JP2017023056A - 農業用蓄熱システムおよび農業用環境制御システム - Google Patents

農業用蓄熱システムおよび農業用環境制御システム Download PDF

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康介 白鳥
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Abstract

【課題】炭酸ガスの供給と、その廃熱の利用とに適した農業用蓄熱システムを提供する。【解決手段】農業用環境制御システム1は、炭酸ガスを供給するための燃焼器31と、燃焼ガスの温度を調節するための温度調節装置2とを備える。温度調節装置2のための熱源装置4は、蓄熱システム43を備える。蓄熱システム43は、複数の蓄熱タンク44a、44bを備える。さらに、蓄熱システム43は、複数の蓄熱タンク44a、44bの運転モードを切り替えるための切替機構としての4方弁45a、45bを備える。複数の蓄熱タンク44a、44bは、直列接続され、蓄熱する。切替機構は、蓄熱タンク44aを熱源装置4の中に位置づけて蓄熱させ、蓄熱タンク44bを熱交換器46およびポンプ48を含む独立した閉回路に位置づけて放熱させる運転モードを提供する。これにより、過剰な蓄熱が回避される。【選択図】図1

Description

この明細書における開示は、農業用蓄熱システムおよび農業用環境制御システムに関する。
特許文献1は、農業用の温室内に炭酸ガスを供給する炭酸ガス発生機を開示する。特許文献2は、炭酸ガスを供給する燃焼ガスから熱を回収する装置を開示する。この装置によると、燃焼ガスの温度が、植物への供給に適した温度に調節される。特許文献3は、吸着式冷凍機の一例を開示する。
特開2004−135639号公報 特開2004−344154号公報 特開2013−156002号公報
従来技術では、炭酸ガスが必要とされる時間に回収された熱を、炭酸ガスが必要とされない時間において利用することができない。このような要求に応えるために、熱媒体を貯め、保温する蓄熱槽を利用することが考えられる。一方で、蓄熱槽が採用される場合、炭酸ガスが必要とされる時間にわたって冷たい熱媒体を供給するために、大きい容量の蓄熱槽が必要となる。この場合、炭酸ガスが必要とされない時間において、蓄熱槽の中の熱を放熱し、炭酸ガスが必要とされる時間のために、大量の冷水を蓄熱槽に貯める必要がある。
上述の観点において、または言及されていない他の観点において、農業用蓄熱システムにはさらなる改良が求められている。
この明細書における開示の目的は、炭酸ガスの温度調節と、廃熱の利用との両方に利用可能な農業用蓄熱システムおよび農業用環境制御システムを提供することである。
この明細書における開示の目的は、炭酸ガスの温度を調節する場面と、廃熱を利用する場面との両方に適した容量を提供できる農業用蓄熱システムおよび農業用環境制御システムを提供することである。
この明細書における開示の目的は、低温の熱媒体を利用する場面と、高温の熱媒体を利用する場面との両方に適した容量を提供できる農業用蓄熱システムおよび農業用環境制御システムを提供することである。
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を示すものであって、技術的範囲を限定するものではない。
この開示は、農業用蓄熱システムを提供する。農業用蓄熱システムは、炭酸ガスを供給するための燃焼ガスの温度を調節する熱交換器(27、28)のために低温の低温熱媒体を供給するとともに、熱交換器によって回収された熱によって加熱された高温の高温熱媒体を受け入れ、溜めることができる複数の蓄熱タンク(44a、44b、344、444)と、複数の蓄熱タンクから低温熱媒体を供給するとともに複数の蓄熱タンクに高温熱媒体を受け入れる第1運転モードと、複数の蓄熱タンクのうちの一部の蓄熱タンクを熱交換器を含む熱媒体の系統から独立させた第2運転モードとに切り替え可能な切替機構(45a、45b)とを備えることを特徴とする。
第1運転モードにおいては、複数の蓄熱タンクが低温熱媒体の供給と、高温熱媒体の受け入れとに利用される。これにより、大容量の蓄熱システムが提供される。第2運転モードでは、複数の蓄熱タンクのうちの一部の蓄熱タンクが、温度調節のための熱交換器から熱的に独立させられる。よって、独立させられた蓄熱タンクへの蓄熱が回避される。これにより、複数の蓄熱タンクへの過剰な蓄熱が回避される。
この開示は、農業用環境制御システムを提供する。農業用環境制御システムは、農業用蓄熱システムを有する。
第1実施形態に係る農業用蓄熱システムのブロック図である。 第1実施形態に係る農業用蓄熱システムのブロック図である。 第1実施形態に係る農業用蓄熱システムのブロック図である。 第1実施形態の制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る農業用蓄熱システムのブロック図である。 第3実施形態に係る農業用蓄熱システムのブロック図である。 第4実施形態に係る農業用蓄熱システムのブロック図である。
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
(第1実施形態)
図1において、農業用環境制御システム1は、農業用のハウスに設置される。環境制御システム1は、例えば、施設園芸用のハウスに設置される。環境制御システム1は、ハウス内の環境を、作物の生育に適した環境に調節する。環境制御システム1は、ハウス内の温度、炭酸ガス(以下、CO2と表記する)、湿度、日射量などを調節する。図中には、温度およびCO2の濃度を調節するための機器が図示されている。
