JP2017016770A - 燃料電池スタック及びその組み立て方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単且つ迅速に、燃料電池スタックを組み付けることを可能にする。
【解決手段】燃料電池スタックは、複数の発電セルに設けられる位置決め孔部に一体に挿入されるとともに、エンドプレート間に保持されるノックピン60aを備える。ノックピン60aは、中空のピン本体部62と、前記ピン本体部62内に、該ピン本体部62のピン軸方向に進退可能に挿入される伸縮部68とを備える。ピン本体部62内には、伸縮部68をピン軸方向に進退させるコイルスプリング72が配置される。
【選択図】図4

Description

本発明は、発電セルが積層されるとともに、積層方向両端にエンドプレートが配設される燃料電池スタック及びその組み立て方法に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極触媒(電極触媒層)及び多孔質カーボン(ガス拡散層)を有するアノード電極とカソード電極とを配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。電解質膜・電極構造体は、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されることにより、発電セル(燃料電池セル)を構成している。所定数の発電セルが積層されて燃料電池スタックが構成されており、前記燃料電池スタックは、例えば、燃料電池電気自動車等に搭載される車載用燃料電池スタックとして使用されている。
車載用燃料電池スタックでは、相当に多数の発電セルが積層されている。このため、各発電セル同士を正確に位置決めするとともに、所望のシール性を確保する必要がある。このため、燃料電池スタックの組み立て作業では、通常、各発電セルに形成された位置決め孔部に、ノックピン(位置決めピン)を一体に挿入して各発電セル同士を位置決めしている。この状態で、発電セルの積層体に積層方向に圧縮力を付与しながら、タイロッド等で一対のエンドプレート間を締め付け固定している。
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池組立方法では、発電セルの位置決め孔にノックピンを挿入し、前記ノックピンに沿って前記発電セルを積層している。次いで、積層された発電セルに対して積層方向に荷重を加え、前記発電セルを圧縮することにより、ノックピンの延長部が該発電セルの積層方向端部から突出した状態で、前記延長部をノックピン本体部から取り外している。
従って、位置決め棒の延長部を取り外すことで、圧縮工程の後に燃料電池スタックから突出した前記位置決め棒の端部を簡単に除去し、該位置決め棒の不要な突出がない燃料電池スタックを簡単に形成できる、としている。
特開2013−196849号公報
ところで、上記の特許文献1では、発電セルの積層時に、ノックピン本体部に延長部が取り付けられている一方、前記発電セルの圧縮時に、前記延長部を前記ノックピン本体部から取り外している。このため、延長部の着脱作業が必要になり、作業性が低下するおそれがある。
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単且つ迅速に、燃料電池スタックを組み付けることが可能な燃料電池スタック及びその組み立て方法を提供することを目的とする。
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する発電セルを有し、複数の前記発電セルが積層されるとともに、積層方向両端にエンドプレートが配設される燃料電池スタックに関するものである。
燃料電池スタックは、複数の発電セルに設けられた各位置決め孔部に一体に挿入されるとともに、エンドプレート間に保持される位置決めピンを備えている。位置決めピンは、中空のピン本体部と、前記ピン本体部内に、該ピン本体部のピン軸方向に進退可能に挿入される伸縮部と、前記ピン本体部内に配置され、前記伸縮部を前記ピン軸方向に進退させる弾性体と、を備えている。
また、燃料電池スタックは、伸縮部をピン本体部に対して進退方向にガイドするガイド部と、前記伸縮部を進出先端位置に保持し、該伸縮部が前記ピン本体部から離脱することを阻止する係止部と、を備えることが好ましい。
さらに、本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する発電セルを有し、複数の前記発電セルが積層されるとともに、積層方向両端にエンドプレートが配設される燃料電池スタックの組み立て方法に関するものである。
組み立て方法は、一方のエンドプレートに、ピン軸方向に伸縮自在な位置決めピンの一端を保持させている。そして、位置決めピンを、発電セルに設けられた位置決め孔部に挿入させることにより、複数の前記発電セルを位置決めして積層させている。次いで、他方のエンドプレートと一方のエンドプレートの間に積層された複数の発電セルに、積層方向に圧縮力を付与するとともに、位置決めピンをピン軸方向に縮小させている。この状態で、一方のエンドプレートと他方のエンドプレートとの間を締め付け固定している。
