JP2017021959A - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017021959A
JP2017021959A JP2015137855A JP2015137855A JP2017021959A JP 2017021959 A JP2017021959 A JP 2017021959A JP 2015137855 A JP2015137855 A JP 2015137855A JP 2015137855 A JP2015137855 A JP 2015137855A JP 2017021959 A JP2017021959 A JP 2017021959A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
active material
electrode active
battery
lithium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015137855A
Other languages
English (en)
Inventor
佑季子 堀
Yukiko Hori
佑季子 堀
崇資 三浦
Takashi Miura
崇資 三浦
直久 秋山
Naohisa Akiyama
直久 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2015137855A priority Critical patent/JP2017021959A/ja
Publication of JP2017021959A publication Critical patent/JP2017021959A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成しながらも、充放電サイクル試験における電池容量の低下を適切に抑制できるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供すること。【解決手段】電池1の製造方法は、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物の組成式Lix(NiyMzMn2-y-z)O4においてAサイトを占めるリチウムの存在量xが、0.96≦x<1.00を満たす正極活物質を用いて、水を溶媒とする水系の正極ペーストを作製する水系正極ペースト作製工程S1と、この正極ペーストを用いて正極板21を形成する正極板形成工程S2と、この正極板21等を用いて電池を組み立てる組立工程S3とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、正極活物質を含む正極活物質層を正極集電箔上に有する正極板と、負極板と、非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
従来より、リチウムイオン二次電池(以下、単に電池とも言う)を製造するにあたり、「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成することが知られている。即ち、まず、正極活物質を、導電材や結着剤などと共に、水と共に混練して、「水系」の正極ペーストを作製する。その後、この正極ペーストを、正極集電箔に塗布し、乾燥させて、正極活物質層を形成する。その後、これをプレスして、正極板を得る。例えば、特許文献1に、このように「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成することが開示されている(特許文献1の請求項1等を参照)。
また、電池を高電圧化するために、正極活物質として、スピネル型の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物(以下、単にスピネル構造のリチウムニッケルマンガン系複合酸化物とも言う)からなる正極活物質を用いることがある。
特開2014−207176号公報
しかしながら、溶媒を水とした「水系」の正極ペーストで正極活物質層を形成した電池は、有機溶媒を用いた「非水系(溶剤系)」の正極ペーストで正極活物質層を形成した電池に比べて、充放電サイクル試験を行ったときに、電池容量が低下してしまうことが判った。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成しながらも、充放電サイクル試験における電池容量の低下を適切に抑制できるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、スピネル型の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物からなる正極活物質を含む正極活物質層が正極集電箔上に形成された正極板と、負極板と、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記リチウムニッケルマンガン系複合酸化物の組成式Lix(NiyzMn2-y-z)O4 においてAサイトを占めるリチウムの存在量xが、0.96≦x<1.00を満たす正極活物質を用いて、水を溶媒とする水系の正極ペーストを作製する水系正極ペースト作製工程と、上記正極ペーストを用いて、上記正極集電箔上に上記正極活物質層を形成して上記正極板を形成する正極板形成工程と、上記正極板、上記負極板及び上記非水電解液を用いて、電池を組み立てる組立工程と、を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法である。
