JP2017019916A - インクセットおよびインクジェット記録方法 - Google Patents

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幸隆 渡会
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Abstract

【課題】商業印刷に用いられるコート紙のような低吸収性の被記録媒体を用いても、ビーディング等が発生せず、また、定着性および画像濃度の低下を抑制し得るインクセットおよびインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】予め被記録媒体に付与される前処理液と、その後に前記被記録媒体に吐出されるインクとの組合せからなるインクセットであって、前記前処理液が、少なくとも、カルボキシ基を有し酸基量が0.95〜2.0[meq/g]の水分散性樹脂粒子およびオキセタン基を有する水溶性有機溶剤を含有し、かつ前記インクが、少なくとも、カルボキシ基を有する顔料、オキセタン基を有する水溶性有機溶剤および水を含有してなることを特徴とするインクセット。【選択図】図4

Description

本発明は、インクセットおよびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録は、低騒音、低ランニングコストであるなどの利点から普及してきている。従来、インクの目詰まり等の問題からインクジェットプリンタのインクには着色剤として溶解性の高い染料が主に用いられてきたが、耐水性、耐光性が要求されるポスター等を作製するために着色剤として顔料を含有するインクの使用も増加してきている。
また、インクジェットプリンタによりカラー画像を印字する際には、2色重ね部分等の色境界でのにじみを押さえるために、インクに界面活性剤などを添加することによりインクの浸透性を高めることが行われている。
しかし、インクの浸透性を高める方法では、定着性、ブリーディングについてはある程度防止できるものの、被記録媒体へのインク浸透性が高まる結果、インクと共に着色剤も被記録媒体の奥深くまで浸透してしまうために画像濃度、彩度が低下したりするなどの不都合がある。
このような、インクジェット記録方法の改良に関し、インク中の着色剤を凝集させる作用を有する処理液を用いたインクジェット記録方法が知られている
例えば、特許文献1(特許第3689444号公報)には、カチオン性物質及びノニオン性高分子物質とを併有する液体組成物により、アニオン性染料又はアニオン性化合物及び顔料を含むインクジェット用インクを凝集させ、ブリーディングを防止する画像形成方法が開示されている。
また、特許文献2(特許第4570118号公報)には、アニオン性の色材を含有する記録用インクの分散性を低下せしめるカチオン性高分子材料を高濃度に含有する処理液を用い、カールやコックリングが発生し難く高濃度の画像が得られる画像形成方法が開示されている。
しかし、これらの画像形成方法では、例えば商業印刷に用いられるコート紙のような低吸収性の被記録媒体を使用すると隣接するドットの合一によるビーディングの不具合が発生するという問題点があった。
また、特許文献3(特開2008−62503号公報)には、被記録媒体に、界面活性剤を含有する前処理液を付与して前処理を行い、これにインクジェット記録を行うインクジェット記録方法が開示され、特許文献4(特表2008−536079号公報)にはインク成分中に架橋反応しうる2成分(例えばイソシアネート架橋剤と活性水素基含有材料)を最初から共存させ、加熱等のエネルギーの付加によって、架橋反応させ、すなわちインクを定着させる印刷方法が開示されている。
しかし、特許文献3に開示された技術では、定着低下を防ぐことが難しいという問題点がある。定着性が不充分であった場合、被記録媒体の機上搬送中に被記録媒体搬送用の部材、ころ、用紙ガイド板等へのインク転移、さらにその転移インクの被記録媒体への再転移が発生する可能性があり、高速印刷、あるいは両面印刷の大きな妨げとなる。このことから高定着性、中でも高速乾燥性が望まれており、特にラインヘッド搭載の高速インクジェットプリンタではそのニーズがシリアルプリンタに比べて一段と高い。
一方、特許文献4に開示された技術では、画像濃度が低下するという問題点がある。
したがって本発明の目的は、商業印刷に用いられるコート紙のような低吸収性の被記録媒体を用いても、ビーディング等が発生せず、また、定着性および画像濃度の低下を抑制し得るインクセットを提供することにある。
前記課題は、下記構成1)によって解決される。
1)予め被記録媒体に付与される前処理液と、その後に前記被記録媒体に吐出されるインクとの組合せからなるインクセットであって、
前記前処理液が、少なくとも、カルボキシ基を有し酸基量が0.95〜2.0[meq/g]の水分散性樹脂粒子およびオキセタン基を有する水溶性有機溶剤を含有し、
前記インクが、少なくとも、カルボキシ基を有する顔料、オキセタン基を有する水溶性有機溶剤および水を含有することを特徴とするインクセット。
本発明によれば、商業印刷に用いられるコート紙のような低吸収性の記録媒体を用いても、ビーディング等が発生せず、また、定着性および画像濃度の低下を抑制し得るインクセットを提供することができる。
