JP2017014548A - 銀粘土 - Google Patents
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Abstract
【課題】保湿性、作業性を向上し、形成された焼結体の性能を向上させ、焼結時の収縮率を減少させる。【解決手段】提供される銀粘土は球状銀粉末、薄片状銀粉末、結合剤及び油から成る。球状銀粉末及び薄片状銀粉末の量は銀粘土の合計量に対して50重量%〜96重量%の範囲である。この組成物の銀粘土は、保湿性、作業性を向上し、焼結時の収縮率を減少させ、それによって形成された焼結体の性能を向上させる。【選択図】なし
Description
本発明は、銀粘土に係り、特に、美術工芸品、宝飾品及びアクセサリーのための銀粘土に関する。
小型の電気炉は、加熱効率と温度調節が劣るために、効果的にその内部温度を制御ができず、したがって全体銀粘土を焼結することはできない。特許文献1によって開示されているように、従来技術の発明者らは銀粘土の組成物を改善している。この銀粘土は、2μm未満の平均粒径を有する球状銀粉末の15重量%〜50重量%、2μm〜100μmの範囲の平均粒径を有する微粒化銀粉末の50重量%〜85重量%及び有機結合剤を含んでおり、銀粘土が純粋な銀の融点より低い温度、即ち550℃〜710℃で完全に焼結されることを確保せんとする。また、銀粘土を低温で焼結して作成された焼結体は、所望の引張強さ及び密度を有することができる。しかしながら、銀粘土の保湿を改善するための技術的な態様は、先行技術には開示されていない。
乾燥した銀粘土は成形のために軟化又は再利用することができないことを考慮して、特許文献2の発明者らは、粘性銀粉末、フラクシング剤、酸化剤、接着剤及び保水剤からなる銀粘土を開示している。上記の粘性銀粉末は、5μmの粒径を有する銀粒子と、この銀粒子を被覆するアルキルメルカプタン及びポリビニルピロリドンのような粘性物質とから構成されている。保水剤の使用により、銀粘土は親水性及び軟化特性を得ることができ、このため乾燥した銀粘土に水を添加した後、乾燥した銀粘土は軟化されて造形化することができる。しかしながら、上記の保水剤は銀粘土から作成された焼結体の強度及び張力を低下させ、各種添加剤の添加は銀粘土に含まれる不純物を増加させる傾向があり、共に焼結体の特性を劣化させる。
従来の銀粘土の欠点に鑑み、本発明の1つの目的は、保湿及び形状加工性を改善することである。
本発明の他の目的は、焼結によって生じる銀粘土の収縮率を減少させることである。
さらに、本発明の別の目的は、銀粘土から生成された焼結物品の引張強度を増加させることである。
前述の目的を達成するため、本発明は、球状銀粉末、薄片状銀粉末、3重量%〜49.99重量%の結合剤及び0.01重量%〜1重量%の油から成る銀粘土を提供し、これらの量は上記の球状銀粉末、上記の薄片状銀粉末、上記の結合剤及び上記の油の合計量に基づくものである。球状銀粉末及び薄片状銀粉末の合計量は、球状銀粉末、薄片状銀粉末、結合剤及び油の合計量に基づいて、50重量%〜96重量%の範囲である。
好ましくは、球状銀粉末と薄片状銀粉末の合計量は70重量%〜96重量%の範囲であり、結合剤の量は3.95重量%〜29.99重量%の範囲であり、油の量は0.01重量%〜0.05重量%の範囲であり、これらの量は球状銀粉末、薄片状銀粉末、結合剤及び油の合計量に基づくものである。
より好ましくは、球状銀粉末及び薄片状銀粉末の合計量は80重量%〜96重量%の範囲であり、結合剤の量は3.95重量%〜19.95重量%の範囲であり、油の量は0.01重量%〜0.05重量%の範囲であり、これらの量は球状銀粉末、薄片状銀粉末、結合剤及び油の合計量に基づくものである。
さらにより好ましくは、球状銀粉末及び薄片状銀粉末の合計量は85重量%〜91重量%の範囲であり、結合剤の量は8.95重量%〜14.95重量%の範囲であり、油の量は0.01重量%〜0.05重量%の範囲であり、これらの量は球状銀粉末、薄片状銀粉末、結合剤、及び油の合計量に基づくものである。
