以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
<システムの全体構成>
まず、本実施の形態に従う電力システムの全体構成について説明する。
図1は、電力システムの全体構成を示す模式図である。図1を参照して、電力システムは、パワーコンディショナ2と、分電盤3と、太陽電池4と、蓄電池5と、系統電源6と、交流電力線7と、パワーコンディショナ8と、負荷群9とを含む。電力システムの一部は、たとえば、住宅やオフィスなどの家屋内に設置される。
系統電源6は、たとえば、商用電力系統であり、交流電力線7を介して単相3線式の交流電力を家庭に供給する。交流電力線7は、たとえば、単相3線式の電力線であり、2つの電圧線と中性線とを含む。交流電力線7は、分電盤3を介して、パワーコンディショナ2,8および負荷群9に配線される。すなわち、交流電力線7は、パワーコンディショナ2,8、系統電源6および負荷群9を互いに接続するための電力線である。
より具体的には、交流電力線7は、系統電源6とスイッチSWaとを接続する配線71と、スイッチSWaと負荷群9とを接続する配線75と、配線71に接続される配線72と、配線75に接続される配線73,74とを含む。配線72は、パワーコンディショナ2の連系リレーRL1に接続される。配線73は、パワーコンディショナ2の自立リレーRL2に接続される。配線74は、パワーコンディショナ8に接続される。
分電盤3は、スイッチSWaと、スイッチSWbとを含む。スイッチSWaは配線71および配線75の間に設けられており、スイッチSWbは配線73上に設けられている。
負荷群9は、複数の電気機器で構成されている。電気機器は、たとえば、AC100V用の扇風機、掃除機、冷蔵庫、またはAC200V用のエアコンなどである。なお、電気機器は、これに限らず、テレビ、パソコン、電子レンジなどであってもよい。典型的には、負荷群9は、複数の電気機器で構成されているが、単一の電気機器で構成されていてもよい。
パワーコンディショナ2は、パワーコンディショナ2の動作を制御するための制御装置10と、直流電力と交流電力とを双方向に変換する双方向DC/AC変換器20と、双方向に直流電力の電圧変換が可能な双方向DC/DC変換器30と、連系リレーRL1と、自立リレーRL2とを含む。
連系リレーRL1は、パワーコンディショナ2が系統電源6と連系して負荷群9に交流電力を供給する(連系運転する)場合に閉成(オン)状態となる。自立リレーRL2は、パワーコンディショナ2が系統電源6から自立して負荷群9に交流電力を供給する(自立運転する)場合に閉成(オン)状態となる。典型的には、制御装置10は、連系リレーRL1および自立リレーRL2の開閉動作を制御する。
また、パワーコンディショナ2は、交流電力線7から交流電力を取り込んで蓄電池5に充電する一方で、蓄電池5からの直流電力を交流電力線7に供給(放電)することができる。なお、パワーコンディショナ2の詳細な構成については後述する。
蓄電池5は、再充電可能な電力貯蔵要素であり、代表的にリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池で構成される。蓄電池5は、複数の電池セルを直列接続して構成されている。なお、蓄電池5は、電気自動車、ハイブリッド車などに搭載されている蓄電池で構成されていてもよい。
パワーコンディショナ8は、DC/DC変換器84と、DC/AC変換器82とを含む。DC/DC変換器84は、太陽電池4とDC/AC変換器82との間に接続され、太陽電池4から受ける直流電力を電圧変換してDC/AC変換器82へ供給する。DC/AC変換器82は、DC/DC変換器84から受けた直流電力を交流電力に変換して、交流電力線7(配線74)に供給する。典型的には、DC/DC変換器84は、太陽電池4から最大の電力を取得できるような制御(いわゆる最大電力点追従制御)を行なう。
また、パワーコンディショナ8は、系統連系規定に定められた基準、あるいはJET(一般財団法人 電気安全環境研究所)の認証基準を充足しているものが採用される。そのため、パワーコンディショナ8は、連系運転時における系統電圧の電圧値や周波数の異常に対する保護機能を有している。具体的には、パワーコンディショナ8は、系統電圧の電圧値の上昇を検出すると出力を抑制または一時停止する機能を有している。また、パワーコンディショナ8は、系統電圧の周波数や位相の異常を検出すると出力を一時停止する機能を有している。
太陽電池4は、結晶型太陽電池、多結晶型太陽電池または薄膜型太陽電池などで構成される。なお、太陽電池4は、「発電装置」の一例である。発電装置は、風力、水力、潮力、波力、地熱などの自然エネルギーにより発電する発電装置、燃料電池、プラズマ発電装置など直流電力を発電するものであればよく、特に限定されるものではない。また、発電装置はこれらの組み合わせでもよい。
<システムの動作概要>
続いて、図1を参照しながら、本実施の形態に従う電力システムの動作概要について説明する。
(連系時の動作)
系統電源6が停電していない場合には、スイッチSWaは閉成(オン)状態、スイッチSWbは開放(オフ)状態となっている。典型的には、スイッチSWa,SWbの開閉動作は、パワーコンディショナ2の制御装置10によって制御される。
パワーコンディショナ2は、連系リレーRL1をオン状態(および自立リレーRL2をオフ状態)にして、系統電源6と連系される。パワーコンディショナ2は、系統電源6の交流電圧に同期して蓄電池5からの放電電流、蓄電池5への充電電流を制御して、蓄電池5から放電させたり、蓄電池5に充電したりすることが可能である。
また、パワーコンディショナ8も、系統電源6と連系される。パワーコンディショナ8は、太陽電池4の発電電力を交流電力線7(配線74)に最大出力できるように最大電力点追従制御を行なう。
(停電時の動作)
パワーコンディショナ2は、系統電源6の停電を検出した場合、スイッチSWaをオフ状態、スイッチSWbをオン状態、連系リレーRL1をオフ状態、自立リレーRL2をオン状態にする。これにより、パワーコンディショナ2、パワーコンディショナ8および負荷群9は、系統電源6から解列される。なお、パワーコンディショナ2、パワーコンディショナ8および負荷群9は、交流電力線7(配線73,74,75)を介して、互いに接続される。
図1中の電力システムでは、系統電源6が停電して、パワーコンディショナ2,8が系統電源6から解列された場合、交流電力線7に電力を供給可能な装置は、蓄電池5および太陽電池4となる。系統電源6が停電した場合には、典型的には、負荷群9への電力供給は一旦停止されることとなるが、パワーコンディショナ2が、連系運転から自立運転に切り替わり、自立運転をしているパワーコンディショナ2に対してパワーコンディショナ8が連系運転をすることにより負荷群9への電力供給が再開される。すなわち、系統電源6から解列された場合、パワーコンディショナ2は連系運転から自立運転に切り替わり、パワーコンディショナ8は連系運転のままとなる。なお、系統電源6が停電した場合において、パワーコンディショナ2が、瞬時に連系運転から自立運転に切り替わり、自立運転をしているパワーコンディショナ2に対してパワーコンディショナ8が連系運転をすることにより負荷群9への電力供給が継続されるような構成であってもよい。
