JP2017013794A - 車体構造 - Google Patents
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Abstract
Description
その衝突は大きく分けて以下の3つの場合がある。
(1)対向車の中央と自車の車体中央とがほぼ一致するフルラップ衝突
(2)対向車の中央と自社の車体中央とが一致せず、例えば、40%程度しか重なり合わないオフセット衝突
(3)対向車の衝突位置が、車体のメインフレームよりも外側の部分しか重なり合わないスモールオーバーラップ衝突
なぜなら、メインフレームには、通常、衝撃力を吸収するためのクラッシュボックスが設けられているし、さらに、メインフレームの構造自体が衝撃力を吸収することを可能に設計されているからである。
それに対して、スモールオーバーラップ衝突の場合、衝撃力を吸収するための部材がほとんど設けられていない。
そのため、スモールオーバーラップ衝突の場合、衝撃力を吸収することに加えて、衝撃力を車体の上下方向を軸とした回転力に変換することによって、乗員の安全を図っている。
このため、メインフレーム全体を強化する必要が生じてしまい、重量が増加するという課題があった。
図1は、自動車101の車体構造の概要の説明図である。
なお、フロント車室2は、車室空間5の前方向位置に存在している空間であればよく、特に記載がない限り、エンジン、バッテリを内部に含まなくても良い。例えば、フロント車室2内は、トランクとして利用可能なように空洞となっていても良い。
自動車101が通常進む方向(ドライバがシートに座って、頭の方向を曲げずに向いている方向)を前方向(図1において紙面左下方向)と定義する。そして、その逆方向を後方向(図1において紙面右上方向)と定義する。
そして、自動車101が走行状態において上となる方向(ドライバがシートに座って、頭頂部が向く方向)を上方向(図1において紙面上方向)と定義する。そして、その逆方向を下方向(図1において紙面下方向)と定義する。
また、車体の中心を通り前方向・後方向に伸びる直線と、この直線と交わり上方向に伸びる直線とを含む平面に対して、自動車101は、ほぼ面対称となっている(以下、この平面を「対称平面」という。)。
この平面に近づく、方向を内方向と定義する。そして、逆の方向を外方向と定義する。
また、フロント車室2には、フロントサスペンションのアッパーサスペンションを保持するためのアッパーサスペンション保持部材7が配置されていても良い。
なお、図1においては、アッパーサスペンション保持部材7はストラット形式のサスペンションのトップマウントを図示している。しかし、この形式に限定する趣旨ではなく、サスペンション形式、例えば、ダブルウィッシュボーン形式のサスペンションを有する、アッパーフレームと車体の取り付け部であって良い。
メインフレーム3は、車室空間5から前方向にほぼ、水平に伸びている。
2本のメインフレーム3は、僅かに外方向に開きつつ、前方向に伸びていて良い。
このアッパーフレーム直線部13aは、車室空間5から前方向の一定位置まで、ほぼ前方向にのみ伸びている。
アッパーフレーム屈曲部13bは、内方向かつ下方向に伸びている。そして、アッパーフレーム屈曲部13bの先端は、接続部31(図2(c)参照のこと)によって、メインフレーム3に接続されている。
接続部31は、メインフレーム3の外方向を向いた面に接続されている。
より詳細には、アッパーフレーム13とメインフレーム3の補強部19とを補強部材17は架橋している。
なお、補強部19とは、メインフレーム3の他の部分よりも強度の高い部分をいう。
第1の実施形態では、補強部19はサスクロスメンバ55が、メインフレーム3と接続することによって結果的にメインフレーム3の強度が高くなる部分である(図2(a)及び図2(b)参照のこと)。なお、第1の実施形態では、サスクロスメンバ55が接続されることのみによって、他のメインフレーム3の部分よりも強度が高くなる必要はなく、さらに、補強する部材等が入ることによって強度が高くても良い。
この第1補強部材17a、第2補強部材17b及び第3補強部材17cは、図1のように、メインフレーム3側を中心に放射状に広がっている。
つまり、第1補強部材17aはアッパーフレーム13の最も前方向の位置において、アッパーフレーム13と接続され、第3補強部材17cはアッパーフレーム13の最も後方向の位置において、アッパーフレーム13と接続され、第2補強部材17bはアッパーフレーム13の前後の中間的な位置において、アッパーフレーム13と接続されている。
なお、補強部材17の数は、3つである必要はなく、1以上の数であればどのようなものであってもよい。
第2補強部材17b及び第3補強部材17cはアッパーフレーム直線部13aに接続されている(図2を参照のこと)。アッパーサスペンション保持部材7を介してアッパーフレーム直線部13aに接続されていてもよい(図1の状態)。
