以下、図面を参照して、本発明に係る電動遮蔽装置1として、主として、両開き式の一実施形態の二重カーテン装置を例に説明する。尚、本願明細書中、図1にて視認される二重カーテン装置の斜視図に対して、図示上方及び図示下方をカーテン材の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を二重カーテン装置の左側、図示右方向を二重カーテン装置の右側と定義する。また、図1の斜視図を視認する側を前側(室内側)、及び、その反対側を後側(又は室外側)とする。
(二重カーテン装置の構成)
まず、図1を参照して、本実施形態の電動遮蔽装置1として構成される二重カーテン装置を説明する。図1は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置として構成される二重カーテン装置の概略構成を示す斜視図である。
まず、図1に示すように、本実施形態の二重カーテン装置は、主に、室内側レール2‐1、室外側レール2‐2、室内側レール2‐1の左右両端に設けられる移送装置3‐1、室外側レール2‐2の左右両端に設けられる移送装置3‐2、各レール用の複数のランナー4‐1,4‐2、各レール用の先頭ランナー5‐1,5‐2、室内側レール2‐1用の第1モーターユニット6‐1、室外側レール2‐2用の第2モーターユニット6‐2、各モーターユニット6‐1,6‐2内に収容される各モーター7‐1,7‐2と、これらのモーターハーネス11、第1モーターユニット6‐1に対する電源コード12、室内側カーテン材(本例ではドレープカーテン)13‐1、及び室外側カーテン材(本例ではレースカーテン)13‐2から構成される。
本実施形態の二重カーテン装置は、室内側レール2‐1と室外側レール2‐2が2列に配設され、各レール2‐1,2‐2の一端側から中央側に向かってカーテン材13‐1,13‐2が引き出され、或いは各レール2‐1,2‐2の中央側から一端側に向かってカーテン材13‐1,13‐2が畳み込まれる。尚、本発明に係る二重カーテン装置は、片開き式であってもよい点に留意する。
各レール2‐1,2‐2には、それぞれ先頭ランナー5‐1,5‐2が対称的に対向配置されて移動可能に支持されている。また、先頭ランナー5‐1と室内側レール2‐1の両端との間、及び先頭ランナー5‐2と室外側レール2‐2の両端との間に、それぞれ多数のランナー4‐1,4‐2が移動可能に支持されている。
そして、カーテン材13‐1,13‐2は、それぞれの先頭ランナー5‐1,5‐2及びランナー4‐1,4‐2に吊下支持されている。
室外側レール2‐2の左右両端には移送装置3‐2が取着され、室内側レール2‐1の左右両端には移送装置3‐1が取着されており、各移送装置3‐2,3‐1には駆動プーリー(図示せず)が設けられ、左右両端の移送装置3‐2間、及び移送装置3‐1間で、それぞれの当該駆動プーリーに対して無端状に移送用ベルト(図示せず)が掛回されている。
また、室内側レール2‐1の右端側の移送装置3‐1にはモーターユニット6‐1が吊下支持され、モーターユニット6‐1内に配設されたモーター7‐1の駆動力によりモーター出力軸71‐1が回転し、この回転が当該駆動プーリーに伝達されて室内側レール2‐1内の当該移送用ベルトが移動する。
また、室外側レール2‐2の右端側の移送装置3‐2にはモーターユニット6‐2が吊下支持され、モーターユニット6‐2内に配設されたモーター7‐2の駆動力によりモーター出力軸71‐2が回転し、この回転が当該駆動プーリーに伝達されて室外側レール2‐2内の当該移送用ベルトが移動する。
尚、各レールにおける左右両端の移送装置3‐1,3‐2内の当該駆動プーリーの中心部には入力軸が設けられ、その入力軸の中心部には四角孔が設けられている。そして、各モーターユニット6‐1,6‐2におけるそれぞれのモーター7‐1,7‐2のモーター出力軸は、この四角孔に嵌合可能に構成されている。モーター7‐1,7‐2は同一仕様で構成されており、このため、本例では、各モーターユニット6‐1,6‐2を各レールの右端側の移送装置3‐1,3‐2に取着して吊下支持させる例を示しているが、各モーターユニット6‐1,6‐2を各レールの左端側の移送装置3‐1,3‐2に取着して吊下支持させ、各レール内の当該移送用ベルトを移動可能に駆動伝達できるようになっている。尚、モーターユニット6‐1,6‐2を取着しない移送装置3‐1,3‐2に対しては、図1に示すように、底面を保護するカバー3aを係着するのが好適である。
そして、本実施形態の二重カーテン装置では、室内側レール2‐1内で移動可能に対向配置される先頭ランナー5‐1は、そのレール内で掛回される当該移送用ベルトの前側及び後側にそれぞれ固着されている。同様に、室外側レール2‐2内で移動可能に対向配置される先頭ランナー5‐2は、そのレール内で掛回される当該移送用ベルトの前側及び後側にそれぞれ固着されている。これにより各レール内で移動可能な先頭ランナー5‐1,5‐2がそれぞれの当該移送用ベルトの移動により各レールの一端側から中央側に向かって移動し、或いは中央側から一端側に向かって移動する。このため、カーテン材13‐1,13‐2が各レールの一端側から中央側に向かって引き出され、或いはカーテン材13‐1,13‐2が各レールの中央側から一端側に向かって畳み込まれる。
モーターユニット6‐1,6‐2の外形を構成する筐体は、それぞれ同一形状の略四角筒状のモーターケース62‐1,62‐2と、モーターケース62‐1,62‐2を各移送装置3‐1,3‐2に嵌合により連結して取着可能にするそれぞれ同一形状の連結用のベース部材61‐1,61‐2と、モーターケース62‐1,62‐2の底部を蓋着するそれぞれ同一形状のユニットキャップ63‐1,63‐2よりなる。ただし、ユニットキャップ63‐1,63‐2には、共にモーターハーネス11のコネクタ11aを挿通可能な挿通孔が設けられているが、ユニットキャップ63‐1についてのみ、外部操作(例えば図示しない操作スイッチ等)用の通信ケーブルを接続可能な挿通孔が設けられている(図示せず)。また、モーターケース62‐1にのみ電源コード12を挿通可能にする挿通孔が設けられている(図示せず)。
特に、本実施形態のモーターユニット6‐1は、制御部9と、外部操作要求を受け付け該制御部9に制御指示する外部入力ユーザーインターフェース(UI)部10と、制御部9へ、及び制御部9を介してモーター7‐1,7‐2及び外部入力UI部10へ電源供給する電源部8と、を内蔵している。尚、外部入力UI部10は、外部操作用の通信ケーブルを接続可能なコネクタ部(図示せず)を有しており、この外部操作側装置と制御部9とを双方向通信可能に構成することができる。また、電源コード12は、電源部8に接続されている。
