JP2017024387A - 流路構造体、液体噴射ヘッド、液体噴射装置、流路構造体の製造方法 - Google Patents

流路構造体、液体噴射ヘッド、液体噴射装置、流路構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】流路管が形成された基板に対するレーザー溶着による溶着ムラを低減する。【解決手段】液体の流路を形成する流路構造体であって、レーザー光に対して吸収性を有する光吸収性部材(第1基板27)と、光吸収性部材に接合され、レーザー光に対して透過性を有する光透過性部材(第2基板28)と、光吸収性部材と光透過性部材とが溶着された溶着面で囲まれる第1流路(流路PI1)と、光透過性部材のうち溶着面の反対側の表面から突出する流路管(流路管DI1)に形成され、第1流路と連通する第2流路とを備え、溶着面に直交する方向からの平面視において、流路管が第1流路の領域内に含まれる。【選択図】図11

Description

本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
複数のノズルからインク等の液体を噴射する液体噴射ヘッドが従来から提案されている。例えば特許文献1には、2つの基板の各々の対向面に溝を形成し、溝の周りをレーザー溶着して2つの基板を接合することによって、溝の壁面で囲まれる液体の流路を液体噴射ヘッド内に形成する構成が開示されている。特許文献1は、レーザー光を照射したときに溶着部分の端部領域ほど熱が逃げ易いために溶着が不十分となることに鑑みて、端部領域の厚みを他の部分よりも薄くすることで、端部領域でレーザー光の熱エネルギが大きくなるようにしたものである。
特開2011−104891号公報
ところで、レーザー溶着によって基板内に形成される流路には、この流路に連通する他の流路の流路管が、基板の表面から突出して形成されていることがある。このような流路管のうち基板から突出する部分は、基板の他の部分よりも厚くなる。このため、流路管が突出する表面から基板にレーザー光を照射して溶着を行うと、流路管の突出部分は、基板の他の部分よりも厚いから、他の部分に比べてレーザー光が減衰し易いので、溶着不足による溶着ムラが発生し易くなる。このとき、流路管などが突出されていない平坦な平面側からレーザー光を当てられればよいが、近年のように流路の構造や流路基板の構成が複雑になるほど、基板からの突起物も増えるため、必ずしも平坦な平面側からレーザー光を当てられない場合もある。
上述した特許文献1においても、基板に形成される流路に連通する他の流路を形成する流路管が基板から突出している。ところが、基板のうち流路管が突出している側とは反対側からレーザー光を当てており、流路管が突出する側からレーザー光を当てること自体記載もなく、想定もされていない。しかも、特許文献1のように、平面視において、流路管のうち基板から突出する部分が基板内の流路の領域からはみ出している場合には、仮に流路管が突出する側からレーザー光を当てて溶着を行うようにすれば、流路管が突出する部分でレーザー光が減衰するので、溶着不足による溶着ムラが発生し易い。このような各基板間の溶着ムラが発生すると、流路の気密性が低下してしまう虞がある。以上の事情を考慮して、本発明は、レーザー溶着による溶着ムラを低減することを目的とする。
[態様1]
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様(態様1)に係る流路構造体は、液体の流路を形成する流路構造体であって、レーザー光に対して吸収性を有する光吸収性部材と、光吸収性部材に接合され、レーザー光に対して透過性を有する光透過性部材と、光吸収性部材と光透過性部材とが溶着された溶着面で囲まれる第1流路と、光透過性部材のうち溶着面の反対側の表面から突出する流路管に形成され、第1流路と連通する第2流路とを備え、溶着面に直交する方向からの平面視において、流路管が第1流路の領域内に含まれる。態様1では、光透過性部材のうち溶着面の反対側の表面から突出する流路管が、溶着面に直交する方向からの平面視において第1流路の領域内に含まれるから、第1流路を囲む溶着面が流路管の管面に重ならないようにすることができるので、溶着ムラを効果的に低減できる。これにより、気密性の高い流路を形成することができる。また、態様1では、光透過性部材に形成された流路管が第1流路の領域内に含まれるようにすればよいので、他の流路管、例えば光吸収性部材に設けられた流路管については、その断面積の自由度を高めることができる。
[態様2]
態様1の好適例(態様2)において、第2流路は、第1流路に向けて、第1流路の下流側へテーパ状に広がる第1テーパ部を有する拡径部を備える。態様2では、第2流路は、第1流路に向けて、第1流路の下流側へテーパ状に広がる第1テーパ部を有する拡径部を備えるから、第1流路の上流側から下流側に向けて流れる液体が、第1流路から第2流路へ流れ易くすることができるので、この部分に発生し易い液体の淀みを抑制できる。これにより、液体の淀み部分に滞留する気泡を排気し易くなるので、気泡排出性を向上させることができる。
[態様3]
態様2の好適例(態様3)において、第2流路の拡径部はさらに、第1流路に向けて、第1流路の上流側へテーパ状に広がる第2テーパ部を有し、第1テーパ部の第2流路に対する傾斜角は、第2テーパ部の第2流路に対する傾斜角よりも大きい。態様3では、第2流路の拡径部は、第1流路の下流側へ広がる第1テーパ部に加え、さらに上流側へ広がる第2テーパ部も有するので、第2流路の拡径部の断面積を大きくできるので、第1流路から第2流路へ、液体をより流れ易くすることができる。また態様3では、下流側へ広がる第1テーパ部の第2流路に対する傾斜角は、上流側へテーパ状に広がる第2テーパ部の第2流路に対する傾斜角よりも大きいから、第1テーパ部と第2テーパ部の両方を同じ傾斜角にする場合に比較して、第2流路の断面積が大きくなり過ぎないようにすることができるので、流速の低下を抑えることができる。このように、流速の低下を抑えつつ、第1流路から第2流路へ、液体をより流れ易くすることができるので、気泡の排出性をより向上させることができる。
[態様4]
態様2または態様3の好適例(態様4)において、第2流路の拡径部の端部は、光透過性部材のうち光吸収性部材との対向面に開口している。態様4では、第2流路の拡径部の端部は、光透過性部材のうち光吸収性部材との対向面に開口しているから、第2流路に拡径部を形成し易い。
[態様5]
態様2から態様4の何れかの好適例(態様5)において、第1流路に連通する入口流路から下流側にかけて、第2流路が複数形成され、複数の第2流路は、第1流路の下流側の端部に配置される流路と、第1流路の下流側の端部と入口流路との間に配置される流路を含み、光吸収性部材には、複数の第2流路のうち第1流路の下流側の端部と入口流路との間に配置される流路に対向する位置に、その流路の拡径部に向けて突出する突起部が形成されている。態様5では、複数の第2流路のうち第1流路の下流側の端部と入口流路との間に配置される流路に対向する位置に、その流路の拡径部に向けて突出する突起部が形成されるから、第1流路と各第2流路との分岐点において、第1流路の突起部と第2流路の拡径部に沿った流れが生じる。このため、第1流路から第2流路に向かう流れがより形成され易くなる。これにより、各分岐点における液体の淀みが抑制されて、気泡が排出され易くなるので、各分岐点における気泡の排出性をより向上させることができる。
[態様6]
態様2から態様5の何れかの好適例(態様6)において、第1流路は、一方の端部から他方の端部に渡って形成され、入口流路は、一方の端部と他方の端部の間に配置されており、第2流路は、一方の端部と他方の端部の両方に配置されている。態様6では、第1流路は、一方の端部から他方の端部に渡って形成され、入口流路は、一方の端部と他方の端部の間に配置されており、第2流路は、一方の端部と他方の端部の両方に配置されているから、入口流路から流入した液体は分岐して、一方の端部の第2流路のみならず、他方の端部の第2流路にも流れ易くなる。これによれば、一方の端部と他方の端部の間に入口流路がない場合に比較して、第1流路の一方の端部と他方の端部の淀みを抑制することができるので、淀みに滞留する気泡を排出し易くなる。これにより、第1流路の一方の端部と他方の端部の淀みを抑制しつつ、レーザー溶着の溶着ムラを低減できる。
[態様7]
態様1から態様6の何れかの好適例(態様7)において、溶着面に対して第2流路が形成される流路管とは反対側に突出する流路管に形成され、第1流路と連通する第3流路を備え、第3流路を形成する流路管の数は、第2流路を形成する流路管の数よりも少なく、第3流路の断面積は、第2流路の断面積よりも大きい。態様7では、第3流路の断面積が第2流路の断面積よりも大きいので、流路内の圧力損失を低減できる。特に、第1流路に連通する第2流路が複数ある場合には圧力損失が発生し易いので、これを低減できる効果は大きい。しかも、第3流路は、溶着面に対して第2流路が形成される流路管とは反対側、すなわちレーザー光を照射する側とは反対側に突出する流路管に形成されるので、第3流路の断面積を大きくしても、レーザー溶着の溶着ムラを低減できる。これにより、圧力損失を低減しつつ、レーザー溶着の溶着ムラを低減できる。
[態様8]
態様7の好適例(態様8)において、第3流路を形成する流路管の外周は、溶着面に直交する方向からの平面視において第1流路の領域を超える大きさである。態様8では、第3流路を形成する流路管の外周は、溶着面に直交する方向からの平面視において第1流路の領域を超える大きさであるから、第3流路の断面積をより大きくすることができる。このため、第1流路の圧力損失を低減する効果を高めることができる。
[態様9]
態様7または態様8の好適例(態様9)において、光吸収性部材に接合され、レーザー光に対して透過性を有する2つの光透過性部材を備え、光吸収性部材は、2つの光透過性部材の間に挟まれて積層され、2つの光透過性部材のうちの一方または両方に第2流路の流路管が形成されている。態様9では、光吸収性部材に接合され、レーザー光に対して透過性を有する2つの光透過性部材を備えるので、2つの光透過性部材の両方の表面からレーザー光を照射して、2つの光透過性部材の各々を光吸収性部材に溶着することができる。このとき、2つの光透過性部材のうちの一方または両方に、第1流路の領域内に含まれる第2流路の流路管が形成されているから、いずれの光透過性部材の表面からレーザー光を照射しても、溶着ムラを低減することができる。
[態様10]
態様9の好適例(態様10)において、2つの光透過性部材のうちの一方に第2流路の流路管が形成され、他方に第3流路の流路管が形成されている。態様10では、2つの光透過性部材のうちの一方に第2流路の流路管が形成され、他方に第3流路管が形成されているから、第3流路の断面積をより大きくすることができるので、第1流路の圧力損失を低減することができる。また、第1流路の領域内に含まれる第2流路の流路管が形成される第2基板と第1基板の接合を、レーザー溶着により行うことで、溶着ムラを低減することができる。
[態様11]
態様9または態様10の好適例(態様11)において、光吸収性部材には、2つの光透過性部材の間に介在するフィルターが設けられている。態様11では、2つの光透過性部材の間に介在するフィルターが光吸収性部材に設けられているから、フィルターを2つの光透過性部材のいずれかに設ける場合に比較して、レーザー光の照射方向にフィルターが重ならないように配置する必要がないため、フィルターの配置や大きさなどの設計の自由度を高めることができる。
[態様12]
本発明の好適な態様(態様12)に係る液体噴射ヘッドは、請求項1から請求項11の何れかの流路構造体と、流路構造体からの液体を、駆動素子の駆動により噴射するノズルとを具備する。態様12では、請求項1から請求項11の何れかの流路構造体を備えるから、レーザー溶着による溶着ムラが低減されるので、気密性の高い流路が形成された液体噴射ヘッドを提供できる。
[態様13]
