JP2017026512A - 分岐光線路特性解析方法、分岐光線路設計方法および分岐光線路特性解析装置 - Google Patents

分岐光線路特性解析方法、分岐光線路設計方法および分岐光線路特性解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】分岐光線路の個別の特性分布を高速で測定可能な分岐光線路特性解析方法および分岐光線路特性解析装置を提供すること、並びに当該分岐光線路特性解析装置で特性分布を高速で測定可能な分岐光線路の構造を特定できる分岐光線路設計方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る分岐光線路特性解析方法は、光スプリッタの上流側から光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)のプローブ光パルスを入射し、その後、プローブ光パルスと異なる光周波数の1つのポンプ光パルスを入射し、発生したブリルアン散乱光を受光して解析することとした。また、分岐光線路測定対象の総延長が与えられた際に、測定性能を最大化するための、分岐損失が大きすぎず、ポンプディプレッションが生じにくい最適な分岐数を所定式を最大化する値とすることとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバを分岐する光スプリッタの下流側の光ファイバ(以下では分岐光線路と称する)の特性を、光スプリッタの上流側から解析する技術に関する。
光センシングは構造物の周辺の歪みや温度変化をモニタリングする技術である。非特許文献1に記載のブリルアンOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)や、非特許文献2に記載のBOCDA(Brillouin Optical Correlation − domain analysis)などが知られている。非特許文献3に記載の、FBG(Fiber Bragg Grating)を配置する方法も提案されている。
FTTH(Fiber to the Home)を志向する光通信分野では、PON(Passive Optical Network)型ネットワークにおける分岐光線路の特性(損失など)を個別にモニタリングしたいというニーズがある。関連技術が非特許文献4に開示される。非特許文献4に示される技術は、光スプリッタの上流側の光ファイバにプローブ光パルスとポンプ光パルスとを入射し、両光パルスの衝突位置でのブリルアン利得を解析して分岐光線路の特性分布を個別に測定するという技術である。さらに、関連する技術が非特許文献5にも開示される。
H. Ohno, H. Naruse, M. Kihara, and A. Shimada,"Industrial Applications of the BOTDR Optical Fiber Strain Sensor", Optical Fiber Technology 7, 45−64,(2001). K. Hotate and T. Hasegawa, IEICE Trans. Electron. E83−C, 405, (2000). Y.J. Rao, "Recent progress in applications of in−fibre Bragg grating sensors," Optics and Lasers in Engineering 31, 297−324, (1999). H. Takahashi, F. Ito, C. Kito, and K. Toge, "Individual loss distribution measurement in 32−branched PON using pulsed pump−probe Brillouin Analysis", Optics Express, Vol.21, No.6, 6739, (2013). H. Takahashi, K. Toge, C. Kito, and F. Ito,"Individual PON Monitoring Using maintenance Band Pulsed Pump−Probe Brillouin Analysis", 2013 18th OECC, ThP1−4, (2013).
非特許文献4および5に示される技術では、被測定光ファイバに一対のプローブ光パルスとポンプ光パルス(以下、パルス対と称する)が入射された後は、このパルス対が被測定光ファイバから排出されるのを待たねばならない。つまり第1波のパルス対を被測定光ファイバに入射後このパルス対が被測定光ファイバから消滅するまで、第2波以降のパルス対を被測定光ファイバに入射することができない。これは、プローブ光とポンプ光とが光ファイバ内で多重に衝突するとブリルアン利得ピークから正確な特性分布情報を取得できなくなるからで、よって測定に時間のかかることが課題である。
しかも非特許文献4および5に示される技術では、SN比(信号対雑音比)を改善するために数万回のオーダで計測を繰り返して平均値を求めるようにしているので、必要な時間はますます長くなる。まして被測定線路が長いケースや分解能向上のため測定点を多点化したケースにおいては結果を得られるまでの時間はさらに長くなるので、抜本的な対処を求められている。
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、分岐光線路の個別の特性分布を高速で測定可能な分岐光線路特性解析方法および分岐光線路特性解析装置を提供することを目的とする。さらに、当該分岐光線路特性解析装置で特性分布を高速で測定可能な分岐光線路の構造を特定できる分岐光線路設計方法を提供することも目的とする。
本発明に係る分岐光線路特性解析方法及び分岐光線路特性解析装置は、光スプリッタの上流側から光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)のプローブ光パルスを入射し、その後、プローブ光パルスと異なる光周波数の1つのポンプ光パルスを入射し、発生したブリルアン散乱光を受光して解析することとした。
具体的には、本発明に係る分岐光線路特性解析方法は、光スプリッタに接続される複数の分岐光線路に、前記分岐光線路でブリルアン(Brillouin)散乱を発生させるポンプ光パルスと、前記分岐光線路の前記光スプリッタと反対側の遠端で反射させて前記ポンプ光パルスと相互作用させるプローブ光パルスと、を伝搬させ、前記分岐光線路の特性を解析する分岐光線路特性解析方法であって、
前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスとの光周波数差である設定ブリルアン周波数シフトfを設定する光周波数差設定ステップと、
パルス間隔が等しく且つ光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)の前記プローブ光パルスを発生し、X個の前記プローブ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するプローブ光パルス入射ステップと、
前記プローブ光パルス入射ステップ後に、前記ポンプ光パルスを発生し、X個のプローブ光パルスが入射された後に前記ポンプ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するポンプ光パルス入射ステップと、
前記ポンプ光パルス入射ステップの後、前記分岐光線路からの戻り光パルスを前記光スプリッタを介して受光し、電気信号に変換する戻り光受光ステップと、
前記戻り光受光ステップで変換した前記電気信号から設定ブリルアン周波数シフトfにおける前記戻り光パルスのブリルアン利得スペクトル分布を取得する特性解析ステップと、