「水系」の正極ペーストで正極活物質層を形成した電池は、前述のように、充放電サイクル試験を行ったときに、電池容量が低下する。そこで、正極活物質(スピネル構造のリチウムニッケルマンガン系複合酸化物)の表層30nmの位置(粒子表面から30nm離れた位置)に存在するマンガンとニッケルとの比Mn/Niについて調査したところ、「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成した電池では、比Mn/Niが小さくなることが判った。
これは、正極活物質を溶媒(水)と共に混練する際に、正極活物質の粒子表面近傍から急激に多くのリチウムがリチウムイオン(Li+)となって溶出し、正極活物質のうち粒子表面近傍の結晶安定性が損なわれる(粒子表面近傍で結晶に歪みが生じる)。
加えて、この正極ペーストを塗工して正極活物質層を形成するにあたり、乾燥時に高温状態になると、正極活物質のうち、リチウムが溶出して抜けた粒子表面近傍で、酸素が離脱し、マンガンが3価に変化し易い。3価のマンガンは、不均化反応により、2価のマンガン或いは4価のマンガンに変化するが、2価のマンガンはイオンで安定な物質のため、非水電解液中に溶出し易くなる。
これらの理由から、この正極ペーストを用いて製造した電池では、電池を充電したときに、正極活物質の粒子表面近傍からマンガンがマンガンイオン(Mn2+)となって非水電解液中に多く溶出して結晶構造が不可逆的に崩れる。このマンガンの溶出が原因で、充放電サイクル試験を行ったときに電池容量が低下すると考えられた。そこで、本発明者らは、「水系」の正極ペーストの混練時に正極活物質の粒子表面近傍から溶出するリチウム(リチウムイオン)の量を少なくすることで、電池の充放電サイクル試験において溶出するマンガンの量を低減できると考え、本発明に到った。
上述のリチウムイオン二次電池の製造方法では、溶媒に水を用いて「水系」の正極ペーストを作製するにあたり、正極活物質として、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物の組成式においてAサイトを占めるリチウムの存在量xが、0.96≦x<1.00を満たす正極活物質を用いる。
このようにリチウムを予め欠損させておいた正極活物質を「水系」の正極ペーストに用いることで、正極活物質の結晶構造を構成するリチウムの量が元々少ないために、ペースト混練時に正極活物質の粒子表面近傍から溶出するリチウム(リチウムイオン)の量を抑制できる。このため、正極ペーストを「水系」としても、正極活物質の粒子表面近傍の結晶構造を安定に保つことができる。これにより、電池の充放電サイクル試験において正極活物質の粒子表面近傍から溶出するマンガンの量を低減でき、充放電サイクル試験における電池容量の低下を適切に抑制できる。このように、上述のリチウムイオン二次電池の製造方法によれば、「水系」の正極ペーストで正極活物質層を形成しながらも、充放電サイクル試験における電池容量の低下を適切に抑制できる。
スピネル構造のリチウムニッケルマンガン系複合酸化物からなる正極活物質は、以下の一般式(1)で表される。
Lix(NiyzMn2-y-z)O4 ・・・(1)
但し、xは、前述のように、0.96≦x<1.00である。
また、yは、y>0、好ましくは、0.2≦y≦1.0である。
また、zは、z≧0、好ましくは、0≦z<1.0である。
また、y+z<2.0である。
また、「M」は、Ni,Mn以外の任意の遷移金属元素または典型金属元素(例えば、Fe,Co,Cu,Cr,Zn及びAlから選択される1種または2種以上)である。
なお、正極活物質の結晶構造がスピネル構造を有しているか否かについては、例えばX線構造解析(好ましくは単結晶X線構造解析)によって判別できる。具体的には、CuKα線を使用したX線回折測定によって判別できる。
「正極ペースト」には、正極活物質のほか、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックなどの導電材や、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸などの結着剤、カルボシキメチルセルロース(CMC)などの増粘剤を含めることができる。
「負極板」には、負極活物質粒子を含む負極活物質層を負極集電箔上に設けた形態のものが挙げられる。負極活物質粒子としては、例えば、黒鉛などリチウムを挿入・脱離可能な炭素材料からなる粒子が挙げられる。
「非水電解液」は、非水溶媒に電解質を溶解させたものであるが、他の添加物を含ませることもできる。
非水溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの有機溶媒が挙げられ、これらを単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。
また、電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3 などが挙げられ、これらを単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、他の添加物としては、例えば、LiFなどのフッ化物や、LiPO3やLi3PO4などのリン化合物、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)などが挙げられる。
