JP2017018287A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収体のよれや変形を抑制しつつ、吸収体上での液体の拡散性を向上させた吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品10は、液透過性の表面シート14と、液不透過性の裏面シート12と、表面シート14と裏面シート12との間に配された細長い吸収体13と、を備え、吸収体13は、表面シート14側の面に複数の圧縮した凹部502を有し、複数の圧縮した凹部502は、吸収体13の幅方向の両側縁部に沿った第1の方向に延在する一対の第1のパターン501aと、一対の第1のパターン501aの間に位置し、第1の方向と異なる第2の方向に延在する第2のパターン501bと、第2のパターン501bと交差する第3の方向に延在する第3のパターン501cと、を形成し、第2のパターンおよび第3のパターンは、少なくとも吸収体13の中央領域に形成されていることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
近年、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、以下「SAP」という。)や不織布を使用した、使い捨ておむつ等の吸収性物品の需要が拡大している。
使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、さまざまな改良が行われ、その機能や着用感の向上が図られている。特に、吸収性物品に使用される吸収体の表面には、尿などの液体の拡散性、吸収性を向上させるために、多種多様な形状を施すことが検討されている。
例えば、特許文献1では、着用者が歩行する時や座る時などでも排出された液体等の漏れを起こさないために、細長い吸収体を長手方向に腹部、股下部、背部の三部分に区分し、股下部には、長手方向に沿った二本の凹部を設けた吸収体が提案されている。特許文献1に記載の吸収体は、側縁部分をそけい部にフィットしやすくして、体液の横漏れを防止したものである。
また、特許文献1では、溝状に窪んだ凹部を有する吸収体であって、股下部の凹部が吸収体の長手方向に配され、腹部および背部の凹部がそれぞれ長手方向に対して斜め方向に配される吸収体が提案されている。特許文献1に記載の吸収体は、上記構成により、腹部および背部における液体の拡散性が優れているとされている。
特開2012−143535号公報
しかしながら、装着時は股下部に十分にフィットしていたものであっても、長時間の脚の前後運動によって、吸収体が変形してしまい、装着時のフィット性を維持できない場合があった。このように、吸収体が変形して吸収体が偏ったり切れてしまったりすることにより、股下部の吸収体が受けた液体を他の部分に拡散しにくく、さらに、着用者の股との間に隙間を生じることにより、股下部での体液漏れを起こしてしまうという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、吸収体のよれや変形を抑制しつつ、吸収体上での液体の拡散性を向上させた吸収性物品を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の吸収性物品は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配された細長い吸収体と、を備える吸収性物品であって、吸収体は、表面シート側の面に複数の圧縮した凹部を有し、複数の圧縮した凹部は、吸収体の幅方向の両側縁部に沿った第1の方向に延在する一対の第1のパターンと、一対の第1のパターンの間に位置し、第1の方向と異なる第2の方向に延在する第2のパターンと、第2のパターンと交差する第3の方向に延在する第3のパターンと、を形成し、第2のパターンおよび第3のパターンは、少なくとも吸収体の中央領域に形成されていることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、吸収体のよれや変形を抑制しつつ、吸収体上での液体の拡散性を向上させた吸収性物品を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る吸収性物品を応用したパンツ型使い捨ておむつの外観を示す立体投影図である。 本発明の一実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつの展開図である。 本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつを展開して分解状態で示す立体投影図である。 本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつの断面図である。 本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつの吸収体を示す図である。 本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつの吸収体の部分断面図である。 本発明の一実施形態に係る吸収体の溝部分を示す拡大図である。 本発明の他の実施形態に係る使い捨ておむつの吸収体を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施形態のみに限らず、本発明の概念に帰属する他の吸収性物品も包含するものである。