もっとも、第1補強部材17a、第2補強部材17b及び第3補強部材17cの接続位置は、任意に変更可能である。
より具体的には、接続部材15に全て接続されている。
この接続部材15は、補強部19が存在する位置に配置される。
また、第1の実施形態では接続部材15はメインフレーム3の外方向の面に接続されている。この位置は、他の位置であっても良い(後述する変形例を参照のこと)。
もっとも、接続部材15は必須ではなく、補強部材17は、メインフレーム3に直接接続されていても良い。
なお、サスクロスメンバ55は、フロントのタイヤを保持するための部材を保持する部材である。
このサスクロスメンバ55がメインフレーム3に接続されることによって、この部分はメインフレーム3の他の部分よりも強度が高くなっている。第1の実施形態(本発明)においては、メインフレーム3の強度が他の部分よりも高くなっている部分を補強部19と定義する。
第1の実施形態において、この補強部19は、サスクロスメンバ55が接続されるによるものだけではなく、接続のための接続構成(フランジ、ボルト・ナット、接続するためにメインフレーム3が肉厚に形成されていること等)によって、補強部19となっても良い。
なお、図2(c)は、C位置からの図である。
また、接続部材15によって、補強部材17がメインフレーム3に対して接続されている部分は、エンジン51の外方向の面が位置する位置(前方向・後方向の位置、及び、上方向・下方向の位置)と一致する。つまり、エンジン51の外方向の面が位置する位置(=図2(a)のAの範囲、及び、図2(c)のAの範囲)に、補強部19が位置する。
そのスモールオーバーラップ衝突した際には、図3(b)のように、アッパーフレーム13には、模式的には中心点Sに衝突力Fの力が加わっていると考えることができる。
内方向をX軸方向とし後方向をY軸とした場合(方向については、図1も参照のこと)、この衝突力Fは、X軸方向のFx及びY軸方向のFyに分割する事ができる。
より詳説すると、図4(b)のように接続部31の中心付近に形成された、1個の貫通穴に1個のボルト・ナット33を用いて接続されている。なお、ボルト・ナット33による接続は単なる一例であって、ビスによる接続等であっても良い。
つまり、アッパーフレーム13とメインフレーム3とは、内方向・外方向を軸とした相対回転が可能に形成されている。
このように第1の実施形態が形成(構成)されていることから、衝突力FのY方向の力であるFyが作用しても、この力を支持する事が可能である(Fyについて、図3参照のこと)。
より具体的には、衝突力FのY方向の力であるFyのうち接続部31に向かう力Fryは、メインフレーム3に接続部31が当接していることによって支持される。
また、衝突力FのY方向の力であるFyのうち、接続部31に向かう力Fryと直角方向の力Fθyは、アッパーフレーム13によって支持される。
したがって、第1の実施形態によって、車体は構成衝突力FのY方向の力であるFyに対して強い構成となっている。
アッパーフレーム13にY方向の荷重が加わった場合には、メインフレーム3を反力部材として活用できる。
なお、Y方向の荷重が多く加わる例としては、例えば、他の自動車101が外方向位置から、内方向に向かって側面から衝突した場合がある。
図4(b)のように、第1の実施形態が形成(構成)されていることから、衝突力FのX方向の力であるFxが作用した場合には、アッパーフレーム13は回転することができる。
より具体的には、衝突力FのX方向の力であるFxのうち接続部31とは反対方向に向かう力Frxは、メインフレーム3に接続部31がボルト・ナット33によって接続していることによって、支持される。
しかし、衝突力FのX方向の力であるFxのうち、接続部31とは反対方向に向かう力Frxと直角方向の力Fθxは、これによる回転を防ぐ力を接続部31はその構造上、比較的小さな力しか発生させることができない。なぜなら、1個のボルト・ナット33によって支持されているに過ぎないからである。そのため、アッパーフレーム13は、ある程度自由に回転できることになる。
このように、Y方向の荷重が多く加わる例としては、例えば、以下のような場合がありえる。
フルラップ衝突して、メインフレーム3のみならず、アッパーフレーム13にも荷重が加わった場合である。
この場合、メインフレーム3は大きく変形することになる。この時、アッパーフレーム13とメインフレーム3とが第1の実施形態とは異なり回転できない構成の場合、アッパーフレーム13の変形を阻害してしまう。
なぜなら、アッパーフレーム13とメインフレーム3とが回転できない構成の場合、アッパーフレーム13に加わっている荷重に応じてアッパーフレーム13が変形しようとしても、メインフレーム3と回転できないように強固に固定されているため、この変形を阻害してしまうからである。
