JP2017017101A - アルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法 Download PDF

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敏文 平
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Masashi Mehata
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Abstract

【課題】静電容量の増大を図ることのできるアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法を提供する。【解決手段】アルミニウム粉体を焼結して成る多孔質層がアルミニウム芯材の表面に積層されたアルミニウム電極を純水中でボイルする純水ボイル工程の後、有機酸系の化成液を用いた第1化成処理ST11と、無機酸系の化成液を用いた第2化成処理ST12とを行う。第1化成処理ST11の化成液に用いる有機酸は、一般式HOOC−R−COOH。但し、式において、Rの主鎖は炭素数が6以上のアルキル鎖で表され、化成液は、70℃で測定した比抵抗が、0.4Ωm以上である。【選択図】図3

Description

本発明は、アルミニウム電極を有機酸系の化成液中で化成するアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法に関するものである。
従来、高圧用のアルミニウム電解コンデンサ用電極を製造するにあたって、エッチング箔を純水ボイルした後、アジピン酸アンモニウムの水溶液を用いて、300V以上の化成電圧で化成を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開平11−45827号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の方法では、ホウ酸塩の水溶液中で化成した場合に比して、静電容量を5%程度、増大することが限界であり、それ以上の増大を図れないという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、静電容量の増大を図ることのできるアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、アルミニウム電極に対して、有機酸あるいはその塩を含む水溶液中で化成を行う第1化成処理を有するアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法であって、
前記有機酸は、下記一般式
HOOC−R−COOH
但し、上記一般式において、Rの主鎖は炭素数が6以上のアルキル鎖
で表され、前記水溶液は、70℃で測定した比抵抗が、0.4Ωm以上であることを特徴とする。
本発明において、Rの主鎖は炭素数が6以上のアルキル鎖であれば、側鎖に炭素数1以上のアルキル基、炭素数1以上のアルコキシ基、炭素数1以上のカルボキシル基、または水酸基を含んでもよく、2つ以上の側鎖同士が結合して環を形成してもよい。
本発明では、第1化成処理で化成液に用いた有機酸の主鎖が、炭素数が6以上のアルキル鎖からなるため、化成液にアジピン酸やホウ酸を用いた場合よりさらに静電容量の増大を図ることができる。また、水溶液(化成液)の比抵抗が0.4Ωm以上であるため、アルミニウム電極表面の凹凸内に化成液が取り残されにくい。それ故、その後の熱デポラリゼーション等を行う際に有機酸またはその塩が燃焼、爆発して化成皮膜が破壊されるという事態が発生しにくい。
本発明において、前記水溶液は、70℃で測定した比抵抗が、好ましくは0.4Ωmから500Ωmである態様を採用することができる。比抵抗が500Ωmより大きい場合、緻密な化成皮膜が形成されず、漏れ電流が大きくなる。
本発明において、前記第1化成処理の後、無機酸あるいはその塩を含む水溶液化成液中で化成を行う第2化成処理を有することが好ましい。
本発明において、前記第1化成処理の前に、前記アルミニウム電極を純水中でボイルする純水ボイル工程を有することが好ましい。かかる構成によれば、その後の化成工程において、少ない電気量で十分に厚い酸化皮膜を形成することができる。
