JP2017031486A - ケイ素合金/炭素複合体およびその製造方法 - Google Patents

ケイ素合金/炭素複合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性炭素材料の表面に均質な含ケイ素合金薄膜を形成できるケイ素合金/炭素複合体の製造方法を提供する。また、蓄電デバイス用負極の負極材料として使用したときに、蓄電デバイスの大容量化が実現できると共に、良好な充放電サイクル特性を示すケイ素合金/炭素複合体を提供する。
【解決手段】本発明に係るケイ素合金/炭素複合体の製造方法は、炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により導電性炭素材料の表面に含炭素薄膜を形成する工程(a)と、前記工程(a)の後、ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により前記導電性炭素材料に含ケイ素合金薄膜を形成する工程(b)と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、ケイ素合金/炭素複合体およびその製造方法に関する。詳しくは、導電性炭素材料の表面に均質な含ケイ素合金薄膜が形成されたケイ素合金/炭素複合体およびその製造方法に関する。
近年、電子機器の駆動用電源として、高電圧かつ高エネルギー密度を有する蓄電デバイスが要求されている。このような蓄電デバイスとしては、リチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタなどが期待されている。
蓄電デバイスの高出力化および高エネルギー密度化の要求を達成する観点から、リチウム吸蔵量の大きい材料を利用する検討が進められている。例えば、ナノメートルサイズのケイ素(シリコン)やケイ素合金(シリコン合金)を負極材料(活物質)として用いると大容量の蓄電デバイスが得られることが知られている。
現在の蓄電デバイス用負極の製造プロセスでは、負極材料のほかにバインダーや導電助剤といった容量に直接寄与しない材料が用いられている。これらの材料の使用量を減らすことで蓄電デバイスの大容量化が期待できるが、その一方で導電性を受け持つ炭素材料とシリコンとが密着した複合体の利用による大容量化が研究されている。例えばリチウムイオン電池への応用を目的としたケイ素/炭素複合体としては、グラファイトやカーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料とシリコンとの複合体が考えられる。
炭素材料へのシリコン被覆法としては、シランや他の揮発性シリコン前駆体を用いた化学気相成長法(CVD)が知られているが、市販のCNFをそのまま用いても均一な膜厚でシリコンを被覆することはできない(例えば、非特許文献1〜2参照)。そのため、非特許文献3〜4では、CNFに有機バインダーであるフッ化ポリビニリデン(PVdF)を混合し、加熱後シリコンCVDを行うことにより被膜の均一性の高いシリコン/CNF複合体を作製している。
この例に限らず炭素材料と他の無機/有機材料とを含む複合材料を作製する場合には、その物理化学的性質は異種材料同士の親和性に大きく影響される。電気/熱伝導性や摩擦特性など物理化学的特性を制御した新規な機能性複合材料の創出を目的として、CNFと高分子やプラスチックとの親和性が検討されている。また、CNFを前処理することによってCNFの機械的特性を向上させる検討もなされている。例えば特許文献1〜2には、電界紡糸で作製されたCNFを酸化処理する方法が開示されている。特許文献3〜4には、CNFを1100℃以下の高温の二酸化炭素で処理する方法が開示されている。特許文献5には、CNFを酸溶液で処理する方法が開示されている。
また、特許文献6には、アモルファスカーボン層を堆積させると、その後のシリコン層が均一性良く堆積できることが開示されている。特許文献7および特許文献8には、シリコン/カーボン多層膜構造を作製し、該カーボン層がシリコン層を保護する効果があることが開示されている。
さらに、特許文献9には、アセチレンを炭素源としたプラズマCVD法を用いてCNFを処理することにより、高分子との親和性を高め、複合体の電気、熱伝導率や摩擦特性などの物理化学的特性が向上することが開示されている。
中国特許出願公開第102074683号明細書 韓国公開特許第2005−0014033号公報 韓国公開特許第2003−0095694号公報 韓国登録第100744832号公報 韓国登録第101315486号公報 国際公開第2013/060790号 米国特許出願公開第2012/0264020号明細書 米国特許出願公開第2014/0021415号明細書 特開2006−213569号公報
Gerard K. Simon, Benji Maruyama, Michael F. Durstock, David J. Burton, Tarun Goswami, "Journal of Power Sources", 196, 10254-10257, 2011 Jane Y. Howe, David J. Burton, Yue Qi, Harry M. Meyer III, Maryam Nazri, G. Abbas Nazri, Andrew C. Palmer, Patrick D. Lake, "Journal of Power Sources",221, 455-461, 2013 C. K. Chan, H. Peng, G. Liu, K. McIlwrath, X. F. Zhang, R. A. Huggins, Y. Cui, "Nature Nanotechnol.", 3, 31, 2008 L.-F.-Cui, Y. Yang, C.-M. Hsu, Y. Cui, "Nano Lett.", 9, 3370, 2009
