本発明に係る液体燃料供給装置の実施の形態について、ガソリンスタンド等で用いられ、装置筐体に複数の給液系統(燃料供給系統)を備えたマルチ型給液装置に異常検出装置として水検知装置を設けた場合を例に、図面に基づいて説明する。なお、本発明に係る液体燃料供給装置は、複数の燃料供給系統を備えた燃料供給装置であればよい。例えば、ダブル型若しくはマルチ型といった装置間での燃料供給系統の数の相違、燃料供給系統と燃料供給路との間での数を含めた対応関係の相違、複数の燃料供給系統による同時燃料供給の可/不可といった装置間での燃料供給制御方法の相違等といった、複数の燃料供給系統を備えた燃料供給装置の具体的な仕様の違いについては、以下に述べる実施例の具体的な構成に限定されるものではない。
≪第1の実施例≫
図1は、本発明に係る液体燃料供給装置の一実施の形態としての、マルチ型給液装置の一実施例の全体構成図である。
本実施例のマルチ型給液装置1は、装置筐体2に、燃料供給系統として複数nの給液系統3(図示の例では、n=3で、3つの給液系統3-1〜3-3)と、この複数の給液系統3それぞれで共用する表示器5とを備え、供給対象に対する給液作業(燃料供給作業)を、この複数の給液系統3の中から択一的に選択した所望の給液系統3-p(図示の例では、p=1,2,3の中のいずれか1つ)だけを使用して行える構成になっている。
図1に示すように、各給液系統3は、装置筐体2から導出され、先端に給液ノズル11が接続された給液ホース12を有する。各給液系統3の給液ホース12の基端側は、装置筐体2内のそれぞれ対応する複数mの燃料供給路4(図示の例では、m=n=3で、3つの燃料供給路4-1〜4-3)と連通接続されている。装置筐体2内の各燃料供給路4には、ポンプユニット13,制御弁15といった送液機器や、計測機器としての流量計14が配設されている。
ポンプユニット13は、吸込口及び吐出口を有するケーシング内に、ストレーナ、ポンプ、気液分離装置、フィルタ、逆止弁等が収容された構成になっている。ポンプユニット13は、吸込口が、例えば地中配管等の接続配管を含む装置筐体2外の燃料供給路4を介して、図示せぬ地下の貯液タンク内と連通され、吐出口が流量計14の流入口と連通されている。ポンプユニット13は、ポンプモータ16の駆動によりポンプが駆動されることによって、貯液タンク内に貯留されている燃料を吸込口からストレーナを介して吸い込み、気液分離装置で気体富化液を分離した後、フィルタ及び逆止弁を介して、吐出口から吐出する。気液分離装置で分離された気体富化液は、気体分離室において気体が分離され、分離された気体はケーシング外に排出される一方、気体が分離された燃料は、ポンプの吸込側に戻される。
流量計14は、流入口がポンプユニット13の吐出口に連通接続され、流出口が制御弁15に連通接続されている。流量計14は、計測機器として、ポンプユニット13から給液ホース12及び給液ノズル11に向けて送液された燃料液量を計測する。流量計14には、流量発信器17が付設され、流量発信器17からは、単位流量毎の燃料液体の流れに比例した流量パルスが出力される。
制御弁15は、例えば、電磁弁等によって構成され、送液機器として、給液ノズル11のレバー閉弁操作によらずに、弁制御信号の入力により燃料の供給流速を調整したり、その供給自体を停止/終了させる。なお、この制御弁15による燃料の供給流速の調整や供給自体の停止/終了については、図示のように、複数の給液系統3それぞれに対応して個別のポンプユニット13に設けられている給液装置1では、ポンプモータ16の駆動制御によりポンプユニット13に直接行わせることでも対応可能であり、この場合は、制御弁15を省略することもできる。
ここで、各給液系統3が装置筐体2外の対応する燃料供給路4を介して連通接続される貯液タンクは、同じタンクであっても、異なるタンクであっても構わない。これに伴い、給液系統3それぞれから供給される燃料は、それぞれ装置筐体2外の燃料供給路4を介して連通接続された貯液タンクの違い、及び貯液タンクそれぞれに貯留されている燃料液種の違いに応じたものになる。また、燃料供給路4の数mについても、本実施例では給液系統3の数nと同数(n=m=3)であるものとして説明したが、複数であれば、給液系統3の数nよりも少なく(m<n)、複数の給液系統3の中の幾つか(n−m)の給液系統3が同じ燃料供給路4を共用する構成であってもよい。この場合、ポンプユニット13を含めた貯液タンク側の燃料供給路4を、給液系統3間で共用することが可能である。
以下では、各給液系統3の燃料供給路4は、給液系統3毎にそれぞれ異なる液種(例えば、レギュラー、ハイオク、軽油)の別々の貯液タンクに連通しているものとし、給液系統3それぞれから供給可能な燃料液種が互いに異なっているものとして説明する。
装置筐体2内の燃料供給路4(4-1〜4-3)それぞれには、水検知センサ21(21-1〜21-3)がそれぞれ流通する燃料中に臨ませて設けられている。本実施例では、ポンプユニット13よりも上流側の燃料供給路4部分に設けられている。水検知センサ21には、例えば、燃料中における水の混入度合を導電率(抵抗値)の変化で検出する導電型の水検知センサ、静電容量の変化で検出する静電容量型の水検知センサ、燃料と水との境界面の位置変化で検出するフロート型の水検知センサ、光反射率等の光学的特性の変化で検出する光電型の水検知センサ等、種々の型式の水検知センサが利用可能である。本実施例では、水検知センサ21として、導電型の水検知センサが用いられているものとして、以下、説明する。なお、水検知センサ21の配置場所については、図示のように、燃料供給路4それぞれに設ける構成であれば、例えば、ポンプユニット13のストレーナ室等に一体的に設けるようにしてもよい。
各水検知センサ21(21-1〜21-3)は、センサ付設回路としてのセンサ用アンプ回路22とともに、燃料供給路4(4-1〜4-3)毎、すなわち給液系統3(3-1〜3-3)毎の水検知装置20を構成する。その際、従来の水検知装置20では、センサ用アンプ回路22は、水検知センサ21(21-1〜21-3)それぞれに対応して設けられ、水検知装置20自体が燃料供給路4(4-1〜4-3)それぞれに複数設けられた構成になっていた。
これに対し、本実施例の水検知装置20では、センサ用アンプ回路22は、燃料供給路4それぞれに設けられた複数の水検知センサ21(21-1〜21-3)間で共用する構成になっている。そのため、給液系統3それぞれの燃料供給路4毎に対応して設けられた水検知センサ21の検出出力は、給液系統3間で共用する一のセンサ用アンプ回路22に配線接続された構成になっている。本実施例では、水検知センサ21それぞれの検出出力は、後述の図2に示すようにオア接続(例えば、ワイヤードオア接続)され、加算多重化されて一のセンサ用アンプ回路22に配線接続されている。
これにより、水検知センサ21それぞれは、水検知センサ21間で共用する一のセンサ用アンプ回路22と協働して、給液系統3それぞれの水検知装置20を構成する。その上で、センサ用アンプ回路22は、後述する装置制御装置30と配線接続され、その出力が装置制御装置30に供給される構成になっている。
本実施例では、複数の水検知センサ21は、互いに並列接続されて、センサ用アンプ回路22に配線接続された関係になっている。このため、センサ用アンプ回路22は、この複数の水検知センサ21(21-1〜21-3)の中の或る水検知センサ21-q(図示の例では、q=1,2,3の中のいずれか)でその導電率(抵抗値)が変化すれば、この水検知センサ21-qを含む複数の水検知センサ21(21-1〜21-3)がオア接続されているセンサ用アンプ回路22は、水検知センサ21-qの電気的特性の変化に対応してその検出出力が変化し、複数の水検知センサ21(21-1〜21-3)の多重化信号を生成出力するようになっている。
