以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.有機電界発光素子の構成>
(1−1.全体構成)
まず、図1に基づいて、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子100の全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る有機電界発光素子100は、基板110と、基板110上に配置された第1電極120と、第1電極120上に配置された正孔輸送層130と、正孔輸送層130上に配置された発光層140と、発光層140上に配置された電子輸送層150と、電子輸送層150上に配置された電子注入層160と、電子注入層160上に配置された第2電極170と、を備える。ここで、正孔輸送層130は、例えば、複数層131、133、135からなる多層構造を有する。
(1−2.基板の構成)
基板110は、一般的な有機電界発光素子で使用される基板を使用することができる。例えば、基板110は、ガラス(glass)基板、半導体基板、または、透明なプラスチック(plastic)基板等を使用することができる。
(1−3.第1電極の構成)
第1電極120は、例えば、陽極であり、蒸着法またはスパッタリング(sputtering)法などを用いて基板110上に形成される。具体的には、第1電極120は、金属、合金または導電性化合物等のうち仕事関数が大きいものによって形成される。例えば、第1電極120は、透明性および導電性に優れる酸化インジウムスズ(In2O3−SnO2:ITO)、酸化インジウム亜鉛(In2O3−ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等によって透過型電極として形成されてもよい。また、第1電極120は、上記透明導電膜に対してマグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などを積層した反射型電極として形成されてもよい。
(1−4.正孔輸送層の構成)
正孔輸送層130は、正孔輸送材料を含み、正孔を輸送する機能を有する層である。正孔輸送層130は、例えば、第1電極120上に約10nm〜約150nmの膜厚(多層構造における総膜厚)にて形成される。
ここで、本実施形態に係る有機電界発光素子100の正孔輸送層130は、第1電極120側から順に、陽極側正孔輸送層131、中間正孔輸送材料層133、および発光層側正孔輸送層135の複数の積層構造にて形成される。なお、これらの層の正孔輸送層130における膜厚の割合は特に制限されない。
(1−4−1.陽極側正孔輸送層の構成)
陽極側正孔輸送層131は、陽極側正孔輸送材料を含み、さらに、電子受容性材料がドープされた層である。陽極側正孔輸送層131は、例えば、第1電極120上に形成される。
陽極側正孔輸送層131は、電子受容性材料がドープ(dope)されることによって、第1電極120からの正孔注入性を向上させることができる。そのため、陽極側正孔輸送層131は、第1電極120の近傍に設けられることが好ましく、特に、第1電極120に隣接して設けられることがより好ましい。
陽極側正孔輸送層131に含まれる陽極側正孔輸送材料は、公知の正孔輸送材料ならば、いずれも使用可能である。陽極側正孔輸送層131に含まれる陽極側正孔輸送材料の具体例としては、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(1,1−bis[(di−4−tolylamino)phenyl]cyclohexane:TAPC)、N−フェニルカルバゾール(N−phenylcarbazole)およびポリビニルカルバゾール(polyvinylcarbazole)などのカルバゾール(carbazole)誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(N,N’−bis(3−methylphenyl)−N,N’−diphenyl−[1,1−biphenyl]−4,4’−diamine:TPD)、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N−carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、ならびにN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(N,N’−di(1−naphthyl)−N,N’−diphenylbenzidine:NPB)等を挙げることができる。
陽極側正孔輸送層131にドープされる電子受容性材料は、電子受容性を有する公知の材料であれば、いずれも使用することが可能である。ただし、陽極側正孔輸送層131にドープされる電子受容性材料は、−9.0eV以上−4.0eV以下のLUMO準位を有することが好ましく、−6.0eV以上−4.0eV以下のLUMO準位を有することがより好ましい。
ここで、−9.0eV以上−4.0eV以下のLUMO準位を有する電子受容性材料の具体例としては、以下の化学式4−1〜4−14で表される化合物が挙げられる。
上記の化学式4−1〜4−14において、