上述のように、これまでのCNFの表面処理の多くは樹脂との複合材向けの応用であり、機械的特性の向上を目的とするものであった。また、蓄電デバイスへの応用に関連したもので、特に気相中での処理のみを行う報告はこれまでにはなかった。
そして、上述のように、市販のCNFにそのままシリコンやシリコン合金を堆積させても、CNFの表面に粒子状のシリコンやシリコン合金が付着した状態となりやすく、均質な膜が得られなかった。CNFに粒子状のシリコンやシリコン合金が付着した状態では、CNFとシリコンやシリコン合金との電気的接触が失われやすいため、リチウム吸蔵に利用できるシリコンやシリコン合金の量が少なくなる。そのため、蓄電デバイスの大容量化を実現することができなかった。
また、シリコンやシリコン合金は、リチウムの吸蔵・放出に伴う体積変化が大きい。そのため、CNFの表面に均一な含シリコン薄膜が形成されていない場合、それを負極材料として使用すると、充放電を繰り返すことによってシリコンやシリコン合金が脱落するなどして負極が劣化するため、良好な充放電サイクル特性が得られなかった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、負極材料(活物質)の中でもシリコン合金に着目し、前記課題の少なくとも一部を解決することで、導電性炭素材料の表面に均質な含ケイ素合金薄膜を形成できるケイ素合金/炭素複合体の製造方法を提供するものである。
また、本発明に係る幾つかの態様は、蓄電デバイス用負極の負極材料として使用したときに、蓄電デバイスの大容量化が実現できると共に、良好な充放電サイクル特性を示すケイ素合金/炭素複合体を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るケイ素合金/炭素複合体の製造方法の一態様は、
炭素含有ガスを使用した化学気相成長法((以下、単に「CVD」ともいう。)により導電性炭素材料の表面に含炭素薄膜を形成する工程(a)と、
前記工程(a)の後、ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により前記導電性炭素材料に含ケイ素合金薄膜を形成する工程(b)と、
を含むことを特徴とする。
[適用例2]
本発明に係るケイ素合金/炭素複合体の製造方法の一態様は、
ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により導電性炭素材料の表面に含ケイ素合金薄膜を形成する工程(b)を含むことを特徴とする。
[適用例3]
適用例1または適用例2のケイ素合金/炭素複合体の製造方法において、
前記導電性炭素材料が、カーボンナノファイバーまたはグラファイトパウダーであることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のケイ素合金/炭素複合体の製造方法において、
前記炭素含有ガスが、置換基を有してもよい、炭素数1〜10の飽和炭化水素、炭素2〜10の不飽和炭化水素、炭素数3〜10の脂環式炭化水素および炭素数6〜30の芳香族炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種のガスであることができる。
[適用例5]
適用例4のケイ素合金/炭素複合体の製造方法において、
前記置換基が、アセチル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、B、P、S、FおよびClよりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のケイ素合金/炭素複合体の製造方法において、
前記ケイ素含有ガスが、下記一般式(1)で示されるガスであることができる。
Si2n+2 ・・・・・(1)
(式中、nは1〜6の整数である。)
[適用例7]
本発明に係るケイ素合金/炭素複合体の一態様は、
導電性炭素材料と、
ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により前記導電性炭素材料に形成された含ケイ素合金薄膜と、を含むことを特徴とする。
[適用例8]
適用例7のケイ素合金/炭素複合体において、
炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により前記導電性炭素材料の表面に
形成された含炭素薄膜の膜厚が0.1nm以上1000nm以下であることができる。
[適用例9]
適用例7または適用例8のケイ素合金/炭素複合体は、蓄電デバイス用負極の負極材料として用いられることができる。
本発明に係るケイ素合金/炭素複合体の製造方法によれば、導電性炭素材料の表面に均質な含ケイ素合金薄膜を形成することができる。このようなケイ素合金/炭素複合体を蓄電デバイスの負極材料として使用することで、大容量かつ良好な充放電サイクル特性を示す蓄電デバイスが得られる。