装置筐体2の筐体面には、ノズル収納部としてのノズル掛け18と、給液量等の給液情報を表示する表示器5とが設けられている。ノズル掛け18は、複数の給液系統3それぞれに対応して設けられ、各ノズル掛け18には、給液作業が行われていない待機時に、対応する給液系統3の使用されていない給液ノズル11が収容保持される。各ノズル掛け18には、給液ノズル11の取り外し/掛け戻しに応動して給液作業の開始/終了を検出するためのノズルスイッチ19が付設されている。これに対し、表示器5は、給液系統3の中から択一的に選択した所望の給液系統3-p(p=1,2,3の中のいずれか1つ)を使用して行う給液作業の給液情報を表示する共用表示器になっている。
各ノズルスイッチ19及び表示器5は、水検知装置20の給液系統3それぞれに共通なセンサ用アンプ回路22、及び給液系統3それぞれのポンプユニット13のポンプモータ16,流量計14の流量発信器17,制御弁15ともども、装置筐体2内に設けられた装置制御装置30と配線接続されている。
次に、上述した如く構成されたマルチ型給液装置1のシステム構成について、図2を参照しながら説明する。
図2は、図1に示したマルチ型給液装置のシステム構成図である。
装置制御装置30は、CPU、メモリ、各種インタフェース等を含んで構成され、各給液系統3のポンプユニット13のポンプモータ16及び制御弁15、並びに各給液系統3で共用する表示器5等といった装置各部の作動を制御する。
装置制御装置30は、燃料供給統括制御部31と、異常統括検出部としての水混入統括検出部32とを有し、この燃料供給統括制御部31及び水混入統括検出部32が協働して、複数の給液系統3の中から択一的に選択された所望の給液系統3-p(p=1,2,3の中のいずれか1つ)を用いた給液作業を実行制御する。
その際、装置制御装置30の燃料供給統括制御部31は、複数の給液系統3による同時の給液作業を防止するため、燃料供給系統判断部311として後述の図3に示す燃料供給系統判断処理を行って、給液系統3それぞれのノズルスイッチ19から供給される検出出力を基に、択一的に選択された所望の給液系統3-p(p=1,2,3の中のいずれか1つ)についてのみ、給液作業の実行を許可するとともに、この給液系統3-pを用いた給液作業が終了するまでの間は、他の給液系統3-pCを用いた給液作業の実行を禁止して、複数の給液系統3による同時給液を行わせない構成になっている。
加えて、燃料供給統括制御部31は、この択一的に選択された給液系統3-pの燃料供給制御部312として、後述の図4に示す燃料供給制御処理を行って、対応する燃料供給路4-pのポンプユニット13等の送液機器を制御して、貯液タンクから給液系統3-pへの燃料供給路4-pを介した燃料送液を制御するとともに、燃料供給路4-pの流量計14に付設された流量発信器17からの流量パルスに基づいて、給液系統3-pを用いた供給対象に対する給液量(燃料供給量)を演算し、給液情報として表示器5に表示する。
その一方で、装置制御装置30の水混入統括検出部32は、水混入判断部321として、後述の図5に示す水混入判定処理を行って、給液系統3それぞれから供給対象に供給される燃料中に異物である水が混入しているか否かを監視し、水が混入している場合には、燃料供給統括制御部31と協働して、水が混入している給液系統3-s(s=1,2,3のいずれか)を、択一的に選択された給液系統3-pとして用いる給液作業を禁止及び中止させる。
ここで、供給対象に供給する燃料中に混入している水としては、タンクローリ車から貯液タンクに荷卸しする燃料中に予め僅かながら含まれている燃料由来の水と、例えば、装置筐体2外の燃料供給路4それぞれの地中配管や貯液タンクの腐食・破損等によって外部からその腐食箇所や亀裂箇所等を介して侵入してきた外部由来の水とがある。水混入統括検出部32は、水検知装置20の検出出力を基に、燃料供給路4を流れる若しくは燃料供給路4に停滞している燃料中に混入している水の量に応じて、燃料中に対する外部由来の水の混入を検出する。
次に、図3〜5を参照しながら、燃料供給統括制御部31及び水混入統括検出部32を含む装置制御装置30による、上述した各処理について詳述する。
≪燃料供給系統判断処理≫
図3は、装置制御装置の燃料供給統括制御部が、水混入統括検出部と協働しながら行う燃料供給系統判断処理のフローチャートである。
装置制御装置30では、燃料供給統括制御部31が、水混入統括検出部32と協働しながら、燃料供給系統判断部311として図3に示した燃料供給系統判断処理を行うことによって、給液系統3それぞれの中から択一的に選択された所望の給液系統3-p(p=1,2,3の中のいずれか1つ)についてのみ、実際の給液作業の実行を許可する。その際、この択一的に選択された給液系統3-pが、燃料中に水が混入している給液系統3-sである場合(p=s)は、給液系統3-pによる給液作業の実行を許可しない。
そのために、燃料供給統括制御部31は、例えば給液装置1の稼働開始に伴い、予め、複数の給液系統3それぞれに対応した給液作業中フラグw(j)をリセット(j=1,2,3、w(1)〜w(n)=0)する<ステップS01>。
ここで、給液作業中フラグw(j)は、対応する給液系統3-jが給液作業中状態にあるか否かを記憶しておくためのもので、給液作業中状態では、給液作業中フラグw(j)はセット(w(j)=1)され、 待機中状態であれば、給液作業中フラグw(j)はリセット(w(j)=0)されている。この給液作業中フラグw(j)は、択一的に選択された給液系統3-pについて給液作業中フラグw(p)がセット(w(p)=1)されて給液作業の実行が開始許可されたならば、この給液系統3-pによる給液作業が終了して給液作業中フラグw(p)がリセット(w(p)=0)されて終了解除されるまでの間は、残りの他の給液系統3-pCそれぞれの給液作業中フラグw(pC)は、そのリセット状態(w(pC)=0)が保持される。
続いて、燃料供給統括制御部31は、その給液系統カウンタの値jを初期化(j=1)する<ステップS10>。この給液系統カウンタは、複数の給液系統3それぞれを監視するために利用される。
その後、燃料供給統括制御部31は、複数の給液系統3それぞれの給液作業の開始/終了並びに待機中状態を、給液系統3それぞれに対応するノズルスイッチ19から供給される検出信号を給液系統カウンタの値jに応じて順次取り込んで監視する<ステップS20,S30,S40,S41>。例えば、給液系統3-jの給液作業の開始は、給液系統3-jの給液ノズル11がノズル掛け18から取り外された際が該当し、給液作業の終了は、給液系統3-jの給液ノズル11がノズル掛け18に掛け戻された際が該当し、待機中状態は給液ノズル11がノズル掛け18に収容されている状態が該当する。
燃料供給統括制御部31は、この監視によって、給液系統カウンタの値jに対応する給液系統3-jの給液作業開始を検出したならば、ステップS21以下の作業開始判断処理を行い、給液系統3-jの給液作業終了を検出したならば、ステップS31以下の作業終了判断処理を行う。これに対し、給液系統3-jの状態が待機中状態若しくは給液作業中状態のままで変化がなければ、給液系統カウンタの値jをインクリメント(j=j+1)して<ステップS40>、全ての給液系統3それぞれの監視が一通り完了したか否か(j>n)を確認し<ステップS41>、全ての給液系統3それぞれの監視が一通り完了したならば、ステップS10に戻り、再び最初から複数の給液系統3それぞれの監視を繰り返して行う一方、一通り完了していない場合は、ステップS20に戻り、次の給液系統3-jの監視を行う。
給液系統3-jの給液作業開始を検出した際の作業開始判断処理では、燃料供給統括制御部31は、まず、給液系統カウンタの値jに対応する給液系統3-j以外の、残りの他の給液系統3-jCの中のいずれか1つが既に給液作業中になっているか否かを、給液系統3-jCそれぞれの給液作業中フラグw(jC)に基づいて確認する<ステップS21,S22>。