パワーコンディショナ2は、後述する制御方式を用いて交流電力線7に電圧を出力することにより、負荷群9の負荷変動などによる電圧波形のゼロクロス付近の歪みを抑制する。これにより、パワーコンディショナ2は、パワーコンディショナ8が(保護機能により)異常停止するのを防止することができる。その結果、両方のパワーコンディショナから負荷群9への電力供給を継続して行なうことができる。
<パワーコンディショナ2の構成>
次に、パワーコンディショナ2の具体的な構成について説明する。
図2は、パワーコンディショナ2の構成を示す模式図である。図2を参照して、パワーコンディショナ2は、制御装置10と、双方向DC/AC変換器20と、双方向DC/DC変換器30と、電流センサ41,42と、電圧センサ51,52と、リアクトルL1〜L3と、端子201〜205とを含む。なお、リアクトルL1〜L3は、双方向DC/AC変換器20に含まれる構成であってもよい。
以下では、基本的に、パワーコンディショナ2が自立運転を行なっている場合の構成について説明する。そのため、図2では、説明の便宜上、連系リレーRL1および自立リレーRL2が図示されていないが、連系リレーRL1がオフ状態、かつ自立リレーRL2がオン状態であるものとする。また、端子201〜203は、配線73に接続されているものとする。
端子204および端子205には、直流バス150を介して蓄電池5からの直流電力が入力される、または、双方向DC/DC変換器30からの直流電力が入力される。直流バス150は、蓄電池5からの直流電力をパワーコンディショナ2に伝達したり、パワーコンディショナ2からの直流電力を蓄電池5に伝達したりする電力線である。直流バス150は、電力線対である正母線PLおよび負母線SLで構成される。
双方向DC/DC変換器30は、端子204および端子205を介して受けた直流電力を電圧変換して双方向DC/AC変換器20に供給する。また、双方向DC/DC変換器30は、双方向DC/AC変換器20から受けた直流電力を電圧変換して端子204、端子205および直流バス150を介して蓄電池5に供給する。
双方向DC/AC変換器20は、双方向DC/DC変換器30から受けた直流電力を単相3線式の交流電力に変換して、その交流電力を端子201〜203を介して交流電力線7(配線73)に供給する。また、双方向DC/AC変換器20は、交流電力線7から受けた交流電力を直流電力に変換して内部直流バス152を介して双方向DC/DC変換器30に供給する。
図3は、双方向DC/AC変換器の構成を示す図である。図3を参照して、双方向DC/AC変換器20は、互いに並列接続されたレグ21、レグ22およびレグ23を含む。
レグ21は、上アーム(トランジスタQ1およびダイオードD1)と下アーム(トランジスタQ2およびダイオードD2)とを含む。レグ22は、上アーム(トランジスタQ3およびダイオードD3)と下アーム(トランジスタQ4およびダイオードD4)とを含む。レグ23は、上アーム(トランジスタQ5およびダイオードD5)と下アーム(トランジスタQ6およびダイオードD6)とを含む。
トランジスタQ1,Q2は、直流バス150(または内部直流バス152)を構成する正母線PLおよび負母線SLの間に直列に接続される。トランジスタQ1とトランジスタQ2との中間点は、リアクトルL1に接続される。
トランジスタQ3,Q4は、正母線PLおよび負母線SLの間に直列に接続される。トランジスタQ3とトランジスタQ4との中間点は、リアクトルL2に接続される。
トランジスタQ5,Q6は、正母線PLおよび負母線SLの間に直列に接続される。トランジスタQ5とトランジスタQ6との中間点は、リアクトルL3に接続される。
なお、トランジスタQ1〜Q6として、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。または、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)などの電力スイッチング素子が用いられてもよい。
トランジスタQ1〜Q6は、それぞれ制御装置10からのスイッチング制御信号S1〜S6に応答してオン/オフする。トランジスタQ1〜Q6を所定のタイミングでオン/オフさせることにより、蓄電池5から供給される直流電力を単相3線式の交流電力に変換(または、交流電力線7から供給される交流電力を直流電力に変換)することができる。
再び、図2を参照して、端子201には、電圧線Uが接続される。端子202には、中性線Oが接続される。端子203には、電圧線Vが接続される。たとえば、端子201と端子202との間(電圧線Uと中性線Oとの間)には、実効値が100Vの交流電力が出力される。端子203と端子202との間(電圧線Vと中性線Oとの間)には、実効値が100Vの交流電力が出力される。端子201と端子203との間(電圧線Uと電圧線Vとの間)には、実効値が200Vの交流電力が出力される。
本開示においては、電圧線Uと中性線Oとの間、すなわち第1相を、以後「U相」とも称する。電圧線Vと中性線Oとの間、すなわち第2相を、以後「V相」とも称する。
電流センサ41は、たとえば端子201およびリアクトルL1の間に設けられる。電流センサ41は、電圧線Uに流れる電流(以下「U線電流」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電流センサ41の検出結果には、U線電流の電流値Iuが含まれる。電流センサ42は、たとえば端子203およびリアクトルL3の間に設けられる。電流センサ42は、電圧線Vに流れる電流(以下「V線電流」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電流センサ42の検出結果には、V線電流の電流値Ivが含まれる。
電圧センサ51は、電圧線Uと中性線Oとの間に接続され、U相の電圧(以下、単に「U相電圧」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電圧センサ51の検出結果には、U相電圧の電圧値が含まれる。電圧センサ52は、電圧線Vと中性線Oとの間に接続され、V相の電圧(以下、単に「V相電圧」とも称する。)を検出し、その検出結果を制御装置10に入力する。電圧センサ52の検出結果には、V相電圧の電圧値が含まれる。
制御装置10は、パワーコンディショナ2の動作を制御する。制御装置10は、回路等のハードウェアで実現されてもよいし、図示しないCPU(Central Processing Unit)を含み、CPUが図示しないメモリに格納されたデータおよびプログラムを実行することによって実現される構成であってもよい。