を行うことを特徴とする。
本分岐光線路特性解析方法は、ポンプ光パルス1つに対してX個のプローブ光パルスを入射するため、1回の作業で分岐光線路の長さ方向にX箇所の測定点におけるブリルアン散乱光を受光することができる。そして、本分岐光線路特性解析方法は、プローブ光パルス列とポンプ光パルスとの入射時間差を変化させることで測定点をずらし、この作業を繰り返すことで1回目の作業の測定点間のブリルアン散乱光を受光することができる。すなわち、本分岐光線路特性解析方法は、既存の手法と比較して、単位時間当たりX倍の速度で測定点の情報を得ることができ、測定時間をX分の1に短縮することが可能となる。
従って、本発明は分岐光線路の個別の特性分布を高速で測定可能な分岐光線路特性解析方法を提供することができる。
本発明に係る分岐光線路特性解析方法は、前記光周波数差設定ステップの前に、最長の前記分岐光線路と最短の前記分岐光線路との長さの差ΔLmaxを検出する光路長差検出ステップを行うことを特徴とする。それぞれの分岐光線路の長さは異なる。そこで、本分岐光線路特性解析方法は、予め最長の分岐光線路の長さと最短の分岐光線路の長さとの差を取得しておく。
本発明に係る分岐光線路特性解析方法は、前記プローブ光パルス入射ステップは、前記分岐光線路それぞれからの前記戻り光パルスの重畳を防止するように前記プローブ光パルスのパルス間隔Tを設定することを特徴とする。それぞれの分岐光線路からのブリルアン散乱光が重畳すると分岐光線路の特性を測定できなくなるので、プローブ光パルスのパルス間隔でブリルアン散乱光(戻り光)が重畳しないように調整する。
なお、本発明に係る分岐光線路特性解析方法は、前記分岐光線路の線長差が等間隔ΔLである場合、前記プローブ光パルス入射ステップは、τprobeを前記プローブ光パルスのパルス幅、νを前記分岐光線路中の光速、Nを前記分岐光線路の分岐数とすれば、
=τprobe+2ΔLmax/ν
でパルス間隔Tを設定することを特徴とする。ただし、2ΔL=τprobeνを満たし、ΔLmax=ΔL(N−1)を満たす。
なお、本発明に係る分岐光線路特性解析方法は、所定の光周波数範囲内で前記設定ブリルアン周波数シフトfを変化させ、前記光周波数差設定ステップから前記特性解析ステップを繰り返すことを特徴とする。fを変化させることで測定対象のブリルアン散乱光の光周波数を変えることができる。詳細には、光ファイバの特性(温度や曲げ等)は、固有のブリルアン散乱光の光周波数を持つ。このため、fを変化させることで、測定対象の光ファイバ特性を変えることができる。
本発明に係る分岐光線路特性解析方法を実現できる分岐光線路特性解析装置の構造は、次の通りである。
本発明に係る分岐光線路特性解析装置は、光スプリッタに接続される複数の分岐光線路に、前記分岐光線路でブリルアン(Brillouin)散乱を発生させるポンプ光パルスと、前記分岐光線路の前記光スプリッタと反対側の遠端で反射させて前記ポンプ光パルスと相互作用させるプローブ光パルスと、を伝搬させ、前記分岐光線路の特性を解析する分岐光線路特性解析装置であって、
パルス間隔が等しく且つ光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)の前記プローブ光パルスを発生し、X個の前記プローブ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するプローブ光パルス入射部と、
前記ポンプ光パルスを発生し、X個のプローブ光パルスが入射された後に前記ポンプ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するポンプ光パルス入射部と、
前記分岐光線路からの戻り光パルスを前記光スプリッタを介して受光し、電気信号に変換する戻り光受光部と、
前記戻り光受光部が変換した前記電気信号から設定ブリルアン周波数シフトfにおける前記戻り光パルスのブリルアン利得スペクトル分布を取得する特性解析部と、
前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスとの光周波数差である前記設定ブリルアン周波数シフトfを設定し、
前記プローブ光パルス入射部に、前記分岐光線路それぞれからの前記戻り光パルスの重畳を防止するように前記プローブ光パルスのパルス間隔Tを設定させ、
前記プローブ光パルス入射部に前記プローブ光パルスを前記分岐光線路に入射させた後に前記ポンプ光パルス入射部に前記ポンプ光パルスを前記分岐光線路に入射させる制御部と、
を備えることを特徴とする。
さらに、本発明に係る分岐光線路特性解析装置の前記制御部は、所定の光周波数範囲内で前記設定ブリルアン周波数シフトfを変化させ、前記プローブ光パルス入射部と前記ポンプ光パルス入射部に前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスを繰り返し前記分岐光線路に入射させることを特徴とする。
従って、本発明は分岐光線路の個別の特性分布を高速で測定可能な分岐光線路特性解析装置を提供することができる。
続いて、本発明に係る分岐光線路特性解析装置で特性分布を高速で測定可能な分岐光線路の構造を特定できる分岐光線路設計方法を説明する。
本発明に係る分岐光線路特性解析装置および分岐光線路特性解析方法の測定性能(所望の感度を達成するための測定時間、あるいは一定時間に達成する測定感度)は、被測定線路が有する分岐数によって変化する。分岐数が多い場合、分岐損失により分岐下部での試験光パワーが小さくなるため、信号対雑音比(SNR)は劣化する。一方で、分岐数が少ない場合、分岐損失が小さいためポンプディプレッションを相対的に大きく生じやすく、ポンプディプレッションを抑えるために低い試験光パワーを使用することとなり、やはりSNRが劣化する。すなわち、分岐光線路測定対象の総延長が与えられた際に、測定性能を最大化するための、分岐損失が大きすぎず、ポンプディプレッションが生じにくい最適な分岐数が必ず存在する。
具体的には、本発明に係る分岐光線路設計方法は、 請求項1から5のいずれかに記載の分岐光線路特性解析方法で特性を解析する分岐光線路の分岐数Nを、ブリルアン利得が最大となるように決定する分岐光線路設計方法である。
ただし、前記ブリルアン利得は数(C1)で定義される。
ここで、gはブリルアン利得係数、Aeffは光ファイバのコアの実効断面積、lは前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスの相関長、Lは分岐下部心線の長さ、αは光ファイバの光損失係数、P(L)は前記分岐光線路の遠端での前記プローブ光パルスのパワー、P(L)は前記分岐光線路の遠端での前記ポンプ光パルスのパワーである。。
従って、本発明は、前記分岐光線路特性解析装置で特性分布を高速で測定可能な分岐光線路の構造を特定できる分岐光線路設計方法を提供することができる。
本発明は、分岐光線路の個別の特性分布を高速で測定可能な分岐光線路特性解析方法および分岐光線路特性解析装置を提供することができる。また、本発明は、前記分岐光線路特性解析装置で特性分布を高速で測定可能な分岐光線路の構造を特定できる分岐光線路設計方法を提供することもできる。
本発明に係る分岐光線路特性解析装置を説明するブロック図である。 本発明に係る分岐光線路特性解析方法を説明するフローチャートである。 本発明に係る分岐光線路特性解析方法の原理を説明する模式図である。 本発明に係る分岐光線路特性解析方法で測定した分岐光線路毎のブリルアン利得スペクトル分布を示す図である。 本発明に係る分岐光線路特性解析装置において、最適な入射プローブ光パワーの計算結果を示す図である。 本発明に係る分岐光線路設計方法において、信号対雑音比を最大化する分岐数の計算結果の例である。