燃料供給統括制御部31は、他の給液系統3-jCの中のいずれか1つが既に給液作業中になっている場合は、その旨を警報して<ステップS28>、給液系統3-jを用いた給液作業を禁止し、今回の給液系統3-jについての作業開始判断処理を終了させる。
これに対して、他の給液系統3-jCの全てが待機中になっている場合は、燃料供給統括制御部31は、給液系統3-jにより供給する燃料中に異物である水が混入しているか否かを、後述の図5に示した水混入判定処理の実行で記憶した給液系統3-jに対応する水検知履歴フラグx(j)の値に基づいて確認する<ステップS23,S24>。水検知履歴フラグx(j)は、給液系統3それぞれに対応して設けられ、その給液系統3-jから供給する燃料中に水の混入が検知されていない場合はリセット(x(j)=0)され、水の混入が検知されている場合はセット(x(j)=1)されている。
燃料供給統括制御部31は、この確認によって、給液系統3-jから供給する燃料中へ水の混入がないことを確認した場合は、給液系統3-jによる給液処理を開始して給液系統3-jを用いた給液作業を開始させ<ステップS25>、給液作業中フラグw(j)をセット(w(j)=1)して、給液系統3-jが択一的に選択された給液系統3-pとして給液作業中であることを記憶して<ステップS26>、今回の給液系統3-jについての作業開始判断処理を終了させる。これに対し、給液系統3-jから供給する燃料中へ水の混入があることを確認した場合は、その旨を警報して<ステップS27>、給液系統3-jを用いた給液作業の開始を禁止し、今回の給液系統3-jについての作業開始判断処理を終了させる。
一方、燃料供給統括制御部31は、ステップS31以下の作業終了判断処理では、給液系統3-jが、択一的に選択された給液系統3-pとして給液作業中であったか否かを、対応する給液作業中フラグw(j)の値に基づいて確認する<ステップS32,S33>。そして、燃料供給統括制御部31は、給液作業中フラグw(j)がセット(w(j)=1)されている場合は、給液系統3-jは、今まで給液作業を行っていた、複数の給液系統3の中の択一的に選択された給液系統3-pであるので、給液系統3-jを用いる給液処理を終了させ<ステップS33>、給液作業中フラグw(j)の値をリセット(w(j)=0)し<ステップS34>、直近に実際の給液作業が終了した給液系統3-rとして給液系統3-jを更新記憶(r=j)して<ステップS35>、今回の給液系統3-jについての作業終了判断処理を終了させる。
これに対し、燃料供給統括制御部31は、給液系統3-jに対応する給液作業中フラグw(j)がリセット(w(j)=0)されている場合は、給液系統3-jが、択一的に選択された給液系統3-pを用いた給液作業中に誤って操作された残りの他の給液系統3-pCの中の一の給液系統3であるか、給液系統3-j自体がその燃料中に水の混入が検出されて給液作業が禁止及び中止された給液系統3-sであると判断し、ステップS33以下の処理を行うことなく、今回の給液系統3-jについての作業終了判断処理を終了させる。
このようにして、燃料供給統括制御部31は、燃料供給系統判断部311として、複数の給液系統3それぞれの中から択一的に選択された所望の給液系統3-p(p=1,2,3の中のいずれか1つ)についてのみ、その供給する燃料中に外部由来の水が混入していないことを条件に、給液作業の実行を許可する。そして、燃料供給統括制御部31は、この許可された給液系統3-pの燃料供給制御部312として、その給液作業中、図4に示すような燃料供給制御処理を行う。
≪燃料供給制御処理≫
図4は、燃料供給統括制御部が、水混入統括検出部と協働しながら行う燃料供給制御処理のフローチャートである。
燃料供給統括制御部31は、燃料供給系統判断部311として図3に示した燃料供給系統判断処理を行いながら、燃料供給制御部312として、複数の給液系統3の中から択一的に選択された給液系統3-p(p=1,2,3の中のいずれか1つ)についての給液処理開始の指示が出力されるのを確認しながら、待機している<ステップS61>。そして、択一的に選択された給液系統3-pを用いた給液処理の開始が、図3に示した燃料供給系統判断処理のステップS25で指示されると、この択一的に選択された給液系統3-pについて、図4のステップS62以下に示した燃料供給制御処理を行う。
燃料供給統括制御部31は、まず、給液量を演算する給液量演算カウンタをゼロリセットし、表示器5に表示されている給液量を含む給液情報の表示をリセットするともに、給液系統3-pに対応する燃料供給路4-pのポンプユニット13,制御弁15等の送液機器を起動,開弁して、給液系統3-pの給液ノズル11をその開弁操作により燃料を吐出可能な状態にする<ステップS62>。
そして、燃料供給統括制御部31は、燃料供給路4-pの流量計14に付設された流量発信器17から供給される流量パルスを給液量演算カウンタで計数して給液量等の給液情報を表示器5に表示するとともに<ステップS63>、供給する燃料中に異物である水が混入しているか否かを、給液系統3-pに対応する後述の水検知履歴フラグx(p)の値に基づいて確認しながら<ステップS64,S65>、図3のステップS33によって給液処理終了が指示されたのを確認するまで<ステップS66>、給液系統3-pについてのステップS63〜S66に示した給液制御処理を繰り返す。
燃料供給統括制御部31は、ステップS63〜S66で説明した給液系統3-pによる給液制御処理において、ステップS64,S65で、給液系統3-pに対応する水検知履歴フラグx(p)がセット(x(p)=1)されたことを確認した場合は、給液系統3-pから供給する燃料中に水の混入がある旨を警報して<ステップS67>、燃料供給路4-pのポンプユニット13,制御弁15等の送液機器を駆動停止,閉弁して、給液系統3-pの給液ノズル11が開弁操作されたままであっても、給液ノズル11から燃料の吐出を行えないようにして<ステップS68>、給液系統3-pによる給液作業を中止させる。また、燃料供給統括制御部31は、ステップS63〜S66で説明した給液系統3-pによる給液処理において、ステップS66で、図3のステップS33によって給液系統3-pについての給液処理終了が指示されたことを確認すると、燃料供給路4-pのポンプユニット13,制御弁15等の送液機器を駆動停止,閉弁して<ステップS68>、給液系統3-pを用いた給液作業を終了させる。
これにより、複数の給液系統3それぞれの中から択一的に選択された所望の給液系統3-pによる給液作業で、給液系統3-pへの燃料の送液が開始された後でも、給液系統3-pで供給する燃料中に水の混入が検知された場合には、給液系統3-pへの送液が中止され、供給対象の車両等に、水が混入した燃料を供給しないようになっている。
その上で、本実施例の給液装置1では、装置制御装置30の燃料供給統括制御部31が、燃料供給系統判断部311として、複数の給液系統3それぞれの中から択一的に選択された給液系統3-p(p=1,2,3の中のいずれか1つ)についてのみ給液作業の実行を許可するための燃料供給系統判断処理を行い、燃料供給制御部312として、この許可された選択された給液系統3-pについて燃料供給制御処理を行っている間も、装置制御装置30の水混入統括検出部32は、水混入判断部321として、燃料供給統括制御部31と協働しながら図5に示すような水混入判定処理を行い、複数の給液系統3それぞれの中でその供給する燃料中に水の混入が生じた給液系統3-sを、水検知装置20の給液系統3それぞれに共通なセンサ用アンプ回路22の検出出力を基に判定する。
<水混入判定処理>
図5は、水混入統括検出部が、燃料供給統括制御部と協働しながら行う水混入判定処理のフローチャートである。