制御装置10は、双方向DC/AC変換器20および双方向DC/DC変換器30に動作指示を行なう。具体的には、制御装置10は、自立運転時において、検出電圧Vu,Vvに基づいて、U相およびV相への出力電圧を双方向DC/AC変換器20に指示する。また、制御装置10は、自立運転時において、内部直流バス152の電圧値が一定になるように双方向DC/DC変換器30に指示する。双方向DC/DC変換器30および双方向DC/AC変換器20が上記指示に従って動作することにより、蓄電池5に余剰電力を充電したり、蓄電池5から不足電力を放電したりすることが可能となる。
まず、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも大きい場合など、蓄電池5が吸収すべき余剰電力が発生している場合を考える。この場合には、双方向DC/AC変換器20には、配線73から電流が流れ込んでくる。この場合、双方向DC/DC変換器30および双方向DC/AC変換器20は、制御装置10の指示に従って、蓄電池5に余剰電力を充電するように動作する。
これに対して、太陽電池4の発電電力が負荷群9の消費電力よりも小さい場合など、蓄電池5が補うべき不足電力が発生している場合を考える。この場合には、双方向DC/AC変換器20から配線73側に電流が流れていく。この場合、双方向DC/DC変換器30および双方向DC/AC変換器20は、制御装置10の指示に従って、蓄電池5から不足電力を放電するように動作する。
このように、制御装置10は、双方向DC/AC変換器20および双方向DC/DC変換器30を動作させることにより、余剰電力が発生した場合には蓄電池5にその電力を充電させ、不足電力が発生した場合には蓄電池5からその電力を放電させることができる。
ただし、上記の<システムの動作概要>でも述べたように、負荷群9の負荷変動により、出力電圧のゼロクロス付近に歪みが生じるとパワーコンディショナ8が異常停止してしまう可能性がある。そこで、以下では、パワーコンディショナ2が自立運転している場合に、パワーコンディショナ8が異常停止されることなく、負荷群9への電力供給を継続するための対応策について具体的に説明する。
<制御装置10Aの構成>
図4は、実施の形態1に従う制御装置の構成を示す模式図である。図4を参照して、制御装置10Aは、電圧入力部11Aと、電圧制御部13Aとを含む。これらの機能は、主に、制御装置10AのCPUがメモリに格納されたプログラムを実行することなどによって実現される。なお、これらの構成の一部または全部はハードウェアで実現されていてもよい。また、制御装置10Aは、図2に示す制御装置10と対応するが、他の実施の形態との区別のため、便宜上「A」といった追加の符号を付している。これは、実施の形態2においても同様である。
電圧入力部11Aは、交流電力線7の電圧値の入力を受け付ける。具体的には、連系運転時(連系リレーRL1がオン、自立リレーRL2がオフの場合)には、電圧入力部11Aは、配線72の電圧値の入力を受け付ける。自立運転時(連系リレーRL1がオフ、自立リレーRL2がオンの場合)には、電圧入力部11Aは、配線73の電圧値の入力を受け付ける。
さらに詳細には、電圧入力部11Aは、電圧センサ51により検出されたU相電圧の検出電圧Vuと、電圧センサ52により検出されたV相電圧の検出電圧Vvとの入力を受け付ける。電圧入力部11Aは、検出電圧Vu,Vvを電圧制御部13Aに送出する。なお、電圧入力部11Aは、常時、電圧センサ51,52からの検出結果の入力を受け付けている。そのため、電圧入力部11Aは、U相電圧の電圧波形(電圧値、周波数、位相など)およびV相電圧の電圧波形を把握することができる。
電圧制御部13Aは、電圧入力部11Aに入力された検出電圧Vu,Vvと、基準電圧Vu*,Vv*とに基づいて、双方向DC/AC変換器20から交流電力線7(U相およびV相)に出力される電圧を制御する。基準電圧Vu*,Vv*は、正弦波電圧である。なお、基準電圧を示す情報は、たとえば、制御装置10Aの内部メモリに記憶されている。電圧制御部13Aは、図4に示すような構成によりスイッチング制御信号S1〜S6を生成して、双方向DC/AC変換器20の各トランジスタQ1〜Q6に出力する。
図5は、実施の形態1に従う電圧制御部13Aの構成を説明するための図である。図5を参照して、電圧制御部13Aは、減算器61u,61vと、PI制御回路62u,62vと、加算器63u,63vと、方形波生成回路64u,64vと、搬送波生成回路65u,65vと、比較器66u,66vと、論理ゲート67u,67vとを含む。
まず、スイッチング制御信号S1,S2の生成方式について説明する。減算器61uは、検出電圧VuとU相の基準電圧Vu*との電圧偏差ΔVuをPI制御回路62uに出力する。PI制御回路62uは、電圧偏差ΔVuを補償するようにPI制御演算(フィードバック演算)を行ない、電圧指令値Vurを加算器63uに出力する。方形波生成回路64uは、方形波電圧Vusを生成して加算器63uに出力する。方形波電圧Vusの周波数および位相は、それぞれ基準電圧Vu*の周波数および位相と同一である。
加算器63uは、電圧指令値Vurと方形波電圧Vusとを加算(合成)して比較器66uに出力する。搬送波生成回路65uは、搬送波信号(ここでは、三角波信号)を生成して比較器66uに出力する。比較器66uは、搬送波信号と、電圧指令値Vurおよび方形波電圧Vusの合成電圧とを比較して、その電圧値の大小関係に応じた2値信号からなる各トランジスタQ1,Q2のオンオフを制御するためのスイッチング制御信号S1,S2を生成する。なお、論理ゲート67uにより、スイッチング制御信号S1,S2は、互いに相補的な信号となる。
次に、スイッチング制御信号S3,S4の生成方式について説明する。電圧制御部13Aは、制御周期であるスイッチング周期(1周期)のうち、トランジスタQ3がオンする期間と、トランジスタQ4がオンする期間とが同じになるようにスイッチング制御信号S3,S4を生成する。たとえば、スイッチング制御信号S3,S4のデューティー比は、50%である。
次に、スイッチング制御信号S5,S6の生成方式について説明する。減算器61vは、検出電圧VvとV相の基準電圧Vv*(=−Vu*)との電圧偏差ΔVvをPI制御回路62vに出力する。PI制御回路62vは、電圧偏差ΔVvを補償するようにPI制御演算を行ない、電圧指令値Vvrを加算器63vに出力する。方形波生成回路64vは、方形波電圧Vvsを生成して加算器63vに出力する。方形波電圧Vvsの周波数および位相は、それぞれ基準電圧Vv*の周波数および位相と同一である。
加算器63vは、電圧指令値Vvrと方形波電圧Vvsとを加算して比較器66vに出力する。搬送波生成回路65vは、搬送波信号を生成して比較器66vに出力する。比較器66vは、搬送波信号と、電圧指令値Vvrおよび方形波電圧Vvsの合成電圧とを比較して、その電圧値の大小関係に応じた2値信号からなる各トランジスタQ5,Q6のオンオフを制御するためのスイッチング制御信号S5,S6を生成する。なお、論理ゲート67vにより、スイッチング制御信号S5,S6は、互いに相補的な信号となる。
