JP2017029868A - 水処理方法、水処理施設、注入凝集剤量評価システムおよび残留凝集剤量推算装置 - Google Patents

水処理方法、水処理施設、注入凝集剤量評価システムおよび残留凝集剤量推算装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被処理水への凝集剤の注入量を短時間で高い精度で最適な量に制御することが可能な水処理方法を提供する。【解決手段】実施形態の水処理方法は、懸濁物を含む被処理水に凝集剤を注入して、フロックを含む処理水を生成させる工程と、前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する工程と、前記残留凝集剤量と目標残留量とを比較して、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも多いときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過剰であると判断し、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも少ないときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過少であると判断する工程とを持つ。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、水処理方法、水処理施設、注入凝集剤量評価システムおよび残留凝集剤量推算装置に関する。
河川水、雨水、下水、工業排水などの被処理水(原水)に含まれている懸濁物は、一般に、マイナスに帯電している。この原水から懸濁物を除去する処理方法として、原水に水中でプラスに帯電する凝集剤を注入する方法が知られている。この方法は、凝集剤によって原水中の懸濁物の荷電を中性として、懸濁物の凝集物であるフロックを生成させ、これを沈殿させて除去する方法である。水中でプラスに帯電する凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)および硫酸アルミニウム(硫酸ばんど)が広く用いられている。
この凝集剤を用いる水処理方法では、フロックの凝集状態は、原水に対する凝集剤の注入量によって変化する。しかし、フロックの凝集状態が良好となる凝集剤の注入量は、原水の水質に伴って変化する。このため、原水の水質の変動に対応させて、フロックの凝集状態が良好となるように、凝集剤の注入量を適切に制御する方法が検討されている。
原水への凝集剤の注入量を制御する方法として、処理水のフロックの凝集状態を評価し、その結果を用いて最適な注入量を算出する方法が知られている。従来、フロックの凝集状態の指標としては、流動電流値、濾過時間指標(Suction time ratio:STR)、フロックの表面電位の平均値等が用いられている。また、処理水からフロックを分級し、その分級後の処理水のアルミニウム濃度を、エリオクロムシアニンレッドを呈色試薬として用いた吸光光度法により測定する方法も知られている。
しかし、流動電流値および濾過時間指標は、原水の水質によって最適値が大きく異なるため、広く用いることができなかった。また、フロックの表面電位の平均値は、フロックの凝集状態が良好であるか否かの判断がしにくいものであった。アルミニウム濃度を吸光光度法により測定する方法は、凝集剤を注入してからアルミニウム濃度の測定結果が得られるまでに時間が掛かり、原水の水質が変動する場合があった。
このため、これらの指標を用いて原水への凝集剤の注入量を制御しても、注入量を制御することによる効果が十分に得られない場合があった。
特許第3522650号公報 特開2013−198865号公報 特許第5131005号公報 特開2012−101171号公報
本発明が解決しようとする課題は、被処理水への凝集剤の注入量を短時間でかつ高い精度で最適な量に制御することを可能とする水処理方法、水処理施設、注入凝集剤量評価システムおよび残留凝集剤量推算装置を提供することである。
実施形態の水処理方法は、マイナスに帯電している懸濁物を含む被処理水に、水中でプラスに帯電する凝集剤を注入して、懸濁物を凝集させることによってフロックを含む処理水を生成させる工程と、前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する工程と、前記残留凝集剤量と目標残留量とを比較して、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも多いときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過剰であると判断し、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも少ないときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過少であると判断する工程とを持つ。前記残留凝集剤量を推算する工程は、前記処理水の一部を採取し、採取した前記処理水からフロックを分離除去して、微粒子を含む試験水を調製する工程と、前記試験水の中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して、前記試験水に含まれている微粒子の中で前記陰極の方向に移動する微粒子の移動速度を測定する工程と、前記陰極の方向に移動する微粒子の前記移動速度に基づいて前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する工程とを持つ。
第1の実施形態の水処理施設の一例を示すブロック図。 試験水に電圧を印加したときの試験水中の微粒子と残留凝集剤量との関係を説明するための説明図。 第1の実施形態の水処理施設により実施される水処理方法の流れを説明するフローチャート。 第2の実施形態の水処理施設の一例を示すブロック図。 処理水中のフロックの荷電の分散値と残留凝集剤量との関係を説明するための説明図。 第2の実施形態の水処理施設により実施される凝集剤の目標残留量の設定方法の流れを説明するフローチャート。
