JP2017029494A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧搾溝の明瞭性が向上し、また圧搾溝による液の案内性や阻止性が十分に発現し得る吸収性物品を提供すること。【解決手段】吸収性物品1の表面シート2は、肌対向面側に突出し、且つセカンドシート9との間で内部空間を画成する複数の肌側突出部と、非肌対向面側に突出する複数の非肌側突出部とを有する凹凸構造のシートである。吸収性物品1の肌対向面に、表面シート2及びセカンドシート9が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状圧搾溝8が形成されている。セカンドシート9として、表面シートよりも横方向Yの伸長性の低いものを用いた。【選択図】図5

Description

本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
生理用ナプキンを初めとする各種の吸収性物品においては、排泄された液の流れを制御して、液漏れを防止することを目的として、肌対向面側に、表面シートを裏面シート側に向けて凹陥させてなる圧搾溝を設けることがしばしばある。例えば特許文献1には、吸収性物品の長手方向に沿って、表面シート側からの圧搾加工によって長手方向圧搾溝及び幅方向圧搾溝を形成し、長手方向圧搾溝を、高圧搾領域と中圧搾領域と低圧搾領域とから構成し、幅方向圧搾溝を、高圧搾領域と中圧搾領域とから構成し、該低圧搾領域を、幅方向に長手方向圧搾溝を横断するように配置した吸収性物品が記載されている。
吸収性物品に圧搾溝を設ける場合、表面シートだけでなく、該表面シートの下側に位置するセカンドシートも該表面シートと一緒に圧搾する技術も知られている(特許文献2参照)。特許文献3には、圧搾溝ではないが、表面シートとセカンドシートとが、トップシートからセカンドシートに向かって窪んだ所定の絵柄を有する凹状のエンボスによって互いに関連づけられていることが記載されている。
上述した各特許文献に記載の技術とは別に、吸収性物品の表面シートとして、第1面側に突出する第1突出部と、第2面側に突出する第2突出部とが複数交互に配置された不織布を用いることが提案されている(特許文献4参照)。この不織布は、液体の引き込み性がよく、排泄物の捕集性に優れ、柔らかなクッション性を有し押圧したときの戻りが良好なものである。この不織布は、多数の突起を有し且つ通気性を有する台座の上に繊維ウエブを配置し、該繊維ウエブに熱風を吹き付けて該突起に沿って繊維ウエブを凹凸賦形するとともに構成繊維を融着させることで製造される。
特開2011−229907号公報 特許第5634632号公報 特開2014−198075号公報 特開2012−136790号公報
ところで、特許文献4に記載の不織布を吸収性物品の表面シートとして用い、図9(a)及び(b)に示すとおり、賦形部材110によって表面シート102を裏面シート103側に向けて凹陥させて圧搾溝108を形成した場合、凹陥させた後に賦形部材110を引き抜くと、伸長状態にあった表面シート102が収縮して、図9(c)に示すとおり、凹陥によって形成された圧搾溝108の幅が狭まり、圧搾溝108の明瞭性が低下したり、圧搾溝108による液の案内性や阻止性が損なわれたりすることがあった。
したがって本発明の課題は、表裏各面に向けてそれぞれ突出した凸部を複数有する不織布からなる表面シートを備えた吸収性物品における圧搾溝の改良にある。
本発明は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備し、該表面シートと該吸収体との間に、液透過性のセカンドシートが配されており、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する吸収性物品であって、前記表面シートは、肌対向面側に突出し、且つ前記セカンドシートとの間で内部空間を画成する複数の肌側突出部と、非肌対向面側に突出する複数の非肌側突出部とを有する凹凸構造のシートであり、前記吸収性物品の肌対向面に、前記表面シート及び前記セカンドシートが前記裏面シート側に向かって一体的に凹陥してなる線状圧搾溝が形成されており、前記セカンドシートとして、前記表面シートよりも前記横方向の伸長性の低いものを用いた、吸収性物品を提供することにより、前記の課題を解決したものである。
また本発明は、前記の吸収性物品の製造方法であって、
前記表面シートに該表面シートよりも伸長性の低い前記セカンドシートを配した後に又は同時に、該表面シートと該セカンドシートとをともに前記裏面シート側に向かって押圧して前記線状圧搾溝を形成する、吸収性物品の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、表裏各面に向けてそれぞれ突出した凸部を複数有する不織布からなる表面シートを備えた吸収性物品における圧搾溝の明瞭性が向上し、また圧搾溝による液の案内性や阻止性が十分に発現する。
図1は、本発明の吸収性物品の好ましい一実施形態である生理用ナプキンの肌対向面側(表面シート側)を示す平面図である。 図2は図1のII−II線断面を模式的に示す端面図である。 図3は、図1に示す生理用ナプキンの備える表面シートの要部拡大斜視図である。 図4は、図3に示す表面シートの要部拡大模式断面図である。 図5(a)ないし(c)は、図1に示す生理用ナプキンの製造過程において圧搾溝が形成される様子を順次示す模式図である。 図6は、図1に示す生理用ナプキンの備える吸収体の平面図である。 図7(a)及び(b)は、図6に示す吸収体の排泄部スリット領域における縦スリットの好ましい配置を示す部分拡大平面図である。 図8は、本発明の吸収性物品の備える他の実施形態の表面シートの要部拡大斜視図である。 図9(a)ないし(c)は、従来の生理用ナプキンの製造過程において圧搾溝が形成される様子を順次示す模式図である。
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキン1(以下、「ナプキン1」とも言う。)に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態のナプキン1を表面シート側から見た平面図が示されており、図2には、本実施形態のナプキン1の断面図が示されている。ナプキン1は、図1及び図2に示すとおり、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備する吸収性本体10を有している。ナプキン1の表面シート2と吸収体4との間には、不織布によって構成されたセカンドシート9が配されている。セカンドシート9は、表面シート2及び吸収体4とは別体の、当該技術分野においてサブレイヤーシートとも呼ばれるシートである。セカンドシート9は、液透過性を有し、表面シート2から吸収体4への液の透過性を向上させたり、吸収体4に吸収された表面シート2への液戻りを低減させたりする役割を担うシートである。
ナプキン1の吸収性本体10は、図1に示すとおり、着用時に着用者の排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方部Cとを有している。ナプキン1及び吸収性本体10は、着用者の前後方向に対応する縦方向X及び該縦方向Xに直交する横方向Yを有する。すなわち、吸収性本体10は、縦方向Xに、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cの順番で区分される。
本明細書において、肌対向面とは、ナプキン1又はその構成部材(例えば吸収性本体10)における、ナプキン1の着用時に着用者の肌側に向けられる面である。非肌対向面とは、ナプキン1又はその構成部材における、ナプキン1の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。また、縦方向Xは、ナプキン1及び吸収性本体10の長手方向に一致し、横方向Yは、ナプキン1及び吸収性本体10の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致する。
ナプキン1は、図1及び図2に示すとおり、吸収性本体10に加えて更に、吸収性本体10における排泄部対向部Bの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部10W,10Wを有している。