本発明の好適な態様(態様13)に係る液体噴射装置は、媒体を搬送する搬送機構と、媒体に液体を噴射する、請求項12の液体噴射ヘッドと、を具備する。態様13では、請求項12の液体噴射ヘッドを備えるから、レーザー溶着による溶着ムラが低減されるので、気密性の高い流路が形成された液体噴射装置を提供できる。液体噴射装置の好例は、印刷用紙等の媒体にインクを噴射する印刷装置であるが、本発明に係る液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。
[態様14]
本発明の好適な態様(態様14)に係る流路構造体の製造方法は、液体の流路を形成する流路構造体であって、レーザー光に対して吸収性を有する光吸収性部材と、レーザー光に対して透過性を有する光透過性部材とのいずれか一方または両方の対向面に、第1流路の流路溝を形成する工程と、光透過性部材において、光吸収性部材との対向面の反対側の表面から突出する流路管を形成するとともに、流路管内に第1流路と連通する第2流路を形成する工程と、光吸収性部材と光透過性部材とを、それぞれの対向面同士が接触するように積層する工程と、レーザー光を光透過性部材に向けて照射して、その照射方向において流路管と重なることなく流路溝を囲む溶着面を形成することによって第1流路を形成する工程と、を備える。態様14では、レーザー光の照射方向(溶着面に対して直交する方向または斜行する方向を含む)において、第1流路を囲む溶着面が流路管の管面に重ならないので、溶着ムラを効果的に低減できる。これにより、気密性の高い流路を形成することができる。
[態様15]
態様14の好適例(態様15)において、第2流路は、第1流路に向けて、第1流路の下流側へテーパ状に広がる第1テーパ部を有する拡径部を備える。態様15では、第2流路は、第1流路に向けて、第1流路の下流側へテーパ状に広がる第1テーパ部を有する拡径部を備えるから、第1流路の上流側から下流側に向けて流れる液体が、第1流路から第2流路へ流れ易くすることができるので、この部分に発生し易い液体の淀みを抑制できる。これにより、液体の淀み部分に滞留する気泡を排気し易くなるので、気泡排出性を向上させることができる。
[態様16]
態様15の好適例(態様16)において、第2流路の拡径部はさらに、第1流路に向けて、第1流路の上流側へテーパ状に広がる第2テーパ部を有し、第1テーパ部の第2流路に対する傾斜角は、第2テーパ部の第2流路に対する傾斜角よりも大きい。態様16では、第2流路の拡径部は、第1流路の下流側へ広がる第1テーパ部に加え、さらに上流側へ広がる第2テーパ部も有するので、第2流路の拡径部の断面積を大きくできるので、第1流路から第2流路へ、液体をより流れ易くすることができる。また態様16では、下流側へ広がる第1テーパ部の第2流路に対する傾斜角は、上流側へテーパ状に広がる第2テーパ部の第2流路に対する傾斜角よりも大きいから、第1テーパ部と第2テーパ部の両方を同じ傾斜角にする場合に比較して、第2流路の断面積が大きくなり過ぎないようにすることができるので、流速の低下を抑えることができる。このように、流速の低下を抑えつつ、第1流路から第2流路へ、液体をより流れ易くすることができるので、気泡の排出性をより向上させることができる。
[態様17]
態様15または態様16の好適例(態様17)において、第2流路の拡径部の端部は、光透過性部材のうち光吸収性部材との対向面に開口している。態様17では、第2流路の拡径部の端部は、光透過性部材のうち光吸収性部材との対向面に開口しているから、第2流路に拡径部を形成し易い。
[態様18]
態様15から態様17の何れかの好適例(態様18)において、第1流路に連通する入口流路から下流側にかけて、第2流路が複数形成され、複数の第2流路は、第1流路の下流側の端部に配置される流路と、第1流路の下流側の端部と入口流路との間に配置される流路を含み、光吸収性部材には、複数の第2流路のうち第1流路の下流側の端部と入口流路との間に配置される流路に対向する位置に、その流路の拡径部に向けて突出する突起部が形成されている。態様18では、複数の第2流路のうち第1流路の下流側の端部と入口流路との間に配置される流路に対向する位置に、その流路の拡径部に向けて突出する突起部が形成されるから、第1流路と各第2流路との分岐点において、第1流路の突起部と第2流路の拡径部に沿った流れが生じる。このため、第1流路から第2流路に向かう流れがより形成され易くなる。これにより、各分岐点における液体の淀みが抑制されて、気泡が排出され易くなるので、各分岐点における気泡の排出性をより向上させることができる。
[態様19]
態様15から態様18の何れかの好適例(態様19)において、第1流路は、一方の端部から他方の端部に渡って形成され、入口流路は、一方の端部と他方の端部の間に配置されており、第2流路は、一方の端部と他方の端部の両方に配置されている。態様19では、第1流路は、一方の端部から他方の端部に渡って形成され、入口流路は、一方の端部と他方の端部の間に配置されており、第2流路は、一方の端部と他方の端部の両方に配置されているから、入口流路から流入した液体は分岐して、一方の端部の第2流路のみならず、他方の端部の第2流路にも流れ易くなる。これによれば、一方の端部と他方の端部の間に入口流路がない場合に比較して、第1流路の一方の端部と他方の端部の淀みを抑制することができるので、淀みに滞留する気泡を排出し易くなる。これにより、第1流路の一方の端部と他方の端部の淀みを抑制しつつ、レーザー溶着の溶着ムラを低減できる。
[態様20]
態様14から態様19の何れかの好適例(態様20)において、溶着面に対して第2流路が形成される流路管とは反対側に突出する流路管に形成され、第1流路と連通する第3流路を備え、第3流路を形成する流路管の数は、第2流路を形成する流路管の数よりも少なく、第3流路の断面積は、第2流路の断面積よりも大きい。態様20では、第3流路の断面積が第2流路の断面積よりも大きいので、流路内の圧力損失を低減できる。特に、第1流路に連通する第2流路が複数ある場合には圧力損失が発生し易いので、これを低減できる効果は大きい。しかも、第3流路は、溶着面に対して第2流路が形成される流路管とは反対側、すなわちレーザー光を照射する側とは反対側に突出する流路管に形成されるので、第3流路の断面積を大きくしても、レーザー溶着の溶着ムラを低減できる。これにより、圧力損失を低減しつつ、レーザー溶着の溶着ムラを低減できる。
[態様21]
態様20の好適例(態様21)において、第3流路を形成する流路管の外周は、溶着面に直交する方向からの平面視において第1流路の領域を超える大きさである。態様21では、第3流路を形成する流路管の外周は、溶着面に直交する方向からの平面視において第1流路の領域を超える大きさであるから、第3流路の断面積をより大きくすることができる。このため、第1流路の圧力損失を低減する効果を高めることができる。
[態様22]
態様20または態様21の好適例(態様22)において、光吸収性部材に接合され、レーザー光に対して透過性を有する2つの光透過性部材を備え、光吸収性部材は、2つの光透過性部材の間に挟まれて積層され、2つの光透過性部材のうちの一方または両方に第2流路の流路管が形成されている。態様22では、光吸収性部材に接合され、レーザー光に対して透過性を有する2つの光透過性部材を備えるので、2つの光透過性部材の両方の表面からレーザー光を照射して、2つの光透過性部材の各々を光吸収性部材に溶着することができる。このとき、2つの光透過性部材のうちの一方または両方に、第1流路の領域内に含まれる第2流路の流路管が形成されているから、いずれの光透過性部材の表面からレーザー光を照射しても、溶着ムラを低減することができる。
[態様23]
態様22の好適例(態様23)において、2つの光透過性部材のうちの一方に第2流路の流路管が形成され、他方に第3流路の流路管が形成されている。態様23では、2つの光透過性部材のうちの一方に第2流路の流路管が形成され、他方に第3流路管が形成されているから、第3流路の断面積をより大きくすることができるので、第1流路の圧力損失を低減することができる。また、第1流路の領域内に含まれる第2流路の流路管が形成される第2基板と第1基板の接合を、レーザー溶着により行うことで、溶着ムラを低減することができる。
[態様24]
態様22または態様23の好適例(態様24)において、光吸収性部材には、2つの光透過性部材の間に介在するフィルターが設けられている。態様24では、2つの光透過性部材の間に介在するフィルターが光吸収性部材に設けられているから、フィルターを2つの光透過性部材のいずれかに設ける場合に比較して、レーザー光の照射方向にフィルターが重ならないように配置する必要がないため、フィルターの配置や大きさなどの設計の自由度を高めることができる。
[態様25]
態様14から態様24の何れかの好適例(態様25)において、溶着面に対するレーザー光の照射方向の角度が一定である。態様25では、溶着面に対するレーザー光の照射方向の角度が一定であるから、レーザー光の照射角度を変える場合に比較して、レーザー溶着を行い易い。
本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置を適用した印刷装置の構成図である。 第1実施形態の液体噴射ヘッドの分解斜視図である。 第1実施形態の液体噴射ヘッドを別の角度から見た場合の分解斜視図である。 第1実施形態の液体噴射ヘッドを印刷媒体側から見た平面図である。 図2に示す液体噴射ユニットの分解斜視図である。 図5に示す噴射ヘッド部の断面図である。 図2に示す流路構造体の側面図および平面図である。 第1比較例における流路構造を示す断面斜視図である。 第1実施形態における流路構造を示す図であって、図7に示す流路構造体をIV−IV線で切断した断面斜視図である。 図7に示すV−V線で切断した流路構造体の部分断面図である。 図10に示す流路構造体の部分の側面図および平面図である。 第1実施形態における流路構造体の製造方法を示す工程図である。 第1実施形態の変形例に係る流路構造体の部分断面図である。 第1実施形態の他の変形例に係る流路構造体の部分断面図である。 本発明の第2実施形態における流路構造体の構成を示す部分断面図である。 図15に示す流路構造体の部分を構成する基板の側面図および平面図である。 図15に示す流路構造体の部分をVII−VII線で切断した断面斜視図である。 第2比較例における流路構造体の部分の作用説明図である。 第2実施形態における流路構造体の部分の作用説明図である。 第2実施形態の変形例に係る流路構造体の部分断面図である。 第2実施形態の他の変形例に係る流路構造体の部分断面図である。 第2実施形態の他の変形例に係る流路構造体の部分断面図である。 図22に示す流路の断面形状と突起部の高さとの関係を示す断面図である。
<液体噴射装置>
先ず、本発明の実施形態に係る液体噴射装置について、インクジェット方式の印刷装置を例に挙げて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る印刷装置100の部分的な構成図である。印刷装置100は、液体の例示であるインクを印刷用紙等の印刷媒体(噴射対象)Mに噴射する液体噴射装置であり、制御装置10と搬送機構12と液体噴射ヘッド14とポンプ16とを具備する。複数色のインクIを貯留する液体容器(インクカートリッジ)18が印刷装置100には装着される。第1実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(B)の4色のインクIが液体容器18に貯留される。
制御装置10は、印刷装置100の各要素を統括的に制御する。搬送機構12は、制御装置10による制御のもとで印刷媒体MをY方向に搬送する。ただし、搬送機構12の構造は以上の例示に限定されない。ポンプ16は、制御装置10による制御のもとで2系統の空気A(A1、A2)を液体噴射ヘッド14に供給する給気装置である。空気A1および空気A2は、液体噴射ヘッド14の内部の流路の制御に利用される気体である。ポンプ16は、空気A1および空気A2の各々を相互に独立に加圧することが可能である。液体噴射ヘッド14は、液体容器18から供給されるインクIを制御装置10による制御のもとで印刷媒体Mに噴射する。第1実施形態の液体噴射ヘッド14は、Y方向に交差するX方向に長尺なラインヘッドである。なお、X-Y平面(印刷媒体Mの表面に平行な平面)に垂直な方向を以下ではZ方向と表記する。液体噴射ヘッド14によるインクIの噴射方向がZ方向に相当する。
