JP2017142937A - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成しながらも、正極活物質層の反応抵抗が高くなるのを抑制したリチウムイオン二次電池の製造方法を提供すること。【解決手段】リチウムイオン二次電池1の製造方法は、正極活物質粒子と水とを含む水系の正極ペーストを作製するペースト作製工程S1と、正極集電箔22上に正極ペーストを塗布し乾燥させた正極活物質層23を有する正極板21を作製する正極板作製工程S2とを備える。このうちペースト作製工程S1は、アルカリ性水溶液を作製する水溶液作製工程S11と、水溶液作製工程S11の後、アルカリ性水溶液に正極活物質粒子を混合する活物質混合工程S12とを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、リチウムを含有する正極活物質粒子を含む正極活物質層が正極集電箔上に形成された正極板を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
リチウムを含有する正極活物質粒子を含む正極活物質層が正極集電箔上に形成された正極板を備えるリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう)が知られている。この正極板は、例えば以下の手法により製造する。即ち、正極活物質粒子を、導電材や結着剤などと共に、有機溶媒と共に混練して、「非水系(溶剤系)」の正極ペーストを作製する。そして、この正極ペーストを正極集電箔に塗布し、塗膜を乾燥させて、正極活物質層を形成する。その後、これをプレスして正極板を得る。
例えば特許文献1には、このように非水系の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成することが開示されている。具体的には、LiNi0.5Mn1.54 粒子(正極活物質粒子)と、アセチレンブラック(導電材)と、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)と、リン酸リチウムとを、N−メチル−2−ピロリドン(有機溶媒)と共に混合して、非水系の正極ペーストを作製し、これを用いて正極活物質層を形成することが記載されている。
特開2014−103098号公報
ところで、環境への負荷を少なくしたい、生産コストを低減したいなどの理由から、正極ペーストの溶媒として、有機溶媒の代わりに水を用いることが考えられる。
しかしながら、溶媒として水を用いた「水系」の正極ペーストを用いて作製した正極板では、正極活物質層の反応抵抗が高くなることが判ってきた。その理由は、以下であると考えられる。即ち、正極ペースト中の水素イオン(H+)と正極活物質粒子中のリチウムイオン(Li+)との間で交換反応が生じ、正極活物質粒子から正極ペースト中にリチウムイオンが溶出する一方、正極活物質粒子の粒子表面に水素イオンが付着する。
更に、正極ペースト中に溶出したリチウムイオンは、正極ペーストの塗膜を乾燥させて正極活物質層を形成したときに、正極活物質粒子の粒子表面にLiOHとして析出する。また、正極活物質粒子の粒子表面に水素イオンが付着すると、正極活物質粒子として前述のLiNi0.5Mn1.54 粒子など、Mn(IV)を含む活物質粒子を用いた場合には、正極ペーストの塗膜を乾燥させたときに、正極活物質粒子の粒子表面でMn(IV)の一部がMn(III)に変化する。このようにLiOHが析出したり、Mn(IV)が減少しMn(III)が増加すると、正極活物質粒子の粒子表面での反応抵抗が高くなると考えられる。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成しながらも、正極活物質層の反応抵抗が高くなるのを抑制したリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、リチウムを含有する正極活物質粒子を含む正極活物質層が正極集電箔上に形成された正極板を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記正極活物質粒子と水とを含む水系の正極ペーストを作製するペースト作製工程と、上記正極集電箔上に上記正極ペーストを塗布し乾燥させた上記正極活物質層を有する上記正極板を作製する正極板作製工程と、を備え、上記ペースト作製工程は、アルカリ性水溶液を作製する水溶液作製工程と、上記水溶液作製工程の後、上記アルカリ性水溶液に上記正極活物質粒子を混合する活物質混合工程と、を有するリチウムイオン二次電池の製造方法である。