本実施形態で使用可能なCVD薄膜形成装置の構成を模式的に示す概略図である。 熱酸化膜付きシリコン基板上に形成された含炭素薄膜のSEM写真およびそのXPS深さ方向の元素プロファイルである。 含ケイ素合金薄膜が形成されたCNFのSEM写真である。 図3に示す各負極材料を用いて作製された半電池セルの充放電サイクル特性を示すグラフである。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
1.ケイ素合金/炭素複合体の製造方法
本実施の形態に係るケイ素合金/炭素複合体の製造方法では、CVD薄膜形成装置を使用して導電性炭素材料の表面にCVD薄膜を形成する。以下、本実施の形態で使用可能なCVD薄膜形成装置の構成、ケイ素合金/炭素複合体の製造方法の順に説明する。
なお、本発明における「ケイ素合金」とは、ケイ素と、他の金属元素あるいは非金属元素またはこれらの混合元素とからなり、好ましくはケイ素と非金属元素とからなる、金属的性質を有する材料のことをいう。
1.1.CVD薄膜形成装置
図1は、本実施の形態で使用可能なCVD薄膜形成装置の構成を模式的に示す概略図である。図1に示すように、CVD薄膜形成装置100は、導電性炭素材料1を載せたボート12が挿入可能な反応容器10と、反応容器10の周囲に配置されたファーネス(加熱手段)14と、キャリアガス(例えば窒素ガスなど)供給源であるキャリアガスシリンダ16と、炭素含有ガス供給源である炭素含有ガスシリンダ18と、ケイ素含有ガス供給源であるケイ素含有ガスシリンダ20と、反応容器10の下流側に設けられた真空ポンプ22と、を備えている。反応容器10やボート12は、石英(SiO)により形成されている。
キャリアガスシリンダ16は、ラインL1を通して反応容器10に接続されている。ラインL1には、図示しない開閉弁や流量調節器(例えばマスフローコントローラ)を設けてもよい。同様に、炭素含有ガスシリンダ18は、ラインL2を通して反応容器10に接続されており、ケイ素含有ガスシリンダ20は、ラインL3を通して反応容器10に接続されている。ラインL2およびラインL3についても、ラインL1と同様に、図示しない
開閉弁や流量調節器を設けてもよい。
真空ポンプ22は、排気ラインL4を通して反応容器10に接続されており、反応容器10の下流側に設けられている。真空ポンプ22を駆動することによって、排気ラインL4を通して反応容器10内のガスを排気しながら、反応容器10内の圧力を調整することができる。
1.2.ケイ素合金/炭素複合体の製造方法
本実施の形態に係るケイ素合金/炭素複合体の製造方法の第1の態様は、炭素含有ガスを使用した化学気相成長法により導電性炭素材料の表面に含炭素薄膜を形成する工程(a)と、前記工程(a)の後、ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により前記導電性炭素材料に含ケイ素合金薄膜を形成する工程(b)と、を含むことを特徴とする。また、本実施の形態に係るケイ素合金/炭素複合体の製造方法の第2の態様は、ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により導電性炭素材料に含ケイ素合金薄膜を形成する工程(b)を含むことを特徴とする。第1の態様及び第2の態様のケイ素合金/炭素複合体の製造方法では、上述したようなCVD薄膜形成装置100を使用することができる。以下、各工程について図1を参照しながら説明する。
1.2.1.工程(a)
工程(a)は、炭素含有ガスを使用したCVDにより導電性炭素材料の表面に含炭素薄膜を形成する工程である。かかる工程は、導電性炭素材料の表面に均質な含ケイ素合金薄膜を形成するための前処理工程に相当する。本発明者らの検討により、導電性炭素材料の表面にCVDにより均質な含炭素薄膜をあらかじめ形成しておくことにより、次の工程(b)において導電性炭素材料の表面にCVDにより均質な含ケイ素合金薄膜を形成することができることが明らかとなった。したがって、基材となる導電性炭素材料の表面が予め均質な状態であれば、上記第2の態様のように工程(a)を経ることなく工程(b)を行うことができる。
工程(a)は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、導電性炭素材料1をボート12に載せ、それを反応容器10に挿入する。ここで、「導電性炭素材料」とは、炭素を含有する材料であり、かつ、電気抵抗値が10Ω・cm以下の材料のことをいう。導電性炭素材料1としては、黒鉛(グラファイト)、非晶質炭素、炭素繊維、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンナノチューブ、コークス、活性炭等が挙げられる。これらの導電性炭素材料の中でも、容量および体積密度の観点から、カーボンナノファイバーまたはグラファイトパウダーであることが好ましい。
カーボンナノファイバーは、繊維の長手方向に延在する中空部を内部に有さない中実体であってもよいし、中空部を有する中空体であってもよい。また、カーボンナノファーバーは、15層以上の円筒形のグラフェンシート(炭素網層)を直径方向に同軸状に積層した円筒積層体であることが好ましく、当該円筒積層体の円筒面がC軸面となっていることがより好ましい。カーボンナノファイバーがこのような構造を有することにより、十分な機械的強度および弾性を有することができる。