装置制御装置30の水混入統括検出部32は、択一的に選択された給液系統3-pによる給液作業開始時や、給液装置1の給液作業中状態及び待機中状態における所定タイミング及び間隔で、複数の給液系統3それぞれの水の混入状況を検出し、監視している。本実施例においては、水検知装置20は、複数の給液系統3(図示の例では、3つの給液系統3-1〜3-3)それぞれに対応して設けられた水検知センサ21(21-1〜21-3)に対してセンサ用アンプ回路22を共用する構成になっているので、例えば、次のようにして、燃料中に水が異常混入している給液系統3-sを特定する。
給液ノズル11がノズル掛け18に収容された待機中状態では、給液系統3の燃料供給路4内は、給液作業が行われていない間隔が長い程、すなわち、燃料の流通が生じていない継続時間が長い程、燃料と水との比重の違いによる分離が進んだ状態になっている。これに対し、燃料の流通が生じていたり、燃料の流通が停止した直後の給液系統3の燃料供給路4内は、燃料と水との比重の違いによる分離が十分に進んでいない状態にある。その一方で、燃料供給路4内への外部由来の水の混入については、燃料供給路4内で燃料の流通が生じている状態の方が、燃料供給路4内で燃料の流通が生じていない状態よりも、配管や貯液タンクの腐食箇所や亀裂箇所等を介して侵入し易い。
そこで、複数の給液系統3それぞれの中から択一的に選択された所望の給液系統3-p(p=1,2,3の中のいずれか1つ)についてのみ、対応するポンプユニット13,制御弁15等の送液機器を制御して給液作業の実行を許可する構成の本実施例の給液装置1では、水混入統括検出部32は、
i) 所望の給液系統3-pを用いた給液作業が行われている給液装置1の給液作業中状態に、センサ用アンプ回路22からの検出出力に基づいて燃料中への水の混入を判定した場合は、給液作業中の給液系統3-pに対応する配管又は貯液タンクに腐食・破損があり、燃料供給路4-p内の燃料中に外部由来の水が混入しているものと判定する、
ii) 所望の給液系統3-pを用いた給液作業が行われていない給液装置1の待機中状態に、センサ用アンプ回路22からの検出出力に基づいて燃料中への水の混入を判定した場合は、直近に実際の燃料供給を伴う給液作業が行われた給液系統3-rに対応する配管又は貯液タンクに腐食・破損があり、燃料供給路4-r内の燃料中に外部由来の水が混入しているものと判定する、
ようになっている。
そのため、水混入統括検出部32は、水混入判定処理では、予め設定されているセンサ用アンプ回路22からの検出出力の監視タイミングであるかを確認しながら、待機している<ステップS71>。この場合、監視タイミングとしては、例えば、択一的に選択された給液系統3-pによる給液作業の開始時や終了時、給液装置1の給液作業中や待機中における所定タイミングや所定間隔が設定されている。
水混入統括検出部32は、予め設定されている監視タイミングになると、センサ用アンプ回路22からの検出出力を取り込み、配管又は貯液タンクの腐食や損傷等によって燃料中に外部由来の水が混入している否かの水混入判定処理と、この水混入判定処理で燃料中に外部由来の水が混入していると判定した場合には、その給液系統3-s(s=1,2,3の中のいずれか1つ)の判定処理を、次のようにして行う。
水混入統括検出部32は、監視タイミングになると、センサ用アンプ回路22からその検出出力を取り込み<ステップS81>、センサ用アンプ回路22からの検出出力が水混入検知信号に該当するものか否かを判定する<ステップS82>。その結果、センサ用アンプ回路22からの検出出力が水混入検知信号に該当するものではない場合は、給液系統3が、配管又は貯液タンクの腐食や損傷等によって燃料中に外部由来の水が混入していないことを示す判定終了条件を満たすか否かを判別する<ステップS83>。
水混入統括検出部32は、ステップS83で判定終了条件を満たしていない場合には、ステップS81に戻り、ステップS81以下の処理を繰り返し、センサ用アンプ回路22からの検出出力の変化を監視し続ける。ここで、燃料中に外部由来の水が混入していないことを示す判定終了条件としては、例えば、ステップS81〜S83に示した水混入判定処理で、ステップS81で取り込んだセンサ用アンプ回路22から検出出力が水混入検知信号に対応するものではなかった繰り返し判別回数やその継続時間が該当する。これは、給液装置1の給液作業中、待機中を問わず、水の混入の有無判定は検知信号がある所定時間、継続して検知信号が入力されている場合には水と判定する。これは、水混入以外の検知信号入力(ノイズによる瞬間的な信号入力)で水が混入したと誤判断しないようにしているためである。
これに対し、水混入統括検出部32は、ステップS83で判定終了条件を満たすことを確認した場合は、給液系統3から供給される燃料中に、水の混入はないと判定し<ステップS84>、今回の監視タイミングでの水混入判定処理が終了する。本実施例では、水検知装置20は、水検知センサ21それぞれの検出出力が一のセンサ用アンプ回路22に図2に示したようにオア接続(例えば、ワイヤードオア接続)された構成なので、この場合、水混入統括検出部32は、複数の給液系統3それぞれから供給される燃料中いずれにも外部由来の水の混入が無いものと判定することになる。
一方、水混入統括検出部32は、ステップS82でセンサ用アンプ回路22からの検出出力が水混入検知信号である場合は、複数の給液系統3の中のいずれかの給液系統3-s(s=1,2,3の中のいずれか)から供給される燃料中に、水の混入があるものと判定する<ステップS85>。そして、水混入統括検出部32は、この供給される燃料中に水の混入がある給液系統3-sが、複数の給液系統3の中のいずれであるかを、各給液系統3-j(j=1,2,3)の給液作業中フラグw(j)の状況により、水の混入がある給液系統3-sがいずれの給液系統3-jであるかを特定する。この水の混入がある給液系統3-sの特定は、現在、複数の給液系統3の中のいずれの給液系統3-jが択一的に選択された給液系統3-pとして燃料供給作業中であるか(w(j)=1)、或いは、複数の給液系統3全てが燃料供給作業の行われていない待機中であるか(w(1)〜w(n)=0)を確認し<ステップS86>、その確認結果に基づいて行われる。
水混入統括検出部32は、給液系統jによる燃料供給作業中であること(w(j)=1、すなわち、給液系統3-jが選択された所望の給液系統3-pであり、p=jの場合)を確認した場合は、この燃料供給作業中の給液系統3-jに燃料を送液する燃料供給路4-j内に外部由来の水が混入しているものと判定し、この給液系統3-jを含め、燃料供給路4-jを介して燃料の送液を受ける給液系統3-j全ての水検知履歴フラグx(j)をセット(x(j)=1)し、これらから供給される燃料中に水が混入していることを記憶する<ステップS87>。
一方、水混入統括検出部32は、複数の給液系統3の中のいずれもが燃料供給作業が行われていない待機中であること(w(1)〜w(n)=0)を確認した場合には、図3のステップS35で記憶されている、複数の給液系統3の中の直近に給液作業が終了した一の給液系統3-rとして記憶されている給液系統3-j(この場合、r=j)に燃料を送液する燃料供給路4-j内に外部由来の水が混入しているものと判定し、この給液系統3-jを含め、燃料供給路4-jを介して燃料の送液を受ける給液系統3-j全ての水検知履歴フラグx(j)をセット(x(j)=1)し、これらから供給される燃料中に水が混入していることを記憶する<ステップS88>。