上述のリチウムイオン二次電池の製造方法では、ペースト作製工程は、アルカリ性水溶液を作製する水溶液作製工程と、アルカリ性水溶液に正極活物質粒子を混合する活物質混合工程とを有する。これにより、「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成しながらも、正極活物質層の反応抵抗が高くなるのを抑制できる。
その理由は、以下であると考えられる。即ち、水に正極活物質粒子を混合するのに先だって、予め水溶液をアルカリ性とし、水溶液に含まれる水素イオンの量を少なくしてあるので、このアルカリ性水溶液に正極活物質粒子を混合したときには、中性の水に正極活物質粒子を混合する場合に比して、正極活物質粒子からアルカリ性水溶液中へのリチウムイオンの溶出や、正極活物質粒子の粒子表面への水素イオンの付着を抑制できる。この正極ペーストを用いて正極活物質層を形成すると、塗膜の乾燥時に、正極活物質粒子の粒子表面にLiOHが析出するのを抑制できる。また、正極活物質粒子としてマンガン(IV)を含む活物質粒子を用いた場合には、正極活物質粒子の粒子表面でMn(III)が生じるのを抑制できる。このため、正極活物質粒子の粒子表面の反応抵抗が高くなるのを抑制でき、正極活物質層の反応抵抗が高くなるのを抑制できると考えられる。
なお、「リチウムを含有する正極活物質粒子」としては、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物粒子が挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物粒子としては、例えば、遷移金属としてニッケル(Ni)とコバルト(Co)とマンガン(Mn)とを含むリチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物粒子や、遷移金属としてニッケルとマンガンとを含むリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粒子、ニッケル酸リチウム(LiNiO2 )粒子、コバルト酸リチウム(LiCoO2 )粒子、マンガン酸リチウム(LiMn24 )粒子、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4 )等のオリビン系材料からなる粒子などが挙げられる。
また、「正極ペースト」には、正極活物質粒子及び水のほか、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック(AB)などの導電材や、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸などの結着剤、カルボシキメチルセルロース(CMC)などの増粘剤を含めることができる。
更に、上記のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記正極活物質粒子は、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物粒子であるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
正極活物質粒子としてリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粒子を用いると、前述のように、正極ペーストの塗膜を乾燥させたときに正極活物質粒子の粒子表面でMn(IV)の一部がMn(III)に変化する。具体的には、正極活物質粒子の粒子表面に付着した水素イオンが、乾燥時に正極活物質粒子中に含まれる酸素イオンと結合し、水(H2O)となって離脱する酸素離脱反応が生じる。すると、これに伴って正極活物質粒子中のMn(IV)がMn(III)に変化し、正極活物質粒子の粒子表面の反応抵抗が高くなる。
これに対し、本発明では、前述のように、ペースト作製工程は、予めアルカリ性水溶液を作製しておき、このアルカリ性水溶液に正極活物質粒子を混合しているので、正極活物質粒子の粒子表面に水素イオンが付着することを抑制できる。これにより、正極ペーストの塗膜を乾燥させたときに、正極活物質粒子の粒子表面でMn(IV)がMn(III)に変化するのを抑制できる。従って、「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層を形成しながらも、正極活物質層の反応抵抗が高くなるのを抑制できる。
更に、上記のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記水溶液作製工程は、水にリン酸リチウムを溶解して前記アルカリ性水溶液を作製する工程であり、前記正極板を用いて組み立てたリチウムイオン二次電池について、初充電を行う初充電工程を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