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に示される実施の形態は一例であり、本発明は以下の実施の形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
[分岐光線路特性解析装置]
図1は、本実施形態に係る分岐光線路特性解析装置の一例を示すブロック図である。
本分岐光線路特性解析装置は、光スプリッタに接続される複数の分岐光線路に、前記分岐光線路でブリルアン(Brillouin)散乱を発生させるポンプ光パルスと、前記分岐光線路の前記光スプリッタと反対側の遠端で反射させて前記ポンプ光パルスと相互作用させるプローブ光パルスと、を伝搬させ、前記分岐光線路の特性を解析する分岐光線路特性解析装置であって、
パルス間隔が等しく且つ光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)の前記プローブ光パルスを発生し、X個の前記プローブ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するプローブ光パルス入射部と、
前記ポンプ光パルスを発生し、X個のプローブ光パルスが入射された後に前記ポンプ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するポンプ光パルス入射部と、
前記分岐光線路からの戻り光パルスを前記光スプリッタを介して受光し、電気信号に変換する戻り光受光部と、
前記戻り光受光部が変換した前記電気信号から設定ブリルアン周波数シフトfにおける前記戻り光パルスのブリルアン利得スペクトル分布を取得する特性解析部と、
前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスとの光周波数差である前記設定ブリルアン周波数シフトfを設定し、
前記プローブ光パルス入射部に、前記分岐光線路それぞれからの前記戻り光パルスの重畳を防止するように前記プローブ光パルスのパルス間隔Tを設定させ、
前記プローブ光パルス入射部に前記プローブ光パルスを前記分岐光線路に入射させた後に前記ポンプ光パルス入射部に前記ポンプ光パルスを前記分岐光線路に入射させる制御部と、
を備えることを特徴とする。
図1において、プローブ光パルス入射部は、光源10、分岐素子11、光周波数変更手段12、光パルス化手段14、光増幅器18、合波素子20、及びサーキュレータ21が相当する。ポンプ光パルス入射部は、光源10、分岐素子11、光パルス化手段13、光増幅器19、合波素子20、及びサーキュレータ21が相当する。光受光部は、サーキュレータ21、光フィルタ25、及び光受信器26が相当する。特性解析部は、A/D変換器27及び演算処理装置28が相当する。制御部は、正弦波発生器17及び入射時間制御手段(15、16)が相当する。
本分岐光線路特性解析装置は、光スプリッタ22を介して被測定光ファイバに試験光を入射し、その戻り光を解析して被測定光ファイバの光線路特性を解析することが可能である。光線路特性は、例えば、距離に対する光減衰量、曲げ障害の位置、曲げの程度、断線障害の位置、距離に対する温度変化量などである。試験光には2種類あり、一方はプローブ光と称される。他方はポンプ光と称され、分岐光線路23の遠端に設置された反射フィルタ24で反射したプローブ光と対向伝搬してプローブ光にブリルアン利得を与える。
プローブ光をパルス化してプローブ光パルスが得られる。ポンプ光をパルス化してポンプ光パルスが得られる。分岐光線路の遠端で反射され、ポンプ光パルスによるブリルアン増幅を受けて戻るプローブ光パルスを、戻り光パルスと称する。
図1において、レーザ光源10から出力される光周波数fの連続光は分岐素子11で2分岐され、一方は光周波数変更手段(光周波数変更手段)12および光パルス化手段14を経てプローブ光パルス(第1試験光)となる。他方は光パルス化手段13を経てポンプ光パルス(第2試験光)となる。
光周波数変更手段12は、LiNbOを用いた位相変調器、あるいはSSB(Single Side Band)変調器である。光周波数変更手段12にオシレータ(正弦波発生器)17から正弦波を与え、正弦波の周波数に応じて変調側波帯の周波数を変化させてプローブ光を外部変調し、周波数シフトを与えることができる。光周波数変更手段12は、プローブ光の光周波数を測定しようとするブリルアン散乱光の光周波数へ変化させる。光周波数変更手段12が変化させる当該光周波数(光周波数差Δf)を設定ブリルアン周波数シフトfと称する。
より詳細に説明すれば、分岐光線路内で発生するブリルアン散乱光は、曲げや温度変化等でその光周波数が異なる。そしてプローブ光の光周波数に一致する光周波数のブリルアン散乱光が増幅され、測定に利用される。このため、光周波数変更手段12に、曲げに対応する設定ブリルアン周波数シフトfを設定してプローブ光の光周波数をfから変化させf−fとすれば曲げの発生を捉えることができ、温度変化に対応する設定ブリルアン周波数シフトfを設定してプローブ光の光周波数をfから変化させf−fとすれば温度変化を捉えることができる。
そして、所定の光周波数範囲内で前記設定ブリルアン周波数シフトfを変化させ、前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスを繰り返し前記分岐光線路に入射させることで、分岐光線路の全体的な特性(曲げや温度変化等)を解析することができる。
周波数シフトを受けたプローブ光は、入射時間制御手段16の制御に基づいて光パルス化手段14でパルス化される。実施形態では特に、光周波数の等しい複数のプローブ光パルスを発生させる。一方、ポンプ光は、入射時間制御手段15の制御に基づいて光パルス化手段13でパルス化される。
光パルス化手段(13、14)は、例えば音響光学素子をパルス駆動する音響光学スイッチ、あるいはLiNbOを用いた電気光学素子をパルス駆動する導波路スイッチなどを用いることができる。つまり光デバイス(音響光学変調器やLiNbO変調器)を電気パルスで変調すれば光パルスを得られる。電気パルスで駆動された時間に応じて連続光がパルス化される。
入射時間制御手段16は、複数の分岐光線路からの戻り光パルス同士が干渉することを防止するために、複数のプローブ光パルスのパルス間隔Tを制御する。また、入射時間制御手段15は、プローブ光パルスが被測定光ファイバに入射される時間(タイミング)とポンプ光パルスが被測定光ファイバに入射される時間(タイミング)とに、時間差を与える。
入射時間制御手段(15、16)は、例えば光パルス化手段を駆動する電気パルスの変調時間を変化させることで実施可能である。上記光デバイスを変調するタイミングを変化させることで光パルスの生成されるタイミングを制御することができる。光パルス化手段(13、14)の各出力光を合波素子20で合波すれば、入射時間の異なるプローブ光パルス列(複数のプローブ光パルス)およびポンプ光パルスを生成することが可能となる。なお、光パルス化手段(13、14)に与えられる電気パルスのうち一方の電圧をゼロにすれば、プローブ光パルスまたはポンプ光パルスの一方だけを入射することも可能となる。
光パルス化手段14からのプローブ光パルスは光増幅器18で測定に必要なレベルにまで増幅され、合波素子20に入射される。また、光パルス化手段13からのポンプ光パルスは光増幅器19で測定に必要なレベルにまで増幅され、合波素子20に入射される。プローブ光およびポンプ光は合波素子20から光サーキュレータ21を介して基幹光ファイバに入射され、さらに被測定光ファイバに入射される。
被測定光ファイバは、光スプリッタ22と、光スプリッタ22の分岐下流側の分岐光線路23とを備える。各分岐光線路23はその終端に光反射フィルタ24を有する。なお終端面が十分な反射率を有していれば光反射フィルタを省略してもよい。
