液や、オゾン水、電解水(酸性電解水)等を例示することができ、なかでも経済性・汎用性の観点から次亜塩素酸ナトリウム水溶液が好ましい。
消毒薬を溶かした水溶液を用いる場合、消毒薬の濃度は、目的とする水準の衛生状態を有するリサイクルパルプが得られる濃度であれば、特に限定されない。消毒薬の好ましい濃度は、消毒薬の種類によっても異なり、次亜塩素酸ナトリウムの場合は、10〜1000質量ppm、より好ましくは30〜500質量ppm、さらに好ましくは50〜250質量ppmである。濃度が低すぎると、充分な消毒の効果が得られず、リサイクルパルプに細菌等が残存する虞がある。濃度が高すぎると、消毒薬の浪費につながるばかりでなく、消毒対象物を傷めたり、安全性の問題を生じたりする虞がある。
消毒工程で用いる消毒液の量は、消毒対象物が充分に浸る量であれば、特に限定されないが、消毒対象物1kgに対し、好ましくは3〜50kg、より好ましくは3〜10kgである。消毒液の量が少なすぎると、充分な消毒の効果が得られない虞がある。消毒液の量が多すぎると、消毒液または消毒薬の浪費につながり、処理費用が増大する虞がある。
消毒工程の時間は、目的とする水準の衛生状態を有するリサイクルパルプが得られる時間であれば、特に限定されないが、好ましくは10〜120分、より好ましくは20〜100分、さらに好ましくは30〜80分である。
消毒工程を回分式で実施する場合は、消毒工程を終了した後、用いた消毒液は廃棄する。
消毒工程は、分離工程の直後に行なってもよいし、分解工程の直後に行なってもよいし、カルシウム処理工程の直後に行なってもよいし、後述のクエン酸処理工程の直後に行なってもよい。消毒工程を分離工程の直後に行なう場合は消毒対象物はパルプ繊維であり、消毒工程を分解工程の直後に行なう場合は消毒対象物は分解工程において生成したパルプ繊維とその他の材料の混合物であり、消毒工程をカルシウム処理工程の直後に行なう場合は消毒対象物は脱水処理を終えた使用済み衛生用品であり、消毒工程をクエン酸処理工程の直後に行なう場合は消毒対象物はクエン酸処理を終えたパルプ繊維である。パルプ繊維を消毒する場合は、消毒液に浸漬し、必要に応じて攪拌することにより行なうことができる。
消毒工程は、別途設ける代わりに、他の工程と同時に行なってもよい。
たとえば、カルシウム処理工程において使用する水溶性カルシウム化合物の水溶液の中に消毒薬を加えることによって、カルシウム処理工程と消毒工程を同時に行なってもよい。すなわち、カルシウム処理工程と消毒工程を別々に行なう代わりに、カルシウム処理と消毒を同時に行なう1つのカルシウム処理・消毒工程を設けてもよい。
また、分解工程と消毒工程を別々に行なう代わりに、分解と消毒を同時に行なう1つの分解・消毒工程を設けてもよい。たとえば、使用済み衛生用品の分解を消毒液中での攪拌によって行なうことによって、分解工程と消毒工程を同時に行なってもよい。
また、カルシウム処理工程と分解工程と消毒工程を別々に行なう代わりに、カルシウム処理と分解と消毒を同時に行なう1つのカルシウム処理・分解・消毒工程を設けてもよい。たとえば、カルシウム処理工程において使用する水溶性カルシウム化合物の水溶液の中に消毒薬を加え、使用済み衛生用品が分解する程度に攪拌することによって、カルシウム処理と分解と消毒を同時に行なってもよい。
本発明の方法は、pHが酸性の状態で、分離されたパルプ繊維をクエン酸水溶液で処理するクエン酸処理工程を含む。
クエン酸処理工程では、パルプ繊維に残留するカルシウム化合物を除去する。
カルシウム処理工程において水溶性カルシウム化合物で処理したことにより、分離されたパルプ繊維の表面にはカルシウムイオンや種々のカルシウム化合物が付着している。パルプ繊維に付着しているカルシウム化合物は必ずしも水溶性のものとは限らず不溶性や難溶性のものも含まれており、水洗だけでは除去できない。クエン酸はカルシウムとキレートを形成し、水溶性のクエン酸カルシウムとなるので、パルプ繊維の表面に付着している不溶性または難溶性のカルシウム化合物を効果的に溶解除去することができる。クエン酸はカルシウム以外の金属ともキレートを形成することができるので、パルプ繊維の表面にカルシウム化合物以外の不溶性または難溶性の金属化合物が付着している場合には、カルシウム化合物のみならず、カルシウム化合物以外の不溶性または難溶性の金属化合物をも溶解除去することができる。その結果、得られるリサイクルパルプの灰分を低減することができる。
クエン酸を使用することにより、次のような利点もある。
第1に、クエン酸は酸性を示すので洗浄工程を含めた条件設定によってはリサイクルパルプのpHを弱酸性の範囲にコントロールすることができ、肌に優しい。
