JP2017024120A - ドリルの余寿命推定装置及び余寿命推定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1では、ドリルによる穴加工時の主軸モータの負荷電流を測定して、ドリル一回転毎のピーク値とボトム値の変化量の分散を計算し、所定のしきい値を3回連続して超えたピークが出現したとき、直ちに加工を停止する技術が示されている。特許文献2では、加工中または加工直後におけるドリルの刃部の温度から、加工によるドリルの刃部の温度上昇量を算出し、寿命予測のための基準値を比較してドリルの余寿命を予測する技術が示されている。
特許文献2は、ドリル刃部の温度測定を加工前と加工後に行っており、この測定時間のため加工時間が長くなってしまう。また、ドリル加工では高圧スルークーラントを使用することも多く、クーラントが加工室内でミスト状に充満し、非接触の温度計測が行えないケースもでてくる。
前記ドリルへの前記スルークーラントの流量を検出する流量検出手段と、
前記穴加工が同一のドリル及び加工条件か否かを判断する加工条件判断手段と、
前記加工条件判断手段により前記穴加工が同一のドリル及び加工条件と判断された際に、前記流量検出手段によって検出される前記スルークーラントの流量を加工穴ごとに記録する記憶手段と、
前記記憶手段に記録された前記加工穴ごとの前記スルークーラントの流量から、前記流量と穴数との関係を推定する流量推定手段と、
前記流量推定手段で推定した前記流量と穴数との関係から、前記記憶手段に予め設定した前記スルークーラントの流量の下限値に対応する前記穴数の限界値を導き出し、前記限界値を寿命として以後に加工可能な前記穴数を余寿命として算出する余寿命算出手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、前記流量推定手段は、各前記加工穴における前記スルークーラントの流量の時間変化を表す近似式を用いて各前記加工穴の加工時間内における前記スルークーラントの流量の最小値をそれぞれ算出し、各前記最小値を用いて前記流量と前記穴数との関係を推定することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、前記寿命となる前記限界値と、前記余寿命となる前記穴数とを表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、前記表示手段には、前記流量検出手段で検出した前記スルークーラントの流量と、前記流量推定手段で推定した前記流量と前記穴数との関係と、前記スルークーラントの流量の下限値とをさらに表示することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、スルークーラントを吐出しながらドリルによる複数の穴加工を行う工作機械において、前記穴加工中に前記ドリルの余寿命を推定する方法であって、
前記ドリルへの前記スルークーラントの流量を検出する流量検出ステップと、
前記穴加工が同一のドリル及び加工条件か否かを判断する加工条件判断ステップと、
前記穴加工が同一のドリル及び加工条件と判断された際に、検出された前記スルークーラントの流量を加工穴ごとに記憶手段に記録する記録ステップと、
前記記憶手段に記録された前記加工穴ごとの前記スルークーラントの流量から、前記流量と穴数との関係を推定する流量推定ステップと、
推定した前記流量と前記穴数との関係から、前記記憶手段に予め設定した前記スルークーラントの流量の下限値に対応する前記穴数の限界値を導き出し、前記限界値を寿命として以後に加工可能な穴数を余寿命として算出する余寿命算出ステップと、を実行することを特徴とする。
図1は、工作機械の一例を示すブロック構成図である。工作機械の主軸ハウジング1には、主軸モータ2で回転可能な主軸6が備えられ、主軸6の先端にはドリル3が取り付けられる。テーブル5の上にはワーク4が固定され、テーブル5を移動させることでドリル3とワーク4とを相対的に移動させてワーク4の加工が行われる。
一般的なドリル加工では、ドリル3に開けられた穴からクーラントを吐出して、穴から切粉を強制的に排出することで加工不具合を防ぐスルークーラントが使用される。特に、被削材が難削材の場合は、切粉の噛みによる加工不具合を防ぐため、より確実に切粉を切断して穴から排出できる高圧タイプのスルークーラントユニットが使用される。ここでは高圧スルークーラントユニット7が設けられ、高圧スルークーラントユニット7は、途中に流量センサ8と回転継手とを介して主軸6と接続されている。主軸6及びドリル3には、スルークーラントが流れる穴が設けられ、ドリル3の先端の吐出口から高圧のクーラントが吐出される。
NC装置11において、NCプログラム12は、プログラム解釈部13で実行処理が行われて機械制御命令が解釈され、主軸6やテーブル5の送り軸を制御する送り軸制御部15に対する目標位置指令および送り速度指令を関数発生部14に受け渡すとともに、主軸6を制御する主軸制御部16に対して回転速度の指令を出力する。
17は、流量検出手段としての流量検出部で、この流量検出部17には、流量センサ8からの検出信号が入力されて瞬時流量に変換される。
18は、加工条件判断手段としての加工条件判断部で、この加工条件判断部18は、関数発生部14から得られるNCプログラム12に複数穴のドリリングサイクルの指令が記述されているか否かの判断を行い、複数穴のドリリングサイクルの指令がある場合、穴加工時に流量検出部17からの流量とドリリングサイクルにおける各加工穴ごとに記録するよう記憶手段としての記憶部19へ指令が出される。