また、本実施形態のモーターユニット6‐2は、モーター7‐2のみを収容し、モーター7‐2と接続されるモーターハーネス11をユニットキャップ63‐2の挿通孔を経て、モーターユニット6‐1内の外部入力UI部10の基板経由で制御部9に接続されている。
このため、図2(a)に示すように、本発明に係る二重カーテン装置は、1つの制御部9と電源部8で、複数の遮蔽材(カーテン材13‐1,13‐2)の開閉動作をそれぞれ行うよう設けられた複数のモーター7‐1,7‐2を制御するようになっている。
即ち、本発明に係る二重カーテン装置では、2つの遮蔽材(カーテン材13‐1,13‐2)の開閉駆動を行う各モーター7‐1,7‐2を制御する1つの制御部9と、各モーター7‐1,7‐2及び制御部9等に電源供給する電源部8と、更には外部入力UI部10とを、1つのモーターユニット6‐1内に収容するように構成したため、低コスト化を図ることができる。例えば、図2(b)に示すように、同様な構成要素には同一の参照番号を付して説明すると、従来技術に基づく比較例では、それぞれのモーターユニット6‐1,6‐2に対しそれぞれに同様な構成の制御部9‐1,9‐2、電源コード12‐1,12‐2をそれぞれ有する電源部8‐1,8‐2、及び外部入力UI部10‐1,10‐2を設けていたため、コストの観点や品質管理の観点から不利なものとなっていた。したがって、本発明に係る構成では、これを改善することができる。
尚、第1及び第2モーターユニット6‐1,6‐2は、1つの制御部9と電源部8で、複数の遮蔽材(カーテン材13‐1,13‐2)の開閉動作をそれぞれ行うよう設けられた複数のモーター7‐1,7‐2を制御するように構成されていればよいため、例えば図3(a)に示すように、第1モーターユニット6‐1に対して短尺な第2モーターユニット6‐2としてもよい。一方で、短尺な第2モーターユニット6‐2としたとき、例えば図3(b)に示すように、第2ユニットキャップ63‐2を有しない形態とすることも可能である。ただし、モーターケース62‐1,62‐2やユニットキャップ63‐1,63‐2の共有化の図ることで低コスト化を図る観点、及び意匠性の観点から、図1及び図2(a)に示す形態とするのが好ましい。
(モーターユニットの装置構成)
以下、図4を参照して、制御部9の詳細構成について説明する。図4は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の二重カーテン装置における制御部9の詳細を示すブロック図である。ここで、制御部9は、複数の遮蔽材の開閉を制御する制御装置として機能する。
図1及び図2(a)で示したように、モーターユニット6‐1はモーターケース62‐1及びユニットキャップ63‐1内に、第1モーター7‐1、電源部8、制御部9、及び外部入力UI部10を備える。そして、図4に示すように、制御部9は、第1及び第2モーター7‐1,7‐2をそれぞれ制御可能に構成されている。尚、図4では、制御関係を明確にするよう、制御部9により第2モーター7‐2を直接的に制御可能に接続されている様子を示しているが、実配線上では、制御部9と第2モーター7‐2とは外部入力UI部10の基板を経由している(図2(a)参照)。
第1及び第2モーター7‐1,7‐2は、それぞれ回転検出器内蔵モーターとして同一仕様で構成され、それぞれ回転検出器72‐1,72‐2を備えている。ただし、回転検出器とモーターとを別体で構成してもよい。
特に、本発明に係る制御装置として機能する制御部9は、複数のカーテン材の開閉動作をそれぞれ行うよう設けられた第1及び第2モーター7‐1,7‐2を制御する際に、「開操作」と「閉操作」の2つの操作要求に対して、複数のカーテン材に対しいずれのカーテン材を先に動作させ、いずれのカーテン材を先に動作させたカーテン材に追随させるかを複数のカーテン材の開方向と閉方向で予め定めた動作仕様に基づいて動作するよう構成されており、この動作仕様は利用者によって予め定めた動作種類から選択設定可能となっている。
例えば、本例に係る二重カーテン装置の場合、その詳細は後述するが、「開操作」と「閉操作」の2つの操作要求に対する動作種類として、第1の動作タイプは、「開操作」時に、ドレープカーテンが全開状態に無いときはレースカーテンの開閉状態に関わらずドレープカーテンのみが開方向に動作する。第2の動作タイプは、「開操作」時に、ドレープカーテンが全開状態にあるときレースカーテンが開方向に動作する。第3の動作タイプは、「閉操作」時に、ドレープカーテンが先ず閉方向に動作しドレープカーテンが全閉で自動停止した後、レースカーテンが動作し始め、全閉状態で自動停止する。尚、設定の切替えにより、第1乃至第3の動作タイプは、レースカーテンとドレープカーテンの動作の開始を選択設定可能に構成される。
電源部8は、ケーブル12を介して外部からの交流電源を入力し、直流電源に変換する電源回路で構成され、第1及び第2モーター7‐1,7‐2や制御部9等の各機能部への電源供給を行う。
モーター出力軸71‐1,71‐2は、それぞれのモーターユニット6‐1,6‐2におけるベース部材61‐1,61‐2から上方へ突出されている(図1及び図2(a)参照)。そして、モーター出力軸71‐1,71‐2は、前述した各レール内の無端状の移送用ベルトに噛み合う当該駆動プーリー(図示せず)を回転させるよう取着される。従って、当該駆動プーリーの回転に伴って移送用ベルトが各レール内を移動するように構成され、このような無端状の移送用ベルト及び駆動プーリーは、モーター出力軸71‐1,71‐2に対する回転伝達機構として機能する。
(制御装置の構成)
図4に示すように、制御装置として機能する制御部9は、演算制御部(CPU)91、制御プログラムや後述する各種データを記憶保持するメモリ92、操作信号検出部93、モーター駆動制御部94a,94b、回転検出信号入力部96a,96b、及び電力計測部97a,97bを備える。演算制御部91の機能は、メモリ92内の制御プログラムの実行により実現される。
従って、本例の制御部9の機能をコンピュータで構成させることができる。当該コンピュータに、制御部9の機能を実現させるための実行プログラムは、当該コンピュータの内部又は外部に備えられるメモリ(本例では、メモリ92)に記憶される。コンピュータに備えられる演算制御部(CPU)91の制御で、制御部9の機能を実現するための処理内容が記述された制御プログラムを、適宜、当該メモリ92から読み込んで、制御部9の機能に相当する処理をコンピュータに実現させることができる。
以下、制御部9について、本発明に係る機能及び動作についてのみ説明する。
操作信号検出部93は、外部入力UI部10を経て、外部操作(例えば操作スイッチ)からの操作要求を検知し、当該操作要求に対応する操作信号を演算制御部91へ出力する。これにより演算制御部91は、当該操作要求に応じた第1及び第2モーター7‐1,7‐2の開閉操作に関する動作を実行する。