第2に、クエン酸は人体にとって有害物質ではないので、得られるリサイクルパルプにクエン酸が残留していたとしても、安全性が高い。
第3に、クエン酸はパルプ精製で使用する酸と比べてマイルドな弱酸であるので、得られるリサイクルパルプへのダメージを少なくすることができる。
第4に、クエン酸は比較的安価に入手できるので、回収再生費用を低減できる。
第5に、クエン酸は匂いがしないので、作業環境を悪化させない。
第6に、大掛かりな設備投資の必要がなく、現行設備で対応可能である。
クエン酸処理工程において使用するクエン酸水溶液の濃度は、所定のpHに調整ができ、灰分を充分に低減することができる濃度であれば、特に限定されないが、好ましくは5〜250モル/mである。濃度が薄すぎると、灰分を充分に低減することができない。濃度が高すぎると、クエン酸の浪費につながり、処理費用がかさむ。
酸処理工程において使用するクエン酸水溶液の量は、処理対象物が充分に浸る量であれば、特に限定されないが、処理対象物1kgに対し、好ましくは3〜50kg、より好ましくは3〜10kgである。水溶液の量が少なすぎると、灰分を充分に低減することができない。水溶液の量が多すぎると、クエン酸の浪費につながり、処理費用が増加する。
クエン酸処理工程は、pHが酸性の状態で行なわれる。すなわち、pHが7未満の状態で酸処理を行なう。分解工程においてアルカリ性のカルシウム化合物を用いたときは、酸処理工程に供されるパルプ繊維にはアルカリ性のカルシウム化合物が残留している場合があり、そのパルプ繊維をクエン酸水溶液に加えると、クエン酸水溶液のpHが変化する場合がある。クエン酸水溶液のpHがパルプ繊維を加える前と加えた後で異なる場合は、ここでいう酸処理工程のpHとは、パルプ繊維を加えた後のクエン酸水溶液のpHをいう。
pHの調整は、たとえば、処理槽にパルプ繊維と水を入れ、攪拌しながら、そこにクエン酸を添加していき、処理槽内の溶液のpHが所定のpHになったところでクエン酸の添加を止める。
クエン酸処理工程におけるpHは、好ましくは2〜6であり、より好ましくは2〜4.5であり、さらに好ましくは2〜3.5であり、もっとも好ましくは2〜3である。
pHが低すぎると、得られるリサイクルパルプの吸水倍率が低下する虞がある。灰分にのみ着目した場合は、pHが低くても、得られるリサイクルパルプを問題なく衛生用品として再利用することができるが、吸水倍率をも考慮すると、pHは2以上であることが好ましい。pHが低すぎると、得られるリサイクルパルプの吸水倍率が低下する理由は定かではないが、パルプ繊維自体が変性するためと考えられる。
pHが高すぎると、得られるリサイクルパルプの灰分が増加する傾向にある。7未満のpHで処理する限り、分解工程を経たパルプ繊維中に残存する灰分を、衛生用品として再利用することができる程度に低減することができるが、日本衛生材料工業連合会が定める生理処理用品材料規格が灰分0.65%以下を規定していることを考慮すると、pHは3.5以下であることが好ましい。
また、pHが高すぎると、得られるリサイクルパルプの吸水倍率が低下する傾向がある。pHが高い場合に、リサイクルパルプの吸水倍率が充分に回復しない理由は定かではないが、パルプ繊維の表面に不溶性または難溶性のカルシウム化合物等の無機物が付着することで、パルプ繊維の親水性が低下し、吸水倍率が低下すると考えられるところ、pHが高い場合には、パルプ繊維の表面に付着した不溶性または難溶性のカルシウム化合物等の無機物を充分に除去することができないため、吸水倍率が充分に回復しないものと考えられる。吸水倍率の観点からは、pHは4.5以下であることが好ましい。
クエン酸処理工程の時間は、灰分を低減することができる時間であれば、特に限定されないが、好ましくは1〜80分、より好ましくは2〜40分、さらに好ましくは4〜20分である。処理時間が短かすぎると、灰分を充分に低減することができない。処理時間が長すぎると、処理費用が増加する虞がある。
クエン酸処理工程の温度は、灰分を低減することができる温度であれば、特に限定されない。必要に応じて、クエン酸水溶液を加熱してもよいが、室温のままでもよい。
クエン酸処理工程において、クエン酸水溶液の攪拌は必須ではないが、適度に攪拌することが好ましい。
クエン酸処理工程は、分離工程よりも後に行なう。すなわち、脱水した高吸水性ポリマーからパルプ繊維を分離した後にクエン酸処理を行なう。脱水した高吸水性ポリマーが分離されていない段階でクエン酸処理を行なうと、高吸水性ポリマーの再吸水が起こり、処理効率が低下する。
クエン酸処理されたパルプ繊維は、水洗工程において、水洗することが好ましい。