Rは、水素原子、重水素原子、ハロゲン(halogen)原子、炭素数1以上50以下のフッ化アルキル(alkyl fluoride)基、シアノ(cyano)基、炭素数1以上50以下のアルコキシ(alkoxy)基、炭素数1以上50以下のアルキル(alkyl)基、環形成炭素数6以上50以下のアリール(aryl)基、または環形成原子数5以上50以下のヘテロアリール(heteroaryl)基であり、
Arは、電子吸引性の置換基を有する、もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール(aryl)基、または置換もしくは無置換の環形成原子数5以上50以下のヘテロアリール(heteroaryl)基であり、
Yは、メチン(methine)基(−CH=)、または窒素原子(−N=)であり、
Zは、擬ハロゲン(halogen)原子、または硫黄(S)原子であり、
nは、10以下の範囲内の整数であり、
Xは、以下の化学式X1〜X7に示す置換基のいずれかである。
化学式X1〜X7において、
Raは、水素原子、重水素原子、ハロゲン(halogen)原子、炭素数1以上50以下のフッ化アルキル(alkyl fluoride)基、シアノ(cyano基、炭素数1以上50以下のアルコキシ(alkoxy)基、炭素数1以上50以下のアルキル(alkyl)基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール(aryl)基、または置換もしくは無置換の環形成原子数5以上50以下のヘテロアリール(heteroaryl)基である。
R、ArおよびRaが示す、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール(aryl)基の具体例としては、フェニル(phenyl)基、1−ナフチル(1−naphthyl)基、2−ナフチル(2−naphthyl)基、1−アントリル(1−anthryl)基、2−アントリル(2−anthryl)基、9−アントリル(9−anthryl)基、1−フェナントリル(1−phenantyryl)基、2−フェナントリル(2−phenantyryl)基、3−フェナントリル(3−phenantyryl)基、4−フェナントリル(4−phenantyryl)基、9−フェナントリル(9−phenantyryl)基、1−ナフタセニル(1−naphthacenyl)基、2−ナフタセニル(2−naphthacenyl)基、9−ナフタセニル(9−naphthacenyl)基、1−ピレニル(1−pyrenyl)基、2−ピレニル(2−pyrenyl)基、4−ピレニル(4−pyrenyl)基、2−ビフェニルイル(2−biphenylyl)基、3−ビフェニルイル(3−biphenylyl)基、4−ビフェニルイル(4−biphenylyl)基、p−ターフェニル−4−イル(p−terphenyl−4−yl)基、p−ターフェニル−3−イル(p−terphenyl−3−yl)基、p−ターフェニル−2−イル(p−terphenyl−2−yl)基、m−ターフェニル−4−イル(m−terphenyl−4−yl)基、m−ターフェニル−3−イル(m−terphenyl−3−yl)基、m−ターフェニル−2−イル(m−terphenyl−2−yl)基、o−トリル(o−tolyl)基、m−トリル(m−tolyl)基、p−トリル(p−tolyl)基、p−t−ブチルフェニル(p−t−butylphenyl)基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル(p−(2−phenylpropyl)phenyl)基、3−メチル−2−ナフチル(3−methyl−2−naphthyl)基、4−メチル−1−ナフチル(4−methyl−1−naphthyl)基、4−メチル−1−アントリル(4−methyl−1−anthryl)基、4’−メチルビフェニルイル(4’−methylbiphenylyl)基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル(4”−t−butyl−p−terphenyl−4−yl)基、フルオランテニル(fluoranrhenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基などが挙げられる。
R、ArおよびRaが示す、置換もしくは無置換の環形成原子数5以上50以下のヘテロアリール(heteroaryl)基の具体例としては、1−ピロリル(1−pyrrolyl)基、2−ピロリル(2−pyrrolyl)基、3−ピロリル(3−pyrrolyl)基、ピラジニル(pyrazinyl)基、2−ピリジニル(2−pyridinyl)基、3−ピリジニル(3−pyridinyl)基、4−ピリジニル(4−pyridinyl)基、1−インドリル(1−indolyl)基、2−インドリル(2−indolyl)基、3−インドリル(3−indolyl)基、4−インドリル(4−indolyl)基、5−インドリル(5−indolyl)基、6−インドリル(6−indolyl)基、7−インドリル(7−indolyl)基、1−イソインドリル(1−isoindolyl)基、2−イソインドリル(2−isoindolyl)基、3−イソインドリル(3−isoindolyl)基、4−イソインドリル(4−isoindolyl)基、5−イソインドリル(5−isoindolyl)基、6−イソインドリル(6−isoindolyl)基、7−イソインドリル(