モーター駆動制御部94a,94bは、演算制御部91からの制御指示に従って、それぞれ第1及び第2モーター7‐1,7‐2の回転をPWM制御により駆動制御する。
回転検出信号入力部96a,96bは、第1及び第2モーター7‐1,7‐2にそれぞれ内蔵される回転検出器72‐1,72‐2のセンサー信号を入力し、パルス信号として演算制御部91に出力する。
これにより、制御部9は、演算制御部91の制御により、回転検出信号入力部96a,96bを経て得られる回転検出器72‐1,72‐2のセンサー信号を基に、モーター駆動制御部94a,94bの動作を制御する。
第1及び第2モーター7‐1,7‐2は、演算制御部91の制御により動作する。第1及び第2モーター7‐1,7‐2にそれぞれ内蔵される回転検出器72‐1,72‐2の信号線は、それぞれの第1及び第2モーター7‐1,7‐2のモーター電流供給用信号とともに、それぞれのモーターハーネス11を介して制御部9内のモーター駆動制御部94a,94b、及び回転検出信号入力部96a,96bに接続される。回転検出器72‐1,72‐2は、モーター出力軸71‐1,71‐2の回転の有無、回転方向及び回転速度を検出することができるよう構成され、演算制御部91は、回転検出信号入力部96a,96bから得られるパルス信号を監視することで、当該無端状の移送用ベルトの駆動距離、駆動速度及び過負荷に起因する脱調等を検知することができる。尚、それぞれ第1及び第2モーター7‐1,7‐2に対して、各モーター回転出力軸と当該モーター出力軸71‐1,71‐2との接続又は開放を行う電磁クラッチを設け、且つ制御部9内に、演算制御部91からの制御指示に従って当該電磁クラッチを駆動制御するクラッチ駆動制御部を設けてもよい。
また、電力計測部97a,97bは、後述する第2の制御方法の際に必要とされる機能部であり、その事前学習時に、カーテン材のサイズや重量に依存する各モーターの駆動負荷を全長データに対応付けて計測するため、それぞれモーター駆動制御部94a,94bにおけるPWM制御に係る電力を計測し、演算制御部91に出力する。例えば電力計測部97a,97bは、抵抗等でモーター電流を電圧値で検知して演算制御部91に出力する。演算制御部91はアナログデジタル変換した当該電圧値から1つのカーテン材の駆動に係る必要最小限の電力を求め、その必要最小限の電力を基に、各カーテン材のサイズ、重量又は当該先頭の現在位置に依存する駆動負荷を示す負荷データを全長データ及び現在値データに対応付けて負荷データテーブルとしてメモリ92に記憶する。これにより、演算制御部91は、各先頭ランナー5‐1,5‐2の現在位置を示す現在値データを基に、各モーター7‐1,7‐2に加わる負荷を把握することができる。
即ち、本発明に係る制御装置として機能する制御部9は、第1及び第2モーター7‐1,7‐2(回転検出器内蔵モーター)のフィードバック信号により、複数のカーテン材の位置制御を行い、各カーテン材の移動速度を一定にするため第1及び第2モーター7‐1,7‐2のセンサー信号を基にPWM制御を行っていることから、事前の学習を基に各カーテン材の動作位置とそのときの第1及び第2モーター7‐1,7‐2の駆動負荷の状況を把握可能に構成されている。このため、本発明に係る制御装置として機能する制御部9は、電源部8の所定の電源容量の範囲内で複数のカーテン材の同時駆動が可能であるか否かについて事前学習する機能を有するよう構成されている。
例えば、本発明に係る制御装置として機能する制御部9は、事前の学習を基に複数のカーテン材を常時、同時駆動するのに十分な電力を当該電源部8で確保できないと判定したとき、例えば第1及び第2モーター7‐1,7‐2の駆動負荷が大きくなる各カーテン材の全閉又は全開の動き出し付近と停上位置付近では、複数の遮蔽材が同時に全閉又は全開の停上位置となることがないよう、各カーテン材の開閉を遅延動作させ、各モーター7‐1,7‐2のモーター電流のピークが電源部8で供給可能な電力内となるよう制御する。
従って、本発明に係る制御装置として機能する制御部9は、第1の制御方法として、複数のカーテン材のうちいずれか1つのカーテン材が開閉操作要求に係る動作を開始し完了した後に、他のカーテン材のいずれか1つが当該開閉操作要求に係る動作を開始するように遅延動作させる。例えば、本例の二重カーテン装置の場合、ドレープカーテンとレースカーテンのうち一方のカーテン材が開閉操作要求に係る動作を開始し完了した後に、他方のカーテン材が当該開閉操作要求に係る動作を開始する。この場合、1つのカーテン材を駆動する程度の電源容量で電源部8を構成することができる。
或いは、本発明に係る制御装置として機能する制御部9は、第2の制御方法として、各カーテン材の現在位置やサイズ又は重量について学習した結果を基に、同時動作又は遅延動作を適応的に変えて当該遮蔽材を開閉動作させる機能を有する。例えば、駆動負荷が軽い場合は遅延時間を少なくし、駆動負荷が大きい場合は遅延時間を多くとるなど自動制御する。
以下、本発明に係る制御装置として機能する制御部9における制御方法として、より具体的に、第1の制御方法と第2の制御方法について、順に説明する。
(第1の制御方法)
図5乃至図7を参照して、制御部9における第1の制御方法を説明する。図5は、本実施形態の制御装置として機能する制御部9の第1の制御方法に関する開操作時のフローチャートである。図6は、本実施形態の制御装置として機能する制御部9の第1の制御方法に関する閉操作時のフローチャートである。図7(a),(b),(c)は、本実施形態の制御装置として機能する制御部9の第1の制御方法に関する動作例を示す図である。
第1の制御方法は、複数の遮蔽材のうちいずれか1つのカーテン材が開閉操作要求に係る動作を開始し完了した後に、他のいずれか1つの遮蔽材が当該開閉操作要求に係る動作を開始するように順次遅延動作させるものである。例えば、本例の二重カーテン装置の場合、室内側カーテン材(ドレープカーテン)13‐1と室外側カーテン材(レースカーテン)13‐2のうち一方のカーテン材が開閉操作要求に係る動作を開始し完了した後に、他方のカーテン材が当該開閉操作要求に係る動作を開始する。
〔開操作時〕
まず、図5に示すように、第1の制御方法に関する開操作時の動作として、制御部9は、演算制御部91により、第1及び第2モーター7‐1,7‐2に関する電源投入時又はメンテナンス時に開閉全長と現在位置との対応付けを事前学習しておく(ステップS1)。より具体的には、演算制御部91は、第1及び第2モーター7‐1,7‐2に関する全閉状態と全開状態における回転検出器によるセンサー信号について回転検出信号入力部96a,96bから得られるパルス信号をカウントし、それぞれのカーテン材の全閉状態時のカウント値と全開状態時のカウント値とを割り出し、全長データとしてメモリ92に記憶し、それぞれのカーテン材が移動する度に、各先頭ランナー5‐1,5‐2の現在位置を示す現在値データを監視しメモリ92に記憶することで、事前学習する。
