JP2017031006A - リチウムマンガン複合酸化物粉末およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マンガン溶出量が少なく、サイクル特性(耐久性)に優れた非水電解質二次電池用リチウムマンガン複合酸化物粉末およびその製造方法を提供すること。【解決手段】一般式:Li1+xMyMn2−x−yO4(MはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素であり、xは0≦x≦0.33の範囲を、yは0≦y≦0.2の範囲をとる。)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末であって、その二次粒子表面及び内部にリン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%含み、さらに、必要に応じてその二次粒子表面及び内部にホウ酸をBとして全体で0.01質量%〜0.1質量%を同時に含むことを特徴とするリチウムマンガン複合酸化物粉末。【選択図】 図1
Description
本発明は非水電解質二次電池用正極材料に関するもので、特に、サイクル特性などの寿命特性に優れた非水電解質二次電池用リチウムマンガン複合酸化物粉末およびその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は起電力やエネルギー密度の点で優れており、小型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯機器用の電源から自転車や電動バイク、電気自動車などの移動体向けや、蓄電用電源にまで広く使われている。
用いられる正極材料には、コバルト酸リチウムLiCoO2、ニッケル酸リチウムLiNiO2等のいくつか種類があるが、その一つとしてスピネル型リチウムマンガン複合酸化物が利用されている。
しかしながら、スピネル型リチウムマンガン酸化物はサイクル特性、特に45℃〜60℃等の高温下でのサイクル特性に課題があり、これまでにも、化学量論組成よりもLiを過剰に添加すること(特許文献1参照)や、Mnを他の金属元素で置換すること(特許文献2〜5参照)などの改善技術が提案されている。
特許文献6に示されているように充放電サイクル時や放置時に於ける電池劣化原因の一つとして、正極活物質中のマンガンが溶出し負極活物質表面で析出し劣化する事がある。
特許文献6では、電池正極作成時にマンガンを捕捉する捕捉材としてリン酸リチウムを加えることを提案している。
特許文献6では、電池正極作成時にマンガンを捕捉する捕捉材としてリン酸リチウムを加えることを提案している。
リチウムイオン二次電池では電解液中に電解質塩として一般的にLiPF6が使われることが多い。特許文献7に示されているようにLiPF6は電池内の水分と反応し、フッ酸(フッ化水素酸)を生成する。特許文献7では電解液中にリン酸リチウムを加える事によりLiPF6と水分との反応を確実に抑制し、フッ酸の発生を抑制することにより、液漏れ等の不測の事態が起こっても安全性を確保できる非水電解質二次電池を提供することが提案されている。
特許文献8ではホウ酸を焼結助剤として加え、焼成することにより結晶性を向上させることが提案されている。
特許文献9では、複合酸化物粒子の表面上に第2の層であるリチウムと、ニッケルおよびマンガンのうちの少なくとも一方の被覆元素を含む酸化物よりなる被覆層と、この被覆層上の少なくとも一部に、リンを含む表面層を形成すると、正極作製時にプレスによる被覆層の剥離が防止できること等が開示されているが、マンガン溶出量を抑制し、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池用リチウムマンガン複合酸化物とするものではない。
上記の通り、これまでにも検討がなされてきているが、従来の非水電解質二次電池用活物質では、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物のサイクル特性、特に45℃〜60℃等の高温下でのサイクル特性を満足できるものとはなっておらず、更なる改良が望まれている。
サイクル特性低下の原因は一義的に決まるものではなく、正極材、負極材、セパレータ、電解液、電解質の種類、組み合わせ、比率によって、また電池の構造などによっても変わる。
正極材としてのスピネル型リチウムマンガン複合酸化物単独で見た場合は、特許文献6に示されているように、正極活物質中のマンガン溶出が負極活物質を劣化させ、サイクル特性低下につながる大きな原因となる。
特許文献6の実施例1〜7ではリン酸リチウムを0.1〜20%加える事でマンガン溶出量が捕捉材を加えてない物と比較して減少している。しかしその減少幅は1/3程度までの減少に留まっており、更なる改善の余地があった。