光反射フィルタ24で反射された試験光(プローブ光、ポンプ光)、あるいはブリルアン後方散乱光などの戻り光は光サーキュレータ21経由で光フィルタ25に入射される。光フィルタ25は解析に必要なプローブ光だけを通過させる特性を持ち、プローブ光だけが光受信器26に達する。光受信器26は受光したプローブ光を光/電変換し、プローブに基づく電気信号(出力電流)をA/D変換器27に入力する。A/D変換器27は電気信号をA/D(アナログ/ディジタル)変換し、ディジタルデータを生成する。このディジタルデータはパーソナルコンピュータ(PC)などの演算処理装置28に入力される。
続いて、本分岐光線路特性解析装置の作用を詳しく説明する。
本分岐光線路特性解析装置では、以下に示される(条件1)〜(条件4)が満たされることが必要である。
(条件1)
光周波数変更手段12による周波数シフトのレンジは、被測定光ファイバで生じるブリルアン周波数シフトの距離方向の周波数変化量よりも広いこと(光源10の光周波数から測定しようとする特性に対応するブリルアン散乱光の光周波数へシフト可能であること)。条件1は、被測定光ファイバ中の全ての距離(位置)でプローブ光パルスとポンプ光パルスとがインタラクション(相互作用)して誘導ブリルアン散乱を生じるために必要な条件である。
(条件2)
プローブ光パルスのパルス幅τprobeが、分岐光線路遠端(終端)からの戻り光の時間差2nΔL/cの最小値より狭いこと。なおΔLは分岐光線路の長さの差の最小値である。また真空中の光速をcとし、nは光ファイバの屈折率である。すなわちc/nは光ファイバ中の光速νとなる。
条件2は、分岐光線路毎の戻り光(誘導ブリルアン散乱光)が光受信器おいて重なること(干渉)を防ぐために必要な条件である。条件2が満たされなければ分岐光線路毎の戻り光(誘導ブリルアン散乱光)が光受信器において干渉し、各分岐光線路を時間的に切り分けることができなくなる。つまり各分岐光線路を区別できなくなる。
(条件3)
光受信器およびA/D変換器の帯域が、パルス幅τprobeを受光可能な程度に広いこと。一般に、パルス幅τの光パルスを精確に測定するためには、光受信器およびA/D変換器の帯域が1/τより広い必要がある。
(条件4)
最長の分岐光線路と最短の分岐光線路との長さの差をΔLmaxとし、光ファイバ中の光速をνとし、隣り合うプローブ光パルスの入射時間差をTとしたとき、
≧τprobe+2ΔLmax/ν
が満たされること。条件4も条件2と同様に、分岐光線路毎の戻り光パルスが光受信器おいて重なることを防ぐために必要な条件である。
なお、分岐光線路の長さの差のばらつきによっては、条件4の数式が測定速度に対して最適とならない場合もある。光受信器への到達時に戻り光パルス同士が干渉しない範囲で、Tを自由に設定して良い。ただし、分岐線路の長さの差が一様(線長差が等間隔ΔL)である場合、すなわちΔLmax=(N−1)ΔLとなる場合に、プローブ光送出数を最大化でき、測定時間を短縮できる。この時、プローブ光送出数は、分岐下部心線長をLとすると、L/(NΔL)となる。
[分岐光線路特性解析方法]
図2は、図1の分岐光線路特性解析装置が行う分岐光線路特性解析方法の一例を示すフローチャートである。本分岐光線路特性解析方法は、光スプリッタに接続される複数の分岐光線路に、前記分岐光線路でブリルアン(Brillouin)散乱を発生させるポンプ光パルスと、前記分岐光線路の前記光スプリッタと反対側の遠端で反射させて前記ポンプ光パルスと相互作用させるプローブ光パルスと、を伝搬させ、前記分岐光線路の特性を解析する分岐光線路特性解析方法であって、
前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスとの光周波数差である設定ブリルアン周波数シフトfを設定する光周波数差設定ステップと、
パルス間隔が等しく且つ光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)の前記プローブ光パルスを発生し、X個の前記プローブ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するプローブ光パルス入射ステップと、
前記プローブ光パルス入射ステップ後に、前記ポンプ光パルスを発生し、X個のプローブ光パルスが入射された後に前記ポンプ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するポンプ光パルス入射ステップと、
前記ポンプ光パルス入射ステップの後、前記分岐光線路からの戻り光パルスを前記光スプリッタを介して受光し、電気信号に変換する戻り光受光ステップと、
前記戻り光受光ステップで変換した前記電気信号から設定ブリルアン周波数シフトfにおける前記戻り光パルスのブリルアン利得スペクトル分布を取得する特性解析ステップと、
を行うことを特徴とする。
なお、図2において、ステップS1とS9が光周波数差設定ステップ、ステップS2とS3がプローブ光パルス入射ステップ、ステップS4がポンプ光パルス入射ステップ、ステップS5からS8が戻り光受光ステップと特性解析ステップに相当する。
本実施形態では、分岐光線路の特性の解析に先立ちΔLmaxを測定する。つまり、本分岐光線路特性解析方法は、前記光周波数差設定ステップの前に、最長の前記分岐光線路と最短の前記分岐光線路との長さの差ΔLmaxを検出する光路長差検出ステップを行うことを特徴とする。ΔLmaxは例えば、プローブ光パルスを1波だけ入射して各分岐光線路からの戻り時間を測定し、最短の戻り時間と最長の戻り時間(いずれも往復時間)との差にνを乗算して2で割ることで求めることができる。
演算処理装置28は、先ず、設定ブリルアン周波数シフトfを設定する(ステップS1)。fは、プローブ光パルスとポンプ光パルスの光周波数差Δfである。つまりプローブ光パルスとポンプ光パルスとの光周波数差Δf=fであり、各プローブ光パルスの光周波数は光周波数f−fとなる。なお、fはポンプ光パルスの光周波数、fはブリルアン後方散乱光のうち測定対象とする光ファイバの特性に対応する光周波数である。fからfだけ変化させるので光周波数シフト量(Brillouin Frequency Shift:BFS)と称する。
次に演算処理装置28は、プローブ光パルス列に含まれる各プローブ光パルスとポンプ光パルスとの入射時間差t,t,t,・・・,tを設定する(ステップS2)。ステップS2において、前記分岐光線路それぞれからの前記戻り光パルスの重畳を防止するように前記プローブ光パルスのパルス間隔Tを設定することが必要である。
ここで、前記分岐光線路の線長差が等間隔ΔLである場合、ステップS2では、τprobeを前記プローブ光パルスのパルス幅、νを前記分岐光線路中の光速、Nを前記分岐光線路の分岐数とすれば、
=τprobe+2ΔLmax/ν
でパルス間隔Tを設定することを特徴とする。ただし、2ΔL=τprobeνを満たし、ΔLmax=ΔL(N−1)を満たす。
図3は、本実施形態における解析の手順を示す模式図である。図3において、白抜き矢印Aが進行するプローブ光パルス列を示し、黒塗り矢印Bは進行するポンプ光パルスを示す。図3の(I)に示されるように、パルス幅τprobeで入射されるプローブ光パルスは、互いに条件4に基づく時間差Tで入射される。すなわちプローブ光パルス列は、パルス間隔Tで並ぶX個のプローブ光パルスを含む。以下の説明では、X個(X波)を含むプローブ光パルス列のi番目のプローブ光パルスとポンプ光パルスの入射時間差をtとする。この入射時間差tによりプローブ光パルスとポンプ光パルスとの衝突位置が変化し、各分岐光線路における長手方向の測定位置が決定される。つまり、tを変化させることで分岐光線路の距離方向全体を測定することができる。
