JP2017030659A - 車両用制動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇した場合であっても、自車両の緊急制動制御を可及的に遂行可能な車両用制動装置を提供する。【解決手段】車両用制動装置10は、自車両を制動するための制動要求に基づく制動力を発生するVSA装置18と、自車両の衝突有無を判定する衝突判定部163と、自車両の衝突有りの判定が下された場合に、運転者の制動操作に関わらず、緊急制動要求に基づく制動力をVSA装置18に発生させる緊急制動制御を行う第2の制動制御部167と、自車両に搭載されたエンジン39の状態情報を取得する第2の情報取得部161とを備える。第2の制動制御部167は、エンジン39がアイドリングストップ状態にある際に自車両の衝突有りの判定が下された場合に、緊急制動要求に基づく制動力を、エンジン39が稼働状態にある際の緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させる制御を行う。【選択図】図2
Description
本発明は、車両を制動するための車両用制動装置に関する。
特許文献1には、車両を制動するための車両用制動装置の一例が開示されている。特許文献1に係る車両用制動装置は、自車両の衝突を検出する衝突センサと、自車両の車速を検出する車速センサとを備え、衝突センサにより自車両の衝突が検出された場合に、当該衝突の検出後に車速センサにより検出された車速に基づいて、自動的に制動力を発生させる時間である自動制動時間を制御して、ブレーキ制御装置を作動させる。
特許文献1に係る車両用制動装置によれば、衝突後の車速に基づいて自動制動時間(緊急制動時間)を制御するため、緊急制動時間を衝突形態に応じた時間長に設定することができる。
ところで、最近時、燃料の節約や環境負荷の低減等を目的として、所定の移行条件(例えば、車速が例えば時速30Km等の所定値以下で制動操作有り)が成立すると自車両に搭載されたエンジンを稼働状態からアイドリングストップ状態に移行させる一方、所定の復帰条件(例えば、アクセル操作有り)が成立するとアイドリングストップ状態を解除してエンジンを始動させるエンジン制御機能を備える車両が普及している。
しかしながら、特許文献1に係る車両用制動装置では、エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇するケースを想定していない。ここで、エンジンがアイドリングストップ状態(停止状態)にある惰力走行の際には、エンジンに連結されるオルタネータ(発電機)も停止状態にあるため、自車両に搭載されるバッテリの電力供給能力は低い。ところが、衝突時において緊急制動制御を遂行するには、相当程度の大きな電力を要する。
そのため、エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇するケースでは、緊急制動制御の遂行に係る需用電力がバッテリの電力供給能力を超えてしまい、緊急制動制御を遂行することができないおそれがあった。
そのため、エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇するケースでは、緊急制動制御の遂行に係る需用電力がバッテリの電力供給能力を超えてしまい、緊急制動制御を遂行することができないおそれがあった。
本発明は、前記の実情に鑑みてなされたものであり、エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇した場合であっても、自車両の緊急制動制御を可及的に遂行可能な車両用制動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、(1)に係る発明は、自車両を制動するための制動要求に基づく制動力を発生する制動力発生部と、自車両の衝突有無を判定する衝突判定部と、自車両の衝突有りの判定が前記衝突判定部により下された場合に、運転者の制動操作に関わらず、緊急時の制動要求である緊急制動要求に基づく制動力を前記制動力発生部に発生させる緊急制動制御を行う制動制御部と、自車両に搭載されたエンジンの状態情報を取得する情報取得部と、を備える。
前記制動制御部は、前記エンジンがアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が前記衝突判定部により下された場合に、前記緊急制動要求に基づく制動力を、前記エンジンが稼働状態にある際の前記緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させる制御を行うことを最も主要な特徴とする。
前記制動制御部は、前記エンジンがアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が前記衝突判定部により下された場合に、前記緊急制動要求に基づく制動力を、前記エンジンが稼働状態にある際の前記緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させる制御を行うことを最も主要な特徴とする。
仮に、エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部により下された場合に、エンジンが稼働状態にある際の緊急制動要求に基づく制動力と同等の大きさの制動力を制動力発生部に発生させる緊急制動制御を遂行したとする。ここで、こうした緊急制動制御を遂行するには、相当程度の大きな電力を要する。ところが、エンジンがアイドリングストップ状態(エンジン停止状態)にある惰力走行の際には、エンジンに連結されるオルタネータ(発電機)も停止状態にあるため、自車両に搭載されるバッテリの電力供給能力は低い。そのため、こうしたケースでは、緊急制動制御の遂行に係る需用電力がバッテリの電力供給能力を超えてしまい、緊急制動制御を遂行することができないことが懸念される。
そこで、(1)に係る発明では、制動制御部は、エンジンがアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部により下された場合に、緊急制動要求に基づく制動力を、エンジンが稼働状態にある際の緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させる制御を行うこととした。
(1)に係る発明によれば、エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇した場合であっても、自車両の緊急制動制御を可及的に遂行することができる。