カーボンナノファイバーの平均長さは、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。また、カーボンナノファイバーの平均直径は、10nm以上200nm以下であることが好ましい。
カーボンナノファイバーは、どのような方法で作製されてもよいが、気相成長法により作製することが好ましい。気相成長法により作製されたカーボンナノファイバーは、純度
が高く品質のバラツキを小さくすることができる。
グラファイトパウダーとしては、特に制限されず、天然グラファイト、合成グラファイト等が挙げられる。形状についても特に制限されない。
次いで、反応容器10にキャリアガスシリンダ16からラインL1を通して窒素ガスを導入して、反応容器10内を排気ラインL4により排気しながら、反応容器10内の圧力を0.01〜760Torr、好ましくは0.1〜600Torrの一定の圧力に保つように調整する。次いで、ファーネス14により反応容器10を600〜1200℃、好ましくは700〜1100℃に加熱する。
次いで、反応容器10の温度と圧力が一定となったら、炭素含有ガスシリンダ18からラインL2を通して炭素含有ガスを供給して、炭素含有ガス/窒素の混合ガスを反応容器10へ導入する。炭素含有ガス/窒素の混合ガスは、炭素含有ガスの濃度が0.1〜5%、好ましくは0.5〜3.5%となるように混合するとよい。また、炭素含有ガス/窒素の混合ガスの流量は、5〜500sccm、好ましくは10〜300sccm程度とする。図示の例では、炭素含有ガスシリンダ18から炭素含有ガスがキャリアガスの流れに合流するように描かれているが、炭素含有ガスシリンダ18にキャリアガスをバブリングして、炭素含有ガスを反応容器10に導入してもよい。
炭素含有ガスとしては、例えば、炭素数1〜10の飽和炭化水素、炭素2〜10の不飽和炭化水素、炭素数3〜10の脂環式炭化水素、炭素数6〜30の芳香族炭化水素等の炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
炭素数1〜10の飽和炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、およびこれらの構造異性体が挙げられる。炭素数2〜10の不飽和炭化水素としては、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、へプテン、オクテン、ノネン、デセン等のアルケン;アセチレン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ヘプシン、オクチン、ノチン、デシン等のアルキン;およびこれらの構造異性体や立体異性体が挙げられる。炭素数3〜10の脂環式炭化水素としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、およびこれらの構造異性体が挙げられる。炭素数6〜30の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アズレン、クリセン、ピレン、ベンゾピレン、コロネン等が挙げられる。
これらの炭化水素は、一つまたは複数の置換基を有していてもよい。置換基としては、アセチル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基等が挙げられる。また、これらの炭化水素は、その構造中に、B、P、S、FおよびClよりなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含有していてもよい。
次いで、所定の時間経過後に炭素含有ガスの供給を停止して、反応容器10を所定の温度まで降温させた後、反応容器10からボート12を取り出す。このようにして、導電性材料1の表面に含炭素薄膜が形成される。なお、含炭素薄膜の厚さを厚くしたい場合には、反応容器10内に炭素含有ガスを供給する時間を長くすることにより行うことができる。
導電性炭素材料1の表面に形成される含炭素薄膜は、後述する工程(b)により均質な含ケイ素合金薄膜を形成する観点から、導電性炭素材料1の表面全体に均質に形成されて
いることが好ましい。そして、導電性炭素材料1の表面に形成される含炭素薄膜の膜厚が、好ましくは0.1〜1000nm、より好ましくは1〜200nm、特に好ましくは10〜100nmとなるように、反応容器10内に炭素含有ガスを供給する時間が調節される。
1.2.2.工程(b)
工程(b)は、前記工程(a)の後または前記工程(a)を経ずに、ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により導電性炭素材料に含ケイ素合金薄膜を形成する工程である。工程(b)を経ることにより、導電性炭素材料の表面に均質な含ケイ素合金薄膜を形成することができる。
工程(b)は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、工程(a)で得られた含炭素薄膜で被覆された導電性炭素材料1または工程(a)を経ていない導電性炭素材料1をボートに載せ、それを反応器10に挿入する。なお、上記工程(a)では、含炭素薄膜で被覆された導電性炭素材料1を反応容器10から一旦取り出しているが、反応容器10から取り出さずに連続して工程(b)を行ってもよい。