続いて、制御部9は、演算制御部91により、操作信号検出部93にて検知した外部操作(例えば操作スイッチ)からの操作要求(本例では、「開操作」の操作要求)を基に出力される操作信号を受け付け(ステップS2)、当該操作要求に応じた第1及び第2モーター7‐1,7‐2の開閉操作に関する動作を開始する。
制御部9は、「開操作」時には、ドレープカーテンが全開状態に無いときはレースカーテンの開閉状態に関わらずドレープカーテンのみが開方向に動作し、ドレープカーテンが全開状態にあるときはレースカーテンが開方向に動作するよう制御する。
このため、まず、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1の現在値データをメモリ92から読み出し、第1モーター7‐1の現在値が全開状態であるか否か、即ちドレープカーテンが全開状態にあるか否かを判定する(ステップS3)。第1モーター7‐1の現在値が全開状態であるときは(ステップS3:Yes)、ステップS7に移行し、第1モーター7‐1の現在値が全開状態でないときは(ステップS3:No)、ステップS4に移行する。
ステップS4に移行すると、制御部9は、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を開始して、ドレープカーテンを開方向へ移動させる(ステップS4)。このとき、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1に関する全長データと現在値データをメモリ92から読み出し、第1モーター7‐1の現在値が全開状態となるか否かを監視し(ステップS5)、当該全開状態となるまで、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を継続する(ステップS5:No)。当該全開状態となると(ステップS5:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を停止する(ステップS6)。
このように、制御部9は、「開操作」時には、ドレープカーテンが全開状態に無いときはレースカーテンの開閉状態に関わらずドレープカーテンのみが開方向に動作するよう制御する。
一方、第1モーター7‐1の現在値が全開状態であるとき(ステップS3:Yes)、制御部9は、演算制御部91により、第2モーター7‐2の現在値データをメモリ92から読み出し、第2モーター7‐2の現在値が全開状態であるか否か、即ちレースカーテンが全開状態にあるか否かを判定する(ステップS7)。第2モーター7‐2の現在値が全開状態であるときは(ステップS7:Yes)、当該操作要求に係る処理を終了し、第2モーター7‐2の現在値が全開状態でないときは(ステップS7:No)、ステップS8に移行する。
ステップS8に移行すると、制御部9は、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を開始して、レースカーテンを開方向へ移動させる(ステップS8)。このとき、制御部9は、演算制御部91により、第2モーター7‐2に関する全長データと現在値データをメモリ92から読み出し、第2モーター7‐2の現在値が全開状態となるか否かを監視し(ステップS9)、当該全開状態となるまで、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を継続する(ステップS9:No)。当該全開状態となると(ステップS9:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を停止する(ステップS10)。
このように、制御部9は、「開操作」時には、ドレープカーテンが全開状態にあるときはレースカーテンが開方向に動作するよう制御する。
尚、図5に示す例では、ドレープカーテンが全開状態にあるか否かを判定した後、レースカーテンが全開状態にあるか否かを判定するよう制御する例を示したが、ドレープカーテンとレースカーテンの判定・実行を逆にしてもよい。特に、いずれのカーテン材を先に判定・実行するかについて、利用者によって選択設定可能に構成することができる。例えば、外部操作(例えば操作スイッチ)からの操作要求として、この設定に関する操作要求を可能に構成し、制御部9は、演算制御部91により、その設定情報をメモリ92に記憶しておく。そして、「開操作」の操作要求に応じた動作の開始時にその設定情報をメモリ92から読み出し、この設定情報を基に操作要求に応じた動作の制御を行うようにする。
〔閉操作時〕
図6に示すように、第1の制御方法に関する閉操作時の動作として、制御部9は、演算制御部91により、第1及び第2モーター7‐1,7‐2に関する電源投入時又はメンテナンス時に開閉全長と現在位置との対応付けを事前学習しておく(ステップS11)。学習して得られる全長データ及び現在値データは、図5に示した「開動作」時と同様であり、メモリ92に記憶しておく。
続いて、制御部9は、演算制御部91により、操作信号検出部93にて検知した外部操作要求(本例では、「閉操作」の操作要求)を基に出力される操作信号を受け付け(ステップS12)、当該操作要求に応じた第1及び第2モーター7‐1,7‐2の開閉操作に関する動作を開始する。
制御部9は、「閉操作」時には、ドレープカーテンが先ず閉方向に動作しドレープカーテンが全閉で自動停止した後、レースカーテンが動作し始め、全閉状態で自動停止する。
このため、まず、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1の現在値データをメモリ92から読み出し、第1モーター7‐1の現在値が全閉状態であるか否か、即ちドレープカーテンが全閉状態にあるか否かを判定する(ステップS13)。第1モーター7‐1の現在値が全閉状態であるときは(ステップS13:Yes)、ステップS17に移行し、第1モーター7‐1の現在値が全閉状態でないときは(ステップS13:No)、ステップS14に移行する。
ステップS14に移行すると、制御部9は、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を開始して、ドレープカーテンを閉方向へ移動させる(ステップS14)。このとき、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1に関する全長データと現在値データをメモリ92から読み出し、第1モーター7‐1の現在値が全閉状態となるか否かを監視し(ステップS15)、当該全閉状態となるまで、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を継続する(ステップS15:No)。当該全閉状態となると(ステップS15:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を停止し(ステップS16)、ステップS17に移行する。