パルプ繊維を水洗する方法は、限定するものではないが、たとえば、水ですすぎ洗いをすることにより行なうことができる。すすぎ洗いは、回分式で行なってもよいし、半回分式で行なってもよいし、流通式で行なってもよい。回分式で行なう場合は、たとえば洗濯機を用いてすすぎ洗いを行なうことができる。
水洗の条件は、パルプ繊維以外の物質が充分に除去される限り、特に限定されないが、たとえば、回分式の場合の水洗時間は、好ましくは1〜80分であり、より好ましくは2〜40分であり、さらに好ましくは4〜20分である。回分式で行う場合、使用する水の量は、水洗対象物1kgに対し、好ましくは3〜50kgであり、より好ましくは3〜10kgである。
水洗したパルプ繊維は、必要に応じて、脱水工程において、脱水してもよい。
水洗したパルプ繊維を脱水する方法は、限定するものではないが、たとえば、水洗したパルプ繊維を遠心分離機等の脱水機で脱水することにより行うことができる。
脱水の条件は、水分率を目標とする値まで下げることができる限り、特に限定されないが、たとえば、脱水時間は、好ましくは1〜10分であり、より好ましくは2〜8分であり、さらに好ましくは3〜6分である。
水洗工程と脱水工程は、1回ずつでもよいが、交互に複数回繰り返してもよい。
クエン酸処理され、必要に応じて水洗され、脱水されたパルプ繊維は、必要に応じて、乾燥工程において、乾燥される。
パルプ繊維を乾燥する方法は、限定するものではないが、たとえば、熱風乾燥機等の乾燥機を用いて行うことができる。
乾燥の条件は、パルプ繊維が充分に乾燥される限り、特に限定されないが、たとえば、乾燥温度は、好ましくは80〜200℃であり、より好ましくは90〜150℃であり、さらに好ましくは100〜120℃である。乾燥時間は、好ましくは10分〜30時間であり、より好ましくは20〜60分である。
乾燥後のパルプ繊維の水分率は、好ましくは5〜13質量%であり、より好ましくは6〜12質量%であり、さらに好ましくは7〜11質量%である。水分率が低すぎると、水素結合が強くなり、硬くなりすぎる場合があり、逆に、水分率が多すぎるとカビ等が発生する場合がある。
パルプ繊維の水分率は、次のように測定する。なお、この測定は、20℃±1℃の雰囲気において実施する。
(1)測定対象サンプルを入れる容器(ふたの無い容器)の質量A(g)を測定する。
(2)測定対象サンプル約5gを準備し、(1)で質量を測定した容器内に入れ、サンプルの入った容器の質量B(g)を測定する。
(3)サンプルの入った容器を、105℃±3℃の温度とされたオーブン内に2時間置く。
(4)サンプルの入った容器をオーブンから取り出し、デシケータ(乾燥剤:着色シリカゲルの入ったもの)内に30分間置く。
(5)サンプルの入った容器をデシケータから取り出し、質量C(g)を測定する。
(6)水分率(%)を、次式により算出する。
水分率(%)=(B−C)/(C−A)×100
乾燥されたパルプ繊維は、好ましくは、シート状、ロール状、または塊状など、衛生用品の製造設備に適応し易い形態に加工され、再利用される。
本発明の方法においては、カルシウム処理工程の直後に、水洗工程および/または脱水工程を設けてもよい。また、分解工程の直後に、水洗工程および/または脱水工程を設けてもよい。また、分離工程の直後に、水洗工程および/または脱水工程を設けてもよい。また、消毒工程の直後に、水洗工程および/または脱水工程を設けてもよい。これらの水洗工程、脱水工程は、酸処理工程後の水洗工程、脱水工程と同様に行なうことができる。
本発明の方法は、限定するものではないが、次の態様を含む。
(a)カルシウム処理工程→分解工程→分離工程→消毒工程→クエン酸処理工程
(b)カルシウム処理工程→分解工程→分離工程→消毒工程→クエン酸処理工程→脱水工程→乾燥工程
(c)カルシウム処理工程→分解工程→分離工程→消毒工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(d)カルシウム処理工程→分解工程→分離工程→消毒工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(e)カルシウム処理工程→分解工程→分離工程→消毒工程→水洗工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(f)カルシウム処理工程→分解工程→分離工程→脱水工程→消毒工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(g)カルシウム処理工程→分解工程→水洗工程→分離工程→脱水工程→消毒工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(h)カルシウム処理工程→水洗工程→分解工程→分離工程→脱水工程→消毒工程→水洗工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(i)カルシウム処理工程→水洗工程→分解工程→分離工程→水洗工程→脱水工程→消毒工程→水洗工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(j)カルシウム処理工程→分解・消毒工程→分離工程→クエン酸処理工程