また、(2)に係る発明は、(1)に記載の車両用制動装置であって、自車両に搭載されて前記緊急制動制御を実行するための電力を供給するバッテリの端子間電圧を取得する電圧取得部をさらに備え、前記制動制御部は、前記エンジンがアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が前記衝突判定部により下された場合に、前記電圧取得部で取得された前記バッテリの端子間電圧の値が、当該緊急制動制御の遂行を保証する電圧閾値を常時超えるように、前記緊急制動要求に基づく制動力の制御を行うことを特徴とする。
エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇した場合において、緊急制動制御に用いる制動力の大きさを、いかなる指針に基づいて設定するのかが問題となる。
そこで、(2)に係る発明では、制動制御部は、エンジンがアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部により下された場合に、電圧取得部で取得されたバッテリの端子間電圧の値が、緊急制動制御の遂行を保証する電圧閾値を常時超えるように、緊急制動要求に基づく制動力の制御を行うこととした。
そこで、(2)に係る発明では、制動制御部は、エンジンがアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部により下された場合に、電圧取得部で取得されたバッテリの端子間電圧の値が、緊急制動制御の遂行を保証する電圧閾値を常時超えるように、緊急制動要求に基づく制動力の制御を行うこととした。
(2)に係る発明によれば、エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇した場合において、緊急制動制御に用いる制動力の大きさを設定する際の具体的な指針を提示したので、自車両の緊急制動制御を、可及的かつ的確に遂行することができる。
本発明に係る車両用制動装置によれば、エンジンがアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇した場合であっても、自車両の緊急制動制御を可及的に遂行することができる。
以下、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の概要〕
本発明の実施形態に係る車両用制動装置10は、油圧系統を媒介して制動力を発生させる既存のブレーキシステムに加えて、電気系統を媒介して制動力を発生させる、バイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムを備えている。
本発明の実施形態に係る車両用制動装置10は、油圧系統を媒介して制動力を発生させる既存のブレーキシステムに加えて、電気系統を媒介して制動力を発生させる、バイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムを備えている。
車両用制動装置10は、図1に示すように、疑似制動液圧発生装置14と、電動サーボブレーキ装置(ESB装置)16と、車両挙動安定化支援装置(VSA装置)18と、などを備えて構成されている。疑似制動液圧発生装置14、ESB装置16、VSA装置18は、図1に示すように、ブレーキ液を通流させる配管チューブ22a〜22fを介して相互に連通接続されている。
疑似制動液圧発生装置14は、運転者がブレーキペダル12を介して入力操作した踏力を疑似制動液圧に変換する。疑似制動液圧発生装置14は、図1に示すように、マスタシリンダ34、常開型の第1及び第2マスタカットバルブ60a,60b、一対の制動液圧センサPm,Pp、並びにストロークシミュレータ64を備えて構成されている。
マスタシリンダ34は、ブレーキペダル12を介して入力操作される運転者の踏力を、疑似制動液圧に変換することにより、ブレーキペダル12の操作に応じた疑似制動液圧を発生させる。
第1及び第2マスタカットバルブ60a,60bは、マスタシリンダ34及びESB装置16の間を連通接続する配管チューブ22a,22dに介在するようにそれぞれ設けられている。第1及び第2マスタカットバルブ60a,60bは、車両用制動装置10の正常作動時において、図1に示すように、励磁制御(配管チューブ22a,22dを遮断)される。これにより、マスタシリンダ34と、四つの各車輪を制動するためのディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLを含む)との間の連通を遮断することで、ESB装置16が発生する制動液圧を用いてディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。
なお、以下の説明において、ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLを総称するときは、ホイールシリンダ32と呼ぶことにする。
なお、以下の説明において、ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLを総称するときは、ホイールシリンダ32と呼ぶことにする。
一対の制動液圧センサPm,Ppは、マスタシリンダ34及びESB装置16の間を連通接続する配管チューブ22a,22dに介在するようにそれぞれ設けられている。制動液圧センサPmは、マスタシリンダ34で発生した疑似制動液圧を検出する機能を有する。また、制動液圧センサPpは、第2マスタカットバルブ60bの下流側の制動液圧を検出する機能を有する。
ストロークシミュレータ64は、配管チューブ22dから分岐される分岐配管22gを介して、マスタシリンダ34に連通接続されている。分岐配管22gには、分岐配管22gを開放又は遮断する常閉型のストロークシミュレータバルブ62が設けられている。ストロークシミュレータバルブ62は、車両用制動装置10の正常作動時において、図1に示すように、励磁制御(分岐配管22gを開放)される。これにより、ストロークシミュレータ64は、分岐配管22gが開放された状態でマスタシリンダ34で生じた疑似制動液圧を弾発的に吸収することにより、運転者によるブレーキペダル12の制動操作に対して疑似的な反力を創り出す役割を果たす。