以下、実施形態の水処理方法、水処理施設、注入凝集剤量評価システムおよび残留凝集剤量推算装置を、図面を参照して説明する。
本実施形態においては、水処理施設として、浄水場として利用可能な水処理施設を例に挙げて説明する。浄水場の原水(被処理水)中の懸濁物は、通常、マイナスに帯電している。原水に水中でプラスに帯電する凝集剤を注入すると、原水中の懸濁物が凝集してフロックを形成する。マイナスに帯電している懸濁物とプラスに帯電している凝集剤とが付着して、懸濁物のマイナスの荷電が打ち消されることで、懸濁物の表面荷電が0に近づき、懸濁物同士の反発が弱まってフロックの形成が進むと考えられている。
凝集剤の注入量が過少であると、懸濁物の有するマイナスの荷電が十分に打ち消されず、懸濁物の表面荷電がマイナスの値を持ったままとなり、フロックの形成が十分に進まなくなる。従って、凝集剤の注入量は、懸濁物の有するマイナスの荷電が十分に打ち消さるように、わずかに過剰とすることが好ましい。一方、凝集剤の注入量が過剰になりすぎると、凝集剤の有するプラスの荷電の影響によって、懸濁物の表面荷電がプラスの値を持つことになる。このプラスの表面荷電の絶対値が急激に大きくなると、懸濁物同士の反発が強まって、フロックの形成が進まなくなる。
本発明者らは、このような現象に着目し、処理水中に存在している、フロックを形成していない微粒子のうちのプラスに帯電している微粒子の量から、処理水中に残留している凝集剤の量を推算することによって、原水に注入した凝集剤の量の過不足を判定できることを見出した。プラスに帯電している微粒子の量は、処理水からフロックを分離除去することによって調製した、微粒子を含む試験水を用い、電気泳動法を利用して、試験水中のプラスに帯電している微粒子の移動速度を測定することによって得ることができる。
さらに、本発明者らは、処理水に含まれているフロックの荷電の分散値を測定して、このフロックの荷電の分散値が目標値以上であると判断したときの、処理水を用いて推算した残留凝集剤量を、残留凝集剤の目標残留量とすることによって、処理水に含まれているフロックの凝集状態を良好に維持できることを見出した。
次に、以上の知見に基づいて構成された水処理方法、水処理施設、注入凝集剤量評価システムおよび残留凝集剤量推算装置の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の水処理施設の一例を示すブロック図である。水処理施設1aは、着水井10と、混和池22と、沈殿池40と、濾過池50と、パラメータ調整装置60と、注入凝集剤量評価システム70とを有している。
まず、本実施形態の注入凝集剤量評価システム70について説明する。
注入凝集剤量評価システム70は、原水に注入した凝集剤の量が最適な量であったか否かを評価するものである。注入凝集剤量評価システム70は、残留凝集剤量推算装置80と、注入凝集剤量判定装置90とを有している。
残留凝集剤量推算装置80は、処理水に残留している凝集剤の量(残留凝集剤量)を推算する装置である。残留凝集剤量推算装置80は、微粒子を含む試験水を調製する調製部81と、試験水中のプラスに帯電している微粒子の移動速度を測定する測定部82と、処理水に残留している残留凝集剤量を推算する推算部83とを有している。
調製部81は、処理水の一部を採取し、採取した処理水からフロックを分離除去して、フロックを形成していなかった微粒子を含む試験水を調製するものである。処理水からフロックを分離除去する方法としては、ろ過、遠心分離及び沈降分離のいずれかの方法を用いることができる。試験水に含まれている微粒子の平均粒子径は、分離方法によっても異なるが、一般に1〜10μmの範囲内にある。
測定部82は、電気泳動法を利用して、試験水中のプラスに帯電している微粒子の移動速度を測定するものである。具体的には、測定部82は、試験水の中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して、前記試験水に含まれている微粒子の中で陰極方向に移動する微粒子の移動速度を測定するものである。試験水に印加する電圧は、一般に10〜20Vの範囲内である。
測定部82は、例えば、内部に陽極と陰極とが対向配置されているセルと、セル内の陽極と陰極とに電圧を印加する電圧供給装置と、試験水に電圧を印加したときの試験水中の微粒子の移動速度を測定する速度測定装置とから構成することができる。
セルは、試験水を収容して、試験水に電圧を印加するものである。セルは、ガラス、アクリルなどの透明材料で形成されたものであることが好ましい。
速度測定装置としては、試験水に電圧を印加したときに、陰極方向に移動する微粒子の位置を、少なくとも第1時刻と第1時刻から所定時間経過後の第2時刻とに微粒子毎に測定するものを用いることができる。この場合、微粒子の位置の測定は、所定時間毎(例えば、1秒毎)に複数回行ってもよいし、所定時間連続して行ってもよい。
速度測定装置としては、セル内に向かって光を照射する光源と、試験水に含まれるフロックを撮影するカメラと、カメラを用いて撮影することで入力された信号を表示する表示装置とを有するものを用いることが好ましい。光源は、セルの試験水に光を照射できるものであれば、如何なるものであってもよい。光源としては、光の強度を調節できるものを用いることが好ましい。また、光源として、例えばレーザー光を照射するものを用いることができる。カメラは、セルの陽極および陰極の設置されていない側面の外面に設置することが好ましい。この場合、セルの壁面を介して、セル内の微粒子を含む試験水を撮影するため、セルとして透明材料で形成されたものを用いる。カメラとしては、例えば、試験水中の微粒子を光源により照射して得られる微粒子表面の散乱光を受光するものを用いることができる。
推算部83は、陰極方向に移動する微粒子の移動速度に基づいて処理水に残留している残留凝集剤量を推算するものである。