電圧制御部13Aは、上記のように生成したスイッチング制御信号S1〜S6を双方向DC/AC変換器20に出力することにより、基準電圧Vu*(およびVv*)に方形波電圧Vus(およびVvs)を合成した合成電圧をU相(およびV相)に出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。
図6は、実施の形態1に従う合成電圧の電圧波形図の一例である。具体的には、図6では、U相またはV相に出力される合成電圧のうちいずれかの合成電圧を代表的に示している。
図6を参照して、電圧制御部13Aは、正弦波電圧である基準電圧(図6(a)参照)に、方形波電圧(図6(b)参照)を合成することにより、合成電圧(図6(c)参照)を生成する。なお、正弦波電圧および方形波電圧の位相および周波数は同一である。
合成電圧は、ゼロクロス点付近で電圧変化率が大きくなっている。そのため、このような合成電圧が交流電力線7に出力されることにより、負荷群9の負荷変動やパワーコンディショナ8の出力電圧変動が発生した場合であっても、ゼロクロス付近での電圧波形の歪みを防止することができる。より詳細には、ゼロクロス付近で、本来、正電圧が出力されるべき時刻で負電圧が出力されたり、負電圧が出力されるべき時刻で正電圧が出力されたりすることを防止できる。
図7は、負荷変動時の正弦波電圧および合成電圧の波形を示す図である。具体的には、図7(a)は、基準電圧である正弦波電圧に方形波電圧を合成しない場合の負荷変動時の電圧波形を示す図である。図7(b)は、基準電圧である正弦波電圧に方形波電圧を合成した場合の負荷変動時の電圧波形を示す図である。
図7を参照すると、負荷変動の発生時においては、正弦波電圧に方形波電圧を合成しない場合の波形(図7(a)参照)は、ゼロクロス付近(図7(a)中の領域700参照)で歪みが生じ、1周期内に複数回のゼロクロス点が発生している。一方、図7(b)を参照すると、ゼロクロス付近での歪みが軽減され複数回のゼロクロス点が発生していない。
このように、パワーコンディショナ2は、上記のような合成電圧(図7(b)参照)を交流電力線7に出力することにより、負荷変動が発生してもパワーコンディショナ8が異常を検知して停止するのを防ぐことができる。
ここで、負荷群9に対する影響を考慮すると、パワーコンディショナ2の出力電圧は、系統電源6から供給されていた交流電圧(系統電圧)に近い電圧であることが好ましい。そのため、典型的には、合成電圧の周波数は、系統電圧と同一の周波数に設定される。また、合成電圧の実効値は、系統電圧と同一の実効値(たとえば、101Vrms)に調整される。具体的には、電圧制御部13Aは、当該実効値(101Vrms)になるように方形波電圧の大きさを調整して、調整した方形波電圧を基準電圧(正弦波電圧)に加算する。または、電圧制御部13Aは、合成電圧の実効値が所望の大きさになるように、基準電圧の大きさを調整する構成であってもよい。なお、方形波電圧および基準電圧の両方が調整される構成であってもよい。
また、合成電圧の実効値ではなく、合成電圧のピーク値が系統電圧のピーク値(たとえば、141V)と同一になるように調整される構成であってもよい。この場合も、方形波電圧および基準電圧の少なくとも一方を調整することにより、合成電圧のピーク値を系統電圧のピーク値(たとえば、141V)と同一にする。
(変形例)
上記では、基準電圧として正弦波電圧を採用して、これを方形波電圧に加算することにより合成電圧を生成する構成について説明した。ただし、このような生成方式によると、合成電圧の実効値およびピーク値を、それぞれ系統電圧(正弦波電圧)の実効値およびピーク値と同一にすることができない。
具体的には、正弦波電圧では、たとえば、実効値が100Vの場合、ピーク値は141Vとなる。上述したように、方形波電圧は、正弦波電圧と同位相かつ同周波数である必要がある。そのため、合成電圧のピーク値を141Vに調整する場合、方形波電圧のピーク値が20Vのとき、正弦波電圧のピーク値は121Vにする必要がある。この場合、正弦波電圧の実効値は、121V/1.41=86Vとなる。したがって、合成波形の実効値は、86V+20V=106Vとなり、所望の実効値である100Vよりも大きくなる。
一方、合成電圧の実効値を100Vに調整する場合、方形波電圧の実効値が20Vのとき、正弦波電圧の実効値は80Vにする必要がある。この場合、正弦波電圧のピーク値は、80×1.41=112.8Vとなる。したがって、合成波形のピーク値は、20V+112.8V=132.8Vとなり、所望のピーク値である141Vよりも小さくなる。
そこで、基準電圧として図8に示すような波形の電圧を採用する構成であってもよい。
図8は、実施の形態1の変形例に従う合成電圧の電圧波形図の一例である。具体的には、図8では、U相またはV相の合成電圧を代表的に示している。
図8を参照して、電圧制御部13Aは、基準電圧(図8(a)参照)に、方形波電圧(図8(b)参照)を合成することにより、合成電圧(図8(c)参照)を生成する。なお、図8(a)に示す基準電圧は、電圧制御部13Aにより、合成電圧のピーク値と実効値との関係が予め定められた関係(たとえば、ピーク値=実効値×21/2)を満たすような電圧に設定される。換言すると、電圧制御部13Aは、基準電圧と方形波電圧とを加算した合成電圧のピーク値および実効値が上記関係を満たすように、基準電圧を設定する。
<処理手順>
図9は、実施の形態1に従う電圧制御処理を示すフローチャートである。ここでは、説明の容易化のため、U相への出力電圧を制御する処理について説明する。なお、V相への出力電圧についても同様の処理により制御可能である。
図9を参照して、制御装置10Aは、基準電圧Vu*と方形波電圧Vus(初期実効値)とを合成した合成電圧を生成する(ステップS102)。方形波電圧Vusの初期実効値は、たとえば、20Vである。制御装置10Aは、この合成電圧が交流電力線7に出力されるように双方向DC/AC変換器20に指示する(ステップS104)。具体的には、制御装置10Aは、スイッチング制御信号S1〜S6を生成して、それらを各トランジスタQ1〜Q6に出力する。
制御装置10Aは、電圧センサ51,52からの検出電圧Vuが基準電圧Vu*未満か否かを判断する(ステップS106)。検出電圧Vuが基準電圧Vu*未満である場合には(ステップS106においてYES)、制御装置10Aは、検出電圧Vuと基準電圧Vu*との差分を補償するために、方形波電圧Vusの実効値を(現在の実効値よりも)大きくするように補正する(ステップS108)。そして、制御装置10Aは、補正した方形波電圧(この場合、実効値を大きく補正した方形波電圧)と基準電圧とを合成した合成電圧が交流電力線7に出力されるように双方向DC/AC変換器20に指示して(ステップS114)、ステップS106からの処理を繰り返す。