環境制御システム1は、温度調節装置2と、CO2供給装置3とを備える。
温度調節装置2は、ハウス内の空気の温度を調節する。温度調節装置2は、ハウス内を暖房するための暖房機能を少なくとも有する。温度調節装置2は、付加的に、ハウス内を冷房する冷房機能を備えることができる。
環境制御システム1は、温度調節装置2およびCO2供給装置3のための熱源装置4を備える。熱源装置4は、空気の温度を調節するための熱媒体を提供する。熱媒体は、低温熱媒体または高温熱媒体として温度調節装置2およびCO2供給装置3に供給される。熱源装置4は、冷凍機41と、農業用蓄熱システム43と、を備える。熱源装置4は、冷凍機41と蓄熱システム43とを作動的に連結し、熱媒体を流すための切り替え可能な流路を有する。熱源装置4は、流路を提供する複数の配管と、流路に設けられた弁などの複数の機能部品を備える。
温度調節装置2は、ハウス内に向けて空気を流すためのダクト21を有する。ダクト21は、主ダクト22と、副ダクト23とを有する。主ダクト22には、ハウス内に向けて空気を流すための電動ファン24が設けられている。主ダクト22には、空気を冷却するための吸熱用の熱交換器25が設けられている。主ダクト22には、空気を加熱するための放熱用の熱交換器26が設けられている。熱交換器25、26は、熱源装置4によって供給される熱媒体と空気との熱交換を提供する。熱交換器25には、熱源装置4から低温の熱媒体が供給される。例えば、低温の熱媒体は、熱駆動冷凍機42から熱交換器25へ供給される。熱交換器25には、熱源装置4から高温の熱媒体が供給される。
副ダクト23は、CO2供給装置3のためのダクトである。副ダクト23は、主ダクト22に向けて空気を合流させるように形成されている。副ダクト23には、CO2供給装置3が設けられている。
CO2供給装置3は、化石燃料を燃焼することによってCO2を発生させる燃焼器31を備える。燃焼器31によって生成された燃焼ガスは、副ダクト23から主ダクト22を経由してハウス内へ供給される。副ダクト23には、燃焼ガスの温度を調節するための熱交換器27、28が設けられている。燃焼器31が運転されるとき、熱交換器27、28には、燃焼ガスの温度を植物への供給に適した温度に調節するように熱媒体が供給される。このような熱媒体の制御は、熱源装置4によって提供される。
熱交換器27は、燃焼ガスの温度を低下させるための1次熱交換器である。熱交換器27には、熱源装置4から低温の熱媒体が供給される。熱交換器28は、燃焼ガスの温度を低下させるための2次熱交換器である。熱交換器28には、熱源装置4から低温の熱媒体が供給される。熱交換器27、28は、CO2を供給するための燃焼ガスの温度を調節する温度調節用の熱交換器である。熱交換器27および/または熱交換器28は、CO2供給装置3の一部として構成される場合がある。CO2供給装置3は、CO2を含んだ燃焼ガスを供給するとともに、温水を発生させる装置でもある。
冷凍機41は、熱駆動型の熱駆動冷凍機42によって提供することができる。熱駆動冷凍機42は、供給される熱によって低温を供給する。例えば、特開2013−156002号公報に記載の吸着式冷凍機を利用することができる。熱駆動冷凍機42は、吸収式冷凍機によって提供されてもよい。なお、作動熱源温度が低い吸着式冷凍機が望ましい。また、冷凍機41として電動モータまたは内燃機関によって駆動される蒸気圧縮式の冷凍サイクルが利用されてもよい。
この実施形態では、蓄熱システム43に利用される熱媒体は、熱駆動冷凍機42の脱離(再生)のための温水、もしくは吸着のための冷却水として利用される。熱駆動冷凍機42は、蓄熱システム43の低温熱媒体によって冷却され、ハウス内の温度を調節するために利用される。このため、蓄熱システム43の熱媒体の温度が高いと、熱駆動冷凍機42の性能が低下し、熱駆動冷凍機42の冷房性能や、熱駆動冷凍機42が汲み上げる熱量が低下し、蓄熱時の増熱が低下する。この実施形態では、蓄熱システム43に含まれる複数のタンクが並列的に蓄熱と放熱とに利用可能である。このため、蓄熱システム43内の熱が全て放熱されないままに熱駆動冷凍機42が稼働しても、蓄熱システム43内の熱媒体を、部分的に、独立して必要な温度まで冷却することが可能である。よって、熱駆動冷凍機42の稼動時間に支障をきたさない運用が可能である。
蓄熱システム43は、水または水を主成分とする流体を熱輸送および蓄熱のための熱媒体として利用する。蓄熱システム43は、温水または冷水をためるための複数の蓄熱タンクを有する。この実施形態では、蓄熱システム43は、2つの蓄熱タンク44a、44bを有する。蓄熱タンク44a、44bの内部は熱媒体によって満たされている。蓄熱タンク44a、44bは、高温熱媒体を上部に溜め、低温熱媒体を下部に溜める。蓄熱システム43は、蓄熱タンク44a、44b内に、高温熱媒体と低温熱媒体との間の温度境界層を形成するように運用される。複数の蓄熱タンク44a、44bは、少なくとも熱交換器27、28のために低温の低温熱媒体を供給するとともに、それら熱交換器27、28によって回収された熱によって加熱された高温の高温熱媒体を受け入れ、溜めることができる。
蓄熱システム43は、熱源装置4の流路の中における複数の蓄熱タンク44a、44bの接続状態を、切り替える切替弁機構を備える。切替弁機構は、熱源装置4の中における複数の蓄熱タンク44a、44bの利用状態を、全利用状態と、部分利用状態とに切り替える。別の観点では、切替弁機構は、熱源装置4の中における複数の蓄熱タンク44a、44bの利用状態を、2タンク利用状態と、1タンク利用状態とに切り替える。別の観点では、切替弁機構は、複数の蓄熱タンク44a、44bの接続状態を、直列接続または一部の蓄熱タンクを独立させた部分並列接続に切り替える。切替弁機構は、このシステムが、一連の直列回路または並列回路として接続された状態と、一部の蓄熱タンクが独立させられた状態とに切り替える。