ここで、試験水に電圧を印加したときの試験水中の微粒子の動きと残留凝集剤量との関係を、図2を参照しながら説明する。図2に示すように、試験水84は、懸濁物粒子85(黒く塗りつぶされた粒子)と、凝集剤粒子86(白抜きの粒子)とを含む。懸濁物粒子85は、マイナスに帯電している。凝集剤粒子86は、プラスに帯電している。図2において、矢印は、陽極87と陰極88を用いて試験水84に電圧を印加したときの微粒子の移動方向を示している。
図2の(a)は、凝集剤の注入量が適量よりも過少であった処理水から調製した試験水84に電圧を印加したときの微粒子の動きを表している。この場合、懸濁物粒子85には凝集剤粒子86が付着していないか、あるいは付着しているとしてもその量が少ないため、懸濁物粒子85はマイナスに帯電している。従って、試験水84に電圧を印加すると、懸濁物粒子85及び凝集剤粒子86は陽極87の方向に素早く移動する。
図2の(b)は、凝集剤の注入量が適量であった処理水から調製した試験水に電圧を印加したときの微粒子の動きを表している。この場合、懸濁物粒子85は、凝集剤粒子86によってマイナスの荷電が十分に打ち消されて、わずかにプラスに帯電しているか、電荷が中性となっている。従って、試験水84に電圧を印加すると、懸濁物粒子85及び凝集剤粒子86は緩やかに陰極88の方向に移動する、あるいは不規則な方向に移動する。
図2の(c)は、凝集剤の注入量が適量よりも過剰であった処理水から調製した試験水に電圧を印加したときの微粒子の動きを表している。この場合、懸濁物粒子85には過剰の凝集剤粒子86が付着しており、また単独の凝集剤粒子86も存在している。このため、試験水84に電圧を印加すると、懸濁物粒子85及び凝集剤粒子86は陰極88の方向に素早く移動する。
このように、試験水84に直流電圧を印加したときの試験水84に含まれる微粒子のうちの陰極88の方向に移動する微粒子(プラスに帯電している微粒子)の移動速度は、処理水に残留している凝集剤の量と密接な関係を持つ。残留凝集剤量を推算する方法としては、凝集剤量が既知の試験水を用意し、この試験水での微粒子の移動速度を測定して、凝集剤濃度と微粒子の移動速度の標準曲線を作成し、この標準曲線に基づいて測定した微粒子の移動速度から凝集剤量を求める方法、移動速度から微粒子の荷電量を算出し、この算出した荷電量を凝集剤の荷電量として凝集剤量に換算する方法を用いることができる。残留凝集剤量の推算は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
注入凝集剤量判定装置90は、残留凝集剤量と目標残留量とを比較して、残留凝集剤量が目標残留量よりも多いときは、原水に注入した凝集剤の量が過剰であると判断し、残留凝集剤量が目標残留量よりも少ないときは、原水に注入した前記凝集剤の量が過少であると判断するものである。これらの判断は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
次に、第1の実施形態の水処理装置について、注入凝集剤量評価システム70以外の構成、即ち、着水井10と、混和池22と、沈殿池40と、濾過池50と、パラメータ調整装置60について説明する。
着水井10は、水処理施設1aによって処理すべき原水(被処理水)を収容するものである。
混和池22は、原水と凝集剤とを混合して生成されたフロック(凝集物)を含む処理水(混和水)を収容するものである。混和池22は、配管により着水井10と接続された急速混和池20と、配管により急速混和池20と接続されたフロック形成池30とを有している。フロック形成池30は、急速混和池20から供給された処理水中のフロックを成長させるためのものである。フロック形成池30は、3つの撹拌池31、32、33を有している。フロック形成池30の第1撹拌池31には、急速混和池20で生成された処理水が供給される。第2撹拌池32には、第1撹拌池31を通過した処理水が供給され、第3撹拌池33には、第2撹拌池32を通過した処理水が供給される。
着水井10と急速混和池20との間の配管には、流量調整弁61、流量計62およびpH測定装置63が備えられている。急速混和池20には、pH調整剤注入装置64と凝集剤注入装置65とが備えられている。
急速混和池20、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33には、それぞれ、例えば、モータにより駆動される撹拌装置21、34、35、36が備えられている。撹拌装置21、34、35、36は、混和池22を形成している各池の処理水の撹拌強度が、上流側から下流側に向けて段階的に小さくなるように設定されている。撹拌装置21としては、例えばフラッシュミキサを用いることができる。撹拌装置34、35、36としては、例えば、フロキュレータを用いることができる。
沈殿池40は、第3撹拌池33の下流に設けられている。沈殿池40は、混和池22から供給されたフロックを含む処理水を収容し、フロックを沈殿させるものである。
濾過池50は、沈殿池40の下流に設けられている。濾過池50には、混和池22から供給された処理水を、沈殿池40において所定時間以上滞留させることによって得られた上澄水が供給される。濾過池50は、例えば、砂濾過装置である。
パラメータ調整装置60は、流量調整弁61、流量計62、pH測定装置63、pH調整剤注入装置64、凝集剤注入装置65および注入凝集剤量判定装置90に接続している。パラメータ調整装置60は、凝集剤注入装置65から注入される凝集剤の注入量を制御する機能、原水の流量を制御する機能、pH調整剤の種類および注入量を制御する機能、撹拌装置21、34、35、36の撹拌強度を調整する機能を有するものである。凝集剤の注入量は、注入凝集剤量判定装置90から処理水中の凝集剤が不足している信号または試験水中の凝集剤の注入量が過剰である信号が入力されることにより制御される。これらの制御は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
次に、水処理施設1aを用いた水処理方法を、説明する。