また、他の態様としては、スピネル型の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物からなる正極活物質を含む正極活物質層が正極集電箔上に形成された正極板と、負極板と、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、上記リチウムニッケルマンガン系複合酸化物の組成式Lix(NiyzMn2-y-z)O4 においてAサイトを占めるリチウムの存在量xが、0.96≦x<1.00を満たす正極活物質を用いた水系の正極ペーストにより、上記正極活物質層を形成してなるリチウムイオン二次電池とすると好ましい。
前述のように、リチウムの存在量xが0.96≦x<1.00を満たす正極活物質を「水系」の正極ペーストに用いることで、ペースト混練時に正極活物質の粒子表面近傍から溶出するリチウム(リチウムイオン)の量を抑制でき、正極活物質の粒子表面近傍の結晶構造を安定に保つことができる。このため、この電池では、「水系」の正極ペーストで正極活物質層を形成しているにも拘わらず、充放電サイクル試験における電池容量の低下を適切に抑制した電池とすることができる。
また、他の態様としては、スピネル型の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物からなる正極活物質を含む正極活物質層が正極集電箔上に形成された正極板と、負極板と、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池の上記正極活物質層を形成するのに用いる水系の正極ペーストであって、上記リチウムニッケルマンガン系複合酸化物の組成式Lix(NiyzMn2-y-z)O4 においてAサイトを占めるリチウムの存在量xが、0.96≦x<1.00を満たす正極活物質を混合してなる正極ペーストとするのが好ましい。
前述のように、リチウムの存在量xが0.96≦x<1.00を満たす正極活物質を用いた「水系」の正極ペーストは、正極活物質の粒子表面近傍からのリチウム(リチウムイオン)の溶出量を抑制でき、正極活物質の粒子表面近傍の結晶構造を安定に保つことができる。従って、この正極ペーストを用いて正極活物質層を形成すれば、電池の充放電サイクル試験において溶出するマンガンの量を低減でき、充放電サイクル試験における電池容量の低下を適切に抑制できる電池を製造できる。
実施形態に係るリチウムイオン二次電池の斜視図である。 実施形態に係るリチウムイオン二次電池を電池横方向及び電池縦方向に沿う平面で切断した縦断面図である。 実施形態に係り、正極板及び負極板をセパレータを介して互いに重ねた状態を示す、電極体の展開図である。 実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法を示す説明図である。 実施例及び比較例に係る各電池について、正極活物質におけるリチウムの存在量xと比Mn/Niとの関係を示すグラフである。 実施例及び比較例に係る各電池について、正極活物質におけるリチウムの存在量xと電池の初期反応抵抗比との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例に係る各電池について、正極活物質におけるリチウムの存在量xと電池の容量維持率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1及び図2に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池1(以下、単に「電池1」とも言う)を示す。また、図3に、この電池1を構成する電極体20の展開図を示す。なお、以下では、電池1の電池厚み方向BH、電池横方向CH及び電池縦方向DHを、図1及び図2に示す方向と定めて説明する。
この電池1は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両などに搭載される角型で密閉型の非水系のリチウムイオン二次電池である。電池1は、電池ケース10と、この内部に収容された電極体20及び非水電解液40と、電池ケース10に支持された正極端子50及び負極端子51等から構成される。
このうち電池ケース10は、直方体状で金属(本実施形態ではアルミニウム)からなる。この電池ケース10は、上側のみが開口した直方体箱状のケース本体部材11と、このケース本体部材11の開口11hを閉塞する形態で溶接された矩形板状のケース蓋部材13とから構成される。ケース蓋部材13には、電池ケース10の内圧が所定圧力に達した際に破断開弁する安全弁14が設けられている。また、このケース蓋部材13には、電池ケース10の内外を連通する注液孔13hが形成され、封止部材15で気密に封止されている。
また、ケース蓋部材13には、それぞれ内部端子部材53、外部端子部材54及びボルト55により構成される正極端子50及び負極端子51が、樹脂からなる内部絶縁部材57及び外部絶縁部材58を介して固設されている。なお、正極端子50はアルミニウムからなり、負極端子51は銅からなる。電池ケース10内において、正極端子50は、後述する電極体20のうち正極板21の正極集電部21mに接続し導通している。また、負極端子51は、電極体20のうち負極板31の負極集電部31mに接続し導通している。