切替弁機構は、第1運転モードと第2運転モードとを提供する。第1運転モードでは、複数の蓄熱タンク44a、44bから低温熱媒体が供給されるとともに、複数の蓄熱タンク44a、44bに高温熱媒体が受け入れられる。第1運転モードでは、複数の蓄熱タンク44a、44bは、熱源装置4の中で直列接続される。第2運転モードでは、複数の蓄熱タンク44a、44bのうちの一部の蓄熱タンクを、熱交換器27、28を含む熱媒体の系統から独立させる。第2運転モードでは、蓄熱タンク44aまたは蓄熱タンク44bを熱源装置4の熱媒体回路から独立させる。
図示の例では、切替弁機構は、2つの4方弁45a、45bによって提供されている。切替弁機構は、図示の例に限定されない。切替弁機構が、多様な弁を利用して提供できることは当業者に自明であろう。
蓄熱システム43は、放熱用の熱交換器46を備える。熱交換器46は、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部だけが独立して放熱することを可能とする。熱交換器46は、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部の蓄熱タンクだけと、独立した閉回路を形成することができる。熱交換器46は、切換弁機構が第2モードにあるときに、独立させられた蓄熱タンクからの放熱を可能とする。熱交換器46は、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部の蓄熱タンクの熱を、暖房用の熱源、および/または湿度調節のための水蒸発用の熱源として利用するための熱交換器である。熱交換器46は、例えばハウス外の外気に、または水に放熱するように構成されてもよい。
蓄熱システム43は、熱交換器46へ暖房のための気体、または湿度調節のための気体を供給するためのファン47を備える。ファン47は、熱交換器46が放熱のために利用されるときに運転される。
蓄熱システム43は、ポンプ48を備える。ポンプ48は、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部だけに熱媒体を流すことを可能とする。ポンプ48は、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部の蓄熱タンクだけと、独立した閉回路を形成することができる。ポンプ48は、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部の蓄熱タンクだけと、熱交換器46とを含む閉回路に熱媒体を流すことができる。ポンプ48は、切換弁機構が第2モードにあるときに、独立させられた蓄熱タンクの中の熱媒体を流すことができる。ポンプ48は、熱交換器46に熱媒体を供給する。
熱源装置4は、熱交換器25、26、27、28、熱駆動冷凍機42、および蓄熱システム43を、熱媒体を介して作動的に連結する流路を提供する多数の配管を備える。熱源装置4は、流路に設けられた複数の機能部品を有する。機能部品は、流路を切り替えることによって、熱交換器25、26、27、28、熱駆動冷凍機42、および蓄熱システム43の接続状態を切り替える切替機構を備える。切替機構は、ポンプおよび複数の弁によって提供される。
熱源装置4は、可逆式のポンプ51を備える。ポンプ51は、熱源装置4内に熱媒体を循環させるための熱源装置用ポンプのひとつである。ポンプ51は、少なくとも熱交換器27、28と複数の蓄熱タンク44a、44bとの間に熱媒体を循環させる。熱源装置4は、図示されない他のポンプを備えることができる。ポンプ51は、ブリッジ状に接続された電動ポンプと複数の開閉弁とを有する。ポンプ51は、複数の開閉弁を開閉することによって吐出方向を切り替え可能である。可逆式のポンプ51は、回転方向を逆転することで吐出方向を切り替え可能なポンプなど多様なポンプによって提供することができる。ポンプ51は、切替機構によって複数の蓄熱タンク44a、44bの接続状態が切り替えられても、例えば出入口が逆転されても熱源装置4に熱媒体を循環させることができる。ポンプ51は、熱源装置4における熱媒体循環用の単独のポンプであることが望ましい。
熱源装置4は、熱源装置4内の高温熱媒体と低温熱媒体との間の熱交換を提供する熱交換器52を備える。熱交換器52は、熱駆動冷凍機42を通過する熱媒体と、蓄熱システム43を通過する熱媒体との間の熱交換を提供する。例えば、熱交換器52は、熱交換器27を通過することによって高温となった熱媒体と、熱交換器28を通過することによって高温となった熱媒体とを熱交換させる。別の観点では、熱交換器52は、熱駆動冷凍機42を通過した熱媒体と、蓄熱システム43に供給される熱媒体とを熱交換させる。これにより、蓄熱システム43に供給される熱媒体に熱が与えられる。
熱源装置4は、複数の切替弁53、54、55、56、57を備える。複数の切替弁53、54、55、56、57は、熱交換器25、26、27、28、熱駆動冷凍機42、および蓄熱システム43の接続状態を切り替える。