(k)カルシウム処理工程→分解・消毒工程→水洗工程→分離工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(l)カルシウム処理・消毒工程→分解工程→分離工程→クエン酸処理工程
(m)カルシウム処理・消毒工程→水洗工程→分解工程→分離工程→水洗工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(n)カルシウム処理・分解・消毒工程→分離工程→クエン酸処理工程
(o)カルシウム処理・分解・消毒工程→水洗工程→分離工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
(p)分解工程→カルシウム処理工程→分離工程→消毒工程→クエン酸処理工程
(q)分解工程→カルシウム処理工程→水洗工程→分離工程→消毒工程→脱水工程→クエン酸処理工程→水洗工程→脱水工程→乾燥工程
本発明の方法により得られたリサイクルパルプは、好ましくは、4.0質量%未満の灰分を有する。さらに好ましくは、灰分が0.65質量%以下であり、生理用ナプキンに再利用可能なリサイクルパルプである。
なお、灰分の測定方法については、後述する。
本発明の方法により得られたリサイクルパルプは、好ましくは、7.0g/gの吸水倍率を有する。
吸水倍率の測定方法については、後述する。
本発明の方法により得られたリサイクルパルプは、好ましくは、そのリサイクルパルプ10gをイオン交換水100mLに加えて含浸したときの液のpHが弱酸性を呈する。ここで、弱酸性とは、pHが約3〜6の範囲であることをいう。
本発明の方法により得られたリサイクルパルプは、好ましくは、衛生用品を構成する吸収体、ティッシュおよび不織布の少なくとも1つに使用される。
この実施例では、特開2010−84031号公報に記載された方法によって製造された回収パルプをクエン酸処理し、クエン酸処理の効果を確認した。用いた回収パルプは、灰分が8.51質量%であり、吸水倍率が6.0g/gであった。灰分を成分分析したところ、灰分を構成する元素は、Caが93.055モル%、Siが6.046モル%、Kが0.535モル%、Feが0.179モル%、Srが0.125モル%、Zn0.059モル%であった。Ca成分が灰分の大部分を占めていることが分かった。さらに、X線分析によれば、Ca成分は、CaO、CaCO,Ca(OH)等の形態で存在していることが分かった。
前記回収パルプ15gを、種々の濃度のクエン酸溶液750gの入った2リットルのビーカーに入れて、攪拌機(EYELA製、型番:MAZELA Z−1210)を用いて600rpmの条件で10分間攪拌した。ビーカー内の上澄み液のpHをpHメーター(HORIBA社製、型番:Twin pH AS−212)で測定した。250メッシュのネットで水切りを行なった。回収パルプを再びビーカーに戻し、750gのイオン交換水で10分間すすぎ洗いを行なった。250メッシュのネットで水切りを行なった。105℃の熱風乾燥機で24時間乾燥させ、リサイクルパルプを得た。
得られたリサイクルパルプの灰分および吸水倍率を測定した。灰分および吸水倍率の測定方法は、後述のとおりである。
pH、灰分および吸水倍率を表1に示す。
[灰分]
灰分(質量%)は、生理用品材料規格の「5.灰分試験法」に従って測定した。具体的手順は次のとおりである。
あらかじめ白金製、石英製または磁製のるつぼを500〜550℃で1時間強熱し、放冷後、その質量Wを精密に量る。別に規定するもののほか、試料2〜4gを採取し、るつぼに入れ、その質量Wを精密に量り、必要ならばるつぼのふたをとるか、またはずらし、初めは弱く加熱し、徐々に温度を上げて500〜550℃で4時間以上強熱して、炭化物が残らなくなるまで灰化する。放冷後、その質量を精密に量る。再び残留物を灰化し、放冷後、その質量を精密に量り、恒量になるまで灰化、放冷、秤量を繰り返す。この方法で、なお炭化物が残り、恒量にならないときは、熱湯を加えて浸出し、定量分析用ろ紙を用いてろ過し、残留物はろ紙およびろ紙上の不純物と共に炭化物がなくなるまで強熱する。これにろ液を加えた後、蒸発乾固し、強熱する。放冷後、質量を精密に量る。この方法でも炭化物が残るときは、エタノール少量を加えて潤し、ガラス棒で炭化物を砕き、ガラス棒をエタノール少量で洗い、エタノールを注意して蒸発させた後、前と同様に操作する。なお、放冷はシリカゲルの入ったデシケーターで行う。恒量になった後の質量をWとする。灰分(質量%)は次式により算出する。