[実施形態1]
まず、本発明の実施形態1に係る吸収性物品を応用したパンツ型使い捨ておむつの全体形状について、図1から図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る吸収性物品を応用したパンツ型使い捨ておむつの正面側から見た外観を示す立体投影図である。図2は、本実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつの展開図である。
本実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつ10は、前身頃領域10Fと、後身頃領域10Rと、前身頃領域10Fおよび後身頃領域10Rをつなぐ股下領域10Cとを有する。また、着用時に前身頃領域10Fと後身頃領域10Rとで着用者のウエストの部分を取り囲むウエスト周り開口部10Wが形成されている。同様に、前身頃領域10Fおよび後身頃領域10Rの下端部と股下領域10Cとで着用者の両脚の付け根から太ももあたりに至る領域のいずれかを取り囲む左右一対の脚周り開口部10Lが形成されている。
使い捨ておむつ10の着用時に、前身頃領域10Fは着用者の腹側に位置し、後身頃領域10Rは着用者の背側に位置する。そして、股下領域10Cは、着用者の股下を覆い、左右一対の脚周り開口部10Lに、着用者の脚がそれぞれ通された形となる。
使い捨ておむつ10は、股下領域10Cと共に前身頃領域10Fおよび後身頃領域10Rを覆うようにカバーシート11が設けられ、カバーシート11の左右両側縁部が相互に接合されて閉じ合わせ部10Jを形成している。これにより、ウエスト周り開口部10Wと左右一対の脚周り開口部10Lとが画成されている。
本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、使い捨ておむつ10の幅方向の中央またはその付近において腹側から背側に向かって、股下領域10Cを通って延びる仮想線Pを想定している。具体的には、仮想線Pは、例えば、使い捨ておむつ10の着用時のウエスト側を上、股下側を下とすると、使い捨ておむつ10の腹側表面に沿って、かつ上下方向に延びると共に、股下領域10Cを経由して、背側においてもおむつ10の表面に沿って上下方向に延びるものである。
図2に示すように、カバーシート11の長手方向の左右両側縁部の中央には、それぞれ図1の脚周り開口部10Lとなる半円弧状をなす一対の切欠き部11Aが形成されている。カバーシート11の着用者の肌に接触する面には、前身頃領域10F、股下領域10Cおよび後身頃領域10Rにわたるように、細長い矩形の形状をした吸収体13が配されている。吸収体13は、その形状を保持するために、例えば、端部同士が糊づけで接合されたコアラップ15(ティシュ)で包まれている。コアラップ15は親水性の薄いシートである。コアラップ15で包まれた吸収体13は、バックシート12と接合される。コアラップ15で包まれた吸収体13と接合したバックシート12は、その長手方向が仮想線Pと略平行となる方向であって、その幅方向の中央またはその付近を仮想線Pが通る位置となるようにカバーシート11上に接合される。コアラップ15で包まれた吸収体13の表面上には、着用者の肌に触れる液透過性のトップシート14が接合されている。
カバーシート11には、脚周りギャザーを形成するための糸ゴム16と、ウエスト周りギャザーを形成するための糸ゴム17とがそれぞれ伸長状態で接合されている。
また、トップシート14の左右両側縁部には、立体ギャザーを形成する一対のサイドシート18が備えられている。一対のサイドシート18は、外側端縁部がカバーシート11の一対の切欠き部11Aと同様の形状に形成されている、着用時に吸収体13の両側縁部に沿って起立し、着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。サイドシート18のそれぞれには、その内側端縁部を吸収体13側に折り返して把持させる形で立体ギャザー伸縮材としての糸ゴム19が配置されており、糸ゴム19が収縮した際に、着用者の肌当接方向に向かって立ち上がる。立体ギャザーは従来の使い捨ておむつに用いられている公知の構成を採用することができる。例えば、撥水性シートの層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材を挟み込んで固定することにより、形成することができる。