本発明において、前記アルミニウム電極は、平均粒径1μmから10μmのアルミニウム粉体を焼結して成る多孔質層がアルミニウム芯材の表面に50μmから3000μmの厚さで積層された多孔性アルミニウム電極であることが好ましい。かかる構成によれば、皮膜耐電圧が200V以上となるまで化成した場合でも、高い静電容量を得ることができる。ここで、平均粒径が1μm未満であると空隙部が細かすぎ、皮膜耐電圧200V以上の皮膜を形成すると空隙が埋まってしまい、所望の静電容量が得られない。これに対して、粒径が10μmを超えると、空隙部が粗すぎて表面積が低下し、やはり所望の静電容量が得られない。
本発明では、第1化成処理で化成液に用いた有機酸の主鎖が、炭素数が6以上のアルキル鎖からなるため、化成液にアジピン酸やホウ酸を用いた場合よりさらに静電容量の増大を図ることができる。また、第1化成処理で用いる化成液の比抵抗が0.4Ωm以上であるため、アルミニウム電極表面の凹凸内に化成液が取り残されにくい。それ故、その後の熱デポラリゼーション等を行う際に有機酸またはその塩が燃焼、爆発して化成皮膜が破壊されるという事態が発生しにくい。
本発明を適用したアルミニウム電極の断面構造を示す説明図である。 本発明を適用したアルミニウム電極の表面を電子顕微鏡により拡大して撮影した写真である。 本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法を示す説明図である。
本発明では、アルミニウム電解コンデンサ用電極を製造するにあたって、アルミニウム電極としては、エッチング箔を用いることができるとともに、アルミニウム粉体を焼結してなる多孔質層がアルミニウム芯材の表面に積層されたアルミニウム電極(多孔性アルミニウム電極)を用いることができる。以下の説明では、多孔性アルミニウム電極に化成を行う場合を中心に説明する。以下、多孔性アルミニウム電極の構成を説明した後、化成方法を説明する。
(アルミニウム電極の構成)
図1は、本発明を適用したアルミニウム電極の断面構造を示す説明図であり、図1(a)、(b)は、アルミニウム電極の断面を電子顕微鏡により120倍に拡大して撮影した写真、およびアルミニウム電極の芯材付近を電子顕微鏡により600倍に拡大して撮影した写真である。図2は、本発明を適用したアルミニウム電極の表面を電子顕微鏡により拡大して撮影した写真である。なお、図2には、多孔性アルミニウム電極の表面を1000倍で拡大した写真と、3000倍で拡大した写真とを示してある。
図1および図2に示すアルミニウム電極10は、アルミニウム芯材20と、アルミニウム芯材20の表面に積層された多孔質層30とを有する多孔性アルミニウム電極であり、多孔質層30は、アルミニウム粉体を焼結してなる層である。本形態において、アルミニウム電極10は、アルミニウム芯材20の両面に多孔質層30を有している。
本形態において、アルミニウム芯材20は、厚さが10μm〜50μmである。図1には、厚さが約30μmのアルミニウム芯材20を用いたアルミニウム電極10が示されている。一層当たりの多孔質層30の厚さは、例えば、50μm〜3000μmである。図1には、厚さが30μmのアルミニウム芯材20の両面に、厚さが約350μmの多孔質層30が形成されたアルミニウム電極10が示されている。多孔質層30の厚さは、厚い程、静電容量が増大するので、厚い方が好ましいが、厚さが3000μmを超えると、多孔質層30の空隙35の深部まで化成を行いにくくなることから、多孔質層30の厚さは3000μm以下であることが好ましい。
アルミニウム芯材20は、鉄含有量が1000重量ppm未満であることが好ましい。多孔質層30は、鉄含有量が好ましくは1000重量ppm未満のアルミニウム粉体を焼結してなる層であり、アルミニウム粉体は、互いに空隙35を維持しながら焼結されている。