上述のリチウムイオン二次電池の製造方法では、水にリン酸リチウム(Li3PO4 )を溶解してアルカリ性水溶液を作製する。リン酸リチウムを含む正極ペーストを用いて形成された正極活物質層には、リン酸リチウムが含まれるため、初充電工程で電池を初充電した際に、リン酸リチウムが分解して、正極活物質粒子の粒子表面にリンを含む被膜が形成される。この被膜は、電解液が正極活物質粒子に直接接触するのを抑制する。このため、電解液の非水溶媒が正極活物質粒子の粒子表面で酸化分解されるのを抑制した電池を製造できる。このように、リン酸リチウムを用いることで、水溶液作製工程においてアルカリ性水溶液を容易に得られる上、初充電工程において電解液の酸化分解を抑制する被膜を形成できる。
実施形態に係るリチウムイオン二次電池の斜視図である。 実施形態に係るリチウムイオン二次電池を電池厚み方向に直交する(電池横方向及び電池縦方向に沿う)平面で切断した電池の縦断面図である。 実施形態に係り、正極板及び負極板をセパレータを介して互いに重ねた状態を示す、電極体の展開図である。 実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造工程を示すフローチャートである。 実施形態に係るペースト作製工程を示す説明図である。 比較例に係るペースト作製工程を示す説明図である。 実施例及び比較例に係る正極板について、正極活物質粒子の粒子表面におけるMn(III)の厚みを示すグラフである。 実施例及び比較例に係るリチウムイオン二次電池について、電池抵抗比を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1及び図2に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう)1の斜視図及び縦断面図を示す。また、図3に、この電池1を構成する電極体20の展開図を示す。なお、以下では、電池1の電池厚み方向BH、電池横方向CH及び電池縦方向DHを、図1及び図2に示す方向と定めて説明する。
この電池1は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両などに搭載される角型で密閉型の非水系のリチウムイオン二次電池である。電池1は、電池ケース10と、この内部に収容された電極体20と、電池ケース10に支持された正極端子部材50及び負極端子部材60等から構成される。また、電池ケース10内には、非水電解液19が収容されており、その一部は電極体20内に含浸され、残りは余剰液として電池ケース10の底部に溜まっている。この非水電解液19の電解質は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6 )であり、非水溶媒は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合有機溶媒である。
このうち電池ケース10は、直方体箱状で金属(本実施形態ではアルミニウム)からなる。この電池ケース10は、上側のみが開口した有底角筒状のケース本体部材11と、このケース本体部材11の開口を閉塞する形態で溶接された矩形板状のケース蓋部材13とから構成される。ケース蓋部材13には、アルミニウムからなる正極端子部材50がケース蓋部材13と絶縁された状態で固設されている。この正極端子部材50は、電池ケース10内で電極体20の正極板21に接続し導通する一方、ケース蓋部材13を貫通して電池外部まで延びている。また、ケース蓋部材13には、銅からなる負極端子部材60がケース蓋部材13と絶縁された状態で固設されている。この負極端子部材60は、電池ケース10内で電極体20の負極板31に接続し導通する一方、ケース蓋部材13を貫通して電池外部まで延びている。
電極体20は、扁平状をなし、横倒しにした状態で電池ケース10内に収容されている。電極体20と電池ケース10との間には、絶縁フィルムからなる袋状の絶縁フィルム包囲体17が配置されている。電極体20は、帯状の正極板21と帯状の負極板31とを、帯状の一対のセパレータ41,41を介して互いに重ね(図3参照)、軸線周りに捲回して扁平状に圧縮したものである。
正極板21は、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔22の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上に、正極活物質層23,23を帯状に設けてなる。正極板21のうち幅方向の片方の端部は、厚み方向に正極活物質層23が存在せず、正極集電箔22が厚み方向に露出した正極露出部21mとなっている。前述の正極端子部材50は、この正極露出部21mに溶接されている。
