JP2017031140A - ラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
その他の医薬品用添加剤として用いられる抗酸化剤として、アスコルビン酸やその脂溶性誘導体であるパルミチン酸アスコルビルが知られているが、これらもBHTのような合成抗酸化剤よりも抗酸化効果は劣るため、ラパマイシン類を含む医薬製剤への適用には不十分である。
[1] (A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する医薬組成物。
本発明では、ラパマイシン又はその誘導体とトレハロースを組み合せて含有させた医薬組成物とすることでラパマイシン又はその誘導体の安定性が向上した組成物を調製することができる。
[2] (A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する溶液を調製し、溶媒を除去することにより調製される前記[1]に記載の医薬組成物。
ラパマイシン又はその誘導体とトレハロースの混合態様としては、両者を含む溶液を調製した後、そこから得られる固体混合物とすることが好ましい。このような固体混合物は、ラパマイシン又はその誘導体とトレハロースが分子レベルで会合した混合物であり、化学構造体や特性等で表すことが困難である。そこで、本発明に係る(A)ラパマイシン又はその誘導体と(B)トレハロースを含有する医薬組成物のより詳細な態様を、前記[2]で示される製造方法により特定されるラパマイシン又はその誘導体とトレハロースを含有する固体混合物として表すことが適当であり、発明の明確性の要件を充足しているものと考える。
[3] (A)ラパマイシン又はその誘導体1質量部に対し、(B)トレハロースを0.1〜100.0質量部を含む前記[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4] 更に、抗酸化剤を含有する前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の医薬組成物。
本発明の医薬組成物において、ラパマイシン又はその誘導体の酸化による含量低下を抑制するために、更に抗酸化剤を添加しても良い。
[5] セルロース誘導体及び/又は糖類を含む前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の医薬組成物。
[6] 前記[1]〜[5]の医薬組成物を含有する医薬製剤。
[7] (A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する溶液を調製し、溶媒を除去する工程を含む、ラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬組成物の製造方法。
上記製造方法により、ラパマイシン又はその誘導体とトレハロースが分子レベルで会合した固体混合物を調製することができる。更に抗酸化剤を用いる場合は、溶液調製時に添加しても良く、該固体混合物に対して添加しても良い。
[8] (A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する溶液を調製し、これにセルロース誘導体及び/又は糖類を添加して、溶媒を除去する工程を含む、ラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬製剤の製造方法。
[9](A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する溶液を調製し、溶媒を除去することにより調製されるラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬組成物を得る工程、及び前記医薬組成物にセルロース誘導体及び/又は糖類を添加する工程を含む、ラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬製剤の製造方法。
上記[8]又は[9]の製造方法のように、ラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬製剤の調製において、医薬添加剤として用いるセルロース誘導体及び/又は糖類は、ラパマイシン又はその誘導体とトレハロースが分子レベルで会合した固体混合物調製段階で添加しても良く、該固体混合物を調製した後に添加しても、そのどちらでも良い。
本発明の医薬組成物及び医薬製剤は、癌原性や生殖毒性が懸念されるBHTの使用を回避した製剤処方であり、安定性と安全性を確保したラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬製剤である。
ラパマイシン(一般名 シロリムス)は、イースター島の土壌から分離された放線菌Streptomyces Hygroscopicusの代謝産物から単離されたマクロライド骨格を有する化合物である。
ラパマイシン誘導体としては、ラパマイシンのシクロヘキシル基の40位ヒドロキシル基がヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アシルアミノアルキル基及びアミノアルキル基、ヒロドキシ置換アシル基で置換されている40−O−置換ラパマイシン誘導体が好ましい。
より好ましいラパマイシン誘導体としては、40−O−(2−ヒドロキシエチル)ラパマイシン(;エベロリムス)、40−O−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]ラパマイシン(;テムシロリムス)である。
該(A)ラパマイシン又はその誘導体は、医薬品として用いることができる品質レベルの化合物を用いることが好ましい。
本発明において、(B)に係るトレハロース及び/又はトレハロース誘導体は、それぞれを単独で用いても良く、併用して用いても良い。
トレハロースを用いることが好ましい。
ラパマイシン又はその誘導体の安定性確保と、医薬品添加剤の現実的な使用量を考慮すると、(A)ラパマイシン又はその誘導体1質量部に対し、(B)トレハロースは0.1〜100質量部で用いることが好ましい。より好ましくは0.2〜50質量部であり、更に好ましくは0.5〜20質量部であり、0.5〜10質量部あることが殊更に好ましい。
また、(A)ラパマイシン又はその誘導体又は(B)トレハロースの何れか一方の成分の溶液を調製し、これを固体状態のもう一方の成分と混合し、任意に機械的に混合する方法でも良い。