さらにまた、位置決めピンは、中空のピン本体部と、前記ピン本体部内に挿入され、弾性体の弾性力により該ピン本体部に対してピン軸方向に進退可能な伸縮部とを有することが好ましい。発電セルの積層時には、伸縮部がピン本体部の外方に突出する一方、前記発電セルの圧縮時には、前記伸縮部が前記ピン本体部の内部に収納されることが好ましい。
本発明によれば、位置決めピンが各発電セルの位置決め孔部に一体に挿入されることにより、複数の発電セルが位置決めされている。そして、複数の発電セルに積層方向に圧縮力が付与され、前記複数の発電セルが圧縮される際、位置決めピンは、ピン軸方向に縮小することができる。このため、位置決めピンを分割させる必要がなく、簡単且つ迅速に、燃料電池スタックを組み付けることが可能になる。
本発明の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視説明図である。 前記燃料電池スタックの一部断面側面図である。 前記燃料電池スタックを構成する燃料電池の要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックを構成するノックピンの斜視説明図である。 前記ノックピンの断面側面図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池スタックの組み立て方法に適用される組み立て装置の要部説明図である。 前記組み立て装置にエンドプレートが配置された状態の説明図である。 前記組み立て装置に発電セルの積層された状態の説明図である。 前記組み立て装置により前記発電セルに締め付け荷重を付与した状態の説明図である。 前記ノックピンが押圧されて縮小される際の説明図である。 前記ノックピンが縮小端まで押圧された状態の説明図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の発電セル12が、立位姿勢で水平方向(矢印A方向)に積層される。燃料電池スタック10は、例えば、車載用燃料電池スタックを構成し、図示しない燃料電池車両(燃料電池電気自動車)に搭載される。
図1及び図2に示すように、発電セル12の積層方向一端には、ターミナルプレート14a、インシュレータ16a及びエンドプレート18aが、外方に向かって、順次、配設される。発電セル12の積層方向他端には、ターミナルプレート14b、インシュレータ16b及びエンドプレート18bが、外方に向かって、順次、配設される。ターミナルプレート14a、14bの略中央には、積層方向外方に延在する端子部20a、20bが設けられる。端子部20a、20bは、エンドプレート18a、18bの外部に突出する。ターミナルプレート14a、14bは、インシュレータ16a、16bのプレート面に形成された凹部16ad、16bdに収容される。
エンドプレート18a、18bは、横長(縦長でもよい)の長方形状を有するとともに、各辺間には、連結バー22が配置される。各連結バー22は、両端をエンドプレート18a、18bの内面にボルト24を介して固定され、複数の積層された発電セル12に積層方向(矢印A方向)の締め付け荷重を付与する。なお、燃料電池スタック10では、エンドプレート18a、18bを端板とする筐体を備え、前記筐体内に複数個の発電セル12を収容するように構成してもよい。
図2及び図3に示すように、発電セル12は、電解質膜・電極構造体26と、前記電解質膜・電極構造体26を挟持するアノードセパレータ28及びカソードセパレータ30とを備える。アノードセパレータ28、電解質膜・電極構造体26及びカソードセパレータ30は、水平方向に積層される。
アノードセパレータ28及びカソードセパレータ30は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板により構成される。アノードセパレータ28及びカソードセパレータ30は、平面が矩形状を有するとともに、断面凹凸形状に成形される。なお、アノードセパレータ28及びカソードセパレータ30は、金属セパレータに代えて、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
アノードセパレータ28及びカソードセパレータ30は、横長形状を有するとともに、長辺が水平方向(矢印B方向)に延在し且つ短辺が重力方向(矢印C方向)に延在するように構成される。
図3に示すように、発電セル12の長辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス供給連通孔32a、冷却媒体供給連通孔34a及び燃料ガス排出連通孔36bが上下に設けられる。酸化剤ガス供給連通孔32aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する。冷却媒体供給連通孔34aは、冷却媒体を供給する一方、燃料ガス排出連通孔36bは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出する。
発電セル12の長辺方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガス供給連通孔36a、冷却媒体排出連通孔34b及び酸化剤ガス排出連通孔32bが上下に設けられる。燃料ガス供給連通孔36aは、燃料ガスを供給し、冷却媒体排出連通孔34bは、冷却媒体を排出し、酸化剤ガス排出連通孔32bは、酸化剤ガスを排出する。