7−isoindolyl)基、2−フリル(2−furyl)基、3−フリル(3−furyl)基、2−ベンゾフラニル(2−benzofuranyl)基、3−ベンゾフラニル(3−benzofuranyl)基、4−ベンゾフラニル(4−benzofuranyl)基、5−ベンゾフラニル(5−benzofuranyl)基、6−ベンゾフラニル(6−benzofuranyl)基、7−ベンゾフラニル(7−benzofuranyl)基、1−イソベンゾフラニル(1−isobenzofuranyl)基、3−イソベンゾフラニル(3−isobenzofuranyl)基、4−イソベンゾフラニル(4−isobenzofuranyl)基、5−イソベンゾフラニル(5−isobenzofuranyl)基、6−イソベンゾフラニル(6−isobenzofuranyl)基、7−イソベンゾフラニル(7−isobenzofuranyl)基、キノリル(quinolyl)基、3−キノリル(3−quinolyl)基、4−キノリル(4−quinolyl)基、5−キノリル(5−quinolyl)基、6−キノリル(6−quinolyl)基、7−キノリル(7−quinolyl)基、8−キノリル(8−quinolyl)基、1−イソキノリル(1−isoquinolyl)基、3−イソキノリル(3−isoquinolyl)基、4−イソキノリル(4−isoquinolyl)基、5−イソキノリル(5−isoquinolyl)基、6−イソキノリル(6−isoquinolyl)基、7−イソキノリル(7−isoquinolyl)基、8−イソキノリル(8−isoquinolyl)基、2−キノキサリニル(2−quinoxalinyl)基、5−キノキサリニル(5−quinoxalinyl)基、6−キノキサリニル(6−quinoxalinyl)基、1−カルバゾリル(1−carbazolyl)基、2−カルバゾリル(2−carbazolyl)基、3−カルバゾリル(3−carbazolyl)基、4−カルバゾリル(4−carbazolyl)基、9−カルバゾリル(9−carbazolyl)基、1−フェナンスリジニル(1−phenanthridinyl)基、2−フェナンスリジニル(2−phenanthridinyl)基、3−フェナンスリジニル(3−phenanthridinyl)基、4−フェナンスリジニル(4−phenanthridinyl)基、6−フェナンスリジニル(6−phenanthridinyl)基、7−フェナンスリジニル(7−phenanthridinyl)基、8−フェナンスリジニル(8−phenanthridinyl)基、9−フェナンスリジニル(9−phenanthridinyl)基、10−フェナンスリジニル(10−phenanthridinyl)基、1−アクリジニル(1−acridinyl)基、2−アクリジニル(2−acridinyl)基、3−アクリジニル(3−acridinyl)基、4−アクリジニル(4−acridinyl)基、9−アクリジニル(9−acridinyl)基、1,7−フェナンスロリン−2−イル(1,7−phenanthroline−2−yl)基、1,7−フェナンスロリン−3−イル(1,7−phenanthroline−3−yl)基、1,7−フェナンスロリン−4−イル(1,7−phenanthroline−4−yl)基、1,7−フェナンスロリン−5−イル(1,7−phenanthroline−5−yl)基、1,7−フェナンスロリン−6−イル(1,7−phenanthroline−6−yl)基、1,7−フェナンスロリン−8−イル(1,7−phenanthroline−8−yl)基、1,7−フェナンスロリン−9−イル(1,7−phenanthroline−9−yl)基、1,7−フェナンスロリン−10−イル(1,7−phenanthroline−10−yl)基、1,8−フェナンスロリン−2−イル(1,8−phenanthroline−2−yl)基、1,8−フェナンスロリン−3−イル(1,8−phenanthroline−3−yl)基、1,8−フェナンスロリン−4−イル(1,8−phenanthroline−4−yl)基、1,8−フェナンスロリン−5−イル(1,8−phenanthroline−5−yl)基、1,8−フェナンスロリン−6−イル(1,8−phenanthroline−6−yl)基、1,8−フェナンスロリン−7−イル(1,8−phenanthroline−7−yl)基、1,8−フェナンスロリン−9−イル(1,8−phenanthroline−9−yl)基、1,8−フェナンスロリン−10−イル(1,8−phenanthroline−10−yl)基、1,9−フェナンスロリン−2−イル(1,9−phenanthroline−2−yl)基、1,9−フェナンスロリン−3−イル(1,9−phenanthroline−3−yl)基、1,9−フェナンスロリン−4−イル(1,9−phenanthroline−4−yl)基、1,9−フェナンスロリン−5−イル(1,9−phenanthroline−5−yl)基、1,9−フェナンスロリン−6−イル(1,9−phenanthroline−6−yl)基、1,9−フェナンスロリン−7−イル(1,9−phenanthroline−7−yl)基、1,9−フェナンスロリン−8−イル(1,9−phenanthroline−8−yl)基、1,9−フェナンスロリン−10−イル(1,9−phenanthroline−10−yl)基、1,10−フェナンスロリン−2−イル(1,10−phenanthroline−2−yl)基、1,10−フェナンスロリン−3−イル(1,10−phenanthroline−3−yl)基、1,10−フェナンスロリン−4−イル(1,10−phenanthroline−4−yl)基、1,10−フェナンスロリン−5−イル(1,10−phenanthroline−5−yl)基、2,9−フェナンスロリン−1−イル(2,9−phenanthroline−1−yl)基、2,9−フェナンスロリン−3−イル(2,9−phenanthroline−3−yl)基、2,9−フェナンスロリン−4−イル(2,9−phenanthroline−4−yl)基、2,9−フェナンスロリン−5−イル(2,9−phenanthroline−5−yl)基、2,9−フェナンスロリン−6−イル(2,9−phenanthroline−6−yl)基、2,9−フェナンスロリン−7−イル(2,9−phenanthroline−7−yl)基、2,9−フェナンスロリン−8−イル(2,9−phenanthroline−8−yl)基、2,9−フェナンスロリン−10−イル(2,9−phenanthroline−10−yl)基、2,8−フェナンスロリン−1−イル(2,8−phenanthroline−1−yl)基、2,8−フェナンスロリン−3−イル(2,8−phenanthroline−3−yl)基、2,8−フェナンスロリン−4−イル(2,8−phenanthroline−4−yl)基、2,8−フェナンスロリン−5−イル(2,8−phenanthroline−5−yl)基、2,8−フェナンスロリン−6−イル(2,8−phenanthroline−6−yl)基、2,8−フェナンスロリン−7−イル(2,8−phenanthroline−7−yl)基、2,8−フェナンスロリン−9−イル(2,8−phenanthroline−9−yl)基、2,8−フェナンスロリン−10−イル(2,8−phenanthroline−10−yl)基、2,7−フェナンスロリン−1−イル(2,7−phenanthroline−1−yl)基、2,7−フェナンスロリン−3−イル(2,7−phenanthroline−3−yl)基、2,7−フェナンスロリン−4−イル(2,7−phenanthroline−4−yl)基、2,7−フェナンスロリン−5−イル(2,7−phenanthroline−5−yl)基、2,7−フェナンスロリン−6−イル(2,7−phenanthroline−6−yl)基、2,7−フェナンスロリン−8−イル(2,7−phenanthroline−8−yl)基、2,7−フェナンスロリン−9−イル(2,7−phenanthroline−9−yl)基、2,7−フェナンスロリン−10−イル(2,7−phenanthroline−10−yl)基、1−フェナジニル(1−phenazinyl)基、2−フェナジニル(2−phenazinyl)基、1−フェノチアジニル(1−phenothiazzinyl)基、2−フェノチアジニル(2−phenothiazzinyl)基、3−フェノチアジニル(3−phenothiazzinyl)基、4−フェノチアジニル(4−phenothiazzinyl)基、10−フェノチアジニル(10−phenothiazzinyl)基、1−フェノキサジニル(1−phenoxazinyl)基、2−フェノキサジニル(2−phenoxazinyl)基、3−フェノキサジニル(3−phenoxazinyl)基、4−フェノキサジニル(4−phenoxazinyl)基、10−フェノキサジニル(10−phenoxazinyl)基、2−オキサゾリル(2−oxazolyl)基、4−オキサゾリル(4−oxazolyl)基、5−オキサゾリル(5−oxazolyl)基、2−オキサジアゾリル(2−oxadiazolyl)基、5−オキサジアゾリル(5−oxadiazolyl)基、3−フラザニル(3−furazanyl)基、2−チエニル(2−thienyl)基、3−チエニル(3−thienyl)基、2−メチルピロール−1−イル(2−methylpyrrol−1−yl)基、2−メチルピロール−3−イル(2−methylpyrrol−3−yl)基、2−メチルピロール−4−イル(2−methylpyrrol−4−yl)基、2−メチルピロール−5−イル(2−methylpyrrol−5−yl)基、3−メチルピロール−1−イル(3−methylpyrrol−1−yl)基、3−メチルピロール−2−イル(3−methylpyrrol−2−yl)基、3−メチルピロール−4−イル(3−methylpyrrol−4−yl)基、3−メチルピロール−5−イル(3−methylpyrrol−5−yl)基、2−t−ブチルピロール−4−イル(2−t−butylpyrrol−4−yl)基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル(3−(2−phenylpropyl)pyrrol−1−yl)基、2−メチル−1−インドリル(2−methyl−1−indolyl)基、4−メチル−1−インドリル(4−methyl−1−indol