<液体噴射ヘッド>
図2および図3は、図1に示す液体噴射ヘッド14の構成を説明するための分解斜視図である。図2および図3に示すように、液体噴射ヘッド14は、流路構造体G1と流路制御部G2と液体噴射部G3とを含んで構成される。流路構造体G1と流路制御部G2と液体噴射部G3とはこの順でZ方向に積層されている。液体噴射部G3は、6個の液体噴射ユニットU3を筐体142に収容および支持した構造体である。
図4は、液体噴射部G3のうち印刷媒体Mとの対向面の平面図である。図4に例示される通り、6個の液体噴射ユニットU3はX方向に沿って配列される。各液体噴射ユニットU3は、X方向に沿って配列する複数(第1実施形態の例示では6個)の噴射ヘッド部70を具備する。各噴射ヘッド部70は、複数のノズルNからインクIを噴射するヘッドチップを包含する。1個の噴射ヘッド部70の複数のノズルNは、X方向およびY方向に対して所定の角度で傾斜するW方向に沿って2列に配列される。液体噴射ユニットU3の各噴射ヘッド部70には4系統(4色)のインクIが並列に供給される。1個の噴射ヘッド部70の複数のノズルNは4個の集合に区分され、集合毎に相異なるインクIを噴射する。
流路構造体G1には、液体容器18から4系統のインクIが供給されるとともにポンプ16から2系統の空気A(A1、A2)が供給される。流路構造体G1は、4系統のインクIの各々と2系統の空気Aの各々とを、相異なる液体噴射ユニットU3に対応する6系統に分配する。すなわち、流路構造体G1による1系統のインクIの分配数(6)はインクIの種類数K(K=4)を上回る。
流路制御部G2は、液体噴射ヘッド14の流路(例えば流路の開閉や流路内の圧力)を制御する要素であり、相異なる液体噴射ユニットU3に対応する6個の流路制御ユニットU2を含んで構成される。4系統のインクIと2系統の空気Aとが流路構造体G1での分配により6個の流路制御ユニットU2に並列に供給される。各流路制御ユニットU2は、流路構造体G1が各液体噴射ユニットU3に分配した4系統のインクIの流路の開閉や圧力を2系統の空気Aに応じて制御する。
流路構造体G1での分配後に、各流路制御ユニットU2を経由した4系統のインクIが6個の液体噴射ユニットU3に並列に供給される。後述する図5に示すように、各液体噴射ユニットU3は、液体分配部60を具備する。液体分配部60は、前段の流路制御ユニットU2から供給される4系統のインクIの各々を、相異なる噴射ヘッド部70に対応する6系統に分配する。すなわち、液体分配部60による分配後の4系統のインクIが6個の噴射ヘッド部70の各々に並列に供給される。各噴射ヘッド部70は、4系統のインクIの各々を相異なるノズルNから噴射する。
図2に示すように、液体噴射部G3の各液体噴射ユニットU3のうち流路制御部G2との対向面には4個の供給口SI3が形成される。流路制御部G2と液体噴射部G3(筐体142)とが相互に固定された状態では、各液体噴射ユニットU3の各供給口SI3には、流路制御ユニットU2の出口流路を形成する各流路管DI2が挿入される。したがって、各液体噴射ユニットU3の4個の供給口SI3には、流路制御ユニットU2の流路管DI2から各系統のインクIが並列に供給される。
図5は、任意の1個の液体噴射ユニットU3の分解斜視図である。図5に示すように、液体噴射ユニットU3は、フィルター部52と連通部材54と基礎配線基板56と液体分配部60との積層体に、固定板58に固定される6個の噴射ヘッド部70を接合して構成される。フィルター部52は、流路制御部G2から供給される各インクIに包含される気泡や異物を除去する要素である。図5に示すように、フィルター部52は、流路制御部G2を経由した各インクIが供給される4個の供給口SI3が形成され、各供給口SI3から供給されるインクIに対応する4個のフィルター526を備える。連通部材54は、4つのフィルター部52の流出口を液体分配部60に連通させる。連通部材54は、弾性材料(例えばゴム)で形成された平板材であり、4つのフィルター部52の各流出口に連通する4つの貫通孔542が形成される。液体分配部60は、連通部材54の各貫通孔542を介して各供給口60Aから供給される4系統のインクIの各々を、各噴射ヘッド部70に対応する6系統に分配する。
各噴射ヘッド部70の各々には個別配線基板78が接合される。個別配線基板78は、液体分配部60に形成された挿入口(スリット)60Cに挿入されて基礎配線基板56に接合される。各個別配線基板78は、基礎配線基板56と各噴射ヘッド部70とを電気的に接続するための可撓性の配線基板(COF(Chip On Film))である。固定板58は、各噴射ヘッド部70を支持する平板状の部材であり、例えばステンレス鋼等の高剛性の金属で形成される。図5に示すように、固定板58には、相異なる噴射ヘッド部70に対応する6個の開口部582が形成される。各開口部582は、平面視でW方向に長尺な略矩形状の貫通孔である。
図6は、1個の噴射ヘッド部70の断面図(W方向に垂直な断面)である。図6に示すように、噴射ヘッド部70は、流路形成基板71の一方の表面に圧力室形成基板72と振動板73とを積層するとともに、他方の表面にノズル板74とコンプライアンス基板75とを設置したヘッドチップを包含する。複数のノズルNは、ノズル板74に形成される。なお、図6に示すように、1個の噴射ヘッド部70には、ノズルNの各列に対応する構造が略線対称に形成されるから、以下ではノズルNの1列分に便宜的に着目して噴射ヘッド部70の構造を説明する。
流路形成基板71は、インクIの流路を構成する平板材である。流路形成基板71には、開口部712と供給流路714と連通流路716とが形成される。供給流路714および連通流路716はノズルN毎に形成され、開口部712は、1系統のインクIを噴射する複数のノズルNにわたり連続する。圧力室形成基板72は、相異なるノズルNに対応する複数の開口部722が形成された平板材である。流路形成基板71や圧力室形成基板72は、例えばシリコンの単結晶基板で形成される。
コンプライアンス基板75は、噴射ヘッド部70の流路内の圧力変動を抑制(吸収)する機構であり、封止板752と支持体754とを含んで構成される。封止板752は、可撓性を有するフィルム状の部材であり、支持体754は、流路形成基板71の開口部712および各供給流路714が閉塞されるように封止板752を流路形成基板71に固定する。
圧力室形成基板72のうち流路形成基板71とは反対側の表面に振動板73が設置される。振動板73は、弾性的に振動可能な平板状の部材であり、例えば酸化シリコン等の弾性材料で形成された弾性膜と、酸化ジルコニウム等の絶縁材料で形成された絶縁膜との積層で構成される。図6に示すように、振動板73と流路形成基板71とは、圧力室形成基板72に形成された各開口部722の内側で相互に間隔をあけて対向する。各開口部722の内側で流路形成基板71と振動板73とに挟まれた空間は、インクに圧力を付与する圧力室(キャビティ)Cとして機能する。各ノズルNに連通する圧力室Cはそれぞれ、W方向に沿って配列される。
振動板73のうち圧力室形成基板72とは反対側の表面には、各ノズルNに対応する駆動素子としての圧電素子732がそれぞれ形成されている。各圧電素子732は、相互に対向する電極間に圧電体を介在させた積層体である。駆動信号の供給により圧電素子732が振動板73とともに振動することで、圧力室C内の圧力が変動して圧力室C内のインクIがノズルNから噴射される。各圧電素子732は、振動板73に固定された保護板76で封止および保護される。
流路形成基板71および保護板76には支持体77が固定される。支持体77は、例えば樹脂材料の成型で一体に形成される。支持体77には、流路形成基板71の開口部712とともに液体貯留室(リザーバー)Rを構成する凹部772が形成されている。凹部772の開口は、流路形成基板71の開口部712と連通した状態で、流路形成基板71の開口部712の周縁によって閉塞される。凹部772には、支持体77の側面に開口する開口部774が形成され、この開口部774は蓋部775で閉塞されている。
支持体77の凹部772と開口部774と流路形成板32の開口部322とから成る空間によって、液体貯留室Rが構成される。このように開口部774には、開口部774を形成することによって、開口部774を形成しない場合に比べて、液体貯留室Rの容積を大きくすることができる。なお、支持体77の開口部774は形成されていなくてもよい。上述したコンプライアンス基板75の封止板752は、液体貯留室Rの壁面(底面)を構成し、液体貯留室R内のインクの圧力変動を吸収する。
図5に示すように、各噴射ヘッド部70には、液体分配部60の流出口からの各系統のインクIを供給する供給口771が形成されており、供給口771は液体貯留室Rに連通している。これにより、液体分配部60による分配後の各系統のインクIは、液体分配部60の流出口から噴射ヘッド部70の供給口771を介して液体貯留室Rに供給され貯留される。液体貯留室Rに貯留されたインクIは、複数の供給流路714により各圧力室Cに分配および充填され、各圧力室Cから連通流路716とノズルNとを通過して外部(印刷媒体M側)に噴射される。
図6に示す振動板73には個別配線基板78の端部が接合される。個別配線基板78は、駆動信号や電源電圧を各圧電素子732に伝送するための配線が形成された可撓性の基板(フレキシブル配線基板)である。個別配線基板78は、保護板76に形成されたスリット762および支持体77に形成されたスリット776を介して突出し、上述したように基礎配線基板56に接続される。駆動信号や電源電圧は、基礎配線基板56から各個別配線基板78を介して各噴射ヘッド部70の圧電素子732に供給される。
<第1実施形態における流路構造体の構成>
ここで、第1実施形態における流体(液体または気体)の流路が形成される流路構造体G1の構成をより具体的に説明する。図7は、流路構造体G1の側面図および平面図である。図7に示すように、流路構造体G1は、第1基板27と第2基板28とを相互に対向した状態で接合した平板状の構造体である。第1基板27および第2基板28は、X方向に長尺な平板材であり、例えばポリプロピレン等の樹脂材料で形成される。第1基板27と第2基板28は、後述するようにレーザー溶着によって接合されている。
第1基板27は、第2基板28とは反対側の第1面271と、第2基板28と対向し第1面271とは反対側の第1対向面272とを備える。同様に、第2基板28は、第1基板27とは反対側の第2面281と、第1基板27と対向し第2面281とは反対側の第2対向面282とを備える。
図7には、第1面271の平面図と第2面281の平面図とが併記されている。第1基板27の第1面271には、液体容器18から各系統のインクI(C、M、Y、K)が供給される入口流路となる4個の流路管SI1と、ポンプ16から2系統の気体、ここでは空気A(A1、A2)が供給される入口流路となる2個の流路管SA1とが形成される。これら入口流路となる各流路管SI1、SA1は、第1基板27の第1面271からY方向負側に突出している。
第2基板28の第2面281には、各系統のインクIに対応する出口流路となる6個の流路管DI1と、各系統の空気Aに対応する2個の出口流路となる流路管DA1とが、6個の液体噴射ユニットU3の各々について個別に形成される。任意の1系統のインクIに対応する6個の流路管DI1は略等間隔でX方向に配列されており、任意の1系統の空気Aに対応する6個の流路管DA1は略等間隔でX方向に配列されている。これら出口流路となる各流路管DI1、DA1は、第2基板28の第2面281からY方向正側に突出している。
図7にて波線で示すように、第1基板27の第1対向面272と第2基板28の第2対向面282との間には、各系統のインクIに対応する4個の液体の流路PI1と、各系統の空気Aに対応する2個の気体の流路PA1とが形成される。各流路PI1および各流路PA1は、平面視で6個の流路制御ユニットU2が配列する範囲の略全域にわたりX方向に沿って略直線状に延在する。空気Aに対応する2個の流路PA1を平面視で挟む両側に、インクIに対応する4個の流路PI1が位置する。なお、空気Aに対応する各流路PA1は、取付孔23を迂回するように平面視で屈曲している。