次に、電極体20について説明する(図2及び図3参照)。この電極体20は、扁平状をなし、電池ケース10内に収容されている。電極体20は、帯状の正極板21と帯状の負極板31とを、帯状の一対のセパレータ39を介して互いに重ねて捲回し、扁平状に圧縮したものである。
正極板21は、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔22の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上に、正極活物質層23を帯状に設けてなる。正極活物質層23には、後述する正極活物質24、導電材(導電助剤)25、結着剤26、増粘剤27及びリン化合物28が含まれる。本実施形態では、導電材25としてアセチレンブラック(AB)を、結着剤26としてポリアクリル酸を、増粘剤27としてカルボシキメチルセルロース(CMC)を、リン化合物28としてリン酸リチウム(Li3PO4)を用いている。
正極集電箔22のうち、幅方向の片方の端部は、自身の厚み方向に正極活物質層23が存在せず、正極集電箔22が露出した正極集電部21mとなっている。前述の正極端子50は、この正極集電部21mに溶接されている。
正極活物質24は、スピネル型の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物の1つであるLix(Ni0.5Mn1.5)O4 からなる粒子である。本実施形態の電池1では、この組成式Lix(Ni0.5Mn1.5)O4 においてAサイトを占めるリチウムの存在量xが、0.96≦x<1.00を満たす正極活物質24xを用いて電池1を製造している。本実施形態では、x=0.97である。
次に、負極板31について説明する。この負極板31は、帯状の銅箔からなる負極集電箔32の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上に、負極活物質層33を帯状に設けてなる。この負極活物質層33には、負極活物質、結着剤及び増粘剤が含まれる。本実施形態では、負極活物質として黒鉛粒子を、結着剤としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を、増粘剤としてカルボシキメチルセルロース(CMC)を用いている。また、負極集電箔32のうち、幅方向の片方の端部は、自身の厚み方向に負極活物質層33が存在せず、負極集電箔32が露出した負極集電部31mとなっている。前述の負極端子51は、この負極集電部31mに溶接されている。
また、セパレータ39は、樹脂からなる多孔質膜であり、帯状をなす。
次に、非水電解液40について説明する。この非水電解液40は、電池ケース10内に収容されており、非水電解液40の一部は電極体20内に含浸され、残りは余剰液として電池ケース10の底部に溜まっている。この非水電解液40の電解質は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6 )であり、その濃度は1.0Mである。また、非水電解液40の非水溶媒は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、1:1の体積比で混合した混合有機溶媒である。
次いで、上記電池1の製造方法について説明する(図4参照)。まず、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン系複合酸化物であるLix(Ni0.5Mn1.5)O4 からなり、Aサイトを占めるリチウムの存在量xが、0.96≦x<1.00を満たす(本実施形態ではx=0.97,Li0.97(Ni0.5Mn1.5)O4 )正極活物質24xを用意する。
そして、「水系正極ペースト作製工程S1」において、上記の正極活物質24xを用い、かつ、溶媒に水(詳細にはイオン交換水)を用いて、水系の正極ペーストを作製する。具体的には、まず、増粘剤27(CMC)と水とをプラネタリーミキサで混合し、CMCペーストを作製する。次に、上記の正極活物質24と、導電材25(AB)と、リン化合物28(リン酸リチウム)と、上記のCMCペーストとをプラネタリーミキサで混合する。その後、このペーストに結着剤26(ポリアクリル酸)を添加し、更にプラネタリーミキサで攪拌して、「水系」の正極ペーストを得る。
なお、正極活物質24xと導電材25と結着剤26と増粘剤27とリン化合物28との配合量は、重量比で91.50:8.00:1.00:1.00:2.75とする。
次に、「正極板形成工程S2」において、上記の正極ペーストを用いて、正極集電箔22上に正極活物質層23を形成して正極板21を形成する。具体的には、上記の正極ペーストを、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔22の一方の主面にコンマコータを用いて塗布する。その後、これを140℃で乾燥させて、正極活物質層23を形成する。更に、正極集電箔22の他方の主面にも同様に正極ペーストを塗布し、乾燥させて、正極活物質層23を形成する。その後、これをロールプレス機でプレスして、正極板21を得る。
なお、上記のように、塗工した正極ペーストを乾燥させると、水分は蒸発するので、正極活物質層23には、実質的に水分は含まれず、また、完成後の電池1内にも水分は含まれない。
また別途、負極板31を形成しておく。
次に、「組立工程S3」において、正極板21、負極板31及び非水電解液40を用いて、電池を組み立てる。具体的には、まず、正極板21及び負極板31を一対のセパレータ39を介して互いに重ね、巻き芯を用いて捲回する。更に、これを扁平状に圧縮して電極体20を形成する。