ESB装置16は、マスタシリンダ34で発生した疑似制動液圧に応じて、又は、マスタシリンダ34で発生した疑似制動液圧とは無関係に、制動液圧を発生させる機能を有する。ESB装置16は、図1に示すように、制動モータ73や、第1及び第2のスレーブピストン88a,88bなどを備えて構成されている。第1及び第2のスレーブピストン88a,88bは、制動モータ73の回転駆動力を受けて制動液圧を発生させる役割を果たす。
VSA装置18は、制動操作時における車輪のロックを防ぐABS機能、加速時等における車輪の空転を防ぐTCS(トラクション・コントロール・システム)機能、旋回時の横すべり等を抑制する機能、及び、自車両の衝突時に、運転者の制動操作に関わらず緊急制動制御を行う機能(詳しくは後記する)を有する。こうした諸機能を実現するために、VSA装置18は、ESB装置16で発生した制動液圧を調整することにより、車両の挙動安定化を支援する。
ESB装置16及びVSA装置18は、本発明の“制動力発生部”に相当する。
ESB装置16及びVSA装置18は、本発明の“制動力発生部”に相当する。
詳しく述べると、VSA装置18は、ESB装置16のスレーブシリンダ35で発生した制動液圧を検出する制動液圧センサPh、制動液を加圧するための加圧ポンプ136、加圧ポンプ136を駆動するためのポンプモータ(加圧モータ)135や、レギュレータバルブ116、第1インバルブ120、第2インバルブ124、第1アウトバルブ128、第2アウトバルブ130、リザーバ132、サクションバルブ142などを備えて構成されている。
VSA装置18の作動によってVSA制動液圧を調圧するには、次の手順を採用すればよい。VSA装置18は、まず、その給液経路に設けられた常閉型のサクションバルブ142を励磁し開弁した状態で、ポンプモータ(加圧モータ)135を用いて加圧ポンプ136を駆動する。すると、サクションバルブ142を介して吸入され加圧ポンプ136により加圧された制動液が、レギュレータバルブ116、第1インバルブ120、及び第2インバルブ124にそれぞれ供給される。
VSA装置18は、レギュレータバルブ116を励磁してその開度を調整することで、VSA制動液圧を目標液圧に調圧すると共に、目標液圧に調圧した制動液を、開弁した第1インバルブ120及び第2インバルブ124をそれぞれ介してホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに供給する。これにより、VSA装置18は、運転者がブレーキペダル12を操作していない状態でも、四輪の制動力を各車輪毎の目標液圧に応じた制動力に制御する。
また、例えば、制動中に右前輪(FR)がロック傾向(スリップ傾向)に陥ったとする。かかるケースにおいて、VSA装置18の作動によって右前輪(FR)に係るVSA制動液圧を調圧するには、次の手順を採用すればよい。
すなわち、VSA装置18は、まず、右前輪(FR)に係る液圧経路に設けられた常開型の第1インバルブ120を励磁して閉弁すると共に、常開型の第1アウトバルブ128を励磁して開弁する。これにより、右前輪(FR)のホイールシリンダ32FRに作用している制動液圧を、リザーバ132に逃がすことで所定の圧力まで減圧する。その後、第1アウトバルブ128を消磁して閉弁する。これにより、右前輪(FR)のホイールシリンダ32FRに作用している制動液圧を保持する。
その結果、右前輪(FR)のロック傾向が解消に向かうと、第1インバルブ120を消磁して開弁すると共に、第1アウトバルブ128を消磁して閉弁する。これにより、VSA装置18の上流側に位置するESB装置16からの(必要に応じて加圧ポンプ136により加圧された)制動液圧が、右前輪(FR)のホイールシリンダ32FRに作用して所定の圧力まで増圧される。
この増圧によって右前輪(FR)が再びロック傾向に陥った場合には、前記した減圧→保持→増圧の手順を繰り返す。これにより、VSA装置18は、右前輪(FR)がロック状態(スリップ状態)に陥る事態を抑制しながら、制動距離を短縮するABS制動制御を行うことができる。
なお、上記では右前輪(FR)がロック傾向に陥ったケースでのABS制動制御を例示して説明したが、右前輪(FR)以外の車輪がロック傾向に陥ったケースでも、VSA装置18は、前記に準じた手順を用いてABS制動制御を行うことができる。
すなわち、VSA装置18は、まず、右前輪(FR)に係る液圧経路に設けられた常開型の第1インバルブ120を励磁して閉弁すると共に、常開型の第1アウトバルブ128を励磁して開弁する。これにより、右前輪(FR)のホイールシリンダ32FRに作用している制動液圧を、リザーバ132に逃がすことで所定の圧力まで減圧する。その後、第1アウトバルブ128を消磁して閉弁する。これにより、右前輪(FR)のホイールシリンダ32FRに作用している制動液圧を保持する。
その結果、右前輪(FR)のロック傾向が解消に向かうと、第1インバルブ120を消磁して開弁すると共に、第1アウトバルブ128を消磁して閉弁する。これにより、VSA装置18の上流側に位置するESB装置16からの(必要に応じて加圧ポンプ136により加圧された)制動液圧が、右前輪(FR)のホイールシリンダ32FRに作用して所定の圧力まで増圧される。
この増圧によって右前輪(FR)が再びロック傾向に陥った場合には、前記した減圧→保持→増圧の手順を繰り返す。これにより、VSA装置18は、右前輪(FR)がロック状態(スリップ状態)に陥る事態を抑制しながら、制動距離を短縮するABS制動制御を行うことができる。
なお、上記では右前輪(FR)がロック傾向に陥ったケースでのABS制動制御を例示して説明したが、右前輪(FR)以外の車輪がロック傾向に陥ったケースでも、VSA装置18は、前記に準じた手順を用いてABS制動制御を行うことができる。
図1におけるその他の要素については、本発明とは直接的な関係がないので、その説明を省略する。
〔車両用制動装置10の基本動作〕
次に、車両用制動装置10の基本動作について説明する。
車両用制動装置10では、ESB装置16の制御を行う後記のESB−ECU29(図2参照)の正常作動時において、運転者がブレーキペダル12を制動操作すると、いわゆるバイ・ワイヤ式のブレーキシステムがアクティブになる。
次に、車両用制動装置10の基本動作について説明する。
車両用制動装置10では、ESB装置16の制御を行う後記のESB−ECU29(図2参照)の正常作動時において、運転者がブレーキペダル12を制動操作すると、いわゆるバイ・ワイヤ式のブレーキシステムがアクティブになる。
具体的には、正常作動時の車両用制動装置10では、運転者がブレーキペダル12を制動操作すると、図1に示すように、第1及び第2マスタカットバルブ60a,60bが遮断される一方、ストロークシミュレータバルブ62が開放された状態で、ESB装置16が発生する制動液圧を用いてディスクブレーキ機構30a〜30dが作動する。