本発明の吸収性物品において、排泄部対向部Bとは、本実施形態のナプキン1のようにウイング部10Wを有する場合には、吸収性物品の縦方向(吸収性物品の長手方向、図中のX方向)においてウイング部10Wを有する領域(一方のウイング部10Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部10Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。ウイング部を有しない吸収性物品における排泄部対向部とは、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向(吸収性物品の幅方向、図中のY方向)に横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。
ナプキン1における表面シート2は、図2に示すとおり、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート5とともにサイドフラップ部10Sを形成している。裏面シート3とサイドシート5とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。
ナプキン1におけるサイドシート5は、図1及び図2に示すとおり、吸収性本体10の肌対向面(表面シート2の肌対向面)における縦方向Xに沿う両側部にそれぞれ配されている。好適には、サイドシート5は、平面視において吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、吸収性本体10の縦方向Xの全長にわたって配されている。
各サイドシート5は、図1に示すとおり、排泄部対向部Bに位置する線状の第1接合線61と、該第1接合線61の縦方向Xの前後(前方部A及び後方部C)に位置する線状の第2接合線62とで表面シート2に接合されている。第1接合線61は、平面視において横方向Yの外方に向けて凸の曲線状であり、第2接合線62は、平面視において縦方向に交互に交差するように延びる線状(ジグザグ線状)である。このように、サイドシート5が、第1接合線61及び第2接合線62にて表面シート2に接合されて、吸収性本体10の肌対向面に固定されると、図2に示すとおり、第1接合線61及び第2接合線62よりも横方向Yの内方に、サイドシート5と表面シート2とで画成される空間部Pが形成される。この空間部Pは、吸収性本体10の横方向Yの中央に向けて開口しているので、横方向Yの中央から外方へ流れる経血等の体液が空間部Pに収容されるようになり、結果として体液の漏れが効果的に防止できる。
ナプキン1のサイドフラップ部10Sは、図1に示すとおり、排泄部対向部Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体10の縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部10W,10Wが延設されている。また、表面シート2及び裏面シート3は、図1に示すとおり、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されてエンドシール部を形成している。
ウイング部10Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面側に折り返されて用いられるものである。ウイング部10Wは、図1に示すとおり、平面視において、下底(上底よりも長い辺)が、吸収性本体10の縦方向Xに沿う側部側に位置する略台形形状を有している。図2に示すとおり、ウイング部10Wの非肌対向面には、該ウイング部10W(ナプキン1)をショーツ等の着衣(図示せず)に固定するウイング部粘着部71が形成されており、このウイング部粘着部71によって、使用時に、着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されたウイング部10Wを、該クロッチ部に粘着固定できるようになされている。また、図2に示すとおり、吸収性本体10の非肌対向面にも、吸収性本体10を、ショーツ等の着衣に固定するための本体粘着部72(ズレ止め部)が形成されている。
図1及び図2に示すとおり、吸収性本体10の肌対向面(表面シート2の肌対向面)には、表面シート2及びセカンドシート9が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状圧搾溝8が形成されている。線状圧搾溝8における「線状」とは、溝(凹陥部)の形状が平面視において直線に限られず、曲線を含んでいることを意味する。各線は、連続線でも破線でもよい。例えば、線状圧搾溝8は、不連続な多数の点エンボスのなす列から構成されていてもよい。線状圧搾溝8は、前方部A及び後方部Cに、それぞれ横方向Yに延びる第1横圧搾溝81と、排泄部対向部Bの両側部を縦方向Xに延びる縦圧搾溝82とを有している。ナプキン1では、前方部A及び後方部Cの第1横圧搾溝81は、縦方向X外方に向けて凸の曲線状であり、各縦圧搾溝82は、横方向Y内方に向けて凸の曲線状である。ナプキン1では、前方部Aの第1横圧搾溝81、一方の縦圧搾溝82、後方部Cの第1横圧搾溝81、及び他方の縦圧搾溝82が繋がって、閉じた形状の全周溝を形成している。圧搾溝81,82に加えて、線状圧搾溝8は、前方部A及び後方部Cの第1横圧搾溝81よりも縦方向X内方に、それぞれ、横方向Yに延びる第2横圧搾溝83,83を有している。前方部A及び後方部Cの第2横圧搾溝83,83は、縦方向X外方に向けて凸の曲線状である。第2横圧搾溝83,83はいずれも、図1に示すとおり、一対の縦圧搾溝82,82と繋がっていないが、繋がっていてもよい。このように形成された線状圧搾溝8は、吸収体4の平面方向への体液の拡散を抑制するものである。その結果、ナプキン1の周囲から液漏れが効果的に防止される。
先に述べた表面シート2について詳述すると、表面シート2は、図3及び図4に示すとおり、肌対向面側に突出し、且つセカンドシート(図示せず)との間で画成される内部空間S1を有する複数の肌側突出部21と、非肌対向面側に突出し内部空間S2を有する複数の非肌側突出部22とを有する凹凸構造のシートである。肌側突出部21及び非肌側突出部22は、好適には、表面シート2を平面視したときに、互いに交差する異なる2方向に沿って交互に連続して配されている。異なる2方向は、その平面内における任意の第1方向とそれに交差する第2方向とが、30度以上90度以下の角度で交差していることが好ましい。本実施形態では90度で交差している。すなわち本実施形態では、2方向のうちの一方向が横方向Yであり、2方向の内の他方向が縦方向Xである。したがって、表面シート2を平面視したときに、肌側突出部21及び非肌側突出部22は、縦方向X及び横方向Yに沿って交互に連続して配されている。なお、図4に示す形態では、肌対向面側から見た凸部が肌側突出部21であり、凹部が非肌側突出部22となる。逆に、非肌対向面側から見た凸部が非肌側突出部22であり、凹部が肌側突出部21となる。したがって、肌側突出部21と非肌側突出部22とは一部が共有されている。
以上のとおりの構造を有する表面シート2は、着用中に着用者の動きに肌側突出部21が追従し易い。また、表面シート2の各肌側突出部21とセカンドシート9との間に中空構造が形成されているので、肌に付着した体液を吸収し易い。また、表面シート2の各肌側突出部21とセカンドシート9との間に中空構造により、吸収体4に吸収された体液の液戻りを抑えることができる。また、肌側突出部21及び非肌側突出部22が、互いに交差する異なる2方向に沿って交互に連続して配されているので、着用者のあらゆる方向の動きに肌側突出部21が追従し易く、着用時のフィット性が向上する。
肌側突出部21は、図3及び図4に示すとおり、その頂部21Tとその内部空間S1の開口部21Hとの間に環状構造の壁部21Wを有している。また、非肌側突出部22は、その頂部22Tとその内部空間S2の開口部22Hとの間に環状構造の壁部22Wを有している。肌側突出部21及び非肌側突出部22は、その頂部21T及び頂部22Tが丸みをもった円錐台形状若しくは半球状にされていて、複数の非肌側突出部22の頂部22Tに、貫通した透孔23を有している。
肌側突出部21及び非肌側突出部22をより詳細に見れば、肌側突出部21の突出形状は半球状であり、他方、非肌側突出部22の突出形状は頂部に丸みのある円錐ないし円錐台形状になっている。なお、肌側突出部21及び非肌側突出部22の突出形状は、前記形状に限定されず、どのような突出形状でもよい。例えば、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等の錐体形状であってもよい。肌側突出部21及び非肌側突出部22は、その外径と相似する頂部に丸みのある円錐台形状若しくは半球状の内部空間S1及び内部空間S2を保持している。