そこで、本発明は、これらの実情に鑑み、マンガン溶出量が少なく、サイクル特性、つまり耐久性に優れた非水電解質二次電池用スピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末およびその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究し、その結果、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物の二次粒子表面及び内部にリン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%含ませることにより、マンガン溶出量が少なく、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池用リチウムマンガン複合酸化物粉末とすることができることを見いだした。また、リン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%含ませる共にその二次粒子表面及び内部にホウ酸をBとして全体で0.01質量%〜0.1質量%を同時に含ませると、さらにマンガン溶出量が少なく、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池用リチウムマンガン複合酸化物粉末とすることができることも見いだした。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したもので、その発明の要旨は次の通りである。
(1)一般式:Li1+xMyMn2−x−yO4(MはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素であり、xは0≦x≦0.33の範囲を、yは0≦y≦0.2の範囲をとる。)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物であって、その二次粒子表面及び内部にリン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%含むことを特徴とするリチウムマンガン複合酸化物粉末。
(2)一般式:Li1+xMyMn2−x−yO4(MはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素であり、xは0≦x≦0.33の範囲を、yは0≦y≦0.2の範囲をとる。)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物であって、その二次粒子表面及び内部にリン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%、ホウ酸をBとして全体で0.01質量%〜0.1質量%を含むことを特徴とするリチウムマンガン複合酸化物粉末。
(3)前記リン酸塩がリン酸マグネシウム、リン酸リチウム、リン酸二水素アンモニウムのいずれかあるいはその組み合わせであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のリチウムマンガン複合酸化物粉末。
(4)リチウム化合物、マンガン化合物、他の金属化合物(金属とはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素)及びリン酸塩を混合し、600〜900℃で焼成し、解砕、整粒することを特徴とする上記(1)に記載のリチウムマンガン複合酸化物粉末の製造方法。
(5)リチウム化合物、マンガン化合物、他の金属化合物(金属とはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素)、リン酸塩及びホウ酸を混合し、600〜900℃で焼成し、解砕、整粒することを特徴とする上記(2)に記載のリチウムマンガン複合酸化物粉末の製造方法。
(6)前記リン酸塩がリン酸マグネシウム、リン酸リチウム、リン酸二水素アンモニウムのいずれかあるいはその組み合わせであることを特徴とする上記(4)または(5)に記載のリチウムマンガン複合酸化物粉末の製造方法。
本発明により、特に45℃〜60℃等の高温下でもマンガン溶出量が少なく、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池用リチウムマンガン複合酸化物粉末を提供することが可能になる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリチウムマンガン複合酸化物粉末は、化学組成が一般式:Li1+xMyMn2−x−yO4(MはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素(以下金属元素Mと言うことがある)であり、xは0≦x≦0.33の範囲を、yは0≦y≦0.2の範囲をとる。)で表されるスピネル型リチウムマンガン粉末酸化物の二次粒子表面及び内部にリン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%含むことを特徴とする。さらに、必要に応じて、二次粒子表面及び内部にホウ酸をBとして全体で0.01質量%〜0.1質量%を同時に含むことをも特徴とする。
本発明に係るスピネル型リチウムマンガン複合酸化物は、化学組成が一般式:Li1+xMyMn2−x−yO4で表される。すなわち、基本物質であるスピネル型リチウムマンガン酸化物(化学式:LiMn2O4)のMnの一部を第三の金属元素Mに置換したものも含まれ、また、Mnに対してLiをやや過剰に含むものも含まれる。この金属元素Mは、電池内部へのマンガン成分の溶出抑制や高温特性の改善に効果があるものとして選択され、Al、Co、Ni、Mg、Zr及びTiから選ばれた元素の1種又は2種以上を充当することができる。金属元素Mの置換量は、化学式:Li1+xMyMn2−x−yO4において、yが0≦y≦0.2の範囲とする。置換量が多すぎると、これらを正極活物質として利用した二次電池の放電容量が低下する傾向があるためであり、放電容量の極端な低下は好ましくないため、y≦0.2に制限する。また、金属元素Mは必ずしも含有させる必要はないので、yの下限は0とする。
