JP2017014534A - スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ターゲット表面の面内の色ムラをなくすことで、ターゲット研磨時の研磨量を低減させ、製造のタクトタイムを短くし生産性を上げるとともに、歩留りを向上させる
【解決手段】酸化インジウム及び酸化亜鉛を主成分とし、In2O3(ZnO)m(式中、m=2〜7の整数)で表される六方晶層状化合物を含有し、Snの含有量が2000ppmより多く20000ppm以下であり、表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜5であり、平均結晶粒径が2μm〜10μmであるスパッタリングターゲット。
【選択図】なし
【解決手段】酸化インジウム及び酸化亜鉛を主成分とし、In2O3(ZnO)m(式中、m=2〜7の整数)で表される六方晶層状化合物を含有し、Snの含有量が2000ppmより多く20000ppm以下であり、表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜5であり、平均結晶粒径が2μm〜10μmであるスパッタリングターゲット。
【選択図】なし
Description
本発明は、透明導電膜の製造に適したスパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
導電性と光透過性とを兼ね備えた金属複合酸化物からなる透明導電膜は、従来から、太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子における電極等として利用されているほか、自動車窓や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍ショーケース等における防曇用透明発熱体等、幅広い用途に利用されている。特に、低抵抗で導電性に優れた透明導電膜は、太陽電池や、液晶、有機エレクトロルミネッセンス、無機エレクトロルミネッセンス等の表示素子や、タッチパネル等への使用に好適であることが知られている。
このような透明導電膜の中で最も普及しているものはITOと呼ばれている酸化インジウム−酸化錫(インジウム錫酸化物)からなる透明導電膜である。
この他に、酸化インジウム−酸化亜鉛(インジウム亜鉛酸化物)、酸化錫にアンチモンを添加したもの、又は酸化亜鉛にアルミニウムを添加したもの等が知られている。これらは、製造の容易さ、価格特性等がそれぞれ異なるので、用途に応じて適宜使用されている。
この他に、酸化インジウム−酸化亜鉛(インジウム亜鉛酸化物)、酸化錫にアンチモンを添加したもの、又は酸化亜鉛にアルミニウムを添加したもの等が知られている。これらは、製造の容易さ、価格特性等がそれぞれ異なるので、用途に応じて適宜使用されている。
インジウム亜鉛酸化物は、ITO膜よりもエッチング速度が大きいという特徴がある。しかし、インジウム亜鉛酸化物はITOよりもバルク抵抗値が高いため、特にDCマグネトロンスパッタリングプロセスでは、スパッタリング中の放電が不安定となる場合がある。
酸化インジウム系焼結体では錫を5%程度添加することで、バルク抵抗が下がることが知られており、インジウム亜鉛酸化物においても、同様な効果が得られる。しかし、このように錫を多量に添加することは、In及びZnの酸化物を主成分とする複合酸化物から乖離することになり、むしろ実質的に異なった形態のIn−Zn−Sn系酸化物透明導電膜を製造することになる。これは、In及びZnの酸化物を主成分とするインジウム亜鉛酸化物透明導電膜の持つ特性を失うことであるから、必ずしも目的に合致したものとは言い難い。
そこで、特許文献1では、インジウム亜鉛酸化物に100〜2000ppm程度のわずかなSnの添加で、スパッタ時のターゲットの放電を安定させるという提案がなされている。
しかしながら、特許文献1に記載のターゲットは、製造時に焼結する際、ターゲット表面に色ムラが生じやすく、色ムラがなくなるまで、表面を研磨しなければならず、製造のタクトタイムが長くなるうえ、歩留りが低くなるという欠点があった。
本発明は、ターゲット表面の面内の色ムラをなくすことで、ターゲット研磨時の研磨量を低減させ、製造のタクトタイムを短くし生産性を上げるとともに、歩留りを向上させることを目的とする。
本発明によれば、以下のスパッタリングターゲットとその製造方法等が提供される。
1.酸化インジウム及び酸化亜鉛を主成分とし、
In2O3(ZnO)m(式中、m=2〜7の整数)で表される六方晶層状化合物を含有し、
Snの含有量が2000ppmより多く20000ppm以下であり、
表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜5であり、
平均結晶粒径が2μm〜10μmであるスパッタリングターゲット。
2.表面又は任意に切断した面における最大色度b*値が、14以下である1に記載のスパッタリングターゲット。
3.Snを含有量2100ppm、2700ppm、又は3400ppmで含むスパッタリングターゲットを除く、1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