表面シート2を肌対向面側から平面視したときに、肌側突出部21の壁部21Wは、肌側突出部21の頂部21Tを中心に環状構造をなしている。また、表面シート2を非肌対向面側から平面視したときに、非肌側突出部22の壁部22Wは、非肌側突出部22の頂部22Tを中心に環状構造をなしている。そして、肌側突出部21の壁部21Wは、図4に示すとおり、非肌側突出部22の壁部22Wの一部分と部位を共有している。ここで「環状」は、表面シート2の平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、表面シート2の平面視において、円形、楕円形、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。表面シート2の連続状態を好適に維持する観点からは、円形又は楕円形が好ましい。更に「環状」を立体形状として言えば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、截頭円錐状、截頭斜円錐状、截頭楕円錐状、截頭四角錐状、截頭斜四角錐状など任意の環構造が挙げられる。連続したシート状態を実現する観点からは、円柱状、楕円柱状、截頭円錐状、截頭楕円錐状が好ましい。
上述のように設けられた肌側突出部21及び非肌側突出部22を有する表面シート2は、屈曲部を有さず、全体が連続した曲面で構成されている。このように表面シート2は、平面方向に連続した構造を有していることが好ましい。「連続」とは、断続した部分、あるいは非肌側突出部22の頂部22Tに形成された透孔23以外の小孔がないことを意味する。ただし、繊維間の隙間のような微細孔は前記小孔に含めない。透孔23を含む前記小孔とは、例えば、その孔径が円面積相当の直径で1.0mm以上のものと定義することができる。
表面シート2は、その厚み方向に関して、構成繊維の繊維坪量が相違している。ここで、繊維坪量とは、表面シート2の単位面積当たりの繊維の量、すなわち本数のことである。繊維坪量が高いとは、表面シート2の単位面積あたりに存在する繊維の量が多く、繊維間距離が小さいことを意味する。繊維坪量が低いとは、表面シート2の単位面積あたりに存在する繊維の量が少なく、繊維間距離が大きいことを意味する。すなわち、繊維坪量が高い部位は毛管力が高く、繊維坪量が低い部位は毛管力が低くなることを意味する。
ナプキン1では、図4に示すように、表面シート2を断面視して、肌側突出部21の頂部21Tと非肌側突出部22の頂部22Tとの間の壁部21W,22Wは、その繊維坪量が、肌側突出部21の頂部21Tの繊維坪量及び非肌側突出部22の頂部22Tの繊維坪量よりも高くなっていることが好適である。特に、ナプキン1では、肌側突出部21の壁部21Wは、その繊維坪量が、肌側突出部21の頂部21T及び非肌突出部22の頂部22T双方の繊維坪量よりも高くなっていることが好適である。頂部22T<肌側突出部21の頂部21T<肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)の順に、繊維坪量が高くなっている。したがって、毛管力に関しても、頂部22T<肌側突出部21の頂部21T<肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)の順に毛管力が高くなっている。この場合、繊維坪量及び毛管力は、頂部22T<肌側突出部21の頂部21T<肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)の順に連続的に漸次増加していてもよく、あるいはステップ状に段階的に増加していてもよい。この毛管力によって体液を素早く吸収することができる。特にナプキン1では非肌側突出部22の頂部22Tに透孔23が形成されているので、この透孔23を通じて、体液を吸収体4に円滑に移行させることができる。
表面シート2の繊維坪量の値は、後述するように、測定箇所における視野における繊維の本数を単位面積当たりに換算した値で表現される。該繊維密度の値は、非肌側突出部22の頂部22Tに関しては、2本/mm以上、特に10本/mm以上であることが好ましく、100本/mm以下、特に80本/mm以下であることが好ましく、具体的には、2本/mm以上100本/mm以下であることが好ましく、10本/mm以上80本/mm以下であることが更に好ましい。また、肌側突出部21の頂部21Tに関しては、30本/mm以上、特に50本/mm以上であることが好ましく、130本/mm以下、特に120本/mm以下であることが好ましく、具体的には、30本/mm以上130本/mm以下であることが好ましく、50本/mm以上120本/mm以下であることが更に好ましい。また、肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)に関しては、30本/mm以上、特に50本/mm以上であることが好ましく、200本/mm以下、特に150本/mm以下であることが好ましく、具体的には、30本/mm以上200本/mm以下であることが好ましく、50本/mm以上150本/mm以下であることが更に好ましい。肌側突出部21の頂部21Tの繊維坪量は、頂部21Tにおける層厚みTL1の中央付近の位置で測定される。非肌側突出部22の頂部22Tの繊維坪量は、頂部22Tにおける層厚みTL2の中央付近の位置で測定される。肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)の繊維坪量は、全体の厚さをシート厚みTの中間付近における、壁部21Wにおける層厚みTL3の中央付近の位置で測定される。繊維坪量の測定方法は以下のとおりである。
<繊維坪量の測定方法>
表面シート2の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30〜60本程度計測できる倍率に調整;150〜500倍)し、一定面積当たり(0.5mm程度)の前記切断面によって切断されている繊維の断面数を数える。次に1mm当たりの繊維の断面数に換算し、これを繊維坪量とする。測定は3箇所行い、平均してそのサンプルの繊維坪量とする。
・走査電子顕微鏡;日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)
また、表面シート2は、その圧縮率が、着用時の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力に起因して肌側突出部21が潰れた場合であっても、元の突出形状に戻りやすいといった、突出部形状の安定化の観点から、40%以上、特に60%以上であることが好ましく、95%以下、特に90%以下であることが好ましく、具体的には、40%以上95%以下であることが好ましく、60%以上90%以下であることが更に好ましい。表面シート2の圧縮率は、KES圧縮試験機を用いて測定することができる。KES圧縮試験機を用いて測定された値が大きいほど、クッション性に優れると評価できる。KES圧縮試験機による表面シート2の圧縮率は、「風合いの評価の標準化と解析(第2版)」〔川端季雄著、社団法人日本繊維機械学会 風合い計量と規格化研究委員会発行(昭和55年7月10日)〕に規定されており、布の圧縮特性に関する物性である。KES圧縮試験機による表面シート2の圧縮率の測定方法は以下のとおりである。
<圧縮率の測定方法>
測定装置として、カトー・テック社製のKES−FB3圧縮試験機を用いる。この試験機を用い、圧縮面積2cmで試料(表面シート2)の0.5gf/cm荷重下での厚みTを測定する。次に加圧速度10μm/秒で試料を圧縮する。圧縮に連れて荷重が増加していく。圧縮は荷重が50gf/cmとなるまで行う。そして、50gf/cm荷重下での厚みTを測定する。厚みTから厚みTを引いた値を厚みTで除し、これに100を乗じることで、圧縮試験機による表面シート2の圧縮率(%)を算出する。つまり、圧縮率(%)は、(T−T)/T×100から算出される。
また、表面シート2は、その圧縮エネルギーが、着用時の体圧及び着用者の大腿部による内向きの押圧力が作用したときに、柔らかな感触を発現させて肌触りを高める観点から、0.98mN・m/cm以上、特に3.43mN・m/cm以上であることが好ましく、9.8mN・m/cm以下、特に6.86mN・m/cm以下であることが好ましく、具体的には、0.98mN・m/cm以上9.8mN・m/cm以下であることが好ましく、3.43mN・m/cm以上6.86mN・m/cm以下であることが更に好ましい。表面シート2の圧縮エネルギーは、KES圧縮試験機を用いて測定することができる。KES圧縮試験機を用いて測定されたWC値が大きいほど、表面シート2ふんわりしていると評価できる。KES圧縮試験機による表面シート2の圧縮エネルギーの測定方法は以下のとおりである。