図3は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10を破断展開した分解状態を示す立体投影図である。図3を用いて、使い捨ておむつ10の積層構造について説明する。
図3に示すように、使い捨ておむつ10は、着用者の肌側から見て、最も外側から順にカバーシート11と、液不透過性のバックシート12と、吸収体13と、トップシート14とを順に重ねて接合している。なお、バックシート12、コアラップ15で包まれた吸収体13およびトップシート14で、下着等に接合させて液体を吸収する吸収性物品を形成することもできる。
カバーシート11は、両側縁部に一対の切欠き部11Aが形成され、バックシート12に接合されている。
吸収体13は、親水性の薄いシートであるコアラップ15(ティシュ)で包まれ、コアラップ15で包まれた吸収体13は、バックシート12とトップシート14との間に配される。トップシート14は、コアラップ15で包まれた吸収体13を介してバックシート12に接合される。なお、本実施形態では、コアラップ15で包まれた吸収体13を用いているが、本発明における吸収体は、コアラップで包まれていなくてもよい。
カバーシート11は、良好な手触りを得るために薄い不織布で形成されている。また、カバーシート11の一対の切欠き部11Aに隣接した位置およびカバーシート11の両端部には、糸ゴム16および17がそれぞれ伸長状態で接合されている。また、トップシート14の幅方向の左右両側縁部には、立体ギャザーを形成する一対のサイドシート18が備えられている。一対のサイドシート18は、外側端縁部がカバーシート11の一対の切欠き部11Aと同様の形状に形成されている、着用時に吸収体13の両側縁部に沿って起立し、着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。サイドシート18のそれぞれには、その内側端縁部を吸収体13側に折り返して把持させる形で立体ギャザー伸縮材としての糸ゴム19が配置されている。
図4は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10を図2のIV−IV断面線で切断した断面図である。図4を用いて、使い捨ておむつ10の吸収体13の断面形状について説明する。
トップシート14の表面には、間欠的なエンボス加工により、コアラップ15で包まれた吸収体13およびトップシート14を圧縮して、これらを一体として四辺形状の複数の凹部401が形成される。複数の凹部401は、間隔を空けて配列されることにより、尿などの液体を通過させる溝402を形成している。溝402は、コアラップ15で包まれた吸収体13のトップシート14側の面から、バックシート12側の面に向かってその深さを有するものである。コアラップ15で包まれた吸収体13の表面に形成した溝402で取り囲まれた部分を型崩れ抑制部403と称する。型崩れ抑制部403の詳細については後述する。なお、凹部401の上部の稜線は、断面で切断した際に見える、溝402でない部分の輪郭線404を示している。
次に、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の吸収体13について、図5および図6を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の吸収体13のトップシート14側の面を上とした上面図である。図5を用いて、吸収体13の表面形状について説明する。
吸収体13は、主にパルプとSAPからなるものである。吸収体13は、前身頃領域10F、股下領域10Cおよび後身頃領域10Rにわたるように、細長い矩形の形状をしている。吸収体13は、長手方向に、前身頃部分M1、股下部分M2および後身頃部分M3に三区分されている。なお、股下部分M2には、着用者の両脚の太股部分を取り囲む左右一対の脚周り開口部10Lに合わせて、円弧状をなす一対の切欠き部を形成してもよい。吸収体13は、股下部分M2から前身頃部分M1の方向を前(上)方向とし、股下部分M2から後身頃部分M3の方向を後(下)方向とし、前後方向(長手方向)に直交する方向を左右方向(幅方向)とする。また、吸収体13は矩形であるが、本発明における吸収体の形状はこれに限られない。例えば、吸収体の形状は、前後(上下)端の角が丸く落とされているもの、前後(上下)に延びる楕円形のもの、円形のもの、前後(上下)左右の長さが同程度の矩形のものなど、さまざまな形状を含む。