また、本発明に係るスピネル型リチウムマンガン複合酸化物においては、Mn(置換された金属元素Mを含む)に対するLiの原子比の範囲は、1〜1.33(xが0≦x≦0.33の範囲)とする。Mnに対するLiの比が大きくなるにしたがい、リチウム二次電池としての放電容量が低下し、例えばLi:1.33(x=0.33)では、Mn価数がほぼ4となって理論上4V領域では充放電しなくなるので、xの上限を0.33とした。したがって、0≦x≦0.33の範囲とした。
本発明のリチウムマンガン複合酸化物で、二次粒子表面及び内部にリン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%含むとしたのは、マンガン溶出量が少なく、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池用リチウムマンガン複合酸化物とするためである。PO4として全体で0.1質量%未満ではリン酸塩添加の効果がはっきりと見られず、3.0質量%より多い場合は、活物質として働くリチウムマンガン複合酸化物分の比率減による容量減少が大きくなるため、初期放電容量の低下を招くので好ましくない。そのため0.1質量%〜3.0質量%の範囲とした。
リン酸塩としてはリン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、M金属元素のリン酸塩などが使用出来るがリン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸リチウム、リン酸二水素アンモニウムのいずれかあるいはその組み合わせが好ましい。
リチウムマンガン複合酸化物の二次粒子表面及び内部のリン酸塩の存在状態は、図1に示すようにX線光電子分光分析を用いて、リチウムマンガン複合酸化物粉末の深さ方向分析を行うことによって、含有させたリン酸塩が二次粒子表面及び内部に存在することを確認することができる。Arスパッタで深さ方向に掘り進めても、注目元素Pが検出されれば、含有するリン酸塩が二次粒子表面及び粉末内部にも存在していると確認することができる。
また、本発明のリチウムマンガン複合酸化物粉末で、二次粒子表面及び内部にホウ酸をBとして全体で0.01質量%〜0.1質量%を含むとしたのは、焼成時の焼結助剤としての作用と共にマンガン溶出量を抑制し、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池用リチウムマンガン複合酸化物粉末とするためである。ホウ酸の添加量はBとして0.01質量%未満ではホウ酸を添加した焼結助剤としての効果がはっきりとは見られず、0.1質量%を超える量を加えた場合は、その焼成条件(焼成温度、焼成時間)にもよるが、粒子成長が進みすぎることや、電池抵抗の上昇などマイナス面が見られてくるため好ましくない。加えたホウ酸は焼結助剤の役割と共に二次粒子の表面及び内部に存在する。
ホウ酸の存在状態については、リン酸塩の存在を確認する方法と同様に、X線光電子分光分析を用いて、リチウムマンガン複合酸化物の深さ方向のBの分析を行うことによって粒子表面及び内部に含有させたホウ酸が存在することを確認することができる。Arスパッタで深さ方向に掘り進めても、注目元素Bが検出されれば、粉末内部にも含有するホウ酸が存在していると確認することができる。
本発明における粉末は、リチウム塩、マンガン塩などの原料を混合、焼成、解砕、整粒して得られた粉末(粒子)のことであり、二次粒子(一次粒子が焼結した粒子)の状態となっている。本発明の二次粒子は、平均粒子径が5μm以上15μm以下であることが好ましい。この平均粒子径は、レーザ回析・散乱法を用いた粒度分布測定装置、例えば、日機装株式会社のマイクロトラックHRAx100等を用いて測定することができる。
次いで、本発明のリチウムマンガン複合酸化物粉末の製造方法について説明する。
本発明のスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末は、炭酸リチウム、水酸化リチウムなどのリチウム塩とMnO2、Mn2O3、Mn3O4などのマンガン酸化物(焼成により酸化物となるものであれば炭酸マンガン、水酸化マンガンも使用可能)、Al、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属酸化物あるいは金属水酸化物(以下、M金属化合物という)、リン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%、またはリン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%とホウ酸をBとして全体で0.01質量%〜0.1質量%とを共に混合、焼成、解砕、整粒することで得られる。