図2に戻り、演算処理装置28は、制御部(正弦波発生器17、入射時間制御手段(15、16))に指示し、プローブ光パルス列を被測定光ファイバに入射させ、X個のプローブ光パルスの入射が完了した後にポンプ光パルスを被測定光ファイバに入射させる(ステップS3,S4)。上記したようにプローブ光パルス列に含まれるプローブ光パルスとポンプ光パルスはそれぞれt,t,t,・・・,tの入射時間差を持つ。図3にはX=3のケースが示される。
次に、演算処理装置28は戻り光パルスの光受信器26への到達時間(戻り時間)に基づいて、各戻り光パルスを反射した分岐光線路を個別に識別する(ステップS5)。つまりA/D変換器27から出力されるディジタルデータがどの分岐光線路の情報を反映するのかが判断される。そして、得られたディジタルデータに基づいて、演算処理装置28は誘導ブリルアン散乱光を解析する(ステップS6)。
図3の(II)に示されるように、光スプリッタ22でN分岐されたプローブ光パルス列とポンプ光パルスは分岐光線路中でインタラクションし、誘導ブリルアン散乱による後方散乱光が発生する。これによりプローブ光パルス列はポンプ光パルスからブリルアン利得を得る。プローブ光パルス列はX個のプローブ光パルスを含むので、ポンプ光パルスは異なる位置でX回のインタラクションを生じることになる。図3においては分岐光線路毎に3か所の衝突位置がある。
ブリルアン増幅を受けたX×N個のプローブ光パルスは、ポンプ光パルスを伴って光スプリッタ22で合波されたのち光サーキュレータ21に戻り、光フィルタ25に入射される。光フィルタ25はポンプ光パルスを除去し、これによりブリルアン増幅を受けたX×N個のプローブ光パルスだけが光受信器26で受光される。(条件4)が満たされているので、図3の(III)に示されるように、光受信器26において戻り光パルスが重なることはない。
光受信器26からの電気信号はA/D変換器27でディジタルデータに変換され、演算処理装置28に入力される。演算処理装置28は図2のステップS6の解析を行い、解析結果を出力する(ステップS7)。
最長の分岐光線路からポンプ光パルスが受光されると(ステップS8でYes)1つの小シーケンスが終了する(ステップS2〜ステップS7)。この小シーケンスは入射時間差t,t,t,・・・,tをδtだけ増加させつつ(ステップS10)、tがti+1の初期値と等しくなるまで繰り返される。
小シーケンスが完了すると、所定の光周波数範囲内で前記設定ブリルアン周波数シフトfを変化させ、前記光周波数差設定ステップから前記特性解析ステップを繰り返す。
具体的には、演算処理装置はプローブ光パルスとポンプ光パルスとの光周波数差Δf(=f)をδfだけ変化させつつ(ステップS12)、ステップS1〜ステップS9の大シーケンスを繰り返す。この大シーケンスはf=Fになるまで繰り返される(ステップS11でYes)。ここでFは設定ブリルアン周波数の全帯域である。ステップS11までの手順が完了すると、既に得られたブリルアン利得スペクトル分布に基づいて距離ごとのブリルアン利得スペクトラムのピーク分布を解析することができる。
続いて、数式を用いて上記作用を詳しく説明する。
(i)プローブ光パルス列とポンプ光パルスによる誘導ブリルアン散乱の測定について
プローブ光パルス列に含まれるプローブ光パルスとポンプ光パルスとがインタラクションすると誘導ブリルアン散乱が発生する。プローブ光パルス列とポンプ光パルスとの光周波数差Δfがfのとき、プローブ光パルスは誘導ブリルアン散乱により式(1)に示される増幅を受ける。
式(1)のα(z,f)は入射端からzの位置でインタラクションし、ブリルアン周波数差がfのときの誘導ブリルアンによる利得を示す。Wpumpはポンプ光のパルス幅を距離の次元で表したものである。g(f)はプローブ光パルスとポンプ光パルスの周波数差がfであるときの誘導ブリルアン散乱係数を示す。zは分岐光線路入射端からプローブ光パルスとポンプ光パルスがインタラクションした位置までの距離を示す。Ipump(z)は分岐光線路入射端から距離zだけ離れた位置におけるポンプ光パルスの強度を示す。
分岐光線路#i(図3ではiは1〜4の自然数)の損失係数をα、分岐光線路#iを往復する光の全損失をLとする。そうすると分岐光線路に入射されたのち終端で反射され、入射端から距離zの位置でポンプ光パルスと衝突したプローブ光パルスの当該入射端における強度Iprobe(2L,z)は、式(2)で表される。
式(2)に示されるように、分岐光線路入射端でのプローブ光パルスの強度Iprobe(2L,z,f)は、g(f)とIpump(z)の関数になる。Ipump(z)は式(3)で表される。
また、プローブ光パルスだけを入射した場合の入射端に戻る反射プローブ光パルス強度Iref(2L)は、式(4)に示される。
従って式(2)を式(3)および式(4)を用いて変換すると式(5)が得られる。
ブリルアン散乱光の利得を解析することにより、式(5)に基づいてインタラクションした場所までの損失をポンプ光パルス幅で積分した値とブリルアン散乱係数との積を算出できる。従って、被測定光ファイバにおける損失を加味したブリルアン利得強度を得ることができる。
なお本実施形態では、ポンプ光パルスが複数のプローブ光パルスと衝突するので複数回のインタラクションによるポンプディプレッションを生じ、ブリルアン利得強度が式(5)よりも抑圧されることが考えられる。しかし実施形態の手法によれば、後述の通り、ブリルアン利得強度の絶対値情報は必要無いので、ポンプディプレッションへの特段の配慮は必要ない。必要な情報は、ブリルアン利得強度がピーク値を取るブリルアン周波数シフト量であり、ブリルアン利得強度のピーク値をモニタ(ピークサーチ)できれば良いからである。測定距離ごとのブリルアン利得スペクトルは、プローブ光パルスとポンプ光パルスとの周波数差fを変化させて測定を繰り返すことで取得される。
(ii)分岐光線路の距離に対するブリルアン散乱光分布の測定について
簡単のため、プローブ光パルス列のうち先頭のプローブ光パルスが、ポンプ光パルスに対して時間tだけ先に入射する場合だけを説明する。プローブ光パルス列に含まれる他のプローブ光パルスについても、時間tをt,t,・・・,tとすれば同様の説明が成り立つ。
被測定光ファイバの入射端から分岐光線路#a(aは1≦a≦Nの自然数)の終端までの長さをLとする。プローブ光パルスは光反射フィルタにより反射される。分岐光線路終端からの距離をlとし、光ファイバの屈折率をnとし、真空中の光速をcとすると、反射されたプローブ光パルスはt/2秒後にl=c/n×t/2だけ進むので、入射端からの距離をlx1とすると式(6)が得られる。
プローブ光パルスが入射されてから分岐光線路に進入し、光反射フィルタで反射してlx1に達するまでの時間tは、式(7)で表される。
プローブ光パルスが入射されてからt秒後にポンプ光パルスを入射するとする。ポンプ光パルスがt秒後に到達する入射端からの距離lx2は、式(8)で表される。
x1=lx2の位置、つまり式(6)=式(8)となる位置でポンプ光パルスはプローブ光パルスとインタラクションする。インタラクションのタイミングは光反射フィルタでプローブ光パルスが反射されてからt/2秒後である。つまり、プローブ光パルスとポンプ光パルスとを被測定光ファイバに入射する時間差を変化させることで、プローブ光パルスとポンプ光パルスとがインタラクションする位置を制御できる。これにより、距離に対する誘導ブリルアン散乱の特性分布を求めることができる。
本実施形態において、プローブ光パルス列とポンプ光パルスが被測定光ファイバを一往復する間にインタラクションする位置は、プローブ光パルス列に含まれるプローブ光パルスの数Xだけ存在する。つまり多点(X点)の測定点のブリルアン利得情報を一括して取得することができるので、プローブ光パルスとポンプ光パルスの入射時間差を変化させて測定する回数をX分の1に削減でき、測定時間をX分の1に削減することができる。
(iii)分岐光線路#aの誘導ブリルアン散乱光が光受信器に到達する時間の測定について