ポンプ51および複数の切替弁53、54、55、56、57によって、熱源装置4の中における蓄熱システム43の接続状態が切り替えられる。燃焼器31が作動するときに、熱源装置4は、ひとつのモードに制御される。このモードにおいて、蓄熱システム43は、熱交換器28および熱駆動冷凍機42に低温熱媒体を供給し、それらから供給される熱を蓄熱するように熱源装置4の中で接続される。同時に、蓄熱システム43は、熱交換器52を介して熱交換器27に低温熱媒体を供給し、それらから得られる高温の熱媒体を溜めることで蓄熱するように熱源装置4の中で接続される。この蓄熱により、後続の期間、例えば夜間における暖房のための高温熱媒体が蓄えられる。このモードは、CO2供給モード、または蓄熱モードとも呼ばれる。
さらに、このモードにおいて、蓄熱システム43は、蓄熱量を抑制しながら、CO2の供給を可能とするように運転される場合がある。蓄熱システム43は、ひとつの蓄熱タンクから低温熱媒体を供給しながら、他の蓄熱タンクから熱交換器46を利用して放熱する場合がある。この場合、過剰な蓄熱が回避される。しかも、蓄熱システム43から供給される低温熱媒体を利用してCO2の供給が継続される。このような蓄熱システム43の構成と、制御は、大容量の蓄熱タンクを、高温の蓄熱に利用することで省エネルギを可能としながら、CO2供給のための大量の低温の蓄冷を可能とする。例えば、蓄熱システム43に蓄えることができる高温熱媒体の大部分を利用できない場合、具体的には、春や秋の中間期においても、暖房への高温熱媒体の利用だけに依存することなく、蓄熱システム43に低温の媒体を溜めることができる。しかも、蓄熱システム43の一部の蓄熱タンクには、高温の媒体を溜めることができるから、暖房用途へ利用可能な高温熱媒体も確保される。
燃焼器31が作動しないとき、または蓄熱システム43に蓄えられた熱を暖房用途に利用するとき、熱源装置4は、他のモードに制御される。このモードにおいて、蓄熱システム43は、少なくとも熱交換器26に高温熱媒体を供給し、それらから得られる低温の熱媒体を溜めることで蓄冷するように熱源装置4の中で接続される。この蓄冷により、後続の期間、例えば昼間におけるCO2供給のための低温熱媒体が蓄えられる。このモードは、暖房モードとも呼ばれる。
熱交換器27から供給される熱は、熱駆動冷凍機42を冷凍機として機能させるために利用することができる。この場合、熱駆動冷凍機42は、熱交換器25に冷温媒体を供給する。よって、熱駆動冷凍機42は、ハウスに供給される空気の温度を低下させるために貢献する。また、熱駆動冷凍機42は、ハウスに供給される空気を温める熱源として利用されてもよい。
環境制御システム1は、システムに含まれる機器を制御するための制御装置61を備える。制御装置は、電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御装置は、少なくともひとつの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくともひとつのメモリ装置とを有する。制御装置は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置は、ひとつのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。
制御システムが提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
環境制御システム1は、システムの作動状態を監視し、制御装置61に入力するための複数の入力装置を備える。入力装置は、システムの作動状態を検出するための複数のセンサを備える。例えば、農業用環境制御システム1は、複数の温度センサを備えることができる。図中には、蓄熱システム43を制御するための出口温度センサ62、63が図示されている。出口温度センサ62は、第1の蓄熱タンク44aの出口における熱媒体の第1温度Taを検出する。出口温度センサ63は、第2の蓄熱タンク44bの出口における熱媒体の第2温度Tbを検出する。これら出口温度センサ62、63は、蓄熱タンク44a、44bにおける高温熱媒体の貯溜状態を示す指標として利用される。具体的には、第1温度Taおよび第2温度Tbは、蓄熱タンク44a、44bの中が高温熱媒体によって満たされているか否かを判定するために利用される。
制御装置61は、所定の条件が成立すると、第1運転モードと第2運転モードとの間での切り替えを実行するように切替機構である4方弁45a、45bを制御する。例えば、制御装置61は、一部の蓄熱タンクに溜められた熱媒体の温度が所定の温度に到達すると、第1運転モードと第2運転モードとの間で切り替えるように切替機構を制御する。
この環境制御システム1は、施設園芸ハウスにおける、植物の成長促進のために利用される燃焼式のCO2発生機と組み合わせて利用される。このシステムは、燃焼時に発生する熱を有効利用する用途に適用される。
施設園芸ハウスでは、環境条件にかかわらず植物に適した環境をハウス内に実現するために、暖房用ボイラーや、冷暖房用ヒートポンプ装置、湿度調整用の加湿器等を設置している場合がある。また、ハウス内の温度、湿度を調整するために、ハウス内外を繋げる開閉窓を備える場合がある。また、植物が光合成を行うために必要な光は、太陽光、または人工光を利用している。このような施設園芸ハウスでは、光合成時に消費されるCO2を確保するために、多様な手段が用いられる。例えば、CO2を提供するために、外気が導入される場合がある。また、土壌等に生息する微生物が発生するCO2が利用される場合もある。また、工業的に生産されたCO2生ガスが利用される場合もある。また、燃料が燃焼される際に発生するCO2が利用される場合もある。