本実施形態の水処理方法では、まず、水処理施設1aによって処理すべき原水は着水井10に導入される。着水井10に導入された原水は、混和池22の急速混和池20に、配管を介して供給される。着水井10から急速混和池20への原水の供給は、流量調整弁61によって、所定の供給量で連続して行われる。急速混和池20に供給する原水の流量は、着水井10と急速混和池20とを接続する配管に設置された流量計62によって測定され、パラメータ調整装置60に入力される。また、急速混和池20に供給する原水のpHは、着水井10と急速混和池20とを接続する配管に設置されたpH測定装置63を用いて測定され、パラメータ調整装置60に入力される。原水の流量の測定およびpHの測定は、原水の供給を開始してから終了するまでの間連続して行ってもよいし、所定の時間毎に行ってもよい。
この急速混和池20に供給された原水の水処理方法を、図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態の水処理施設1aにより実施される水処理方法の流れを説明するフローチャートである。
本実施形態の水処理方法では、まず、原水に投入する凝集剤の投入量を決定する(ステップS10)。次に、原水にその決定された量の凝集剤を投入する(ステップS12)。これによって、原水中の懸濁物が凝集し、フロックが形成されて、フロックを含む処理水が生成する。その生成した処理水に残留している残留凝集剤量を推算する(ステップS14)。そして、残留凝集剤量と目標残留量とを比較して、残留凝集剤量が目標残留量の範囲内にあるか否かを判断する(ステップS16)。ここで、残留凝集剤量が目標残留量の範囲内にある場合(ステップS16:YES)は、凝集剤の投入量は維持されて、その量の凝集剤が原水に投入される。一方、残留凝集剤量が目標残留量の範囲内にない場合(ステップS16:NO)は、残留凝集剤量が目標残留量の範囲内となるように、凝集剤の投入量が再設定される。
ステップS10の原水に投入する凝集剤の投入量を決定する工程は、パラメータ調整装置60によって実行される。パラメータ調整装置60は、原水の水量、pH、濁度などの情報に基づいて凝集剤の投入量を決定することができる。また、作業者が凝集剤の投入量を決定し、これをパラメータ調整装置60に入力してもよい。
ステップS12の凝集剤を原水に投入する工程(以下、この工程を処理水生成工程という)は、パラメータ調整装置60によって実行される。凝集剤としては、例えば、アルミ系の無機凝集剤、鉄系の無機凝集剤、高分子凝集剤を用いることができる。アルミ系の無機凝集剤の例としては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)および硫酸アルミニウム(硫酸ばんど)が挙げられる。
処理水生成工程において、凝集剤と共に、原水にpH調整剤を注入してもよい。pH調整剤は、pH調整剤注入装置64によって、所定の種類および注入量で供給される。pH調整剤としては、原水のpHに応じて、硫酸、塩酸などの酸性のもの、または水酸化ナトリウムなどのアルカリ性のものが用いられる。pH調整剤として、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性のものを注入する場合、原水のアルカリ度が15〜25度、好ましくは20度程度となるように、pH調整剤の注入量を制御することが好ましい。
処理水生成工程において生成したフロックを含む処理水は、フロック形成池30の第1撹拌池31に供給される。第1撹拌池31に供給された処理水は、第1撹拌池31と第2撹拌池32と第3撹拌池33とをこの順で通過する。混和池22内では、撹拌装置21、34、35、36によって、フロックを含む処理水を撹拌する。撹拌強度は、急速混和池20を最も大きくし、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33の順で段階的に小さくしている。混和池22内を通過することで、原水と凝集剤とが混ざり合い、フロックが生成し成長する。
処理水生成工程にて生成したフロックを含む処理水は、次いで沈殿池40に供給され、フロックを沈降分離する分離工程によって処理される。分離工程では、フロックを含む処理水を、沈殿池40内で所定時間以上、例えば3時間程度滞留させる。このことにより、処理水中のフロックが沈降し、沈殿する。沈殿池40で沈殿したフロックは、汚泥として処理される。フロックが沈降分離された処理水は、上澄水として濾過池50に供給される。
濾過池50に供給された上澄水は、濾過池50を通過した後、清浄水として外部に取り出される。濾過池50から取り出された清浄水は、浄水池に送られて塩素による殺菌等が行われ、浄水池から取り出される。さらに、濾過池50を通過した清浄水に、オゾン処理および/または生物活性炭処理を施してもよい。また、上澄水を濾過池50に通過させる前に、上澄水に対してオゾン処理および/または生物活性炭処理を施してもよい。
ステップS14の処理水に残留している残留凝集剤量を推算する工程(以下、この工程を残留凝集剤量推算工程という)は、残留凝集剤量推算装置80によって実行される。残留凝集剤量推算工程では、処理水中に存在している、フロックを形成していない微粒子のうちのプラスに帯電している微粒子の量から、処理水中に残留している凝集剤の量を推算する。残留凝集剤量推算工程は、採取した処理水からフロックを分離除去して、微粒子を含む試験水を調製する工程(以下、試験水調製工程という)、試験水に電圧を印加したときの微粒子の移動速度を測定する工程(以下、移動速度測定工程という)、微粒子の移動速度に基づいて処理水に残留している残留凝集剤量を推算する工程(以下、推算工程という)を有する。
試験水調製工程は、調製部81にて行われる。試験水調製工程では、まず、試験水として用いる処理水を混和池22から採取する。次いで採取した処理水からフロックを分離除去して、微粒子を含む試験水を調製する。処理水の採取の場所は、急速混和池20と第1撹拌池31との間の配管、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33のいずれかでもよい。処理水からフロックを分離除去する方法として、ろ過、遠心分離及び沈降分離のうちのいずれかの方法を用いることができる。