実施例における作製試料の評価で使用した試作ラインヘッド印字装置を説明するための内部構造の概略図である。 実施例における作製試料の評価で使用した外付け加熱装置の内部構造を示す概略図である。 実施例における作製試料の評価で使用した外付け加熱定着装置の内部構造を示す概略図である。 本発明に含まれる水性樹脂エマルションの酸基量測定結果の一例を示す図である。 図4の滴定曲線を微分した図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(前処理液)
本発明における前処理液は、少なくとも、カルボキシ基を有し酸基量が0.95〜2.0[meq/g]の水分散性樹脂粒子およびオキセタン基を有する水溶性有機溶剤を含有する。
本発明で使用される水分散性樹脂粒子は、例えば、連続相としての水中に分散された水性樹脂エマルションの状態で使用される。このような水性樹脂エマルションは、とくに制限されず、公知のものから適宜選択することができるが、後述するインクと接触することにより分散破壊を生起し、凝集する機能を有するものが好ましく、例えば、酸基量が0.95〜2.0[meq/g]以上のアニオン性ポリウレタン樹脂粒子を含むエマルションが挙げられる。このようなアニオン性ポリウレタン樹脂エマルションは、公知の手法により合成することができ、また市販品を用いることもできる。例えば三井化学(株)製のタケラックW5661等が挙げられる。
ここで、本発明で言う酸基量は、特開2007−3454号公報に記述された酸基量測定方法に準じて測定できる。すなわち、サンプルの固形分3gをポリスポイトにて300mlのポリエチレン製ビーカーに秤量して、秤量値を小数点第4位(0.0001gレンジ)まで正確に記録する。次いで、そのポリエチレン製ビーカー内にイオン交換水を100gになるまで注入する。さらに、撹拌子を入れて、マグネチックスターラーにセットし撹拌する。そして、電極と温度保証電極を浸す。滴定ノズルの先は液面より高く、滴定試薬が電極にかからないように電極から2センチ位離す。試薬1mol/l水酸化カリウム水溶液を適当量ピペットで正確に注入する。10分間撹拌後、パソコンより電位差自動滴定装置に滴定開始を指示する。測定終了後、得られた滴定曲線に自動印字された当量点の滴定量からmeq/gを算出する。
図4は、本発明に含まれる水性樹脂エマルションの酸基量測定結果の一例を示す図である。図4はHClの滴下量に対するpH変化を記録した滴定曲線であり、図4中の一点鎖線で囲んだ範囲pは第一当量点、範囲qは第二当量点を示しており、(1)で示した範囲では水酸化カリウムが中和され、(2)で示した範囲ではカルボキシ基が中和される。図5は変曲点を見るために図4の滴定曲線を微分した図である。図4の一点鎖線で記した第一当量点p、第二当量点qを持つ。図5において第一当量点から第二当量点までに要したHClの量からカルボキシ基の量を算出することができる。算出時には水性樹脂エマルション中の有効成分比率を加味して計算を行い、図5から得られた樹脂の酸基量は0.97[meq/g]であることが判明した。但し、例えば酸基量0.95〜2.0[meq/g]以上のアニオン性ポリウレタン樹脂エマルションは、強アルカリ性、強酸性下では分散破壊や加水分解などの分子鎖の断裂が引き起こされるため、pHは4〜12が好ましく、特にインクにおける顔料との混和性の点からpHは6〜11がより好ましく、7〜9が更に好ましい。
本発明における水性樹脂エマルションの前処理液における含有量は、有効成分量(水分散性樹脂粒子の固形分)として、5〜20質量%が好ましく、8〜16質量%がより好ましい。含有量が5質量%未満では、定着性が不足する恐れがある。また16質量%を超えると、保存安定性や吐出安定性が低下する場合がある。
水分散性樹脂粒子の平均粒径は、100nm〜500nmが好ましい。
前処理液に含まれるオキセタン基を有する水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、公知のものから適宜選択することができる。オキセタン基を有する水溶性有機溶剤は、被記録媒体に対して浸透拡散し、前処理液を乾燥させる機能を有する。例えば、下記一般式(I)で示される化合物(オキセタン化合物)が挙げられる。このようなオキセタン基を有する水溶性有機溶剤としては、具体的には、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等が挙げられ、その他にも、3,3−ジメチルオキセタン等が挙げられる。
Figure 2017019916
一般式(I)中、R′は炭素数1〜2のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、環状アルキル基又は芳香環を表す。
前処理液におけるオキセタン基を有する水溶性有機溶剤の含有量は、前処理液全体を100質量%とした場合、10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がさらに好ましい。
(インク)
本発明に使用されるインクは、少なくとも、カルボキシ基を有する顔料、オキセタン基を有する水溶性有機溶剤および水を含有する。
カルボキシ基を有する顔料は、顔料を表面改質することにより得ることができ、例えば、顔料の表面に公知の方法によりカルボキシル基を化学的に結合させるか、次亜ハロゲン酸又はその塩等を用いて湿式酸化処理する方法等が挙げられる。