したがって、上記の組成物の銀粘土は焼結中に収縮を招くことがより少なくなり、このようにして銀粘土から作成された焼結体は改良された引張力をもたらす。
好ましくは、球状銀粉末の薄片状銀粉末に対する重量比は1:4〜4:1の範囲であり、より好ましくは3:7〜7:3の範囲であり、さらにより好ましくは2:3〜3:2の範囲であり、もっとさらにより好ましくは1:1〜3:2の範囲である。球状銀粉末の薄片状銀粉末に対する重量比を制御することにより、銀粘土は焼結されて低収縮率及び改善された引張強度を有する焼結体を形成する。
上記の球状銀粉末は表面処理で任意に改善され、薄片状銀粉末についてもそのように行うことができる。好ましくは、球状銀粉末は表面処理されていない原初の球状銀粉末、表面処理された球状銀粉末又はそれらの組み合わせから成り、薄片状銀粉末は表面処理されていない原初の薄片状銀粉末、表面処理された薄片状銀粉末又はそれらの組み合わせから成る。
好ましくは、球状銀粉末は重量比4:6〜6:4で表面処理されていない原初の球状銀粉末及び表面処理された球状銀粉末から成り、薄片状銀粉末は重量比4:6〜6:4で表面処理されていない原初の薄片状銀粉末及び表面処理された薄片状銀粉末から成る。
好ましくは、上記の球状銀粉末は分散剤及び分散剤で被覆された銀球から成り、薄片状銀粉末は分散剤及び分散剤で被覆された銀薄片から成る。球状銀粉末の分散剤及び薄片状銀粉末の分散剤は、独立して、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸アンモニウム、オレイン酸メチル、ポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、又はそれらの任意の組合せであり得る。分散剤は、保湿、柔軟性、成形性の優れた効果を有し、それによって銀粘土の形状加工性を改善する。
好ましくは、球状銀粉末は0.1μm〜5μmの範囲の粒径を有し、薄片状銀粉末は1μm〜20μmの範囲の長さを有する。
好ましくは、球状銀粉末は0.1m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有し、薄片状銀粉末は、0.2m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有する。
銀粘土中に含まれる油は、植物油、動物油、ステアリン酸又はパルミチン酸であり得る。特に、適用可能な植物油はオリーブ油、コーン油、大豆油、ヤシ油、パーム油、ヒマワリ油、ゴマ油又は綿実油であり得るが、これらに限定されるものではない。
上記の結合剤は水及びセルロースから成り、水のセルロースに対する重量比は5:1〜1:5の範囲である。銀粘土の結合剤中に含まれるセルロースは、リグノセルロース、メチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースであり得る。
本発明の銀粘土によれば、保湿及び形状加工性を改善すること、焼結によって生じる銀粘土の収縮率を減少させること及び/又は銀粘土から生成された焼結物品の引張強度を増加することが達成できる。
本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、以下の詳細な説明から添付の図面と併せて一層明らかとなる。
次に、本発明の銀粘土を好ましい実施例について図面を参照して詳述する。
以下、この技術分野の当業者にとっては、下記の実施例から本発明にしたがう銀粘土の利点及び効果を容易に理解することができる。ここに提案した明細書は例示のみの目的のための好ましい実施例であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の改善及び変形がなされて本発明を実施又は適用できる。
調製実施例1〜5
調製実施例1〜5で使用された原料は、球状銀粉末及び薄片状銀粉末を含んでいて、両者は分散剤で表面処理された。
調製実施例1〜5で使用された原料は、球状銀粉末及び薄片状銀粉末を含んでいて、両者は分散剤で表面処理された。