正極活物質層23には、リチウムを含む正極活物質粒子、導電材(導電助剤)、結着剤及び増粘剤が含まれる。本実施形態では、正極活物質粒子としてリチウム遷移金属複合酸化物粒子、具体的には、スピネル型の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物の1つであるLiNi0.5Mn1.54 からなる粒子を用いている。また、導電材としてアセチレンブラック(AB)を、結着剤としてポリアクリル酸ナトリウムを、増粘剤としてカルボシキメチルセルロース(CMC)を用いている。
負極板31は、帯状の銅箔からなる負極集電箔32の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上に、負極活物質層33,33を帯状に設けてなる。負極板31のうち幅方向の片方の端部は、厚み方向に負極活物質層33が存在せず、負極集電箔32が厚み方向に露出した負極露出部31mとなっている。前述の負極端子部材60は、この負極露出部31mに溶接されている。
負極活物質層33には、負極活物質粒子、負極結着剤及び増粘剤が含まれる。本実施形態では、負極活物質粒子として黒鉛粒子を、結着剤としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を、増粘剤としてカルボシキメチルセルロース(CMC)を用いている。
また、セパレータ41は、樹脂からなる多孔質膜のフィルムであり、帯状である。
次いで、上記電池1の製造方法について説明する(図4及び図5参照)。まず、正極板21の製造について説明する。ペースト作製工程S1において、水系の正極ペーストを作製する。即ち、まず、ペースト作製工程S1の水溶液作製工程S11において、アルカリ性水溶液を作製する。具体的には、水(詳細にはイオン交換水)にリン酸リチウムを溶解してpH=10.75のアルカリ性水溶液を作製する。
その後、ペースト作製工程S1の活物質混合工程S12において、正極活物質粒子(LiNi0.5Mn1.54 粒子)及び導電材(AB)を乾式混合した後、この混合粉末を上述のアルカリ性水溶液に加えてプラネタリーミキサで混合する。前述のアルカリ性水溶液は、中性の水に比して水素イオンの量が少ないため、このアルカリ性水溶液に正極活物質粒子を混合したとき、正極活物質粒子からアルカリ性水溶液中へのリチウムイオンの溶出が少なく、正極活物質粒子の粒子表面への水素イオンの付着が少ない。
なお、アルカリ性水溶液のpHは、正極活物質粒子及び導電材を混合した後も、pH=10.75のままである。また、本実施形態では、次述する増粘剤混合工程S13に先だって活物質混合工程S12を行っているので、この活物質混合工程S12では、粘性の低い状態で、アルカリ水溶液に容易に正極活物質粒子及び導電材を分散できる。
その後、増粘剤混合工程S13において、正極活物質粒子及び導電材を混合したアルカリ性水溶液に、増粘剤(CMC)を水に分散した増粘剤分散液を加えてプラネタリーミキサで混合する。
その後、結着剤混合工程S14において、正極活物質粒子、導電材及び増粘剤を混合したアルカリ性水溶液に、結着剤(ポリアクリル酸ナトリウム)を加えてプラネタリーミキサで混合して、「水系」の正極ペーストを得る。
次に、正極板作製工程S2において、正極集電箔22上に正極ペーストを塗布し乾燥させた正極活物質層23を有する正極板21を作製する。具体的には、上述の正極ペーストを、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔22の一方の主面にコンマコータを用いて塗布する。その後、この塗膜を加熱乾燥させて、正極活物質層23を形成する。更に、正極集電箔22の他方の主面にも同様に正極ペーストを塗布し、加熱乾燥させて、正極活物質層23を形成する。その後、この正極板をロールプレス機でプレスして、正極活物質層23,23の密度を高める。これにより、正極板21が形成される。
なお、前述のように、活物質混合工程S12において、正極活物質粒子からアルカリ性水溶液中へのリチウムイオンの溶出が少なく、正極活物質粒子の粒子表面への水素イオンの付着が少なくなっているので、正極ペーストの塗膜の乾燥時には、下記の反応式に示す酸素離脱反応が生じ難い。即ち、正極活物質粒子の粒子表面に付着した水素イオンが正極活物質粒子中に含まれる酸素イオンと結合し、水(H2O)となって離脱する反応が生じ難く、正極活物質粒子の粒子表面でMn(III)が生じ難い。このため、正極活物質粒子の粒子表面における反応抵抗が高くなるのを抑制できる。
Li(1-x)xNi0.5Mn(IV)1.54