また、上記のようなカルボキシ基で修飾しうる顔料としては、有機顔料、無機顔料等が挙げられ、例えば、白黒用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。更にカラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッドB(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメンバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19(キナクリドンレッド)、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:127(紺青)、28(コバルトブルー)、29(群青)、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等、があるがこれらに限定されるものではない。
カルボキシ基を有する顔料としては、市販されているものを使用することができ、例えば顔料の表面に直接又は他の原子団を介して、カルボキシ基を結合させた自己分散型顔料であるCabot社製のCab−O−Jet200、Cab−O−Jet300等が挙げられる。
本発明で使用されるカルボキシ基を有する顔料の平均粒径は、例えば0.1μm〜10μmであり、0.1μm〜3μmであるのが好ましい。
本発明では、さらに好適な形態として、カルボキシ基を有するポリマー微粒子に色材を含有させた着色剤を使用することもできる。
ここで「色材を含有させた」とは、ポリマー微粒子中に色材を封入した状態およびポリマー微粒子の表面に色材を吸着させた状態の何れか又は双方を意味する。この場合、本発明のインクに配合される色材はすべてポリマー微粒子に封入または吸着されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、該色材がエマルション中に分散していてもよい。上記色材としては、水不溶性若しくは水難溶性であって、上記ポリマーによって吸着され得る色材であれば特に制限なく用いられる。本明細書において、水不溶性若しくは水難溶性とは、20℃で水100質量部に対して、色材が10質量部以上溶解しないことをいい、溶解するとは、目視で水溶液表層または下層に色材の分離や沈降が認められないことをいう。上記色材としては、例えば、油溶性染料、分散染料等の染料や、顔料等が挙げられる。良好な吸着・封入性の観点から油溶性染料及び分散染料が好ましいが、得られる画像の耐光性からは顔料が好ましく用いられる。またこのとき使用されるポリマーとしては、当然カルボキシ基の構造を持つものであり、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、等が用いられ、例えばその平均粒径は、0.1μm〜10μmである。上記色材の配合量は、ポリマーの配合量との関係において、該ポリマーの質量に対して例えば約10〜200質量%であり、好ましくは約25〜150質量%である。
本発明で使用されるインクにおいて、カルボキシ基を有する顔料の含有量は、インク全体を100質量%とした場合、1〜20質量%が好ましく、3〜12質量%がさらに好ましく、5〜10質量%がとくに好ましい。この範囲によれば、前処理液の構成と相俟って、カルボキシ基の解離が阻害され、凝集し、被記録媒体表面に色材がとどまる。この現象、すなわち色材の凝集による固定化によって、ビーディングが防止される。
インクに使用されるオキセタン基を有する水溶性有機溶剤は、例えば上記で説明した前処理液に用いられるオキセタン基を有する水溶性有機溶剤が好ましいものとして挙げられる。
本発明で使用されるインクにおいて、オキセタン基を有する水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体を100質量%とした場合、10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がさらに好ましい。
また本発明では必要に応じて、前記前処理液およびインクに、従来のインクジェット記録用前処理液、インクジェット記録用インクに使用されている各種材料を含ませることができる。
例えば前記カルボキシ基を有し酸基量が0.95〜2.0[meq/g]の水性樹脂エマルション以外の樹脂エマルションを使用することができ、ここで言う樹脂エマルションとは連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルションを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルションを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。本発明で使用する水性樹脂エマルションや上記の各樹脂エマルションは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は質量比として、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合、エマルションとなりにくく、また前記範囲を超える場合、インクの耐水性が低下したり、浸透性が悪化する傾向があるので好ましくない。前記分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100質量部に対して水60〜400質量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。