移動速度測定工程は、測定部82にて行われる。移動速度測定工程では、電気泳動法を利用して、試験水中のプラスに帯電している微粒子の移動速度を測定する。移動速度測定工程では、試験水を、内部に陽極と陰極とが対向配置されているセルに注入する。次に、セル内の陽極と陰極とに電圧を印加する。そして、速度測定装置によって、試験水に含まれている微粒子の中で陰極方向に移動する微粒子の移動速度を測定する。移動速度測定工程において、試験水に電圧を印加する時間は、自由に設定でき、例えば3〜5分とすることができる。
推算工程は、推算部83にて行われる。推算工程では、陰極方向に移動する微粒子(プラスに帯電している微粒子)の移動速度に基づいて、処理水に残留している残留凝集剤量を推算する。
ステップS16の残留凝集剤量が目標残留量の範囲内にあるかを判断する工程(以下、この工程を、注入凝集剤量判定工程という)は、注入凝集剤量判定装置90によって実行される。注入凝集剤量判定工程では、残留凝集剤量と目標残留量とを比較して、残留凝集剤量が目標残留量よりも多いときは、原水に注入した凝集剤の量が過剰であると判断し、残留凝集剤量が前記目標残留量よりも少ないときは、原水に注入した凝集剤の量が過少であると判断する。目標残留量は、例えば、凝集剤の注入量が適量であったとされた処理水から調製した試験水を用いて測定した残留凝集剤量とすることができる。
パラメータ調整装置60は、凝集剤の量が過剰であると判断された場合には原水に投入する凝集剤の投入量を減量し、凝集剤の量が過少であると判断された場合には原水に投入する凝集剤の投入量を増量することを決定する。そして、その決定された量の凝集剤が原水に投入される。
本実施形態によれば、フロックを含む処理水に残留している凝集剤の量を、その処理水からフロックを分離除去して調製した試験水を用いて、電気泳動法を利用して測定したプラスに帯電している微粒子の移動速度に基づいて推算するので、原水(被処理水)に注入した凝集剤の過不足を早期に判定することができる。また、処理水からフロックを分離除去して調製した試験水を用いるので、処理水の濁度が高い場合でも残留している凝集剤の量を高い精度で推算することができる。このため、本実施形態によれば、原水に注入した凝集剤の量の過不足を短時間で精度よく判断することができる。
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態の水処理施設の一例を示すブロック図である。第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。
第2の実施形態に係る水処理施設1bは、注入凝集剤量評価システム70が、処理水に含まれているフロックの荷電の分散値を測定する装置(以下、フロック荷電分散値測定装置という)100を有する。また、注入凝集剤量判定装置90は、凝集剤の目標残留量を、フロック荷電分散値測定装置100にて測定されたフロックの荷電の分散値が目標値以上であると判断したときと同じ処理水を用いて、残留凝集剤量推算装置80にて推算された残留凝集剤量に変更できるように構成されている。
フロック荷電分散値測定装置100は、フロックの移動速度を測定する測定部101と、フロックの電荷の分布を算出する算出部102とを有する。
測定部101は、電気泳動法を利用して、処理水中のフロックの電荷の分布を、フロックの移動速度として測定するものである。具体的には、測定部101は、フロックを含む処理水の中に陽極と陰極を配置し、処理水に電圧を印加して複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定するものである。
測定部101は、例えば、内部に陽極と陰極とが対向配置されているセルと、セル内の陽極と陰極とに電圧を印加する電圧供給装置と、試験水に電圧を印加したときの処理水中のフロックの移動速度を測定する速度測定装置とから構成することができる。
セルは、残留凝集剤量測定装置で用いるものと同じものを用いることができる。
処理水中のフロックは、残留凝集剤量推算装置80で用いる試験水中の微粒子と比較して粒子径が大きいため、水中を移動しにくい。このため、フロック荷電分散値測定装置100で使用する電圧供給装置の印加電圧は、通常は、残留凝集剤量推算装置80で使用する電圧供給装置より高い。フロック荷電分散値測定装置100で使用する電圧供給装置の印加電圧は、一般に10〜20Vの電圧である。
速度測定装置としては、電圧を印加したときの試験水中のフロックの位置を、少なくとも第1時刻と第1時刻から所定時間経過後の第2時刻とに微粒子毎に測定するものを用いることができる。フロック荷電分散値測定装置100で使用する速度測定装置は、セルの陽極に移動するフロックと陰極に移動するフロックの両者のフロックの位置を測定できるものを用いる。この場合、微粒子の位置の測定は、所定時間毎(例えば、1秒毎)に複数回行ってもよいし、所定時間連続して行ってもよい。
速度測定装置としては、セル内に向かって光を照射する光源と、試験水に含まれるフロックを撮影するカメラと、カメラを用いて撮影することで入力された信号を表示する表示装置とを有するものを用いることが好ましい。光源は、セルの処理水に光を照射できるものであれば、如何なるものであってもよい。光源としては、光の強度を調節できるものを用いることが好ましい。また、光源として、例えばレーザー光を照射するものを用いることができる。カメラは、セルの陽極および陰極の設置されていない側面の外面に設置することが好ましい。この場合、セルの壁面を介して、セル内の微粒子を含む試験水を撮影するため、セルとして透明材料で形成されたものを用いる。カメラとしては、例えば、試験水中の微粒子を光源により照射して得られる微粒子表面の散乱光を受光するものを用いることができる。
算出部102は、速度測定装置にて測定した処理水中に含まれる複数のフロックの位置の信号が入力されることにより、各フロックの移動速度のベクトルを生成する。また、算出部102は、生成したベクトルが、陽極方向の成分を含む場合にマイナス(第1符号)を付与し、陰極方向の成分を含む場合にプラス(第2符号)を付与する。さらに、算出部102は、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する。なお、フロックの移動速度は、フロックの荷電と密接な関係を有する。従って、フロックの移動速度分布における分散値はフロックの荷電の分散値と同じとなる。