このとき、制動液は、マスタシリンダ34からストロークシミュレータバルブ62を介してストロークシミュレータ64に流れ込む。このため、第1及び第2マスタカットバルブ60a,60bが遮断されていても、マスタシリンダ34からストロークシミュレータ64への制動液の流れが生じるため、ブレーキペダル12にストロークが生じる。
一方、車両用制動装置10では、例えばESB装置16が異常状態に陥った際において、運転者がブレーキペダル12を制動操作すると、既存の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。具体的には、異常時の車両用制動装置10では、運転者がブレーキペダル12を制動操作すると、第1及び第2マスタカットバルブ60a,60bをそれぞれ開放状態とし、かつ、ストロークシミュレータバルブ62を遮断状態として、マスタシリンダ34で発生する制動液圧をディスクブレーキ機構30a〜30dのホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに伝達して、ディスクブレーキ機構30a〜30dが作動する。
〔車両用制動装置10が有するESB−ECU29及びVSA−ECU31の周辺構成〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10が有するESB−ECU29及びVSA−ECU31の周辺構成について、図2を参照して説明する。図2は、車両用制動装置10が有するESB−ECU29及びVSA−ECU31の周辺構成を表す説明図である。
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10が有するESB−ECU29及びVSA−ECU31の周辺構成について、図2を参照して説明する。図2は、車両用制動装置10が有するESB−ECU29及びVSA−ECU31の周辺構成を表す説明図である。
ESB−ECU29及びVSA−ECU31の各間は、図2に示すように、例えばCAN通信媒体37を介して、相互に情報通信可能に接続されている。CAN通信媒体37には、自車両に搭載されたエンジン39(図2参照)の制御を司るENG−ECU33を有するエンジン制御装置19が接続されている。
CAN通信媒体37とは、車載機器間の情報通信の用途に汎用される多重化されたシリアル通信網である。CAN通信媒体37は、優れたデータ転送速度及びエラー検出能力を有する。ただし、本発明の実施形態で用いる“情報通信媒体”としては、CAN通信媒体37に限定されない。本発明の実施形態で用いる“情報通信媒体”として、例えば“FlexRay(登録商標)”などを採用してもよい。
〔ESB−ECU29の構成〕
ESB−ECU29には、図2に示すように、入力系統として、イグニッションキースイッチ(以下“IGキースイッチ”と省略する。)121、車速センサ123、ブレーキペダルセンサ125、ホールセンサ127、及び、制動液圧センサPm,Ppがそれぞれ接続されている。
ESB−ECU29には、図2に示すように、入力系統として、イグニッションキースイッチ(以下“IGキースイッチ”と省略する。)121、車速センサ123、ブレーキペダルセンサ125、ホールセンサ127、及び、制動液圧センサPm,Ppがそれぞれ接続されている。
IGキースイッチ121は、車両に搭載された電装部品の各部に、車載バッテリ(不図示)を介して電源を供給する際に操作されるスイッチである。IGキースイッチ121がオン操作されると、ESB−ECU29、及びVSA−ECU31に電源が供給されて、ESB−ECU29、及びVSA−ECU31が起動される。
車速センサ123は、車両の走行速度(車速)Vを検出する機能を有する。車速センサ123で検出された車速Vに係る情報は、ESB−ECU29へと送られる。
ブレーキペダルセンサ125は、運転者によるブレーキペダル12の操作量(ストローク量)及びトルクを検出する機能を有する。ブレーキペダルセンサ125で検出されたブレーキペダル12の操作量及びトルクに係る情報は、ESB−ECU29へと送られる。
ホールセンサ127は、制動モータ73の回転角度(スレーブピストン88a,88bの軸線方向における現在位置情報)を検出する機能を有する。ホールセンサ127で検出された制動モータ73の回転角度に係る情報は、ESB−ECU29へと送られる。
制動液圧センサPm,Ppは、制動液圧系統における第1マスタカットバルブ60aの上流側液圧、第2マスタカットバルブ60bの下流側液圧をそれぞれ検出する機能を有する。制動液圧センサPm,Ppで検出された制動液圧系統における各部の液圧情報は、ESB−ECU29へと送られる。
一方、ESB−ECU29には、図2に示すように、出力系統として、前記制動モータ73、及び、前記の第1及び第2マスタカットバルブ60a,60b、ストロークシミュレータバルブ62がそれぞれ接続されている。
ESB−ECU29は、図2に示すように、第1の情報取得部71、及び、第1の制動制御部77を備えて構成されている。
第1の情報取得部71は、IGキースイッチ121のオン・オフ操作に係る情報、車速センサ123で検出される車速Vに係る情報、ブレーキペダルセンサ125で検出されるブレーキペダル12の操作量及び制動トルクに係る情報、ホールセンサ127で検出される制動モータ73の回転角度情報、及び、制動液圧センサPm,Ppで検出される各部の制動液圧に係る情報などを取得する機能を有する。
また、第1の情報取得部71は、VSA−ECU31からCAN通信媒体37を介して送られてくる、自車両の衝突有無に係る衝突情報、及び制動液圧センサPhで検出される液圧情報を取得する機能を有する。
第1の制動制御部77は、基本的には、第1の情報取得部71で取得される制動操作に係る情報や各部の制動液圧に係る情報などに基づいて、ESB装置16で発生する制動液圧が、制動操作に応じた目標制動液圧に追従するように、ホイールシリンダ32に与える制動液圧を制御する機能を有する。
なお、第1の制動制御部77は、自車両が衝突した旨の衝突情報を受信した場合でも、車両用制動装置10が正常に作動している際には、第1及び第2マスタカットバルブ60a,60bを閉止させ、マスタシリンダ34とスレーブシリンダ35間の制動液の流通を遮断すると共に、ストロークシミュレータバルブ62を開放させるように制御する。