次いで、真空ポンプ22を駆動させてラインL4を通して排気することにより反応容器10を真空状態にする。次いで、ファーネス14により反応容器10を450〜650℃、好ましくは500〜600℃に加熱する。
次いで、温度が一定となったら、反応容器10にキャリアガスシリンダ16からラインL1を通して窒素ガスを導入して、反応容器10内の圧力を0.01〜100Torr、好ましくは0.1〜50Torrの一定の圧力に保つように調整する。
次いで、反応容器10の温度と圧力が一定となったら、炭素含有ガスシリンダ18からラインL2を通して炭素含有ガスを供給して、炭素含有ガス/窒素の混合ガスを反応容器10へ導入する。炭素含有ガス/窒素の混合ガスは、炭素含有ガスの濃度が0.1〜5%、好ましくは0.5〜2.5%となるように混合するとよい。また、炭素含有ガス/窒素の混合ガスの流量は、5〜500sccm、好ましくは10〜300sccm程度とする。図示の例では、炭素含有ガスシリンダ18から炭素含有ガスがキャリアガスの流れに合流するように描かれているが、炭素含有ガスシリンダ18にキャリアガスをバブリングして、炭素含有ガスを反応容器10に導入してもよい。
炭素含有ガスとしては、例えば、炭素数1〜10の飽和炭化水素、炭素2〜10の不飽和炭化水素、炭素数3〜10の脂環式炭化水素、炭素数6〜30の芳香族炭化水素等の炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
炭素数1〜10の飽和炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、およびこれらの構造異性体が挙げられる。炭素数2〜10の不飽和炭化水素としては、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、へプテン、オクテン、ノネン、デセン等のアルケン;アセチレン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ヘプシン、オクチン、ノチン、デシン等のアルキン;およびこれらの構造異性体や立体異性体が挙げられる。炭素数3〜10の脂環式炭化水素としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、およびこれらの構造異性体が挙げられる。炭素数6〜30の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アズレン、クリセン、ピレン、ベンゾピレン、コロネン等が挙げられる。
これらの炭化水素は、一つまたは複数の置換基を有していてもよい。置換基としては、アセチル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基等が挙げられる。また、これらの炭化水素は、その構造中に、B、P、S、FおよびClよりなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含有していてもよい。
そして、炭素含有ガスの導入と同時に、ケイ素含有ガスシリンダ20からラインL3を通してケイ素含有ガスを供給して、ケイ素含有ガス/窒素の混合ガスを反応容器10へ導入する。ケイ素含有ガス/窒素の混合ガスは、ケイ素含有ガスの濃度が0.01〜3%、好ましくは0.1〜2%となるように混合するとよい。また、ケイ素含有ガス/窒素の混合ガスの流量は、1〜100sccm、好ましくは5〜50sccm程度とする。
ケイ素含有ガスとしては、形成される含ケイ素合金薄膜のケイ素の濃度を高める観点から、下記一般式(1)で示されるシラン(ポリシラン)であることが好ましい。
Si2n+2 ・・・・・(1)
(式中、nは1〜6の整数である。)
一般式(1)で示されるシラン(ポリシラン)の中でも、モノシラン、ジシラン、トリシランであることがより好ましい。
次いで、所定の時間経過後にケイ素含有ガスと炭素含有ガスの供給を停止して、反応容器10を所定の温度まで降温させた後、反応容器10を大気圧に戻し、反応容器10からボート12を取り出す。このようにして、導電性材料1の表面に含ケイ素合金薄膜が形成される。なお、含ケイ素合金薄膜の厚さを厚くしたい場合には、反応容器10内にケイ素含有ガス及び炭素含有ガスを供給する時間を長くすることにより行うことができる。導電性炭素材料1の表面に形成される含ケイ素合金薄膜の膜厚は、蓄電デバイスの負極材料として用いた場合に、蓄電デバイスの大容量化を図る観点からできる限り厚い方が望ましい。
2.ケイ素合金/炭素複合体
本実施の形態に係るケイ素合金/炭素複合体は、上述の製造方法により得られるものである。すなわち、本実施の形態に係るケイ素合金/炭素複合体は、導電性炭素材料と、ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により前記導電性炭素材料に形成された含ケイ素合金薄膜と、を含むことを特徴とする。上述の製造方法によれば、導電性炭素材料の表面に均質な含ケイ素合金薄膜を形成することができる。導電性炭素材料の表面に均質な含ケイ素合金薄膜が形成されることで、導電性炭素材料と含ケイ素合金薄膜との接触面積が大きくなるとともに、後述する導電助剤を含ケイ素合金薄膜に効率的に付着させることが可能となる。これにより、本実施の形態に係るケイ素合金/炭素複合体を蓄電デバイスの負極材料として使用した場合に、大容量の蓄電デバイスが得られるものと考えられる。本実施の形態に係るケイ素合金/炭素複合体は、蓄電デバイス用負極の負極材料として好適である。