灰分(質量%)=(W−W)/(W−W)×100
[吸水倍率]
吸水倍率(g/g)は、いわゆる加圧D/W法(Demand Wettability法)によって測定した。
測定には、大洋クリエイト株式会社製Demand Wettability装置(以下「D/W装置」と略す。)を使用した。D/W装置の概要を図1に示す。図1中、1はビュレット部、2は0.9%塩化ナトリウム水溶液、3は液出口、4は支持板、5はナイロンネット、6はアクリル円筒、7はパルプ、8は錘、9はコック、10は空気流入細管、11はバルブ、12はゴム栓である。
測定の具体的手順は次のとおりである。
(1)D/W装置のビュレット部1に、0.9%塩化ナトリウム水溶液2を入れる。
(2)液出口3から液を1滴出した状態で、支持板4の上に、10cm四方の250メッシュナイロンネット(NBCメッシュテック社製)5を載せる。
(3)さらに液出口3と中心を合わせて内径33mmのアクリル円筒6を置き、精秤したパルプ1.00gをその中に充填する。
(4)パルプ7の上に、円筒内径に合わせた200gの錘8を載せる。
(5)コック9を開き、泡が出ると同時にストップウォッチをスタートさせる。
(6)60秒後にコック9を閉じ、円筒内のパルプ7の質量A(g)を測定する。
(7)次式により、吸水倍率(g/g)を算出する。
吸水倍率=(A−1.00)/1.00
Figure 2017031550
表1の結果から分かるように、pHが酸性の領域でクエン酸処理したものは、灰分が少なく、衛生用品として再利用可能なものであった。
また、pHが2以上の酸性の領域でクエン酸処理したものは7.0g/g以上の吸水倍率を有し、バージンパルプ(新品パルプ、未使用品のパルプ)に対し95%以上の吸水倍率の回復が見られた。吸水倍率については、pH1.94で処理すると、衛生用品として再利用可能な水準ではあるものの、吸水倍率が低下する傾向が見られる。理由は定かではないが、パルプ自体が変性している可能性が考えられる。
本発明の方法により得られたリサイクルパルプは、衛生用品として再利用することができる。特に、衛生用品を構成する吸収体、ティッシュおよび不織布に使用することができる。
1 ビュレット部
2 0.9%塩化ナトリウム水溶液
3 液出口
4 支持板
5 ナイロンネット
6 アクリル円筒
7 パルプ
8 錘
9 コック
10 空気流入細管
11 バルブ
12 ゴム栓

Claims (6)

  1. パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収し、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを製造する方法であって、該方法が、
    使用済み衛生用品を水溶性カルシウム化合物で処理することによって使用済み衛生用品中の高吸水性ポリマーを脱水するカルシウム処理工程、
    使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって使用済み衛生用品をパルプ繊維とその他の材料に分解する分解工程、
    分解工程において生成したパルプ繊維とその他の材料の混合物からパルプ繊維を分離する分離工程、
    消毒液による消毒工程、および
    pHが酸性の状態で、分離されたパルプ繊維をクエン酸水溶液で処理するクエン酸処理工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. クエン酸処理工程におけるpHが2〜6の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. さらに水洗工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法によって製造された、灰分が4.0質量%未満であるリサイクルパルプ。
  5. リサイクルパルプ10gをイオン交換水100mLに加えて含浸したときの液のpHが弱酸性を呈することを特徴とする請求項4に記載のリサイクルパルプ。
  6. リサイクルパルプが、衛生用品を構成する吸収体、ティッシュおよび不織布の少なくとも1つに使用されることを特徴とする請求項4または5に記載のリサイクルパルプ。
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