検出電圧Vuが基準電圧Vu*以上である(未満ではない)場合には(ステップS106においてNO)、制御装置10Aは、検出電圧Vuが基準電圧Vu*よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。検出電圧Vuが基準電圧Vu*よりも大きい場合には(ステップS110においてYES)、制御装置10Aは、検出電圧Vuと基準電圧Vu*との差分を補償するために、方形波電圧Vusの実効値が(現在の実効値よりも)小さくなるように補正する(ステップS112)。そして、制御装置10Aは、基準電圧と補正した方形波電圧(この場合、実効値を小さく補正した方形波電圧)とを合成した合成電圧が交流電力線7に出力されるように双方向DC/AC変換器20に指示して(ステップS114)、ステップS106からの処理を繰り返す。
ステップS110において、検出電圧Vuが基準電圧Vu*よりも大きくない(すなわち、検出電圧Vuと基準電圧Vu*とが同一である)場合には(ステップS110においてNO)、制御装置10Aは、方形波電圧の実効値を補正することなく、基準電圧と方形波電圧とを合成した合成電圧が交流電力線7に出力されるように双方向DC/AC変換器20に指示して(ステップS116)、ステップS106からの処理を繰り返す。
[実施の形態2]
実施の形態2では、パワーコンディショナ2の自立運転中に、連系運転していたパワーコンディショナ8が異常停止した場合の対応策について説明する。なお、実施の形態2における実施の形態1と同様の部分については、その詳細な説明は繰り返さない。
<制御装置10Bの構成>
図10は、実施の形態2に従う制御装置10Bの構成を示す模式図である。図10を参照して、制御装置10Bは、電圧入力部11Bと、電圧制御部13Bと、接続判断部15Bと、算出部17Bとを含む。電圧入力部11Bと、電圧入力部11Aとは実質的に同一である。
接続判断部15Bは、パワーコンディショナ8が交流電力線7に接続されているか否かを判断する。具体的には、接続判断部15Bは、パワーコンディショナ8が異常停止して、交流電力線7から切り離されているか否かを判断する。接続判断部15Bの判断方式について図11〜図13を参照しながら説明する。
図11は、図10中の接続判断部の判断方式(その1)を説明するための図である。ここでは、図1の構成において、電流センサ43が交流電力線7の配線74に設けられている場合を想定する。
電流センサ43は、パワーコンディショナ8の出力電流を検出する。なお、電流センサ43は、交流電力線7の配線74における電圧線U,Vの電流を検出可能に構成されている。パワーコンディショナ2(接続判断部15B)は、この電流センサ43により検出された検出電流値(パワーコンディショナ8の出力電流値)に基づいて、パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離されたか否かを判断する。具体的には、接続判断部15Bは、検出電流値(電圧線Uまたは電圧線Vの検出電流値)が閾値A未満である場合には、パワーコンディショナ8が異常停止して交流電力線7から切り離されたと判断する。
図12は、図10中の接続判断部の判断方式(その2)を説明するための図である。ここでは、図1の構成において、電流センサ45が交流電力線7の配線75に設けられている場合を想定する。
電流センサ45は、負荷群9に流れる電流(負荷電流)を検出する。なお、電流センサ45は、交流電力線7の配線75における電圧線U,Vの電流を検出可能に構成されている。パワーコンディショナ2(接続判断部15B)は、この電流センサ45により検出された負荷電流値と、電流センサ41(および42)により検出された電流値(パワーコンディショナ2の出力電流値)とに基づいて、パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離されたか否かを判断する。具体的には、接続判断部15Bは、負荷電流値がパワーコンディショナ2の出力電流値以下の場合には、パワーコンディショナ8が異常停止して交流電力線7から切り離されたと判断する。なぜなら、この場合には、パワーコンディショナ8から負荷群9に電流が供給されていないと考えられるためである。
図13は、図10中の接続判断部の判断方式(その3)を説明するための図である。ここでは、図1の構成において、ホームコントローラ300が追加される構成を想定する。典型的には、ホームコントローラ300は、CPUと、メモリと、通信インターフェイスと、ディスプレイと、操作ボタンなどの入力インターフェイスとを含む。ホームコントローラ300は、有線または無線のネットワークを介して、パワーコンディショナ2およびパワーコンディショナ8と互いに通信可能に構成されている。
ホームコントローラ300は、パワーコンディショナ8の運転状態を示す状態情報を、当該パワーコンディショナ8から受信する。状態情報は、パワーコンディショナ8が運転中なのか、停止中なのかを示す情報である。ホームコントローラ300は、状態情報をパワーコンディショナ2に送信する。パワーコンディショナ2(接続判断部15B)は、受信した状態情報に基づいて、パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離されたか否かを判断する。具体的には、接続判断部15Bは、パワーコンディショナ8が停止中であることを示す状態情報を受信した場合には、パワーコンディショナ8が異常停止して交流電力線7から切り離されたと判断する。
再び、図10を参照して、算出部17Bは、合成電圧の電圧歪率を算出する。電圧歪率は、総合電圧歪率(基本波実効値に対する高調波実効値の割合)および各次電圧歪率(基本波実効値に対する各次数の高調波実効値の割合)を含む。
電圧制御部13Bは、接続判断部15Bによりパワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離されたと判断された場合、基準電圧(正弦波電圧)の実効値に対する方形波電圧の実効値の比率が増大するように当該基準電圧の実効値を小さくする。たとえば、パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離される前の時点では、方形波電圧の実効値20Vと、正弦波電圧の実効値80Vとを合成して、合成電圧の実効値100Vを実現していたとする。このような場合に、パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離されると、電圧制御部13Bは、正弦波電圧の実効値を70Vに変更するとともに、方形波電圧の実効値を30Vに変更して、合成電圧の実効値100Vを実現する。
または、電圧制御部13Bは、接続判断部15Bによりパワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離されたと判断された場合であって、かつ電圧歪率が予め定められた閾値以上であるときに、基準電圧の実効値に対する方形波電圧の実効値の比率が減少するように当該基準電圧の実効値を変更する。具体的には、電圧制御部13Bは、総合電圧歪率が閾値B1(たとえば、5%)以上および各次電圧歪率が閾値B2(たとえば、3%)以上である場合、当該比率が減少するように基準電圧の実効値を大きくし、そうではない場合、当該比率が増大するように基準電圧の実効値を小さくする。