アルミニウム粉体の形状は、特に限定されず、略球状、不定形状、鱗片状、短繊維状等のいずれも好適に使用できる。特に、アルミニウム粉体間の空隙を維持するために、略球状粒子からなる粉体が好ましい。本形態におけるアルミニウム粉体の平均粒径は1μmから10μmである。このため、表面積を効果的に拡大することができる。ここで、アルミニウム粉体の平均粒径が1μm未満では、アルミニウム粉体間の間隙が狭すぎて電極等として機能しない無効部分が増大する一方、アルミニウム粉体の平均粒径が10μmを超えると、アルミニウム粉体間の間隙が広すぎて表面積の拡大が不十分である。すなわち、アルミニウム粉体の平均粒径が1μm未満では、皮膜耐電圧が200V以上の化成皮膜を形成した際、アルミニウム粉体間の空隙35が埋没し静電容量が低下する。一方、平均粒径が10μmを超えると空隙35が大きくなりすぎ、静電容量の大幅な向上が望めない。従って、アルミニウム電極10に皮膜耐電圧が200V以上の厚い化成皮膜を形成する場合、多孔質層30に用いたアルミニウム粉体の平均粒径は1μmから10μm、好ましくは、2μmから10μmであることが好ましい。なお、本形態におけるアルミニウム粉体の平均粒径は、レーザー回折法により粒径とその粒径に該当する粒子の数を求めて得られる粒度分布曲線において全粒子数の50%目に該当する粒子の粒子径である。また、焼結後の前記粉末の平均粒径は、前記焼結体の断面を、走査型電子顕微鏡によって観察することによって測定する。例えば、焼結後の前記粉末は、一部が溶融又は粉末同士が繋がった状態となっているが、略円形状を有する部分は近似的に粒子とみなせる。すなわち、これらの粒径とその粒径に該当する粒子の数を求めて得られる粒度分布曲線において全粒子数の50%目に該当する粒子の粒子径を焼結後の粉末の平均粒径とする。なお、上記で求められる焼結前の平均粒径と焼結後の平均粒径はほぼ同じである。
本形態において、アルミニウム電極10をアルミニウム電解コンデンサの陽極として用いる際、多孔質層30には化成皮膜が形成される。その際、アルミニウム芯材20において、多孔質層30から露出している部分がある場合、アルミニウム芯材20にも化成皮膜が形成される。
(アルミニウム電極10の製造方法)
本発明を適用した多孔性アルミニウム電極10の製造方法は、まず、第1工程においてアルミニウム芯材20の表面に、鉄含有量が好ましくは1000重量ppm未満のアルミニウム粉体を含む組成物からなる皮膜を形成する。アルミニウム粉体は、アトマイズ法、メルトスピニング法、回転円盤法、回転電極法、その他の急冷凝固法等により製造されたものである。これらの方法のうち、工業的生産にはアトマイズ法、特にガスアトマイズ法が好ましく、アトマイズ法では、溶湯をアトマイズすることにより粉体を得る。
前記組成物は、必要に応じて樹脂バインダ、溶剤、焼結助剤、界面活性剤等が含まれて
いても良い。これらはいずれも公知または市販のものを使用することができる。本形態では、樹脂バインダおよび溶剤の少なくとも1種を含有させてペースト状組成物として用いることが好ましい。これにより効率よく皮膜を形成することができる。樹脂バインダとしては、例えば、カルボキシ変性ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩酢ビ共重合樹脂、ビニルアルコール樹脂、ブチラール樹脂、フッ化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル樹脂、ニトロセルロース樹脂等が好適に使用できる。これらのバインダは、それぞれ分子量、樹脂の種類等により、加熱時に揮発するものと、熱分解によりその残渣がアルミニウム粉末とともに残存するものとがあり、静電特性等の要求に応じて使い分けすることができる。前記組成物を調製する際、溶媒を添加するが、かかる溶媒としては、水、エタノール、トルエン、ケトン類、エステル類等を単独あるいは混合して用いることができる。
また、多孔質層30の形成は、前記組成物の性状等に応じて公知の方法から適宜採択することができる。例えば、組成物が粉末(固体)である場合は、その圧粉体を芯材上に形成(または熱圧着)すれば良い。この場合は、圧粉体を焼結することにより固化するとともに、アルミニウム芯材20上にアルミニウム粉末を固着させることができる。また、組成物が液状(ペースト状)である場合は、ローラー、刷毛、スプレー、ディッピング等の塗布方法により形成できるほか、公知の印刷方法により形成することもできる。なお、皮膜は、必要に応じて、20℃以上300℃以下の範囲内の温度で乾燥させても良い。