市販の樹脂エマルションとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルション、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルション、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルション、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルション、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルション、サイデン化学株式会社製)などが挙げられる。これら樹脂エマルションは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに被記録媒体への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルションの種類によっては被記録媒体上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
また、本発明における前処理液および/またはインクは、例えば前記オキセタン基を有する水溶性有機溶剤以外の水溶性有機溶剤を含むこともできる。その例としては、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール等のヒドロキシ化合物;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物(ラクタム類);ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。また、これら水溶性有機溶剤の配合量は、前処理液全体、あるいは、インク全体を100質量%とした場合、例えば10〜50質量%であり、複数混合して使用してもよい。
また、本発明における前処理液および/またはインクは、例えば、水溶性樹脂であって、天然高分子化合物、半合成高分子化合物、合成高分子化合物等を含むことができる。
合成高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のアクリル酸樹脂誘導体;ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル等の合成高分子化合物、天然高分子化合物としては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等、半合成高分子化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等が挙げられる。
また、本発明における前処理液および/またはインクは上記のように、界面活性剤を含むことができる。界面活性剤としては特に制限はないが、着色剤の種類や湿潤剤、浸透剤等の組み合わせによって、分散安定性を損なわない界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができる。特に印刷用紙に印刷する場合には、表面張力が低く、レベリング性の高いものが好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、特にフッ素系界面活性剤が好ましい。前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボキシ化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられ、これらは起泡性が少なく特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボキシ化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボキシ、パーフルオロアルキルカルボキシ塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜選択したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンシリーズ(S-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145)、住友スリーエム社製のフルラードシリーズ(FC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431)、大日本インキ社製のメガファックシリーズ(F-470、F-1405、F-474、Dupont社のZonyl TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR)、ネオス社製のFT-110、FT-250、FT-252、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のPF-151N等が挙げられ、これらの中でも良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点からネオス社製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW及びオムノバ社製のPF-151Nが特に好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシピロピレン基を有するものが水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー社、信越シリコーン社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社等から容易に入手できる。ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。前記ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、信越化学社製のKF-618、KF-642、KF-643等が挙げられる。