このように、制御部9は、「閉操作」時には、ドレープカーテンが全閉状態に無いときはドレープカーテンのみが閉方向に動作するよう制御する。
一方、第1モーター7‐1の現在値が全閉状態であるとき(ステップS13:Yes)、制御部9は、演算制御部91により、第2モーター7‐2の現在値データをメモリ92から読み出し、第2モーター7‐2の現在値が全閉状態であるか否か、即ちレースカーテンが全閉状態にあるか否かを判定する(ステップS17)。第2モーター7‐2の現在値が全閉状態であるときは(ステップS17:Yes)、当該操作要求に係る処理を終了し、第2モーター7‐2の現在値が全閉状態でないときは(ステップS17:No)、ステップS18に移行する。
ステップS18に移行すると、制御部9は、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を開始して、レースカーテンを閉方向へ移動させる(ステップS18)。このとき、制御部9は、演算制御部91により、第2モーター7‐2に関する全長データと現在値データをメモリ92から読み出し、第2モーター7‐2の現在値が全閉状態となるか否かを監視し(ステップS19)、当該全閉状態となるまで、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を継続する(ステップS19:No)。当該全閉状態となると(ステップS19:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を停止する(ステップS20)。
このように、制御部9は、「閉操作」時には、ドレープカーテンが先ず閉方向に動作しドレープカーテンが全閉で自動停止した後、レースカーテンが動作し始め、全閉状態で自動停止する。
尚、図6に示す例では、ドレープカーテンが全閉状態にあるか否かを判定した後、レースカーテンが全閉状態にあるか否かを判定するよう制御する例を示したが、ドレープカーテンとレースカーテンの判定・実行を逆にしてもよい。特に、いずれのカーテン材を先に判定・実行するかについて、利用者によって選択設定可能に構成することができる。例えば、外部操作(例えば操作スイッチ)からの操作要求として、この設定に関する操作要求を可能に構成し、制御部9は、演算制御部91により、その設定情報をメモリ92に記憶しておく。そして、「閉操作」の操作要求に応じた動作の開始時にその設定情報をメモリ92から読み出し、この設定情報を基に操作要求に応じた動作の制御を行うようにする。
以上のように、本発明に係る制御装置として機能する制御部9は、複数のカーテン材の開閉動作をそれぞれ行うよう設けられた第1及び第2モーター7‐1,7‐2を制御する際に、「開操作」と「閉操作」の2つの操作要求に対して、複数のカーテン材に対しいずれのカーテン材を先に動作させ、いずれのカーテン材を先に動作させたカーテン材に追随させるかを複数のカーテン材の開方向と閉方向で予め定めた動作仕様に基づいて動作する。そして、この動作仕様は利用者によって予め定めた動作種類から選択設定可能とする。
例えば、本例に係る二重カーテン装置の場合、図7に示すように、「開操作」と「閉操作」の2つの操作要求に対する動作種類として、第1の動作タイプ(図7(a)参照)は、「開操作」時に、ドレープカーテンが全開状態に無いときはレースカーテンの開閉状態に関わらずドレープカーテンのみが開方向に動作する。第2の動作タイプ(図7(b)参照)は、「開操作」時に、ドレープカーテンが全開状態にあるときレースカーテンが開方向に動作する。第3の動作タイプ(図7(c)参照)は、「閉操作」時に、ドレープカーテンが先ず閉方向に動作しドレープカーテンが全閉で自動停止した後、レースカーテンが動作し始め、全閉状態で自動停止する。尚、設定の切替えにより、第1乃至第3の動作タイプは、レースカーテンとドレープカーテンの動作の開始を選択設定可能に構成される。
(第2の制御方法)
図8乃至図11を参照して、制御部9における第2の制御方法を説明する。図8は、本実施形態の制御装置として機能する制御部9の第2の制御方法に関する開操作時のフローチャートである。図9は、本実施形態の制御装置として機能する制御部9の第2の制御方法に関する閉操作時のフローチャートである。図10は、本実施形態の制御装置として機能する制御部9の第2の制御方法に関する負荷データ例を示す図である。図11(a),(b),(c),(d)は、本実施形態の制御装置として機能する制御部9の第2の制御方法に関する動作例を示す図である。
第2の制御方法は、各カーテン材の現在位置やサイズ又は重量について学習した結果を基に、同時動作又は遅延動作を適応的に変えて当該遮蔽材を開閉動作させる。例えば、駆動負荷が軽い場合は遅延時間を少なくし、駆動負荷が大きい場合は遅延時間を多くとるなど自動制御する。
〔開操作時〕
まず、図8に示すように、第2の制御方法に関する開操作時の動作として、制御部9は、演算制御部91により、第1及び第2モーター7‐1,7‐2に関する電源投入時又はメンテナンス時に開閉全長と現在位置との対応付けと、これに加えて負荷データを事前学習しておく(ステップS21)。学習して得られる全長データ及び現在値データは、図5及び図6に示した第1の制御方法と同様であり、メモリ92に記憶しておく。ただし、第2の制御方法では、演算制御部91は、各先頭ランナー5‐1,5‐2の現在位置を示す現在値データを基に、各モーター7‐1,7‐2に加わる負荷を把握するため、電力計測部97a,97bによって計測されるモーター電流を特定可能な電圧値から必要最小限の電力を求め、その必要最小限の電力を基に、カーテン材のサイズや重量に依存する駆動負荷を全長データに対応付けて負荷データテーブルとしてメモリ92に記憶する。