<圧縮エネルギーの測定方法>
測定装置として、カトー・テック社製のKES−G5ハンディー圧縮試験機を用いる。この試験機を用い、5cm×10cmの試料(表面シート2)を準備し、試験台に取り付ける。次に、その試料を面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で圧縮する。圧縮速度は20μm/sec、圧縮最大荷重は4.9kPaとする。回復過程も同一速度で測定を行う。表面シート2の圧縮エネルギー(WC)は次式で表される。T、T及びPは、それぞれ4.9kPa(50gf/cm2)荷重時の厚み、49Pa(0.5gf/cm2)荷重時の厚み及び測定時の荷重を示す。
Figure 2017029494
また、表面シート2の厚さに関しては、表面シート2を図4に示すとおり側面視したときの全体の厚さをシート厚みTとし、その凹凸に湾曲した表面シート2の局部的な厚さを層厚みTとする。シート厚みTは、1.0mm以上3.5mm以下が好ましく、1.2mm以上2.5mm以下がより好ましい。この範囲とすることにより、使用時の体液吸収速度が速く、吸収体からの液戻りを抑え、更に、適度なクッション性を実現することができる。
層厚みTは、表面シート2内の各部位において異なっていてもよく、用途によって適宜調節すればよい。生理用品等の吸収性物品用の表面シートとして用いる場合、肌側突出部21の頂部21Tにおける層厚みTL1>肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)における層厚みTL3>非肌側突出部22の頂部22Tにおける層厚みTL2の順に、小さくなっていることが好ましい。これにより、肌側突出部21の頂部21Tにおいて、特に肌対向面側では、繊維密度が低く、良好な肌当たりを実現することができる。一方、肌側突出部21の壁部21W(非肌側突出部22の壁部22W)は繊維密度が高くなり、潰れにくく、型崩れせずに良好なクッション性と液体の吸収速度に優れた表面シート2とすることができる。
シート厚みT及び層厚みTは以下の方法で測定される。
シート厚みTの測定方法は、表面シート2に0.05kPaの荷重を加えた状態で、厚み測定器を用いて測定する。厚み測定器にはオムロン社製のレーザー変位計を用いる。厚み測定は、10点測定し、それらの平均値を算出して厚みとする。また、層厚みTの測定法は、フェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)を用いて表面シート2を厚み方向に沿って切断する。そして、切断したシートの断面をキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−900により約20倍程度で拡大することで、各層の厚みを測定する。
表面シート2を平面視したときに最も近い位置にある肌側突出部21の頂部21Tと非肌側突出部22の頂部22Tとの間隔は、1mm以上15mm以下が好ましく、3mm以上10mm以下がより好ましい。また、表面シート2における横方向Yに隣り合う肌側突出部21の頂部21T,21Tどうしの間隔L21(図4参照)は、2mm以上30mm以下が好ましく、3mm以上15mm以下がより好ましい。また、表面シート2における縦方向Xに隣り合う肌側突出部21の頂部21T,21Tどうしの間隔は、2mm以上30mm以下が好ましく、3mm以上15mm以下がより好ましい。また、表面シート2の坪量は、シート全体の平均値で15g/m以上50g/m以下が好ましく、20g/m以上40g/m以下がより好ましい。
上述したとおり、ナプキン1においては、図1及び図2に示すとおり、表面シート2と吸収体4との間に、セカンドシート9が配されている。セカンドシート9は、表面シート2と直接に接しており、両シート2,9間に介在物は存在していない。なお、ここでいう「介在していない」とは、表面シート2とセカンドシート9との間に別のシート材が存在していない意味であり、接着剤等の接合手段が存在しないことまでは含まない。また、表面シート2とセカンドシート9との間の全面において他のシート材が介在していないことまで限定するものではなく、部分的に他のシートが存在することは妨げない。ただし、表面シート2とセカンドシート9との間には他のシートが一切介在していないことが好ましい。またセカンドシート9は、吸収体4と直接に接しており、両者間に介在物は存在していない。セカンドシート9は、吸収体4の肌対向面上に少なくとも配されていればよい。好ましくはセカンドシート9は、後述する吸収体4における中高部42である補助吸収体41の肌対向面の全域を被覆しており、補助吸収体41の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。セカンドシート9は、その縦方向Xに沿う側縁が、後述する主吸収体40の縦方向Xに沿う側縁又はその近傍に位置している。また、セカンドシート9は、その縦方向Xの前後端縁が、ナプキン1の縦方向Xの前後端縁に位置しており、ナプキン1の縦方向Xの全域にわたって延在している。
セカンドシート9としては、表面シート2よりも伸長性の低いものを用いることが有利である。ここで「伸長性が低い」とは、所定の力を加えて引っ張ったときの伸びる長さが小さいことを言う。このようなセカンドシート9を用いることで、図5(a)及び(b)に示すとおり表面シート2及びセカンドシート9を裏面シート3側に向けて一体的に凹陥させて、圧搾溝81,82,83を形成したときに、伸長しにくいセカンドシート(図示せず)の突っ張り効果によって、表面シート2の過度の伸長が抑制される。その結果、図5(c)に示すとおり、賦形部材110を引き抜いても、表面シート2の過度の収縮が起こらず、そのことに起因して、圧搾溝81,82,83の幅縮みが起こりづらくなり、その明瞭性が良好なものとなる。また圧搾溝81,82,83による液の案内性や阻止性が良好なものとなる。これに対して、伸長性が表面シート2と同じか、又は表面シート2よりも大きいセカンドシート9を用いた場合には、賦形部材110を用いた凹陥によって表面シート2が過度に伸長されてしまう。その結果、賦形部材110を引き抜いた後に、伸長状態にあった表面シート2が収縮して、図9(c)に示すとおり、凹陥によって形成された圧搾溝108の幅が狭まり、圧搾溝108の明瞭性が低下したり、圧搾溝108による液の案内性や阻止性が損なわれたりする。特に、表面シート2が、本実施形態のように凹凸構造を有し、且つ該表面シート2にのみ形成されたエンボス部を有しない場合には、セカンドシート9として、表面シート2よりも伸長性の低いものを用いることが、幅縮みの効果的な抑制の観点から有利である。
特に、線状圧搾溝8のうち、ナプキン1の縦方向Xに沿って伸びている圧搾溝である縦圧搾溝82の最大幅が好ましくは1.0mm以上2.5mm以下である場合に、セカンドシート9として、表面シート2よりも伸長性の低いものを用いると、該縦圧搾溝82の明瞭性が一層高まるので好ましい。この観点から、縦圧搾溝82の最大幅は1.0mm以上2.2mm以下であることが更に好ましく、1.2mm以上2.0mm以下であることが一層好ましい。縦圧搾溝82の最大幅とは、横方向Yに沿って縦圧搾溝82を横切る線分のうち、その長さが最も大きい線分における当該長さのことである。
本明細書において伸長性とは、シートを一方向に向けて引っ張ったときの該シートの伸びやすさのことである。引っ張った後にどの程度収縮するかは問題とされない。表面シート2及びセカンドシート9の伸長性の高低は、同じ方向に沿って引っ張って比較する。引っ張りの方向に特に制限はなく、シート面内の少なくとも一方向において、セカンドシート9が、表面シート2よりも伸長性が低ければよい。好ましくは、ナプキン1の横方向Yに沿って引っ張ったときの伸長性を比較する。
本実施形態においては、特に、引張速度300mm/minの条件下で、ナプキン1の横方向Yに沿って引張試験を行ったときの、0.5N荷重時での表面シート2の伸長率(%)と、セカンドシート9の伸長率(%)との差が1.0%以上であることが好ましく、1.2%以上であることが更に好ましく、1.5%以上であることが一層好ましい。また、表面シート2の伸長率(%)と、セカンドシート9の伸長率(%)との差は、3.5%以下であることが好ましく、3.3%以下であることが更に好ましく、3.0%以下であることが一層好ましい。例えば、また、表面シート2の伸長率(%)と、セカンドシート9の伸長率(%)との差は、1.0%以上3.5%以下であることが好ましく、1.2%以上3.3%以下であることが更に好ましく、1.5%以上3.0%以下であることが一層好ましい。伸長率(%)は、{(伸長後の長さ−元の長さ)/元の長さ}×100で定義される。なお試験片は、ナプキン1等の吸収性物品から、左右一対の線状圧搾溝8,8に挟まれた領域内の線状圧搾溝が存在しない部分において、吸収性物品横方向には可能な限り長い範囲とし、吸収性物品縦方向の長さは50mmとした部位を切り出して、表面シート部分とセカンドシート部分に分離して使用する。各シート部分への分離には、切り出した部位に市販のコールドスプレーを吹きかけて、ホットメルト接着剤による接着を分断する等の手段を用いることができる。測定装置としては、(株)オリエンテック製のテンシロンRTC−1210Aを用い、試験片における吸収性物品の幅方向に対応する方向の両端部を測定装置の固定部(チャック)に固定して測定を行った。なお、固定部(チャック)間距離は、40mm以上であることが好ましい。