前記ESB−ECU29は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータにより構成される。このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行し、ESB−ECU29が有する、自車両の衝突有無に係る衝突情報を含む各種の情報取得機能、ホイールシリンダ32に与える制動液圧制御機能を含む各種機能に係る実行制御を行うように動作する。
〔VSA−ECU31の構成〕
VSA−ECU31には、図2に示すように、入力系統として、車輪速度センサ150、アクセルペダルセンサ151、ヨーレイトセンサ152、Gセンサ153、操舵角センサ155、制動液圧センサPh、及び、端子間電圧センサ157がそれぞれ接続されている。
VSA−ECU31には、図2に示すように、入力系統として、車輪速度センサ150、アクセルペダルセンサ151、ヨーレイトセンサ152、Gセンサ153、操舵角センサ155、制動液圧センサPh、及び、端子間電圧センサ157がそれぞれ接続されている。
車輪速度センサ150a〜150dは、各車輪毎の回転速度(車輪速度)をそれぞれ検出する機能を有する。車輪速度センサ150a〜150dでそれぞれ検出される各車輪毎の回転速度に係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
アクセルペダルセンサ151は、運転者によるアクセルペダルの操作量(ストローク量)を検出する機能を有する。アクセルペダルセンサ151で検出されたアクセルペダルの操作量に係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
ヨーレイトセンサ152は、自車両に発生しているヨーレイトを検出する機能を有する。ヨーレイトセンサ152で検出されたヨーレイトに係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
Gセンサ153は、自車両に発生している前後G(前後加減速度)及び横G(横加減速度)をそれぞれ検出する機能を有する。Gセンサ153で検出された自車両の加減速度に係る情報(自車両の加減速度の絶対値)は、VSA−ECU31へと送られる。
操舵角センサ155は、ステアリングの操舵量や操舵方向を検出する機能を有する。操舵角センサ155で検出されたステアリングの操舵角に係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
制動液圧センサPhは、制動液圧系統のうちVSA装置18の給液経路における制動液圧を検出する機能を有する。制動液圧センサPhで検出されたVSA装置18の給液経路における液圧情報は、ESB−ECU29へと送られる。
端子間電圧センサ157は、図2に示すように、自車両に搭載されてポンプモータ135を含む各部に電力を供給するバッテリ137の端子間電圧Vtmを検出する機能を有する。端子間電圧センサ157で検出されたバッテリ137の端子間電圧Vtmに係る情報は、VSA−ECU31へと送られる。
一方、VSA−ECU31には、図2に示すように、出力系統として、ポンプモータ(加圧モータ)135が接続されている。
VSA−ECU31は、第2の情報取得部(情報取得部、及び、電圧取得部)161、衝突判定部163、及び、第2の制動制御部(制動制御部)167を備えて構成されている。
第2の情報取得部161は、車輪速度センサ150a〜150dでそれぞれ検出される各車輪毎の回転速度(車輪速)に係る情報、アクセルペダルセンサ151で検出されるアクセルペダル(不図示)の加減速操作量に係る情報、ヨーレイトセンサ152で検出される車両に発生しているヨーレイトに係る情報、Gセンサ153で検出される車両に発生している前後G及び横Gに係る情報、操舵角センサ155で検出されるステアリング操舵角に係る情報、制動液圧センサPhで検出されるVSA装置18の給液経路における液圧情報、及び、端子間電圧センサ157で検出されるバッテリ137の端子間電圧Vtmに係る情報をそれぞれ取得する機能を有する。
また、第2の情報取得部161は、ESB−ECU29からCAN通信媒体37を介して送られてくる、車速Vに係る情報、及びブレーキペダル12の操作量に係る情報を取得する機能を有する。
さらに、第2の情報取得部161は、ENG−ECU33からCAN通信媒体37を介して送られてくる、エンジン39が稼働状態にあるか、又は停止状態(アイドリングストップ状態)にあるかに係るエンジン39の状態情報を取得する機能を有する。
衝突判定部163は、Gセンサ153で検出される自車両の加減速度に係る情報に基づいて、自車両の衝突有無に係る判定を行う機能を有する。衝突判定部163は、Gセンサ153で検出された自車両の加減速度の絶対値が、予め定められる衝突判定閾値を超えた場合に、自車両が衝突した旨の判定を下す。なお、前記衝突判定閾値は、自車両に装備されるエアバッグ装置(不図示)の展開要否を判定する際に用いる閾値と共通の値に設定される。
衝突判定部163で下された自車両の衝突有無に係る判定結果の情報は、第2の制動制御部167において、緊急制動制御の遂行要否を判定する際などに適宜参照される。
衝突判定部163で下された自車両の衝突有無に係る判定結果の情報は、第2の制動制御部167において、緊急制動制御の遂行要否を判定する際などに適宜参照される。
第2の制動制御部167は、基本的には、衝突判定部163による自車両の衝突有無に係る判定結果の情報に基づいて、緊急制動制御の遂行要否を判定すると共に、この判定の結果、緊急制動制御の遂行要の判定が下された場合に、自車両が衝突事故に遭遇した際に用いる緊急制動特性(図4参照)に基づくVSA装置18による制動液圧調整機能の発揮によって、各車輪毎の緊急制動制御を行う。
また、第2の制動制御部167は、エンジン39がアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、緊急時の制動要求である緊急制動要求に基づく制動力を、エンジン39が稼働状態にある際の緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させるように制御する。
第2の制動制御部167は、本発明の“制動制御部”に相当する。
第2の制動制御部167は、本発明の“制動制御部”に相当する。