次に、第2工程においては、皮膜を560℃以上660℃以下の温度で焼結する。焼結時間は、焼結温度等により異なるが、通常は5〜24時間程度の範囲内で適宜決定することができる。焼結雰囲気は、特に制限されず、例えば真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、酸化性ガス雰囲気(大気)、還元性雰囲気等のいずれであっても良いが、特に、真空雰囲気または還元性雰囲気とすることが好ましい。また、圧力条件についても、常圧、減圧または加圧のいずれでも良い。なお、組成物中(皮膜中)に樹脂バインダ等の有機成分が含有している場合は、第1工程後、第2工程に先立って予め100℃以上から600℃以下の温度範囲で保持時間が5時間以上の加熱処理(脱脂処理)を行なうことが好ましい。その際の加熱処理雰囲気は特に限定されず、例えば真空雰囲気、不活性ガス雰囲気または酸化性ガス雰囲気中のいずれでも良い。また、圧力条件も、常圧、減圧または加圧のいずれでも良い。
(アルミニウム電解コンデンサの構成)
本形態の化成済みのアルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)を用いてアルミニウム電解コンデンサを製造するには、例えば、化成済みのアルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)からなる陽極箔と、陰極箔とをセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成する。次に、コンデンサ素子を電解液(ペースト)に含浸する。しかる後には、電解液を含んだコンデンサ素子を外装ケースに収納し、封口体でケースを封口する。
また、電解液に代えて固体電解質を用いる場合、化成済みのアルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)からなる陽極箔の表面に固体電解質層を形成した後、固体電解質層の表面に陰極層を形成し、しかる後に、樹脂等により外装する。その際、陽極に電気的接続する陽極端子と陰極層に電気的接続する陰極端子とを設ける。この場合、陽極箔が複数枚積層されることがある。
また、アルミニウム電極10としては、棒状のアルミニウム芯材20の表面に多孔質層30が積層された構造が採用される場合もある。かかるアルミニウム電極10を用いてアルミニウム電解コンデンサを製造するには、例えば、化成済みのアルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)からなる陽極の表面に固体電解質層を形成した後、
固体電解質層の表面に陰極層を形成し、しかる後に、樹脂等により外装する。その際、陽極に電気的接続する陽極端子と陰極層に電気的接続する陰極端子とを設ける。
(アルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法)
図3は、本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法を示す説明図であり、図3(a)、(b)は、第1実施形態の化成方法を示す説明図、および第2実施形態の化成方法を示す説明図である。
図3(a)に示すように、本形態のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法では、アルミニウム電極10を純水中でボイルする純水ボイル工程ST20を行った後、アルミニウム電極10に皮膜耐電圧が200V以上となるまで化成する化成工程ST10を行い、その後、乾燥工程を行う。
純水ボイル工程ST20では、アルミニウム電極10を液温が60℃から100℃の純水中で3分から10分ボイルし、アルミニウム電極10にベーマイト等のアルミニウム水和膜を形成する。
本形態において、化成工程ST10では、まず、第1化成処理ST11において、アルミニウム電極10に対して、有機酸あるいはその塩を含む水溶液(有機酸系の化成液)中で化成を行う。ここで、有機酸は、下記一般式
HOOC−R−COOH
但し、上記一般式において、Rの主鎖は炭素数が6以上のアルキル鎖
で表される。従って、有機酸は、オクタン二酸(スベリン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ドデカン二酸であり、かかる有機酸、あるいはそのアンモニウム塩等の水溶液を化成液として用いる。ここで、Rの主鎖は炭素数6以上のアルキル鎖であり、側鎖に炭素数1以上のアルキル基、炭素数1以上のアルコキシ基、炭素数1以上のカルボキシル基、または水酸基を含んでもよく、2つ以上の側鎖同士が結合して環を形成してもよい。