また、前記フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤以外にも、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩等が挙げられる。前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等が挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品として、例えば、エアープロダクツ社製のサーフィノールシリーズ(104、82、465、485、TG)等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノピロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。このような界面活性剤としては、市販品として、例えば、日光ケミカルズ社、日本エマルション社、日本触媒社、東邦化学社、花王社、アデカ社、ライオン社、青木油脂社、三洋化成社等から容易に入手できる。
前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いてもよいし、複数のものを混合して用いてもよい。単独でインク中に容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。前記界面活性剤の前記前処理液中における含有量は、0.01質量%〜3質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。前記界面活性剤の前記インク中における含有量は、0.01質量%〜3質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。ただし、水よりも高沸点の25℃のインク中で液体である液体成分の合計含有量は例えば20質量%以下であり、15質量%以下が好ましい。前記含有量が0.01質量%未満になると、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3質量%を超えると被記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
本発明に用いる、カルボキシ基を有し酸基量が0.95〜2.0[meq/g]の水分散性樹脂粒子およびカルボキシ基を有する顔料は、水に混練分散する際に酸性を示す傾向が強い。本発明における前処理液およびインクは、pH調整剤を加えてアルカリ性に保つことで分散状態が安定化し、吐出を安定化することができる。本発明における前処理液およびインクのpHは7以上11未満であることが好ましい。前記pHが11以上であると、インクジェットのヘッドやインク供給ユニットの材質を溶かしだす量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良等の問題が発生してしまう。特に、前処理液にpH調整剤を加える際は、水分散性樹脂粒子とともにこれを加え、その後に各種添加剤を加え混練分散機により分散することが好ましい。この工程により前処理液の良好な分散状態を得ることができる。
前記pH調整剤としては、例えばアルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。前記アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
また、本発明における前処理液および/またはインクは、必要に応じて各種添加剤を含むことができる。
例えば防腐剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2ベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
例えば防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
その他、金属イオン封止剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添加することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体上に前処理液を塗布する工程、ヘッドの吐出口からインクを液滴として吐出、飛翔させ、前記被記録媒体に画像を形成する画像形成工程および前記インクを乾燥させる乾燥工程をこの順で含み、前記前処理液およびインクとして、前記のインクセットを用いることを特徴とする。
前記被記録媒体上に前処理液を塗布する工程および前記画像形成工程は、インクジェット記録装置を用いて行うことが好ましい。