それぞれのCO2供給方法には、それぞれの課題がある。例えば、燃焼式のCO2供給方式では、CO2を含む燃焼ガスを冷却することによって、植物に直接供給しても影響のない温度にまで冷却する必要がある。この熱を暖房等に利用することが考えられる。しかし、春や秋などの外気の温度が比較的高い中間期には、CO2を発生させるために生じた熱の全てを暖房用途に放出できない場合がある。これでは、蓄熱システムに高温熱媒体が残留する。言い換えると、CO2供給用燃焼ガスの温度を下げるための低温熱媒体を十分に蓄えることができない。このため、低温熱媒体の貯留、すなわち蓄冷が十分にできないことによって、後続の期間においてCO2発生機の稼動時間が短縮される可能性がある。
この環境制御システム1は、燃焼式のCO2発生機から発生する熱を有効利用しながら、熱の利用状態に依存することなく、後続の期間においてCO2を安定的に供給することを可能とする。この環境制御システム1は、2つ以上の蓄熱タンクを備える。さらに、一部の蓄熱タンクへの蓄熱を継続しながら、残りの一部の蓄熱タンクからの独立した放熱を可能としている。
図1には、複数の蓄熱タンク44a、44bのすべてが蓄熱運転される運転モードが図示されている。この運転モードでは、複数の蓄熱タンク44a、44bは、直列接続されている。複数の蓄熱タンク44a、44bは、並列接続されていてもよい。これら複数の蓄熱タンク44a、44bは、高温熱媒体を溜めることによって蓄熱する。複数の蓄熱タンク44a、44bは、大容量の蓄熱を可能とする。例えば、昼間のCO2供給によって生じた熱を蓄熱し、夜間の暖房に利用することができる。一方で、蓄熱タンク44a、44bは、夜間の暖房によって生じた低温熱媒体を溜めることによって蓄冷する。複数の蓄熱タンク44a、44bは、大容量の蓄冷を可能とする。例えば、昼間のCO2供給のために生じる大量の燃焼ガスを望ましい温度にまで下げることができる。
図2および図3には、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部が蓄熱運転し、残る一部が放熱運転される運転モードが図示されている。図2に図示される運転モードでは、第2の蓄熱タンク44bが独立した閉回路の中に位置づけられ、第1の蓄熱タンク44aが熱源装置4の主回路の中に位置づけられている。図3に図示される運転モードでは、第1の蓄熱タンク44aが独立した閉回路の中に位置づけられ、第2の蓄熱タンク44bが熱源装置4の主回路の中に位置づけられている。
ポンプ48は、閉回路の中において、第1の蓄熱タンク44aまたは第2の蓄熱タンク44bに溜められた高温熱媒体を熱交換器46に供給する。この例では、第1の蓄熱タンク44aまたは第2の蓄熱タンク44bの上部から熱媒体が熱交換器46に供給される。よって、高温熱媒体を迅速に熱交換器46に供給することができる。熱交換器46は、第1の蓄熱タンク44aに溜められた熱を放熱する。熱交換器46は、施設園芸ハウスにおいて利用される機器に熱を供給する。例えば、施設園芸ハウスにおける温水供給、暖房、または湿度調節のための水蒸発器の熱源として利用される。一方で、第2の蓄熱タンク44bは、熱源装置4の中において高温熱媒体を溜めることによって蓄熱する。
一部の蓄熱タンクが放熱することによって、蓄熱システム43は、一部の蓄熱タンクに相当する量の低温熱媒体を溜めることができる。これにより、後続の期間におけるCO2供給のための冷温媒体が確保される。図2の運転モードと図3の運転モードとは、CO2を供給するために燃焼器31が運転される期間において交互に切り替えられる。これにより、蓄熱システム43を上限まで蓄熱した状態にすることなく、CO2の供給、すなわち燃焼ガスの温度調節を連続的に実行することができる。
一方で、一部の蓄熱タンクには、高温熱媒体が溜められる。これにより、後続の期間における暖房などのための高温熱媒体が確保される。しかも、高温熱媒体の量は、一部の蓄熱タンクの容量に限られるから、春または秋のような、夜間(CO2供給しない期間)における暖房に必要な熱量が少ない場合でも、一部の蓄熱タンク内の高温熱媒体の大部分の熱を消費することができる。このため、後続の期間におけるCO2供給のための冷温媒体が確保される。
図4において、環境制御システム1の運転制御の一例が図示されている。制御装置61は、燃焼器31と蓄熱システム43とのための制御処理170を実行する。制御処理170は、システムが起動されると実行される。
システムが起動されると、ステップ171では、CO2供給が必要であるか否かが判定される。この判定は、CO2供給運転を実施するか否かの判定でもある。CO2供給が必要である場合、ステップ172に進む。CO2供給が必要でない場合、ステップ182に進む。
ステップ172では、燃焼器31に点火され、CO2供給運転が開始される。このとき、蓄熱タンク44a、44bは、図1に図示される運転モードに制御される。すなわち、複数の蓄熱タンク44a、44bのすべてが高温熱媒体を溜めるために、言い換えると低温熱媒体を供給するために利用される。この第1運転モードにおいては、複数の蓄熱タンクが低温熱媒体の供給と、高温熱媒体の受け入れとに利用される。これにより、大容量の蓄熱システムが提供される。
ステップ173では、蓄熱タンク44a、44bを切り替えながら、CO2供給の連続運転を行うか否かを判定する。この判定は、タイマの作動時間、熱媒体の流量と稼働時間の設定値より判定することができる。連続運転を実行しない場合、ステップ174に進む。連続運転を実行する場合、ステップ175へ進む。