第1化成処理ST11で用いる水溶液(化成液)は、70℃で測定した比抵抗が、0.4Ωmから500Ωmであることが好ましい。比抵抗が500Ωmより大きい場合、緻密な化成皮膜が形成されず、漏れ電流が大きくなる。これに対して、比抵抗が0.4Ωm未満の場合、化成中に火花放電が発生してしまい、化成皮膜が破壊されてしまう。また、比抵抗が0.4Ωm未満の場合、アルミニウム電極10表面の凹凸内に化成液が取り残されることがある。かかる状態になると、その後の熱デポラリゼーションなどを行う際に有機酸またはその塩が燃焼、爆発することにより、化成皮膜が破壊されてしまう事態が発生することがある。
次に、化成工程ST10では、第2化成処理ST12において、ホウ酸やリン酸等の無機酸あるいはその塩を含む水溶液(無機酸系の化成液)中において、アルミニウム電極10に化成を行う。第2化成処理ST12では、アルミニウム電極10を加熱する熱デポラリゼーション処理ST32や、リン酸イオンを含む水溶液等にアルミニウム電極10を浸漬する液中デポラリゼーション処理ST31を行う。デポラリゼーション処理については、熱デポラリゼーション処理ST32と、液中デポラリゼーション処理ST31とを組み合わせて行うが、いずれの組み合わせの場合も、最後のデポラリゼーション処理については熱デポラリゼーション処理ST32とすることが好ましい。また、熱デポラリゼーション処理ST32のうち、最初に行う熱デポラリゼーション処理ST32の前には、アルミニウム電極10に対して5分間以上の水洗浄処理を行うことが好ましい。図3(a)には、第2化成処理ST12において、熱デポラリゼーション処理ST32、液中デポラリゼーション処理ST31、液中デポラリゼーション処理ST31、および熱デポラリゼーション処理ST32の順に計4回のデポラリゼーション処理を行う場合を示してある。熱デポラリゼーション処理ST32では、例えば、処理温度が450℃〜550℃であり、処理時間
は2分〜10分である。液中デポラリゼーション処理ST31では、20重量%〜30重量%リン酸の水溶液中において、液温が60℃〜70℃の条件で皮膜耐電圧に応じて5分〜15分、アルミニウム電極10を浸漬することが好ましい。液中デポラリゼーション処理ST31では、アルミニウム電極10に電圧を印加しない。
なお、第1化成処理ST11においても、昇圧途中に、リン酸イオンを含む水溶液にアルミニウム電極10を浸漬する浸漬処理を行ってもよい。好ましくは、液温が40℃から80℃であり、60℃で測定した比抵抗が0.1Ωmから5Ωmであるリン酸水溶液にアルミニウム電極10を3分から30分の浸漬時間で浸漬する。その際、アルミニウム電極10には電圧を印加しない。第1化成処理ST11において、多孔質層30が厚くて複雑な形状であるアルミニウム電極10を有機酸あるいはその塩を含む水溶液中で化成すると、多孔質層30の厚さに起因する空隙35の破壊が起きやすくなる。特に、多孔質層30の厚さが250μm以上で、200V以上の化成を行う場合には、化成液条件やデポラリゼーション条件を適正化した場合でも、水酸化アルミニウムの析出により目詰まりが起こりやすい。しかるに、リン酸水溶液への浸漬処理を行えば、目詰まりが生じる前に析出した水酸化アルミニウムを効率よく取り除くことができるとともに、その後の水酸化アルミニウムの生成を抑制することができる。従って、多孔質層30の空隙35の内部に有機酸あるいはその塩を含む水溶液が残留することを抑えられる。また、リン酸イオンを含む水溶液を用いた場合、化成膜内にリン酸イオンを取り込むことにより、沸騰水や酸性溶液への浸漬に対する耐久性を向上する事ができるので、化成膜の安定性を向上することができる。
かかる化成方法において、第1化成処理ST11では、電源電圧が第1電圧Va(V)となるまでアルミニウム電極10に定電流化成を行い、第2化成処理ST12では、電源電圧が第1電圧Va(V)より高い第2電圧Vb(V)となるまでアルミニウム電極10に定電流化成を行い、第1化成処理ST11および第2化成処理ST12のうち、少なくとも第2化成処理ST12では、定電流化成での最終到達電圧で定電圧化成を行うことが好ましい。
なお、図3(b)に示すように、第1化成処理ST11では、電源電圧が電圧Vc(V)となるまでアルミニウム電極10に定電流化成を行い、第1化成処理ST11および第2化成処理ST12のうち、少なくとも第2化成処理ST12において、電圧Vc(V)で定電圧化成を行ってもよい。
(実施例)