ここで、炭酸リチウム、水酸化リチウムなどのリチウム塩とMnO2、Mn2O3、Mn3O4などのマンガン酸化物(焼成により酸化物となるものであれば炭酸マンガン、水酸化マンガンも使用可能)、Al、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属酸化物あるいは金属水酸化物は、一般式:Li1+xMyMn2−x−yO4となる割合で、混合すればよい。
マンガン酸化物とM金属化合物は事前に液相から共沈法で作製したマンガンM金属元素含有水酸化物(あるいは酸化物)、マンガン酸化物とM金属化合物を事前に焼成して作製したマンガンM金属元素含有酸化物を使用しても構わない。
スピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末の平均粒子径は、非水電解質二次電池用正極として使用されることを考慮すると、平均粒子径が15μm以下、好ましくは5μm以上15μm以下であることが望ましい。その為、原料として使用するマンガン酸化物は焼成後、粉砕、再焼成を予定しない限り平均粒子径が15μm以下とすることが好ましい。リチウム塩として炭酸リチウムを用いる場合はその反応性から平均粒子径は10μm以下が好ましい。
M金属化合物は同様に原料として使用するマンガン酸化物より小さな平均粒子径を持つ物を使用する事が好ましい。
リン酸塩としてはリン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、M金属元素のリン酸塩などが使用出来るがリン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸リチウム、リン酸二水素アンモニウムのいずれかあるいはその組み合わせが好ましい。
リン酸塩量としては、PO4として全体で0.1質量%未満ではリン酸塩添加の効果がはっきりと見られず、3.0質量%より多い場合は、活物質として働くリチウムマンガン複合酸化物分の比率減による容量減少が大きくなるため、初期放電容量の低下を招くので好ましくない。そのため0.1質量%〜3.0質量%の範囲とした。
リン酸塩の混合方法、タイミングはリチウム塩とマンガン酸化物とM金属化合物と一緒に混合しても、後で添加混合してもよい。リン酸塩がリン酸二水素アンモニウム等、水溶液になる物では水溶液にして噴霧添加するのでも構わない。混合方法としては、特に限定するものではないが、例えばミキサー等の公知の混合機を用いて、湿式又は乾式で混合すればよいが、精密混合機で乾式混合することが好ましい。
リン酸塩を加えた後に焼成(加熱処理)することで、二次粒子の表面及び一部内部に結晶性の高いリン酸塩をリチウムマンガン複合酸化物粒子にPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%含ませることができる。
混合した混合物を、焼成する時の焼成温度は、原料によって異なるが、600〜900℃の範囲とする。また、焼成雰囲気は酸化性雰囲気又は大気中で実施すればよい。焼成時間は焼成温度などにより必ずしも同一ではないが、5〜24時間とすることが好ましい。5時間未満では焼成が不十分となり、24時間を超えると経済的に不利となる。これらの加熱時間や焼成時間を制御する理由は、焼成温度が低いとスピネル型の結晶構造とならないか、異相が混じりやすいので、焼成温度の下限を600℃とする。一方、焼成温度が高すぎると酸素欠損が生じ、サイクル特性が大幅に低下する問題があるので加熱温度の上限を900℃とする。
混合した混合物を、焼成する時の焼成温度は、原料によって異なるが、600〜900℃の範囲とする。また、焼成雰囲気は酸化性雰囲気又は大気中で実施すればよい。焼成時間は焼成温度などにより必ずしも同一ではないが、5〜24時間とすることが好ましい。5時間未満では焼成が不十分となり、24時間を超えると経済的に不利となる。これらの加熱時間や焼成時間を制御する理由は、焼成温度が低いとスピネル型の結晶構造とならないか、異相が混じりやすいので、焼成温度の下限を600℃とする。一方、焼成温度が高すぎると酸素欠損が生じ、サイクル特性が大幅に低下する問題があるので加熱温度の上限を900℃とする。
さらに焼成時に焼結助剤としてホウ酸をBとして全体で0.01質量%〜0.1質量%となるように加えると更に良い。ホウ酸の混合方法タイミングは、リン酸塩を添加混合後に添加し、再度混合することが好ましい。
ホウ酸の添加量はBとして0.01質量%未満ではホウ酸を添加した焼結助剤としての効果がはっきりとは見られず、一方、0.1質量%を超える量を加えた場合は、その焼成条件(焼成温度、焼成時間)にもよるが、粒子成長が進みすぎる点他や、電池抵抗の上昇などマイナス面が見られてくるため好ましくない。加えたホウ酸は焼結助剤の役割と共に二次粒子の表面及び内部に存在し、Bとして全体で0.01質量%〜0.1質量%となるように加えた場合、マンガンの溶出抑制効果を向上する。なお、ホウ酸としては、ホウ酸水溶液や酸化ホウ素等で良い。
混合物を焼成することによって、リチウムマンガン複合酸化物が得られる。焼成した後に、例えば解砕整粒機等により解砕、整粒することで平均粒子径15μm以下、好ましくは5μm以上15μm以下の二次粒子(凝集した粒子)とする。二次粒子の表面及び内部にリン酸塩またはリン酸塩とホウ酸が存在するリチウムマンガン複合酸化物粉末を得ることができる。
本発明のリチウムマンガン複合酸化物粉末が、高温下でもマンガン溶出量が少なく、サイクル特性(耐久性)に優れた特性の発現理由は必ずしも明確ではないが、以下の通りと推定される。