上記の球状銀粉末は、Solar Applied Materials Technology社から「SP03」として商業的に入手可能であって、オレイン酸で被覆された銀球から成るものであった。球状銀粉末は、0.1μm〜5μmの範囲の粒径、約0.7μmの平均粒径(D50)、0.1m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有していた。
商業的に入手可能の試料の強熱減量(LOI)率を決定するために、球状銀粉末を一例として採用することとし、100℃で1時間乾燥した球状銀粉末をるつぼに入れ、1000℃で1時間予備加熱し、冷却した後、秤量し分解前の球状銀粉末の質量を得た。るつぼ中で秤量された球状銀粉末は、200℃から1000℃まで加熱し、炉内でさらに5時間維持し、その後200℃まで冷却し、秤量し、分解後の球状銀粉末の質量を得た。
試料のLOIは、次式によって以下のように算出した。
LOI(%)=(m0−m1)/m0×100%
ここに、m0は、分解前の試料の質量を表す。
m1は、分解後の試料の質量を表す。
LOI(%)=(m0−m1)/m0×100%
ここに、m0は、分解前の試料の質量を表す。
m1は、分解後の試料の質量を表す。
上述の方法によれば、球状銀粉末は、0.2%のLOIを有すると決定された。上記のLOIは、商業的に入手可能の球状銀粉末に含まれるオレイン酸の量を表した。
薄片状銀粉末は、Solar Applied Materials Technology社から「SG00A3」として商業的に入手可能であって、オレイン酸で被覆された銀薄片から成るものであった。薄片状銀粉末は、2μm〜20μmの範囲の長さ、約3.7μmの平均長さ、0.2m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積及び上述の方法によって決定された0.2%のLOIを有していた。
銀球と銀薄片の形態は、走査型電子顕微鏡で観察した。図1及び図2に示すように、銀球は5μm〜0.1μmの粒径を有し、銀薄片は2μm〜20μmの長さ及び2〜20のアスペクト比、即ち長さ対厚さの比を有していた。
商業的に入手可能の球状銀粉末及び商業的に入手可能の薄片状銀粉末は表1に示す種々の比率でそれぞれ混合され、調製実施例1〜3の銀混合粉末、調製実施例4の球状銀粉末及び調製実施例5の薄片状銀粉末を調製した。
調製実施例6
調製実施例6で使用した原料は、商業的に入手可能の球状銀粉末(SP03)、商業的に入手可能の薄片状銀粉末(SG00A3)、表面処理なしの銀球(原初の球状銀粉末)及び表面処理なしの銀薄片(原初の薄片状銀粉末)を含んでいた。上記の商業的に入手可能の球状銀粉末及び商業的に入手可能の薄片状銀粉末は上述した特性を持っていた。表面処理なしの銀球及び銀薄片はオレイン酸でコーティングされておらず、したがって両方は上述の方法によって決定された0%のLOI率を有していた。銀球は0.1μm〜5μmの範囲の粒径、約0.7μmの平均粒径(D50)、0.1m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有していた。銀薄片は、2μm〜20μmの範囲の長さ、約3.7μmの平均長さ、0.2m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有していた。
調製実施例6で使用した原料は、商業的に入手可能の球状銀粉末(SP03)、商業的に入手可能の薄片状銀粉末(SG00A3)、表面処理なしの銀球(原初の球状銀粉末)及び表面処理なしの銀薄片(原初の薄片状銀粉末)を含んでいた。上記の商業的に入手可能の球状銀粉末及び商業的に入手可能の薄片状銀粉末は上述した特性を持っていた。表面処理なしの銀球及び銀薄片はオレイン酸でコーティングされておらず、したがって両方は上述の方法によって決定された0%のLOI率を有していた。銀球は0.1μm〜5μmの範囲の粒径、約0.7μmの平均粒径(D50)、0.1m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有していた。銀薄片は、2μm〜20μmの範囲の長さ、約3.7μmの平均長さ、0.2m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有していた。