換言すると、第1の実施形態のように、アッパーフレーム13とメインフレーム3とが一定程度の回転力に対して回転可能な構成としたことによって、メインフレーム3の変形がアッパーフレーム13に対して影響することを防ぐことができる。
その結果、車体の設計者は、メインフレーム3の変形に伴うアッパーフレーム13の変形までも従来ほど考慮して衝突時の荷重の吸収位置を設計しなくて良くなるという効果がある。つまり、このような構成にすることによって、設計者は意図する位置において衝突荷重を吸収させることがより容易になる。
例えば、フルラップ衝突でアッパーフレーム13が変形する場合は、このアッパーフレーム13は上方向又は下方向に変形する。
その際、補強部材17があることによって、この変形を抑制することが可能になるという効果がある。
その際に、補強部材17は、アッパーフレーム13は図4(a)のような一種の弓形状を維持する剛性を生ずるための部材として機能する。そのため、Y方向の力に対して、必要な反力を発生させることができる。
さらに、この反力によって、自動車101に回転挙動(ヨーイング挙動)を生じさせることができる。
そして、ヨーイング挙動が生ずると言うことは、自動車101がスモールオーバーラップ衝突の際に、衝突エネルギーを回転エネルギーに逃がすことができることを意味し、これによって、乗員の安全性を向上させることができる。
なお、これは、スモールオーバーラップ衝突の際にも同様である。
つまり、接続部材15が強度の高いメインフレーム3の外方向の面に接続されていることから、衝突対象物103による衝突によって、アッパーフレーム13の変形を防ぐことができる。
第1の実施形態においては、さらに、メインフレーム3の強度の高い部分である補強部19に接続されていることから、他のメインフレーム3の部分に補強部材17を接続している場合に比べて、よりアッパーフレーム13を保持する機能が高い。
加えて、この補強部19は、エンジン側面位置の範囲Aの範囲に位置している。そのため、メインフレーム3が内方向に変形しなければならないような強い衝突が有った場合でも、エンジン51がさらに、メインフレーム3が変形しないようにする反力発生部材として機能することができる。
そのため、より強い衝突によっても、アッパーフレーム13が変形することを従来よりも防止することができる。
そして、アッパーフレーム13が変形しないということは、万一、衝突対象物103がスモールオーバーラップ衝突しても、それによる変形が、乗員が搭乗する車室空間5に及ぶことを防ぐことができることを意味する。加えて、車体がオフセット衝突の衝撃エネルギーを車室空間5に及ぼすことなく、自動車101が回転する回転エネルギーに変換することができることも意味する。
そのため、衝突対象物103との衝突によって、補強部材17に掛かる力がメインフレーム3に直接伝わることになる。
そしてその力は、そのままエンジン51が存在する方向を向いている。
以上のことから、第1の実施形態では、アッパーフレーム13を保持する能力が高くなるという効果がある。
そのため、アッパーフレーム13がメインフレーム3に接続していない従来の自動車101よりも、アッパーフレーム13自体の強度が上がっている。
この点からも、第1の実施形態は、スモールオーバーラップ衝突に対して強度が高い。
しかも、アッパーフレーム13とメインフレーム3との接続は、メインフレーム3の外方向の面において接続している。そのため、アッパーフレーム13が衝突対象物103との衝突によって内方向に変形することを防ぐための反力部材として、メインフレーム3が機能することができる。
したがって、この点からも、第1の実施形態は、スモールオーバーラップ衝突に対して強度が高い。
さらに、この構造は、フルラップ衝突、オフセット衝突に対しても強度が高い。
なぜなら、このように、アッパーフレーム13とメインフレーム3とが接続されていることによって、アッパーフレーム13もフルラップ衝突、オフセット衝突に対する抗力発生部材として機能させることができるからである。
この任意の位置は、設計者がスモールオーバーラップ衝突(フルラップ衝突、オフセット衝突)の際に抗力を発生させたい位置を選ぶことができる。
このことによって、補強部材17をアッパーフレーム13のどの位置を接続位置に選択するかによって、設計者は望む抗力を発生させるように自動車101を設計することができる。
そして、そのことによって、Fθx(Fx)に対抗する抗力を任意に選択することが可能となる。
その結果、設計者は任意の量で抗力を発生させて、より傷害値の低い車両1も設計可能となる。
しかし、第1の実施形態の効果の少なくとも一部は、アッパーフレーム13とメインフレーム3とが、一定の回転力以上では回転可能であれば良い。
そのため、図5のような第2の実施形態でも同様の効果がある。
図5を用いて、第2の実施形態を説明する。