各流路PI1は、インクIの供給用の1個の流路管SI1に平面視で重なるように形成され、第1基板27を貫通するように流路管SI1内に形成された入口流路H1と連通する。同様に、各流路PA1は、空気Aの供給用の1個の流路管SA1に平面視で重なるように形成され、第1基板27を貫通するように流路管SA1内に形成された入口流路H1と連通する。
このように、各流路PI1は、1個の流路管SI1内に形成される入口流路H1と、6個の流路管DI1内にそれぞれ形成される出口流路H2とを連通させる流路である。各流路PA1は、1個の流路管SA1に形成される入口流路H1と、6個の流路管DA1にそれぞれ形成される出口流路H2とを連通させる流路である。これらの流路PI1、PA1は、第1基板27と第2基板28を、それぞれの第1対向面272と第2対向面282とが接触するように積層し、いずれか一方または両方に形成された流路溝の周囲を固着することによって構成される。すなわち、ここでの流路PI1、PA1は、固着面で囲まれる領域である。流路PI1、PA1を囲む固着面は、例えばレーザー溶着による溶着面であっても、接着剤による接着面であってもよいが、ここでは固着面がレーザー溶着による溶着面で構成される場合を例に挙げて説明する。
第1基板27と第2基板28とをレーザー溶着することで流路PI1、PA1を形成する場合には、第1基板27と第2基板28のうち、一方をレーザー光に対して透過性を有する光透過性部材で構成するとともに、他方をレーザー光に対して吸収性を有する光吸収性部材で構成する。そして、光透過性部材で構成した基板の表面からレーザー光を照射して溶着する。第1実施形態では、第1基板27を光吸収性部材で構成するとともに、第2基板28を光透過性部材で構成し、第2基板28の第2面281からレーザー光を照射して溶着する場合を例に挙げる。
ところで、第1実施形態の流路構造体G1においては、レーザー光を照射する第2基板28の第2面281には、6個の流路管DI1が第2面281から突出して形成されている。このため、流路管DI1の管面の部分は流路管DI1が第2面281から突出する長さ(厚み)の分だけ、他の部分よりも厚くなる。このような構成では、もしレーザー光の照射方向において、溶着面がその流路管DI1の管面に重なってしまうと、その流路管DI1の管面に重なる部分は、他の部分に比べてレーザー光が減衰し易いため、溶着不足による溶着ムラが発生し易くなるという問題がある。このような溶着ムラが発生すると、流路の気密性が低下してしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、図7に示すように、平面視において各流路PI1、PA1の領域内に、流路管DI1、DA1の管面(外周)まで含まれるようにしたものである。これによれば、レーザー光の照射方向において、各流路PI1、PA1を囲む溶着面が流路管DI1、DA1の管面に重ならないようにすることができるので、溶着ムラを効果的に低減できる。
ここで、このような第1実施形態の流路構造体G1の流路構造を、第1比較例と比較しながら、より詳細に説明する。図8は、第1比較例の流路構造を示す断面斜視図であり、レーザー光L’の照射方向において第1流路P’を囲む溶着面W’が、第2流路Q’の流路管D’の管面に重なる場合である。図9は、第1実施形態における流路構造を示す図であって、図7に示す流路構造体GをIV−IV線で切断した断面斜視図である。図9は、レーザー光Lの照射方向において第1流路Pを囲む溶着面Wが、出口流路H2の流路管DI1、DA1に相当する第2流路Qの流路管Dの管面に重ならない場合である。図8、図9は、レーザー溶着後に、溶着面W、W’を含む平面で切断した場合の図である。なお、第1実施形態での「第1流路」は、レーザー溶着による溶着面で囲まれ、流体(液体または気体)が流れる流路である。この点で、各液体の流路PI1および各気体の流路PA1が、第1実施形態での「第1流路」に相当し、出口流路H2が「第2流路」に相当する。これに対して、後述する第2実施形態では、流路を流れる液体中に含まれる気泡の排気性を高める流路構成を例示する。このため、各液体の流路PI1が、第2実施形態での「第1流路」に相当する。
図8では、第2流路Q’を形成する流路管D’が、第2基板28’の第2面281’から、Z方向正側に突出して形成されており、第1基板27’に形成した流路溝273’の周囲をレーザー光L’によって溶着することで、溶着面W’に囲まれた第1流路P’が形成される。図9では、第2流路Qを形成する流路管Dが、第2基板28の第2面281から、Z方向正側に突出して形成されており、第1基板27に形成した流路溝273の周囲をレーザー光Lによって溶着することで、溶着面Wに囲まれた第1流路Pが形成される。
図8の第1比較例の構成では、レーザー光L’の照射方向、すなわち溶着面W’に直交する方向(Z方向負側)からの平面視において、流路管D’の管面が、第1流路P’の領域を超えて配置されている。このような第1比較例の構成では、レーザー光L’の照射方向において第1流路P’を囲む溶着面W’が第2流路Q’の流路管D’の管面に重なってしまう。流路管D’の管面の部分は流路管Dが第2面281’から突出する長さ(厚み)の分だけ、第2面281’よりも厚くなる。このため、図8に示すように、レーザー光の照射方向において、溶着面W’のうち流路管DI1の管面に重なる溶着面W’’があると、その溶着面W’’に照射されるレーザー光La’は、他の部分のレーザー光Lに比べて減衰し易いため、溶着不足による溶着ムラが発生し易くなる。
これに対して、図9に示す第1実施形態の構成では、レーザー光Lの照射方向、すなわち溶着面Wに直交する方向(Z方向負側)からの平面視において、流路管Dの管面が、第1流路Pの領域内に配置されている。これにより、レーザー光Lの照射方向において第1流路Pを囲む溶着面Wが第2流路Qの流路管Dの管面に重ならないようにすることができる。このため、厚みの相違によるレーザー光Lの減衰は発生しないため、十分に溶着でき、溶着ムラを効果的に低減できる。これにより、気密性の高い第1流路Pを形成することができる。
このような第1実施形態の流路構造について、液体の流路PI1を例に挙げてより具体的に説明する。第1実施形態における液体の流路PI1は4系統であり、各々を含む流路構造体G1の部分の流路構造はそれぞれ同様に構成されるので、ここでは任意の1系統の流路PI1を含む部分の流路構造を取り出して説明する。図10は、図7に示すV−V線で切断した流路構造体G1の部分断面図である。図11は、図10に示す流路構造体G1の部分を構成する第1基板27と第2基板28とを分解した場合の側面図および平面図である。
図10と図11に示すように、第1基板27の第1対向面272には、第1対向面272に沿ってX方向に延在する流路溝273と、流路溝273に連通する入口流路H1が形成されている。流路溝273は、第1流路に相当する流路PI1を構成する断面略矩形の溝であり、入口流路H1は、第1基板27の第1面271から突出する流路管SI1に形成される貫通孔である。流路溝273は、流路PI1のX方向に離間する2つの端部273a、273bに渡って形成され、これらの端部273a、273bの間に入口流路H1が配置されている。
第2基板28の第2対向面282には、第2対向面282に垂直な方向(Z方向)に、第2流路に相当する6つの出口流路H2が形成されている。出口流路H2は、第2基板28の第2面281から突出する流路管DI1に形成される貫通孔である。6つの出口流路H2は、Z方向からの平面視において、入口流路H1の両側に渡って配置されている。入口流路H1は、一方の端部273aと他方の端部273bの中央よりも、一方の端部273aに近い位置にある。このため、入口流路H1と各端部273a、273bの間に配置される出口流路H2の数が異なる。
具体的には、出口流路H2は、流路溝273の両端部273a、273bにそれぞれ1つずつ配置されている。入口流路H1と一方の端部273aとの途中(図10、図11の入口流路H1よりも右側)には、1つの出口流路H2が配置されており、入口流路H1と他方の端部273bの途中(図10、図11の入口流路H1よりも左側)には、3つの出口流路H2が配置されている。
このような流路構造によれば、入口流路H1から流入されたインクはX方向負側と正側に分岐して、流路PI1の両方の端部273a、273bに向けて流れる。すなわち、流路PI1内には、上流側の入口流路H1から下流側の一方の端部273aに向けたインクの流れと、これとは逆向きの上流側の入口流路H1から下流側の他方の端部273aに向けたインクの流れが生じる。
流路PI1の一方の端部273aに向けて流れるインクは、端部273aの出口流路H2と、端部273aと入口流路H1との間の1つの出口流路H2にそれぞれ分岐して流出される。流路PI1の他方の端部273bに向けて流れるインクは、端部273bの出口流路H2と、端部273bと入口流路H1との間の3つの出口流路H2にそれぞれ分岐して流出される。なお、入口流路H1と出口流路H2についての数と配置は、上述したものに限られるものではない。
このように構成される第1基板27と第2基板28は、それぞれの第1対向面272と第2対向面282同士が接触するように積層され、第2基板28の第2面281に向けて照射されるレーザー光によって、流路溝273の周囲が溶着される。これにより、第1基板27の流路溝273の内壁面と、第2基板28の流路溝273に対向する壁面とで構成される空間によって、流路(第1流路)PI1が構成される。
こうして形成された溶着面Wは、例えば図9における第1基板27と第2基板28の平面図にハッチングで示すような環帯状の形状である。流路PI1は、溶着面Wによって囲まれる領域(環帯状の溶着面Wの内周縁の内側の領域)である。図11の第2基板28の平面図に示すように、6つの流路管DI1はその管面を含めてすべて、流路PI1の領域内に含まれるように配置されている。これにより、レーザー光の照射方向において流路PI1を囲む溶着面Wが流路管DI1の管面に重ならないようにすることができる。このため、上述したように厚みの相違によるレーザー光Lの減衰は発生しないため、溶着ムラを効果的に低減できる。なお、図10と図11の流路管DI1は、溶着面Wに直交する方向に突出している場合を例に挙げたが、流路管DI1は、溶着面Wに傾斜する方向に突出していてもよい。
ここでの「溶着面で囲まれる流路」については、光吸収性部材で構成される第1基板27および光透過性部材で構成される第2基板28のそれぞれの平面度に誤差がある場合も考慮すれば、光吸収性部材の溶融した面全体が光透過性部材に当接していなくても、面として両者が固定され、結果として流路PI1を形成できればよい。このため、両者の隙間が密封されている場合には、光吸収性部材の対向面と光透過性部材の対向面との間隔が0.3mm以下であって、その部分の光吸収性部材が溶融している場合も「溶着面」に含まれる。
また、光吸収性部材と光透過性部材との隙間が密封されているか否か(気密性)については、例えば以下の方法で測定する。測定対象の流路に連通する他の流路をすべて塞いで+50kPaの空気を送り、測定対象の流路の圧力変化を計測する。このとき、空気を送ってから5秒後の圧力変化が1kPa以内であれば、その測定対象の流路は密封されているものとする。
また、図10に示す流路構造によれば、流路PI1の入口流路H1が、流路PI1の両端部273a、273bの出口流路(第2流路)H2の間にあるから、入口流路H1から流入したインクは分岐して、一方の端部273aの出口流路H2のみならず、他方の端部273bの出口流路H2にも流れ易くなる。これによれば、両端部273a、273bの間に入口流路H1がない場合に比較して、流路PI1の両端部273a、273bにおけるインクの淀みを抑制することができるので、インクの淀みに滞留する気泡を排出し易くなる。これにより、流路PI1の両端部273a、273bにおける淀みを抑制しつつ、レーザー溶着の溶着ムラを低減できる。