さらに、吸収体13には、斜め格子状に延びる溝501が形成されている。本実施形態は、溝形成領域N1の一方端から他方端に向かって、溝501が斜め格子状に不連続に延びるものである。本実施形態の溝501は、トップシート14およびコアラップ15と一体として、吸収体13の表面に四辺形状の複数の圧縮した凹部502を形成し、これら複数の圧縮した凹部502が間隔を空けて配列されることによって形成されている。なお、溝501は、凹部502の間隔および深さなどにより間欠的である場合であっても連続している場合であってもよく、両者の混合であってもよい。
図5に示すように、本実施形態では、吸収体13表面の溝形成領域N1に、複数の圧縮した凹部502が所定間隔で並ぶ第1、第2および第3のパターンによって、溝501が形成されている。
複数の圧縮した凹部502は、吸収体13の長手方向(仮想線Pの延在方向)と直交する吸収体13の幅方向(左右方向)の両側縁部に沿って、第1の方向である吸収体13の長手方向に延在する一対の第1の溝(第1のパターン)501aを形成している。また、複数の圧縮した凹部502は、吸収体13の幅方向の中心に位置する仮想線Pの一方上側から他方下側(図5中の紙面に向かって右上側から左下側)に傾斜して延びる第2の方向の複数の第2の溝(第2のパターン)501bを形成している。さらに、複数の圧縮した凹部502は、仮想線Pの他方上側から一方下側(図5中の紙面に向かって左上側から右下側)に傾斜して延びる第3の方向の複数の第3の溝(第3のパターン)501cと、を形成している。複数の第2の溝501bおよび複数の第3の溝501cは、各両端が一対の第1の溝501aと連通している。このように、吸収体13の幅方向の両側縁部に沿って、吸収体13の長手方向に延在し、第2の溝501bおよび複数の第3の溝501cと連通させた一対の第1の溝501aを形成することにより、股下部分M2に存在する液体を前身頃部分M1および後身頃部分M3に拡散させることができる。
図5では、一対の第1の溝501aは、互いに平行に配置されている。また、複数の第2の溝501bは、互いに平行かつ所定間隔で配置されている。同様に、複数の第3の溝501cは、互いに平行かつ所定間隔で配置されている。ただし、第1の溝501aないし第3の溝501cは、それぞれ互いに完全に平行でなくてもよく、また、互いの間隔は、一定でなくてもよい。さらに、複数の第2の溝501bは仮想線Pに対しそれぞれ同じ角度で傾斜しているが、本発明はこれに限らず、各溝の傾斜角度が異なるものであってもよい。第3の溝501cについても同様である。
また、吸収体13には、第2の溝501bおよび第3の溝501cが、いずれも複数本形成されているが、斜め方向に伸びる第2の溝501bおよび第3の溝501cが形成されているものであれば溝の本数は限定されない。ただし、第2の溝501bおよび第3の溝501cが各1本ずつ形成される場合は、少なくとも吸収体13の中央領域に形成されることが好ましい。これら第2の溝501bおよび第3の溝501cは交差しているのが好ましいが、本発明はこれに限らず、両者が交差しないものなども含む。溝の作用の詳細については後述する。
ここで、本発明の吸収体13の中央領域とは、例えば排尿などの液体と最初に接触する領域およびその付近の領域のことをいう。なお、吸収体13の中央領域は、吸収性物品の着用者の体格や性別等によって変化させることが可能である。
なお、吸収体13は、その幅方向の中心線である仮想線Pを含む中央領域であって、かつ、仮想線Pの延在方向に向かって帯状に延びている領域の溝形成領域N1を有している。また、吸収体13は、溝形成領域N1の両側に溝非形成領域N2を有している。
図6は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の図5のVI−VI断面線による部分断面図である。
溝501は、コアラップ15で包まれた吸収体13のトップシート14側の面から、所定の溝パターンが形成された部材で、コアラップ15で包まれた吸収体13を場合によっては熱を加えつつ、トップシート14と一体として圧縮することによって形成される。そして、各溝501の幅および深さは、均一であってもよいし、隣接する溝との間隔、溝の位置などに応じて変化してもよい。また、溝501の側壁は、図6に示すように、吸収体13表面から斜めに傾斜したV字状であってもよいし、略垂直に延びるものであってもよい。なお、凹部502の上部の稜線は、断面で切断した際に見える、溝501でない部分の輪郭線601を示している。
溝501を形成するための上記圧縮により、コアラップ15で包まれた吸収体13の溝501部分および場合によってはその近傍は、他の部分に比べて圧縮され、吸収体13の密度が高められている。最も圧縮された溝501部分の圧縮率は、約4倍から7倍程度が好ましいが、吸収体13の材質や吸収する液体に応じて、他の圧縮率の範囲も含むものである。また、圧縮された溝501部分の吸収体密度は、非圧縮部分に比べて2倍以上となっている。吸収体密度は、主にパルプの密度である。圧縮された凹部502は、密度が高くなるため、吸収体13の毛細管力で溝501に流れてきた尿などの液体を吸い上げることができる。