そして、電圧制御部13Bは、たとえば、変更後の基準電圧と方形波電圧とを合成した合成電圧を交流電力線7に出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。
<処理手順>
図14は、実施の形態2に従う電圧制御処理を示すフローチャートである。ここでは、説明の容易化のため、U相への出力電圧を制御する処理について説明する。なお、V相への出力電圧についても同様の処理により制御可能である。
図14を参照して、制御装置10Bは、基準電圧Vu*(初期実効値)と方形波電圧Vusとを合成した合成電圧を生成する(ステップS202)。基準電圧Vu*の初期実効値は、たとえば、80Vである。制御装置10Bは、この合成電圧が交流電力線7に出力されるように双方向DC/AC変換器20に指示する(ステップS204)。
制御装置10Bは、パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離されたか否かを判断する(ステップS206)。パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離された場合(ステップS206においてYES)、制御装置10Bは、合成電圧の電圧歪率が予め定められた閾値以上か否かを判断する(ステップS208)。具体的には、制御装置10Bは、総合電圧歪率が閾値B1(たとえば、5%)以上であり、かつ各次電圧歪率が閾値B2(たとえば、3%)以上であるとの条件を満たすか否かを判断する。
当該条件を満たす場合には(ステップS208においてYES)、制御装置10Bは、総合電圧歪率が閾値B1未満かつ各次電圧歪率が閾値B2未満にするために、基準電圧(正弦波電圧)の実効値に対する方形波電圧の実効値の比率を(現在の比率よりも)減少させる(ステップS210)。具体的には、制御装置10Bは、合成電圧の実効値を満たすように、基準電圧の実効値を大きくし、方形波電圧の実効値を小さくする。そして、制御装置10Bは、比率変更後の基準電圧と方形波電圧とを合成した合成電圧が交流電力線7に出力されるように双方向DC/AC変換器20に指示して(ステップS214)、ステップS206からの処理を繰り返す。
当該条件を満たさない場合には(ステップS206においてNO)、制御装置10Bは、基準電圧の実効値に対する方形波電圧の実効値の比率を増大させる(ステップS212)。具体的には、制御装置10Bは、合成電圧の実効値を満たすように、基準電圧の実効値を小さくし、方形波電圧の実効値を大きくする。これにより、合成電圧において、基準電圧の実効値に対する方形波電圧の実効値の比率が増大するため、ゼロクロス付近の歪みを低減することができる。そのため、パワーコンディショナ8が復帰した場合(再び、交流電力線7に接続された場合)に、再度、当該パワーコンディショナ8が切り離される可能性を低減することができる。そして、制御装置10Bは、比率変更後の基準電圧と方形波電圧とを合成した合成電圧が交流電力線7に出力されるように双方向DC/AC変換器20に指示して(ステップS214)、ステップS206からの処理を繰り返す。
また、制御装置10Bは、パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離されていない場合(ステップS206においてNO)、制御装置10Bは、基準電圧の実効値に対する方形波電圧の実効値の比率を変更することなく、基準電圧と方形波電圧とを合成した合成電圧が交流電力線7に出力されるように双方向DC/AC変換器20に指示して(ステップS218)、ステップS206からの処理を繰り返す。
[その他の実施の形態]
ここでは、上述した本実施の形態の変形例などを列挙する。
(合成電圧の生成方式)
上述した実施の形態では、正弦波電圧などの基準電圧に方形波電圧を加算することにより合成電圧を生成する構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、基準電圧を図6(c)や図8(c)に示すような電圧波形としてもよい。この場合、電圧制御部の構成は、図5における加算器63u,63vおよび方形波生成回路64u,64vを設けない構成に相当する。たとえば、基準電圧Vu*,Vv*は、正弦波電圧に方形波電圧を合成した合成電圧に設定される。電圧制御部は、電圧入力部に入力された検出電圧Vu,Vvと、上記のように設定された基準電圧Vu*,Vv*とに基づいて、双方向DC/AC変換器20から交流電力線7(U相およびV相)に出力される電圧を制御する。これにより、合成電圧が交流電力線7に出力される。
(合成電圧の生成タイミング)
上述した実施の形態では、パワーコンディショナ2が自立運転中にパワーコンディショナ8が連系運転している場合、基本的には、合成電圧を交流電力線7に出力する構成について説明した。しかしながら、パワーコンディショナ8が交流電力線7に発電電力を供給していると考えられる場合にのみ、パワーコンディショナ2は、合成電圧を交流電力線7に出力してもよい。
ここで、図11のように電流センサ43が交流電力線7の配線74に設けられている場合を想定する。この場合、パワーコンディショナ2の制御装置10は、この電流センサ43により検出された検出電流値(パワーコンディショナ8の出力電流値)の入力を受ける。制御装置10は、検出電流値が閾値A以上である場合に(すなわち、パワーコンディショナ8が発電電力を供給している場合)、上述した電圧制御方式に従って合成電圧を生成し、交流電力線7に出力する。
制御装置10は、検出電流値が閾値A未満である場合(すなわち、パワーコンディショナ8が発電電力を供給していない場合)、夜間や蓄電池が満充電の場合などのように、パワーコンディショナ8が意図的に切り離されているか否かを判断する。具体的には、制御装置10は、予め定められた設定モードに基づいて、パワーコンディショナ8が意図的に切り離されているか否かを判断する。典型的には、制御装置10は、メモリを参照して、設定モードがモードM1に設定されている場合にはパワーコンディショナ8を意図的に切り離していると判断し、モードM2に設定されている場合にはそうではないと判断する。
パワーコンディショナ8が意図的に切り離されている場合(設定モードがモードM1に設定されている場合)には、制御装置10は、通常の正弦波電圧を交流電力線7に出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。典型的には、制御装置10は、系統電源6から供給されていた交流電圧と同一の周波数、同一の実効値を有する交流電圧を交流電力線7(配線73)に出力するように指示する。