また、ケイ素合金は、リチウムイオンの挿入・脱離によってその体積が大きく膨張・収縮する。したがって、充放電を繰り返すことによって、ケイ素合金が集電体から脱離するなどして、導電ネットワークが寸断されることがあった。導電性炭素材料の表面に均質な含ケイ素合金薄膜が形成されることで、ケイ素合金が集電体から脱離することを低減できると考えられる。そのため、本実施の形態に係るケイ素合金/炭素複合体を蓄電デバイスの負極材料として使用した場合に、良好な充放電サイクル特性を示す蓄電デバイスが得られるものと考えられる。
3.蓄電デバイス用負極
蓄電デバイス用負極は、集電体の表面上に活物質層が形成された構造を有している。集電体は、導電性材料からなるものであれば特に制限されない。例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属製の集電体が使用されるが、銅を使用することが好ましい。集電体の形状および厚さは、特に制限されないが、厚さ0.0001〜0.5mm程度の箔状のものとすることが好ましい。
活物質層は、負極材料(活物質)として上述のケイ素合金/炭素複合体、それ以外の成分として、導電助剤、バインダーなどを含有している。
導電助剤としては、主にカーボンが使用される。カーボンとしては、グラファイト、活性炭、アセチレンブラック、ファーネスブラック、黒鉛、炭素繊維、フラーレン等が挙げられる。導電助剤の使用割合は、負極材料100質量部に対して、通常20質量部以下、より好ましくは1〜15質量部である。
バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)等のフッ素含有ポリマー;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル系ゴム、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スルホン化EPDM等のゴム類;アクリル系樹脂(例えば(メタ)アクリル酸エステルを主構成単量体とする樹脂、ポリアクリル酸等)等が挙げられる。バインダーの使用割合は、負極材料100質量部に対して、通常30〜200質量部、より好ましくは50〜150質量部である。
また、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ジアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール;ポリエチレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド等のポリマー材料を増粘剤として使用することができる。
蓄電デバイス用負極は、ケイ素合金/炭素複合体、導電助剤、およびバインダーを混練してペーストを調製し、該ペーストを集電体の表面に塗布して乾燥させることにより作製することができる。ペーストを調製する際の混練は、公知の手法によって行うことができ、例えばニーダー等の混練機を使用することができる。また、ペーストの集電体への塗布方法についても特に制限はなく、ドクターブレード法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法等の適宜の方法によって行うことができる。
活物質層の厚さは、好ましくは0.005〜5mm程度、より好ましくは0.01〜2mmである。活物質層の厚さが前記範囲内にあることによって、活物質層に電解液を効率的に染み込ませることができる。その結果、活物質層中の活物質と電解液との充放電に伴う金属イオンの授受が容易に行われるため、電極抵抗をより低下させることができる点で好ましい。また、活物質層の厚さが前記範囲内にあることで、電極を折り畳んだり、捲回するなどして加工する場合においても、活物質層が集電体から剥離することなく密着性が良好で、柔軟性に富む蓄電デバイス用負極が得られる点で好ましい。
4.実施例
4.1.CNFの前処理工程(工程(a))
(1)アセチレンCVDによるCNFの前処理
図1に示すようなCVD装置を使用して、CNFの表面に含炭素薄膜を形成した。まず、25mgのCNF(商品名「Pyrograf(R)−III」、型番「PR−25−XT−HHT」、Sigma Aldrich社製)と熱酸化膜付きシリコン基板(Si
、厚さ100nm)の小片を石英ボートに載せ、それらを石英製反応容器に挿入した。この反応容器に200sccmの窒素ガスを導入し、圧力600Torrとし、反応容器を1000℃に加熱した。反応容器の温度と圧力が一定になったら、アセチレン/窒素混合ガス(濃度1%)を100sccm導入した。所定の時間経過後、アセチレンガスの供給を停止し、反応容器を室温まで放冷した。冷却後反応容器を大気圧にし、処理したCNF試料を回収した。熱酸化膜付きシリコン基板上に成膜した試料のSEM写真を図2(a)に示す。また、熱酸化膜付きシリコン基板(SiO、厚さ100nm)上に成膜した試料のXPS深さ方向の元素プロファイルを図2(b)に、数値データを表1にそれぞれ示す。図2(a)のSEM写真より、含炭素薄膜の成膜速度は約3.5nm/minと見積もられ、図2(b)および表1よりXPS深さ方向の組成が均一であることが確認された。
(2)ヘキサンCVDによるCNFの前処理
