JP2017020683A - 間接式ガス冷却装置および間接式ガス冷却装置の劣化診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】間接式ガス冷却装置の操業を中断することなく、簡便に冷却管の劣化を診断することができる間接式ガス冷却装置と、前記間接式ガス冷却装置を用いてガスの冷却を行う際の、該間接式ガス冷却装置の劣化診断方法を提供する。
【解決手段】冷却管内を流れる冷却水によりガスを冷却する間接式ガス冷却装置であって、前記冷却管と前記ガスとを接触させるガス冷却塔と、前記ガス冷却塔より小型であり、前記冷却管と同じ材質からなる検査用冷却管を備え、かつ前記ガスを内部に流さない検査用模擬冷却塔と、前記ガス冷却塔と前記検査用模擬冷却塔とに前記冷却水を供給する冷却水供給手段と、前記検査用模擬冷却塔を迂回して冷却水を流すためのバイパス配管とを備える、間接式ガス冷却装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、間接式ガス冷却装置に関するものであり、特に、該間接式ガス冷却装置の操業を中断することなく、簡便に冷却管の劣化を診断することができる間接式ガス冷却装置に関するものである。また、本発明は前記間接式ガス冷却装置を用いてガスの冷却を行う際の、該間接式ガス冷却装置の劣化診断方法に関するものである。
高温のガスを冷却する方法としては、前記ガスを冷却水などの冷媒と熱交換させる方法が広く利用されている。前記方法に用いられるガス冷却装置には、冷却水をガス中に噴霧することによって該ガスを冷却する直接式ガス冷却装置と、冷却水が流れる冷却管とガスとを接触させて該ガスを冷却する間接式ガス冷却装置の、2つのタイプがある。
例えば、特許文献1には、間接式ガス冷却装置を用いて、コークス炉から排出されるコークス炉ガスを冷却する技術が記載されている。引用文献1に記載された前記技術においては、冷却水が流れる冷却管とコークス炉ガスとをガス冷却塔内で接触させることにより、前記コークス炉ガスの温度を約80℃から約35℃まで低下させている。
このような間接式ガス冷却装置においては、冷却水とガスとが直接接触しないため、前記ガスに含まれる成分によって冷却水が汚染されることがない。また、そのため、冷却水を冷却するための冷却塔を別途設けることにより、冷却水を容易に循環利用することができる。
特開2014−189599号公報
しかし、特許文献1に記載されているような間接式ガス冷却装置においては、以下の理由により冷却管が腐食するという問題がある。
間接式ガス冷却装置においては、冷却水とガスとの間の熱交換を効率的に行わせるために、熱伝導率に優れる金属製の冷却管を使用することが一般的である。該冷却管の内部を流れる冷却水は、上述したように冷却対象であるガスと直接接触することはないものの、該冷却水を冷却するための冷却塔などにおいて大気と接触する。その結果、大気中に含まれる汚染物質の冷却水への溶解や冷却水の蒸発が生じ、腐食性イオンが冷却水中に濃縮される。そのような冷却水を用いて、間接式ガス冷却装置を長期間稼働させると、冷却管内面の腐食による減肉や、孔食の発生が生じる。
したがって、間接式ガス冷却装置を連続的に使用する場合には、定期的に冷却管の腐食状態の検査が行われる。しかし、冷却管は高温のガスと熱交換を行うためのガス冷却塔内に設置されているため、冷却管の検査を行うためには間接式ガス冷却装置の操業を中断したうえで、水室カバーを開放し、冷却管を抜き取る必要がある。その後、抜き取られた冷却管の内面を必要に応じて洗浄し、該冷却管の腐食状態が各種の方法で検査される。
上記のような方法で検査を行う必要があるため、検査を行っている間は間接式ガス冷却装置を使用することができず、該間接式ガス冷却装置を使用する設備の稼働率が低下する。特に、コークス炉ガスの冷却に使用されるような大型の間接式ガス冷却装置においては、検査に数週間を要し、そのための費用も多額となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、間接式ガス冷却装置の操業を中断することなく、簡便に冷却管の劣化を診断することができる間接式ガス冷却装置と、前記間接式ガス冷却装置を用いてガスの冷却を行う際の、該間接式ガス冷却装置の劣化診断方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.冷却管内を流れる冷却水によりガスを冷却する間接式ガス冷却装置であって、