算出部102は、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用いることができる。
また、算出部102は、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陽極方向の成分の移動速度のみを用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陰極方向の成分の移動速度のみを用いてもよい。
算出部102は、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出するものであることが好ましい。
なお、算出部102は、陰極方向および陽極方向に速度成分を持たない移動速度は0とするものである。
算出部102の分散値を算出する機能、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出する機能は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
図5は、フロックの荷電の分散値と、残留凝集剤量との関係を示す図である。
図5において(A)〜(D)は、凝集剤の注入量の異なる処理水に電圧を印加し、上述した分散値と同様の方法により作成した複数のフロックの荷電分布のヒストグラムの一例である。なお、フロックの荷電(表面電位)は、上述したように、フロックの移動速度の絶対値と相関があるため、フロックの荷電分布のヒストグラムの形状は、フロックの移動速度分布のヒストグラムと同じである。図5に示す(A)〜(D)のグラフにおいて、横軸は、マイナスの荷電およびプラスの荷電の大きさを示し、中心を0として所定の表面電位毎に階級分けしたものである。縦軸は検出個数を示す。
処理水中のフロックの荷電が中性である場合には、処理水に電圧を印加しても、一方向に偏ったフロックの移動は生じない。このため、検出個数はプラスの領域またはマイナスの領域に偏ることなく、広い範囲で疎らとなる。したがって、フロックの移動速度分布の分散値σが大きくなり、そのヒストグラムは、平たい分布形状となる(例えば、図5における(B)、(C)のヒストグラム参照)。
これに対し、処理水中のフロックの荷電がプラスまたはマイナスである場合には、フロックの移動方向が陰極方向または陽極方向へ偏るため、フロックの移動速度分布のヒストグラムは、プラスの領域またはマイナスの領域にシャープなピークを有する形状となる(図5における(A)、(D)のヒストグラム参照)。したがって、荷電がプラスまたはマイナスである場合のフロックの分散値σは、荷電が中性である場合(凝集剤の注入量が適正である場合)と比較して小さいものとなる。
このように、フロックの荷電状態の分散値σは、処理水中のフロックの凝集状態が良好である場合には大きく、処理水中のフロックの凝集状態が不良である場合には小さくなる傾向がある。よって、フロックの移動速度分布の分散値σに基づいて、フロックの荷電の分散状態を評価することが可能になる。
図5(E)のグラフは、原水に注入した凝集剤の量(注入凝集剤量)に対するフロックの荷電の分散値と残留凝集剤量との関係を示したものである。図5における(E)の分散値のグラフ中の点は、それぞれ図5における(A)〜(D)のヒストグラムで示すフロックの荷電分布の分散値σに対応している。
図5(E)に示すように、フロックの荷電状態の分散値σと処理水の残留凝集剤量とは、分散値σが低い場合(フロックがマイナスに帯電している場合)には残留凝集剤量が低く、分散値σが高い場合(フロックがプラスに帯電している場合)には残留凝集剤量が高いという関係がある。従って、分散値σが目標値以上となる範囲になるように、残留凝集剤量の目標値を設定することによって、処理水に生成するフロックの凝集状態を良好に維持できることがわかる。
凝集剤の目標残留量の設定方法を、図6を参照しながら説明する。図6は、第2の実施形態の水処理施設により実施される凝集剤の目標残留量の設定方法の流れを説明するフローチャートである。
本実施形態の目標残留量の設定方法では、先ず、パラメータ調整装置60は、原水に投入する凝集剤の投入量を決定する(ステップS20)。次に、原水にその決定された量の凝集剤を投入する(ステップS22)。これによって、原水中の懸濁物が凝集し、フロックが形成されて、フロックを含む処理水が生成する。その生成した処理水に残留している残留凝集剤量を推算する(ステップS24)。これと同時に、処理水に含まれているフロックの荷電の分散値を測定する(ステップS26)。次いで、フロックの荷電の分散値が目標値以上であるか否かを判断する(ステップS28)。そして分散値が目標値以上である場合(ステップS28:YES)は、目標残留量を、分散値の測定と同時に、推算された残留凝集剤量の値に設定する(ステップS30)。一方、分散値が目標値以上でない場合(ステップS28:NO)は、分散値が目標値以上となるように、凝集剤の投入量を再設定する。
以上の凝集剤の目標残留量の設定方法において、ステップS20の凝集剤の投入量を決定する工程、ステップS22の原水に凝集剤を投入する工程、ステップS24の残留凝集剤量を推定する工程は、前述のステップS10、ステップS12、ステップS14の各工程と同じである。
ステップS26のフロックの移動速度を測定する工程(以下、この工程をフロック荷電分散値測定工程という)は、フロック荷電分散値測定装置100によって実行される。フロック荷電分散値測定工程は、フロックの移動速度を測定する工程(以下、この工程を移動速度測定工程という)と、フロックの移動速度分布における分散値を算出する工程(以下、この工程を分散値算出工程という)とを有する。