→Li(1-x)(x-y)Ni0.5Mn(III)yMn(IV)(1.5-y)(4-0.5y)+0.5yH2
また別途、負極板31を形成しておく。具体的には、まず、負極活物質粒子(黒鉛粒子)、結着剤(SBR)及び増粘剤(CMC)を、溶媒(水)と共に混練して、負極ペーストを作製する。そして、この負極ペーストを、帯状の銅箔からなる負極集電箔32の一方の主面に塗布し、加熱乾燥させて、負極活物質層33を形成する。また、負極集電箔32の反対側の主面にも同様に負極ペーストを塗布し、加熱乾燥させて、負極活物質層33を形成する。その後、この負極板をロールプレス機でプレスして、負極活物質層33,33の密度を高める。これにより、負極板31が形成される。
次に、電極体作製工程S3において、正極板21、負極板31等を用いて、電極体20を形成する。具体的には、正極板21及び負極板31を、別途用意した一対のセパレータ41,41を介して互いに重ね(図3参照)、巻き芯を用いて捲回する。更に、これを扁平状に圧縮して電極体20を形成する(図2参照)。
次に、組立工程S4において、電池を組み立てる。具体的には、ケース蓋部材13に正極端子部材50及び負極端子部材60をそれぞれ固設する(図1及び図2参照)。更に、正極端子部材50及び負極端子部材60を電極体20にそれぞれ溶接する。電極体20に絶縁フィルム包囲体17を被せて、これらをケース本体部材11内に挿入すると共に、ケース本体部材11の開口をケース蓋部材13で塞ぐ。そして、ケース本体部材11とケース蓋部材13とをレーザ溶接して電池ケース10を形成する。その後、非水電解液19を、ケース蓋部材13に設けられた注液孔13hから電池ケース10内に注液して電極体20内に含浸させた後、封止部材15で注液孔13hを封止する。
次に、初充電工程S5において、この電池に初充電を行う。具体的には、この電池に0.3Cの定電流で電池電圧4.75Vまで充電する。この初充電の際、正極活物質層23に含まれるリン酸リチウムは分解されて、正極活物質粒子の粒子表面にリンを含む被膜が形成される。この被膜は、非水電解液19が正極活物質粒子に直接接触するのを抑制する。このため、非水電解液19の非水溶媒が正極活物質粒子の粒子表面で酸化分解されるのを抑制できる。
また、電池について各種検査を行う。かくして、電池1が完成する。
(実施例及び比較例)
次いで、本発明の効果を検証するために行った試験の結果について説明する。実施例として、上述の実施形態と同様にして、正極ペーストを作製し、これを用いて正極板21を製造し、更に電池1を製造した。即ち、この実施例で用いた正極ペーストは、水溶液作製工程S11でアルカリ性水溶液を作製し、その後、活物質混合工程S12でこのアルカリ性水溶液に正極活物質粒子及び導電材を混合した。更に、増粘剤混合工程S13で増粘剤分散液を混合し、結着剤混合工程S14で結着剤を混合して作製したものである(図5及び図4参照)。
一方、比較例として、図6に示す手法により正極ペーストを作製し、これを用いて正極板21を製造し、更に電池1を製造した。即ち、この比較例では、まず、水(イオン交換水)と増粘剤分散液(CMC分散液)とを混合して、ペースト状の中性水溶液を得る。この水溶液のpHは、表1に示すように、pH=7.34であった。
次に、正極活物質粒子(LiNi0.5Mn1.54 粒子)、導電材(AB)及びリン酸リチウムを乾式混合した後、この混合粉末を上述の中性水溶液に加えて混合する。この混合後の水溶液のpHは、表1に示すように、pH=10.74であり、実施例における活物質混合工程S12の後の水溶液のpH(=10.75)とほぼ同じであった。
その後、この水溶液に結着剤(ポリアクリル酸ナトリウム)を加えて混合して、正極ペーストを得た。その後は、この正極ペーストを用いて、実施形態と同様にして正極板21を製造し、更に電池1を作製した。
Figure 2017142937
実施例及び比較例の各正極板21について、正極活物質層23から正極活物質粒子をそれぞれ回収した。そして、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS:Time-of-flight secondary ion mass spectrometer)を用いて、正極活物質粒子の粒子表面におけるMn(III)を含む部分の厚み(nm)をそれぞれ測定した。具体的には、飛行時間型二次イオン質量分析計による粒子表面の成分測定を行った後、粒子表面をイオンスパッタリングでエッチングした。この成分測定と表面エッチングとを交互に繰り返し行って、正極活物質粒子を構成する成分を粒子表面から深さ方向に調査した。そして、Mn(III)が含まれる部分の粒子表面からの厚み(深さ)を求めた。その結果を表1及び図7に示す。