ところでナプキン1等の吸収性物品では、線状圧搾溝8を設ける際等の種々の処理によって、表面シート2やセカンドシート9の伸縮性が変質することがある。本発明においては、線状圧搾溝8を設ける際に表面シート2よりもセカンドシート9の横方向Yにおける伸長率が低い。したがって、伸長率の測定は、線状圧搾溝を設ける前の表面シート材料及びセカンドシート材料の状態で測定し、表面シート材料よりもセカンドシート材料の横方向Yの伸長率が低いことを以て、上述した測定方法に代えることができる。
セカンドシート9の伸長性を低くするためには、例えばセカンドシート9を構成する不織布の坪量や厚みを高めたり、不織布の構成繊維として太い繊維を用いたり、繊維の構成樹脂としてヤング率の高いものを用いたり、熱エンボス部を有する不織布を用いたりすればよい。不織布の種類に関しては、熱エンボス部を有する不織布であるスパンボンド不織布やヒートボンド不織布を用いることが好ましい。不織布体を構成する繊維としては例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールの単独繊維及びこれら樹脂を2種以上含む複合繊維を用いることができる。複合繊維としては、芯鞘型、サイド・バイ・サイド型、偏芯型等が挙げられる。
セカンドシート9の伸長性を低くする観点から、該セカンドシート9は、その坪量が、好ましくは10g/m以上50g/m以下であり、更に好ましくは15g/m以上25g/m以下である。またセカンドシート9は、その厚みが、好ましくは0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。セカンドシート9の厚みは、先に述べた表面シート2の厚みと同様の方法で測定される。
線状圧搾溝8が形成されるべき部位においては、吸収体4の厚みよりも表面シート2の厚みの方が大きくなっていることが好ましい。このような厚み関係になっていることで、明瞭な線状圧搾溝8を形成することができ、該線状圧搾溝8に起因する防漏効果が高まる。線状圧搾溝8が形成されるべき部位における吸収体4の厚みは、後述する方法で測定される。線状圧搾溝8が形成されるべき部位における表面シート2の厚みは、上述の方法で測定される。
線状圧搾溝8が形成されるべき部位における吸収体4の厚みをT4とし、同部位における表面シート2の厚みをT2としたとき、T2/T4の値は1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることが更に好ましく、2.0以上であることが一層好ましい。また、T2/T4の値は5.0以下であることが好ましく、4.5以下であることが更に好ましく、4.0以下であることが一層好ましい。例えばT2/T4の値は1.2以上5.0以下であることが好ましく、1.5以上4.5以下であることが更に好ましく、2.0以上4.0以下であることが一層好ましい。ここで、「線状圧搾溝8が形成されるべき部位」とは、線状圧搾溝8が形成される前の状態における、線状圧搾溝8が設けられる予定の場所を意味する。
T2/T4の値は上述したとおりであることが好ましいところ、T4の値そのものは、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることが更に好ましく、0.8mm以上であることが一層好ましい。また、3.0mm以下であることが好ましく、2.7mm以下であることが更に好ましく、2.5mm以下であることが一層好ましい。例えばT4の厚みは0.3mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上2.7mm以下であることが更に好ましく、0.8mm以上2.5mm以下であることが一層好ましい。このように、本実施形態においては、T4の厚みが比較的小さいこと、すなわち吸収体4が薄手である場合に、線状圧搾溝8の明瞭性が一層高くなる。
上述した構造の表面シート2及びセカンドシート9を具備する本実施形態のナプキン1は、好適には以下の方法で製造される。すなわち、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート間に介在された吸収体4を具備し、表面シート2と吸収体4との間に、液透過性のセカンドシート9が配されており、表面シート2は、肌対向面側に突出し、且つセカンドシート9との間で内部空間を画成する複数の肌側突出部と、非肌対向面側に突出する複数の非肌側突出部とを有する凹凸構造のシートであるナプキン1の製造方法であって、前記製造方法は、表面シート2及びセカンドシート9を裏面シート2側に向かって一体的に凹陥させて、ナプキン1の肌対向面に線状圧搾溝を形成する工程を有し、セカンドシート9として、表面シート2よりも伸長性の低いものを用いる製造方法、である。
本実施形態においては、ナプキン1の排泄部対向部Bにおける線状圧搾溝8以外の部分では、表面シート2とセカンドシート9とは圧着されておらず、表面シート2の各肌側突出部21とセカンドシート9との間に中空構造が形成されている。線状圧搾溝8の圧着手段としては、圧着部の形状安定性の観点から熱圧着が好ましい。「熱圧着」とは、表面シート2を構成する構成繊維どうしを固定して不織布形状を形成する熱融着とは異なり、表面シート2とセカンドシート9とを熱を掛けながらエンボス等により圧縮して凹陥させ、表面シート2とセカンドシート9とを圧着することを意味する。
ナプキン1の排泄部対向部Bにおける線状圧搾溝8以外の部分では、表面シート2を前記互いに交差する異なる2方向の内の一方向に沿って断面視したときに、表面シート2の複数の肌側突出部21とセカンドシート9との間の中空構造を形成する内部空間S1どうしが繋がっている。好適には、各内部空間S1が隔てられておらず(すなわち独立しておらず)、図4に示すとおり、例えば前記2方向の内の一方向である横方向Yに沿って表面シート2を断面視したときに、縦方向Xと横方向Yとの間の斜め方向に隣り合う複数の肌側突出部21の内部空間S1,S1どうしが繋がっており、内部空間S1,S1どうしの繋がりが、縦方向X及び横方向Yから形成される面方向に広がっている。これによって、排泄された体液を更に素早く吸収体4内に吸収でき、体液の拡散を更に抑えることができるとともに、吸収体4に吸収された体液の液戻りを更に抑えることができる。
ナプキン1における吸収体4は、吸収性シート411〜413の積層体から形成されており、排泄部対向部Bにスリット43を複数有している。スリット43の形成によって、排泄された体液を素早く吸収体4内に吸収でき、表面シート2の表面において体液の拡散を抑えることができる。好適には、吸収体4は、図6に示すとおり、吸収体4を平面視して、吸収体4の外形を形成する主吸収体40と、排泄部対向部Bに配された主吸収体40よりも小型の補助吸収体41とを有している。
主吸収体40は、図2に示すとおり、平面視において角が丸みを帯びた略矩形形状で且つ前方部Aから排泄部対向部Bを経て後方部Cにわたって延びる2枚の同形同大の吸収性シート411,412から形成されている。一方、補助吸収体41は、図2に示すとおり、平面視して、略矩形形状であり、排泄部対向部Bに配されている。補助吸収体41は、1枚の吸収性シート413を折り畳んで2層構造としたものであり、主吸収体40を構成する2枚の吸収性シート411,412間に配されている。以上のように、吸収体4は、吸収性シート413から形成された2層構造の補助吸収体41を、2枚の吸収性シート411,412から形成された主吸収体40で包んで形成されている。