図2及び図3に示すように、電解質膜・電極構造体26は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)38を備える。固体高分子電解質膜38は、カソード電極40及びアノード電極42に挟持される。固体高分子電解質膜38は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用してもよい。
カソード電極40及びアノード電極42は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜38の両面に形成される。
カソードセパレータ30の電解質膜・電極構造体26に向かう面30aには、酸化剤ガス供給連通孔32aと酸化剤ガス排出連通孔32bとを連通する酸化剤ガス流路44が形成される。酸化剤ガス流路44は、矢印B方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
アノードセパレータ28の電解質膜・電極構造体26に向かう面28aには、燃料ガス供給連通孔36aと燃料ガス排出連通孔36bとを連通する燃料ガス流路46が形成される。燃料ガス流路46は、矢印B方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
アノードセパレータ28の面28bと隣接するカソードセパレータ30の面30bとの間には、冷却媒体供給連通孔34aと冷却媒体排出連通孔34bとに連通する冷却媒体流路48が形成される。冷却媒体流路48は、矢印B方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
カソードセパレータ30の面30a、30bには、このカソードセパレータ30の外周端縁部を周回して第1シール部材50が一体成形される。アノードセパレータ28の面28a、28bには、このアノードセパレータ28の外周端縁部を周回して第2シール部材52が一体成形される。
第1シール部材50及び第2シール部材52としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
図3に示すように、発電セル12では、一方の対角位置(燃料ガス供給連通孔36a及び燃料ガス排出連通孔36b近傍)には、位置決め孔部(ノック孔)54a、54bが形成される。なお、位置決め孔部54a、54bは、発電セル12の他方の対角位置(酸化剤ガス供給連通孔32a及び酸化剤ガス排出連通孔32b近傍)に形成してもよい。
図2に示すように、インシュレータ16a、16bには、位置決め孔部54a、54bが形成されるとともに、エンドプレート18a、18bには、前記位置決め孔部54aと同軸上に穴部56a、56bが形成される。エンドプレート18a、18bには、位置決め孔部54bと同軸上に穴部58a、58bが形成される。
穴部56a、56bには、各発電セル12の位置決め孔部54aを積層方向に貫通して延在するノックピン(位置決めピン)60aの両端が嵌合する。穴部58a、58bには、各発電セル12の位置決め孔部54bを積層方向に貫通して延在するノックピン(位置決めピン)60bの両端が嵌合する。
ノックピン60aは、図2に示すように、燃料電池スタック10が締結された際、エンドプレート18a、18bの穴部56a、56bの各底部同士の間隔に対応する軸方向長さに設定される。ノックピン60bは、同様に、燃料電池スタック10が締結された際、エンドプレート18a、18bの穴部58a、58bの各底部同士の間隔に対応する軸方向長さに設定される。ノックピン60a、60bは、好ましくは、SUS(ステンレス)、アルミニウム、鉄の他、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂、カーボン等で形成される。
図4及び図5に示すように、ノックピン60aは、中空のピン本体部62を備える。ピン本体部62は、円柱形状を有し、各発電セル12の位置決め孔部54aに一体に挿入されるとともに、ピン軸方向(矢印A方向)一端側には、穴部64が所定の深さに亘って形成される。ピン本体部62のピン軸方向一端は、開口され、前記ピン軸方向一端の円周部には、所定角度(例えば、等角度)間隔ずつ離間して4本(任意の本数でよい)のスリット66が所定の長さに亘って形成される。
ピン本体部62内には、前記ピン本体部62のピン軸方向に進退可能な伸縮部68が配置される。伸縮部68は、円柱形状を有し、穴部64に挿入される一端部にフランジ部68aを設け、前記一端部とは反対の他端部(先端部)に球形部68bを設ける。伸縮部68の外周面には、一端部と他端部との間でピン軸方向に延在する複数枚、例えば、4枚のガイド板部70が設けられる。各ガイド板部70は、ピン本体部62の各スリット66に配置されるとともに、前記ガイド板部70の両端には、径方向内方に傾斜する傾斜部70a、70bが形成される。
ピン本体部62内には、伸縮部68をピン軸方向に進退させる弾性体、例えば、コイルスプリング72が配置される。コイルスプリング72の一端72aは、穴部64の底面64sに固定される一方、前記コイルスプリング72の他端72bは、伸縮部68のフランジ部68aに固定される。コイルスプリング72は、伸縮部68の抜け止め機能を有するとともに、燃料電池スタック10の締結時に、前記伸縮部68をピン本体部62内に収納する機能を有する。なお、弾性体は、皿ばねやゴム等を用いてもよい。