(A)ラパマイシン又はその誘導体と(B)トレハロースを含有する溶液を調製するために、用いることができる溶媒としては、(A)ラパマイシン又はその誘導体と(B)トレハロースが共に溶解するものであれば限定されずに用いることができる。例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、エチレングリコール、グリセリン、ギ酸、酢酸、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、アセトニトリル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。また、これらの溶媒は単独で用いても良く、2種類以上の溶媒を用いた混合溶媒でもよい。これらの溶媒に限定されるものではないが、適用する好ましい溶媒として挙げることができる。
該溶媒は後に除去することを考慮すると、温和な条件で溜去することが可能である沸点が120℃以下の溶媒を用いることが好ましく、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ペンタン、へプタン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテルが好ましい。
また、溶液調製において、適宜加温をして(A)ラパマイシン又はその誘導体及び(B)トレハロースの溶解を促しても良い。溶液調製時の溶液温度は、特に限定されるものではないが、(A)ラパマイシン又はその誘導体の安定性を考慮して0〜80℃で溶液を調製することが好ましい。
前記晶析用溶媒としては、(A)ラパマイシン又はその誘導体及び(B)トレハロースの溶液に対して混和可能で、且つ(A)及び(B)が不溶性又は難溶性溶媒であれば特に限定することなく適用することができる。該晶析用溶媒としては、水、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等を挙げることができる。晶析用溶媒の種類や使用量は、溶液調製溶媒の種類や量に応じて、適宜、設定して良い。
(A)ラパマイシン又はその誘導体及び(B)トレハロースを含む溶液に、晶析用溶媒を添加し、(A)及び(B)を含む固体混合物を晶析させ、任意に冷却することにより晶析を促し懸濁液を調製し、濾過法により溶媒を除去することで固体混合物を得ることができる。
該抗酸化剤は、ラパマイシン又はその誘導体の安定性を損なわない程度の量で適宜用いることができる。抗酸化剤を用いる場合の添加量は特に制限されるものではないが、(A)ラパマイシン又はその誘導体1質量部に対し、抗酸化剤は0.1〜100質量部で用いることが好ましい。より好ましくは0.1〜50質量部であり、更に好ましくは0.5〜20質量部である。
本発明の医薬組成物において抗酸化剤を用いる場合、(A)ラパマイシン又はその誘導体及び(B)トレハロース、並びに抗酸化剤を含有する溶液を調製して、溶媒を除去することにより(A)、(B)及び抗酸化剤を含む固体混合物として用いることが好ましい。該固体混合物を得る方法において、溶媒を除去する方法としては、前述した方法と同様に、溶媒を溜去する方法、晶析して濾過する方法が挙げられる。溶媒を溜去する方法として、噴霧乾燥方法を用いても良い。
セルロース誘導体としては、医薬品製剤調製において通常用いられている添加剤であれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等を挙げることができる。結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましい。
前記セルロース誘導体及び/又は糖類は、単独で用いても複数種類で併用して用いても良い。
すなわち、セルロース誘導体及び/又は糖類は、(A)ラパマイシン又はその誘導体、(B)トレハロース及び任意の抗酸化剤に対して添加して混合物を調製して用いられる(添加方法1)。また、(A)と(B)並びに任意の抗酸化剤を含む溶液から調製される固体混合物に対して、該セルロース誘導体及び/又は糖類を添加して混合物を調製しても良い(添加方法2)。
これら、セルロース誘導体及び/又は糖類と、(A)、(B)及び任意の抗酸化剤を固体同士で混合する場合、混合機等を用いて機械的に混合処理を施して十分に分散させることが好ましい。
前記添加方法3は、(A)、(B)及び任意の抗酸化剤を含む溶液に、セルロース誘導体及び/又は糖類を添加する方法であるが、この場合、該溶液にセルロース誘導体及び/又は糖類が溶解する必要はなく、懸濁液状態であっても良い。この混合体から、溶媒を除去して、(A)、(B)及び任意の抗酸化剤を含む固体混合物とセルロース誘導体及び/又は糖類の混合物を調製することができる。溶媒の除去方法としては、溶媒を溜去する方法が挙げられる。減圧下で溶媒を溜去することが好ましい。また、噴霧乾燥法を用いて溶媒除去する方法を採用しても良い。
前記晶析用溶媒を添加して懸濁液を調製し、濾過により溶媒を除去することにより、(A)、(B)及び任意の抗酸化剤を含む固体混合物とセルロース誘導体及び/又は糖類の混合物を調製することができる。
賦形剤としては、ラクトース、マルトース、マンニトール、スクロース、エリスリトール、ソルビトール、フコース、キシリトール、フルクトース、イノシトール、デンプン等を挙げることができる。
崩壊剤としては、カルメロース、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム等を挙げることができる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ピプロメロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリン酸ナトリウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。
pH調整剤としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、メシル酸、トシル酸、ベシル酸等を挙げることができる。これらの酸性添加剤を主成分として、これにアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を含んだ緩衝剤を用いても良い。
無機塩類としては塩化カルシウム、塩化ナトリウム、酸化カルシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