前記冷却管と前記ガスとを接触させるガス冷却塔と、
前記ガス冷却塔より小型であり、前記冷却管と同じ材質からなる検査用冷却管を備え、かつ前記ガスを内部に流さない検査用模擬冷却塔と、
前記ガス冷却塔と前記検査用模擬冷却塔とに前記冷却水を供給する冷却水供給手段と、
前記検査用模擬冷却塔を迂回して冷却水を流すためのバイパス配管とを備える、間接式ガス冷却装置。
2.さらに、前記検査用冷却管を流れる冷却水の温度を調整するための温度調節手段を備える、前記1に記載の間接式ガス冷却装置。
3.前記ガスが、コークス炉から排出されたコークス炉ガスである、前記1または2に記載の間接式ガス冷却装置。
4.間接式ガス冷却装置の劣化診断方法であって、
前記間接式ガス冷却装置として、前記1〜3のいずれか一項に記載の間接式ガス冷却装置を使用し、
前記検査用冷却管の劣化状態を検査し、
前記検査の結果に基づいて前記冷却管の劣化状態を判断する、間接式ガス冷却装置の劣化診断方法。
5.前記検査の結果が所定の基準を超えた場合に、前記冷却管の点検および補修の少なくとも一方を実施する、前記4に記載の間接式ガス冷却装置の劣化診断方法。
本発明によれば、間接式ガス冷却装置の操業を中断することなく、簡便に冷却管の劣化を診断することができる。これにより、前記間接式ガス冷却装置を使用する設備の稼働効率を向上させることができることに加え、検査に必要な費用を低減することができる。
本発明の一実施形態における間接式ガス冷却装置を示す概略図である。
本発明の間接式ガス冷却装置は、ガス冷却塔と、検査用模擬冷却塔と、冷却水供給手段とを備えており、前記冷却水供給手段により前記ガス冷却塔と検査用模擬冷却塔の両者に冷却水が供給される。また、前記間接式ガス冷却装置は、さらに、前記検査用模擬冷却塔を迂回して冷却水を流すためのバイパス配管を備えている。以下、本発明の間接式ガス冷却装置の各部の構成について順次説明する。
<ガス>
本発明の間接式ガス冷却装置は、冷却管内を流れる冷却水と熱交換させることにより、高温のガスを冷却するためのものである。前記冷却対象のガスとしては、特に限定されることなく、任意のガスを用いることができる。使用できるガスの例としては、石炭を乾留するコークス炉ガスから発生するコークス炉ガス(「Cガス」ともいう)が挙げられる。冷却対象のガスとしてコークス炉ガスを使用する場合には、安水(アンモニア水)による直接冷却によって80℃程度まで冷却した後に、本発明の間接式ガス冷却装置による冷却を行うことが好ましい。なお、このようなアンモニア水による直接冷却後のコークス炉ガスを冷却するための冷却装置は、「プライマリークーラー」とも呼ばれる。
<冷却水>
上記冷却水は、上記ガスを冷却するための冷媒として使用されるものである。前記冷却水としては、水道水、地下水、工業用水など、任意の水を用いることができる。また、前記冷却水は、任意の添加剤を含有していてもよい。前記添加剤としては、例えば、腐食防止剤、スケール防止剤、pH調整剤、スライム防止剤、スライム剥離剤、スライムコントロール剤、抗菌剤、殺菌剤、殺藻剤などを、1種または2種以上を使用することができる。
前記冷却水の温度は特に限定されず、所望の冷却効果が得られるように設定すれば良い。例えば、安水による直接冷却後のコークス炉ガスの冷却を行う場合には、冷却水の温度を30℃以下とすることが好ましい。また、一度冷却に使用された冷却水は、そのまま温排水として排出することもできるが、後述するように該冷却水を冷却して循環利用することが好ましい。
<ガス冷却塔>
上記ガスと冷却水の間の熱交換は、ガス冷却塔において行われる。前記ガス冷却塔としては、冷却管を備え、間接式でガスを冷却するものであれば、任意のものを使用できる。前記冷却管の詳細については後述する。
冷却効率の観点から、前記ガス冷却塔は、冷却水を塔の下部から入れて塔頂部付近より排出する向流式の冷却塔とすることが好ましい。
<冷却管>