ノックピン60bは、上記のノックピン60aと同様に構成されており、同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図6は、燃料電池スタック10の組み立て方法に適用される組み立て装置80の要部説明図である。
組み立て装置80は、基台82上に固定プレート84が配設されるとともに、前記固定プレート84は、エンドプレート18a(又は18b)を載置する載置面84sを有する。図示しないが、載置面84sには、端子部20a(又は20b)を収容する開口部が形成される。固定プレート84には、4本のガイドバー86が立設されるとともに、前記ガイドバー86は、可動プレート88を支持する。
可動プレート88は、エンドプレート18b(又は18a)を固定する固定面88sを有する。図示しないが、固定面88sには、端子部20b(又は20a)を収容する開口部が形成される。可動プレート88には、昇降用シリンダ90のロッド部90aが下方に向かって固着される。
次いで、組み立て装置80を用いて燃料電池スタック10を組み立てる作業について、以下に説明する。
図7に示すように、固定プレート84の載置面84sには、例えば、エンドプレート18aが固定されるとともに、可動プレート88の固定面88sには、例えば、エンドプレート18bが固定される。エンドプレート18aでは、穴部56a、58aにノックピン60a、60bの一端部が挿入される。
さらに、図8に示すように、エンドプレート18a上には、インシュレータ16a及びターミナルプレート14aが配置され、この上には、所定数の発電セル12がノックピン60a、60bと位置決め孔部54a、54bとの案内作用下に位置決め載置される。最上位の発電セル12には、ターミナルプレート14b及びインシュレータ16bが載置される。その際、ノックピン60a、60bの先端は、上方に露呈している。
そこで、昇降用シリンダ90が駆動されてロッド部90aが下降すると、前記ロッド部90aに支持されている可動プレート88は、エンドプレート18bと一体に下降する。このため、エンドプレート18bは、インシュレータ16b及びターミナルプレート14bを下方に押圧し、積層されている発電セル12に圧縮力を付与する(図9参照)。
その際、ノックピン60a、60bの先端、すなわち、伸縮部68は、エンドプレート18bの穴部56b、58bに挿入された後、前記穴部56b、58bの底面から押圧力が付与される。従って、図10に示すように、伸縮部68は、コイルスプリング72の弾性力に抗してピン本体部62内に進入する。さらに、エンドプレート18bは、所定の締結位置まで下降されると、図11に示すように、伸縮部68は、ピン本体部62内に略全体が収容される。
この状態で、エンドプレート18a、18bの各辺間には、連結バー22が配置され、前記連結バー22は、ボルト24を介して前記エンドプレート18a、18bの内面に固定される。これにより、燃料電池スタック10の組み立て作業が終了する。
この場合、本実施形態では、図7に示すように、エンドプレート18aに、ピン軸方向に伸縮自在なノックピン60a、60bの一端を保持させている。そして、ノックピン60a、60bは、各発電セル12に設けられた位置決め孔部54a、54bに挿入されることにより、複数の前記発電セル12が位置決め積層されている(図8参照)。
次に、図9に示すように、エンドプレート18bとエンドプレート18aの間に積層された複数の発電セル12に、積層方向に圧縮力を付与するとともに、ノックピン60a、60bをピン軸方向に縮小させている。具体的には、図11に示すように、ノックピン60a、60bを構成する伸縮部68が、ピン本体部62内にコイルスプリング72の弾性力に抗して進入している。この状態で、エンドプレート18a、18bは、連結バー22を介して締め付け固定されている。
このように、本実施形態では、ノックピン60a、60bが、各発電セル12の位置決め孔部54a、54bに一体に挿入されることにより、複数の発電セル12が位置決めされている。そして、複数の発電セル12に積層方向に圧縮力が付与されて前記複数の発電セル12が圧縮される際、ノックピン60a、60bは、ピン軸方向に縮小することができる。このため、ノックピン60a、60bを分割させる必要がなく、簡単且つ迅速に、燃料電池スタック10を組み付けることが可能になるという効果が得られる。
また、燃料電池スタック10を解体する場合に、積層方向の圧縮力が解除される際、従来では、ノックピン本体部を改めて延長部に取り付ける必要があった。これに対して、本実施形態では、延長部を取り付ける必要がなく、解体の作業効率を有効に向上させることができるという効果も得られる。