プローブ光パルスが光受信器に到達する時間をtdaとする。プローブ光パルスは、分岐光線路終端の光フィルタで反射されて光受信器に入射される。プローブ光パルスの光受信器への到達時間は式(9)で表される。
他の分岐光線路#b(1≦b≦Nの整数)から戻るプローブ光パルスが光受信器に到達する時間tdbは、式(10)で表される。
よって、光受信器に戻る時間差は、式(11)で表される。
≠Lであれば、光受信器に到達する時間が異なる。
(条件2)は、式(12)で表される。
式(12)および(条件4)が満たされていれば、各分岐光線路から戻ったプローブ光パルスは光スプリッタで合波された後も重ならない。よって光受信器への到達時間を測定することで、どの分岐光線路から戻ってきたプローブ光パルスであるかを特定できる。つまり各分岐光線路を時間的に切り分けることができる。
上記(i)〜(iii)により、分岐光線路個別のブリルアン利得スペクトル分布を、既存の技術(特に非特許文献4)のX倍の速度で高速に測定することが可能になる。測定されたブリルアン利得ピークの分布から温度、歪み、ファイバ構造パラメータの違いの特性分布を算出することももちろん可能である。
以上述べたように実施形態では、演算処理装置は、或る設定ブリルアン周波数シフトfでの測定が完了した後、設定ブリルアン周波数シフトを設定ブリルアン周波数シフト間隔変化させて測定を繰り返し、設定ブリルアン周波数全帯域幅Fになると測定を終了する。
得られた距離に対するブリルアン利得分布を周波数毎に並べることで、距離に対するブリルアン利得スペクトル分布を求める。このブリルアン利得スペクトル分布において、演算処理により、距離ごとにブリルアン利得スペクトルの強度ピークをとる周波数がブリルアン周波数シフト量であり、被測定光ファイバ長手方向のブリルアン周波数シフト量の測定結果を出力することで、距離に対する特性分布を求める。つまり温度や歪、ファイバ構造パラメータの違いなどの、ブリルアン周波数シフト量の変化をもたらす物理量の分岐光線路毎の距離方向の特性分布を算出することができる。
以上の測定において、実施形態によれば、既存の手法に比べて単位時間当たりX倍の速度で測定点の情報を得ることができる。従って測定時間をX分の1にすることが可能になる。
図4は、分岐光線路毎のブリルアン利得スペクトル分布を示す図である。図4は#1〜#8の8つの分岐光線路を測定した結果である。各グラフは直行する3つの軸に距離、光周波数シフト量(Brillouin Frequency Shift:BFS)および損失をそれぞれプロットしたグラフである。なお分岐光線路#1,#7,#8に、基幹光ファイバとファイバ構造パラメータの異なる光ファイバを用いた。
グラフ上の段差から一見して分かるのは、9.5kmの距離に光スプリッタがあり、9.5km以遠が分岐光線路であることである。また各グラフによれば、分岐光線路#1、#7、#8のブリルアン周波数シフト量が基幹光ファイバと異なることが分かる。ブリルアン周波数シフト量は歪みや温度変化に対して線形な応答変化を示すので、実施形態によれば各分岐光線路を識別可能となり、かつ、歪みや温度変化を分岐光線路毎に測定することができる。
以上のように実施形態では、光スプリッタで複数に分岐された各分岐光線路の長さの差ΔLを利用し、波長の異なる二種のパルス試験光を用意する。予め設定された入射時間差を持つX個の試験光パルス列(プローブ光パルス列)を先に入射する。この入射時間差は分岐光線路の長さの最大値に基づいて最適化されるので、光受信器でプローブ光パルスどうしが重なることはない。全てのプローブ光パルスの入射が完了したのち、ポンプ光パルスが入射される。
プローブ光パルス列は分岐光線路遠端、あるいは遠端に設置される反射フィルタで反射される。これによりポンプ光パルスが分岐光線路内の各位置(X箇所)で対向衝突し、誘導ブリルアン後方散乱光が生じる。この誘導ブリルアン後方散乱光を光受信器で受信し、光受信器の出力電流を2nΔL/c(cは光速)よりも高い時間分解能で解析することで、分岐光線路のどの心線から戻った誘導ブリルアン後方散乱光であるかを特定することが可能となる。
また、プローブ光パルスとポンプ光パルスとの光周波数差Δf(=f)を変化させながら測定を繰り返すことで分岐光線路毎のブリルアン利得スペクトル分布を取得する。そして、取得されたブリルアン利得スペクトル分布において、距離ごとにブリルアン利得スペクトルがピーク値を取るブリルアン周波数シフト量を取得(ピークサーチ)する。ブリルアン周波数シフト量は温度変化や歪み変化に対して線形な変化応答を示すので、ブリルアン周波数シフト量に寄与する物理量変化を分岐光線路毎に測定することができる。
要するに、或る設定ブリルアン周波数シフトfでの距離方向のブリルアン利得スペクトルを得るのに、既存の技術ではX回(分岐光線路長とサンプリング距離間隔に依存)の測定を要していたのに対し、実施形態によれば1回の測定で足りる。すなわち、予めプローブ光パルスを1波だけ入射して(N分岐の被測定光ファイバからの戻り時間から)分岐光線路の最長と最短の差ΔLmaxを測定したうえで、周波数の等しいX個のプローブ光パルス(周波数f−f)をτ+2ΔLmax/ν以上の時間差をもって入射するプローブ光パルス列と、プローブ光パルス列とは周波数の異なる1個のポンプ光パルス(周波数f)を更に時間差をもって入射することで、プローブ光パルス列とポンプ光パルスとの対向伝搬によりブリルアン利得スペクトルを求める。
そして、或る設定ブリルアン周波数シフト(f)での測定が完了した後、プローブ光パルス列とポンプ光パルスの周波数差を設定ブリルアンシフト間隔(δf)ずつ変化させて設定ブリルアン周波数全帯域(F)まで測定を繰り返し、距離方向に対するブリルアン利得分布を得ることで、光線路の特性分布を求めることができる。
以上から実施形態によれば、分岐光線路の個別の特性を測定することができる。しかも分岐光線路毎にX個のデータを一気に取得できるので、試験光入射待機時間を大幅に削減でき、従って測定時間を大幅に短縮することができる。
これらのことから本実施形態によれば、分岐光線路の個別の特性分布を高速で測定することの可能な分岐光線路の特性解析装置および分岐光線路の特性解析方法を提供することが可能となる。
さらに、本発明に関わる分岐線路の特性解析装置および特性解析方法の測定時間を最も短くするためには、測定対象の分岐数Nを全センシング長(≒NL)に対して最適化する必要がある。また、入射するポンプディプレッションを抑え、なおかつSNRが最大化できる入射光パワーを選定して使用する必要がある。以下、SNRを最大化する入射光パワーの選定方法と最適分岐数の設計について述べる。なお、本発明装置及び方法においてSNRが最も悪くなる測定地点は、常に分岐下部心線遠端であるため、分岐下部心線遠端でのSNRが最大となる入射光パワーに焦点を当てる。
光ファイバ中で生じるプローブ光とポンプ光のブリルアン利得は式(13),(14)の結合方程式にて表現できる。
式(13),(14)において、Pはポンプ光と衝突時のプローブ光パワー、Pはプローブ光と衝突時のポンプ光パワー、gはブリルアン利得係数、Aeffはコアの実効断面積、αは光ファイバの光損失係数である。式(13),(14)の結合方程式を数値解析的に解くことで、プローブ光およびポンプ光のパワーの距離に対する変化、および遠端でのプローブ光およびポンプ光パワーを明らかにすることができる。詳細を以下に述べる。
まず、プローブ光パワーの距離に対する変化について、分岐数Nに応じた分岐損失と片端測定であることを考慮し、z地点でポンプ光と衝突するプローブパワーは、
riは分岐点直前におけるプローブ光パワー、αは光ファイバ損失係数、Lは分岐下部心線長である。
式(15)より分岐下部心線遠端L地点でのプローブ光パワーは、
となる。