電解液中に電解質塩として一般的にLiPF6が使われることが多い。LiPF6は電池内の水分と反応し、次式(1)、(2)に示すように、フッ酸(フッ化水素酸)を生成する。そしてリチウムマンガン複合酸化物粉末内のマンガン分は次式(3−1)、(3−2)に示すようにフッ酸と反応し溶解し、また水を生成する。二次電池内に存在する水がマンガン溶出の原因となり、充放電時や放置時に於ける電池劣化原因の一つとなっている。
電解液中にリン酸リチウムを加える事で次式(4−1)〜(5−3)に示すようにフッ酸の発生が抑制され、また、電池正極作成時に単にリン酸リチウムを加えることでもマンガンの溶出は減少する。
化学反応式は、下記のとおりと推定できる。
電解質塩として用いられるLiPF6は水と反応し次式(1)、(2)によりフッ酸HFを生成する。
LiPF6+H2O → LiF+2HF+POF3 ・・・ (1)
POF3+3H2O → 3HF+H3PO4 ・・・ (2)
そしてリチウムマンガン複合酸化物粉末内のマンガン分は次式(3−1)、(3−2)によりフッ酸と反応し溶解し、また水を生成する。
POF3+3H2O → 3HF+H3PO4 ・・・ (2)
そしてリチウムマンガン複合酸化物粉末内のマンガン分は次式(3−1)、(3−2)によりフッ酸と反応し溶解し、また水を生成する。
Mn酸化物+2HF → MnF2(溶解)+H2O ・・・ (3−1)
Mn酸化物をLiMn2O4で表した場合は
4LiMn2O4+8HF → 3Mn2O4+4LiF+2MnF2+4H2O・・ (3−2)
つまり、二次電池内に存在する水がマンガン溶出の大きな原因となっている。
Mn酸化物をLiMn2O4で表した場合は
4LiMn2O4+8HF → 3Mn2O4+4LiF+2MnF2+4H2O・・ (3−2)
つまり、二次電池内に存在する水がマンガン溶出の大きな原因となっている。
リン酸塩は次式(4−1)〜(4−3)にて水あるいは次式(5−1)〜(5−3)にてフッ酸を先に捕捉する。そして発生したリン酸分自体はリチウムマンガン複合酸化物粉末内のマンガンを分解溶出する働きが小さいためマンガンの溶出を抑制できる。また水は再発生しない。
Li3PO4+H2O → Li2HPO4+LiOH ・・・・・ (4−1)
Li3PO4+2H2O → LiH2PO4+2LiOH ・・・ (4−2)
Li3PO4+3H2O → H3PO4+3LiOH ・・・・・ (4−3)
Li3PO4+HF → Li2HPO4+LiF ・・・・・・ (5−1)
Li3PO4+2HF → LiH2PO4+2LiF ・・・・ (5−2)
Li3PO4+3HF → H3PO4+3LiF ・・・・・・ (5−3)
単にリン酸リチウムを加えた場合に於いても電解液中のPO4濃度が高くなるため式(2)の反応式が進みにくくなり、LiPF6の分解が抑制され電池内のフッ酸濃度は低下するが、二次電池では充放電による粒子界面の電位が変わり、その界面の状態影響が大きいため、本発明のようにリン酸塩がリチウムマンガン複合酸化物粉末の二次粒子表面及び内部に存在する方がより効果が大きくなる。リチウムマンガン複合酸化物粉末の二次粒子表面及び内部にリン酸塩が存在することで、電解液及び電解質との反応性が下がり、更に耐久性が向上するものと推定できる。
Li3PO4+2H2O → LiH2PO4+2LiOH ・・・ (4−2)
Li3PO4+3H2O → H3PO4+3LiOH ・・・・・ (4−3)
Li3PO4+HF → Li2HPO4+LiF ・・・・・・ (5−1)
Li3PO4+2HF → LiH2PO4+2LiF ・・・・ (5−2)
Li3PO4+3HF → H3PO4+3LiF ・・・・・・ (5−3)
単にリン酸リチウムを加えた場合に於いても電解液中のPO4濃度が高くなるため式(2)の反応式が進みにくくなり、LiPF6の分解が抑制され電池内のフッ酸濃度は低下するが、二次電池では充放電による粒子界面の電位が変わり、その界面の状態影響が大きいため、本発明のようにリン酸塩がリチウムマンガン複合酸化物粉末の二次粒子表面及び内部に存在する方がより効果が大きくなる。リチウムマンガン複合酸化物粉末の二次粒子表面及び内部にリン酸塩が存在することで、電解液及び電解質との反応性が下がり、更に耐久性が向上するものと推定できる。
以下実施例(発明例)および比較例に基づいて本発明の効果を詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
炭酸リチウム、電解二酸化マンガン及びM金属元素水酸化物を表1記載の所定の比率になるように秤量した。それに更にリン酸リチウムをPO4として焼成後全体の0.75質量%となるように加えた。精密混合機で乾式混合し、その後1.8質量%ホウ酸水溶液をMn純分量から計算することでホウ素として焼成後全体の0.02質量%となるように加え、再度混合した。
炭酸リチウム、電解二酸化マンガン及びM金属元素水酸化物を表1記載の所定の比率になるように秤量した。それに更にリン酸リチウムをPO4として焼成後全体の0.75質量%となるように加えた。精密混合機で乾式混合し、その後1.8質量%ホウ酸水溶液をMn純分量から計算することでホウ素として焼成後全体の0.02質量%となるように加え、再度混合した。