例えば、演算制御部91は、事前学習時に、電源部8で1つのカーテン材の駆動に対して供給可能な最大のモーター電流から、所定段階ごとに省力化したモーター電流について、それぞれ当該1つのカーテン材の全開位置から全閉位置まで移動するようPWM駆動で制御し、回転検出信号入力部96a,96bから得られるパルス信号を監視することで、先頭ランナーの現在値やカーテン材のサイズや重量で変化しうる駆動負荷について、過負荷時に生じうる脱調が生じない最小電力を負荷データとして計測し、例えば図10に示すような負荷データテーブルを生成する。従って、演算制御部91は、制御対象のカーテン材のそれぞれについて負荷データテーブルを生成することで、現在値データを基に、複数のカーテン材の同時駆動が可能な状態であるか否かを判別することができるようになる。尚、図10では、全長データに対して重負荷L1〜軽負荷L2へと直線近似した例を実線で図示しているが、実際の負荷データは、各カーテン材の現在の先頭位置からの動き出し付近と停上位置付近で第1及び第2モーター7‐1,7‐2の駆動負荷が大きくなるため、曲線的になり、破線で示している。尚、図10に示すように、負荷データは、閉動作時(図10(a)参照)と、開動作時(図10(b)参照)とで全閉位置から全開位置までの全長データに対し、いずれの場合も動き出し(動き始め)は負荷が軽く、徐々に負荷が重くなる負荷変動が生じる傾向にある。更に、この負荷データの傾向は、カーテン材のサイズや重量等によっても変化する。
このように負荷データを事前学習することで、例えば、二重カーテン装置における複数のカーテン材の駆動に要する負荷が軽いときは常時、同時駆動することができ、複数のカーテン材の駆動に要する負荷が重いときは、いずれかのカーテン材の駆動に要する負荷が軽くなった時に他のカーテン材の駆動を開始する。そして、このように事前学習機能を有することで、例えば、カーテン材を付け替えたときなど、適応的に開閉動作を効率よく制御することが可能となる。
続いて、図8において、制御部9は、演算制御部91により、操作信号検出部93にて検知した外部操作(例えば操作スイッチ)からの操作要求(本例では、「開操作」の操作要求)を基に出力される操作信号を受け付け(ステップS22)、当該操作要求に応じた第1及び第2モーター7‐1,7‐2の開閉操作に関する動作を開始する。
まず、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1の現在値データをメモリ92から読み出し、第1モーター7‐1の現在値が全開状態であるか否か、即ちドレープカーテンが全開状態にあるか否かを判定する(ステップS23)。第1モーター7‐1の現在値が全開状態であるときは(ステップS23:Yes)、ステップS27に移行し、第1モーター7‐1の現在値が全開状態でないときは(ステップS23:No)、ステップS24に移行する。
ステップS24に移行すると、制御部9は、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を開始して、ドレープカーテンを開方向へ移動させる(ステップS24)。このとき、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1に関する全長データと現在値データをメモリ92から読み出し、第1モーター7‐1の現在値が全開状態となるか否かを監視し(ステップS25)、当該全開状態となるまで、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を継続する(ステップS25:No)。当該全開状態となると(ステップS25:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を停止する(ステップS26)。
一方、第1モーター7‐1の現在値が全開状態であるとき(ステップS23:Yes)、制御部9は、演算制御部91により、第2モーター7‐2の現在値データをメモリ92から読み出し、第2モーター7‐2の現在値が全開状態であるか否か、即ちレースカーテンが全開状態にあるか否かを判定する(ステップS27)。第2モーター7‐2の現在値が全開状態であるときは(ステップS27:Yes)、当該操作要求に係る処理を終了し、第2モーター7‐2の現在値が全開状態でないときは(ステップS27:No)、ステップS28に移行する。
ステップS28に移行すると、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1の現在値データ及び負荷データと第2モーター7‐2の負荷データとをメモリ92から読み出し、第1及び第2モーター7‐1,7‐2の同時駆動が可能か否かを判定する(ステップS28)。当該同時駆動が可能ではないと判定したとき(ステップS28:No)、当該第2モーター7‐2の駆動は開始しない。即ち、当該第2モーター7‐2の駆動が開始できる負荷状態となるまで待機し、当該第2モーター7‐2の駆動は開始できる負荷状態(同時駆動可能な状態か、又は既に第1モーター7‐1による開動作が終了した状態)となるとき(ステップS28:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を開始して、レースカーテンを開方向へ移動させる(ステップS29)。
このとき、制御部9は、演算制御部91により、第2モーター7‐2に関する全長データと現在値データをメモリ92から読み出し、第2モーター7‐2の現在値が全開状態となるか否かを監視し(ステップS30)、当該全開状態となるまで、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を継続する(ステップS30:No)。当該全開状態となると(ステップS30:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を停止する(ステップS31)。
このように、制御部9は、各カーテン材の現在位置やサイズ又は重量について学習した結果を基に、同時動作又は遅延動作を適応的に変えて当該遮蔽材を開閉動作させ、例えば、駆動負荷が軽い場合は遅延時間を少なくし、駆動負荷が大きい場合は遅延時間を多くとるなど自動制御する。
尚、図8に示す例では、ドレープカーテンが全開状態にあるか否かを判定した後、レースカーテンが全開状態にあるか否かを判定するよう制御する例を示したが、ドレープカーテンとレースカーテンの判定・実行を逆にしてもよい。特に、いずれのカーテン材を先に判定・実行するかについて、利用者によって選択設定可能に構成することができる。例えば、外部操作(例えば操作スイッチ)からの操作要求として、この設定に関する操作要求を可能に構成し、制御部9は、演算制御部91により、その設定情報をメモリ92に記憶しておく。そして、「開操作」の操作要求に応じた動作の開始時にその設定情報をメモリ92から読み出し、この設定情報を基に操作要求に応じた動作の制御を行うようにする。
〔閉操作時〕
図9に示すように、第2の制御方法に関する閉操作時の動作として、制御部9は、演算制御部91により、第1及び第2モーター7‐1,7‐2に関する電源投入時又はメンテナンス時に開閉全長と現在位置との対応付けと、これに加えて負荷データを事前学習しておく(ステップS41)。学習して得られる全長データ、現在値データ及び負荷データは、図8に示した第2の制御方法における「開操作」時と同様であり、メモリ92に記憶しておく。