吸収性シート411〜413で形成された吸収体4は、図2に示すとおり、排泄部対向部Bに、2層構造の主吸収体40及び2層構造の補助吸収体41で形成された4層構造の中高部42を有している。また、吸収体4における中高部42以外の部分も2層構造の主吸収体40で形成された2層構造の積層構造となっている。中高部42とは、図2に示すとおり、吸収体4を構成する吸収性シートの積層枚数が、その周囲に位置する部分より多い部分である。中高部42は、その周囲に位置する部分よりも厚みが厚く、排泄部対向部Bに、表面シート2側(ナプキン1の肌対向面側)に隆起した隆起部を形成している。主吸収体40の一部に2層構造の補助吸収体41を配することで、吸収体4の一部の吸収容量を容易且つ効率的に増大させることができる。各吸収性シート411〜413の層間は、接合されていなくてもよいし、ストライプ状等の部分的な接着剤配置によって部分的に接合されていてもよい。このように、各吸収性シート411〜413の層間が未接合、又は部分的に接着していることで、前記吸収性シート411〜413の層間に空隙が生じること、また吸収性シート411〜413の層の表面積が低減されないことから、吸収量、及び吸収速度は維持される。
吸収体4においては、中高部42における厚みが、好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは1mm以上であり、また、好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下であり、より具体的には、好ましくは0.7mm以上5mm以下、更に好ましくは1mm以上4mm以下である。中高部42の厚みをこのような範囲とすることで、中高部42が形成されている排泄部対向部Bにおける良好な装着感と高い吸収性能を両立することが容易となる。また、本実施形態のナプキン1のように吸収性物品がウイング部を備えている場合には、装着時に排泄部対向部Bでの吸収体4のヨレを抑制し易くなる。また、吸収体4は、中高部42以外の部分における厚みが、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2.5mm以下であり、より具体的には、好ましくは0.3mm以上3mm以下、更に好ましくは0.5mm以上2.5mm以下である。この範囲であることが、高い吸収性能と着用者の動きへの追従性を高める観点から好ましい。
吸収体4において、中高部42とその周辺部との境界又はその近傍における両者の厚み差(段差)は2mm以下であることが好ましく、更に1.5mm以下であることが好ましい。段差を形成する目的は、排泄部対向部Bにおいて、中高部42とその周辺部分の主吸収体40のみが存在する領域との境界付近におけるヨレの発生を抑制することにある。この段差が大きいと、着用中にナプキン1が着用者の動きに追従した際、段差による隙間を埋めようとするため、結果として段差の影響でヨレが生じ易くなることがあるが、該段差を前記範囲内に設定することで、排泄部対向部Bにおけるヨレの発生を抑える効果が高まる。前述した吸収体4の各部の厚みは下記方法により測定される。
<吸収体の厚みの測定方法>
測定対象物である吸収体を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、5cN/cm2の荷重下での厚みを測定する。厚みの測定には、ダイヤルゲージ式厚み計(PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製))を用いる。このとき、厚み計の先端部と測定対象物における測定部分との間に、平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、荷重が5cN/cm2となるようにプレートの大きさを調整する。
吸収体4の排泄部対向部Bに複数のスリット43が設けられていることは上述のとおりであるところ、各スリット43は、図1及び図6に示すとおり、縦方向Xに平行に配されている。すなわち、各スリット43は、縦方向Xに延びる縦スリットである。したがって吸収体4は、縦方向Xに延びるスリット(縦スリット)43が、縦方向X及び横方向Yの両方向に分散した状態に形成された排泄部スリット領域4Sを有している。
スリット43は、吸収体4を形成する吸収性シート411〜412の積層体の少なくとも1層を貫通している。本実施形態では、図2に示すとおり、吸収体4を横方向Yに沿って断面視したときに、スリット(縦スリット)43が、4層構造の中高部42を備える吸収体4の1層を貫通しているのみならず、積層体の全層を貫通している。すなわち、スリット(縦スリット)43が、吸収体4をその厚み方向にわたって全層貫通している。好適には、縦スリット43は、排泄部対向部Bにおける中高部42及び中高部42以外の部位、それぞれに、吸収体4をその厚み方向にわたって貫通する切り込みを入れて形成される。複数の縦スリット43が配された排泄部スリット領域4Sは、図6に示すとおり、排泄部対向部Bのみならず、前方部Aの一部及び後方部Cの一部にわたっている。それによって、縦スリット43を起点に吸収体4が折れ曲がり易く、ナプキン着用時のフィット性が向上する。縦スリット43にはわずかに空間が形成されて表面シート2からの排泄液が取り込み易くなっている上に、縦スリット43の切断部は、切り込み加工する際にやや圧縮されているため更に吸収スピードが高められる。また、縦スリット43が吸収体4を完全に貫通することで、吸収体4へ到達した液は、吸収体4の非肌対向面側へ到達し易くなり吸収体4を効率的に使用した吸収が可能になる。
各縦スリット43は、図1に示すとおり、その横方向長さである幅W43(図6参照)が、表面シート2における横方向Yに隣り合う肌側突出部21の頂部21T,21Tどうしの間隔L21(図4参照)よりも狭く形成されている。また、頂部21T,21Tどうしの間隔L21は、横方向Yに延びる同一スリット列内における縦スリット43どうしの間隔L43(図6参照)よりも狭く形成されている。そのことに起因して、吸収体4を図2に示すように断面視したとき、スリット43の位置と、肌側突出部21の頂部21Tの位置とが重なる部分が形成され難く、肌側突出部21の内部空間S1内に、折られたスリット43が入り込み難くなっており、表面シート2自体の肌触り感を阻害し難い。
スリットの幅W43とは、スリットの延びる方向と直交する方向における該スリットの長さのことをいう。また、スリットの幅とは、吸収性物品を衣類のクロッチ部等に固定する前の、張力を加えない自然状態における幅の内の最大幅であり、体液を吸収体4に吸収させる前の幅のことをいう。各スリット(縦スリット)43を平面視したときのスリット(縦スリット)43の幅W43は、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上が更に好ましく、また、1mm以下が好ましく、0.8mm以下が更に好ましく、また、0.1mm以上1mm以下が好ましく、0.3mm以上0.8mm以下が更に好ましい。
縦スリット43どうしの間隔L43(図6参照)に対する肌側突出部21の頂部21Tどうしの間隔L21(図4参照)の割合((L21/L43)×100)は、吸収性を高める観点から、10%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、70%以下であることが好ましく、55%以下であることが更に好ましく、そして、10%以上70%以下であることが好ましく、30%以上55%以下であることが更に好ましい。縦スリット43どうしの間隔L43(図6参照)それ自体は、好ましくは3mm以上、更に好ましくは7mm以上、また、好ましくは20mm以下、更に好ましくは15mm以下であり、また、好ましくは3mm以上20mm以下、更に好ましくは7mm以上15mm以下である。
排泄部スリット領域4Sにおけるスリットの配置は、各スリットが、縦方向X及び横方向Yの両方向に分散されている配置であれば、特に制限されないが、図6に示す形態のように、縦方向Xに沿う縦スリット43を有する場合、ナプキン1の縦方向Xに沿って直列配置した複数の縦スリット43からなる縦列Lが、横方向Yに複数列形成されていることが好ましい。また、ナプキン1では横方向Yに隣り合う縦列L,Lにおける縦スリット43の縦方向Xの位置が一致していない配置が好ましい。
排泄部スリット領域4Sは、図6に示すとおり、中高部42を含むように形成されている。中高部42には、横方向Yに離間した2本以上の縦スリット43からなるスリット列が縦方向Xに2列以上形成されていることが好ましく、縦方向Xに3列以上形成されていることが更に好ましく、4列以上形成されていることが特に好ましい。また、個々のスリット列に含まれる横方向Xに離間した縦スリット43の本数は、好ましくは2本以上であり、更に好ましくは3本以上である。排泄部スリット領域4Sの縦方向Xには、中高部42に含まれるスリット列に加えて、中高部42より縦方向Xの前方若しくは後方又は前方及び後方の両方に、1列又は2以上のスリット列を有することが好ましい。