移動速度測定工程は、測定部101にて行われる。移動速度測定工程では、電気泳動法を利用して、処理水中のフロックの移動速度を測定する。測定部101にて測定対象として用いる処理水は、残留凝集剤量推算装置80で用いる処理水と同じ場所と時間で採取することが好ましい。移動速度測定工程では、処理水を、内部に陽極と陰極とが対向配置されているセルに注入する。次に、セル内の陽極と陰極とに電圧を印加する。そして、速度測定装置によって、処理水に含まれている複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定する。移動速度測定工程において、処理水に電圧を印加する時間は、自由に設定でき、例えば3〜5分とすることができる。
分散値算出工程は、算出部102にて行われる。分散値算出工程では、各フロックの移動速度のベクトルが、陽極の方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、陰極の方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、第1符号の移動速度および第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する。
ステップS28の分散値が目標値以上であるか否かを判断する工程と、ステップS30の目標残留量を残留凝集剤量の値に設定する工程は、注入凝集剤量判定装置90によって実行される。
このフロックの荷電の分散値を用いた目標残留量の変更は、例えば、原水の水質変動や水温変化があったとき、凝集剤を変更したとき、凝集剤を新しく調製し直したとき、沈殿池40から取り出された上澄水の濁度や濾過時間指標(STR)が上昇したとき行う。
本実施形態によれば、残留凝集剤量の目標値を、処理水に含まれているフロックの荷電の分散状態によって設定することができるので、原水に注入すべき懸濁物の量をより正確に最適化することができ、処理水に生成するフロックの凝集状態を良好に維持することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、原水に注入した凝集剤の量の過不足を短時間で精度よく判断することができる。このため、原水への凝集剤の注入量を短時間で精度よく最適化することができ、原水に含まれている懸濁物を、凝集剤を用いて効率よく除去することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1a…水処理施設、1b…水処理施設、10…着水井、20…急速混和池、21、34、35、36…撹拌装置、22…混和池、30…フロック形成池、31…第1撹拌池、32…第2撹拌池、33…第3撹拌池、40…沈殿池、50…濾過池、60…パラメータ調整装置、61…流量調整弁、62…流量計、63…pH測定装置、64…pH調整剤注入装置、65…凝集剤注入装置、70…注入凝集剤量評価システム、80…残留凝集剤量推算装置、81…調製部、82…測定部、83…推算部、84…試験水、85…懸濁物粒子、86…凝集剤粒子、87…陽極、88…陰極、90…注入凝集剤量判定装置、100…フロック荷電分散値測定装置、101…測定部、102…算出部

Claims (14)

  1. マイナスに帯電している懸濁物を含む被処理水に、水中でプラスに帯電する凝集剤を注入して、懸濁物を凝集させることによってフロックを含む処理水を生成させる工程と、
    前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する工程と、
    前記残留凝集剤量と目標残留量とを比較して、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも多いときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過剰であると判断し、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも少ないときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過少であると判断する工程とを有し、
    前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する工程は、
    前記処理水の一部を採取し、採取した前記処理水からフロックを分離除去して、微粒子を含む試験水を調製する工程と、
    前記試験水の中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して、前記試験水に含まれている微粒子の中で前記陰極の方向に移動する微粒子の移動速度を測定する工程と、
    前記陰極の方向に移動する微粒子の前記移動速度に基づいて前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する工程とを含む水処理方法。
  2. 前記試験水を調製する工程において、前記処理水からフロックを分離除去する方法が、ろ過、遠心分離又は沈降分離である請求項1に記載の水処理方法。
  3. さらに、前記採取した処理水に含まれている前記フロックの荷電の分散値を測定する工程を有し、
    前記目標残留量を、前記フロックの荷電の分散値を測定する工程にて測定されたフロックの荷電の分散値が目標値以上であると判断したときの、前記処理水を用いて推算した残留凝集剤量とする請求項1に記載の水処理方法。
  4. 前記フロックの荷電の分散値を測定する工程が、
    前記採取した前記処理水の中に陽極と陰極を配置し、前記処理水に電圧を印加して複数の前記フロックの移動速度を前記フロック毎に測定する工程と、
    各フロックの移動速度のベクトルが、前記陽極の方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極の方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する工程とを有する請求項3に記載の水処理方法。
  5. マイナスに帯電している懸濁物を含む被処理水に、水中でプラスに帯電する凝集剤を注入して、懸濁物を凝集させることによってフロックを含む処理水を生成させる混和池と、