続いて、制御部9は、演算制御部91により、操作信号検出部93にて検知した外部操作(例えば操作スイッチ)からの操作要求(本例では、「閉操作」の操作要求)を基に出力される操作信号を受け付け(ステップS42)、当該操作要求に応じた第1及び第2モーター7‐1,7‐2の開閉操作に関する動作を開始する。
まず、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1の現在値データをメモリ92から読み出し、第1モーター7‐1の現在値が全閉状態であるか否か、即ちドレープカーテンが全閉状態にあるか否かを判定する(ステップS43)。第1モーター7‐1の現在値が全閉状態であるときは(ステップS43:Yes)、ステップS47に移行し、第1モーター7‐1の現在値が全閉状態でないときは(ステップS43:No)、ステップS44に移行する。
ステップS44に移行すると、制御部9は、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を開始して、ドレープカーテンを閉方向へ移動させる(ステップS44)。このとき、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1に関する全長データと現在値データをメモリ92から読み出し、第1モーター7‐1の現在値が全閉状態となるか否かを監視し(ステップS45)、当該全閉状態となるまで、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を継続する(ステップS45:No)。当該全閉状態となると(ステップS45:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94aにより第1モーター7‐1の駆動を停止する(ステップS46)。
一方、第1モーター7‐1の現在値が全閉状態であるとき(ステップS43:Yes)、制御部9は、演算制御部91により、第2モーター7‐2の現在値データをメモリ92から読み出し、第2モーター7‐2の現在値が全閉状態であるか否か、即ちレースカーテンが全閉状態にあるか否かを判定する(ステップS47)。第2モーター7‐2の現在値が全閉状態であるときは(ステップS47:Yes)、当該操作要求に係る処理を終了し、第2モーター7‐2の現在値が全閉状態でないときは(ステップS47:No)、ステップS48に移行する。
ステップS48に移行すると、制御部9は、演算制御部91により、第1モーター7‐1の現在値データ及び負荷データと第2モーター7‐2の負荷データとをメモリ92から読み出し、第1及び第2モーター7‐1,7‐2の同時駆動が可能か否かを判定する(ステップS48)。当該同時駆動が可能ではないと判定したとき(ステップS48:No)、当該第2モーター7‐2の駆動は開始しない。即ち、当該第2モーター7‐2の駆動が開始できる負荷状態となるまで待機し、当該第2モーター7‐2の駆動は開始できる負荷状態(同時駆動可能な状態か、又は既に第1モーター7‐1による閉動作が終了した状態)となるとき(ステップS48:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を開始して、レースカーテンを閉方向へ移動させる(ステップS49)。
このとき、制御部9は、演算制御部91により、第2モーター7‐2に関する全長データと現在値データをメモリ92から読み出し、第2モーター7‐2の現在値が全閉状態となるか否かを監視し(ステップ50)、当該全閉状態となるまで、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を継続する(ステップS50:No)。当該全閉状態となると(ステップS50:Yes)、制御部9は、モーター駆動制御部94bにより第2モーター7‐2の駆動を停止する(ステップS51)。
このように、制御部9は、各カーテン材の現在位置やサイズ又は重量について学習した結果を基に、同時動作又は遅延動作を適応的に変えて当該遮蔽材を開閉動作させ、例えば、駆動負荷が軽い場合は遅延時間を少なくし、駆動負荷が大きい場合は遅延時間を多くとるなど自動制御する。
尚、図9に示す例では、ドレープカーテンが全閉状態にあるか否かを判定した後、レースカーテンが全閉状態にあるか否かを判定するよう制御する例を示したが、ドレープカーテンとレースカーテンの判定・実行を逆にしてもよい。特に、いずれのカーテン材を先に判定・実行するかについて、利用者によって選択設定可能に構成することができる。例えば、外部操作(例えば操作スイッチ)からの操作要求として、この設定に関する操作要求を可能に構成し、制御部9は、演算制御部91により、その設定情報をメモリ92に記憶しておく。そして、「閉操作」の操作要求に応じた動作の開始時にその設定情報をメモリ92から読み出し、この設定情報を基に操作要求に応じた動作の制御を行うようにする。
このように、第2の制御方法によれば、例えば、2つの遮蔽材(ドレープカーテンとレースカーテン)の全開から全閉へと駆動制御を開始し(図11(a)参照)、同時駆動による負荷が重いと判定したとき、ドレープカーテンのみ(レースカーテンのみでもよく選択設定可)の駆動制御を停止する(図11(b)参照)。レースカーテンの駆動負荷が軽くなり、例えばレースカーテンが全閉状態となって停止すると、ドレープカーテンを全閉状態へと駆動開始して、遅延動作させる(図11(c)参照)。ドレープカーテンが全閉状態となるとき、その駆動制御を停止する(図11(d)参照)。このように、制御装置として機能する制御部9は、各カーテン材の現在位置やサイズ又は重量について学習した結果を基に、同時動作又は遅延動作を適応的に変えて当該遮蔽材を開閉動作させ、限られた電源容量の電源部8である場合にも、適応的に自動制御することができる。
従って、本発明に係る電動遮蔽装置1として構成される二重カーテン装置及びその制御装置(制御部9)によれば、コストの観点や品質管理の観点から有利な態様で、複数の遮蔽材の開閉を制御することができる。
特に、1つの制御装置(例えば、1つのモーターユニット6‐1)に対して、外部操作(例えば操作スイッチ)により制御可能に構成しているため、従来のような遮蔽材の動作に関する選択設定が不要となり、一度の開閉操作要求のみで(例えば、開閉の操作ボタンを一度押すのみで)、複数の遮蔽材が所定の動作仕様を基に直ちに動作するため、操作性が良くなる。
また、限られた電源容量で2台のモーターを駆動できるよう、その駆動負荷を学習し、把握して、省エネルギー化(ピークシフト)効果をもたらす各遮蔽材の遅延動作を可能にすることで、電源容量の低コスト化、及びサイズの縮小化が可能となる。