したがって、本実施例の給液装置1にあっては、水検知装置20が、複数nの給液系統3(n=3で、3つの給液系統3-1〜3-3)それぞれに対応して設けられた水検知センサ21(21-1〜21-3)に対してセンサ用アンプ回路22を共用する構成になっていても、その際における給液装置1の給液作業中状態や待機中状態に応じて、複数の給液系統3の中から供給する燃料中に水が混入した給液系統3-sを特定することができるので、例えば、複数の燃料供給系統3の中の或る燃料供給系統3-jについて、燃料中への水の混入を検知しても、この水検知装置20のセンサ用アンプ回路22を共用する燃料供給系統3-jCそれぞれを用いた燃料供給作業を、その対策が完了するまで全て中止にしておく必要がない。これにより、それ以外の水の混入が検知されていない燃料供給系統3-sCについては、それ以前と変わらず、燃料供給作業を行うことができるので、燃料供給装置1の稼働率低下を最小限に抑えることができる。加えて、水の混入が検知された燃料供給系統3-sの燃料供給路4-sの修理作業を行うにしても、改めて検査を行って水の混入が生じている燃料供給路4-sを特定してから行う必要がないので、修理作業の効率化がはかれる。
なお、本実施例の水検知装置20においては、燃料供給系統3それぞれに対応した燃料供給路4毎の水検知センサ21(21-1〜21-3)それぞれの検出出力は、互いに並列接続してセンサ用アンプ回路22に配線接続した構成としたが、それぞれ水検知センサ21(21-1〜21-3)を直列接続してセンサ用アンプ回路22に配線接続する構成であってもよい。また、水検知センサ21は、導電式センサとして説明したが、光センサ,静電容量式センサ、フロート式センサ等であってもよい。また、複数の水検知センサ21(21-1〜21-3)の検出出力を装置制御装置が処理可能なように増幅及び変換して信号出力するセンサ用アンプ回路22の具体的な構成についても、少なくとも、複数の水検知センサ21の中のいずれかが燃料中に水が混入しているのを検出している状態と、複数の水検知センサ21のいずれもが燃料中に水が混入していないのを検出している状態とを出力区別できればよく、接続される水検知センサ21の種類やその接続パターン等に応じて適宜構成されるものである。
特に、フロート式センサでは、燃料中の水の液位若しくは液量を計測することができるので、水混入統括検出部においては、フロート式センサで計測された水の液位若しくは液量が所定量以上(許容水混入量)であるか否かを判定することができ、所定量以上であると判定された場合には、燃料中に混入している水は外部由来のものであると判定することができ、水混入に関しての異常の判定をより具体的に特定することができる。
≪第2の実施例≫
図6は、本発明に係る液体燃料供給装置の一実施の形態としての、マルチ型給液装置の別の実施例の全体構成図である。
本実施例のマルチ型給液装置101は、装置筐体2に、燃料供給系統として複数nの給液系統3(図示の例では、n=3で、3つの給液系統3-1〜3-3)と、この複数の給液系統3それぞれに対応した複数nの表示器5(5-1〜5-3)とを備え、複数の燃料供給系統3それぞれを使用して複数の燃料供給作業を個別に独立して行える構成になっている。すなわち、複数の燃料供給系統3間で複数の燃料供給作業を同時に行える構成になっている。
図6に示した本実施例のマルチ型給液装置101では、複数の燃料供給系統3それぞれを使用した系統個別の独立給液作業に対応するため、図1に示した第1の実施例のマルチ型給液装置1とは、装置制御装置30、及び水検知装置20の構成が一部異なっている。そのため、本実施例のマルチ型給液装置101の構成の説明に当たっては、第1の実施例のマルチ型給液装置1の場合と同一若しくは同様な構成については、図中に同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。なお、本実施例のマルチ型給液装置101の場合でも、各給液系統3の燃料供給路4は、図1に示した第1の実施例のマルチ型給液装置1と同様に、給液系統3毎にそれぞれ異なる液種(例えば、レギュラー,ハイオク,軽油)の別々の貯液タンクに連通しているものとし、給液系統3それぞれから供給可能な燃料液種が互いに異なっているものとして説明する。
本実施例のマルチ型給液装置101では、装置筐体面には、複数の給液系統3(3-1〜3-3)それぞれに対応して給液系統3毎に個別な複数の表示器5(5-1〜5-3)が設けられている。各ノズルスイッチ19及び各表示器5は、水検知装置20の給液系統3それぞれに共通なセンサ用アンプ回路22、及び給液系統3それぞれのポンプユニット13のポンプモータ16,流量計14の流量発信器17,制御弁15ともども、装置筐体2内に設けられた装置制御装置30と配線接続されている。
本実施例のマルチ型給液装置101では、図1に示した第1の実施例のマルチ型給液装置1と同様に、水検知装置20のセンサ用アンプ回路22は、燃料供給路4(4-1〜4-3)それぞれに設けられた複数の水検知センサ21(21-1〜21-3)間で共用する構成になっている。その上で、第1の実施例のマルチ型給液装置1とは異なり、給液系統3それぞれの燃料供給路4毎に対応して設けられた水検知センサ21の検出出力は、接続切替部23を介して、給液系統3間で共用する一のセンサ用アンプ回路22に配線接続された構成になっている。
接続切替部23は、装置制御装置30から供給される切替指示、若しくは択一的な選択指示に基づいて、給液系統3それぞれの水検知センサ21(21-1〜21-3)の中から指示に対応する一の給液系統3-k(k=1,2,3の中のいずれか1つ)の水検知センサ21-kの検出出力だけを、センサ用アンプ回路22に入力させる。具体的に、接続切替部23は、例えば、アナログ・マルチプレクサ等のスイッチング回路で構成されている。
これにより、水検知センサ21(21-1〜21-3)それぞれは、接続切替部23及び一のセンサ用アンプ回路22と協働して、給液系統3毎に対応した水検知装置20を構成する。センサ用アンプ回路22は、後述する装置制御装置30と配線接続され、その出力が装置制御装置30に供給される構成になっている。本実施例では、水検知センサ21それぞれの検出出力は、接続切替部23の切替に応じて時分割多重化されて、一のセンサ用アンプ回路22に配線接続されている。したがって、センサ用アンプ回路22は、この複数の水検知センサ21(21-1〜21-3)の中の或る水検知センサ21-q(図示の例では、q=1,2,3の中のいずれか)でその導電率(抵抗値)が変化すれば、この水検知センサ21-qを含む複数の水検知センサ21(21-1〜21-3)が接続切替部23を介して接続されているセンサ用アンプ回路22からは、接続切替部23の切替状態に応じて、この水検知センサ21-qの変化した検出出力を含め、複数の水検知センサ21(21-1〜21-3)の検出出力が時割多重化され、多重化信号を出力できるようになっている。
図7は、図6に示したマルチ型給液装置のシステム構成図である。
装置制御装置30は、CPU、メモリ、各種インタフェース等を含んで構成され、各給液系統3のポンプユニット13のポンプモータ16、制御弁15及び表示器5、並びに後述する水検知装置20の接続切替部23等といった装置各部の作動を制御する。
装置制御装置30は、燃料供給統括制御部31と水混入統括検出部32とを有し、この燃料供給統括制御部31及び水混入統括検出部32が協働して、複数の給液系統3それぞれを用いた個々の給液作業を、給液系統3毎それぞれ個別に、独立に実行制御する。
その際、装置制御装置30の燃料供給統括制御部31は、複数の給液系統3(3-1〜3-3)それぞれによる給液作業をそれぞれ個別に独立して行えるようにするため、燃料供給系統判断部311として後述の図8に示す燃料供給系統判断処理を行って、給液系統3それぞれのノズルスイッチ19から供給される検出出力等を基に、それぞれ対応する給液系統3-j(j=1,2,3の中のいずれか)の給液作業の実行を、他の給液系統3-jCそれぞれの作業中/待機中といった状態に関係なく、許可する。その際、給液系統3-jが、燃料中に水が混入している給液系統3-sである場合(j=s)は、給液系統3-jによる給液作業の実行を許可しない。