ステップ174では、蓄熱システム43の蓄熱状態が所定の量の高温熱媒体を溜めた状態に到達したか否かが判定される。例えば、蓄熱システム43に、その後の期間における暖房用途のために必要な量の高温熱媒体が溜められたか否かの判定を利用することができる。図示の例では、蓄熱システム43が、満蓄熱状態に到達したか否かを判定する。具体的には、第1温度Taが上限温度(例えば60℃)に到達し、かつ、第2温度Tbが上限温度(例えば60℃)に到達したか否かの判定(Ta>60℃ AND Tb>60℃)を利用できる。また、ステップ172によるCO2供給運転が開始されてから所定時間経過したか否かの判定を利用できる。
連続運転を行う場合、ステップ175−181によって切替運転が実行される。ステップ175−181では、一方の蓄熱タンクが満蓄熱状態に到達するごとに、蓄熱運転される蓄熱タンクと、放熱運転される蓄熱タンクとが切り替えられる。満蓄熱状態を判定する条件として、運転開始から所定時間経過したか否かの判定、または、蓄熱タンクの出口温度が所定値を上回るか否かの判定を利用できる。
ステップ175では、4方弁45a、45bを切り替えることによって、図2の運転状態が提供される。ステップ176では、第1温度Taが所定温度、例えば60℃を上回るか否かが判定される。条件が不成立の場合、ステップ177へ進む。ステップ177では、CO2供給運転を継続するか否かが判定される。CO2の供給が求められている場合、ステップ176へ戻る。やがて、条件が成立すると、ステップ178へ進む。ステップ178では、4方弁45a、45bを切り替えることによって、図3の運転状態が提供される。
これにより、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部を高温熱媒体を溜める蓄熱(低温熱媒体を供給する放冷)に利用し、残る一部を高温熱媒体からの放熱(低温熱媒体を溜める蓄冷)に利用する運転モードが提供される。ここでは、第1の蓄熱タンク44aが高温熱媒体を溜める蓄熱(低温熱媒体を供給する放冷)に利用され、第2の蓄熱タンク44bが高温熱媒体からの放熱(低温熱媒体を溜める蓄冷)に利用される。この運転モードは、部分蓄熱/部分独立放熱の第1の運転モードとも呼ばれる。
ステップ179では、第2温度Tbが所定温度、例えば60℃を上回るか否かが判定される。条件が不成立の場合、ステップ180へ進む。ステップ180では、CO2供給運転を継続するか否かが判定される。CO2の供給が求められている場合、ステップ179へ戻る。やがて、条件が成立すると、ステップ181へ進む。ステップ181では、4方弁45a、45bを切り替えることによって、図2の運転状態が再び提供される。
これにより、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部を高温熱媒体を溜める蓄熱(低温熱媒体を供給する放冷)に利用し、残る一部を高温熱媒体からの放熱(低温熱媒体を溜める蓄冷)に利用する運転モードが提供される。ここでは、第2の蓄熱タンク44bが高温熱媒体を溜める蓄熱(低温熱媒体を供給する放冷)に利用され、第1の蓄熱タンク44aが高温熱媒体からの放熱(低温熱媒体を溜める蓄冷)に利用される。この運転モードは、部分蓄熱/部分独立放熱の第2の運転モードとも呼ばれる。この運転モードは、第1の運転モードを反転した反転運転モードとも呼ばれる。
ステップ181の後、処理はステップ176に戻る。これにより、図2に図示される運転モードと、図3に図示される運転モードとが交互に繰り返される。これにより、複数の蓄熱タンク44a、44bのすべてを満蓄熱状態にすることなく、CO2供給を継続することができる。しかも、CO2供給のために生じた熱の少なくとも一部は複数の蓄熱タンク44a、44bの少なくとも一部に溜められるから、その熱の利用が可能となる。
ステップ175−181において提供される第2運転モードでは、複数の蓄熱タンク44a、44bのうちの一部の蓄熱タンクが、温度調節のための熱交換器から熱的に独立させられる。よって、独立させられた蓄熱タンクへの蓄熱が回避される。これにより、複数の蓄熱タンクへの過剰な蓄熱が回避される。しかも、独立させられた蓄熱タンクは、独立して放熱することができる。さらに、ステップ175−181の処理により、制御装置61は、第2運転モードにおいて系統から独立させられる蓄熱タンクと、第2運転モードにおいて低温熱媒体を供給し高温熱媒体を受け入れる蓄熱タンクとを入れ替えるように切替機構を制御する。
やがて、ステップ177またはステップ180においてCO2供給の必要がないと判定されると、CO2供給運転が終了する。例えば、光合成のための光が得られなくなる場合、または人為的にCO2供給の提示が指示される場合に、ステップ177またはステップ180において否定判定され、CO2供給運転が終了される。
ステップ171においてCO2の供給が必要ではないと判定されると、ステップ182へ進む。ステップ182−191では、CO2供給運転が実行されない場合の蓄熱システム43の運転制御が実行される。
ステップ182では、CO2を供給しないときのCO2非供給運転が開始される。ステップ183では、CO2を供給しない場合も、最初に複数の蓄熱タンク44a、44bは直列にて運転される。このとき、蓄熱システム43は、放熱、または蓄熱をするように運転される。例えば、蓄熱の際には第1の蓄熱タンク44aの入口から高温熱媒体が流入し、蓄熱タンク44a内に温度境界層を形成しながら、高温熱媒体が溜められる。この第1運転モードにおいては、複数の蓄熱タンクが低温熱媒体の供給と、高温熱媒体の受け入れとに利用される。これにより、大容量の蓄熱システムが提供される。放熱される場合、蓄熱タンク44a、44bに溜められた高温熱媒体が、熱源装置4、例えば熱駆動冷凍機42に供給される。これによって、蓄熱システム43は放熱する。