また、実施例及び比較例の各電池1について、電池の初期の電池抵抗をそれぞれ測定した。具体的には、25℃の温度環境下において、各電池を1/3Cの充電電流値でSOC60%まで充電し、その後、1C、3C或いは5Cの放電電流値でCC放電を行い、放電開始から10秒間の電圧降下量をそれぞれ測定した。そして、電圧降下量と放電電流値との関係から、電池抵抗(IV抵抗)を求め、これを初期の電池抵抗値とした。更に、比較例の電池の初期の電池抵抗値を基準(=1.00)として、実施例の電池の電池抵抗比をそれぞれ求めた。その結果を表1及び図8に示す。
表1及び図7から明らかなように、比較例に比べて実施例では、正極活物質粒子の粒子表面におけるMn(III)を含む部分の厚みが薄い。また、表1及び図8から明らかなように、比較例に比べて実施例では、電池抵抗比が小さいことが判る。
その理由は、以下であると考えられる。即ち、比較例では、中性水溶液に正極活物質粒子を混合しているため、正極活物質粒子から中性水溶液中へのリチウムイオンの溶出が多く、正極活物質粒子の粒子表面への水素イオンの付着が多い。このため、正極ペーストの塗膜を乾燥させたときに、正極活物質粒子の粒子表面に付着した水素イオンが正極活物質粒子中に含まれる酸素イオンと結合し、水(H2O)となって離脱する酸素離脱反応が多く生じ、これに伴って、正極活物質粒子の粒子表面で多くのMn(IV)がMn(III)に変化した。その結果、正極活物質粒子の粒子表面における反応抵抗が高くなり、電池抵抗が高くなったと考えられる。
これに対し、実施例では、水に正極活物質粒子を混合するのに先だって、予め水溶液をアルカリ性とし、水溶液に含まれる水素イオンの量を少なくしてあるので、このアルカリ性水溶液に正極活物質粒子を混合したときに、正極活物質粒子からアルカリ性水溶液中へのリチウムイオンの溶出が少なく、正極活物質粒子の粒子表面への水素イオンの付着が少ない。このため、正極ペーストの塗膜の乾燥時に、前述の酸素離脱反応が生じ難く、正極活物質粒子の粒子表面でMn(IV)からMn(III)への変化が少なかった。その結果、正極活物質粒子の粒子表面における反応抵抗が比較例に比して低くなり、電池抵抗が比較例に比して低くなったと考えられる。
以上で説明したように、電池1の製造方法では、ペースト作製工程S1は、アルカリ性水溶液を作製する水溶液作製工程S11と、アルカリ性水溶液に正極活物質粒子等を混合する活物質混合工程S12とを有する。これにより、「水系」の正極ペーストを用いて正極活物質層23を形成しながらも、正極ペーストの塗膜を乾燥させたときに正極活物質粒子の粒子表面でMn(IV)の一部がMn(III)に変化するのを抑制でき、正極活物質層23の反応抵抗が高くなるのを抑制できる。
更に、電池1の製造方法では、リン酸リチウムを水に溶解してアルカリ性水溶液を作製している。リン酸リチウムを含む正極ペーストを用いて形成された正極活物質層23には、リン酸リチウムが含まれるため、初充電工程S5で電池を初充電した際に、正極活物質粒子の粒子表面にリンを含む被膜が形成される。この被膜により、正極活物質粒子の粒子表面で非水電解液19の非水溶媒が酸化分解するのを抑制できる。このように、リン酸リチウムを用いることで、水溶液作製工程S11においてアルカリ性水溶液を容易に得られる上、初充電工程S5において非水電解液19の酸化分解を抑制する被膜を形成できる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
1 リチウムイオン二次電池(電池)
10 電池ケース
19 非水電解液
20 電極体
21 正極板
22 正極集電箔
23 正極活物質層
31 負極板
41 セパレータ
50 正極端子部材
60 負極端子部材

Claims (1)

  1. リチウムを含有する正極活物質粒子を含む正極活物質層が正極集電箔上に形成された正極板を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    上記正極活物質粒子と水とを含む水系の正極ペーストを作製するペースト作製工程と、
    上記正極集電箔上に上記正極ペーストを塗布し乾燥させた上記正極活物質層を有する上記正極板を作製する正極板作製工程と、を備え、
    上記ペースト作製工程は、
    アルカリ性水溶液を作製する水溶液作製工程と、
    上記水溶液作製工程の後、上記アルカリ性水溶液に上記正極活物質粒子を混合する活物質混合工程と、を有する
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
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