前記VSA−ECU31は、CPU、ROM、RAMなどを備えたマイクロコンピュータにより構成される。このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行し、VSA−ECU31が有する、バッテリ137の端子間電圧Vtmに係る情報やエンジン39の状態情報を含む各種情報の取得機能、自車両の衝突有無に係る判定を行う機能、エンジン39がアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に自車両の衝突有りの判定が下された場合に、緊急制動要求に基づく制動力を、エンジン39が稼働状態にある際の緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させた状態で緊急制動制御を行う機能、を含む各種機能に係る制御を行う。
〔ENG−ECU33の構成〕
エンジン39の制御を司るENG−ECU33は、演算処理を行うマイクロコンピュータ及び各種周辺回路を含んで構成される。詳しく述べると、ENG−ECU33は、エンジン制御部171を備えて構成されている。
エンジン39の制御を司るENG−ECU33は、演算処理を行うマイクロコンピュータ及び各種周辺回路を含んで構成される。詳しく述べると、ENG−ECU33は、エンジン制御部171を備えて構成されている。
エンジン制御部171は、基本的には、アクセルペダル(不図示)の踏み込み量に係る情報、車速センサ123で検出される車速情報等に基づいて、エンジン39に供給される燃料の噴射量を制御する機能を有する。
また、エンジン制御部171は、燃料の節約、環境負荷の低減、騒音の低減を狙って、所定の移行条件(例えば、車速が所定値以下で制動操作有り)が成立すると、エンジン39を稼働状態から停止状態(アイドリングストップ状態)に移行させる一方、所定の復帰条件(例えば、アクセルペダル操作有り)が成立するとアイドリングストップ状態を解除してエンジン39を再始動させる制御を行う機能を有する。
ENG−ECU33は、エンジン39が稼働状態にあるかアイドリングストップ状態にあるかに係るエンジン39の状態情報を、CAN通信媒体37を介してVSA−ECU31に送る。
〔フローチャートに基づく車両用制動装置10の動作説明〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の動作について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、車両用制動装置10の動作説明に供するフローチャート図である。図4は、自車両が衝突した際に用いる緊急制動特性を、エンジン39の稼働状態及び停止状態(アイドリングストップ状態)間で対比して表す説明図である。図5は、ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vthと、バッテリ137の端子間電圧に係る制御目標値Vtgとの関係を対比して表す説明図である。
なお、図3に示すフローチャート図は、エンジン39が停止状態(アイドリングストップ状態)にある際の車両用制動装置10の処理の流れを表している。
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の動作について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、車両用制動装置10の動作説明に供するフローチャート図である。図4は、自車両が衝突した際に用いる緊急制動特性を、エンジン39の稼働状態及び停止状態(アイドリングストップ状態)間で対比して表す説明図である。図5は、ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vthと、バッテリ137の端子間電圧に係る制御目標値Vtgとの関係を対比して表す説明図である。
なお、図3に示すフローチャート図は、エンジン39が停止状態(アイドリングストップ状態)にある際の車両用制動装置10の処理の流れを表している。
図3に示すステップS11において、VSA−ECU31の第2の情報取得部161は、Gセンサ153により検出される自車両の加減速度に係る情報、及び、バッテリ137の端子間電圧Vtmに係る情報を含む各種情報を取得する。
ステップS12において、VSA−ECU31の衝突判定部163は、ステップS11で取得した自車両の加減速度に係る情報に基づいて、自車両の衝突有無に係る判定を行う。
ステップS12の判定の結果、自車両の衝突無しの判定が下されると(ステップS12の“No”)、VSA−ECU31は、処理の流れをステップS11に戻し、自車両の衝突有りの判定が下されるまで、ステップS11〜S12のループ処理を繰り返す。
一方、ステップS12の判定の結果、自車両の衝突有りの判定が下されると(ステップS12の“Yes”)、VSA−ECU31は、処理の流れを次のステップS13へと進ませる。
一方、ステップS12の判定の結果、自車両の衝突有りの判定が下されると(ステップS12の“Yes”)、VSA−ECU31は、処理の流れを次のステップS13へと進ませる。
ステップS13において、VSA−ECU31の第2の情報取得部161は、バッテリ137の端子間電圧値Vtmの制御目標として、所定の制御目標値Vtgを設定する。なお、制御目標値Vtgとしては、例えば図5及び下記の(式1)に示すように、ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vth(例えば8V等の、ポンプモータ135の仕様に基づき適宜設定される値)に対し、所要の余裕値α(例えば0.3V〜1V程度)を加えた値に設定すればよい。
制御目標値Vtg=安定動作保証電圧閾値Vth+余裕値α (式1)
ここで、余裕値αを設けたのは、緊急制動制御を遂行する際に駆動されるポンプモータ135を常時動作させる(停止させない)ことを担保する趣旨である。ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vthは、本発明の「緊急制動制御の遂行を保証する電圧閾値」に相当する。
制御目標値Vtg=安定動作保証電圧閾値Vth+余裕値α (式1)
ここで、余裕値αを設けたのは、緊急制動制御を遂行する際に駆動されるポンプモータ135を常時動作させる(停止させない)ことを担保する趣旨である。ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vthは、本発明の「緊急制動制御の遂行を保証する電圧閾値」に相当する。
ステップS14において、VSA−ECU31の第2の制動制御部167は、バッテリ137の端子間電圧値Vtmが、ステップS13で設定された制御目標値Vtgに追従するように、緊急制動制御を行う。