インクジェット記録装置には、前処理液またはインクの液滴を飛翔させる手段を有する。このような飛翔手段は、液滴に刺激を印加し、液滴を飛翔させて画像を形成する手段である。飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。前記刺激は、例えば刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。なお、前記刺激発生手段としては、例えば、過熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。具体的には、圧電素子などの圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ、などが挙げられる。液滴の飛翔および画像形成は公知の各種制御手段により制御できる。例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
被記録媒体に形成されたインクは、乾燥工程によって乾燥に施される加熱乾燥する工程を有する。乾燥工程は、従来から公知の各種手段を用いて行うことができ、例えば赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、ロールヒーター、ドラムヒーター、温風発生装置等が挙げられる。中でも、高速乾燥性の観点から、被記録媒体と熱源とを直接接触させることが好ましく、熱源としては熱ローラである定着ローラを用いることがとくに好ましい。この形態によれば、高定着性、中でも高速乾燥性が望まれている、特にラインヘッド搭載の高速インクジェットプリンタに有利である。
本発明で使用される被記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、普通紙及び印刷用塗工紙の少なくともいずれかが好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
1.インクジェット記録用前処理液の作製方法
表1〜5に示す処方(質量%)に従い、水性樹脂エマルション、水溶性有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防錆剤、水、を混合し、ディゾルバー(DISPERMAT−FE)で分散撹拌し、これを3μmフィルターで濾過し、前処理液とした。
表1〜5に記載した略号は以下の通りである。
水性樹脂エマルション
w5661:三井化学社製、ウレタン樹脂、酸基量=0.97[meq/g]、有効成分=35質量%
UWS-145:三洋化成工業社製、ウレタン樹脂、酸基量=1.09[meq/g]、有効成分=35質量%
SX1503A:日本ゼオン社製、変性アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、酸基量=1.14[meq/g]、有効成分=42質量%
Z-N:住友精化社製、エチレン・アクリル酸共重合物ナトリウム塩、酸基量=1.78[meq/g]、有効成分=25質量%
SU100N:中央理化工業社製、ウレタンン樹脂、酸基量=0.30[meq/g]、有効成分=34質量%
Z-L:住友精化社製、エチレン・アクリルル酸共重合物アルカノールアミン、酸基量=3.61[meq/g]、有効成分=24質量%
水溶性有機溶剤
MHO:3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン
EHO:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン
1,3-BD:1,3−ブタンジオール
Gly:グリセリン
界面活性剤
FSAA:フッ素系界面活性剤(株式会社ネオス社製FT−110)
pH調整剤
TEA:トリエタノールアミン
防腐剤
BIT:1,2−ベンジソチアゾリン−3−オン
防錆剤
BTA:ベンゾトリアゾール
顔料
c=シアン、m=マゼンタ、y=イエロー、k=クロ
PB15:3=C.I.Pigment Blue 15:3(phthalocyanine blue)
DQ122=C.I.Pigment Red 122(dimethyl quinacridone)
MA74=C.I.Pigment Yellow 74(monoazo)
酸性CB=酸性カーボンブラック(cabonblack)
2.インクジェット記録用水性インクの作製方法
表1〜5で示す処方において、水溶性有機溶剤、水、防腐剤、防錆剤を投入、ディゾルバー(DISPERMAT−FE)で分散撹拌、樹脂分散液を作製する。この樹脂分散液に、顔料、界面活性剤、pH調製剤を投入し、顔料が無修飾顔料の場合はビーズミル(アシザワ−ラボスター)で分散撹拌し、顔料がカルボキシル基を有する顔料の場合はディゾルバー(DISPERMAT−FE)で分散撹拌し、顔料分散液を作製する。この顔料分散液を3μmフィルターで濾過、インクジェット記録用インクとした。
・カルボキシル基を有する顔料(カルボキシル基を有するポリマー微粒子に水不溶性または難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルション)の調製
(a)フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製:特開2001−139849号公報の調整例3を追試して青色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は93nmであった。
具体的には、フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体は次のようにして調製した。
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下漏斗を備えた1L容のフラスコ内を十分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS-6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS-6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50%のポリマー溶液(1)を800gを得た。