その一部造粒された混合粉を大気中で800℃20時間焼成し、冷却後に解砕、整粒して平均粒子径15μm以下のスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末を得た。
[実施例2〜13]
実施例1と同様に、炭酸リチウム、電解二酸化マンガン及びM金属元素水酸化物を表1記載の所定の比率になるように秤量した。
実施例1と同様に、炭酸リチウム、電解二酸化マンガン及びM金属元素水酸化物を表1記載の所定の比率になるように秤量した。
但し、実施例12では一部M金属元素水酸化物の代わりにCo3O4粉末試薬を、実施例13では一部M金属元素水酸化物の代わりにZrO2、TiO2粉末試薬を用いた。
また、実施例4、5、12及び実施例13に於いてはM金属元素水酸化物の内、Mgに関しては後述のリン酸マグネシウムを加える事で置き換えた為、加えなかった。
また、実施例11では電解二酸化マンガンの替わりにMn3O4を用いた。それに更にリン酸リチウムをPO4として焼成後全体の表1記載の所定比率(0.10〜2.50質量%)となるように加えた。但し、実施例4、5、12及び実施例13に於いてはリン酸リチウムの替わりにリン酸マグネシウムを、実施例9に於いてはリン酸二水素アンモニウムを加えた。実施例10に於いてはリン酸マグネシウムとリン酸リチウムそれぞれを共にPO4として焼成後全体の0.75質量%となるように加えた。
それぞれ精密混合機で乾式混合し、その後1.8質量%ホウ酸水溶液をMn純分量から計算することでホウ素として焼成後全体の0.02質量%となるように加え、再度混合した。
但し、実施例2及び実施例4に関してはホウ酸水溶液を加えなかった。その後、その一部造粒された混合粉をそれぞれ大気中で800℃20時間焼成し、冷却後に解砕、整粒して15μm以下のスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末、実施例2〜13を得た。
[比較例1]
実施例1と同様に、炭酸リチウム、電解二酸化マンガン及びM金属元素水酸化物を表1記載の所定の比率になるように秤量した。リン酸リチウムの添加を行わず、精密混合機で乾式混合し、その後1.8質量%ホウ酸水溶液をMn純分量から計算することでホウ素として焼成後全体の0.02質量%となるように加え、再度混合した。
実施例1と同様に、炭酸リチウム、電解二酸化マンガン及びM金属元素水酸化物を表1記載の所定の比率になるように秤量した。リン酸リチウムの添加を行わず、精密混合機で乾式混合し、その後1.8質量%ホウ酸水溶液をMn純分量から計算することでホウ素として焼成後全体の0.02質量%となるように加え、再度混合した。
その一部造粒された混合粉を大気中で800℃20時間焼成し、解砕、整粒して平均粒子径15μm以下のスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末、比較例1を得た。
[比較例2]
比較例1と同様に、炭酸リチウム、電解二酸化マンガン及びM金属元素水酸化物を表1記載の所定の比率になるように秤量した。リン酸リチウムの添加を行わず、精密混合機で乾式混合した。ホウ酸水溶液の添加も行わず、そのまま混合粉を大気中で800℃20時間焼成し、解砕、整粒してスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末、比較例2を得た。
比較例1と同様に、炭酸リチウム、電解二酸化マンガン及びM金属元素水酸化物を表1記載の所定の比率になるように秤量した。リン酸リチウムの添加を行わず、精密混合機で乾式混合した。ホウ酸水溶液の添加も行わず、そのまま混合粉を大気中で800℃20時間焼成し、解砕、整粒してスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末、比較例2を得た。
[比較例3]
リン酸リチウムをPO4として焼成後全体の0.05質量%となるように加えた以外は実施例1と同様に行い、比較例3を得た。
リン酸リチウムをPO4として焼成後全体の0.05質量%となるように加えた以外は実施例1と同様に行い、比較例3を得た。
[比較例4]
リン酸リチウムをPO4として焼成後全体の3.50質量%となるように加えた以外は実施例1と同様に行い、比較例4を得た。
リン酸リチウムをPO4として焼成後全体の3.50質量%となるように加えた以外は実施例1と同様に行い、比較例4を得た。
[比較例5]
電解二酸化マンガンの替わりにMn3O4を用い、リン酸塩もホウ酸も加えることなく、比較例1と同じ手順にて、比較例5を得た。
電解二酸化マンガンの替わりにMn3O4を用い、リン酸塩もホウ酸も加えることなく、比較例1と同じ手順にて、比較例5を得た。
[コインセル組立、評価]
上記、各実施例および比較例にて合成したリチウムマンガン複合酸化物粉末を正極活物質として、コイン型試験セル(CR2032型)を組み、初期放電容量および60℃に設定された恒温槽内にて100サイクル後の放電容量を測定した。その測定結果を表2に示す。
上記、各実施例および比較例にて合成したリチウムマンガン複合酸化物粉末を正極活物質として、コイン型試験セル(CR2032型)を組み、初期放電容量および60℃に設定された恒温槽内にて100サイクル後の放電容量を測定した。その測定結果を表2に示す。
なお、コイン型試験セルの正極には「正極活物質:導電材:結着剤」を「90:6:4」の質量比で混練、アルミニウム製の集電体に塗布、乾燥、20MPaで加圧の上、使用した。