パワーコンディショナ8が意図的に切り離されているわけではない場合(設定モードがモードM2に設定されている場合)には、制御装置10は、パワーコンディショナ8が異常停止していると判断する。そのため、制御装置10は、上述の実施の形態2に従う電圧制御方式に従う合成電圧を交流電力線7に出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。
また、次のように、パワーコンディショナ8が発電電力を交流電力線7に供給しているか否かを判断してもよい。たとえば、図12のように電流センサ45が交流電力線7の配線75に設けられている場合を想定する。この場合、制御装置10は、電流センサ45により検出された負荷電流値および、電流センサ41(および42)により検出された電流値(双方向DC/AC変換器20の出力電流値)の入力を受ける。制御装置10は、負荷電流値がパワーコンディショナ2の出力電流値よりも大きい場合(すなわち、パワーコンディショナ8が交流電力線7に電力を供給している場合)に、上述した電圧制御方式に従って合成電圧を生成し、交流電力線7に出力する。
さらに、次のように、パワーコンディショナ8が発電電力を交流電力線7に供給しているか否かを判断してもよい。たとえば、図13のように、パワーコンディショナ2,8とホームコントローラ300とが通信可能に構成されている場合を想定する。この場合、制御装置10は、パワーコンディショナ8の状態情報の入力を受ける(受信する)。制御装置10は、パワーコンディショナ8が運転状態であるとの状態情報を受信した場合に、上述した電圧制御方式に従って合成電圧を生成し、交流電力線7に出力する。
(単相2線式)
上述した実施の形態では、パワーコンディショナ2が単相3線式の交流電力線に接続されている場合の電圧制御方式について説明した。しかしながら、蓄電池5に接続されるパワーコンディショナが、電圧線Uおよび電圧線Vの2線(すなわち中性線Oを除く)の交流電力線に接続されている構成で、自立運転する場合に上記の電圧制御方式を援用してもよい。
図15は、その他の実施の形態に従うパワーコンディショナ2Aの構成を示す図である。図15を参照して、パワーコンディショナ2Aは、制御装置10Cと、双方向DC/AC変換器20Aと、電圧センサ53と、リアクトルL1,L3と、端子201,203〜205とを含む。なお、パワーコンディショナ2Aは、双方向DC/DC変換器30や、電流センサ41,42を含む構成であってもよい。電圧センサ53は、電圧線Uと電圧線Vとの間に接続され、電圧線Uおよび電圧線Vの間のU−V間電圧を検出し、その検出結果を制御装置10Cに入力する。
制御装置10Cは、上述の制御装置10Aの構成および電圧制御方式を援用して合成電圧を生成し(たとえば、図6(c)や図8(c)に示すような合成電圧を生成)、生成した合成電圧をU−V間電圧として交流電力線に出力するように双方向DC/AC変換器20Aに指示する。
(3相3線式)
なお、蓄電池5に接続されるパワーコンディショナが、3相3線式の交流電力線に接続されている構成で、自立運転する場合に上記の構成および電圧制御方式を援用してもよい。3相3線式の合成電圧波形は、図16のように示される。
図16は、3相3線式用の合成電圧の電圧波形図の一例である。図16では、3相のうちのいずれかの相の合成電圧を代表的に示している。図16を参照して、正弦波電圧(図16(a)参照)に、第1の方形波電圧(図16(b)参照)を加算し、第2の方形波電圧(図16(c)参照)を減算することにより、3相3線式用の合成電圧(図16(d)参照)を生成する。
第1の方形波電圧の位相および周波数は、それぞれ正弦波電圧の位相および周波数と同じである。第2の方形波電圧の周波数は正弦波電圧の周波数と同じである。ただし、第2の方形波電圧の位相は、正弦波電圧の位相と120°ずれている。
図16(d)に示すような合成電圧が基準電圧として設定されることにより、当該合成電圧が交流電力線に出力される。そのため、3相ともにゼロクロス点付近での電圧変化率が大きくすることができる。したがって、負荷群9の負荷変動やパワーコンディショナ8の出力電圧変動が発生した場合であっても、ゼロクロス付近での電圧波形の歪みを防止することができる。
(その他)
上述した実施の形態では、パワーコンディショナ2が、双方向DC/DC変換器30を備える構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、パワーコンディショナ2が、双方向DC/DC変換器30を備えておらず、蓄電池5に双方向DC/AC変換器20が直接接続されている構成であってもよい。この場合、蓄電池5と双方向DC/AC変換器20と接続する直流バスの電圧は、蓄電池5の電池電圧で一定となる。
上述した実施の形態では、パワーコンディショナ2が、交流電力線7と蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20を備える構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、パワーコンディショナ2が、双方向DC/AC変換器20の代わりに、蓄電池5から供給される直流電力を交流電力に変換して交流電力線7に出力する電力変換器(すなわち、蓄電池5から交流電力線7への片方向の電力変換を行なう電力変換器)であってもよい。
[まとめ]
(1)蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2であって、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2に対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2を接続する交流電力線7と、蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20と、制御装置10とを備える。制御装置10は、交流電力線7に設けられた電圧センサにより検出された検出電圧の入力を受ける電圧入力部11Aと、検出電圧と基準電圧とに基づいて、双方向DC/AC変換器20から出力される電圧を制御する電圧制御部13Aとを含む。電圧制御部13Aは、基準電圧に方形波電圧を合成した合成電圧を生成し、当該合成電圧を交流電力線7に出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。
上記構成によると、基準電圧に方形波電圧を合成した合成電圧が交流電力線に出力されるため、出力電圧のゼロクロス付近が明確となる。これにより、負荷変動などが発生した場合であっても、ゼロクロスが複数回発生することがなく、周波数異常によるパワーコンディショナ8の停止を防ぐことができる。
(2)基準電圧は、正弦波電圧を含む。方形波電圧の位相および周波数は、それぞれ正弦波電圧の位相および周波数と同一である。
上記構成によると、一般的に系統電源の出力電圧は正弦波電圧であることから、系統電源電圧に近似した合成電圧を生成することができる。そのため、負荷群9に対する悪影響を防ぐことができる。
(3)基準電圧は、合成電圧のピーク値と合成電圧の実効値との関係が予め定められた関係を満たすような電圧に設定される。