溶剤としては、通常、水、生理食塩水、5%ブドウ糖又はマンニトール水溶液、水溶性有機溶媒(例えば、グリセロール、エタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ポリエチレングリコール、クレモフォア等の単一溶媒又はこれらの混合溶媒)、ポリエチレングリコール類(例えば、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール4000等)が挙げられる。
これらの添加剤は、医薬品製剤用途で許容される純度であれば特に制限されることなく用いることができる。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬組成物又は医薬製剤を調製する際に、任意に使用される。
この医薬品としての製剤形は、錠剤、分散錠、チュアブル錠、発泡錠、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、浸剤・煎剤、舐剤、シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、口腔内崩壊錠、ゼリー剤、等の内用剤、坐剤、パップ剤、プラスター剤、軟膏剤、クリーム剤、ムース剤液、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤等の外用剤を挙げることができる。これらの製剤形に限定されるものではないが、適用する好ましい製剤形として挙げることができる。
また、本発明の医薬組成物を注射剤として用いる場合、水性注射剤、非水性注射剤、懸濁性注射剤、乳濁性注射剤、用時溶解又は懸濁して用いる製剤形として、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、中心静脈内注射、動脈内注射、脊髄腔内注射等が挙げられる。これらに限定されるものではないが、適用する好ましい製剤形、投与経路として挙げることができる。
試験管にエベロリムス 70mgを秤量し、EtOH 350μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この溶液にトレハロース二水和物(和光純薬工業社製)水溶液(829mg/mL)100μL加えた。この混合溶液を無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)630mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)70mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、実施例1のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
試験管にエベロリムス 70mgを秤量し、EtOH 200μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この溶液を無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)630mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)70mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、比較例1のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
試験管にエベロリムス 70mgを秤量し、ジヒドロキシブチルトルエン(BHT、MERCK社製)EtOH 溶液(14mg/mL)100μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この混合溶液にEtOH 100μLを加え希釈後、無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)630mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)70mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、比較例2のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
試験管にエベロリムス 70mgを秤量し、DL−α−トコフェロール(理研Eオイル1000、理研ビタミン社製)EtOH 溶液(14mg/mL)100μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この混合溶液にEtOH 100μLを加え希釈後、無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)630mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)70mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、比較例3のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
実施例1及び比較例1〜3の医薬組成物約600mgを褐色サンプル瓶に採取し、蓋をしないで、遮光下60℃/飽和塩化コバルト水溶液にて調湿したデシケータ内に保存した。
保存7日後及び14日後のエベロリムスの残存量を液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定し、各時点におけるエベロリムスの残存率を算出した。なお残存率は以下の式に従い算出した。結果を表1に示した。
エベロリムス残存率(%)=(各時点におけるHPLC測定エベロリムスピーク面積/粉体秤量値)/(保存前(イニシャル)におけるHPLC測定エベロリムスピーク面積/粉体秤量値)×100
なお、本試験例における液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたエベロリムス含量分析は、以下の条件にて測定した。
・測定カラム:Zorbax Eclipse XDB-C18, Rapid resolution HT,100mm×4.6mm,1.8μm
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長 278nm)
・カラム温度:
・移動相A: 0.1%ギ酸,移動相B:メタノール/アセトニトリル = 50/50
・移動相の濃度勾配:
時間(分) 0 5 17 22 24 25 28
移動相A(v%) 46 46 →25 →10 10 →46 46
移動相B(v%) 64 64 →75 →90 90 →64 64
・流量:1.5mL/min.