微小区間dz=z−zn−1におけるポンプ光減衰量は、分岐点直前におけるポンプパワーPuiを初期値とし、ポンプ光とプローブ光の相関長をlとして、下記漸化式で表せる。
遠端L地点で生じるブリルアン利得受光パワーは、
式(18)が最大となるPriおよびPuiを数値解析で求めることで、SNRを最大化することができる。ただし、一般に実験系の制約から各々の入射パワー上限が存在する。入射ポンプ光パワーは不要な非線形光学効果(誘導ブリルアン散乱など)が十分抑えられる範囲で大きいほどSNRは向上する。入射ポンプ光パワーはポンプディプレッションを十分に抑えられる範囲で大きいほどSNRは向上する。例として、15 dBmを上限とする入射プローブ光のパワーの最適値の計算結果の例(分岐数N=8)を図5に示す。15dBmの入射ポンプ光パワーでは誘導ブリルアン散乱は十分に小さい。
図5より、ポンプディプレッションを抑えつつ、最大のブリルアン利得が生じるような入射プローブ光パワーの最適値が存在することがわかる。最適な入射プローブ光パワーは被測定線路の分岐数、長さ、分岐心線長差、線路損失に依存して変化するため、入射プローブ光パワーの最適値を計算する前に予め、被測定線路の分岐数、長さ、分岐心線長さ、線路損失を把握しておく必要がある。被測定線路の分岐数、長さ、分岐心線長差、線路損失は、例えば、単一パルス光を線路に入射することにより、その戻りのパルス数、戻り時間、戻り時間差、受光パワーからそれぞれ容易に把握することができる。
また、式(18)について、分岐数をパラメータとして数値解析することで、SNRを最大化する分岐数もわかる。最適分岐数の計算結果の例を図6に示す。図は、分岐下部心線遠端で生じたブリルアン利得の受光パワーについて、分岐数が1の場合に対する各分岐構成時のSNRのFOM(Figure of merit)を示している。センシングすべき総センシング長が与えられた場合に、分岐数の変化に対して、FOMは極値を持つことがわかる。すなわち、極値をとるSNRを最大化できる分岐数が存在する。FOMが最大となる分岐数を選択して分岐線路を構成することで、最大のSNRにて本発明の分岐光線路の特性解析装置及び方法を実施可能である。以上の数値解析を実施することで、本発明は、総センシング長が与えられた場合に(分岐数に制約がない場合に)SNRを最大化する最適分岐数の設計手法を提供するものである。
なお、図6の横軸に示される任意の分岐数Nは、入射パワーを等分配する2分岐、3分岐、5分岐の光合分波器の組み合わせにて構成することができる。例えば、3分岐の光合分波器は1対2の光合分波器で分波したのち、高出力ポートの出力をさらに1対1の光合分波器で分けることで実現できる。5分岐の光合分波器は2対3の光合分波器で分波したのち、低出力ポートの出力をさらに1対1の光合分波器で分け、高出力ポートに上記3分岐の合分波器を接続することで実現できる。ただし、一般に光合分波器には、理論的な分岐損失(N分岐に対して光強度がN分の1になる)の他、過剰損失と呼ばれる光損失が生じるため、合分波器の挿入損失が各分岐下部心線に接続する光合分波器の出力ポート毎に均一になるように構成することが望ましい。
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
[付記]
以下は、本実施形態の分岐光線路特性解析装置及びその方法を説明したものである。
(1):
光スプリッタに接続される複数の分岐光線路に入射される試験光パルスを発生する試験光パルス発生部と、
前記入射された試験光パルスに由来する戻り光パルスを受光して電気信号を発生する受光部と、
前記電気信号を処理する信号処理部とを具備し、
前記試験光パルス発生部は、
光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)のプローブ光パルスを発生するプローブ光パルス発生部と、
前記複数の分岐光線路の遠端でそれぞれ反射された前記X個のプローブ光パルスに前記分岐光線路内で対向伝搬し衝突したプローブ光パルスとインタラクションするポンプ光パルスを発生するポンプ光パルス発生部と、
前記受光された戻り光パルス同士の干渉を防止すべく前記X個のプローブ光パルスのパルス間隔を制御する制御部とを備え、
前記信号処理部は、
前記電気信号を解析して得られる前記戻り光パルスのブリルアン(Brillouin)利得スペクトル分布に基づいて前記複数の分岐光線路の特性を個別に解析する特性解析装置において、受光するブリルアン利得が最大となる分岐数を予め計算により求めることを特徴とする、分岐光線路の特性解析装置。
(2):
前記ブリルアン利得が最大となる分岐数は、分岐数N、ブリルアン利得係数g、光ファイバのコアの実効断面積Aeff、プローブ光とポンプ光の相関長をl、分岐下部心線の長さL、光ファイバの光損失係数αとし、被測定線路の分岐下部線路遠端でのプローブ光パワーP(L)とポンプ光パワーP(L)について結合方程式を解くことにより求め、式(C1)が最大となる分岐数Nを求めることで決定することを特徴とする、上記(1)に記載の特性解析装置。
(3):
分岐光線路の線長差はΔLで等間隔とし、前記プローブ光パルスのパルス幅をτprobeとし、光ファイバ中の光速をνとしたとき、2ΔL=τprobeνを満たし、分岐数Nとすると、最長と最短の分岐線路の長さの差ΔLmaxは、ΔLmax=ΔL(N−1)を満たす構成の分岐光線路に接続し、
前記制御部は、T=τprobe+2ΔLmax/νを満たすべく前記X個のプローブ光パルスのパルス間隔を制御する、上記(1)に記載の分岐光線路の特性解析装置。
(4):
前記信号処理部は、
前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスとの光周波数差を変化させ、
前記戻り光パルスの光強度から得られる距離毎のブリルアン利得スペクトルの最大値を取るブリルアン周波数シフト量に基づいて、当該ブリルアン周波数シフト量の変化に寄与する物理量の特性分布を前記複数の分岐光線路毎に取得する、上記(1)に記載の分岐光線路の特性解析装置。
(5):
光スプリッタに接続される複数の分岐光線路に試験光パルスを入射し前記試験光パルスに由来する戻り光パルスを受光する、分岐光線路の特性解析方法において、
光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)のプローブ光パルスを発生することと、
前記受光された戻り光パルス同士の干渉を防止すべく前記X個のプローブ光パルスのパルス間隔を制御することと、
前記X個のプローブ光パルスを入射することと、
前記複数の分岐光線路の遠端でそれぞれ反射された前記X個のプローブ光パルスに前記分岐光線路内で対向伝搬し衝突したプローブ光パルスとインタラクションするポンプ光パルスを発生することと、
前記X個のプローブ光パルスが入射された後に前記ポンプ光パルスを入射することと、
前記受光された戻り光パルスを電気信号に変換することと、
前記電気信号を解析して得られる前記戻り光パルスのブリルアン(Brillouin)利得スペクトル分布に基づいて前記複数の分岐光線路の特性を個別に解析することとを具備する特性解析方法において、受光するブリルアン利得が最大となる分岐数を予め計算により求めることを特徴とする、分岐光線路の特性解析方法。
(6):
前記ブリルアン利得が最大となる分岐数は、分岐数N、ブリルアン利得係数g、光ファイバのコアの実効断面積Aeff、プローブ光とポンプ光の相関長をl、分岐下部心線の長さL、光ファイバの光損失係数αとし、被測定線路の分岐下部線路遠端でのプローブ光パワーP(L)とポンプ光パワーP(L)について結合方程式を解くことにより求め、式(C1)が最大となる分岐数Nを求めることで決定することを特徴とする、上記(5)に記載の特性解析方法。
(7):