4.相対密度が95%以上である1乃至3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
5.バルク抵抗値が50mΩcm以下である1乃至4のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
6.スパッタリングターゲットのSnの含量が2000ppmより多く20000ppm以下となるように、インジウム原料、亜鉛原料及びSn原料を混合して混合物を作製する工程、
前記混合物を成形して成形物を作製する工程、及び
前記成形物を1200℃〜1600℃で1時間〜50時間焼結する工程を具備する、表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜5であり、平均結晶粒径が2μm〜10μmであるスパッタリングターゲットの製造方法。
7.1乃至5のいずれかに記載のスパッタリングターゲットを用いて成膜する酸化物膜の製造方法。
8.7に記載の方法で製造した酸化物膜。
9.酸化インジウム及び酸化亜鉛を主成分とし、
In2O3(ZnO)m(式中、m=2〜7の整数)で表される六方晶層状化合物を含有し、
Sn含有量が2000ppmより多く20000ppm以下であり、
未研磨の表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜10であり、
平均結晶粒径が2μm〜10μmである酸化物焼結体。
10.未研磨の表面又は任意に切断した面における最大色度b*値が、20以下である9に記載の酸化物焼結体。
1.酸化インジウム及び酸化亜鉛を主成分とし、
In2O3(ZnO)m(式中、m=2〜7の整数)で表される六方晶層状化合物を含有し、
Snの含有量が2000ppmより多く20000ppm以下であり、
表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜5であり、
平均結晶粒径が2μm〜10μmであるスパッタリングターゲット。
2.表面又は任意に切断した面における最大色度b*値が、14以下である1に記載のスパッタリングターゲット。
3.Snを含有量2100ppm、2700ppm、又は3400ppmで含むスパッタリングターゲットを除く、1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
4.相対密度が95%以上である1乃至3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
5.バルク抵抗値が50mΩcm以下である1乃至4のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
6.スパッタリングターゲットのSnの含量が2000ppmより多く20000ppm以下となるように、インジウム原料、亜鉛原料及びSn原料を混合して混合物を作製する工程、
前記混合物を成形して成形物を作製する工程、及び
前記成形物を1200℃〜1600℃で1時間〜50時間焼結する工程を具備する、表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜5であり、平均結晶粒径が2μm〜10μmであるスパッタリングターゲットの製造方法。
7.1乃至5のいずれかに記載のスパッタリングターゲットを用いて成膜する酸化物膜の製造方法。
8.7に記載の方法で製造した酸化物膜。
9.酸化インジウム及び酸化亜鉛を主成分とし、
In2O3(ZnO)m(式中、m=2〜7の整数)で表される六方晶層状化合物を含有し、
Sn含有量が2000ppmより多く20000ppm以下であり、
未研磨の表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜10であり、
平均結晶粒径が2μm〜10μmである酸化物焼結体。
10.未研磨の表面又は任意に切断した面における最大色度b*値が、20以下である9に記載の酸化物焼結体。
本発明によれば、Snの添加量をSnを2000ppmより多く20000ppm以下(2000ppm超〜20000ppm)とすることによりターゲット表面の色ムラがなくなる。そのため、ターゲット表面の切削量を低減でき、製造のタクトタイムを短くすることができるとともに、歩留りを向上させることができる。
本発明のスパッタリングターゲットは、酸化インジウムと酸化亜鉛からなり、In2O3(ZnO)m〔式中、mは2〜7の整数である。〕で表される六方晶層状化合物を含有する。さらにSnを2000ppm超〜20000ppm(重量換算)含有する。
酸化インジウムと酸化亜鉛からなる六方晶層状化合物は、X線回折法による測定において六方晶層状化合物に帰属されるX線回折パターンを示す化合物であって、本発明のスパッタリングターゲットに含有される六方晶層状化合物は、In2O3(ZnO)mで表される化合物である。式中のmは、2〜7、好ましくは3〜5の整数である。mが1の化合物は六方晶層状構造をとらず、また、mが7を超える化合物は六方晶層状構造をとるが、その体積抵抗率が高い。この六方晶層状化合物は、酸化インジウムと酸化亜鉛との混合物を焼結することにより生成する。