さらに、本実施形態では、図4及び図5に示すように、伸縮部68の外周面には、4枚のガイド板部70が設けられており、各ガイド板部70は、ピン本体部62の各スリット66に配置されている。従って、伸縮部68は、ガイド板部70の案内作用下に、容易且つ確実に進退することができるという利点がある。なお、伸縮部68をガイドする構造であれば、ガイド板部70に限定されるものではなく、種々のガイド構造を採用することができる。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、エンドプレート18aの酸化剤ガス供給連通孔32aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス供給連通孔36aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体供給連通孔34aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔32aからカソードセパレータ30の酸化剤ガス流路44に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路44に沿って矢印B方向に移動し、電解質膜・電極構造体26のカソード電極40に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔36aからアノードセパレータ28の燃料ガス流路46に供給される。燃料ガスは、燃料ガス流路46に沿って矢印B方向に、酸化剤ガスの流れ方向とは対向するように移動し、電解質膜・電極構造体26のアノード電極42に供給される。
従って、電解質膜・電極構造体26では、カソード電極40に供給される酸化剤ガスと、アノード電極42に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、電解質膜・電極構造体26のカソード電極40に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔32bに沿って矢印A方向に排出される。一方、電解質膜・電極構造体26のアノード電極42に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔36bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体供給連通孔34aに供給された冷却媒体は、カソードセパレータ30及びアノードセパレータ28間の冷却媒体流路48に導入される。冷却媒体は、矢印B方向に移動して電解質膜・電極構造体26を冷却する。この冷却媒体は、冷却媒体排出連通孔34bに沿って矢印A方向に排出される。
10…燃料電池スタック 12…発電セル
18a、18b…エンドプレート 22…連結バー
26…電解質膜・電極構造体 28…アノードセパレータ
30…カソードセパレータ 32a…酸化剤ガス供給連通孔
32b…酸化剤ガス排出連通孔 34a…冷却媒体供給連通孔
34b…冷却媒体排出連通孔 36a…燃料ガス供給連通孔
36b…燃料ガス排出連通孔 38…固体高分子電解質膜
40…カソード電極 42…アノード電極
44…酸化剤ガス流路 46…燃料ガス流路
48…冷却媒体流路 54a、54b…位置決め孔部
56a、56b、58a、58b、64…穴部
60a、60b…ノックピン 62…ピン本体部
66…スリット 68…伸縮部
70…ガイド板部 72…コイルププリング
80…組み立て装置 84…固定プレート
88…可動プレート 90…昇降用シリンダ

Claims (4)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する発電セルを有し、複数の前記発電セルが積層されるとともに、積層方向両端にエンドプレートが配設される燃料電池スタックであって、
    複数の前記発電セルに設けられた各位置決め孔部に一体に挿入されるとともに、前記エンドプレート間に保持される位置決めピンを備え、
    前記位置決めピンは、中空のピン本体部と、
    前記ピン本体部内に、該ピン本体部のピン軸方向に進退可能に挿入される伸縮部と、
    前記ピン本体部内に配置され、前記伸縮部を前記ピン軸方向に進退させる弾性体と、
    を備えることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記伸縮部を前記ピン本体部に対して進退方向にガイドするガイド部と、
    前記伸縮部を進出先端位置に保持し、該伸縮部が前記ピン本体部から離脱することを阻止する係止部と、
    を備えることを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する発電セルを有し、複数の前記発電セルが積層されるとともに、積層方向両端にエンドプレートが配設される燃料電池スタックの組み立て方法であって、
    一方のエンドプレートに、ピン軸方向に伸縮自在な位置決めピンの一端を保持させる工程と、
    前記位置決めピンを、前記発電セルに設けられた位置決め孔部に挿入させることにより、複数の前記発電セルを位置決めして積層させる工程と、
    他方のエンドプレートと前記一方のエンドプレートの間に積層された複数の前記発電セルに、積層方向に圧縮力を付与するとともに、前記位置決めピンを前記ピン軸方向に縮小させた状態で、前記一方のエンドプレートと前記他方のエンドプレートとの間を締め付け固定する工程と、
    を有することを特徴とする燃料電池スタックの組み立て方法。
  4. 請求項3記載の組み立て方法において、前記位置決めピンは、中空のピン本体部と、前記ピン本体部内に挿入され、弾性体の弾性力により該ピン本体部に対して前記ピン軸方向に進退可能な伸縮部とを有し、
    前記発電セルの積層時には、前記伸縮部が前記ピン本体部の外方に突出する一方、前記発電セルの圧縮時には、前記伸縮部が前記ピン本体部の内部に収納されることを特徴とする燃料電池スタックの組み立て方法。
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