上述したように、吸収体13における溝501部分は、吸収体13が圧縮されて形成されたものである。したがって、溝501部分および場合によってはその近傍は、吸収体13の他の部分よりも吸収体13が圧縮されて硬くなっている。
また、型崩れ抑制部403は、溝501によって型崩れ抑制部403内の吸収体13の外周が押さえられているため、変形しづらいものとなっている。したがって、吸収体13の長手方向に対して斜め方向に引っ張り力が発生しても、吸収体13は、溝501の剛性で斜めにしわがよりにくい上に、型崩れ抑制部403は変形しづらいので、結果として斜め方向に関する変形が抑制されることとなる。故に、脚の前後運動によっても、吸収体13が大きくよれて型崩れすることがない。吸収体13がよれないので、股下へのフィット性を維持でき、体液漏れが起こりにくい。また、変形によって、吸収体13が切れてしまうことも抑制できるので、吸収性を維持できる。
なお、本実施形態では、溝形成領域N1は、吸収体13の前身頃部分M1から後身頃部分M3に渡って延びるものであるが、本発明はこれに限らない。すなわち、溝形成領域N1は、股下部分M2のみに形成されているものであってもよい。また、溝形成領域N1は、前身頃部分M1のみ、後身頃部分M3のみに形成されているものであっても、吸収体13の長手方向端部に形成されないものであってもよい。ウエスト部分に近い部分は、ウエストギャザーによって皮膚と密着するので、溝501の硬い部分が皮膚に当たらないようにすることで、着用感が向上する。
本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、コアラップ15で包まれた吸収体13の表面にトップシート14を積層した構成で、吸収体13、トップシート14およびコアラップ15を一体として圧縮し、溝501を形成するものである。すなわち、トップシート14は溝501に密着した状態で強固に固定されることとなる。このように、トップシート14も共に圧縮することにより、トップシート14にも型崩れ抑制部403が形成され、歩行時の動きに対し、吸収体13のよれや偏りが抑制される。
図7は、本実施形態に係る吸収体13上面の溝501の一部(図5中の破線楕円VIIで取り囲んだ吸収体13の溝501)を表す拡大図である。
溝501は、複数の凹部502が間隔L1を空けて配列されることにより構成されることができる。凹部502は例えば四辺形状であり、同形状のエンボス型で吸収体13を圧縮することにより形成される。間隔L1は、約2mmである。また、凹部の長さL2は約2.4mmである。また凹部の幅L3は、約2mmである。L1、L2およびL3は、それぞれ1mm≦L1≦5mm、1mm≦L2≦50mm、および1mm≦L3≦5mmの範囲が好ましい。なお、凹部502は模式的に示したものであり、その数や大きさは、この範囲に従う。
凹部502は間隔L1を空けて配列されているが、隣接する凹部502間の隙間701は、溝501で取り囲まれた型崩れ抑制部403よりも凹んでいる。すなわち、凹部502を形成する際の圧縮に伴って、この隙間701部分の吸収体13が引っ張られ、凹部502は型崩れ抑制部403に比べて凹むこととなる。したがって、凹部502と隙間701との間に高低差はあるが、いずれも非圧縮部分に比べて低く、全体として型崩れ抑制部403よりも低い溝501を形成することとなる。
このような、間欠的なエンボス加工により構成される溝501において、圧縮率は、凹部502の部分で約4から7倍程度が好ましいが、この範囲に限定されるものではなく、吸収体13の材質や吸収する液体に応じて、他の範囲も含むものである。
このように、溝501は、間欠的なエンボス加工によって構成することができる。これにより、脚の前後運動等に起因する吸収体のよれや変形を抑制することができる。加えて、溝501のエンボス加工が間欠的である場合は、溝501自身も曲がりやすくなり、より身体にフィットするとともに、身体の動きに追従しやすくなり、ごわつき感を抑制することができる。
次に、図5ないし図7を用いて、本実施形態に係る使い捨ておむつ10で尿を補足するときの尿の吸収の仕方について説明する。
例えば、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の吸収体13表面に斜め格子形状の溝501bおよび501cのみが形成されている場合には、吸収体13のよれや変形を抑制することができる。しかしながら、この場合は、吸収体の長手方向に平行な溝が形成されていないため、吸収体の中央領域から周辺領域に尿が十分に拡散しないことが考えられる。すると、吸収体の周辺領域に尿が拡散しないことにより周辺領域の吸収体を使用することができず、吸収体全体の尿の吸収率が低くなる。このような現状により、従来の使い捨ておむつは吸収体の表面の3割程度しか尿の吸収に使用されておらず、利用効率が悪いと共にコストが高くなるという問題が考えられる。