上記冷却管としては、冷却水を流し、ガスと熱交換させることができるものであれば任意のものを用いることができるが、通常は金属製の冷却管が用いられる。前記金属としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鋼などを用いることが好ましく、前記鋼としては、炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼などを用いることが好ましい。また、耐食性向上の観点からは、表面にめっき被膜を有する冷却管を用いることが好ましい。前記めっき被膜としては、例えば、アルミニウムめっき皮膜、アルミニウム合金めっき被膜、亜鉛めっき被膜、亜鉛合金めっき被膜などを使用することができる。前記めっき被膜は、任意の方法で形成されためっき被膜であってよく、例えば、溶融めっき皮膜、電気めっき皮膜等であってよい。
前記冷却管の断面形状は特に限定されないが、通常は円形である。また、前記冷却管の寸法は、冷却条件に合わせて適宜選定すればよい。
<検査用模擬冷却塔>
本発明の間接式ガス冷却装置は、上記ガス冷却塔に加えて、検査用模擬冷却塔を備えている。本発明においては、ガス冷却塔における冷却管の劣化の診断を、実際にガス冷却塔内に設置されている冷却管を検査することに変えて、前記検査用模擬冷却塔に設置された検査用冷却管を検査することによって行うことができる。前記検査用模擬冷却塔は、上記ガス冷却塔の冷却管内部の腐食検査のためのものであるため、該検査用模擬冷却塔において実際に高温ガスの冷却を行う必要は無く、また、前記検査用模擬冷却塔は、前記ガス冷却塔よりも小型とすることができる。したがって、前記検査用模擬冷却塔は、冷却対象である高温ガスを流さないものとすることができる。しかし、劣化診断の精度をあげるためには、検査用冷却管の外表面の温度を、上記ガス冷却塔へ導入されるガス温度と同程度にするのが好ましい。具体的には、ガス冷却塔へ導入されるガスの温度と同程度の温度に調整された空気などの媒体を、検査用模擬冷却塔に供給することが好ましい。
前記検査用模擬冷却塔は、前記ガス冷却塔よりも小型であれば任意の形態とすることができる。ガス冷却塔における冷却管の腐食状況をより正確に再現するという観点からは、前記検査用模擬冷却塔を、前記ガス冷却塔と同じ構造を有し、寸法のみが小さい相似形のもの、言い換えれば、ガス冷却塔のミニチュアとすることが好ましい。また、設備を簡略化し、コストを削減するという観点からは、前記検査用模擬冷却塔を、前記ガス冷却塔と異なる、簡略化された構造とすることもできる。
前記検査用模擬冷却塔の寸法は、特に限定されないが、例えば、ガス冷却塔に比べ、内部容積が1/4以下とすることができる。
前記検査用模擬冷却塔には後述する検査用冷却管が設置されているが、該検査用冷却管は、検査が行いやすいように取り外し可能に設置されていることが好ましい。これにより、容易に検査用冷却管を取り外して、その検査を行うことができる。
<検査用冷却管>
上記検査用模擬冷却塔に設置される検査用冷却管は、上記ガス冷却塔に設置される冷却管と同じ材質からなるものとすることが重要である。同じ材質の管を用いることにより、前記検査用冷却管の腐食状態に基づいて、前記ガス冷却塔内の冷却管の腐食状態を推定することが可能となる。前記冷却管の腐食状態をより正確に再現するためには、前記検査用冷却管の肉厚は、前記ガス冷却塔に設置される冷却管と同じとすることが好ましい。同様に、検査用冷却管の径は、ガス冷却塔に設置される冷却管と同じとすることが好ましい。これにより、管内における冷却水の流速を同一とすることができるため、劣化診断の精度をさらに向上させることができる。また、前記冷却管がめっき被膜を有している場合には、前記検査用冷却管も同様の材質および膜厚のめっき被膜を有していることが好ましい。
<冷却水供給手段>
本発明の間接式ガス冷却装置は、上記ガス冷却塔と検査用模擬冷却塔とに冷却水を供給するための冷却水供給手段を備えている。前記冷却水供給手段としては、例えば、ポンプを使用することができる。