負極、電解液およびセパレータには、それぞれ順に、金属リチウムを円板状に切り出したもの、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で3:7の割合で混合した溶媒に溶質LiPF6を1mol/l溶かしたもの、ポリプロピレン製の微多孔膜を使用した。
[比較例6]
スピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末、比較例1のコイン型試験セル評価用正極作製時に正極活物質に対してPO4として0.75%にあたるリン酸リチウムを加えて正極活物質とし、上記の[コインセル組立、評価]に記載の手順と同様にコイン型試験セル(CR2032型)を組み、初期放電容量および100サイクル後の放電容量を測定した。その測定結果を表2に示す。
スピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末、比較例1のコイン型試験セル評価用正極作製時に正極活物質に対してPO4として0.75%にあたるリン酸リチウムを加えて正極活物質とし、上記の[コインセル組立、評価]に記載の手順と同様にコイン型試験セル(CR2032型)を組み、初期放電容量および100サイクル後の放電容量を測定した。その測定結果を表2に示す。
[比較例7]
スピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末、比較例1のコイン型試験セル評価時に、電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で3:7の割合で混合した溶媒に溶質LiPF6を1mol/l溶かし、更にリン酸リチウムを0.5質量%加えた物を用いた以外は、[コインセル組立、評価]に記載の手順と同様にコイン型試験セル(CR2032型)を組み、初期放電容量および100サイクル後の放電容量を測定した。その測定結果を表2に示す。
スピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末、比較例1のコイン型試験セル評価時に、電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で3:7の割合で混合した溶媒に溶質LiPF6を1mol/l溶かし、更にリン酸リチウムを0.5質量%加えた物を用いた以外は、[コインセル組立、評価]に記載の手順と同様にコイン型試験セル(CR2032型)を組み、初期放電容量および100サイクル後の放電容量を測定した。その測定結果を表2に示す。
実施例4で得られたスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末について、リン酸塩の状態を、X線光電子分光分析を用いた深さ方向分析により調査した。今回は、アルバック・ファイ株式会社の型式Quantera SXMを用いて分析を行った。Pの深さ方向分析結果を図1に示す。Pは、粒子表面付近が濃化して検出されていた。また、粒子内部に掘り進めた後も、検出されていた。このことから、リン酸塩は二次粒子表面及び粒子内部に存在していることを確認した。
[溶出試験1]
実施例1〜13及び比較例1〜5で得られたスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末について、次のように溶出試験を行った。
実施例1〜13及び比較例1〜5で得られたスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末について、次のように溶出試験を行った。
予め洗浄乾燥した、内容積100mlの密閉可能なフッ素樹脂製容器にそれぞれのスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末を個別に5.00gを秤取り、それに前記した[コインセル組立、評価]で使用したものと同じ電解液を25ml加え、密閉後85℃恒温槽で8日間保存した。その後、電解液中に溶出したMn濃度の分析を行った。その測定結果を表2に示す。
[溶出試験2]
[溶出試験1]と同様に予め洗浄乾燥した、内容積100mlの密閉可能なフッ素樹脂製容器にそれぞれのスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末を個別に5.00gを秤取った。
それに前記した[コインセル組立、評価]で使用したものと同じ電解液に水を意図的に0.03質量%加えた水含有電解液を25ml加え、密閉後60℃恒温槽で8日間保存した。その後、電解液中に溶出したMn濃度の分析を行った。その測定結果を表2に示す。
[溶出試験1]と同様に予め洗浄乾燥した、内容積100mlの密閉可能なフッ素樹脂製容器にそれぞれのスピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末を個別に5.00gを秤取った。
それに前記した[コインセル組立、評価]で使用したものと同じ電解液に水を意図的に0.03質量%加えた水含有電解液を25ml加え、密閉後60℃恒温槽で8日間保存した。その後、電解液中に溶出したMn濃度の分析を行った。その測定結果を表2に示す。