加えて、燃料供給統括制御部31は、給液作業の実行が許可が許可された給液系統3-pそれぞれの系統別燃料供給制御部312(312-1〜312-3)として後述の図9に示す燃料供給制御処理を行って、給液作業の実行が許可された給液系統3-pそれぞれ個別に、対応する燃料供給路4-jのポンプユニット13等の送液機器を制御して、貯液タンクから給液系統3-jへの燃料供給路4-jを介した燃料送液を制御するとともに、燃料供給路4-jの流量発信器17からの流量パルスに基づいて、給液作業の実行が許可された給液系統3-jを用いた給液作業における給液量(燃料供給量)を演算し、給液系統3-pの表示器5-pに給液情報として表示する。
その一方で、装置制御装置30の水混入統括検出部32は、水混入判断部321として後述の図10に示す水混入判定処理を行って、給液系統3それぞれから供給対象に供給される燃料中に、異物である水が混入しているか否かを監視し、水が混入している場合には、燃料供給統括制御部31と協働して、水が混入している給液系統3-sの燃料供給を禁止又は中止させる。
次に、図8〜10を参照しながら、燃料供給統括制御部31及び水混入統括検出部32を含む装置制御装置30による、上述した各処理について詳述する。なお、各処理において、図3〜5で説明した個別処理と同一もしくは同様な個別処理については、同一符号を付して、その一部については詳細な説明を省略する。
≪燃料供給系統判断処理≫
図8は、装置制御装置の燃料供給統括制御部が、水混入統括検出部と協働しながら行う燃料供給系統判断処理のフローチャートである。
装置制御装置30では、燃料供給統括制御部31が、水混入統括検出部32と協働しながら、燃料供給系統判断部として図8に示した燃料供給系統判断処理を行うことによって、給液系統3(3-1〜3-3)それぞれの中から選択された所望の給液系統3-pそれぞれについて、実際の給液作業の実行を許可する。その際、この選択された給液系統3-pが、燃料中に水が混入している給液系統3-sである場合(p=s)は、その給液系統3-pによる給液作業の実行を許可しない。すなわち、本実施例の場合は、第1の実施例とは異なり、所望の一の給液系統3-j(j=1,2,3の中のいずれか)を用いた給液作業を、他の給液系統3-jCを用いた給液作業が行われているか否かに関係なく、個別に独立して行えるようになっている。その結果、複数の燃料供給系統3間で同時に給液作業を行えるようになっている。
本実施例のマルチ型給液装置101では、複数の燃料供給系統3それぞれを使用して燃料供給系統3毎に個別に独立して給液作業が行えるため、燃料供給統括制御部31は、給液系統カウンタの値jに対応する給液系統3-jの給液作業開始を検出した場合は<ステップS20>、他の給液系統3-jCが給液作業中状態であるか待機中状態であるか、すなわち他の給液系統3-jCの給液作業中フラグw(jC)の状態に関係なく、その給液系統3-jから供給する燃料中に水の混入が検知されていないことを条件に<ステップS23,S24>、給液系統3-jによる給液処理を開始して、給液系統3-jを所望の給液系統3-pとして用いる給液作業を開始させ<ステップS25>、給液作業中フラグw(j)をセット(w(j)=1)して、給液系統3-jが給液作業中であることを記憶する<ステップS26>。一方、その給液系統3-jから供給する燃料中に水の混入が検知されている場合には<ステップS23,S24>、その旨を警報して<ステップS27>、給液系統3-jを所望の給液系統3-pとして用いる給液作業の開始を行わせない。
また、燃料供給統括制御部31は、給液系統カウンタの値jに対応する給液系統3-jを所望の給液系統3-pとして用いた給液作業が終了し、給液系統3-jの給液作業終了を検出した場合は<ステップS30>、給液系統3-j自体がその燃料中に水の混入が検出されて給液作業が禁止及び中止された給液系統3-sではなく、それまで給液作業で用いられていたものであることを、給液作業中フラグw(j)を基に確認した上で<ステップS31,S32>、給液系統3-jによる給液処理を終了させ<ステップS33>、給液作業中フラグw(j)の値をリセット(w(j)=0)する<ステップS34>。
したがって、本実施例の場合は、給液作業中フラグw(j)は、複数の燃料供給系統3それぞれの中から択一的に選択された所望の給液系統についてのみ、その供給する燃料中に水の混入が検知されていないことを条件にセットされる第1の実施例とは異なり、複数の燃料供給系統3それぞれ個別に独立して、その供給する燃料中に水の混入が検知されていないことを条件にセットされるようになっている。
そのため、本実施例では、燃料供給統括制御部31によって、給液系統3-jの給液ノズル11がノズル掛け18から取り外され<ステップS20>、その供給する燃料中に水の混入が検知されていない状態(x(j)=0)であれば<ステップS23,S24>、給液処理の開始が行われ<ステップS25>、給液作業中フラグw(j)の値はセット(w(j)=1)されて<ステップS26>、給液系統3-jを所望の給液系統3-pとして用いる給液作業が許可される。一方、給液ノズル11がノズル掛け18から取り外されても<ステップS20>、その供給する燃料中に水の混入が検知されている状態(x(j)=1)では<ステップS23,S24>、、給液処理の開始が行われず、燃料中への水の混入がある旨を警報して<ステップS27>、給液系統3-jを所望の給液系統3-pとして用いる給液作業は禁止されることになる<ステップS27>。
このようにして、燃料供給統括制御部31は、燃料供給系統判断部として、複数の給液系統3それぞれについて、その供給する燃料中に外部由来の水が混入していないことを条件に、給液作業の実行を許可する。そして、燃料供給統括制御部31は、複数の給液系統3の中の、給液作業の実行が許可された給液系統3それぞれの燃料供給制御部として、その給液作業中、図9に示すような燃料供給制御処理を行う。
≪燃料供給制御処理≫
図9は、燃料供給統括制御部が、水混入統括検出部と協働しながら行う燃料供給制御処理のフローチャートである。
燃料供給統括制御部31は、燃料供給系統判断部311として、複数の給液系統3毎に、図8に示した燃料供給系統判断処理を並行して行いながら、複数の給液系統3それぞれの系統別3-1〜3-3の燃料供給制御部312(312-1〜312-3)として、図9に示すような給液系統3個別の燃料供給制御処理を行っている。
燃料供給統括制御部31は、複数の給液系統3それぞれの系統別3-1〜3-3の燃料供給制御部312(312-1〜312-3)として、給液系統3-k(k=1,2,3)それぞれについて、給液系統3-kを所望の給液系統3-pとして用いる給液処理開始が指示されたか否か<ステップS61>、及び給液系統3-kに対応する水検知履歴フラグx(k)がセット(x(k)=1)されているか否か<ステップS69>を確認しながら待機している。そして、燃料供給統括制御部31は、図8に示した燃料供給系統判断処理のステップS25で給液系統kについて給液処理の開始が指示されると、給液系統kの燃料供給制御部312-kとして、図9のステップS62以下に示した燃料供給制御処理を行い、後述の図10に示した水混入判定処理で水検知履歴フラグx(k)がセット(x(k)=1)されていると、図9のステップS67-1以下に示した燃料供給制御処理を行う。
燃料供給統括制御部31は、給液系統3-k毎(k=1,2,3)の燃料供給制御部312-kとして、ステップS61で、自系統3-kを用いた給液処理の開始を確認すると、給液系統3-kによる給液量を演算する給液量演算カウンタをゼロリセットし、給液系統3-kの表示器5-kに表示されている給液量等のリセット表示するともに、給液系統3-kに対応する燃料供給路4-kのポンプユニット13,制御弁15等の送液機器を起動,開弁して、給液系統3-kの給液ノズル11をその開弁操作により燃料を吐出可能な状態にする<ステップS62>。