尚、上述した例では、本発明に係る電動遮蔽装置1として二重カーテン装置を例に、遮蔽材の開閉用の複数のモーターを制御する制御部9を、制御装置として構成する例を説明したが、本発明はこれに限定するものではない。より具体的には、制御対象の電動遮蔽装置1として、例えば電動で開閉動作する、縦型又は横型ブライド、ロールスクリーン、カーテンレール、たくし上げカーテン、或いはプリーツスクリーン等とすることができる。
即ち、同種又は異種の遮蔽装置(或いは遮蔽材)を前後・上下・左右に配置して、全体として1つの電動遮蔽装置を構成する場合にも適用することができる。例えば横型ブラインドとロールスクリーンの組み合わせで全体として1つの電動遮蔽装置1を構成することができる。より具体的には、図12(a),(b),(c)に示す例において、カーテンレール用のレール2‐1,2‐2の代わりに、縦型又は横型ブライド、たくし上げカーテン、或いはプリーツスクリーンなど用のヘッドボックス、或いはロールスクリーン用の取付フレーム又は巻取パイプ等、モーターユニット6‐1,6‐2をそれぞれ内部に収容可能な遮蔽装置ごとの枠体とすることができる。そして、モーターユニット6‐1,6‐2をそれぞれ内部に収容した各枠体に、上述したユニットキャップ63を利用することで、低コスト化を実現することもできる。尚、これらの遮蔽装置ごとの枠体の内部にそれぞれのモーターユニット6‐1,6‐2を収容する場合の他、当該枠体に対して外付けとする構成としてもよい。したがって、モーターユニット6‐1,6‐2の代わりに、各遮蔽材の駆動用のモーターを互いにモーターハーネス11で接続し、1つの電源部8で電源供給され外部操作要求に応じて駆動制御する制御部9を構成した形態であれば、任意の形態の制御装置を構成することができる。また、本発明に係る制御対象の遮蔽材の数、即ちモーターの数は2つでなくともよく、3以上であってもよい。また、複数の遮蔽材の開閉制御を本発明に係る制御方法で行うよう電動遮蔽装置1を構成した際に、当該複数の遮蔽材が1以上のスラットを含むときは、そのスラットのチルト動作のモーターについても制御可能に構成される点に留意する。
例えば、図13に示すように、横型ブラインドとロールスクリーンなど異種の3以上の遮蔽装置1‐N(Nは2以上の整数)を全体として1つの制御対象の電動遮蔽装置1として構成し、本発明に係る制御装置(電源部8、制御部9及び外部入力UI部10を備える装置)を、個別の操作スイッチ40で直接操作可能にすることや、タッチパネル式操作部を有するスマートフォンやタブレットなどの携帯端末装置50‐1,50‐2で遠隔操作可能に構成するための中継装置20内に設けることもできる。
より具体的には、宅内の制御対象の電動遮蔽装置1として、例えば電動で開閉動作する、縦型又は横型ブライド、ロールスクリーン、カーテンレール、たくし上げカーテン、或いはプリーツスクリーンなどすることができ、図13に示す例では、代表的に横型ブライドとロールスクリーンが2以上設けられている。
それぞれの制御対象の電動遮蔽装置1は、1つの中継装置20に有線接続されている。中継装置20は、携帯端末装置50‐1,50‐2からの制御コマンドを受信し、対応する電動遮蔽装置1のモーター駆動を制御する制御装置(電源部8、制御部9及び外部入力UI部10を備える装置)を備える。例えば、中継装置20は、宅内で携帯端末装置50‐1から無線通信(Wi−Fi等)61による制御コマンドを受信することや、宅外で携帯端末装置50‐2から、無線又は有線のネットワーク64と接続する無線通信路63を経て、当該ネットワーク64と接続される宅内に設置された無線ルーター30により、無線通信(Wi−Fi等)62による制御コマンドを受信するよう構成することができる。
尚、本例における中継装置20は、制御対象とする電動遮蔽装置1を登録可能なユーザーインターフェースを有し、携帯端末装置50‐1,50‐2により、制御対象とする電動遮蔽装置1の遠隔制御に関するアプリケーションが保持されたサーバーコンピューターの機能を持たせることができる。従って、携帯端末装置50‐1,50‐2は、この中継装置20が機能するサーバーコンピューターにアクセスし、中継装置20上で動作するアプリケーションに対して制御コマンドを送り、対応する遠隔制御を実行するようオンデマンド形式で構成するか、又は中継装置20から当該アプリケーションをダウンロードして携帯端末装置50‐1,50‐2上で動作するアプリケーションを用いて制御コマンドを送り、対応する遠隔制御を実行するよう構成することができる。
以上のように、本発明に係る電動遮蔽装置の制御装置は、複数の遮蔽材の開閉動作をそれぞれ行うよう設けられた複数のモーターを制御する際に、「開操作」と「閉操作」の2つの操作要求に対して、複数の遮蔽材に対しいずれの遮蔽材を先に動作させ、いずれの遮蔽材を先に動作させた遮蔽材に追随させるかを複数の遮蔽材の開方向と閉方向で予め定めた動作仕様で動作するよう構成され、この動作仕様は利用者によって予め定めた動作種類から選択設定可能とする。これにより、コストの観点や品質管理の観点から有利となり、一度の開閉操作要求のみで、複数の遮蔽材が所定の動作仕様を基に直ちに動作するため、操作性が良くなる。
また、本発明に係る電動遮蔽装置の制御装置は、第1の制御方法として、複数の遮蔽材のうちいずれか1つの遮蔽材が開閉操作要求に係る動作を開始し完了した後に、他の遮蔽材のいずれか1つが当該開閉操作要求に係る動作を開始するように遅延動作させる。
特に、第1の制御方法において、本発明に係る電動遮蔽装置の制御装置は、各遮蔽材の開閉に関する全長データ及び先頭の現在位置を示す現在値データについて学習した結果を基に、各遮蔽材の開閉動作の開始を遅延動作させる。これにより、1つの遮蔽材を駆動する程度の電源容量で電源部を構成することができ、コストの観点や品質管理の観点から有利となる。
また、本発明に係る電動遮蔽装置の制御装置は、第2の制御方法として、各遮蔽材の開閉に関する全長データ及び先頭の現在位置を示す現在値データ、並びに、各遮蔽材のサイズ、重量又は当該先頭の現在位置に依存する駆動負荷を示す負荷データついて学習した結果を基に、同時動作又は遅延動作を適応的に変えて当該遮蔽材を開閉動作させることで、電源部の省エネルギー化(ピークシフト)効果、低コスト化、及びサイズの縮小化が可能となる。
以上、特定の実施形態の実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。特に、制御対象の電動遮蔽装置1は、2以上の遮蔽材と各遮蔽材の開閉動作を行うためのモーターを個別に有するものであれば、任意の形態とすることができる。また、上述した例では、全閉・全開の状態からの動作を例に説明したが、中途状態の開閉状態から動作を開始させる場合も同様であり、したがって中途状態の開始や停止の電動操作、或いは手引き操作も許容される。