前記冷却水供給手段による冷却水の供給は、ガス冷却塔と検査用模擬冷却塔の両者に対して行われる。この際、前記ガス冷却塔と検査用模擬冷却塔は直列に接続されている。例えば、冷却水供給手段としてのポンプ、ガス冷却塔、および検査用模擬冷却塔を、この順序で接続することができる。この場合、前記ガス冷却塔においてガスの冷却に使用された後の冷却水が、前記検査用模擬冷却塔に供給される。また、複数の冷却水供給手段を用いて、前記ガス冷却塔と検査用模擬冷却塔に独立して冷却水を供給することもできる。ただし、いずれの場合においても、ガス冷却塔と検査用模擬冷却塔に供給される冷却水は同一のものとすることが好ましい。
<バイパス配管>
本発明においては、さらに間接式ガス冷却装置が、前記検査用模擬冷却塔を迂回して冷却水を流すためのバイパス配管を備えていることが重要である。検査用模擬冷却塔に設置された検査用冷却管の検査を行うためには、該検査用冷却管を検査用模擬冷却塔から抜き取って検査を行うことが好ましい。しかし、前記間接式ガス冷却装置の稼働中は、検査用冷却管の内部に冷却水が流れているため、該検査用冷却管を抜き出すためには冷却水の供給を停止する必要がある。すなわち、ガス冷却塔とは別に検査用模擬冷却塔を設けているにもかかわらず、検査を行うために間接式ガス冷却装置全体の操業を中断する必要がある。そこで、上述のように検査用模擬冷却塔を迂回して冷却水を流すためのバイパス配管を設けることにより、検査用冷却管の検査を行う間、前記バイパス配管を利用して検査用模擬冷却塔を迂回して冷却水を流すことにより、間接式ガス冷却装置全体の操業を中断することなく検査を行うことが可能となる。
前記バイパス配管の入口側は、検査用模擬冷却塔へ冷却水を供給するための配管に接続される。前記入口側の接続部には、冷却水を検査用模擬冷却塔へ流すか、バイパス配管へ流すかを切替えることのできる弁を設けることが好ましい。
<温度調節手段>
本発明の間接式ガス冷却装置は、さらに、前記検査用冷却管を流れる冷却水の温度を調整するための温度調節手段を備えることが好ましい。冷却管の腐食の進行は、該冷却管の内部を流れる冷却水の温度に依存する。上記のように温度調整手段を設けることにより、検査用冷却管の腐食環境がガス冷却塔に設置された冷却管の腐食環境により近くなるように水温を制御することが可能となる。
上記温度調整手段は、検査用冷却管の入り側、すなわち、検査用模擬冷却塔の上流側に設置することが好ましい。前記温度調節手段は、例えば、前記検査用冷却管に入る冷却水の温度が、ガス冷却塔に設置された冷却管を出る冷却水の温度と略同一となるように温度制御を行うことが好ましい。冷却水の温度が高い方が冷却管の劣化の進行が速いので、このような温度調整を行うと劣化の進行をより早く検知することができる。
[劣化診断]
次に、上記間接式ガス冷却装置を使用する際に、該間接式ガス冷却装置の劣化を診断する方法について説明する。なお、ここで間接式ガス冷却装置の劣化とは、該間接式ガス冷却装置の冷却等に備えられた冷却管の劣化を表すものとする。
診断を行う際には、まず、上述したバイパス配管を利用して、検査用模擬冷却塔を迂回して冷却水を流す。これにより、検査用冷却管には冷却水が流れなくなるため、該検査用冷却管を容易に取り外すことが可能となる。その後、検査用冷却管を検査用模擬冷却塔から抜き出し、抜き出された検査用冷却管の劣化状態を検査する。その際、前記検査用模擬冷却塔はガス冷却塔と異なり内部に有害な高温ガスが流れていないため、容易に水室カバーなどを開放して検査用冷却管の抜き出し作業を実施することができる。
上記検査は、特に限定されることなく、劣化状態を検査することのできる方法であれば任意の方法を用いることができる。使用できる検査方法の例としては、管の肉厚(残厚)の測定や、目視による管表面の状態や孔食の進行状況の検査などが挙げられる。検査は、1つの検査用冷却管について行ってもよいが、診断精度を向上させるという観点からは、複数の検査用冷却管について行うことが好ましい。
前記検査用冷却管が設置されている環境は、実際にガスの冷却を行っている冷却塔に設置された冷却管の環境を模したものであるため、前記検査用冷却管の劣化状態は、前記冷却管の劣化状態とほぼ同様であると考えられる。そこで、上記検査の結果、前記検査用冷却管の劣化状態が、所定の基準を超えていた場合には、ガス冷却塔に設置されている冷却管の点検や補修を実施することが好ましい。