<流路構造体の製造方法>
次に、流路構造体G1の製造方法について説明する。図12は、流路構造体G1の製造方法を示す工程図である。ここでは、流路構造体G1の製造方法を、図7に示すV−V線で切断した流路構造体G1の部分断面図によって説明する。先ず、図12の工程aにおいて、レーザー光を吸収する熱可塑性樹脂によって第1基板27を製造する。このような光吸収性を有する熱可塑性樹脂としては、例えばポリアミド(PA)等に、カーボンブラック、染料や顔料等の所定の着色材を混入したものを挙げることができる。
第1基板27の第1面271には、第1面271から突出する流路管SI1を形成し、流路管SI1内に入口流路(第3流路)H1を構成する貫通孔を形成する。第1基板27の第1対向面272には、流路(第1流路)PI1を構成する流路溝273を形成する。このとき、第1基板27の第1面271には、他の系統の流路管SI1、SA1と入口流路H1も形成し、第1基板27の第1対向面272には、他の系統の流路PI1、PA1を構成する流路溝273も形成する。第1基板27は、一体成型により製造してもよく、平板材を加工して製造してもよい。
続いて、図12の工程bにおいて、レーザー光を透過する熱可塑性樹脂によって第2基板28を製造する。このような光透過性を有する熱可塑性樹脂としては、例えばポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等を挙げることができる。なお、必要に応じてガラス繊維、炭素繊維等の補強繊維や着色材を添加したものを用いてもよい。第2基板28の第2面281には、第2面281から突出する6つの流路管DI1を形成し、各流路管DI1内を通り、第2面281から第2対向面282まで貫通する出口流路(第2流路)H2貫通孔を形成する。このとき、第2基板28には、他の系統の流路管DI1、DA1と出口流路H2貫通孔も形成する。第2基板28は、一体成型により製造してもよく、平板材を加工して製造してもよい。
次に、図12の工程cにおいて、第1基板27と第2基板28とを、それぞれの第1対向面272と第2対向面282同士が接触するように積層し、図12の工程dにおいて、第2基板28の第2面281側からレーザー光Lを照射させる。すると、レーザー光Lは、光透過性部材からなる第2基板28を透過し、光吸収性部材からなる第1基板27で吸収される。このとき、光吸収性部材に含まれる染料または顔料が発熱して樹脂が溶融し、そのとき発生した熱が光透過性部材に伝達される。その伝達された熱により光透過性部材も溶融し、溶着面Wが形成される。なお、レーザー光Lによる溶融は、溶着面Wとすべき部分に対してのみ行ってもよく、あるいは溶着面Wとすべき部分と流路とすべき部分とに対して一括して行ってもよい。
また、レーザー光Lの種類については、レーザー光を透過させる第2基板28の材料の吸収スペクトルや板厚(透過長)等によって適宜選択して用いる。具体的には例えばガラス:ネオジム3+レーザー、YAG:ネオジム3+レーザー、ルビーレーザ、ヘリウム−ネオンレーザ、クリプトンレーザ、アルゴンレーザ、Hレーザー、Nレーザー、半導体レーザー等のレーザー光などから選択できる。
このようなレーザー光Lによって、流路溝273の周囲を溶着することで、溶着面Wに囲まれた流路(第1流路)PI1が形成される。このとき、他の系統の流路PI1と流路PA1も同様に形成する。こうして、図10と図11に示す流路構造を有する流路構造体G1が形成される。上述したように第1実施形態の流路構造体G1では、流路管DI1の管面(外周)が各流路PI1の領域内に含まれ、流路管DA1の管面(外周)が各流路PA1の領域内に含まれるように構成される。このため、レーザー光Lを照射するときにその照射方向において各流路PI1を囲む溶着面Wが流路管DI1の管面に重ならず、各流路PA1を囲む溶着面Wが流路管DA1の管面に重ならないので、各溶着面Wの溶着ムラを効果的に低減できる。これにより、溶着面Wで囲まれて形成される流路管DI1の気密性を高めることができる。
なお、レーザー光Lの照射方向は、溶着面Wに対して斜行していてもよいが、図12の工程dのように溶着面Wに対して直交させることで、減衰や屈折の影響を考えることなく、レーザー光Lを溶着面W全体に渡って同じ厚みの光透過性部材を透過させることができる。また、溶着面Wに対するレーザー光Lの照射方向の角度は、溶着面W全体に渡って一定であることが好ましい。これによれば、レーザー光Lの照射角度を変える場合に比較して、レーザー溶着を行い易い。また、上述した光吸収性部材と光透過性部材は、レーザー光Lを100%吸収(または透過)するものに限られない。光吸収性部材と光透過性部材とはレーザー光Lの少なくとも1の波長に対して光吸収率(または光透過率)が互いに異なっていて、且つ光透過性部材の方が光吸収性部材よりも透過し易ければよい。このため、光吸収性部材と光透過性部材は、光吸収率(または光透過率)が100%より小さいものであってもよい。
また、図10に示す流路構造において、入口流路H1の流路管SI1は、流路PI1の入口流路H1として機能するものであるが、第1流路としての流路PI1の溶着面Wに対して第2流路としての出口流路H2の流路管DI1とは反対側に突出する第3流路の流路管として観念することもできる。このような第3流路は、溶着面Wに対して第2流路が形成される流路管とは反対側、すなわちレーザー光を照射する側とは反対側に突出して形成される。このため、溶着面Wで囲んで形成される第1流路の領域を超えるほど、第3流路の流路管の断面積を大きくしても、レーザー溶着には影響を与えることはなく、溶着ムラを低減できる。
このため、第1実施形態では、図11に示すようにZ方向正側からの平面視において、流路管SI1の外周を、溶着面Wで囲んで形成される第1流路としての流路PI1の領域を超える程度に大きくし、流路管SI1の入口流路H1の断面積を、出口流路H2の流路管DI1の断面積よりも大きくしている。流路管SI1の外周を大きくすることで、入口流路H1の断面積をより大きくすることができる。このように、入口流路H1の断面積を大きくすることで、流路PI1内の圧力損失を低減することができる。特に、図10に示すように流路PI1に連通する出口流路H2が複数ある場合には圧力損失が発生し易いので、これを低減できる効果は大きい。これにより、圧力損失を低減しつつ、レーザー溶着の溶着ムラを低減できる。
なお、第1基板27の第1面271に形成される流路管として、流路PI1に連通する第3流路を形成する他の流路管をさらに設けるようにしてもよい。この場合の第3の流路は、流路PI1の入口流路であってもよく、流路PI1の出口流路であってもよい。第3流路は、上述したように第2流路よりも断面積を大きくできるので、そのような第3流路を複数設ける場合には、第2流路の数に対して第3流路の数が多すぎると、第2流路の流れに影響を与える。このため、第3流路の数は第2流路の数よりも少ないことが好ましい。
また、図10に示す流路構造では、第1基板27側に流路PI1の流路溝273を形成した場合を例に挙げたが、これに限られるものではない。例えば図13に示すように、第2基板28側の第2対向面282に流路溝283aを形成するようにしてもよい。図13に示す流路構造は、第1基板27と第2基板28を積層し、流路溝283aの周囲をレーザー溶着により接合することによって形成される。これにより、第2基板28の流路溝283aの内壁と、流路溝283aに対向する第1基板27の壁面とで形成される空間によって、流路PI1が形成される。この場合においても、図13に示すように、平面視において流路管DI1の管面が流路PI1の領域内に含まれるようにすることで、流路PI1を囲む溶着面Wが流路管DI1の管面に重ならないようにすることができるので、レーザー溶着による溶着ムラを効果的に低減できる。
また、第1実施形態において、流路PI1の流れ方向に直交する断面において流路PI1を断面視したときの断面形状は、図9に示すように、第1基板27の第1面271側に、第1面271に近づくほど流路幅が狭くなるような曲面を形成している。流路PI1の断面形状はこれに限られるものでなく、矩形でもよいが、図9に示すような曲面を形成した方が、流路PI1の角部の淀みが発生し難くなる。また、流路PI1の流路断面は、図13に示すように、図9とは逆に、第2基板28の第2面281側に、第2面281に近づくほど流路幅が狭くなるような曲面を形成してもよい。
また、第1実施形態は、図10に示すように2つの基板(第1基板27と第2基板28)を接合した2層構造の流路構造体G1を例に挙げたが、これに限られるものではなく、3つの基板を接合した3層構造の流路構造体G1であってもよい。例えば図14に示す3層構造の流路構造体G1は、1つの光吸収性部材からなる第1基板27に接合され、レーザー光に対して透過性を有する2つの光透過性部材からなる第2基板28a、28bを備えている。第1基板27は、2つの第2基板28a、28bの間に挟まれて積層されている。
第1基板27は、第2基板28aに対向する対向面272aと、対向面272aの反対側の面であり、第2基板28bに対向する対向面272bとを備える。第2基板28aは、第1基板27に対向する対向面282aと、対向面282aの反対側の第2面281aとを備える。第2基板28bは、第1基板27に対向する対向面282bと、対向面282bの反対側の第1面281bとを備える。
流路PI1は、第1基板27内に設けられたフィルターFによって、第1流路室PI1aと第2流路室PI1bに区画されている。第1流路室PI1aは、第1基板27の対向面272aに形成された第1流路孔273cの内壁と、この第1流路孔273cに対向する第2基板28aの壁面とで囲まれた空間である。第2流路室PI1bは、第1基板27の対向面272bに形成された第2流路孔273dの内壁と、第2基板28bの対向面282bに形成された流路溝283bの内壁とで囲まれた空間である。
1つの入口流路H1の流路管SI1が、第2基板28bの第1面281bから突出して形成されており、6つの出口流路H2の流路管DI1が、第2基板28aの第2面281aから突出して形成されている。各出口流路H2はそれぞれ、流路PI1の第1流路室PI1aに連通している。入口流路H1は、流路PI1の第2流路室PI1bに連通している。このような流路構造によれば、入口流路H1から流入したインクは、流路PI1の第1流路室PI1aからフィルターFを介して流路PI1の第2流路室PI1bに流れて、各出口流路H2から流出する。フィルターFは、入口流路H1に供給されるインクから気泡や異物を捕集する。フィルターFの通過により気泡や異物が除去されたインクが各出口流路H2から流出する。
流路PI1の第1流路室PI1aは、第2基板28aの対向面282aと第1基板27の対向面272aとの間のレーザー溶着による溶着面Waに囲まれて形成される。流路PI1の第2流路室PI1bは、第2基板28bの対向面282bと第1基板27の対向面272bとの間のレーザー溶着による溶着面Wbに囲まれて形成される。
このように、図14に示す流路構造体G1は、光吸収性部材からなる第1基板27を、光透過性部材からなる2つの第2基板28a、28bの間に挟んで積層されるので、流路PI1は、第2基板28a、28bの両側からのレーザー溶着により形成することができる。具体的には、第1基板27を2つの第2基板28a、28bの間に挟んで積層した状態で、第2基板28aの第2面281aからレーザー光Laを照射し、第2基板28bの第1面281bからもレーザー光Lbを照射する。これにより、レーザー光Laにより溶着した溶着面Waによって流路PI1の第1流路室PI1aが形成され、レーザー光Lbにより溶着した溶着面Wbによって、流路PI1の第2流路室PI1bが形成される。
図14に示す流路構造体G1では、流路PI1は、第2基板28a、28bの両側からのレーザー溶着により形成するので、出口流路H2を形成する流路管DI1だけでなく、入口流路H1を形成する流路管SI1についても、Z方向からの平面視において各流路管DI1および流路管SI1の端面(外周)はすべて、流路PI1の領域内に含まれている。この点で、図14に示す構成では、流路管DI1だけでなく、流路管SI1も、第2流路を形成する流路管に相当する。このため、レーザー光La、Lbの両方の照射方向において、各流路管DI1および流路管SI1の端面が溶着面Wa、Wbに重ならないようにすることができる。これにより、溶着面Wa、Wbの溶着ムラを低減することができる。