ポリマー溶液(1)の一部を乾燥し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(標準:ポリスチレン、溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したところ、重量平均分子量は15000であった。
前記で得られたポリマー溶液(1)28g、フタロシアニン顔料(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:TGR−SD)26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水30gを十分に攪拌した後、3本ロールミル〔(株)ノリタケカンパニー製、商品名:NR-84A〕を用いて20回混練した。
得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エパポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20.0重量%のフタロシアニン含有ポリマー微粒子の水分散体160gを得た。
(b)ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製:上記(a)のフタロシアニン顔料をピグメントレッド122に変更したほかは同様にして赤紫色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は127nmであった。
(c)モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製:上記(a)のフタロシアニン顔料をピグメントイエロー74に変更したほかは同様にして黄色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は76nmであった。
(d)カーボンブラック含有ポリマー微粒子分散体の調製:上記(a)のフタロシアニン顔料をカーボンブラック(デグサ社FW100)に変更したほかは同様にして黒色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は104nmであった。
3.評価方法
インクジェット記録用水性インクを吐出する前に被記録媒体上に、インクジェット記録用前処理液を吐出し、しかる後、当該インクジェット記録用水性インクを吐出し、しかる後、加熱、定着、する。
<評価試料の作製>
下記で説明する図1〜3の装置を用いて評価試料を作製した。
被記録媒体名:OKトップコート グレードA2(王子製紙社製)
インクジェット記録用前処理液の吐出:試作ラインヘッド印字装置(図1)、記録密度300×600dpi、100%duty、Mj21pl、23℃/65%
インクジェット記録用水性インクの吐出:試作ラインヘッド印字装置(図1)、記録密度300×600dpi、100%duty、Mj21pl、23℃/65%
加熱定着:外付け加熱装置(図2)。外付け加熱定着装置(図3)。
<作製試料の評価>
画像濃度:「各色べた」を印字した。エックスライト社製、ポータブル分光濃度、X−Rite939で評価した。
ビーディング:用紙に対し、前処理工程を実施した後、シアン、マゼンタ、グリーンのベタ画像を印字し加熱定着した。そして、ベタ画像の濃度ムラ(ビーディング)を観察し、◎:全くなし、○:僅かにあり、×:あり、として評価した。
定着性:「各色べた」を印字した。JISL0849−摩擦に対する染色堅ろう度試験方法に従い評価した。「綿布への転移濃度」を5段階評価した。
4.粘度の評価方法
粘度計:A&D社製、音叉型振動式粘度計、SV-10を用いて粘度を評価した。
測定条件:23℃
図1は作製試料の評価で使用した試作ラインヘッド印字装置を説明するための内部構造の概略図である。
画像記録装置Aにおいて、給紙トレイ1は圧板2と、記録紙3を給紙する給紙回転体4がベース5に取り付けられている構成である。圧板2はベース5に取り付けられた回転軸aを中心に回転可能で、圧板ばね6により、給紙回転体4に付勢される。
この給紙回転体4と対向する圧板2の部位には、記録紙3の重送を防止するため、人工皮等の摩擦係数の大きい材質からなる分離パッド(図示せず)が設けられている。また、圧板2と給紙回転体4の当接を解除する図示してないリリースカムが設けられている。
上記構成において、待機状態ではリリースカムが圧板2を所定位置まで押し下げている。これにより、圧板2と給紙回転体4の当接は解除される。この状態で、搬送ローラ7からの駆動力がギア等により給紙回転体4及びリリースカムに伝達されると、リリースカムが圧板2から離れて圧板2は上昇し、給紙回転体4と記録紙3が当接する。
給紙回転体4の回転に伴い記録紙3はピックアップされ給紙を開始し、図示してない分離爪によって1枚ずつ分離される。給紙回転体4は、搬送ガイド9、9を経由して記録紙3をプラテン10に送り込むべく回転する。
記録紙3は搬送ガイド9、9の間を通過し、搬送ローラ7まで導かれ、この搬送ローラ7とピンチローラ11とにより、プラテン10まで搬送される。その後、再び記録紙3と給紙回転体4との当接を解除した待機状態となって搬送ローラ7からの駆動力が切られる。