その後、燃料供給統括制御部31は、給液系統3-kの燃料供給制御部312-kとして、給液系統3-kの流量計14に付設された流量発信器17から供給される流量パルスを給液系統3-kの給液量演算カウンタで計数して、給液系統3-kによる給液量等の給液情報を表示器5-kに表示するとともに<ステップS63>、その供給する燃料中に異物である水が混入しているか否かを、給液系統3-kに対応する後述の水検知履歴フラグx(k)の値に基づいて確認しながら<ステップS64,S65>、図8のステップS33によって、給液系統3-kを用いた給液処理の終了が指示されたのを確認するまで<ステップS66>、ステップS63〜S66に示した給液制御処理を繰り返す。
燃料供給統括制御部31は、給液系統3-kの燃料供給制御部312-kとして、ステップS63〜S66で説明した給液系統3-kの給液制御処理において、ステップS64,S65で、給液系統3-kの水検知履歴フラグx(k)がセット(x(k)=1)されたのを確認した場合は、給液系統3-kから供給する燃料中へ水の混入がある旨を警報して<ステップS67-1>、燃料供給路4-kのポンプユニット13,制御弁15等の送液機器を駆動停止,閉弁して、給液系統3-kの給液ノズル11が開弁操作されたままであっても給液ノズル11から燃料の吐出を行えないようにして、給液系統3-kを用いた給液を中止し<ステップS68-1>、給液系統kの燃料供給制御部312-kとして実行する給液系統kの燃料供給制御処理を中止する。
また、燃料供給統括制御部31は、給液系統3-kの燃料供給制御部312-kとして、ステップS63〜S66で説明した給液系統3-kの燃料供給制御処理において、ステップS66で、図3のステップS33によって給液系統3-kについての給液処理の終了が指示されたのを確認すると、燃料供給路4-kのポンプユニット13,制御弁15等の送液機器を駆動停止,閉弁して<ステップS68-2>、今回の給液系統3-kを用いた給液作業を終了させる。
さらに、燃料供給統括制御部31は、給液系統3-kの燃料供給制御部312-kとして、ステップS61で給液処理開始が指示されていない待機状態であっても、給液系統3-kに対応する水検知履歴フラグx(k)がセット(x(k)=1)されたときには<ステップS69>、給液系統3-kから供給する燃料中へ水の混入がある旨を警報して<ステップS67-2>、給液系統kの燃料供給制御部312-kとして実行する給液系統kの燃料供給制御処理を中止する。
これにより、複数の給液系統3それぞれの給液作業で、給液系統3への燃料の送液が開始された後でも、その供給する燃料中に水の混入が検知された場合には、給液系統3への燃料供給が中止され、供給対象の車両等に、水が混入した燃料を供給しないようになっている。また、複数の給液系統3それぞれの給液作業が行われていない待機状態であっても、その供給する燃料中に水の混入が検知された場合には、その後の給液作業で燃料の供給自体が行えないようになっている。
本実施例の給液装置101では、装置制御装置30の燃料供給統括制御部31が、燃料供給系統判断部311として、複数の給液系統3それぞれの給液作業の実行を許可する燃料供給系統判断処理を行い、複数の給液系統3それぞれの系統別3-k(k=1,2,3)の燃料供給制御部312-kとして、給液系統3-kの燃料供給制御処理を行っている間も、装置制御装置30の水混入統括検出部32は、水混入判断部321として、燃料供給統括制御部31と協働しながら、図10に示すような水混入判定処理を行い、複数の給液系統3それぞれの中でその供給する燃料中に水の混入が生じた給液系統3-sを、水検知装置20の、給液系統3-kそれぞれに共通なセンサ用アンプ回路22の検出出力を基に判定する。
<水混入判定処理>
図10は、水混入統括検出部が、燃料供給統括制御部と協働しながら行う水混入判定処理のフローチャートである。
装置制御装置30の水混入統括検出部32は、複数の給液系統3(3-1〜3-3)それぞれの給液作業開始時や、給液装置1の給液作業中状態及び待機中状態における所定タイミング及び間隔で、複数の給液系統3それぞれの水の混入状況を検出し、監視している。本実施例においては、水検知装置20は、給液系統3それぞれの燃料供給路4毎に対応して設けられた水検知センサ21は、接続切替部23を介して、給液系統3間で共用する一のセンサ用アンプ回路22に択一的に配線接続される構成になっている。そのため、水混入統括検出部32の水混入判断部321は、さらに水検知装置20の接続切替部23を制御する切替制御部を含み、例えば、次のようにして、燃料中に水が異常混入している給液系統3-sを特定する。
水混入統括検出部32は、水混入判定処理では、予め設定されているセンサ用アンプ回路22からの検出出力の監視タイミングであるかを確認しながら、待機している<ステップS71>。ここで、監視タイミングとしては、例えば、複数の給液系統3それぞれによる給液作業の開始時や、給液装置1の給液作業中や待機中における所定タイミングや間隔が設定されている。
水混入統括検出部32は、予め設定されている監視タイミングになると、水混入判断部321は、その切替制御部が水検知装置20の接続切替部23を制御しながら、センサ用アンプ回路22からの検出出力を取り込み、配管又は貯液タンクの腐食や損傷等によって燃料中に外部由来の水が混入している否かの水混入判定処理と、この水混入判定処理で燃料中に外部由来の水が混入していると判定した場合には、その給液系統3-sの判定処理を、次のようにして行う。
水混入統括検出部32は、監視タイミングになると、その監視系統選択用の給液系統カウンタの値lを初期化(l=1)する<ステップS72>。この給液系統カウンタは、第1の実施例における燃料供給統括制御部31の給液系統カウンタの場合と同様に、複数の給液系統3それぞれを監視するために利用される。
水混入統括検出部32は、給液系統3-lが、所望の給液系統3-pとして給液ノズル11がノズル掛け18から取り出された給液作業中状態にあるか、給液ノズル11がノズル掛け18に収容されている待機中状態にあるかを、対応する給液作業中フラグw(l)の値に基づいて確認する<ステップS73,S74>。そして、水混入統括検出部32は、給液系統3-lが給液作業中状態である場合には、この給液系統3-lについて、ステップS80以下に示す水混入判定処理を行い、その供給される燃料中に水が混入しているか否かの水混入判定処理を行う。一方、給液系統3-lが待機中状態である場合には、給液系統3-l以外の、残りの他の給液系統3-lCの中のいずれか1つが既に給液作業中になっているか否かを、給液系統3-lCそれぞれの給液作業中フラグw(lC)に基づいて確認する<ステップS75,S76>。
これにより、他の給液系統3-lCも全てが待機中になっており、給液装置全体が待機中状態で複数の給液系統3(3-1〜3-3)のいずれもが給液作業に用いられていない場合は、ステップS74で待機中状態であることが確認された給液系統3-lについて、ステップS80以下に示す水混入判定処理を行い、その供給される燃料中に水が混入しているか否かの水混入判定処理を行う。これに対し、他の給液系統3-lCの中のいずれか1つが既に給液作業中になっている場合には、ステップS74で待機中状態であることが確認された給液系統3-lについて、ステップS80以下に示す水混入判定処理を行わずに、給液系統カウンタの値lをインクリメント(l=l+1)して<ステップS77>、全ての給液系統3それぞれの監視が一通り完了したか否か(l>n)を確認し<ステップS78>、全ての給液系統3それぞれの監視が一通り完了したならば、ステップS71に戻り、再び最初から複数の給液系統3それぞれの監視を繰り返して行う一方、一通り完了していない場合は、ステップS73に戻り、次の給液系統3-lについての同様な監視を続けて行う。
本実施例では、このようにして、複数の給液系統3(3-1〜3-3)の中に給液作業中の給液系統3が1つでもある場合は、この給液作業中の給液系統3それぞれについてのステップS80以下に示す水混入判定処理が、待機状態中の給液系統3それぞれについてのステップS80以下に示す水混入判定処理に対して、優先して行われる構成になっている。