ただし、これに限られるものではない。第2基板28a、28bのうち、一方と第1基板27との接合はレーザー溶着により行い、他方と第1基板27の接合は接着剤などで行うようにしてもよい。これによれば、第2基板28a、28bのうちレーザー溶着をしない方には、第1流路である流路PI1の領域を超える第3流路が形成される流路管を設けることができる。例えば図14に示す流路管SI1を、図11に示す流路管SI1と同様に、流路PI1の領域内を超える程度に大きくし、流路管SI1の入口流路H1の断面積を、出口流路H2の流路管DI1の断面積よりも大きくしてもよい。これにより、流路PI1内の圧力損失を低減することができる。このような流路管SI1は、第3流路を形成する流路管に相当する。この場合、出口流路H2の流路管DI1が形成される第2基板28aと第1基板27との接合はレーザー溶着により行うとともに、断面積の大きい流路管SI1が形成される第2基板28bと第1基板27の接合は接着剤などで行うことで、レーザー溶着による溶着ムラを低減することができる。
また、2つの第2基板28a、28bの間に介在するフィルターFが、これら第2基板28a、28bに挟まれる第1基板27に設けられているから、フィルターFを2つの第2基板28a、28bのいずれかに設ける場合に比較して、レーザー光の照射方向にフィルターFが重ならないように配置する必要がないため、フィルターFの配置や大きさなどの設計の自由度を高めることができる。
また、流路PI1の端部273a、273bの壁面には傾斜面を形成し、端部273a、273bの出口流路H2に、下流側に広がるテーパ状の傾斜面を有する拡径部284を形成することで、流路PI1の端部273a、273bにおけるインクの淀みを抑制でき、淀み部分に滞留する気泡の排出性を向上させることができる。図14に示すように端部273a、273bの壁面には複数の傾斜面を形成してこれらの傾斜面が接合されるように構成してもよく、1つの傾斜面を形成してもよい。拡径部284の傾斜面の各々は、端部273a、273bの壁面の傾斜面と溶着面Waによって接合されるように構成される。このような流路PI1の端部273a、273bと拡径部284の形状については、第2実施形態により詳細に説明する。
<第2実施形態における流路構造体>
次に、第2実施形態における流路構造体G1について説明する。第1実施形態では、流路管が突起する基板に対するレーザー溶着において、溶着ムラを低減することで、その溶着面で囲まれて形成される第1流路の気密性を高めることができる流路構造体G1について説明した。第2実施形態では、液体が流れる第1流路に、この第1流路から分岐する第2流路を備えた流路構造において、分岐点でのインクの淀みを抑制して気泡排出性を向上させることができる流路構造体G1について説明する。
図15は、第2実施形態における流路構造体G1の構成を説明するための断面図である。図15は、図10に対応しており、第2実施形態の構成を図7に示す流路構造体G1の4系統のインクIの流路PI1に適用したうちのV−V線で切断した1系統の部分断面図である。図16は、図15に示す流路構造体G1の部分を構成する第1基板27と第2基板28とを分解した場合の側面図および平面図であり、図11に対応している。図17は、図15に示すVI−VI線の断面斜視図であり、図9に対応する。
第2実施形態の流路構造体G1は、第1実施形態における4系統の液体の流路PI1の流路構造をさらに工夫したものである。このため、図15ないし図17のうち第1実施形態の流路構造体G1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図15に示す第2実施形態の流路構造が、図10に示す第1実施形態の流路構造と異なるのは、流路(第1流路)PI1の両端部273a、273bと、流路PI1と出口流路(第2流路)H2の各分岐点に、流路PI1の流れの方向に傾斜する、図17に示すような流路PI1側の傾斜面TP1と出口流路H2側のテーパ部TD1が形成されている点である。
図15に示す流路PI1には、図10に示す流路PI1と同様に、流路PI1の両端部273a、273bにそれぞれ1つずつ出口流路H2が配置され、流路PI1の両端部273a、273bの間に4つの出口流路H2が配置されているので、流路PI1と出口流路H2の分岐点は4つである。
流路PI1の両端部273a、273bの間には、出口流路H2とは反対側に入口流路H1が配置されているので、流路PI1内のインクの流れは以下のようになる。すなわち、流路PI1の一方の端部273aに向けて流れるインクは、端部273aの出口流路H2と、端部273aと入口流路H1との間の1つの出口流路H2にそれぞれ分岐して流出される。流路PI1の他方の端部273bに向けて流れるインクは、端部273bの出口流路H2と、端部273bと入口流路H1との間の3つの出口流路H2にそれぞれ分岐して流出される。第2実施形態では、これらの流路PI1の両端部273a、273bと、4つの出口流路H2の分岐点に、上述した流路PI1側の傾斜面TP1と、出口流路H2側のテーパ部TD1が形成されている。
以下、これら流路PI1側の傾斜面TP1と、出口流路H2側のテーパ部TD1の構成例について説明する。先ず、流路PI1側の傾斜面TP1について説明する。図15と図16に示すように、流路PI1の端部273a、273bの分岐点では、各端部273a、273bの壁面に、傾斜面TP1が形成される。
これに対して、流路PI1の両端部273a、273bの間の4つの分岐点においてはそれぞれ、流路PI1のうち出口流路H2に対向する部位から出口流路H2に向けて突出する突起部274が形成され、この突起部274の上流側の壁面に傾斜面TP1が形成される。傾斜面TP1は、流路PI1における流れの方向に対して、下流側に向けて突起部274の高さが高くなるように傾斜している。なお、突起部274の高さについての詳細は後述する。
各突起部274には、下流側の壁面にも、傾斜面TP2が形成されている。傾斜面TP2は、第1流路における流れの方向に対して、傾斜面TP1とは反対側に傾斜している。すなわち傾斜面TP2は、下流側に向けて突起部274の高さが低くなるように傾斜している。このように、突起部274の下流側の壁面にも、傾斜面TP2を形成することで、下流側に傾斜面TP2を形成しない場合に比較して、流路PI1のうち突起部274よりも下流側の淀みを抑制できる。
次に、出口流路H2側のテーパ部TD1について説明する。6つの出口流路H2にはそれぞれ、第2基板28の第2対向面282に開口する部位に拡径部284が形成され、この拡径部284に、流路PI1に向けて(Z方向負側に向けて)、流路PI1の下流側にテーパ状に広がるようにテーパ部TD1が形成される。拡径部284は、出口流路H2から流路PI1との間の流路であって、出口流路H2から流路PI1にかけて流路径が連続的に増加する部分である。図16と図17に示すように、テーパ部TD1は、拡径部284の内周面のうち流路PI1の下流側の部分であり、第1基板27との第2対向面282に向けて徐々に広がる円錐面を半分にした形状である。出口流路H2の拡径部284は、第2基板28のうち第1基板27との第2対向面282に開口しているから、出口流路H2に拡径部284を形成し易い。
なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、流路PI1の両端部273a、273bの間に入口流路H1が配置されるので、入口流路H1と一方の端部273aとの間(図15の右側)と、入口流路H1と他方の端部273bとの間(図15の左側)とでは、流路PI1内の流れの方向が逆になる。このため、傾斜面TP1とテーパ部TD1の配置位置も図15の左右で逆になっている。
傾斜面TP1とテーパ部TD1との関係は、以下のとおりである。図15の拡大図に示すように、突起部274の上流側の傾斜面TP1は、出口流路H2の拡径部284に対向する流路PI1の上面(流路溝273の底面273e)に配置されている。また、図15の断面視において突起部274の上流側の壁面の傾斜面TP1の傾斜に沿って延長させた仮想線yを描くと、この仮想線yは拡径部284のテーパ部TD1が形成されている領域(テーパ部TD1と第2対向面282との境界線を含む)を通る。これによれば、各分岐点において、流路PI1のインクの流れの一部を、突起部274の上流側の壁面を傾斜面TP2に沿って、拡径部284のテーパ部TD1へ導くことができる。これにより、流路PI1のインクの流れを出口流路H2の方へ流れ易くすることができるので、気泡の排気性を向上させる効果を高めることができる。
流路PI1の端部273a、273bの傾斜面TP1は、テーパ部TD1と同様の形状であり、テーパ部TD1とは上下逆に形成されている。すなわち、傾斜面TP1は、第2基板28との第1対向面272に向けて徐々に広がる円錐面を半分にした形状である。傾斜面TP1と第1対向面272との円弧状の境界線と、テーパ部TD1と第2対向面282との円弧状の境界線とが相互に合致するように、第1対向面272と第2対向面282とが接合されている。これにより、流路PI1の端部273a、273bにおいては、傾斜面TP1とテーパ部TD1が連結するので、流路PI1から端部273a、273bの出口流路H2に向かうインクの流れを、より滑らかすることができる。
このような第2実施形態の流路構造体G1の作用効果について、第2比較例と比較しながら説明する。図18は、傾斜面TP1とテーパ部TD1を形成しない第2比較例における流路構造体G1の部分断面を拡大した図であり、図19は、傾斜面TP1とテーパ部TD1を形成した第2実施形態における流路構造体G1の部分断面を拡大した図である。
図18の第2比較例に示すように、傾斜面TP1とテーパ部TD1を形成しない場合には、流路PI1の両端部273a、273bの分岐点のみならず、流路PI1の両端部273a、273bの間の分岐点においても、インクの淀みが発生し、気泡Buが滞留し易い。これは、流路PI1に沿ったインクの流れが、各分岐点において出口流路H2に引っ張られるため、各出口流路H2に対向する部分(図18の分岐点における流路PI1の上方部分)にインクの淀みが発生し易いからである。
これに対して、図19に示すように第2実施形態では、流路PI1の両端部273a、273bにおいて、流路PI1の流れの方向に傾斜する、傾斜面TP1とテーパ部TD1が形成されるから、傾斜面TP1とテーパ部TD1に沿った流れが形成される。さらに、流路PI1の端部273a、273bの間の分岐点においても、流路PI1の流れの方向に傾斜する、傾斜面TP1とテーパ部TD1が形成されるから、流路PI1を流れる液体の一部が、傾斜面TP1にテーパ部TD1へ向けて指向されて、傾斜面TP1とテーパ部TD1に沿った流れが形成される。これにより、流路PI1の両端部273a、273bのみならず、各分岐点においても、インクの淀みが抑制されて、気泡が各出口流路H2から排出され易くなる。これにより、各分岐点における気泡の排出性を向上させることができる。
しかも、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、流路管DI1はその管面(外周)を含めてすべて、平面視において流路PI1の領域内に含まれるように配置されているので、流路PI1を形成するレーザー溶着による溶着面Wの溶着ムラも低減することができる。このように第2実施形態では、各分岐点における気泡の排出性を向上させつつ、レーザー溶着による溶着ムラも低減することができる。