手差し給紙用の給紙回転体12は、手差しトレイ13上に搭載された記録紙3を、コンピュータの記録命令信号に従って給紙回転体12で給紙し、搬送ローラ7へ搬送するものである。
プラテン10まで搬送された記録紙3はラインヘッド14の下を通過する。ここで、記録紙搬送の速度と、液滴吐出のタイミングは図示してない電気的回路で制御された信号に基づき、これにより所望の画像を形成する。
図2は作製試料の評価で使用した外付け加熱装置の内部構造を示す概略図である。図2で示される加熱装置は、より高速な定着処理を行う為に、赤外線照射ユニットを2重に設けたものである。図中Dは赤外線照射ユニット、Bは赤外線ヒーターで出力500Wのハロゲンランプ(ウシオ社製QIR100V500w)、Cは静電搬送ベルトである。
印字後の被記録媒体に赤外線を照射する場合には、図1の試作ラインヘッド印字装置の排紙部17,18,19の位置に図2で示す加熱装置が設置され、印字された記録紙3がCの静電搬送ベルトに供給され記録紙3に赤外線が照射され、排紙される。
図3は作製試料の評価で使用した外付け加熱定着装置の内部構造を示す概略図である。図3で示される加熱定着装置は、より高速な定着処理を行う為に、定着ユニットの定着ローラを2重に設けたものである。図中Eは定着ローラー、Fは加圧ローラー、3は印字された記録紙、Gは静電搬送ベルトである。
印字前に記録紙3を加熱する場合には、図1の試作ラインヘッド印字装置の手差しトレイ13の位置に加熱定着装置が設置され、Gの静電搬送ベルトに供給された記録紙3が加熱され、図1の搬送ローラ7へ供給され印字される。
印字後に記録紙3を加熱する場合には、図1の試作ラインヘッド印字装置の排紙部17,18,19の位置に加熱定着装置が設置され、印字された記録紙3がGの静電搬送ベルトに供給され記録紙3が加熱され、排紙される。実施例では印字後の記録紙3を加熱したものである。
Figure 2017019916
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表1〜5の結果から、前処理液が、少なくとも、カルボキシ基を有し酸基量が0.95〜2.0[meq/g]の水分散性樹脂粒子およびオキセタン基を有する水溶性有機溶剤を含有し、かつインクが、少なくとも、カルボキシ基を有する顔料、オキセタン基を有する水溶性有機溶剤および水を含有してなるインクセットを用いた各実施例では、画像濃度、ビーディングおよび定着性に優れることが分かる。
これに対し、前処理液に本発明に必須の水分散性樹脂粒子を使用しない比較例1〜3、前処理液にオキセタン基を有する水溶性有機溶剤を使用しない比較例4、インクにカルボキシ基を有する顔料を使用しない比較例5、およびインクにオキセタン基を有する水溶性有機溶剤を使用しない比較例6では、画像濃度、ビーディングおよび定着性を共に満足させることができなかった。
A 画像記録装置
a 回転軸
1 給紙トレイ
2 圧板
3 記録紙
4 給紙回転体
5 ベース
6 圧板ばね
7 搬送ローラ
9 搬送ガイド
10 プラテン
11 ピンチローラ
12 給紙回転体
13 手差しトレイ
14 ラインヘッド
17 排紙部
18 排紙部
19 排紙部
D 赤外線照射ユニット
B 赤外線ヒーター
C 静電搬送ベルト
E 定着ローラー
F 加圧ローラー
G 静電搬送ベルト
特許第3689444号公報 特許第4570118号公報 特開2008−62503号公報 特表2008−536079号公報

Claims (7)

  1. 予め被記録媒体に付与される前処理液と、その後に前記被記録媒体に吐出されるインクとの組合せからなるインクセットであって、
    前記前処理液が、少なくとも、カルボキシ基を有し酸基量が0.95〜2.0[meq/g]の水分散性樹脂粒子およびオキセタン基を有する水溶性有機溶剤を含有し、
    前記インクが、少なくとも、カルボキシ基を有する顔料、オキセタン基を有する水溶性有機溶剤および水を含有することを特徴とするインクセット。
  2. 前記前処理液中の、オキセタン基を有する水溶性有機溶剤の含有率が10〜30質量%であり、前記インク中の、オキセタン基を有する水溶性有機溶剤の含有率が10〜30質量%であることを特徴とする請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記水分散性樹脂粒子が、アニオン性ポリウレタン樹脂粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクセット。
  4. 被記録媒体上に前処理液を塗布する工程、ヘッドの吐出口からインクを液滴として吐出、飛翔させ、前記被記録媒体に画像を形成する画像形成工程および前記インクを乾燥させる乾燥工程をこの順で含むインクジェット記録方法において、前記前処理液およびインクとして、請求項1〜3のいずれかに記載のインクセットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. 前記乾燥工程が、前記被記録媒体と熱源とを直接接触させる工程であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記熱源が熱ローラである定着ローラを用いたものであることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記ヘッドがラインヘッドであることを特徴とする請求項4〜6のいずれか記載のインクジェット記録方法。
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