スパッタリングターゲットに含有されるSnの割合は、2000ppm超〜20000ppmである。
Snの割合が2000ppm以下であると、ターゲット焼結時に色ムラを生じ歩留りが低下する。また、20000ppmを超えると、そのスパッタリングターゲットを用いて製膜された透明導電膜は、シュウ酸等の弱酸によるエッチング加工を行うことが困難になることがある。Snの含有割合は、好ましくは、2000ppm超〜20000ppm、2050ppm〜10000ppm、2100ppm超〜5000ppm、又は3500ppm〜5000ppmである。
Snの割合が2000ppm以下であると、ターゲット焼結時に色ムラを生じ歩留りが低下する。また、20000ppmを超えると、そのスパッタリングターゲットを用いて製膜された透明導電膜は、シュウ酸等の弱酸によるエッチング加工を行うことが困難になることがある。Snの含有割合は、好ましくは、2000ppm超〜20000ppm、2050ppm〜10000ppm、2100ppm超〜5000ppm、又は3500ppm〜5000ppmである。
Snの含有量を上記範囲内とすることで、焼結の際ターゲット表面の色ムラを低減することができ、また内部と表面で色が異なり難いため、切削量の低減にも繋がる。
さらに、本発明では、Snの含有割合を上記の範囲内とすることによって、スパッタリングターゲットのバルク抵抗を充分に低くすることができる。本発明のスパッタリングターゲットのバルク抵抗は、好ましくは50mΩcm以下、25mΩcm以下、10mΩcm以下、又は5mΩcm以下である。一方、スパッタリングターゲットのバルク抵抗が50mΩcm超の場合、直流スパッタで安定的な成膜を行うことが困難となるおそれがある。
また、このターゲットを用いて製膜された透明導電膜は、シュウ酸等の弱酸によって容易にエッチング加工を施すことができる。
本発明のスパッタリングターゲットの平均結晶粒径は、異常放電や製造容易性の観点から、好ましくは2μm〜10μm、より好ましくは2μm〜8μmである。
平均結晶粒径は、原料や製造方法の条件により調整できる。具体的には、平均粒径が小さい原料、好ましくは1μm以下の原料を用いる。さらに、焼結の際、焼結温度が高い程、焼結時間が長い程、平均結晶粒径が大きくなる傾向がある。
平均結晶粒径は、原料や製造方法の条件により調整できる。具体的には、平均粒径が小さい原料、好ましくは1μm以下の原料を用いる。さらに、焼結の際、焼結温度が高い程、焼結時間が長い程、平均結晶粒径が大きくなる傾向がある。
平均結晶粒径は以下のようして測定できる。
スパッタリングターゲットの形状が円形の場合、円に内接する正方形を等面積に16分割し、それぞれの正方形の中心点16箇所において、また、スパッタリングターゲットの形状が四角形の場合には、面を等面積に16分割し、それぞれの四角形の中心点16箇所において、倍率1000倍の枠内で観察される粒子についてその径を測定し、16箇所の枠内の粒子の粒径の平均値を求める。粒径は、JIS R 1670に基づき、結晶粒を円相当径として測定する。結晶粒は走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することができる。
スパッタリングターゲットの形状が円形の場合、円に内接する正方形を等面積に16分割し、それぞれの正方形の中心点16箇所において、また、スパッタリングターゲットの形状が四角形の場合には、面を等面積に16分割し、それぞれの四角形の中心点16箇所において、倍率1000倍の枠内で観察される粒子についてその径を測定し、16箇所の枠内の粒子の粒径の平均値を求める。粒径は、JIS R 1670に基づき、結晶粒を円相当径として測定する。結晶粒は走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することができる。
スパッタリングターゲットの相対密度は、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上である。このような密度であると、ターゲットの機械的強度が高く、かつ導電性に優れることから、これをRFマグネトロンスパッタリング装置やDCマグネトロンスパッタリング装置に装着してスパッタリングを行う際の安定性をより高めることができる。この相対密度は、酸化インジウムと酸化亜鉛のそれぞれの固有の密度及びこれらの組成比から算出される理論密度に対するスパッタリングターゲットの実際に測定した密度を百分率で示したものである。
本発明のスパッタリングターゲットでは、インジウムと亜鉛の原子比は、通常In/(In+Zn)=0.2〜0.95であり、好ましくは、In/(In+Zn)=0.3〜0.9である。
本発明のスパッタリングターゲットは、酸化インジウムと酸化亜鉛を主成分とする。具体的には、酸化インジウムと酸化亜鉛で、90重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、又は98.5重量%以上を占めてもよい。