重量比1:1で商業的に入手可能の球状銀粉末及び表面処理なしの銀球から成る球状銀粉末は、重量比1:1で商業的に入手可能の薄片状銀粉末及び表面処理なしの銀薄片から成る薄片状銀粉末と混合され、調製実施例6の銀混合粉末を調製した。
表1に示すように、商業的に入手可能の球状銀粉末及び表面処理なしの銀球の合計量は50重量%であり、商業的に入手可能の薄片状銀粉末及び表面処理なしの銀薄片の合計量は、銀混合粉末の合計量に基づいて50重量%であった。
調製実施例1〜3及び6の銀混合粉末、調製実施例4の球状銀粉末及び調製実施例5の薄片状銀粉末は、タップ密度/かさ密度アナライザー(Autotap/Dual Autotap)を用いて分析し、粉末試料のタップ密度を測定した。粉末試料10gを体積シリンダーに入れ、タップを3000回、その後タップ試料の高さを観察し、タップ密度を決定した。タップ密度の結果を表1に列挙した。
実施例1〜9:銀粘土
実施例1〜9で使用した銀原料は調製実施例1〜3及び6から調製した銀混合粉末を含んでいた。上記の銀混合粉末は表2に列挙された比にしたがって結合剤及び植物油と混合され、実施例1〜9の銀粘土を得た。上記の結合剤は水及びリグノセルロースを重量比10:1で含んでいた。実施例1〜9で使用した植物油はオリーブ油であった。
実施例1〜9で使用した銀混合粉末の試料番号及び銀混合粉末、結合剤及び植物油の量は表2に列挙した。列挙された量は銀混合粉末、結合剤及び植物油の合計量に基づいて計算した。
比較例1:銀粘土
比較例1で使用した銀原料は調製実施例5からの球状銀粉末から成るものであった。上記の球状銀粉末は重量比10:1で水及びリグノセルロースを含む結合剤とオリーブ油で混合され、比較例1の銀粘土を得た。球状銀粉末、結合剤及び植物油の量は、それぞれ90重量%、9.98重量%、0.02重量%であった。
比較例2:銀粘土
比較例2で使用した銀原料は調製実施例5からの薄片状銀粉末から成るものであった。上記の薄片状銀粉末は重量比10:1で水及びリグノセルロースを含む結合剤とオリーブ油で混合され、比較例2の銀粘土を得た。薄片状銀粉末、結合剤及び植物油の量は、それぞれ90重量%、9.98重量%、0.02重量%であった。
比較例2で使用した銀原料は調製実施例5からの薄片状銀粉末から成るものであった。上記の薄片状銀粉末は重量比10:1で水及びリグノセルロースを含む結合剤とオリーブ油で混合され、比較例2の銀粘土を得た。薄片状銀粉末、結合剤及び植物油の量は、それぞれ90重量%、9.98重量%、0.02重量%であった。
比較例3:銀粘土
比較例1で使用した銀原料は銀球及び銀薄片を含んでいたが、両者ともオレイン酸で表面処理されていなかった。表面処理なしの銀球のLOI率は0%であった。銀球は0.1μm〜5μmの範囲の粒径、約0.7μmの平均粒径(D50)、0.1m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有していた。表面処理なしの銀薄片のLOI率も0%であった。銀薄片は、2μm〜20μmの範囲の長さ、約3.7μmの平均長さ、0.2m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有していた。
比較例1で使用した銀原料は銀球及び銀薄片を含んでいたが、両者ともオレイン酸で表面処理されていなかった。表面処理なしの銀球のLOI率は0%であった。銀球は0.1μm〜5μmの範囲の粒径、約0.7μmの平均粒径(D50)、0.1m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有していた。表面処理なしの銀薄片のLOI率も0%であった。銀薄片は、2μm〜20μmの範囲の長さ、約3.7μmの平均長さ、0.2m2/g〜10m2/gの範囲の比表面積を有していた。