そこで、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、上記の問題を解消するため、以下のように尿を吸収している。すなわち、まず、吸収体13の中央領域に多量の尿が出てくると、尿の一部が吸収体13の中央領域で吸収される。吸収体13の中央領域で尿が吸収されると同時に、吸収体13の中央領域の斜め格子形状の第2の溝501bおよび第3の溝501cを通って左右両端方向に尿が拡散する。一例として、図5の吸収体13の股下部分M2に位置する線分ABで表す第3の溝501cにおいて、線分ABの中点Cに接した尿が、第3の溝501cを通って点AおよびBの方向へ尿が拡散する。
次に、左右両端に到達した尿は、第2の溝501bおよび第3の溝501cと交差している第1の溝501aに流れ込み、第1の溝501aを通って上下方向にある前身頃部分M1および後身頃部分M3に拡散する。その結果として、吸収体13の周辺領域により多量の尿を拡散させることができ、吸収体の中央領域での吸収量と、周辺領域での吸収量とのバランスを取ることができる。
このように、吸収体13の表面に、吸収体13の幅方向の両側縁部に沿って、吸収体13の長手方向に延在する第1の溝501aと、第1の溝501aに連通する斜め格子状の第2の溝501bおよび第3の溝501cと、が形成されていることにより、吸収体13のよれや変形を抑制しつつ、より多量の尿を吸収体13の周辺領域へ拡散させることができる。本実施形態では、吸収体13の中央領域とは、吸収体13の長手方向では、着用時の股下領域10Cに位置する股下部分M2を表し、吸収体13の幅方向では、長手方向に平行な中心線である仮想線Pを挟む溝形成領域N1を表すが、この領域に限られない。
これにより、使い捨ておむつ10の尿の拡散性を高め、吸収体13全体として尿の吸収効率および吸収体の利用率を高めることができる。そして、理論上吸収体13表面の10割近くを使用することが可能となる。さらに、溝501が斜め格子の形状であることにより、着用者の追従性を高め、履き心地や肌触りを向上させることができる。なお、本実施形態では、複数の凹部502が間欠的に配列されて溝501を形成しているが、1本の溝501が1つの連続的に連なった凹部から形成されていてもよい。
[実施形態2]
図8は、本発明の実施形態2に係る使い捨ておむつ10の吸収体13のトップシート14側の面を上とした上面図である。本実施形態の吸収体13の形状が実施形態1の吸収体13の形状と相違する点は、吸収体13表面の溝801が連続的に連なった凹部によって形成されている点、および長手方向に延在する一対の第1の溝801aの両端がそれぞれ連続的に連なった凹部によって連通されている点である。
図8に示すように、吸収体13の表面には、吸収体13の幅方向の両側縁部に沿って、第1の方向である吸収体13の長手方向に延在する一対の第1の溝(第1のパターン)801aが形成されている。また、吸収体13の表面には、実施形態1と同様に、第2の方向の複数の第2の溝(第2のパターン)801bと、第3の方向の複数の第3の溝(第3のパターン)801cと、が形成されている。さらに、吸収体13の表面には、一対の第1の溝801aの両端に連通し、第4の方向である吸収体13の長手方向の両端部に沿って延在する一対の第4の溝(第4のパターン)801dが形成されている。本実施形態では、1本の溝801が1つの連続的に連なった凹部802から形成されている。
本実施形態においても実施形態1と同様に、一例として、図8の吸収体13の股下部分M2に位置する線分ABで表す第3の溝801cにおいて、線分ABの中点Cに接した尿が、第3の溝801cを通って点AおよびBの方向へ尿が拡散する。
次に、左右両端に到達した尿は、第2の溝801bおよび第3の溝801cと交差している第1の溝801aに流れ込み、第1の溝801aを通って上下方向にある前身頃部分M1および後身頃部分M3に拡散する。その結果として、吸収体13の周辺領域により多量の尿を拡散させることができ、吸収体の中央領域での吸収量と、周辺領域での吸収量とのバランスを取ることができる。
さらに、本実施形態のように、一対の第1の溝801aおよび一対の第4の溝801dの各両端を連通して、吸収体13の周辺領域を周回する溝801を形成することにより、実施形態1の効果に加え、吸収体13の中央領域から両端部に拡散した尿を、さらに周辺領域の前身頃部分M1および後身頃部分M3で拡散させて吸収させることができる。これにより、吸収体13全体として尿の吸収効率および吸収体の利用率を高めることができる。なお、溝801の形状は、本実施形態の形状に限らず、中央領域を連続線に形成し、周辺領域を間欠状に形成することもできる。また、複数の凹部802が間欠的に配列されて溝801を形成するものであってもよい。