・注入量:10μL
比較例2で用いたBHTは自身が酸化されることにより、エベロリムスの酸化を抑制する抗酸化剤である。比較例2に係るBHTを用いた医薬組成物は、7日目以降、急激なエベロリムスの分解が認められており、BHTの消費が推測される。本発明に係る実施例1は、比較例に比べて安定化効果が長期持続する優れた性能を有することが明らかとなった。
試験管にエベロリムス 50mgを秤量し、EtOH 300μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この溶液にトレハロース二水和物(和光純薬工業社製)水溶液(592.25mg/mL)133.34μL、及びアスコルビン酸ナトリウム塩(扶桑化学工業社製)水溶液(100mg/mL)10μL加えた。この混合溶液を無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)450mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)50mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、実施例2のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
試験管にエベロリムス 50mgを秤量し、アスコルビン酸(扶桑化学工業社製)EtOH 溶液(10mg/mL)100μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この混合溶液にEtOH 200μLを加え希釈後、トレハロース二水和物(和光純薬工業社製)水溶液(592.25mg/mL)133.34μLを加えた。この混合溶液を無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)450mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)50mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、実施例3のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
試験管にエベロリムス 50mgを秤量し、EtOH 300μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この溶液にトレハロース二水和物(和光純薬工業社製)水溶液(592.25mg/mL)200μL加えた。この混合溶液を無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)450mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)50mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、実施例4のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
試験管にエベロリムス 50mgを秤量し、ジヒドロキシブチルトルエン(BHT、MERCK社製)EtOH 溶液(10mg/mL)100μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この混合溶液にEtOH 100μLを加え希釈後、無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)450mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)50mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、比較例4のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
試験管にエベロリムス 50mgを秤量し、EtOH 300μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この溶液にトレハロース二水和物(和光純薬工業社製)水溶液(592.25mg/mL)200μL、アスコルビン酸ナトリウム塩(扶桑化学工業社製)水溶液(100mg/mL)10μL、及びクエン酸水素二ナトリウム(和光純薬社製)水溶液(100mg/mL)10μL加えた。この混合溶液を無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)450mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)50mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、実施例5のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
試験管にエベロリムス 50mgを秤量し、ジヒドロキシブチルトルエン(BHT、MERCK社製)EtOH 溶液(10mg/mL)100μLを加え超音波を10分間照射し、エベロリムスの溶解を確認した。この混合溶液にEtOH 100μLを加え希釈後、無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、 DFE Pharma社製)450mgとヒプロメロース(TC−5 E Type、信越化学社製)50mgを乳鉢に秤量し乳棒で撹拌し混合したところへ、パスツールピペットにて滴下し、乳棒を用いて撹拌した。この粉体をナスフラスコに移し、エバポレーターにて3時間減圧乾燥して、比較例5のエベロリムスを含有する医薬組成物を調製した。
実施例2〜5及び比較例4及び5の方法で得られた医薬組成物約500mgを褐色サンプル瓶に採取し、蓋をしないで、遮光下60℃/飽和塩化コバルト水溶液にて調湿したデシケータ内に保存した。また、実施例5及び比較例5の方法で得られた医薬組成物約500mgを褐色サンプル瓶に採取し、蓋をしないで、遮光下60℃/飽和塩化コバルト水溶液にて調湿したデシケータ内に保存した。
保存7日後又は10日後、及び17日後のエベロリムスの残存量を液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定し、各時点におけるエベロリムスの残存率を算出した。なお残存率は以下の式に従い算出した。結果を表2及び表3にまとめた
エベロリムス残存率(%)=(各時点におけるHPLC測定エベロリムスピーク面積/粉体秤量値)/(保存前(イニシャル)におけるHPLC測定エベロリムスピーク面積/粉体秤量値)×100
Claims (9)
- (A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する医薬組成物。
- (A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する溶液を調製し、溶媒を除去することにより調製される請求項1に記載の医薬組成物。
- (A)ラパマイシン又はその誘導体1質量部に対し、(B)トレハロースを0.1〜100.0質量部を含む請求項1又は2に記載の医薬組成物。
- 更に、抗酸化剤を含有する請求項1〜3の何れか一項に記載の医薬組成物。
- セルロース誘導体及び/又は糖類を含む請求項1〜4の何れか一項に記載の医薬組成物。
- 請求項1〜5の医薬組成物を含有する医薬製剤。
- (A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する溶液を調製し、溶媒を除去する工程を含む、ラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬組成物の製造方法。
- (A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する溶液を調製し、これにセルロース誘導体及び/又は糖類を添加して、溶媒を除去する工程を含む、ラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬製剤の製造方法。
- (A)ラパマイシン又はその誘導体、並びに(B)トレハロースを含有する溶液を調製し、溶媒を除去することにより調製されるラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬組成物を得る工程、及び前記医薬組成物にセルロース誘導体及び/又は糖類を添加する工程を含む、ラパマイシン又はその誘導体を含有する医薬製剤の製造方法。
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