次に、本発明の実施例を説明する。まず、表1に示す各種のアルミニウム電極10、および表2に示す化成液A〜Hを準備する。次に、アルミニウム電極10を表3に示す条件で化成を行ってアルミニウム電解コンデンサ用電極を作製した。また、表3に示す条件で化成を行ったアルミニウム電極10(アルミニウム電解コンデンサ用電極)に対して、皮膜耐電圧、静電容量(CV積値)、および漏れ電流を測定し、それらの結果を表4に示す。なお、化成電圧は300Vまたは600Vであり、皮膜耐電圧や静電容量の測定は、JEITA規格に準じる形で行った。また、アルミニウム粉体の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計により測定した。
表4からわかるように、本発明の実施例1〜8に係るアルミニウム電解コンデンサ用電極は、ホウ酸のみを用いた化成液や、ヘキサン二酸(アジピン酸)を用いた化成液で化成した比較例より15%から20%高い静電容量を得ることができる。
より具体的には、比較例1、2では第1化成処理ST11に無機酸またはその塩を含む
水溶液を用いており、有機酸またはその塩を含む水溶液を用いていない。このため、静電容量(CV積)が低い。
比較例3では、第1化成処理ST11の化成液において、Rの主鎖の炭素数が4(6未満)であるヘキサン二酸アンモニウム(アジピン酸アンモニウム)を用いているために、静電容量(CV積)が低い。
比較例4は、その他の条件は適切であるが、第1化成処理ST11で用いた化成液の70℃で測定した比抵抗が0.1Ωm(0.4Ωm未満)である。このため、アルミニウム電極10の多孔質層30の空隙35内部に取り残された化成液が、熱デポラリゼーションを行う際に燃焼、爆発することにより、多孔質層や化成皮膜が破壊されてしまった。それ故、実施例1〜8に係る製造方法が好ましい。
但し、実施例1〜8のうち、実施例8は、その他の条件は適正であるが、第1化成処理ST11で用いた化成液は、70℃で測定した比抵抗が1000Ωm(500Ωmより大きい)である。このため、緻密な化成皮膜が形成されず、皮膜耐電圧が小さく、漏れ電流が大きくなる傾向にある。それ故、実施例1〜8のうち、実施例1〜7に係る製造方法がより好ましい。
10・・アルミニウム電極
20・・アルミニウム芯材
30・・多孔質層
35・・空隙
ST10・・化成工程
ST11・・第1化成処理
ST12・・第2化成処理
ST20・・純水ボイル工程

Claims (5)

  1. アルミニウム電極に対して、有機酸あるいはその塩を含む水溶液中で化成を行う第1化成処理を有するアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法であって、
    前記有機酸は、下記一般式
    HOOC−R−COOH
    但し、上記一般式において、Rの主鎖は炭素数が6以上のアルキル鎖
    で表され、
    前記水溶液は、70℃で測定した比抵抗が、0.4Ωm以上であることを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
  2. 前記水溶液は、70℃で測定した比抵抗が、0.4Ωmから500Ωmであることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
  3. 前記第1化成処理の後、無機酸あるいはその塩を含む水溶液化成液中で化成を行う第2化成処理を有することを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
  4. 前記第1化成処理の前に、前記アルミニウム電極を純水中でボイルする純水ボイル工程を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
  5. 前記アルミニウム電極は、平均粒径1μmから10μmのアルミニウム粉体を焼結して成る多孔質層がアルミニウム芯材の表面に50μmから3000μmの厚さで積層された多孔性アルミニウム電極であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のアルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法。
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