一方、上記検査の結果、前記検査用冷却管の劣化状態が所定の基準を超えていない場合には、抜き出した検査用冷却管を検査用模擬冷却塔に戻し、冷却水の流れをバイパス配管から検査用模擬冷却塔へ切替えて、通常の運転を継続することができる。この検査を行っている間も、冷却水は前記バイパス配管を通って流れ続けているため、冷却水の供給や循環を停止する必要がない。したがって、ガス冷却塔を稼働させ続けたまま検査を行うことができる。
次に、コークス炉ガスを冷却する場合を例に、本発明を実施する方法についてさらに具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な一実施態様を示すものであり、本発明は、以下の説明によって何ら限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態における間接式ガス冷却装置1の全体を表した概略図である。間接式ガス冷却装置1は、ガス冷却塔10、検査用模擬冷却塔20、冷却水供給手段としてのポンプ30、および冷却塔40を備えている。ガス冷却塔10、検査用模擬冷却塔20、ポンプ30、および冷却塔40は、循環用配管50により直列に接続されている。また、循環用配管50の途中には、検査用模擬冷却塔20を迂回するバイパス配管60が設けられている。
ポンプ30によって送り出された冷却水2は、循環用配管50を通ってガス冷却塔10へ供給される。ここでは、ガス冷却塔10へ供給される時点における冷却水2の温度を30℃とする。ガス冷却塔10は、高さ14m、幅約3.6mの大型冷却塔であり、内部に斜管式の冷却管11を3444本備えている。冷却管11は、炭素鋼管SPG65A(外径:76.3mm、肉厚:4.2mm)からなり、ガス冷却塔10に設置された3444本の冷却管11の容積の合計は3007リットルとなる。また、ガス冷却塔10の外面には水室カバー12が設けられている。
ガス冷却塔10は向流式の冷却塔であり、冷却水2が冷却塔10の下部から供給される一方で、高温のコークス炉ガス3はガス冷却塔10の塔頂部より導入される。本実施形態では、コークス炉ガス3として、安水を用いて直接冷却された、温度83℃のコークス炉ガスを用いるものとする。ガス冷却塔10へ導入されたコークス炉ガス3は、冷却管11と接触して冷却されながら、ガス冷却塔10内を下方へ移動し、底部から排出される。冷却水2は、コークス炉ガス3と熱交換しながらガス冷却塔10内を上昇し、塔頂部付近から排出される。冷却水2との熱交換の結果、コークス炉ガスは83℃から35℃まで冷却され、反対に冷却水は30℃から60℃まで加熱される。
ガス冷却塔10から排出された冷却水2は、循環用配管50を通って検査用模擬冷却塔20へ送られる。循環用配管50の、ガス冷却塔10と検査用模擬冷却塔20の間の位置には、バイパス用配管60の入り口が接続されており、図示されない弁により冷却水2を検査用模擬冷却塔20とバイパス用配管60のどちらへ流すかを切替えることができる。
検査用模擬冷却塔20の直前には、温度調整手段としてのヒーター70が設置されている。ヒーター70により、検査用模擬冷却塔20に導入される冷却水2の温度が、ガス冷却塔10から排出された時点における冷却水2の温度と同じになるように制御が行われる。
検査用模擬冷却塔20の内部には、検査用冷却管21が設置されており、ガス冷却塔10と類似の構造を有しているが、検査用模擬冷却塔20の内部にコークス炉ガスの替わりに、83℃に加熱した空気を流した。また、検査用模擬冷却塔20は、ガス冷却塔10よりも小型であり、そのサイズは、具体的には、検査用模擬冷却塔の容積、検査用冷却管の外表面積が、ガス冷却塔10の容積、ガス冷却管11の外表面積の1/10となるようにした。検査用冷却管21は、ガス冷却塔10に設置されている冷却管11と同じ炭素鋼管SPG65Aである。このように、材質や肉厚が同じ管を用いることにより、冷却管11の腐食状態を検査用冷却管21で模擬することができる。
検査用模擬冷却塔20から排出された冷却水2は、循環用配管50を通って冷却塔40へ送られる。なお、バイパス用配管60の出口は、循環用配管50の、検査用模擬冷却塔20と冷却塔40の間の位置に接続されており、バイパス配管60を経由した冷却水2も、最終的には冷却塔40へ送られる。