または、本発明のスパッタリングターゲットに含有される金属元素は、実質的にIn、Zn、Snからなっており、本発明の効果を損なわない範囲で、これらの金属酸化物の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
本発明において「実質的」とは、スパッタリングターゲットとしての効果が上記In、Zn及びSnの酸化物に起因すること、又はスパッタリングターゲットの全金属元素の90原子%以上、95原子%以上、97原子%以上、98原子%以上、99原子%以上、又は99.5原子%以上であって、100原子%以下がIn、Zn及びSnであることを意味する。
本発明において「実質的」とは、スパッタリングターゲットとしての効果が上記In、Zn及びSnの酸化物に起因すること、又はスパッタリングターゲットの全金属元素の90原子%以上、95原子%以上、97原子%以上、98原子%以上、99原子%以上、又は99.5原子%以上であって、100原子%以下がIn、Zn及びSnであることを意味する。
本発明のスパッタリングターゲットは、インジウム原料、亜鉛原料及びSn原料を混合する工程、原料混合物を成型する工程、成型物を焼結する工程、及び必要に応じて焼結体をアニーリングする工程を経て製造することができる。
原料は特に制限されず、In、Zn、Snを含む化合物又は金属を用いることができ、好ましくは酸化物である。
酸化インジウム、酸化亜鉛、錫酸化物等の原料は、高純度のものを用いるのが望ましく、その純度が99%以上、好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.99%以上のものが好適に用いられる。高純度の原料を用いると緻密な組織の焼結体が得られ、その焼結体からなるスパッタリングターゲットは体積抵抗率が低くなるためである。
酸化インジウム、酸化亜鉛、錫酸化物等の原料は、高純度のものを用いるのが望ましく、その純度が99%以上、好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.99%以上のものが好適に用いられる。高純度の原料を用いると緻密な組織の焼結体が得られ、その焼結体からなるスパッタリングターゲットは体積抵抗率が低くなるためである。
また、原料の金属酸化物は、平均粒径が好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。平均粒径が0.01μm未満であると凝集しやすくなり、また10μmを超えるものでは混合性が不十分になり、緻密な組織の焼結体が得られなくなることがある。
原料には、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル等のバインダーを添加することができる。
原料の混合は、ボールミルやジェットミル、ビーズミル等の通常の混合機により行うことができる。
原料の混合は、ボールミルやジェットミル、ビーズミル等の通常の混合機により行うことができる。
このようにして得られた混合物は、直ちに成型してもよいが、その成型前に仮焼処理を施してもよい。仮焼処理は、通常、700〜900℃で1〜5時間実施する。
原料粉末の混合物や仮焼処理済の金属酸化物粉末は、造粒処理することによって、その後の成型工程での流動性や充填性が改善される。造粒処理はスプレードライヤー等を用いて行うことができる。造粒処理によって形成される造粒物の粒径は、好ましくは1〜100μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜100μmである。
次に、原料の粉末又は造粒物は、成型工程において金型プレス成型、鋳込み成型、射出成型等の方法により成型する。スパッタリングターゲットとして、その焼結密度の高い焼結体を得る場合には、この成型工程において金型プレス成型等により予備成型した後に、冷間静水圧プレス成型等によりさらに圧密化するこが好ましい。
成型体の焼結工程においては、常圧焼結、ホットプレス焼結、熱間静水圧プレス焼結等の通常行われている焼結方法を用いることができる。焼結温度は、好ましくは1200〜1600℃、より好ましくは1250〜1550℃、さらに好ましくは1300〜1500℃である。焼結温度が1200℃未満では、十分な焼結密度が得られず、1600℃を超える温度では、酸化インジウムや酸化亜鉛の昇華により、得られる焼結体中の金属酸化物の組成が変動することがある。焼結に際しての昇温速度は、800℃から焼結温度までを0.1〜3℃/分とすることが好ましい。
焼結時間は、焼結温度によって異なるが、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜30時間、さらに好ましくは3〜20時間である。焼結時の雰囲気は、空気や酸素ガスでもよいし、水素ガスやメタンガス、一酸化炭素ガス等の還元性ガスや、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスでもよい。
焼結体を、アニーリング処理してもよい。アニーリング処理は、通常、700〜900℃で1〜5時間、温度を保持する。