また別途、ケース蓋部材13、内部端子部材53、外部端子部材54、ボルト55、内部絶縁部材57及び外部絶縁部材58を用意する。そして、ケース蓋部材13に、内部絶縁部材57及び外部絶縁部材58を介して、それぞれ内部端子部材53、外部端子部材54及びボルト55からなる正極端子50及び負極端子51を固設する。その後、電極体20の正極集電部21m及び負極集電部31mに、ケース蓋部材13と一体化された正極端子50及び負極端子51をそれぞれ溶接する。
次に、ケース本体部材11を用意し、このケース本体部材11内に、電極体20を収容した後、ケース本体部材11にケース蓋部材13を溶接して電池ケース10を形成する。その後、非水電解液40を、注液孔13hから電池ケース10内に注液し、非水電解液40を電極体20内に含浸させる。その後、注液孔13hを封止部材15で封止する。
次に、「コンディショニング工程S4」において、この電池に充放電を行う。具体的には、この電池に1/3Cの定電流で電池電圧4.9Vまで充電した後、電池を電池電圧3.5Vまで放電させる。更に、この充放電をもう一度繰り返す。その後、この電池に1Cの定電流で電池電圧4.9Vまで充電した後、CC−CV放電(0.6mAカット)により電池電圧3.5V(SOC0%)に調整した。かくして、電池1が完成する。
(実施例及び比較例)
次いで、本発明の効果を検証するために行った試験の結果について説明する。まず、実施例1,2及び比較例1〜4として、Lix(Ni0.5Mn1.5)O4 におけるAサイトを占めるリチウムの存在量xをそれぞれ変更した正極活物質を用いて製造した6種類の電池を用意した。具体的には、下記の表1に示すように、リチウムの存在量xが、0.94(比較例1)、0.95(比較例2)、0.96(実施例1)、0.97(実施例2)、1.00(比較例3)、1.10(比較例4)である正極活物質を用いて、前述した製造方法により、それぞれ電池を製造した。なお、実施例2の電池は、前述の実施形態の電池1と同じである。また、上記以外の部分は、実施形態の電池1と同様とした。
Figure 2017021959
次に、実施例2及び比較例2〜4の各電池(前述のコンディショニング工程S4で充放電を行って電池電圧を3.5Vに調整した電池)について、電池を解体して正極板21を取り出し、更に、正極活物質層23から正極活物質を回収した。そして、実施例2及び比較例2〜4に係る各正極活物質について、エネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray spectrometry)を行って、正極活物質の表層30nmの位置(粒子表面から30nm離れた位置)に存在するマンガンとニッケルとの比Mn/Niについてそれぞれ調査した。その結果を表1及び図5のグラフに示す。
なお、正極活物質の組成式(LixNi0.5Mn1.54 )から判るように、各例に用いた各正極活物質(原料としての正極活物質)における比Mn/Niは、Mn/Ni=1.5/0.5=3.0である。
表1及び図5から明らかなように、Lix(Ni0.5Mn1.5)O4 におけるリチウムの存在量xが大きくなるほど、比Mn/Niが小さくなることが判る。特に、x≧1.00では、Mn/Niが0.9以下に小さくなる。
その理由は、以下であると考えられる。即ち、正極ペーストを作製するにあたり、正極活物質を水と共に混練した際に、正極活物質の粒子表面近傍でリチウムがリチウムイオン(Li+)となって水中に溶出する。この粒子表面近傍のリチウムの溶出は、正極活物質の結晶を構成するリチウムが多いほど、つまり、xの値が大きいほど多くなると考えられる。そして、粒子表面近傍でのリチウムの溶出が多いほど、正極活物質の粒子表面近傍の結晶安定性が大きく損なわれる(結晶に歪みが生じる)。
加えて、この正極ペーストを塗工して正極活物質層を形成するにあたり、乾燥時に高温状態になると、正極活物質のうち、リチウムが溶出して抜けた粒子表面近傍で、酸素が離脱し、マンガンが3価に変化し易い。3価のマンガンは、不均化反応により、2価のマンガン或いは4価のマンガンに変化するが、2価のマンガンはイオンで安定な物質のため、非水電解液40中に溶出し易くなる。
これらの理由から、粒子表面近傍でのリチウムの溶出が多いほど、コンディショニング工程S4で電池を充電したときに、正極活物質の粒子表面近傍からマンガンがマンガンイオン(Mn2+)となって非水電解液40中に多く溶出する。このため、Lix(Ni0.5Mn1.5)O4 におけるリチウムの存在量xが大きくなるほど、正極活物質の粒子表面近傍でマンガンが少なくなって、比Mn/Niが小さくなったと考えられる。
次に、実施例2及び比較例1〜4の各電池について、電池抵抗(IV抵抗)をそれぞれ測定した。具体的には、25℃の温度環境下において、各電池をSOC60%に調整し、0.3Cの定電流で10秒間放電を行い、放電終了時の電池電圧値を測定した。更に、放電電流値のみを1C、3C、5Cと異ならせて、それ以外は上記と同様の条件で放電を行って、10秒間放電終了時の電池電圧値をそれぞれ測定した。その後、これらのデータを、横軸を放電電流値、縦軸を電池電圧値とした座標平面にプロットし、最小二乗法により近似直線(一次式)を算出して、その傾きをIV抵抗値として得た。そして、比較例3(x=1.00)の電池の電池抵抗(IV抵抗)を基準(=1.00)として、その他の電池の「初期反応抵抗比」をそれぞれ算出した。その結果を表1及び図6に示す。