給液系統3それぞれについてのステップS80以下に示す水混入判定処理では、水混入統括検出部32は、まず、切替制御部が、センサ用アンプ回路22と給液系統3-lとの間を接続するように水検知装置20の接続切替部23を制御して、センサ用アンプ回路22に給液系統3-lの水検知センサ21-lの検出出力が供給される状態にする<ステップS80>。そして、水混入統括検出部32は、センサ用アンプ回路22からその検出出力を取り込み<ステップS81>、センサ用アンプ回路22からの検出出力が水混入検知信号に該当するものか否かを判定する<ステップS82>。その結果、センサ用アンプ回路22からの検出出力が水混入検知信号に該当するものではない場合は、給液系統3が、配管又は貯液タンクの腐食や損傷等によって燃料中に外部由来の水が混入していないことを示す判定終了条件を満たすか否かを判別する<ステップS83>。
水混入統括検出部32は、ステップS83で判定終了条件を満たしていない場合には、ステップS81に戻り、ステップS81以下の処理を繰り返し、センサ用アンプ回路22からの検出出力の変化を監視を続ける。ここで、燃料中に外部由来の水が混入していないことを示す判定終了条件としては、例えば、ステップS81以下の水混入判定処理を繰り返す度に、ステップS81で取り込んだセンサ用アンプ回路22から検出出力が水混入検知信号に対応するものではなかった継続判別回数やその継続時間が該当する。つまり、水の混入の有無判定は検知信号がある所定時間、継続して検知信号が入力されている場合には水と判定する。これは、水混入以外の検知信号入力(ノイズによる瞬間的な信号入力)で水が混入したと誤判断しないようにしているためである。
これに対し、水混入統括検出部32は、ステップS83で判定終了条件を満たすことを確認した場合は、給液系統3から供給される燃料中に、水の混入はないと判定し<ステップS84>、今回の監視タイミングでの給液系統3-lについての水混入判定処理を終了し、ステップS77に移行して、給液系統カウンタの値lをインクリメント(l=l+1)して、次の給液系統3-lについての水混入判定処理を行う。
一方、水混入統括検出部32は、ステップS82でセンサ用アンプ回路22からの検出出力が水混入検知信号である場合は、センサ用アンプ回路22と接続切替部23を介して水検知センサ21-lが接続状態になっている給液系統3-lに、水の混入があるものと判定する<ステップS85>。そして、水混入統括検出部32は、この給液系統3-lに燃料を送液する燃料供給路4-l内に外部由来の水が混入しているものと判定し、この給液系統3-lを含め、燃料供給路4-lを介して燃料の送液を受ける給液系統3-l'それぞれの水検知履歴フラグx(l')をセット(x(l')=1)し、この給液系統3-lを含む給液系統3-l'から供給される燃料中に水が混入していることを記憶する<ステップS87>。そして、水混入統括検出部32は、今回の監視タイミングでの給液系統3-lについての水混入判定処理を終了し、ステップS77に移行して、給液系統カウンタの値lをインクリメント(l=l+1)して、次の給液系統3-lについての水混入判定処理を行う。
したがって、本実施例の給液装置1にあっても、水検知装置20が、複数nの給液系統3(図示の例では、n=3で、3つの給液系統3-1〜3-3)それぞれに対応して設けられた水検知センサ21(21-1〜21-3)に対してセンサ用アンプ回路22を共用する構成になっていても、複数の給液系統3の中から供給する燃料中に水が混入した給液系統3-xを特定することができるので、例えば、複数の燃料供給系統3の中の或る燃料供給系統3-xについて、燃料中への水の混入を検知しても、この水検知装置20のセンサ用アンプ回路22を共用する燃料供給系統3それぞれを用いた燃料供給作業を、その対策が完了するまで全て中止にしておく必要がない。これにより、それ以外の水の混入が検知されていない燃料供給系統3-xCについては、それ以前と変わらず、燃料供給作業を行うことができるので、燃料供給装置1の稼働率低下を最小限に抑えることができる。加えて、水の混入が検知された燃料供給系統3-xの燃料供給路4-xの修理作業を行うにしても、改めて検査を行って水の混入混入が生じている燃料供給路4-xを特定してから行う必要がないので、修理作業の効率化がはかれる。
加えて、本実施例の給液装置1は、複数の燃料供給系統3それぞれを使用して複数の燃料供給作業を個別に独立して行える構成であるが、給液作業中状態の燃料供給系統3についての水混入判定処理が、待機中状態の燃料供給系統3についての水混入判定処理についての水混入判定処理に対して優先的に行われるので、燃料供給路4内で燃料の流通が生じている状態の方が、燃料供給路4内で燃料の流通が生じていない状態よりも、配管や貯液タンクの腐食箇所や亀裂箇所等を介して侵入し易い外部由来の水の混入も、センサ用アンプ回路22を共用化しても、迅速に検出できる。具体的に、本実施例では、給液装置全体が待機中状態で複数の給液系統3(3-1〜3-3)のいずれもが給液作業に用いられていない場合は、接続切替部23の切替に応じて時分割多重化されて、センサ用アンプ回路22からは全ての水検知センサ21それぞれの検出出力が多重化信号で順次出力されるのに対し、給液作業中状態の燃料供給系統3があれば、センサ用アンプ回路22からは給液作業中状態の燃料供給系統3の水検知センサ21それぞれの検出出力だけが多重化信号で順次出力されるようになっている。
なお、本発明に係る燃料供給装置の構成は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例における具体的な構成は、本発明の理解のためものであり、必ずしも説明した具体的な構成の全てを備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施例の具体的な構成の一部を他の実施例の具体的な構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の具体的な構成に他の実施例の具体的な構成を加えることも可能である。加えて、各実施例の具体的な構成の中の一部については、他の構成を追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、本実施例中では、燃料の状態から異常の有無を検知する異常検出装置として燃料中に混入した水の有無を検知する水検知装置に関して述べているが、これに限らず、流量計に付設された流量発信器を異常検知センサとしても使用し、流量パルスの周波数変動から得られる流量の脈動振幅を計測して基準値と比較することにより気泡混入を検知する異常検出装置や、燃料供給経路に配設された弁の作動悪化を、異常検知センサとして燃料供給路に設けた圧力センサによって検出される弁作動時における燃料供給路内の圧力変化の違いから検出する異常検出装置の場合でも、複数の水検知センサ(異常検出センサ)21とセンサ付設回路22と水混入統括検出部(異常統括検出部)32との関係構成は、適用可能なことはもちろんである。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、コンピュータがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによるソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に保持しておくことができる。
また、実施例中では、状態検出手段として複数のノズルスイッチを設けた構成となっているが、これに限らず、例えば、装置制御装置に設けられ、複数の流量計と接続されてなり、前記流量計からの流量計測に関する信号から、燃料供給が開始されたか否かを判断する状態検出手段でもよいことはもちろんである。