特に、流路PI1の端部273a、273bの壁面に、上述したような傾斜面TP1を形成することなく、流路管DI1の管面が各流路PI1の領域内に含まれるように構成しようとすれば、図18に示すように、流路PI1の両端部273a、273bをそれぞれ、流路管DI1の管面(外周)の分だけ、出口流路H2よりも下流側に広げる必要がある。このため、流路PI1の端部273a、273bにおいて出口流路H2よりも下流側に広がる部分に、インクの淀みが発生し易くなる。この点、流路PI1の端部273a、273bの壁面に上述したような傾斜面TP1を形成することで、このような流路PI1の端部273a、273bのインクの淀みを抑制することができるので、気泡排出性を効果的に向上させることができる。
また、図15の拡大図に示すように、各突起部274において、流路PI1の流れの方向に対する上流側の傾斜面TP1の傾斜角θP1は、流路PI1の流れの方向に対する下流側の傾斜面TP2の傾斜角θP2よりも大きいことが好ましい。このようにすることで、流路PI1を流れるインクを出口流路H2の方へ流れ易くすることができる。これにより、各分岐点の淀みの抑制効果を高めることができ、気泡が出口流路H2からより排出され易くなるので、各分岐点における気泡の排出性をより向上させることができる。この点を、各突起部274の下流側の傾斜面TP2から見れば、下流側の傾斜面TP2の傾斜角θP2は、上流側の傾斜面TP1の傾斜角θP1より小さくなるので、流路PI1のうち各突起部274よりも下流側に流れるインクの流れがより滑らかになり、突起部274よりも下流側に流れる液体の淀みを効果的に低減できる。
なお、第2実施形態では、流路PI1と出口流路H2との各分岐点に、傾斜面TP1とテーパ部TD1を両方形成した場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、傾斜面TP1とテーパ部TD1のいずれか一方のみを形成するようにしてもよい。これによっても、傾斜面TP1とテーパ部TD1を設けない場合に比較して、各分岐点の淀みを抑制できるので、気泡を排出し易くすることができる。
また、流路構造体G1の出口流路H2の拡径部284の形状は、図15に示すものに限られるものではない。例えば図20の変形例に示すように、出口流路H2の拡径部284において、流路PI1の下流側に広がるテーパ部TD1を第1テーパ部とすると、第1テーパ部TD1のみならず、その反対側、すなわち流路PI1の上流側に広がる第2テーパ部TD2を設けるようにしてもよい。すなわち、第2テーパ部TD2は、拡径部284の内周面のうち流路PI1の上流側の部分であり、第1基板27との第2対向面282に向けて徐々に広がる円錐面を半分にした形状である。
これによれば、出口流路H2の拡径部284の断面積を大きくできるので、流路PI1から出口流路H2へインクをより流れ易くすることができる。この場合、図20の拡大図に示すように、出口流路H2に対する第1テーパ部TD1の傾斜角θD1は、第2テーパ部TD2の傾斜角θD2よりも大きくなるようにすることが好ましい。これにより、第1テーパ部TD1の傾斜角θD1と第2テーパ部TD2の傾斜角θD2とを同じ傾斜角にする場合に比較して、出口流路H2の断面積が大きくなり過ぎないようにすることができるので、流速の低下を抑えることができる。このように、流速の低下を抑えつつ、流路PI1から出口流路H2へ、インクをより流れ易くすることができるので、気泡の排出性をより向上させることができる。
また、図15に示す流路構造体G1では、流路PI1の流れ方向に直交する断面における流路PI1の断面積を、各分岐点間において同じにした場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、突起部274より下流側の流路PI1の断面積が、突起部274より上流側の流路PI1の断面積よりも小さくなるようにしてもよい。これによれば、各分岐点間における流路PI1の断面積を、流路PI1の上流側から下流側にかけて減少させることができる。
流路PI1の上流側から下流側にかけて各分岐点間における流路PI1の断面積が同じ場合、流路PI1を流れるインクの流速は、突起部や分岐点を経るほど減少するので、気泡排出性も低下していく。そこで、上述したように各分岐点間における流路PI1の断面積を、流路PI1の上流側から下流側にかけて減少させることによって、突起部274より下流側の流速が低下することを抑制できる。これにより、突起部274より下流側の気泡の排出性を高めることができる。
この場合、例えば流路PI1の流れ方向に直交する断面における流路PI1の高さ若しくは流路PI1の幅を変えることで、流路PI1の断面積を変えることができる。具体的には例えば図21の他の変形例は、図15の流路構造体G1において、突起部274より下流側の流路PI1の高さが、突起部274より上流側の流路PI1の高さよりも低くなるようにしたものである。ここでの流路PI1の高さは、流路PI1における流れの方向に沿った断面における流路PI1を構成する空間の内壁面のうちZ方向正側の面(後述する図22に示す流路PI1の下面となる第2基板28の第2対向面282)からZ方向負側の面(後述する図22に示す流路PI1の上面となる流路溝273の底面273e)までの高さである。
図21の流路構造体G1では、流路PI1の上流側の入口流路H1と下流側の端部273aの間においては、突起部274より下流側の流路PI1の高さhp1が、突起部274より上流側の流路PI1の高さhp0よりも低くなるようにしている。また、流路PI1の上流側の入口流路H1と下流側の端部273bの間においては、上流側から下流側にかけて、各突起部274間の流路PI1の高さを、hp0、hp1、hp2、hp3(hp0>hp1>hp2>hp3)と徐々に低くなるようにしている。これによれば、流路PI1の上流側から下流側にかけて、各分岐点間における流路PI1の断面積を減少させることができる。これにより、各突起部274より下流側の流速が低下することを抑制できるので、各突起部274より下流側の気泡の排出性を高めることができる。
また、図21の流路構造体G1においても、第1実施形態と同様に、溶着面で囲まれる流路PI1の領域内に、出口流路H2の流路管DI1の管面(外周)が含まれるようにしている。これにより、第1実施形態と同様に、流路PI1を囲む溶着面が、流路管DI1の管面に重ならないようにすることができるので、レーザー溶着により形成される溶着面の溶着ムラを効果的に低減できる。
しかも、図21の流路構造体G1のように、流路PI1の断面積を流路PI1の高さで調整する場合には、流路PI1の断面積を流路PI1の幅で調整する場合に比して、溶着面で囲まれる流路PI1の領域が狭くなることがない。もし、流路PI1の幅を調整する場合には、流路PI1を囲む溶着面が流路管DI1の管面に重ならないようにするために、流路PI1の幅に合わせて流路管DI1の大きさまで調整する必要が生じ得る。この点、図21の流路構造体G1によれば、流路PI1の幅を変えずに、流路PI1の高さだけで調整できるので、流路PI1を囲む溶着面が流路管DI1の管面に重ならないようにするために、流路PI1の幅に合わせて流路管DI1の大きさまで調整しなくて済む点で、効果が大きい。
なお、流路PI1の断面積を流路PI1の高さで調整する場合には、図21に示すように、突起部274の上流側の傾斜面TP1の傾きを、流路PI1の高さに応じて変えるようにしてもよい。図21では、流路PI1の高さが低くなるほど、突起部274の上流側の傾斜面TP1の傾きを小さくしている。これにより、流路PI1の高さが変わっても、例えば突起部274の上流側の傾斜面TP1の傾斜に沿って延長させた仮想線y(図15の拡大図参照)が、常に拡径部284のテーパ部TD1を通るように調整できる。
また、図21の流路構造体G1では、各分岐点に配置する傾斜面TP1を、突起部274の上流側に形成した場合を例に挙げているが、これに限られるものではない。図21のように各分岐点間で流路PI1の高さを調整する場合には、流路PI1の高さが変わる各分岐点の部分に段差が形成されるので、この段差の上流側の壁面に傾斜面TP1を形成するようにしてもよい。
さらに、図21の流路構造体G1では、各分岐点間の流路PI1の高さを調整する場合を例に挙げて説明したが、突起部274の高さを調整するようにしてもよい。これによっても、各突起部274より下流側の流速が低下することを抑制できる。ここでの突起部274の高さは、流路PI1における流れの方向に沿った断面における突起部274の形成面(図22に示す流路PI1の上面となる流路溝273の底面273e)から突起部274の頂部274aまでの高さである。
例えば図22に示す流路構造体G1は、図15に示す流路構造体G1の突起部274の高さを変えたものである。具体的には、流路PI1の上流側の入口流路H1から下流側の端部273bまでの各突起部274の高さがht1、ht2、ht3(ht1<ht2<ht3)と徐々に高くなるようにしている。突起部274の高さを高くするほど、分岐部における流路PI1の断面積を狭くすることができるので、流路PI1の上流側から下流側にかけて、各分岐点における流路PI1の断面積が徐々に狭くなるように調整できる。これにより、各突起部274より下流側の流速が低下することを抑制できるので、各突起部274より下流側の気泡の排出性を高めることができる。
ところで、流路PI1を流れるインクの流速については、上述したように流路PI1の上流側から下流側にかけて、各分岐点を経るごとに流速が低下する。このため、突起部274の高さは、流路PI1における各分岐点間の流速に応じて調整することが好ましい。この場合、突起部274の高さを高くするほど、流速の低下を抑えることができるのでその分、気泡の排気性を高めることができる。ところが、突起部274の高さを高くし過ぎると、流路PI1内のインクの流れが接触する突起部274の壁面(傾斜面TP1)の面積が大きくなるので、圧力損失が上昇してしまい、かえって流速が低下してしまう。このため、圧力損失の上昇を抑えるには、突起部274の高さが大きくなり過ぎないように調整することが好ましい。
そこで、以下では、このような気泡の排気性を高める効果と、圧力損失の上昇を抑制する効果とを両立させるための、各分岐点における突起部274の高さの好ましい範囲について説明する。先ず、流路PI1内において各分岐点間の流速が同じであることを前提とする。流路PI1内の上流側から下流側までの分岐点の数をN(1≦N)個とすると、各分岐点間の支流の数は、N+1個であり、上流側からM番目(1≦M≦N)の分岐点での流速V(M)は、下記数式(1)で表すことができ、M番目より下流側のM+1番目の分岐点での流速の総和V(M+1)は、下記数式(2)で表すことができる。
V(M)=[1/(N+1)]×[(N+1)−(M−1)]=(N−M+2)/(N+1)
・・・(1)
V(M+1)=[1/(N+1)]×[(N+1)−M]=(N−M+1)/(N+1)
・・・(2)
流路PI1内の路PI1の高さhpに対する突起部274の高さの割合Xは、下記数式(3)で表すことができる。
1−V(M)≦X≦1−V(M+1) ・・・(3)
上記数式(3)に、上記数式(1)、(2)を代入すると、突起部274の高さの割合Xは、下記数式(4)で表すことができる。
1−(N−M+2)/(N+1)≦X≦1−(N−M+1)/(N+1) ・・・(4)
各分岐点における突起部274の高さの好ましい範囲は、上記数式(4)により算出できる。例えば図22に示す流路構造体G1において、流路PI1の上流側の入口流路H1から下流側の端部273bまでの各突起部274の高さの好ましい範囲を算出すると、以下のようになる。先ず、流路PI1の上流側の入口流路H1から下流側の端部273bまでの分岐点は3個あるため、N=3であるから、各分岐点間の支流は、N+1=4個である。
そこで、流路PI1の高さhpに対する突起部274の高さht1、ht2、ht3の割合X1、X2、X3はそれぞれ、上記(4)式にN=3を代入し、M=1、2、3をそれぞれ代入した以下の数式(5)、(6)、(7)のとおりとなる。
0≦X1≦1/4 ・・・(5)
1/4≦X2≦2/4 ・・・(6)
2/4≦X1≦3/4 ・・・(7)
これによれば、流路PI1の高さhpに対して、上記数式(5)、(6)、(7)の範囲内で各突起部274の高さht1、ht2、ht3を設定する。このように、上記数式(4)の範囲内で、流路PI1の高さhpに対する各突起部274の高さを設定することにより、気泡の排気性を高める効果と、圧力損失の上昇を抑制する効果とを両立させることができる。