図7には、排泄部スリット領域4Sにおける縦スリット43の好ましい配置の例が示されている。同図に示す配置においては、ナプキン1の横方向Yに離間した複数本の縦スリット43からなるスリット列R1,R2が、ナプキン1の縦方向Xに交互に複数列形成されている。図7に示す配置例においては、横方向Yに離間した2本の縦スリット43からなるスリット列R1と、横方向Yに離間した3本の縦スリット43からなるスリット列R2とが、縦方向Xに交互に形成されている。
図7に示す縦スリット43の好ましい配置の例においては、図7(a)及び図7(b)に示すとおり、縦方向Xに隣り合う2つのスリット列R1,R2における縦スリット43は、一方のスリット列R1の縦スリット43が、他方のスリット列R2における横方向Yに隣り合う縦スリットどうし43,43の間の中央部に配されている。そして、ナプキン1の縦方向Xに隣り合うスリット列R1,R2間には、間隔を有していない。すなわち、縦方向Xに隣り合う2つのスリット列R1,R2間には、間隔は設けていない。隣り合うスリット列間に間隔を有しないという表現には、図7(a)に示すとおり、隣り合うスリット列R1,R2の縦スリット43の端部どうしの位置が一致している場合と、図7(b)に示すとおり、隣り合うスリット列R1,R2の縦スリット43の端部どうしが、縦方向Xにおいて重複している場合とが含まれる。図7(b)に示すとおり、2本のスリット列R1,R2の縦スリット43の端部どうしを重複させた状態で縦方向Xに配置する場合、その重複させる長さL1は、スリット列を構成する縦スリット43の同方向Xの長さL2の20%以下であることが好ましく、10%以下であることが更に好ましい。ナプキン1では、縦スリット43の長さL2(図7参照)は、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以上であり、また、好ましくは35mm以下、更に好ましくは25mm以下であり、また、好ましくは10mm以上35mm以下、更に好ましくは15mm以上25mm以下である。
本実施形態では、表面シート2とセカンドシート9との間、及びセカンドシート9と吸収体4との間は、接着剤を塗布して固定されていることが好ましい。表面シート2、セカンドシート11、及び吸収体4をそれぞれ固定することで、ヨレやズレの発生が抑制され、装着感が向上する。接着剤は、公知の手段、例えば、スロットコートガン、スパイラルスプレーガン、スプレーガン、あるいはドットガンを用いて塗布することができ、本実施形態では、スパイラルスプレーガンを用いてスパイラル状に塗布することが好ましい。塗布する接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤が好ましく用いられる。ホットメルト接着剤の塗布量は、3g/m以上10g/m以下であることが好ましい。なお、吸収体4と裏面シート3との間も接着剤によって接合されていてもよい。
上述した本実施形態のナプキン1の各構成部材の形成材料について説明する。
表面シート2としては、原料不織布として、単層構造であるか、又は複数の層が積層されてなる多層構造であるエアスルー不織布を用い、例えば特開2013−133574号公報に記載の方法により好適に製造したシートを用いることができる。特開2013−133574号公報に記載の方法により製造される表面シート2には、肌側突出部21及び非肌側突出部22を有するシートの形に形成するためのエンボス部が無い構成となっている。つまり、同公報の記載の方法によって表面シート2を製造すると、その表面シート2を用いて得られたナプキン1においては、表面シート2は、該表面シートにのみ形成されたエンボス部を有しない構造のものとなる。
裏面シート3としては、吸収性物品の裏面シートに従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布とのラミネートシート等を用いることができる。
吸収体4を構成する吸収性シート411〜413としては、湿潤状態の吸水性ポリマーに生じる粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを介して、構成繊維間や構成繊維と吸水性ポリマーとの間を結合させてシート状としたもの等を好ましく用いることができる。また、吸収性シートとしては、特開平8−246395号公報記載の方法にて製造された吸収性シート、気流に乗せて供給した粉砕パルプ及び吸水性ポリマーを堆積させた後、接着剤(例えば酢酸ビニル系の接着剤、PVA等)で固めた乾式シート、紙や不織布の間にホットメルト接着剤等を塗布した後高吸水性ポリマーを散布して得られた吸収性シート、スパンボンド又はメルトブロー不織布製造工程中に高吸水性ポリマーを配合して得られた吸収性シート等を用いることができる。これらの吸収性シートは、一枚を所定形状に裁断してシート状吸収体として用いることができる。
吸収体4にスリットを形成するには、吸収性シートの積層体を、公知の切断手段により部分的に切断すればよく、例えば、ロールの周面に、周方向に延びる切断刃が、ロールの周方向及び軸長方向に分散させて多数形成されたカッターロールと、該カッターロールの刃を受けるアンビルロールとを備えた切断装置を用いることができる。
吸収体4を構成する吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。また、吸収体4を構成する吸収性シートは、そのいずれもが吸水性ポリマーを含有する吸水性シートであることが好ましいが、吸水性ポリマーを含有する吸水性シートと、吸水性ポリマーを含有しない吸水性シートを組み合わせて、吸収体を構成する吸水性シートの積層体としてもよい。
サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。その他の材料としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)とが複合化されたシート(例えばSM、SMS、SMMS等)、ヒートロール不織布、エアスルー不織布等の撥水性(疎水性)不織布が挙げられる。特に撥水性のエアスルー不織布を用いることが、肌触りのよさと横漏れ防止の点から好ましい。
ウイング部粘着部71や本体粘着部72(ズレ止め部)の形成方法としては、下着等の衣類に固定して用いる吸収性物品に従来用いられる方法を特に制限なく用いることができる。例えば、粘着剤を裏面シート3に直接塗工して形成することもできるし、粘着剤が塗工された粘着テープの他面側を裏面シートに接合して形成することもできる。粘着部の形成に用いる粘着剤としては、例えば、エマルジョン系、水系、溶剤系の粘着剤が挙げられる。また、ズレ止め部は、優れた位置ずれ防止性能及び安定な生産性を得る観点から、ホットメルト粘着剤等の粘着剤を塗布して形成することが好ましい。そのような粘着剤としては、この種の物品に通常用いられるものを制限なく採用することができるが、主に天然ゴム類似の基本構造を有する合成ゴム系のブロック共重合体を用いることが好ましい。そのようなブロック共重合体としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。粘着剤は、これらのブロック共重合体から選択される一種又は二種以上のベースポリマーを10〜65重量%、特に30〜50重量%含むことが好ましい。なお、ズレ止め部は、吸収性本体とそれを固定する衣類との間のズレを防止できる限り、粘着性がなくてもよい。
線状圧搾溝8(第1横圧搾溝81、縦圧搾溝82及び第2横圧搾溝83)は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工(いわゆるエンボス加工)、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は前記実施形態のナプキン1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、本実施形態で用いた表面シート2は、図3に示すとおり、内部空間S1を有する複数の肌側突出部21部21と内部空間S2を有する複数の非肌側突出部22とを有しており、表面シート2を平面視したときに、肌側突出部21及び非肌側突出部22が、互いに交差する異なる2方向に沿って交互に連続して配されているシートであるが、表面シート2の構造はこれに限られず、内部空間S1を有する複数の肌側突出部21と内部空間S2を有する複数の非肌側突出部22とを有していればよい。例えば、図8に示すとおり、縦方向Xに延びる筋状の内部空間S3を有する肌側突出部24と縦方向Xに延びる筋状の内部空間S4を有する非肌側突出部25とが、横方向Yに交互に配された凹凸構造のシートであってもよい。また、横方向Yに延びる筋状の内部空間S3を有する肌側突出部24と横方向Yに延びる筋状の内部空間S4を有する非肌側突出部25とが縦方向Xに交互に配された凹凸構造のシートであってもよい。