ステップ184では、所定の条件が成立したか否かの判定により、4方弁45a、45bを切り替えるか否かが判定される。所定の条件が成立すると、複数の蓄熱タンク44a、44bの一部をハウス内暖房のために放熱させ、残る一部を独立回路によって熱交換器46から放熱させる。複数の蓄熱タンク44a、44bの運転モードの切り替えが指示されない場合、ステップ185へ進む。複数の蓄熱タンク44a、44bの運転モードの切り替えが指示される場合、ステップ187へ進む。
ここで用いられる所定の条件には、春先から夏場のような外気温度が高く、通常の稼働では蓄熱タンク44a、44bからの放熱を次のCO2供給運転までに完了させることができないような環境条件であるか否かの判定を用いることができる。また、ここで用いられる所定の条件として、外部より蓄熱タンク内の熱を利用することを求める指示が働いたか否かの判定を用いることができる。
ステップ185では、複数の蓄熱タンク44a、44bを直列接続した運転が継続される。ステップ186では、従前の運転状態を継続するか否かが判定される。運転を継続する場合、ステップ183へ戻る。運転を停止する場合、処理を終了する。
ステップ187では、複数の蓄熱タンク44a、44bのうち、どれを熱源装置4への放熱に利用し、どれを熱交換器46からの放熱に利用するかを決定し、それを実現するように4方弁45a、45bが切り替えられる。ここでの蓄熱タンクの用途の決定は、蓄熱の利用に適した蓄熱タンクと、蓄冷への利用に適した蓄熱タンクを相対的に決定することでもある。また、複数の蓄熱タンクを順に外部放熱に利用することにより、次のCO2供給運転までに、すべての蓄熱タンクから放熱を完了させ、蓄冷を完了させることができる。以下の説明では、第1の蓄熱タンク44aが熱源装置4および熱駆動冷凍機42への高温熱媒体の供給に利用され、第2の蓄熱タンク44bが熱交換器46による放熱、すなわち外部放熱に利用される場合を説明する。
ステップ188では、第1の蓄熱タンク44aから供給される熱を利用するように熱源装置4が運転される。第1の蓄熱タンク44aから供給される熱は、ハウスの温度調節に利用される。例えば、ハウス内を暖房するように熱交換器26に高温熱媒体が供給される。また、熱駆動冷凍機42を運転するために蓄熱タンク44aから熱駆動冷凍機42に高温熱媒体が供給される。高温熱媒体は、例えば熱駆動冷凍機42の脱離(再生)のために利用される。これにより、第1の蓄熱タンク44aに蓄熱された熱が有効に利用され、第1の蓄熱タンク44aには、次のCO2供給に利用可能な低温熱媒体が溜められる。
ステップ189では、ポンプ48が運転され、第2の蓄熱タンク44bの高温熱媒体が熱交換器46に供給され、放熱が実行される。これにより、第2の蓄熱タンク44bに蓄熱された過剰な熱が放熱され、第2の蓄熱タンク44bには、次のCO2供給に利用可能な低温熱媒体が溜められる。
ステップ190では、第2の蓄熱タンク44bからの放熱が完了したか否かが判定される。この判定には、第2温度Tbが所定温度を下回ったか否かの判定を用いることができる。所定温度は、例えば30℃である。
ステップ191では、第2の蓄熱タンク44bからの放熱が完了したので、再び複数の蓄熱タンク44a、44bを直列接続するように4方弁45a、45bが切り替えられる。この後、ステップ186へ進み、運転を継続するか否かが判定される。次のCO2供給のための蓄冷が完了している場合、またはシステムの運転停止が指令される場合、処理は終了する。
ステップ189−191の処理は、複数の蓄熱タンク44a、44bのうちの直列に接続された場合に下流側に位置づけられる蓄熱タンク44bから放熱させる処理でもある。この処理により、複数の蓄熱タンク44a、44bのうちの下流側の蓄熱タンク44bに少なくとも低温熱媒体を溜め、蓄冷することができる。
ステップ187−191において提供される第2運転モードでは、複数の蓄熱タンク44a、44bのうちの一部の蓄熱タンクが、温度調節のための熱交換器から熱的に独立させられる。よって、独立させられた蓄熱タンクへの蓄熱が回避される。これにより、複数の蓄熱タンクへの過剰な蓄熱が回避される。しかも、独立させられた蓄熱タンクは、独立して放熱することができる。ステップ187−191において提供される第2運転モードでは、制御装置61は、第2運転モードにおいて、所定の蓄熱タンクを系統から独立させられる蓄熱タンクとするように切替機構を制御する。
以上に説明したこの実施形態によると、大きい容量を提供する複数の蓄熱タンク44a、44bを用いて、春から秋のような中間期においても、過剰な蓄熱を抑制することができる。これにより、CO2供給のための燃焼ガスの温度調節と、CO2供給のために生じる廃熱の有効な利用との両方に利用可能な農業用の蓄熱システムが提供される。しかも、CO2供給のための燃焼ガスの温度調節場面と、廃熱を利用する場面との両方に適した容量を提供できる。また、蓄熱システムは、低温の熱媒体を利用する場面と、高温の熱媒体を利用する場面との両方に適した容量を提供できる。
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、部分放熱のための運転は、蓄熱タンクの上部から熱媒体を取り出すことによって提供される。これに代えて、蓄熱タンクの下部から熱媒体を取り出してもよい。
図5は、第1の蓄熱タンク44aの下部から取り出された熱媒体が熱交換器46に供給する場合の環境制御システム1の運転状態を示す。ポンプ248は、蓄熱タンク44aの下部から熱媒体を取り出し、熱交換器46に供給する。