表1及び図6から判るように、Lix(Ni0.5Mn1.5)O4 におけるリチウムの存在量xが、x<0.96、特にx≦0.95では、xの値が減少するほど、初期反応抵抗比が急激に大きくなる。一方、x≧0.96では、初期反応抵抗比は、いずれも小さい。その理由は、x<0.96の正極活物質は、その結晶構造中のリチウムが少なすぎる。このため、正極活物質の結晶をなすLi原子のうち、充放電に伴って出入りできるリチウム原子が少なくなるため、初期反応抵抗が高くなったと考えられる。この結果から、Lix(Ni0.5Mn1.5)O4 におけるリチウムの存在量xが、x≧0.96である正極活物質を用いるのが良いと考えられる。
次に、実施例1,2及び比較例1〜4の各電池について、「充放電サイクル試験」を行って、試験前後での容量維持率(%)をそれぞれ求めた。具体的には、60℃の温度環境下において、SOC20%に調整した各電池を、2Cの定電流でSOC80%Vまで充電した後、10分間休止した。その後、2Cの定電流でSOC20%まで放電した後、10分間休止した。このような充放電を1サイクルとして、充放電を200サイクル行った。この充放電サイクル試験の前後でそれぞれ電池容量を測定し、試験前の電池容量に対する試験後の電池容量から容量維持率(%)をそれぞれ算出した。その結果を表1及び図7に示す。
表1及び図7から判るように、Lix(Ni0.5Mn1.5)O4 におけるリチウムの存在量xが、x<0.96の場合(比較例1,2)、電池の容量維持率が87%未満に低下することが判る。一方、x≧1.00の場合(比較例3,4)、容量維持率が86%以下に低下することが判る。
その理由は、以下であると考えられる。即ち、x<0.96の正極活物質は、前述のように、その結晶構造中のリチウムが少なすぎるため、正極活物質の結晶をなすLi原子のうち、充放電に伴って出入りできるリチウム原子も少なく、初期反応抵抗が高くなる。充放電に伴って出入りできるリチウム原子が少ないと、充放電時に正極活物質に掛かる負担が大きいため、正極活物質がダメージを受け易く、正極活物質の劣化が進行し易い。その結果、充放電サイクル試験において電池容量が大きく低下すると考えられる。
一方、x≧1.00では、前述のように、正極活物質の粒子表面近傍における比Mn/Niが小さくなる。即ち、正極ペーストを作製するにあたり、正極活物質を水と共に混練した際に、正極活物質の粒子表面近傍でリチウムがリチウムイオン(Li+)となって水中に多く溶出して、正極活物質の粒子表面近傍の結晶安定性が損なわれる(結晶に歪みが生じる)。
加えて、正極ペーストを塗工して正極活物質層を形成するにあたり、乾燥時に高温状態になると、正極活物質のうち、リチウムが溶出して抜けた粒子表面近傍で、酸素が離脱し、マンガンが3価に変化し易い。3価のマンガンは、不均化反応により、2価のマンガン或いは4価のマンガンに変化するが、2価のマンガンはイオンで安定な物質のため、非水電解液40中に溶出し易くなる。
これらの理由から、この正極ペーストを用いて製造した電池では、電池を充電したときに、正極活物質の粒子表面近傍からマンガンがマンガンイオン(Mn2+)となって非水電解液40中に多く溶出して、結晶構造が不可逆的に崩れる。従って、充放電サイクル試験を行ったときに、電池容量が低下すると考えられる。
上記の結果より、Lix(Ni0.5Mn1.5)O4 におけるリチウムの存在量xを、0.96≦x<1.00とすることで、充放電サイクル試験における電池容量の低下を適切に抑制できると考えられる。
以上で説明したように、本実施形態の電池1の製造方法では、溶媒に水を用いて「水系」の正極ペーストを作製するにあたり、正極活物質24xとして、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物の組成式においてAサイトを占めるリチウムの存在量xが、0.96≦x<1.00を満たす正極活物質を用いる。
このようにリチウムを予め欠損させておいた正極活物質24xを「水系」の正極ペーストに用いることで、正極活物質24xの結晶構造を構成するリチウムの量が元々少ないために、ペースト混練時に正極活物質の粒子表面近傍から溶出するリチウム(リチウムイオン)の量を抑制できる。このため、正極ペーストを「水系」としても、正極活物質24xの粒子表面近傍の結晶構造を安定に保つことができる。これにより、電池の充放電サイクル試験において溶出するマンガンの量を低減でき、充放電サイクル試験における電池容量の低下を適切に抑制できる。このように、前述の電池1の製造方法によれば、「水系」の正極ペーストで正極活物質層23を形成しながらも、充放電サイクル試験における電池容量の低下を適切に抑制できる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
1 リチウムイオン二次電池(電池)
20 電極体
21 正極板
22 正極集電箔
23 正極活物質層
24 (コンディショニング工程後の電池に含まれる)正極活物質
24x (正極ペーストの作製に用いる)正極活物質
25 導電材
26 結着剤
27 増粘剤
28 リン化合物
31 負極板
39 セパレータ
40 非水電解液

Claims (1)

  1. スピネル型の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物からなる正極活物質を含む正極活物質層が正極集電箔上に形成された正極板と、負極板と、非水電解液と、を備える
    リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    上記リチウムニッケルマンガン系複合酸化物の組成式Lix(NiyzMn2-y-z)O4 においてAサイトを占めるリチウムの存在量xが、0.96≦x<1.00を満たす正極活物質を用いて、水を溶媒とする水系の正極ペーストを作製する水系正極ペースト作製工程と、
    上記正極ペーストを用いて、上記正極集電箔上に上記正極活物質層を形成して上記正極板を形成する正極板形成工程と、
    上記正極板、上記負極板及び上記非水電解液を用いて、電池を組み立てる組立工程と、を備える
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
JP2015137855A 2015-07-09 2015-07-09 リチウムイオン二次電池の製造方法 Pending JP2017021959A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015137855A JP2017021959A (ja) 2015-07-09 2015-07-09 リチウムイオン二次電池の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015137855A JP2017021959A (ja) 2015-07-09 2015-07-09 リチウムイオン二次電池の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017021959A true JP2017021959A (ja) 2017-01-26

Family

ID=57888238

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015137855A Pending JP2017021959A (ja) 2015-07-09 2015-07-09 リチウムイオン二次電池の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017021959A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3010073B1 (en) Positive electrode mixture paste, positive electrode, nonaqueous electrolyte secondary battery, and manufacturing method of nonaqueous electrolyte secondary battery
KR101514586B1 (ko) 리튬 이온 2차 전지용 부극 활물질
JP5081886B2 (ja) 非水電解液型リチウムイオン二次電池
JP6382641B2 (ja) 非水電解質電池及び非水電解質電池の製造方法
KR101900146B1 (ko) 리튬 이온 이차 전지의 제조 방법
JP6848330B2 (ja) 非水電解質蓄電素子
JP6380269B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
KR101786890B1 (ko) 리튬 이온 이차 전지 및 리튬 이온 이차 전지의 제조 방법
JP5392585B2 (ja) 非水電解液型リチウムイオン二次電池
KR101941796B1 (ko) 비수 전해액 이차 전지
US10770759B2 (en) Method of manufacturing lithium ion secondary battery
JP2016122550A (ja) リチウムイオン二次電池用正極板の製造方法、リチウムイオン二次電池用正極板、及び、リチウムイオン二次電池
JP2019040722A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2019040721A (ja) リチウムイオン二次電池
EP4239724A1 (en) Nonaqueous electrolyte secondary battery
JP6120101B2 (ja) 非水電解質二次電池およびその製造方法
JP6323723B2 (ja) 非水電解液二次電池の製造方法および電池組立体
JP2017021959A (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
WO2015079546A1 (ja) リチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池
JP6110287B2 (ja) 非水電解液二次電池およびその製造方法
JP2005353320A (ja) 非水電解質二次電池用活物質、その製造方法、およびそれを用いた非水電解質二次電池
JP2023024396A (ja) 非水系電解液及び該非水系電解液を用いた非水系電解液電池
JP2017098049A (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
JP2017142937A (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法