ここで、緊急制動制御を遂行するためにポンプモータ135を駆動すると、バッテリ137及びポンプモータ135には内部抵抗(例えば、両者を考慮し0.1Ω程度)が存在するため、バッテリ137の端子間電圧値Vtmは、電圧降下が起こる。仮に、バッテリ137の起電力を12Vとし、緊急制動制御の遂行に必要なポンプモータ135の駆動電流値を40Aとすると、4V(駆動電流値40A*内部抵抗値0.1Ω)程度の電圧降下が生じる。
そのため、バッテリ137の端子間電圧値Vtmは、12Vから8V(バッテリ137の起電力12V−電圧降下値4V)程度まで低下してしまう。例えば、ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vthが8Vであれば、前記のようなポンプモータ135の駆動電流値の設定では、ポンプモータ135のオン動作を安定的に継続できないおそれがある。
そこで、ステップS14の緊急制動制御によるアイドリングストップ状態での緊急制動特性は、図4に示すように、エンジン稼働状態での緊急制動特性と比べて低減するように設定されている。
ここで、緊急制動制御を遂行するためにポンプモータ135を駆動すると、バッテリ137及びポンプモータ135には内部抵抗(例えば、両者を考慮し0.1Ω程度)が存在するため、バッテリ137の端子間電圧値Vtmは、電圧降下が起こる。仮に、バッテリ137の起電力を12Vとし、緊急制動制御の遂行に必要なポンプモータ135の駆動電流値を40Aとすると、4V(駆動電流値40A*内部抵抗値0.1Ω)程度の電圧降下が生じる。
そのため、バッテリ137の端子間電圧値Vtmは、12Vから8V(バッテリ137の起電力12V−電圧降下値4V)程度まで低下してしまう。例えば、ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vthが8Vであれば、前記のようなポンプモータ135の駆動電流値の設定では、ポンプモータ135のオン動作を安定的に継続できないおそれがある。
そこで、ステップS14の緊急制動制御によるアイドリングストップ状態での緊急制動特性は、図4に示すように、エンジン稼働状態での緊急制動特性と比べて低減するように設定されている。
ステップS15において、VSA−ECU31は、緊急制動制御に係る終了条件を充足したか否かを判定する。ここで、緊急制動制御に係る終了条件としては、例えば、自車両が停車(車速Vが0km/h)し、かつ、衝突時点(ただし、緊急制動制御開始時点でも構わない)から所定時間T0が経過したことを採用すればよい。こうした終了条件を充足した後では、緊急制動制御を終了しても何らの支障も生じないと推察されるからである。
ステップS15の判定の結果、緊急制動制御に係る終了条件を充足しない(自車両が停車していないか又は衝突時点から所定時間T0が経過していない)旨の判定が下されると(ステップS15の“No”)、VSA−ECU31は、処理の流れをステップS14に戻し、緊急制動制御に係る終了条件を充足した旨の判定が下されるまで、ステップS14の緊急制動制御に係る処理を繰り返す。なお、ステップS14の緊急制動制御に係る処理は、バッテリ137の端子間電圧の最新値Vtmを用いて行われる。
一方、ステップS15の判定の結果、緊急制動制御に係る終了条件を充足した(自車両が停車し、かつ、衝突時点から所定時間T0が経過した)旨の判定が下されると(ステップS15の“Yes”)、VSA−ECU31は、処理の流れを次のステップS16へと進ませる。
ステップS16において、VSA−ECU31は、緊急制動制御に係る処理を終了させた後、一連の処理の流れを終了させる。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の作用効果について説明する。
第1の観点(請求項1に対応)に基づく車両用制動装置10は、自車両を制動するための制動要求(運転者による制動操作に従う制動要求、及び、VSA装置18の制御に従う緊急制動要求の両者を含む)に基づく制動力を発生するVSA装置(制動力発生部)18と、自車両の衝突有無を判定する衝突判定部163と、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、運転者の制動操作に関わらず、緊急時の制動要求である緊急制動要求に基づく制動力をVSA装置18に発生させる緊急制動制御を行う第2の制動制御部(制動制御部)167と、自車両に搭載されたエンジン39の状態情報を取得する第2の情報取得部(情報取得部)161と、を備える。
第2の制動制御部(制動制御部)167は、エンジン39がアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、緊急制動要求に基づく制動力を、エンジン39が稼働状態にある際の緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させる制御を行う。
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の作用効果について説明する。
第1の観点(請求項1に対応)に基づく車両用制動装置10は、自車両を制動するための制動要求(運転者による制動操作に従う制動要求、及び、VSA装置18の制御に従う緊急制動要求の両者を含む)に基づく制動力を発生するVSA装置(制動力発生部)18と、自車両の衝突有無を判定する衝突判定部163と、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、運転者の制動操作に関わらず、緊急時の制動要求である緊急制動要求に基づく制動力をVSA装置18に発生させる緊急制動制御を行う第2の制動制御部(制動制御部)167と、自車両に搭載されたエンジン39の状態情報を取得する第2の情報取得部(情報取得部)161と、を備える。
第2の制動制御部(制動制御部)167は、エンジン39がアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、緊急制動要求に基づく制動力を、エンジン39が稼働状態にある際の緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させる制御を行う。