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、蓄熱システム43は、2つの蓄熱タンクを有する。これに代えて、蓄熱システム43は、3つ以上の蓄熱タンクを備えていてもよい。
図6は、3つの蓄熱タンク44a、44b、344を備える場合の蓄熱システム43を示す。蓄熱システム43は、第3の蓄熱タンク344のための4方弁345c、345dを備える。さらに、蓄熱システム43は、第2の蓄熱タンク44b、または第3の蓄熱タンク344を含む閉回路を構成する可能な熱交換器346およびポンプ348を備える。
図中には、部分蓄熱、部分独立放熱の運転モードが例示されている。図示の例では、第1の蓄熱タンク44aが独立の閉回路において放熱するように利用され、第2の蓄熱タンク44bと第3の蓄熱タンク344とが直列に接続されて利用されている。この構成において独立放熱に利用される蓄熱タンクは、3つの蓄熱タンク44a、44b、344のなかのひとつまたはふたつである。熱源装置4の中に接続されて利用される蓄熱タンクも、ひとつまたはふたつである。
この構成でも、3つの蓄熱タンク44a、44b、344のすべてを用いる蓄熱運転と、それらのうちの一部(ひとつまたはふたつ)を独立回路に位置づけて独立的に放熱させる放熱運転とが提供される。
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、複数の蓄熱タンク44a、44b、344は、熱源装置4からの蓄熱と、熱源装置4への放熱とを実行可能である。これに代えて、さらに他の用途に蓄熱タンクに溜められた高温熱媒体または低温熱媒体を利用してもよい。
図7は、第3の蓄熱タンク444が、他の機器449に低温熱媒体を供給するように構成されたシステムを示す。蓄熱タンク444は、機器449に低温熱媒体を供給可能である。蓄熱タンク444は、内部が低温熱媒体で満たされている場合に、その低温熱媒体を他の用途の機器449に提供する。なお、第3の蓄熱タンク444は、低温熱媒体を保存するだけに構成されてもよい。
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
1 農業用環境制御システム、 2 温度調節装置、
3 CO2供給装置、 31 燃焼器、
4 熱源装置、 41 冷凍機、 42 熱駆動冷凍機、
43 蓄熱システム、 44a、44b、344、444 蓄熱タンク、
45a、45b 4方弁(切替機構)、
46 熱交換器、 47 ファン、 48 ポンプ、
61 制御装置、 62、63 温度センサ。

Claims (10)

  1. 炭酸ガスを供給するための燃焼ガスの温度を調節する熱交換器(27、28)のために低温の低温熱媒体を供給するとともに、前記熱交換器によって回収された熱によって加熱された高温の高温熱媒体を受け入れ、溜めることができる複数の蓄熱タンク(44a、44b、344、444)と、
    複数の前記蓄熱タンクから前記低温熱媒体を供給するとともに複数の前記蓄熱タンクに前記高温熱媒体を受け入れる第1運転モードと、複数の前記蓄熱タンクのうちの一部の前記蓄熱タンクを前記熱交換器を含む熱媒体の系統から独立させた第2運転モードとに切り替え可能な切替機構(45a、45b)とを備えることを特徴とする農業用蓄熱システム。
  2. 前記切替機構は、前記第2運転モードにおいて、一部の前記蓄熱タンクを前記系統から独立した閉回路に配置するよう構成されており、
    さらに、前記閉回路に配置された前記蓄熱タンクから前記閉回路に熱媒体を流すポンプ(48)と、
    前記閉回路に流れる前記熱媒体の熱を放熱するための放熱用熱交換器(46)とを備える請求項1に記載の農業用蓄熱システム。
  3. 前記切替機構は、
    前記第2運転モードにおいて、複数の前記蓄熱タンクのうちの一部の前記蓄熱タンクを前記系統から独立させるとともに、残部の前記蓄熱タンクから前記低温熱媒体を供給させ、かつ前記高温熱媒体を受け入れさせる請求項1または請求項2に記載の農業用蓄熱システム。
  4. さらに、所定の条件が成立すると前記第1運転モードと前記第2運転モードとの間での切り替えを実行するように前記切替機構を制御する制御装置(61)を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の農業用蓄熱システム。
  5. 前記制御装置は、前記第2運転モードにおいて前記系統から独立させられる前記蓄熱タンクと、前記第2運転モードにおいて前記低温熱媒体を供給し前記高温熱媒体を受け入れる前記蓄熱タンクとを入れ替えるように前記切替機構を制御する請求項4に記載の農業用蓄熱システム。
  6. 前記制御装置は、前記第2運転モードにおいて、所定の前記蓄熱タンクを前記系統から独立させられる前記蓄熱タンクとするように前記切替機構を制御する請求項4に記載の農業用蓄熱システム。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の農業用蓄熱システムと、
    前記熱交換器と複数の前記蓄熱タンクと間に前記熱媒体を循環させる熱源装置用ポンプ(51)とを備える農業用環境制御システム。
  8. 前記熱源装置用ポンプ(51)は単独である請求項7に記載の農業用環境制御システム。
  9. さらに、前記蓄熱タンクの前記低温熱媒体によって冷却され、ハウス内の温度を調節するための冷凍機(41)を備える請求項7または請求項8に記載の農業用環境制御システム。
  10. 前記冷凍機は供給される熱によって低温を供給する熱駆動冷凍機である請求項9に記載の農業用環境制御システム。
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