こうして得られた酸化物焼結体の表面又は任意に切断した面の色ムラについては、実施例記載の方法で測定したΔb*は、好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜4である。また、未研磨の酸化物焼結体の表面又は任意に切断した面の色については、表面の最大b*値が、好ましくは20以下、さらに好ましくは19以下、特に好ましくは18以下である。
上記で得られた焼結体を、適当な形状に切削加工することによりスパッタリングターゲットとすることができる。
こうして得られたターゲット表面又は任意に切断した面の色ムラについては、実施例記載の方法で測定したΔb*は、好ましくは0〜5、さらに好ましくは0〜3である。また、研磨後の表面又は任意に切断した面の最大b*については、好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下、特に好ましくは10以下である。
本発明の酸化物薄膜は、上記説明した本発明のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法により成膜して得られる。
酸化物薄膜は、上記スパッタリングターゲットを用いて、蒸着法、イオンプレーティング法、パルスレーザー蒸着法等により作製することもできる。
酸化物薄膜は、上記スパッタリングターゲットを用いて、蒸着法、イオンプレーティング法、パルスレーザー蒸着法等により作製することもできる。
実施例1〜4、比較例1〜3
比表面積が11m2/g、平均粒径0.98μmの酸化インジウム粉5000gと、同じ比表面積と平均粒径の酸化亜鉛粉600gを秤量し、さらに、得られるスパッタリングターゲットにおける含有量が表1に示す含有量(Sn重量)となるように酸化スズを秤量し、成形用バインダーを加えて均一に混合及び造粒した。
尚、各粉末の平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−300V(島津製作所製)で測定し、平均粒径はメジアン径D50を採用した。
比表面積が11m2/g、平均粒径0.98μmの酸化インジウム粉5000gと、同じ比表面積と平均粒径の酸化亜鉛粉600gを秤量し、さらに、得られるスパッタリングターゲットにおける含有量が表1に示す含有量(Sn重量)となるように酸化スズを秤量し、成形用バインダーを加えて均一に混合及び造粒した。
尚、各粉末の平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−300V(島津製作所製)で測定し、平均粒径はメジアン径D50を採用した。
次に、この造粒物を金型へ均一に充填しコールドプレス機にて加圧成形した。このようにして得た成形体を、焼結炉にて1400℃(800℃から焼結温度までの昇温速度:2℃/分)で20時間焼結した。
得られた焼結体についてX線回折測定装置(XRD)により結晶構造を調べた。その結果、In2O3(ZnO)m(式中、m=2〜7の整数)で表される六方晶層状化合物の存在を確認した。XRDの測定条件は以下の通りである。
・装置:(株)リガク製Ultima−III
・X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
・2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
・サンプリング間隔:0.02°
・スリット DS、SS:2/3°、RS:0.6mm
・装置:(株)リガク製Ultima−III
・X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
・2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
・サンプリング間隔:0.02°
・スリット DS、SS:2/3°、RS:0.6mm
さらに、得られた焼結体について以下の特性を測定した。結果を表1に示す。
(1)色度(b*値)
焼結体及びターゲットの表面の色度(b*値)を測色色差計(日本電色社製NR−11A)にて測定した。焼結体及びターゲット表面を観察し、目視により黄色味が強い箇所(b*の一番高い値:最大b*)と黄色味が薄く深緑から黒味がかった箇所(b*の一番低い値)との差(Δb*)を求めた。Δb*が小さいほど好ましい。
(1)色度(b*値)
焼結体及びターゲットの表面の色度(b*値)を測色色差計(日本電色社製NR−11A)にて測定した。焼結体及びターゲット表面を観察し、目視により黄色味が強い箇所(b*の一番高い値:最大b*)と黄色味が薄く深緑から黒味がかった箇所(b*の一番低い値)との差(Δb*)を求めた。Δb*が小さいほど好ましい。
(2)平均結晶粒径(μm)
角形のスパッタリングターゲットの平均結晶粒径は、ターゲット面を等面積に16分割し、それぞれの四角形の中心点16箇所において、倍率1000倍の枠内で観察される粒子について、その径を円相当径として測定し、16箇所の枠内の粒子の粒径の平均値を求めた。粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した。