なお、流路PI1の断面形状によっては、各突起部274の高さを同じにしても流路PI1の断面積が小さすぎたり、大きすぎたりすることがある。このため、各突起部274の高さは、応じて上記数式(4)の範囲内で設定することが好ましい。図23は、流路PI1における流れの方向に沿った断面における流路PI1の断面形状と、突起部274の高さとの関係を示している。図23の左側は、流路PI1の断面形状が矩形の場合であり、図23の中央は、流路PI1の断面形状が上方に凸の形状(上方に向けて流路幅が狭くなる部分を有する形状)の場合である。図23の右側は、流路PI1の断面形状が下方に凸の形状(下方に向けて流路幅が狭くなる部分を有する形状)の場合である。
例えば流路PI1の断面形状が下方に凸の形状の場合(図23の右側)には、流路PI1の幅が上面側よりも下面側の方が狭くなるので、流路PI1の断面形状が矩形の場合(図23の左側)と同じ高さの突起部274を形成しても、流路PI1の断面積が小さくなってしまう。このため、図23に示すように、流路PI1の断面形状が下方に凸の形状の場合(図23の右側)には、流路PI1の断面形状が矩形の場合(図23の左側)よりも、突起部274の高さを低くすることで、流路PI1の断面形状が矩形の場合(図23の左側)と同様の流路PI1の断面積を確保することができる。
なお、第2実施形態では、流路PI1を構成する流路溝273を、第1基板27のみに形成した場合を例に挙げたが、これに限られるものではなく、第2基板28のみに形成してもよく、また流路PI1を構成する流路溝を第1基板27と第2基板28の両方に形成し、各流路溝が対向するように第1基板27と第2基板28を対向させて積層して接合するようにしてもよい。ただし、流路PI1を構成する流路溝273を、第1基板27と第2基板28のいずれか一方のみに形成する場合には、第1基板27と第2基板28の両方に形成する場合に比較して、第1基板27と第2基板28の流路溝を対向させて積層する際に、第1基板27と第2基板28とのずれが生じても、所期の第1流路を形成することができる。
以上の各形態で例示した印刷装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
100…印刷装置、10…制御装置、12…搬送機構、14…液体噴射ヘッド、142…筐体、16…ポンプ、18…液体容器、23…取付孔、27…第1基板(光吸収性部材)、272a、272b…対向面、273…流路溝、273a、273b…端部、273e…底面、274…突起部、274a 頂部、28…第2基板(光透過性部材)、282b…第2対向面、283a…流路溝、283b…流路溝、284…拡径部、32…流路形成板、322…開口部、52…フィルター部、526…フィルター、54…連通部材、542…貫通孔、56…基礎配線基板、58…固定板、582…開口部、60…液体分配部、60A…供給口、70…噴射ヘッド部、71…流路形成基板、712…開口部、714…供給流路、716…連通流路、72…圧力室形成基板、722…開口部、73…振動板、732…圧電素子、74…ノズル板、75…コンプライアンス基板、752…封止板、754…支持体、76…保護板、762…スリット、77…支持体、771…供給口、772…凹部、774…開口部、775…蓋部、776…スリット、78…個別配線基板、hp、hp0、hp1、hp2、hp3…流路の高さ(第1流路の高さ)、ht1、ht2、ht3…突起部の高さ、y…仮想線、A1、A2…空気、Bu…気泡、C…圧力室、DI1、DA1…流路管、DI2…流路管、F…フィルター、G1…流路構造体、G2…流路制御部、G3…液体噴射部、H1…入口流路、H2…各出口流路、H2…出口流路、I…インク、L…レーザー光、La、Lb…レーザー光、L’La’…レーザー光、M…印刷媒体、N…ノズル、PI1、PA1…流路、R…液体貯留室、SI1、SA1…流路管、SI3…供給口、TD1…第1テーパ部、TD2…第2テーパ部、TP1…第1傾斜面、TP2…第2傾斜面、U2…流路制御ユニット、U3…液体噴射ユニット、W、W’…溶着面、Wa、Wb…溶着面、θD1、θD2…傾斜角、θP1、θP2…傾斜角。



Claims (25)

  1. 液体の流路を形成する流路構造体であって、
    レーザー光に対して吸収性を有する光吸収性部材と、
    前記光吸収性部材に接合され、前記レーザー光に対して透過性を有する光透過性部材と、
    前記光吸収性部材と前記光透過性部材とが溶着された溶着面で囲まれる第1流路と、
    前記光透過性部材のうち前記溶着面の反対側の表面から突出する流路管に形成され、前記第1流路と連通する第2流路と、を備え、
    前記溶着面に直交する方向からの平面視において、前記流路管が前記第1流路の領域内に含まれる、
    流路構造体。
  2. 前記第2流路は、前記第1流路に向けて、前記第1流路の下流側へテーパ状に広がる第1テーパ部を有する拡径部を備える、
    請求項1の流路構造体。
  3. 前記第2流路の拡径部はさらに、前記第1流路に向けて、前記第1流路の上流側へテーパ状に広がる第2テーパ部を有し、
    前記第1テーパ部の前記第2流路に対する傾斜角は、前記第2テーパ部の前記第2流路に対する傾斜角よりも大きい、
    請求項2の流路構造体。
  4. 前記第2流路の拡径部の端部は、前記光透過性部材のうち前記光吸収性部材との対向面に開口している、
    請求項2または請求項3の流路構造体。
  5. 前記第1流路に連通する入口流路から下流側にかけて、前記第2流路が複数形成され、
    前記複数の第2流路は、前記第1流路の下流側の端部に配置される流路と、前記第1流路の下流側の端部と前記入口流路との間に配置される流路を含み、
    前記光吸収性部材には、前記複数の第2流路のうち前記第1流路の下流側の端部と前記入口流路との間に配置される流路に対向する位置に、その流路の拡径部に向けて突出する突起部が形成されている、
    請求項2から請求項4の何れかの流路構造体。
  6. 前記第1流路は、一方の端部から他方の端部に渡って形成され、
    前記入口流路は、前記一方の端部と前記他方の端部の間に配置されており、
    前記第2流路は、前記一方の端部と前記他方の端部の両方に配置されている、
    請求項2から請求項5の何れかの流路構造体。
  7. 前記溶着面に対して前記第2流路が形成される流路管とは反対側に突出する流路管に形成され、前記第1流路と連通する第3流路を備え、
    前記第3流路を形成する流路管の数は、前記第2流路を形成する流路管の数よりも少なく、
    前記第3流路の断面積は、前記第2流路の断面積よりも大きい、
    請求項1から請求項6の何れかの流路構造体。
  8. 前記第3流路を形成する流路管の外周は、前記溶着面に直交する方向からの平面視において前記第1流路の領域を超える大きさである、
    請求項7の流路構造体。
  9. 前記光吸収性部材に接合され、前記レーザー光に対して透過性を有する2つの光透過性部材を備え、
    前記光吸収性部材は、前記2つの光透過性部材の間に挟まれて積層され、
    前記2つの光透過性部材のうちの一方または両方に前記第2流路の流路管が形成されている、
    請求項7または請求項8の流路構造体。
  10. 前記2つの光透過性部材のうちの一方に前記第2流路の流路管が形成され、他方に前記第3流路の流路管が形成されている、
    請求項9の流路構造体。
  11. 前記光吸収性部材には、前記2つの光透過性部材の間に介在するフィルターが設けられている、
    請求項9または請求項10の流路構造体。
  12. 請求項1から請求項11の何れかの流路構造体と、
    前記流路構造体からの液体を、駆動素子の駆動により噴射するノズルと、を具備する、
    液体噴射ヘッド。
  13. 媒体を搬送する搬送機構と、
    前記媒体に液体を噴射する、請求項12の液体噴射ヘッドと、を具備する、
    液体噴射装置。
  14. 液体の流路を形成する流路構造体の製造方法であって、
    レーザー光に対して吸収性を有する光吸収性部材と、前記レーザー光に対して透過性を有する光透過性部材とのいずれか一方または両方の対向面に、第1流路の流路溝を形成する工程と、
    前記光透過性部材において、前記光吸収性部材との対向面の反対側の表面から突出する流路管を形成するとともに、前記流路管内に前記第1流路と連通する第2流路を形成する工程と、
    前記光吸収性部材と前記光透過性部材とを、それぞれの対向面同士が接触するように積層する工程と、
    前記レーザー光を前記光透過性部材に向けて照射して、その照射方向において前記流路管と重なることなく前記流路溝を囲む溶着面を形成することによって前記第1流路を形成する工程と、を備える、
    流路構造体の製造方法。
  15. 前記第2流路は、前記第1流路に向けて、前記第1流路の下流側へテーパ状に広がる第1テーパ部を有する拡径部を備える、
    請求項14の流路構造体の製造方法。
  16. 前記第2流路の拡径部はさらに、前記第1流路に向けて、前記第1流路の上流側へテーパ状に広がる第2テーパ部を有し、
    前記第1テーパ部の前記第2流路に対する傾斜角は、前記第2テーパ部の前記第2流路に対する傾斜角よりも大きい、
    請求項15の流路構造体の製造方法。
  17. 前記第2流路の拡径部の端部は、前記光透過性部材のうち前記光吸収性部材との対向面に開口している、
    請求項15または請求項16の流路構造体の製造方法。
  18. 前記第1流路に連通する入口流路から下流側にかけて、前記第2流路が複数形成され、
    前記複数の第2流路は、前記第1流路の下流側の端部に配置される流路と、前記第1流路の下流側の端部と前記入口流路との間に配置される流路を含み、
    前記光吸収性部材には、前記複数の第2流路のうち前記第1流路の下流側の端部と前記入口流路との間に配置される流路に対向する位置に、その流路の拡径部に向けて突出する突起部が形成されている、
    請求項15から請求項17の何れかの流路構造体の製造方法。
  19. 前記第1流路は、一方の端部から他方の端部に渡って形成され、
    前記入口流路は、前記一方の端部と前記他方の端部の間に配置されており、
    前記第2流路は、前記一方の端部と前記他方の端部の両方に配置されている、
    請求項15から請求項18の何れかの流路構造体の製造方法。
  20. 前記溶着面に対して前記第2流路が形成される流路管とは反対側に突出する流路管に形成され、前記第1流路と連通する第3流路を備え、
    前記第3流路を形成する流路管の数は、前記第2流路を形成する流路管の数よりも少なく、
    前記第3流路の断面積は、前記第2流路の断面積よりも大きい、
    請求項14から請求項19の何れかの流路構造体の製造方法。
  21. 前記第3流路を形成する流路管の外周は、前記溶着面に直交する方向からの平面視において前記第1流路の領域を超える大きさである、
    請求項20の流路構造体の製造方法。
  22. 前記光吸収性部材に接合され、前記レーザー光に対して透過性を有する2つの光透過性部材を備え、
    前記光吸収性部材は、前記2つの光透過性部材の間に挟まれて積層され、
    前記2つの光透過性部材のうちの一方または両方に前記第2流路の流路管が形成されている、
    請求項20または請求項21の流路構造体の製造方法。
  23. 前記2つの光透過性部材のうちの一方に前記第2流路の流路管が形成され、他方に前記第3流路の流路管が形成されている、
    請求項22の流路構造体の製造方法。
  24. 前記光吸収性部材には、前記2つの光透過性部材の間に介在するフィルターが設けられている、
    請求項22または請求項23の流路構造体の製造方法。
  25. 前記溶着面に対する前記レーザー光の照射方向の角度が一定である、
    請求項14から請求項24の何れかの流路構造体の製造方法。
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