21は、余寿命算出手段としての余寿命算出部で、この余寿命算出部21では、予め設定しておいた加工不具合が発生するクーラント流量の下限値と、流量推定部20で推測した流量と穴数との関係から不具合が生じる穴数の限界値(ドリル3の寿命)を推定し、使用したドリル3が以後穿孔可能な穴数(ドリル3の余寿命)を算出する。また、余寿命算出部21は、クーラント流量、推測した穴数と流量との関係、加工不具合が発生するクーラント流量の下限値、ドリル余寿命などを表示するドリルモニタ画面を作成して、NCプログラム12等を表示するための表示画面22に表示する。
ドリルの寿命は開けた穴数と相関があると考えられ、寿命を推測するためには、穴数と相関のある情報が必要となる。スルークーラントの圧力は、穴数が増しても変化はないが、主軸負荷は、超硬製ドリルの場合、回転速度が高いこともあって穴数が増すにつれ主軸負荷が増加する。一方、ハイス製ドリルの場合、主軸負荷に変化は見られない。
スルークーラントの流量は、加工条件によらず穴数が増すに従って流量が減少していく。この理由は、ドリルのクーラント吐出穴に被削材が溶着し、吐出が妨げられるためと考えられる。スルークーラントの流量が十分でなければ、たとえ切れ刃の損傷がなくても、加工不具合を生じる可能性が高まるため、実質的なドリルの寿命とみなすことができる。
まず、S11では、ドリリングサイクルかどうかを判断する(加工条件判断ステップ)。ここで、ドリリングサイクルのプログラム例を図7に示す。プログラムは、G81などのドリリングサイクルであることを示すコードで始まり送り速度と穴深さとが記述してある行と、次行の規則的な穴位置を示すBHCなどで始まる2行とから成る。本プログラム例は、円上に同じ加工条件で8点穴を開けるプログラムとなっている。NC装置11は、ドリリングサイクルを示すコードからドリル加工を実行しているかどうかを認知することができる。また、ドリリングサイクル中は同一の加工条件とみなすことができる。
S11の判別でドリリングサイクルであると判断されれば、次のS12では、ドリリングサイクル中の1つの穴加工中の流量を計測する(流量検出ステップ)。これにより、同じ条件のドリル加工の流量を計測することになる。
次に、S14では、S13で記録した結果が2点以上の場合、流量と穴数とのデータから最小二乗法などの手法を用いて、図4のCのように流量と穴数との関係を示す近似直線を算出する(流量推定ステップ)。
次に、S15では、S14で求めた近似直線と、予め設定した流量の下限値との交点から、ドリルの寿命を算出し、算出された寿命に対して以後加工可能な穴数を残りの寿命として算出する(余寿命算出ステップ)。
そして、S16では、ドリル余寿命を表示画面22に表示する。ここまでのS11〜S16は、S17でドリリングサイクルが終了と判別されるまで繰り返し行われる。
また、ドリルの余寿命を予測するためのスルークーラント流量と穴数との関係は直線ではなく、曲線で近似してもよい。さらに、図8で示したドリルモニタ画面に、スルークーラントの流量だけでなく、スルークーラントの圧力や主軸負荷を併せて表示してもよい。
Claims (5)
- スルークーラントを吐出しながらドリルによる複数の穴加工を行う工作機械において、前記穴加工中に前記ドリルの余寿命を推定する装置であって、
前記ドリルへの前記スルークーラントの流量を検出する流量検出手段と、
前記穴加工が同一のドリル及び加工条件か否かを判断する加工条件判断手段と、
前記加工条件判断手段により前記穴加工が同一のドリル及び加工条件と判断された際に、前記流量検出手段によって検出される前記スルークーラントの流量を加工穴ごとに記録する記憶手段と、
前記記憶手段に記録された前記加工穴ごとの前記スルークーラントの流量から、前記流量と穴数との関係を推定する流量推定手段と、
前記流量推定手段で推定した前記流量と穴数との関係から、前記記憶手段に予め設定した前記スルークーラントの流量の下限値に対応する前記穴数の限界値を導き出し、前記限界値を寿命として以後に加工可能な前記穴数を余寿命として算出する余寿命算出手段と、
を備えることを特徴とするドリルの余寿命推定装置。 - 前記流量推定手段は、各前記加工穴における前記スルークーラントの流量の時間変化を表す近似式を用いて各前記加工穴の加工時間内における前記スルークーラントの流量の最小値をそれぞれ算出し、各前記最小値を用いて前記流量と前記穴数との関係を推定することを特徴とする請求項1に記載のドリルの余寿命推定装置。
- 前記寿命となる前記限界値と、前記余寿命となる前記穴数とを表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のドリルの余寿命推定装置。
- 前記表示手段には、前記流量検出手段で検出した前記スルークーラントの流量と、前記流量推定手段で推定した前記流量と前記穴数との関係と、前記スルークーラントの流量の下限値とをさらに表示することを特徴とする請求項3に記載のドリルの余寿命推定装置。
- スルークーラントを吐出しながらドリルによる複数の穴加工を行う工作機械において、前記穴加工中に前記ドリルの余寿命を推定する方法であって、
前記ドリルへの前記スルークーラントの流量を検出する流量検出ステップと、
前記穴加工が同一のドリル及び加工条件か否かを判断する加工条件判断ステップと、
前記穴加工が同一のドリル及び加工条件と判断された際に、検出された前記スルークーラントの流量を加工穴ごとに記憶手段に記録する記録ステップと、
前記記憶手段に記録された前記加工穴ごとの前記スルークーラントの流量から、前記流量と穴数との関係を推定する流量推定ステップと、
推定した前記流量と前記穴数との関係から、前記記憶手段に予め設定した前記スルークーラントの流量の下限値に対応する前記穴数の限界値を導き出し、前記限界値を寿命として以後に加工可能な穴数を余寿命として算出する余寿命算出ステップと、
を実行することを特徴とするドリルの余寿命推定方法。
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