上記構成によると、系統電圧により近い合成電圧を生成することができる。
(4)電圧制御部13Aは、検出電圧と基準電圧との差分を補償するように、基準電圧に方形波電圧を合成する。
上記構成によると、検出電圧のフィードバックに基づいて合成電圧が生成されるため、負荷変動などに対しても適切に電圧を制御することができる。
(5)パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離された場合、電圧制御部13Bは、基準電圧の実効値に対する方形波電圧の実効値の比率を増大させる。
上記構成によると、基準電圧に対する方形波電圧の比率が増大するため、ゼロクロス付近がより明確となり、パワーコンディショナ8が復帰した場合に、再度、当該パワーコンディショナ8が切り離される可能性を低減することができる。
(6)パワーコンディショナ8が交流電力線7から切り離された場合であって、かつ合成電圧の電圧歪率が予め定められた値以上であるとき、電圧制御部13Bは、基準電圧の実効値に対する方形波電圧の実効値の比率を減少させる。
上記構成によると、電圧歪率が減少するため、当該電圧歪率を規定値内に抑えることができる。
(7)制御装置10は、パワーコンディショナ8の出力電流値の入力を受け付け、当該受け付けられた出力電流値が予め定められた電流値以上である場合に、電圧制御部13Aは合成電圧を生成する。
(8)制御装置10は、双方向DC/AC変換器20の出力電流の第1の電流値、および負荷群9に流れる電流の第2の電流値の入力を受け付ける。第2の電流値が第1の電流値よりも大きい場合に、電圧制御部13Aは合成電圧を生成する。
(9)制御装置10は、パワーコンディショナ8の運転状態を示す情報の入力を受け付ける。パワーコンディショナ8が運転していることを示す情報が受け付けられた場合に、電圧制御部13Aは合成電圧を生成する。
上記(7)〜(9)によると、パワーコンディショナ8が連系運転している場合に、合成電圧が出力される。そのため、そもそもパワーコンディショナ8が連系運転していない場合には、合成電圧を出力しないようにすることができる。
(10)パワーコンディショナ2は、単相2線式、単相3線式または3相3線式の系統電源6に接続される。
上記構成によると、色々な配電方式の系統電源にパワーコンディショナ2を用いることができる。
(11)蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2の制御方法であって、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2に対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2を接続する交流電力線7に設けられた電圧センサにより検出された検出電圧の入力を受けるステップと、検出電圧と基準電圧とに基づいて、交流電力線7と蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20から出力される電圧を制御するステップと、電圧を制御するステップは、基準電圧に方形波電圧を合成した合成電圧を生成し、当該合成電圧を交流電力線7に出力するように双方向DC/AC変換器20に指示することを含む。
(12)電力システムは、蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2と、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2に対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8とを備える。パワーコンディショナ2は、パワーコンディショナ8および負荷群9にパワーコンディショナ2を接続する交流電力線7と、蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20と、制御装置10とを含む。制御装置10は、交流電力線7に設けられた電圧センサにより検出された検出電圧の入力を受ける電圧入力部11Aと、検出電圧と基準電圧とに基づいて、双方向DC/AC変換器20から出力される電圧を制御する電圧制御部13Aとを有する。電圧制御部13Aは、基準電圧に方形波電圧を合成した合成電圧を生成し、当該合成電圧を交流電力線7に出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。
(13)蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2の制御装置10Aであって、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2に対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2を接続する交流電力線7に設けられた電圧センサにより検出された検出電圧の入力を受ける電圧入力部11Aと、検出電圧と基準電圧とに基づいて、交流電力線7と蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20から出力される電圧を制御する電圧制御部13Aとを備える。電圧制御部13Aは、基準電圧に方形波電圧を合成した合成電圧を生成し、当該合成電圧を交流電力線7に出力するように双方向DC/AC変換器20に指示する。
(14)蓄電池5に接続されるとともに系統電源6の停電時に自立運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ2であって、太陽電池4に接続されるとともにパワーコンディショナ2に対して連系運転を行なうように構成されたパワーコンディショナ8、および負荷群9にパワーコンディショナ2を接続する交流電力線7と、蓄電池5との間で双方向に電力を変換する双方向DC/AC変換器20と、制御装置10とを備える。制御装置10Aは、交流電力線7に設けられた電圧センサにより検出された検出電圧の入力を受ける電圧入力部11Aと、検出電圧と基準電圧とに基づいて、双方向DC/AC変換器20から出力される電圧を制御する電圧制御部13Aとを含む。基準電圧は、正弦波電圧に方形波電圧を合成した合成電圧を含む。
上記(11)〜(14)の構成によると、基準電圧に方形波電圧を合成した合成電圧が交流電力線に出力されるため、出力電圧のゼロクロス付近が明確となる。そのため、負荷変動などが発生した場合であっても、ゼロクロスが複数回発生することがなく、周波数異常によるパワーコンディショナ8の停止を防ぐことができる。
上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。
また、上述した実施の形態において、他の実施の形態で説明した処理や構成および変形例で説明した処理や構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。