仮に、エンジン39がアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、エンジン39が稼働状態にある際の緊急制動要求に基づく制動力と同等の大きさの制動力をVSA装置18に発生させる緊急制動制御を遂行したとする。ここで、こうした緊急制動制御を遂行するには、相当程度の大きな電力を要する。ところが、エンジン39がアイドリングストップ状態(エンジン停止状態)にある惰力走行の際には、エンジン39に連結される不図示のオルタネータ(発電機)も停止状態にあるため、自車両に搭載されるバッテリ137の電力供給能力は低い。そのため、こうしたケースでは、緊急制動制御の遂行に係る需用電力がバッテリ137の電力供給能力を超えてしまい、緊急制動制御を遂行することができないことが懸念される。
そこで、第1の観点に基づく車両用制動装置10では、第2の制動制御部(制動制御部)167は、エンジン39がアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、緊急制動要求に基づく制動力を、エンジン39が稼働状態にある際の緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させる制御を行うこととした。
第1の観点に基づく車両用制動装置10によれば、エンジン39がアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇した場合であっても、自車両の緊急制動制御を可及的に遂行することができる。
また、第2の観点(請求項2に対応)に基づく車両用制動装置10は、第1の観点に基づく車両用制動装置10であって、自車両に搭載されて緊急制動制御を実行するための電力を供給するバッテリ137の端子間電圧を取得する第2の情報取得部(電圧取得部)161をさらに備える。
第1の観点に基づく車両用制動装置10では、エンジン39がアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇した場合において、緊急制動制御に用いる制動力の大きさを、いかなる指針に基づいて設定するのかが問題となる。
そこで、第2の観点に基づく車両用制動装置10では、第2の制動制御部167は、エンジン39がアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、第2の情報取得部161で取得されたバッテリ137の端子間電圧の値Vtmが、ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vthを常時超えることを考慮して、緊急制動要求に基づく制動力の制御を行うこととした。
そこで、第2の観点に基づく車両用制動装置10では、第2の制動制御部167は、エンジン39がアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、第2の情報取得部161で取得されたバッテリ137の端子間電圧の値Vtmが、ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vthを常時超えることを考慮して、緊急制動要求に基づく制動力の制御を行うこととした。
第2の観点に基づく車両用制動装置10によれば、エンジン39がアイドリングストップ状態にある惰力走行の際に衝突事故に遭遇した場合において、緊急制動制御に用いる制動力の大きさを低減設定する際の具体的な指針を提示したので、自車両の緊急制動制御を、可及的かつ的確に遂行することができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明に係る実施形態において、VSA−ECU31の第2の制動制御部167は、エンジン39がアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が衝突判定部163により下された場合に、バッテリ137の端子間電圧値Vtmが、ステップS13で設定された制御目標値Vtgに追従するように、緊急制動制御を行う例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。VSA−ECU31の第2の制動制御部167は、バッテリ137の端子間電圧値Vtmが、ポンプモータ135の安定動作保証電圧閾値Vthを常時超える前提において、緊急制動制御用の制動力を固定値に設定する態様を採用してもよい。
また、本発明に係る実施形態において、VSA装置18は、緊急制動制御を単独で実行する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。VSA装置18及びESB装置16が連携して緊急制動制御を実行する態様を採用してもよい。
10 車両用制動装置
16 ESB装置(制動力発生部)
18 VSA装置(制動力発生部)
161 第2の情報取得部(情報取得部、電圧取得部)
163 衝突判定部
167 第2の制動制御部(制動制御部)
16 ESB装置(制動力発生部)
18 VSA装置(制動力発生部)
161 第2の情報取得部(情報取得部、電圧取得部)
163 衝突判定部
167 第2の制動制御部(制動制御部)
Claims (2)
- 自車両を制動するための制動要求に基づく制動力を発生する制動力発生部と、
自車両の衝突有無を判定する衝突判定部と、
自車両の衝突有りの判定が前記衝突判定部により下された場合に、運転者の制動操作に関わらず、緊急時の制動要求である緊急制動要求に基づく制動力を前記制動力発生部に発生させる緊急制動制御を行う制動制御部と、
自車両に搭載されたエンジンの状態情報を取得する情報取得部と、を備え、
前記制動制御部は、前記エンジンがアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が前記衝突判定部により下された場合に、前記緊急制動要求に基づく制動力を、前記エンジンが稼働状態にある際の前記緊急制動要求に基づく制動力と比べて低減させる制御を行う
ことを特徴とする車両用制動装置。 - 請求項1に記載の車両用制動装置であって、
自車両に搭載されて前記緊急制動制御を実行するための電力を供給するバッテリの端子間電圧を取得する電圧取得部をさらに備え、
前記制動制御部は、前記エンジンがアイドリングストップ状態にある際に、自車両の衝突有りの判定が前記衝突判定部により下された場合に、前記電圧取得部で取得された前記バッテリの端子間電圧の値が、当該緊急制動制御の遂行を保証する電圧閾値を常時超えるように、前記緊急制動要求に基づく制動力の制御を行う
ことを特徴とする車両用制動装置。
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