上記の銀球及び銀薄片は重量比10:1で水及びリグノセルロースを含む結合剤とオリーブ油で混合され、比較例3の銀粘土を得た。銀球及び銀薄片の合計量は90重量%であり、結合剤及び植物油のそれぞれの量は、それぞれ9.98重量%、0.02重量%であった。
試験例1:スラスト力
試験例1において、実施例1〜3及び比較例1から調製された銀粘土は、直径0.5cm、長さ3cmの円筒状の試料にそれぞれ造形された。円筒状の試料は40℃、湿度40%で20分間セットされ、その後0.5cmの露出長さのホルダー上に保持され、サンプルのスラスト力を表面張力計(DT−500、TECLOCK社製)で測定した。より大きなスラスト力がより高い表面硬度を表しており、銀粘土は期間セット時により迅速に乾燥していることを示した。サンプルのスラスト力の結果を表3に列挙した。
試験例1において、実施例1〜3及び比較例1から調製された銀粘土は、直径0.5cm、長さ3cmの円筒状の試料にそれぞれ造形された。円筒状の試料は40℃、湿度40%で20分間セットされ、その後0.5cmの露出長さのホルダー上に保持され、サンプルのスラスト力を表面張力計(DT−500、TECLOCK社製)で測定した。より大きなスラスト力がより高い表面硬度を表しており、銀粘土は期間セット時により迅速に乾燥していることを示した。サンプルのスラスト力の結果を表3に列挙した。
試験例2:裂断長
試験例2において、実施例1〜3及び比較例1から調製された銀粘土は、直径0.3cm、長さ3cmの円筒状の試料にそれぞれ造形された。円筒状の試料は21℃、湿度65%で30分間セットされ、その後60mm/分の伸長速度で水平引張試験機(JSH−H1000、JISC社製)を用いて破損するまで延長され、裂断長を測定した。
試験例2において、実施例1〜3及び比較例1から調製された銀粘土は、直径0.3cm、長さ3cmの円筒状の試料にそれぞれ造形された。円筒状の試料は21℃、湿度65%で30分間セットされ、その後60mm/分の伸長速度で水平引張試験機(JSH−H1000、JISC社製)を用いて破損するまで延長され、裂断長を測定した。
より長い破断長さはより良い延性を表しており、銀粘土は期間セット時に、より遅く乾燥していることを示した。試料の破断長さの結果を表3に列挙した。
表3に示すように、比較例1の銀粘土のスラスト力は、実施例1〜3のものよりも明らかに高く、比較例1の銀粘土の裂断長は、実施例1〜3のものよりも短かった。即ち、単に、球状銀粉末を含有し、薄片状銀粉末を欠いている銀粘土、即ち比較例1の銀粘土は、球状銀粉末及び薄片状銀粘土の両者を含む銀粘土、即ち実施例1〜3の銀粘土よりもはるかに迅速に乾燥し、このため比較例の銀粘土は、より硬い表面を有し、実施例1〜3のものに比べて造形することが不可能であった。
銀原料として球状銀粉末及び薄片状銀粉末の両方を採用することで、銀粘土の乾燥を遅くし、銀粘土の裂断長を延長し、このため実施例1〜3の銀粘土は、十分に長い期間内に造形することができ、保湿性及び造形作業性を改善したことがわかる。
特に、実施例1〜3の結果から、球状銀粉末及び薄片状銀粉末の量の差が小さい場合、銀粘土のスラスト力及び表面硬度は低下し、銀粘土は期間設定時により遅く乾燥し、このため優れた造形加工性を有することを示している。したがって、重量比1:1で球状銀粉末及び薄片状銀粉末を有する銀粘土、即ち実施例3の銀粘土は実施例1〜3のものの中で最も実現可能な造形加工性を提供する。
試験例3:焼結収縮
試験例3において、実施例1〜7及び比較例1及び2から調製された銀粘土は直径0.3cm、長さ6cmの円筒状の試料にそれぞれ造形された。上記の長さは、焼結前の試料の長さであった。これは原初の長さと呼ばれる。次いで、円筒形の試料は650℃で30分間それぞれ焼結され、焼結試料を調製した。その後、焼結試料の焼結後の長さがそれぞれ記録され、試験した試料の焼結収縮率は、次式にしたがって以下のようにそれぞれ算出した。