表1、表2の通り、本発明の実施例に示すように、リン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%含み、さらに必要に応じてホウ酸をBとして全体で0.01質量%〜0.1質量%を含むことを特徴とするリチウムマンガン複合酸化物粉末は60℃の高温下の電解液中へのマンガンの溶出量が少なく、サイクル特性に優れていた。特に、ホウ酸を含まない実施例2、4よりも、リン酸塩とホウ酸とを共に含む実施例の方が、電解液中へのマンガンの溶出量が少なく、サイクル特性に優れていた。
これに対して、リン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%の範囲で含まない比較例1〜3、5は、本発明の実施例に比較して電解液中へのマンガンの溶出量が多く、サイクル特性も劣っていた。また、比較例4はリン酸塩量が過多のため、マンガン溶出量は少ないものの初期放電容量が大幅に低下していた。比較例6で正極にリン酸塩を添加した場合、比較例7で電解液にリン酸塩を添加した場合では、サイクル特性が劣っていた。
以上の実施例から、本発明によれば、マンガン溶出量が少なく、サイクル特性(耐久性)に優れた非水電解質二次電池用リチウムマンガン複合酸化物粉末が得られていることが確認できた。
Claims (6)
- 一般式:Li1+xMyMn2−x−yO4(MはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素であり、xは0≦x≦0.33の範囲を、yは0≦y≦0.2の範囲をとる。)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物であって、その二次粒子表面及び内部にリン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%含むことを特徴とするリチウムマンガン複合酸化物粉末。
- 一般式:Li1+xMyMn2−x−yO4(MはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素であり、xは0≦x≦0.33の範囲を、yは0≦y≦0.2の範囲をとる。)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物であって、その二次粒子表面及び内部にリン酸塩をPO4として全体で0.1質量%〜3.0質量%、ホウ酸をBとして全体で0.01質量%〜0.1質量%を含むことを特徴とするリチウムマンガン複合酸化物粉末。
- 前記リン酸塩がリン酸マグネシウム、リン酸リチウム、リン酸二水素アンモニウムのいずれかあるいはその組み合わせであることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムマンガン複合酸化物粉末。
- リチウム化合物、マンガン化合物、他の金属化合物(金属とはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素)及びリン酸塩を混合し、600〜900℃で焼成し、解砕、整粒することを特徴とする請求項1に記載のリチウムマンガン複合酸化物粉末の製造方法。
- リチウム化合物、マンガン化合物、他の金属化合物(金属とはAl、Co、Mg、Zr及びTiから選ばれた1種または2種以上の金属元素)、リン酸塩及びホウ酸を混合し、600〜900℃で焼成し、解砕、整粒することを特徴とする請求項2に記載のリチウムマンガン複合酸化物粉末の製造方法。
- 前記リン酸塩がリン酸マグネシウム、リン酸リチウム、リン酸二水素アンモニウムのいずれかあるいはその組み合わせであることを特徴とする請求項4または5に記載のリチウムマンガン複合酸化物粉末の製造方法。
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WO2022138702A1 (ja) | 2020-12-25 | 2022-06-30 | 東ソー株式会社 | スピネル型マンガン酸リチウム及びその製造方法並びにその用途 |
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WO2024016469A1 (zh) * | 2022-07-22 | 2024-01-25 | 广东邦普循环科技有限公司 | 一种锰掺杂四氧化三钴及其制备方法与应用 |
US11909032B2 (en) | 2018-10-24 | 2024-02-20 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Composite cathode active material, cathode and lithium battery each containing composite cathode active material, and preparation method of cathode active material |
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- 2015-08-03 JP JP2015153127A patent/JP2017031006A/ja active Pending
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