図5のように、接続部31に、複数のだるま穴31aを形成する。この複数のだるま穴31aは、回転中心Saを中心とした一定長さの円弧の線を中心に、連続的に貫通穴を形成した形状を有している。
もっとも、だるま穴31aの長さが短い場合には、円弧で無くても直線であっても良い。
なお、図5(a)の断面図部分は、図5(b)における、A−Aの断面を表したものである。
その結果、設計者は任意の量で抗力を発生させて、より傷害値の低い車両1も設計可能となる。
第1の実施形態よりも好適な部分は、複数のボルト・ナット33を有することから、より大きな回転に抗する力を発生可能である。
そのため、より設計者の設計の自由度を向上させることも可能となる。
具体的には、図6のように、接続部31とメインフレーム3との接続を複数のボルト・ナット33によって、だるま穴ではなく結合してもよい。
この場合には、アッパーフレーム13に、図6のように、断面形状が上方向・下方向には短く形成する。
換言すると、アッパーフレーム13は、メインフレーム3と接続する側に行くにしたがって、上方向・下方向の長さが短くなる(横の厚さはそれほど変化しないのに対して、縦の厚さが少なくなる)。
このように、断面形状が上方向・下方向には短く(薄く)形成することによって、アッパーフレーム13自体が、メインフレーム3とは独立に上方向・下方向に比較的容易に撓むことが可能となる。
このような構成によって、第1の実施形態及び第2の実施形態とほぼ同様の効果を発揮することが可能となる。
そしてこのことは、アッパーフレーム13が接続部31に接続される部分の断面積等を適切に選択すれば、任意の回転力に抗する力を発生させることができることを意味する。
その結果、設計者は任意の量で抗力を発生させて、より傷害値の低い車両1も設計可能となる。
なぜなら、車両の先端位置からラジエータパネル71が存在する位置までは、比較的強度が高く形成されていることから、車体の強度を容易に上げることが可能であるからである。
さらに、車両の先端位置からラジエータパネル71が存在する位置までは、衝突時に比較的容易にメインフレーム3が変形する部分である。
この部分を第1の実施形態〜第3の実施形態のように構成したことによって、メインフレーム3の変形の影響がアッパーフレーム13に及ぶことを防止することが可能になるという効果がある。
逆にいうと、この部分を第1の実施形態〜第3の実施形態のように構成したことによって、アッパーフレーム13の変形の影響がメインフレーム3に及ぶことを防止することが可能になるという効果もある。
しかし、ボルト・ナット33のせん断に対する強度を適切に選べば、つまり、接続部31とメインフレーム3との間の接する面でせん断することが可能である。
このことによって、回転に抗する力を任意に設計することが可能となる。
また、接続部31とアッパーフレームとが接続される部分(例えば溶接によって形成)の構造(形状、溶接の程度)を任意に選ぶ事によって、回転に抗する力を任意に設計することが可能となる。
以上から、設計者は任意の量で抗力を発生させて、より傷害値の低い車両1も設計可能となる。
なお、この第5の実施形態においても、第4の実施形態のように、車両の先端位置からラジエータパネル71が存在する位置までに接続部31を設けることが好適である。
7 アッパーサスペンション保持部材
13 アッパーフレーム
15 接続部材
17 補強部材
19 補強部
31 接続部
31a だるま穴
33 ボルト・ナット
71 ラジエータパネル
101 自動車
103 衝突対象物
Claims (5)
- メインフレームと、
前記メインフレームの上方向かつ外側方向に位置するアッパーフレームと、を有し、
前記アッパーフレームは、一定位置よりも前方向側では、内方向及び下方向に向かって湾曲し、
前記アッパーフレームの前方向の先端部は、前記メインフレームに接続しており、
前記アッパーフレームと前記メインフレームとの接続位置は、車両の先端位置からラジエータパネルが存在する位置までの位置であり、
前記アッパーフレームと前記メインフレームとは、前記メインフレームの外方向の側面位置にて接続されている
車体構造。 - 前記アッパーフレームは、前記メインフレームよりも容易に変形するように形成されている
請求項1に記載の車体構造。 - 前記アッパーフレームは、前記メインフレームと接続する側に行くにしたがって、上方向・下方向の長さが短くなるように形成されている
請求項2に記載の車体構造。 - 前記アッパーフレームは、前記メインフレームと接続する部分の強度がもっとも低く形成されている
請求項2に記載の車体構造。 - 前記アッパーフレームは、複数のボルト及び複数のナットにより前記メインフレームに接続し、
前記複数のボルト及び前記複数のナットは、前記アッパーフレーム及び前記メインフレームのせん断強度よりも低いせん断強度である
請求項2に記載の車体構造。
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