また、本実施形態における吸収体4は、吸収性シート411〜413を折り畳んだ積層体から形成されているが、これに代えて吸収体として毎葉の吸収性シートを複数枚貼り合わせて積層したものを用いてもよい。また、吸収性シートの折り畳み方も多様な折り畳み方を採用できる。
また、ナプキン1の吸収体4が有する複数のスリット43は、図1及び図6に示すとおり、縦スリットであるが、ナプキン1の横方向に沿う横スリットであってもよいし、縦方向X及び横方向Yの両者に対して角度を有する斜め方向に延びるスリットであってもよいし、縦スリットと横スリットとを混在してもよい。また、ナプキン1の吸収体4が有する複数のスリット43は、図2に示すとおり、吸収体4をその厚み方向にわたって全層を貫通しているが、少なくとも1層貫通していればよい。
また、ナプキン1の吸収体4の排泄部スリット領域4Sは、排泄部対向部Bのみに形成されていてもよいし、排泄部対向部Bから後方部Cの一部に延在していてもよいし、排泄部対向部Bから、前方部Aの一部及び後方部Cの一部に延在していてもよい。更に、中高部42における吸収性シートの積層数は、4枚に代えて、2枚又は3枚でもよく、5枚以上であってもよい。また、中高部42とそれ以外の部分との吸収性シートの積層枚数の差も1枚又は3枚以上であってもよい。
また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティーライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
<実施例1>
図3及び図4に示す表面シートを有する図1及び図2に示す生理用ナプキン1と同様の基本構成を有する生理用ナプキンを作製し、これを実施例1のサンプルとした。表面シートとしては、特開2013−133574号公報に記載の方法により製造したシートを用いた。上層に、芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtexの繊維を用い、且つ坪量を10g/mとし、下層に、芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.9dtexの繊維を用い、且つ坪量を15g/mとし、合計の坪量を25g/mに調整し、表面シートの全体の厚さTを1.7mmに調整した。また、表面シートは、横方向Yに隣り合う肌側突出部の頂部21T,21Tどうしの間隔L21が5mmであり、縦方向Xに隣り合う肌側突出部の頂部21T,21Tどうしの間隔が7mmであった。セカンドシートとしては、坪量が20g/mであり、ポリプロピレン/ポリエチレン(50/50(wt))の芯鞘型複合繊維からなるスパンボンド不織布を用いた。吸収性シートで形成された吸収体の有する縦スリットは、その横方向の長さである幅W43が0.3mmであり、その縦方向の長さL2が20mmであり、縦スリットどうしの間隔L43が10mmであった。裏面シートとしては、坪量37g/mのポリエチレンフィルムを用いた。圧搾溝は、図1に記載の形状を形成し、形成加工法には、ヒートエンボス加工手段を用いた。伸長率が5.6%であった。セカンドシートについて同条件で測定された伸長率は3.6%であった。
〔実施例2〕
セカンドシートとして、坪量が25g/mであり、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン(50/50(wt))の芯鞘型複合繊維からなるエアスルー不織布に、散点状ドットパターンのヒートエンボス加工を施したものを用いた。このセカンドシートについて、実施例1と同様にして測定された伸長率は4.1%であった。これ以外は実施例1と同様にしてナプキンを得た。
〔比較例1〕
セカンドシートとして、坪量が25g/mであり、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン(50/50(wt))の芯鞘型複合繊維からなるエアスルー不織布を用いた。このセカンドシートについて、実施例1と同様にして測定された伸長率は9.0%であった。これ以外は実施例1と同様にしてナプキンを得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られたナプキンについて、液体を吸収させたときの広がりの程度を測定した。液体としては、馬脱繊維血液(株式会社 日本バイオテスト研究所)を用いた。ナプキンの肌対向面における排泄部対向部の中心部に、表面シートの10mm上方の位置から3mlの液体を滴下した。滴下してから0.5分経過後に、ナプキンの肌対向面側及び非肌対向面側から見た液体の広がりの程度を画像処理によって測定した。具体的には、画像処理によって、ナプキン1の縦方向及び横方向のそれぞれにおける最大長さを測定した。その結果を以下の表1に示す。
Figure 2017029494
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例のナプキンでは、滴下された液の広がりが圧搾溝で阻止されて、横方向に向かう液広がりの程度が小さかった。これに対して比較例のナプキンは、滴下された液が圧搾溝を越えてその外側まで広がってしまい、横方向に向かう液広がりの程度が大きかった。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
10B 吸収性本体
10W ウイング部
10S サイドフラップ部10S
2 表面シート
21 肌側突出部
21T 肌側突出部の頂部
21W 肌側突出部の壁部
S1 内部空間
22 非肌側突出部
22T 非肌側突出部の頂部
22W 非肌側突出部の壁部
S2 内部空間
3 裏面シート
4 吸収体
411,412,413 吸収性シート
4S 排泄部スリット領域
40 主吸収体
41 補助吸収体
42 中高部
43 縦スリット
5 サイドシート
61 第1接合線
62 第2接合線
71 ウイング部粘着部
72 本体粘着部
8 線状圧搾溝
81 第1横圧搾溝
82 縦圧搾溝
83 第2横圧搾溝
9 セカンドシート

Claims (7)

  1. 肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備し、該表面シートと該吸収体との間に、液透過性のセカンドシートが配されており、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する吸収性物品であって、
    前記表面シートは、肌対向面側に突出し、且つ前記セカンドシートとの間で内部空間を画成する複数の肌側突出部と、非肌対向面側に突出する複数の非肌側突出部とを有する凹凸構造のシートであり、
    前記吸収性物品の肌対向面に、前記表面シート及び前記セカンドシートが前記裏面シート側に向かって一体的に凹陥してなる線状圧搾溝が形成されており、
    前記セカンドシートとして、前記表面シートよりも前記横方向の伸長性の低いものを用いた、吸収性物品。
  2. 引張速度300mm/minの条件下で、前記物品の前記横方向に沿って引張試験を行ったときの、0.5N荷重時での前記表面シートの伸長率(%)と、前記セカンドシートの伸長率(%)との差が1.0%以上3.5%以下である請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記セカンドシートが、スパンボンド不織布又はヒートボンド不織布からなる請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記表面シートは、該表面シートにのみ形成されたエンボス部を有しない請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  5. 前記線状圧搾溝が前記物品の縦方向に沿って伸びており、その最大幅が1.0mm以上2.5mm以下である請求項1ないし4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記線状圧搾溝が形成されるべき部位において、前記吸収体の厚みよりも表面シートの厚みの方が大きくなっている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法であって、
    前記表面シートに該表面シートよりも伸長性の低い前記セカンドシートを配した後に又は同時に、該表面シートと該セカンドシートとをともに前記裏面シート側に向かって押圧して前記線状圧搾溝を形成する、吸収性物品の製造方法。
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