図1に示すようなCVD装置を使用して、CNFの表面に含炭素薄膜を形成した。まず、25mgのCNF(商品名「Pyrograf(R)−III」、型番「PR−25−XT−HHT」、Sigma Aldrich社製)と熱酸化膜付きシリコン基板(SiO、厚さ100nm)の小片を石英ボートに載せ、それらを石英製反応容器に挿入した。この反応容器に200sccmの窒素ガスを導入し、圧力100Torrとし、反応容器を800℃に加熱した。反応容器の温度と圧力が一定になったら、ヘキサン/窒素混合ガスを導入した。ヘキサン供給量は、容器の温度と供給ラインの圧力により制御され、典型的には反応容器に導入するヘキサン濃度は約2%であった。所定の時間経過後、ヘキサンの供給を停止し、反応容器を室温まで放冷した。冷却後反応容器を大気圧にし、処理したCNF試料を回収した。熱酸化膜付きシリコン基板上に成膜した試料のSEM写真を図2(c)に示す。また、熱酸化膜付きシリコン基板上に成膜した試料のXPS深さ方向の元素プロファイルを図2(d)に、数値データを表1にそれぞれ示す。図2(c)のSEM写真より、含炭素薄膜の成膜速度は約7nm/minと見積もられ、図2(d)および表1よりXPS深さ方向の組成が均一であることが確認された。
(3)アセトンCVDによるCNFの前処理
図1に示すようなCVD装置を使用して、CNFの表面に含炭素薄膜を形成した。まず、25mgのCNF(商品名「Pyrograf(R)−III」、型番「PR−25−XT−HHT」、Sigma Aldrich社製)と熱酸化膜付きシリコン基板(SiO、厚さ100nm)の小片を石英ボートに載せ、それらを石英製反応容器に挿入した。この反応容器に200sccmの窒素ガスを導入し、圧力100Torrとし、反応容器を950℃に加熱した。反応容器の温度と圧力が一定になったら、アセトンの容器に窒素ガスを20sccmバブリングし、別に導入した窒素ガス80sccmと混合して反応容器にアセトン/窒素混合ガスを導入した。アセトン供給量は、容器の温度と供給ラインの圧力により制御され、典型的には反応容器に導入するアセトン濃度は約3.5%であった。所定の時間経過後、アセトンの供給を停止し、反応容器を室温まで放冷した。冷却後反応容器を大気圧にし、処理したCNF試料を回収した。熱酸化膜付きシリコン基板上に成膜した試料のSEM写真を図2(e)に示す。また、熱酸化膜付きシリコン基板上に成膜した試料のXPS深さ方向の元素プロファイルを図2(f)に、数値データを表1にそれぞれ示す。図2(e)のSEM写真より、含炭素薄膜の成膜速度は約1.5nm/minと見積もられ、図2(f)および表1よりXPS深さ方向の組成が均一であることが確認された。
(4)アセトニトリルCVDによるCNFの前処理
図1に示すようなCVD装置を使用して、CNFの表面に含炭素薄膜を形成した。まず、25mgのCNF(商品名「Pyrograf(R)−III」、型番「PR−25−XT−HHT」、Sigma Aldrich社製)と熱酸化膜付きシリコン基板(Si
、厚さ100nm)の小片を石英ボートに載せ、それらを石英製反応容器に挿入した。この反応容器に200sccmの窒素ガスを導入し、圧力400Torrとし、反応容器を1000℃に加熱した。反応容器の温度と圧力が一定になったら、アセトニトリルの容器に窒素ガスを20sccmバブリングし、別に導入した窒素ガス80sccmと混合して反応容器にアセトニトリル/窒素混合ガスを導入した。アセトニトリル供給量は、容器の温度と供給ラインの圧力により制御され、典型的には反応容器に導入するアセトニトリル濃度は約1.5%であった。所定の時間経過後、アセトニトリルの供給を停止し、反応容器を室温まで放冷した。冷却後反応容器を大気圧にし、処理したCNF試料を回収した。熱酸化膜付きシリコン基板上に成膜した試料のSEM写真を図2(g)に示す。また、熱酸化膜付きシリコン基板上に成膜した試料のXPS深さ方向の元素プロファイルを図2(h)に、数値データを表1にそれぞれ示す。図2(g)のSEM写真より、含炭素薄膜の成膜速度は約2.5nm/minと見積もられ、図2(h)および表1よりXPS深さ方向の組成が均一であり、含炭素薄膜中に約2原子%の窒素が導入されていることが確認された。
4.2.前処理済みCNFへのシリコン合金コーティング(工程(b))
図1に示すようなCVD装置を使用して、上記(1)で得られたアセチレンCVDによる前処理済みCNFの表面に含ケイ素合金薄膜を形成した。まず、上記で得られたアセチレンCVDによる前処理済みCNFを石英ボートに載せ、石英製反応容器に挿入した。なお、ここで、上記(1)で得られたアセチレンCVDによる前処理済みCNFを回収せずに、そのままシリコン合金コーティングを行ってもよい。次いで、この反応容器を真空に排気し、反応容器の温度を550℃に加熱した。反応容器の温度が一定になったら、380sccmの窒素ガスを導入し、圧力を10Torrとし、希釈シランガス(10%、Ar希釈ガス)20sccmと混合して反応容器にシラン/炭素含有ガス/窒素混合ガスを導入した。典型的には反応容器に導入するシラン濃度は約2%、炭素含有ガス濃度は0.75〜2%であった。所定の時間経過後、シランと炭素含有ガスの供給を停止し、反応容器を室温まで放冷した。冷却後反応容器を大気圧にし、処理したCNF試料を回収した。このようにして得られた試料のSEM写真を図3に示す。図3(a)は、前記炭素含有ガスとしてヘキサンを、図3(b)はアセトンを、図3(c)はアセトニトリルを、図3(d)はメタノールを、それぞれ使用して処理されたCNF試料のSEM写真である。図3のSEM写真より、いずれの炭素含有ガスを使用した場合もCNFの表面に含ケイ素合金