    前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する装置と、
    前記残留凝集剤量と目標残留量とを比較して、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも多いときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過剰であると判断し、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも少ないときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過少であると判断する装置とを有し、
    前記残留凝集剤量を推算する装置は、
    前記処理水の一部を採取し、採取した前記処理水からフロックを分離除去して、微粒子を含む試験水を調製する調製部と、
    前記試験水の中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して、前記試験水に含まれている微粒子の中で前記陰極の方向に移動する微粒子の移動速度を測定する測定部と、
    前記陰極の方向に移動する微粒子の前記移動速度に基づいて前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する推算部とを含む水処理施設。
  6. 前記調製部において、前記処理水からフロックを分離除去する方法が、ろ過、遠心分離又は沈降分離である請求項5に記載の水処理施設。
  7. さらに、前記採取した処理水に含まれている前記フロックの荷電の分散値を測定する装置を有し、
    前記目標残留量を、前記フロックの荷電の分散値を測定する装置にて測定されたフロックの荷電の分散値が目標値以上であると判断したときの、前記処理水を用いて推算した残留凝集剤量とする請求項5に記載の水処理施設。
  8. 前記フロックの荷電の分散値を測定する装置が、
    前記採取した前記処理水の中に陽極と陰極を配置し、前記処理水に電圧を印加して複数の前記フロックの移動速度を前記フロック毎に測定する測定部と、
    各フロックの移動速度のベクトルが、前記陽極の方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極の方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する算出部とを有する請求項7に記載の水処理施設。
  9. マイナスに帯電している懸濁物を含む被処理水に、水中でプラスに帯電する凝集剤を注入して、懸濁物を凝集させることによって生成させたフロックを含む処理水に残留している残留凝集剤量を推算する装置と、
    前記残留凝集剤量と目標残留量とを比較して、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも多いときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過剰であると判断し、前記残留凝集剤量が前記目標残留量よりも少ないときは、前記被処理水に注入した前記凝集剤の量が過少であると判断する装置とを有し、
    前記残留凝集剤量を推算する装置が、
    前記処理水の一部を採取し、採取した前記処理水からフロックを分離除去して、微粒子を含む試験水を調製する調製部と、
    前記試験水の中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して、前記試験水に含まれている微粒子の中で前記陰極の方向に移動する微粒子の移動速度を測定する測定部と、
    前記陰極の方向に移動する微粒子の前記移動速度に基づいて前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する推算部とを含む注入凝集剤量評価システム。
  10. 前記調製部において、前記処理水からフロックを分離除去する方法が、ろ過、遠心分離又は沈降分離である請求項9に記載の注入凝集剤量評価システム。
  11. さらに、前記採取した処理水に含まれている前記フロックの荷電の分散値を測定する装置を有し、
    前記目標残留量を、前記フロックの荷電の分散値を測定する装置にて測定されたフロックの荷電の分散値が目標値以上であると判断したときの、前記処理水を用いて推算した残留凝集剤量とする請求項9に記載の注入凝集剤量評価システム。
  12. 前記フロックの荷電の分散値を測定する装置が、
    前記採取した前記処理水の中に陽極と陰極を配置し、前記処理水に電圧を印加して複数の前記フロックの移動速度を前記フロック毎に測定する測定部と、
    各フロックの移動速度のベクトルが、前記陽極の方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極の方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する算出部とを有する請求項11に記載の注入凝集剤量評価システム。
  13. マイナスに帯電している懸濁物を含む被処理水に、水中でプラスに帯電する凝集剤を注入して、懸濁物を凝集させることによって生成させたフロックを含む処理水の一部を採取し、採取した前記処理水からフロックを分離除去して、微粒子を含む試験水を調製する調製部と、
    前記試験水の中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して、前記試験水に含まれている微粒子の中で前記陰極の方向に移動する微粒子の移動速度を測定する測定部と、
    前記陰極の方向に移動する微粒子の前記移動速度に基づいて前記処理水に残留している残留凝集剤量を推算する推算部とを含む残留凝集剤量推算装置。
  14. 前記調製部において、前記処理水からフロックを分離除去する方法が、ろ過、遠心分離又は沈降分離である請求項13に記載の残留凝集剤量推算装置。
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