本発明の吸収体表面に形成される凹部は、中央領域に位置する凹部の延在方向に垂直な断面の幅を、周辺領域に位置する凹部の延在方向に垂直な断面の幅よりも広くすることができる。また、本発明の吸収体表面に形成される凹部は、中央領域に位置する凹部の深さを、周辺領域に位置する凹部の深さよりも深くすることができる。これらにより、吸収体の中央領域から周辺領域へより多くの尿を拡散させてそこで吸収させることができる。なお、凹部の幅および/または深さの変化は、段階的であっても連続的であってもよく、段階的な変化と連続的な変化との組合せであってもよい。
また、凹部の形状は、四辺形状に限らず、様々な形を用いてよい。例えば、円、楕円、正方形、三角形などである。これら、いずれの形においても、溝を吸収体の表面に形成することができればよい。なお、上記実施形態では、各凹部の幅や深さ等の数値は、各凹部中においてその幅や深さが最大値近傍となる中央付近を基準として測定したものである。このように、各凹部の幅や深さ等の数値は、各凹部の中心付近を基準として測定した値を用いるのが原則であるが、各凹部の形状が複雑である場合などにおいては、各凹部の他の部分を、幅や深さ等数値の測定基準としてもよい。
本発明の使い捨ておむつの構造は、上述したようなパンツ型に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に規定された吸収性物品の構成を含むおむつであれば、どのような構成であってもよい。例えば、周知の展開型の使い捨ておむつや、尿漏れパッドなどであっても本発明を適用可能である。
加えて、本発明は、乳幼児向けのおむつに限らず、成人向けおむつ、尿漏れパッドなど、各種の吸収性物品および吸収性本体に適用可能である。
10 使い捨ておむつ
10F 前身頃領域
10R 後身頃領域
10C 股下領域
10W ウエスト周り開口部
10L 脚周り開口部
10J 閉じ合わせ部
11 カバーシート
11A 切欠き部
12 バックシート(裏面シート)
13 吸収体
14 トップシート(表面シート)
15 コアラップ
16、17、19 糸ゴム
18 サイドシート
401、502、802 凹部
402、501、801 溝
403 型崩れ抑制部
404、601 輪郭線
501a、801a 第1の溝
501b、801b 第2の溝
501c、801c 第3の溝
701 隙間
801d 第4の溝

Claims (7)

  1. 液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配された細長い吸収体と、を備える吸収性物品であって、
    前記吸収体は、前記表面シート側の面に複数の圧縮した凹部を有し、
    前記複数の圧縮した凹部は、前記吸収体の幅方向の両側縁部に沿った第1の方向に延在する一対の第1のパターンと、前記一対の第1のパターンの間に位置し、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在する第2のパターンと、前記第2のパターンと交差する第3の方向に延在する第3のパターンと、を形成し、
    前記第2のパターンおよび前記第3のパターンは、少なくとも前記吸収体の中央領域に形成されていることを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記第2のパターンおよび前記第3のパターンの各々の少なくとも一端は、前記一対の第1のパターンと連通されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記複数の圧縮した凹部は、両端が前記一対の第1のパターンの各両端と連通され、前記吸収体の長手方向の両端部に沿った第4の方向に延在する一対の第4のパターンをさらに形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の吸収性物品。
  4. 前記第2のパターンは、前記第2の方向に平行に複数形成され、前記第3のパターンは、前記第3の方向に平行に複数形成され、
    前記複数形成された第2のパターンおよび第3のパターンは、格子形状になっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記複数の圧縮した凹部は、前記吸収体と一体に前記表面シートの表面にも形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記複数の圧縮した凹部は、延在する方向に間欠的に形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記複数の圧縮した凹部は、延在する方向に連続的に形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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