薄膜が均質に形成されていることが確認された。各種炭素含有ガスを用いた時の成膜条件、含ケイ素合金薄膜の成膜速度及び組成を表2に示す。
なお、アセチレンCVDによる前処理済みCNFに代えて、上記(2)〜(4)の前処理を行ったCNFを用いてシリコン合金コーティングを行ったところ、上記アセチレンCVDによる前処理済みCNFを用いた場合と同様の結果となった。
4.3.電池セルの作製と充放電性能試験
上記で作製されたシリコン合金/CNF複合体を用いて半電池セル(CR−2032型)を作製した。まず、上記で作製されたシリコン合金/CNF複合体40mg、カーボンブラック2.5mg、バインダー水溶液(スチレンブタジエンラテックス、固形分濃度15wt%)180mgとともに乳鉢で混合しペーストを作製した。このペーストを銅箔に塗布して、60℃で1時間乾燥させた。乾燥後銅箔を14mm径の円盤として切り出し、電池負極とした。次いで、アルゴンガスで充填されたグローブボックス中でコインセルを組み立てた。正極としてリチウム箔、電解質として1MのLiPF/エチレンカーボネート・ジエチルカーボネート(体積比1:2)を用いた。
充放電サイクル特性の評価には、Arbin社製、MSTAT4 ポテンシオスタット、ガルバノスタットを用い、C/10のレート(完全に充放電するのに10時間を要する)、0.02−1.5Vの範囲で行った。図4に、未処理のCNF(HHT CNF)、前処理後にシリコン合金コーティングしたCNFの充放電サイクル特性を示すグラフを示す。また、表3に、各CNFの最大容量および10サイクル後の容量保持率を示す。図4及び表3に示される結果から、シリコン合金コーティング処理をしたCNFは、10サイクル後でも高い容量保持率を示しており、良好な充放電サイクル特性を示すことが判明した。
なお、CNFの表面が均質な状態である場合、シリコン合金とCNFの密着性は高いと考えられる。したがって、かかる場合には、含炭素薄膜を形成する工程(a)を実施することなく、導電性炭素材料に直接ケイ素含有ガスと炭素含有ガスとを併用したCVDにより含ケイ素合金薄膜を形成する工程(b)を実施することができると推察される。
1…導電性炭素材料、10…反応容器、12…ボート、14…ファーネス、16…キャリアガスシリンダ、18…炭素含有ガスシリンダ、20…ケイ素含有ガスシリンダ、22…真空ポンプ、100…CVD薄膜形成装置

Claims (9)

  1. 炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により導電性炭素材料の表面に含炭素薄膜を形成する工程(a)と、
    前記工程(a)の後、ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により前記導電性炭素材料に含ケイ素合金薄膜を形成する工程(b)と、
    を含む、ケイ素合金/炭素複合体の製造方法。
  2. ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により導電性炭素材料の表面に含ケイ素合金薄膜を形成する工程(b)を含む、ケイ素合金/炭素複合体の製造方法。
  3. 前記導電性炭素材料が、カーボンナノファイバーまたはグラファイトパウダーである、請求項1または請求項2に記載のケイ素合金/炭素複合体の製造方法。
  4. 前記炭素含有ガスが、置換基を有してもよい、炭素数1〜10の飽和炭化水素、炭素2〜10の不飽和炭化水素、炭素数3〜10の脂環式炭化水素および炭素数6〜30の芳香族炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種のガスである、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のケイ素合金/炭素複合体の製造方法。
  5. 前記置換基が、アセチル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、B、P、S、FおよびClよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載のケイ素合金/炭素複合体の製造方法。
  6. 前記ケイ素含有ガスが、下記一般式(1)で示されるガスである、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のケイ素合金/炭素複合体の製造方法。
    Si2n+2 ・・・・・(1)
    (式中、nは1〜6の整数である。)
  7. 導電性炭素材料と、
    ケイ素含有ガスと炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により前記導電性炭素材料に形成された含ケイ素合金薄膜と、を含む、ケイ素合金/炭素複合体。
  8. 炭素含有ガスを使用した化学気相成長法(CVD)により前記導電性炭素材料の表面に形成された含炭素薄膜の膜厚が0.1nm以上1000nm以下である、請求項7に記載のケイ素合金/炭素複合体。
  9. 蓄電デバイス用負極の負極材料として用いられる、請求項7または請求項8に記載のケイ素合金/炭素複合体。
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