角形のスパッタリングターゲットの平均結晶粒径は、ターゲット面を等面積に16分割し、それぞれの四角形の中心点16箇所において、倍率1000倍の枠内で観察される粒子について、その径を円相当径として測定し、16箇所の枠内の粒子の粒径の平均値を求めた。粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した。
(3)バルク抵抗値(mΩcm)
ターゲットのバルク抵抗(導電性)を抵抗率計(三菱化学(株)製、ロレスタ)を使用して四探針法(JIS R 1637)に基づき測定した。
ターゲットのバルク抵抗(導電性)を抵抗率計(三菱化学(株)製、ロレスタ)を使用して四探針法(JIS R 1637)に基づき測定した。
上記の結果から、ターゲット表面の色ムラを低減するためには、Snを2000ppm超以上添加することが必要であることが確認できた。
一方、Sn含有量を増加させる(多量に添加する)に従って、さらにΔb*を低減することができるが、20000ppmを超えてもSn含有量の増加によるΔb*の大幅な改善効果は見られない。上記したように、Snが10000ppmを超えて添加した場合はスパッタリングターゲットから得られた膜のエッチング特性を阻害する可能性があるので過剰な添加はむしろ好ましくない。
以上から、バルク抵抗値を下げかつインジウム亜鉛酸化物の特性を維持し、色ムラを低減させるためには、Snの含有量を2000ppm超〜20000ppmの範囲とするのが適当であることが、確認できた。
一方、Sn含有量を増加させる(多量に添加する)に従って、さらにΔb*を低減することができるが、20000ppmを超えてもSn含有量の増加によるΔb*の大幅な改善効果は見られない。上記したように、Snが10000ppmを超えて添加した場合はスパッタリングターゲットから得られた膜のエッチング特性を阻害する可能性があるので過剰な添加はむしろ好ましくない。
以上から、バルク抵抗値を下げかつインジウム亜鉛酸化物の特性を維持し、色ムラを低減させるためには、Snの含有量を2000ppm超〜20000ppmの範囲とするのが適当であることが、確認できた。
本発明のスパッタリングターゲットを用いて、受光素子、表示素子、タッチパネルにおける電極、防曇用透明発熱体等に使用される透明導電膜を製造できる。また、本発明の酸化物膜は、半導体膜として薄膜トランジスタに使用できる。
Claims (10)
- 酸化インジウム及び酸化亜鉛を主成分とし、
In2O3(ZnO)m(式中、m=2〜7の整数)で表される六方晶層状化合物を含有し、
Snの含有量が2000ppmより多く20000ppm以下であり、
表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜5であり、
平均結晶粒径が2μm〜10μmであるスパッタリングターゲット。 - 表面又は任意に切断した面における最大色度b*値が、14以下である請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- Snを含有量2100ppm、2700ppm、又は3400ppmで含むスパッタリングターゲットを除く、請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
- 相対密度が95%以上である請求項1乃至3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- バルク抵抗値が50mΩcm以下である請求項1乃至4のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- スパッタリングターゲットのSnの含量が2000ppmより多く20000ppm以下となるように、インジウム原料、亜鉛原料及びSn原料を混合して混合物を作製する工程、
前記混合物を成形して成形物を作製する工程、及び
前記成形物を1200℃〜1600℃で1時間〜50時間焼結する工程を具備する、表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜5であり、平均結晶粒径が2μm〜10μmであるスパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載のスパッタリングターゲットを用いて成膜する酸化物膜の製造方法。
- 請求項7に記載の方法で製造した酸化物膜。
- 酸化インジウム及び酸化亜鉛を主成分とし、
In2O3(ZnO)m(式中、m=2〜7の整数)で表される六方晶層状化合物を含有し、
Sn含有量が2000ppmより多く20000ppm以下であり、
未研磨の表面又は任意に切断した面における最大色度と最小色度の差Δb*値が、0〜10であり、
平均結晶粒径が2μm〜10μmである酸化物焼結体。 - 未研磨の表面又は任意に切断した面における最大色度b*値が、20以下である請求項9に記載の酸化物焼結体。
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