試験例3において、実施例1〜7及び比較例1及び2から調製された銀粘土は直径0.3cm、長さ6cmの円筒状の試料にそれぞれ造形された。上記の長さは、焼結前の試料の長さであった。これは原初の長さと呼ばれる。次いで、円筒形の試料は650℃で30分間それぞれ焼結され、焼結試料を調製した。その後、焼結試料の焼結後の長さがそれぞれ記録され、試験した試料の焼結収縮率は、次式にしたがって以下のようにそれぞれ算出した。
試料の収縮率の結果を表4に列挙した。
試験例4:引張力
試験例4において、実施例1〜7及び比較例1及び2から調製された銀粘土は直径0.3cm、長さ3cmの円筒状の試料にそれぞれ造形された。円筒状の試料は30分間、650℃にセットされ、各焼結体の試料を調製した。その後、焼結試料は引張試験機(3369、INSTRON社製)によって0.1mm/分の伸長速度で測定し、焼結された試料の引張力を測定した。引張力の結果を表4に列挙した。
試験例4において、実施例1〜7及び比較例1及び2から調製された銀粘土は直径0.3cm、長さ3cmの円筒状の試料にそれぞれ造形された。円筒状の試料は30分間、650℃にセットされ、各焼結体の試料を調製した。その後、焼結試料は引張試験機(3369、INSTRON社製)によって0.1mm/分の伸長速度で測定し、焼結された試料の引張力を測定した。引張力の結果を表4に列挙した。
上記表1に示したように、調製実施例1〜3の銀混合粉末のタップ密度は調製実施例4の球状銀粉末のそれよりも、かつ調製実施例5の薄片状銀粉末のそれよりも総て高く、調製実施例3の銀混合粉末は調製実施例1〜5のうち最も高いタップ密度を有していた。
表2に示すように、実施例1〜3のうち銀混合粉末、結合剤及び植物油の混合比は全て同一である。しかしながら、実施例1〜3の銀粘土は比較例1、2に比べて焼結後の収縮の発生が小さくなって、実施例1〜3の銀粘土は比較例1、2のそれに比べて、より高い引張強度を有する焼結試料にそれぞれ作成された。即ち、銀原料として球状銀粉末及び薄片状銀粉末の両者を採用し、銀粘土の組成を制御することで、銀粘土の銀混合粉末のタップ密度を改善し、焼成前後の試料の寸法差を減少させ、即ち焼結後に発生した銀粘土の収縮率を減少し、焼結試料の引張強度を増大させる。
表4に示すように実施例4〜7の結果から、球状銀粉末及び薄片状銀粉末をより多く含む銀粘土は焼結後、少ない収縮となり、その焼結試料は、より高い引張強度を有していた。したがって、球状銀粉末及び薄片状銀粉末の合計量が球状銀粉末及び薄片状銀粉末、結合剤及び油の合計量に基づいて90重量%〜96重量%の範囲にあったとき、銀粘土は改善された性能を有する焼結試料に形成されるのである。
試験例5:重量損失
試験例5において、実施例8、9及び比較例3から調製された銀粘土は、試験済試料として使用され、21℃、湿度40%で10分間混和された。混和の前後で試験済試料の重量が記録され、次式にしたがって計算され、重量損失(単位:パーセント(%))を得た。試験済試料の重量損失が大きくなるにつれて乾燥速度が速くなることを示しており、銀粘土はより速く乾燥され、したがって劣った加工性を有していることを示した。
試験例5において、実施例8、9及び比較例3から調製された銀粘土は、試験済試料として使用され、21℃、湿度40%で10分間混和された。混和の前後で試験済試料の重量が記録され、次式にしたがって計算され、重量損失(単位:パーセント(%))を得た。試験済試料の重量損失が大きくなるにつれて乾燥速度が速くなることを示しており、銀粘土はより速く乾燥され、したがって劣った加工性を有していることを示した。
実験結果は、実施例8の銀粘土が重量損失1.05%を有したこと、実施例9の銀粘土が重量損失1.1%を有したこと、比較例3の銀粘土が重量損失1.5%を有したことを示した。球状銀粉末及び薄片状銀粉末の周囲にオレイン酸のような分散剤をコーティングすることで、乾燥期間内に銀粘土の重量損失を減少させ、銀粘土の乾燥速度を遅くすることができ、それによって銀粘土に対して優れた保湿性、柔軟性及び造形性を付与することが分かる。したがって、分散剤で被覆された銀球及び銀薄片両者を含む銀粘土は、改善された造形加工性を有する。