冷却塔40は、冷却水2を大気と熱交換させることによって冷却するためのものである。冷却塔40を用いて冷却水2を常温付近まで冷却することにより、冷却水2を循環利用することができる。冷却塔40は、送風のためのファンスタック41を上部に備え、下部には冷却水2を貯留するための水槽42を備えている。
次に、本実施形態の間接式ガス冷却装置1を使用する際に、間接式ガス冷却装置1の劣化、すなわち、ガス冷却塔10に設置された冷却管11の劣化を診断する方法を説明する。劣化の診断は、定期的に行うことが好ましいが、例えば、ガス冷却塔10や検査用模擬冷却塔20に設置したセンサーが異常を検知した際等に行うこともできる。
検査を行う際には、まず、上述した弁を切替えて、冷却水2が検査用模擬冷却塔20ではなくバイパス配管60を流れるようにする。次いで、検査用模擬冷却塔20に設けられている水室カバー22を開放し、内部に設置されている検査用冷却管21を抜き出す。抜き出された検査用冷却管21の表面状態を目視で確認することに加えて、管の肉厚を測定する。これにより、腐食による減肉や、孔食の進行状況を検査することができる。そして、検査用冷却管21の劣化状態は、冷却管11の劣化状態とほぼ同様であると考えられるため、検査用冷却管21の劣化状態の検査結果から、冷却管11の劣化状態を推定することができる。
検査の結果、検査用冷却管21の劣化状態が予め定めた基準を超えた場合には、ガス冷却塔10の運転を中断して冷却管11の点検や補修を行う。しかし、検査用冷却管21の劣化状態が予め定めた基準を超えなかった場合には、冷却管11の劣化状態も基準以下であると考えられるため、冷却管11の点検や補修を行う必要は無いと判断し、間接式ガス冷却装置1の運転を継続すればよい。運転を継続する場合には、検査のために抜き出した検査用冷却管21を検査用模擬冷却塔20に戻して、水室カバーを閉じる。その後、前記弁を切替えて、冷却水2がバイパス配管60ではなく検査用模擬冷却塔20を流れるようにする。
以上のように検査を行うことにより、間接式ガス冷却装置1の操業を中断することなく、簡便に冷却管11の劣化を診断することができる。また、その結果、間接式ガス冷却装置1を使用するコークス炉ガス処理設備の稼働効率を向上させることができることに加え、検査に必要な費用を低減することができる。
1 間接式ガス冷却装置
2 冷却水
3 コークス炉ガス
10 ガス冷却塔
11 冷却管
12 水室カバー
20 検査用模擬冷却塔
21 検査用冷却管
22 水室カバー
30 ポンプ(冷却水供給手段)
40 冷却塔
41 ファンスタック
42 水槽
50 循環用配管
60 バイパス配管
70 ヒーター(温度調整手段)

Claims (5)

  1. 冷却管内を流れる冷却水によりガスを冷却する間接式ガス冷却装置であって、
    前記冷却管と前記ガスとを接触させるガス冷却塔と、
    前記ガス冷却塔より小型であり、前記冷却管と同じ材質からなる検査用冷却管を備え、かつ前記ガスを内部に流さない検査用模擬冷却塔と、
    前記ガス冷却塔と前記検査用模擬冷却塔とに前記冷却水を供給する冷却水供給手段と、
    前記検査用模擬冷却塔を迂回して冷却水を流すためのバイパス配管とを備える、間接式ガス冷却装置。
  2. さらに、前記検査用冷却管を流れる冷却水の温度を調整するための温度調節手段を備える、請求項1に記載の間接式ガス冷却装置。
  3. 前記ガスが、コークス炉から排出されたコークス炉ガスである、請求項1または2に記載の間接式ガス冷却装置。
  4. 間接式ガス冷却装置の劣化診断方法であって、
    前記間接式ガス冷却装置として、請求項1〜3のいずれか一項に記載の間接式ガス冷却装置を使用し、
    前記検査用冷却管の劣化状態を検査し、
    前記検査の結果に基づいて前記冷却管の劣化状態を判断する、間接式ガス冷却装置の劣化診断方法。
  5. 前記検査の結果が所定の基準を超えた場合に、前記冷却管の点検および補修の少なくとも一方を実施する、請求項4に記載の間接式ガス冷却装置の劣化診断方法。
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