分岐光線路の線長差はΔLで等間隔とし、前記プローブ光パルスのパルス幅をτprobeとし、光ファイバ中の光速をνとしたとき、2ΔL=τprobeνを満たし、分岐数Nとすると、最長と最短の分岐線路の長さの差ΔLmaxは、ΔLmax=ΔL(N−1)を満たす構成の分岐光線路に接続し、
前記制御部は、T=τprobe+2ΔLmax/νを満たすべく前記X個のプローブ光パルスのパルス間隔を制御する、上記(5)に記載の分岐光線路の特性解析方法。
(8):
前記解析することは、
前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスとの光周波数差を変化させ、
前記戻り光パルスの光強度から得られる距離毎のブリルアン利得スペクトルの最大値を取るブリルアン周波数シフト量に基づいて、当該ブリルアン周波数シフト量の変化に寄与する物理量の特性分布を前記複数の分岐光線路毎に取得する、上記(5)に記載の分岐光線路の特性解析方法。
(効果)
本発明によれば、既存の手法と比較して、単位時間当たりX倍の速度で測定点の情報を得ることができ、測定時間をX分の1に短縮することが可能な分岐光線路の特性解析装置および分岐光線路の特性解析方法を提供できる。さらに、当該分岐光線路の特性解析装置および分岐光線路の特性解析方法において測定性能を最大化する分岐光線路の設計方法を提供することが可能になる。
10:光源
11:分岐素子
12:光周波数変更手段
13:光パルス化手段
14:光パルス化手段
15、16:入射時間制御手段
17:正弦波発生器
18、19:光増幅器
20:合波素子
21:サーキュレータ
22:光スプリッタ
23:分岐光線路
24:光反射フィルタ
25:光フィルタ
26:光受信器
27:A/D変換器
28:演算処理装置

Claims (8)

  1. 光スプリッタに接続される複数の分岐光線路に、前記分岐光線路でブリルアン(Brillouin)散乱を発生させるポンプ光パルスと、前記分岐光線路の前記光スプリッタと反対側の遠端で反射させて前記ポンプ光パルスと相互作用させるプローブ光パルスと、を伝搬させ、前記分岐光線路の特性を解析する分岐光線路特性解析方法であって、
    前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスとの光周波数差である設定ブリルアン周波数シフトfを設定する光周波数差設定ステップと、
    パルス間隔が等しく且つ光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)の前記プローブ光パルスを発生し、X個の前記プローブ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するプローブ光パルス入射ステップと、
    前記プローブ光パルス入射ステップ後に、前記ポンプ光パルスを発生し、X個のプローブ光パルスが入射された後に前記ポンプ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するポンプ光パルス入射ステップと、
    前記ポンプ光パルス入射ステップの後、前記分岐光線路からの戻り光パルスを前記光スプリッタを介して受光し、電気信号に変換する戻り光受光ステップと、
    前記戻り光受光ステップで変換した前記電気信号から設定ブリルアン周波数シフトfにおける前記戻り光パルスのブリルアン利得スペクトル分布を取得する特性解析ステップと、
    を行うことを特徴とする分岐光線路特性解析方法。
  2. 前記光周波数差設定ステップの前に、最長の前記分岐光線路と最短の前記分岐光線路との長さの差ΔLmaxを検出する光路長差検出ステップを行うことを特徴とする請求項1に記載の分岐光線路特性解析方法。
  3. 前記プローブ光パルス入射ステップは、前記分岐光線路それぞれからの前記戻り光パルスの重畳を防止するように前記プローブ光パルスのパルス間隔Tを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の分岐光線路特性解析方法。
  4. 前記分岐光線路の線長差が等間隔ΔLである場合、前記プローブ光パルス入射ステップは、τprobeを前記プローブ光パルスのパルス幅、νを前記分岐光線路中の光速、Nを前記分岐光線路の分岐数とすれば、
    =τprobe+2ΔLmax/ν
    でパルス間隔Tを設定することを特徴とする請求項3に記載の分岐光線路特性解析方法。
    ただし、2ΔL=τprobeνを満たし、ΔLmax=ΔL(N−1)を満たす。
  5. 所定の光周波数範囲内で前記設定ブリルアン周波数シフトfを変化させ、前記光周波数差設定ステップから前記特性解析ステップを繰り返すことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の分岐光線路特性解析方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の分岐光線路特性解析方法で特性を解析する分岐光線路の分岐数Nを、ブリルアン利得が最大となるように決定する分岐光線路設計方法。
    ただし、前記ブリルアン利得は数(C1)で定義される。
    ここで、gはブリルアン利得係数、Aeffは光ファイバのコアの実効断面積、lは前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスの相関長、Lは分岐下部心線の長さ、αは光ファイバの光損失係数、P(L)は前記分岐光線路の遠端での前記プローブ光パルスのパワー、P(L)は前記分岐光線路の遠端での前記ポンプ光パルスのパワーである。
  7. 光スプリッタに接続される複数の分岐光線路に、前記分岐光線路でブリルアン(Brillouin)散乱を発生させるポンプ光パルスと、前記分岐光線路の前記光スプリッタと反対側の遠端で反射させて前記ポンプ光パルスと相互作用させるプローブ光パルスと、を伝搬させ、前記分岐光線路の特性を解析する分岐光線路特性解析装置であって、
    パルス間隔が等しく且つ光周波数の等しいX個(Xは2以上の自然数)の前記プローブ光パルスを発生し、X個の前記プローブ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するプローブ光パルス入射部と、
    前記ポンプ光パルスを発生し、X個のプローブ光パルスが入射された後に前記ポンプ光パルスを前記光スプリッタを経由して前記分岐光線路に入射するポンプ光パルス入射部と、
    前記分岐光線路からの戻り光パルスを前記光スプリッタを介して受光し、電気信号に変換する戻り光受光部と、
    前記戻り光受光部が変換した前記電気信号から設定ブリルアン周波数シフトfにおける前記戻り光パルスのブリルアン利得スペクトル分布を取得する特性解析部と、
    前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスとの光周波数差である前記設定ブリルアン周波数シフトfを設定し、
    前記プローブ光パルス入射部に、前記分岐光線路それぞれからの前記戻り光パルスの重畳を防止するように前記プローブ光パルスのパルス間隔Tを設定させ、
    前記プローブ光パルス入射部に前記プローブ光パルスを前記分岐光線路に入射させた後に前記ポンプ光パルス入射部に前記ポンプ光パルスを前記分岐光線路に入射させる制御部と、
    を備えることを特徴とする分岐光線路特性解析装置。
  8. 前記制御部は、所定の光周波数範囲内で前記設定ブリルアン周波数シフトfを変化させ、前記プローブ光パルス入射部と前記ポンプ光パルス入射部に前記プローブ光パルスと前記ポンプ光パルスを繰り返し前記分岐光線路に入射させることを特徴とする請求項7に記載の分岐光線路特性解析装置。
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