銀原料として球状銀粉末及び薄片状銀粉末の両者を採用し、球状銀粉末及び薄片状銀粉末、結合剤及び油のそれぞれの量を制御することは、銀粘土の保湿性を高め、乾燥速度を遅くし、造形作業性を改善するために有益である。また、銀粘土を焼結することにより引き起こされる収縮率の低下、焼成試料の引張強度の増加を図ることができ、銀粘土から作成された焼結体試料の特性は、銀混合粉末のタップ密度を制御することによって改善される。
従来の銀粘土と比較して、本発明の銀粘土は、保湿性及び造形作業性をその焼結試料の特性を維持することを前提に改善し、そのため銀粘土は美術工芸品、宝飾品及びアクセサリーを作成するためにより有用である。
本発明の多くの特徴及び利点が前述の説明において本発明の構造の細部及び特長と共に記載されているが、その開示は単なる例示に過ぎないものである。変更は、細部に亘って、特に形状、寸法及び部品の配置の事項において添付の特許請求の範囲が表現されている用語の広い一般的な意味によって示される最大限で本発明の原理内にて行うことができる。
Claims (6)
- 球状銀粉末、薄片状銀粉末、結合剤及び油から成り、
前記球状銀粉末及び前記薄片状銀粉末の合計量は50重量%〜96重量%の範囲であり、前記結合剤の量は3重量%〜49.99重量%の範囲であり、前記油の量は0.01重量%〜1重量%の範囲であり、これらの量は前記球状銀粉末、前記薄片状銀粉末、前記結合剤及び前記油の合計量に基づいていることを特徴とする銀粘土。 - 前記球状銀粉末の前記薄片状銀粉末に対する重量比は2:3〜3:2の範囲であることを特徴とする請求項1記載の銀粘土。
- 前記球状銀粉末及び前記薄片状銀粉末の合計量は50重量%〜96重量%の範囲であり、前記結合剤の量は3.95重量%〜14.95重量%の範囲であり、前記油の量は0.01重量%〜0.05重量%の範囲であり、これらの量は前記球状銀粉末、前記薄片状銀粉末、前記結合剤及び前記油の合計量に基づいていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の銀粘土。
- 前記球状銀粉末は0.1μm〜5μmの範囲の粒径を有し、前記薄片状銀粉末は1μm〜20μmの範囲の長さを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載の銀粘土。
- 前記球状銀粉末は分散剤及び前記分散剤で被覆された銀球から成り、前記球状銀粉末の前記分散剤はラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸アンモニウム、オレイン酸メチル、ポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩及びこれらの任意の組合せから成る群から選択され、
前記薄片状銀粉末は分散剤及び前記分散剤で被覆された銀薄片から成り、前記薄片状銀粉末の前記分散剤はラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸アンモニウム、オレイン酸メチル、ポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩及びこれらの任意の組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載の銀粘土。 - 前記油はオリーブ油、コーン油、大豆油、ヤシ油、パーム油、ヒマワリ油、ゴマ油、綿実油、ステアリン酸油又はパルミチン酸から成り、
前記結合剤は、水及びセルロースから成り、
前記セルロースはリグノセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースから成る群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載の銀粘土。
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