yl)基、2−メチル−3−インドリル(2−methyl−3−indolyl)基、4−メチル−3−インドリル(4−methyl−3−indolyl)基、2−t−ブチル−1−インドリル(2−t−butyl−1−indolyl)基、4−t−ブチル−1−インドリル(4−t−butyl−1−indolyl)基、2−t−ブチル−3−インドリル(2−t−butyl−3−indolyl)基、4−t−ブチル−3−インドリル(4−t−butyl−3−indolyl)基等が挙げられる。
R、Raが示す、置換もしくは無置換の炭素数1以上50以下のフッ化アルキル(alkyl fluoride)基の具体例としては、トリフルオロメチル(trifluoromethyl)基、ペンタフルオロエチル(pentafluoroethyl)基、ヘプタフルオロプロピル(heptafluoropropyl)基、またはヘプタデカフルオロオクタン(heptadecafluorooctane)基等のパーフルオロアルキル(perfluoroalkyl)基、モノフルオロメチル(monofluoromethyl)基、ジフルオロメチル(difluoromethyl)基、トリフルオロエチル(trifluoroethyl)基、テトラフルオロプロピル(tetrafluoropropyl)基、オクタフルオロペンチル(octafluoropentyl)基などが挙げられる。
R、Raが示す、置換もしくは無置換の炭素数1以上50以下のアルキル(alkyl)基の具体例としては、メチル(methyl)基、エチル(ethyl)基、プロピル(propyl)基、イソプロピル(isopropyl)基、n−ブチル(n−butyl)基、s−ブチル(s−butyl)基、イソブチル(isobutyl)基、t−ブチル(t−butyl)基、n−ペンチル(n−pentyl)基、n−ヘキシル(n−hexyl)基、n−ヘプチル(n−heptyl)基、n−オクチル(n−octyl)基、ヒドロキシメチル(hydroxymethyl)基、1−ヒドロキシエチル(1−hydroxyethyl)基、2−ヒドロキシエチル(2−hydroxyethyl)基、2−ヒドロキシイソブチル(2−hydroxyisobutyl)基、1,2−ジヒドロキシエチル(1,2−dihydroxyethyl)基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル(1,3−dihydroxyisopropyl)基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル(2,3−dihydroxy−t−butyl)基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル(1,2,3−trihydroxypropyl)基、クロロメチル(chlorometyl)基、1−クロロエチル(1−chloroetyl)基、2−クロロエチル(2−chloroetyl)基、2−クロロイソブチル(2−chloroisobutyl)基、1,2−ジクロロエチル(1,2−dichloroetyl)基、1,3−ジクロロイソプロピル(1,3−dichloroisopropyl)基、2,3−ジクロロ−t−ブチル(2,3−dichloro−t−butyl)基、1,2,3−トリクロロプロピル(1,2,3−trichloropropyl)基、ブロモメチル(bromomethyl)基、1−ブロモエチル(1−bromoethyl)基、2−ブロモエチル(2−bromoethyl)基、2−ブロモイソブチル(2−bromoisobutyl)基、1,2−ジブロモエチル(1,2−dibromoethyl)基、1,3−ジブロモイソプロピル(1,3−dibromoisopropyl)基、2,3−ジブロモ−t−ブチル(2,3−dibromo−t−butyl)基、1,2,3−トリブロモプロピル(1,2,3−tribromopropyl)基、ヨードメチル(iodomethyl)基、1−ヨードエチル(1−iodoethyl)基、2−ヨードエチル(2−iodoethyl)基、2−ヨードイソブチル(2−iodoisobutyl)基、1,2−ジヨードエチル(1,2−diiodoethyl)基、1,3−ジヨードイソプロピル(1,3−diiodoisopropyl)基、2,3−ジヨード−t−ブチル(2,3−diiodo−t−butyl)基、1,2,3−トリヨードプロピル(1,2,3−triiodopropyl)基、アミノメチル(aminomethyl)基、1−アミノエチル(1−aminoethyl)基、2−アミノエチル(2−aminoethyl)基、2−アミノイソブチル(2−aminoisobutyl)基、1,2−ジアミノエチル(1,2−diaminoethyl)基、1,3−ジアミノイソプロピル(1,3−diaminoisopropyl)基、2,3−ジアミノ−t−ブチル(2,3−diamino−t−butyl)基、1,2,3−トリアミノプロピル(1,2,3−triaminopropyl)基、シアノメチル(cyanomethyl)基、1−シアノエチル(1−cyanoethyl)基、2−シアノエチル(2−cyanoethyl)基、2−シアノイソブチル(2−cyanoisobutyl)基、1,2−ジシアノエチル(1,2−dicyanoethyl)基、1,3−ジシアノイソプロピル(1,3−dicyanoisopropyl)基、2,3−ジシアノ−t−ブチル(2,3−dicyano−t−butyl)基、1,2,3−トリシアノプロピル(1,2,3−tricyanopropyl)基、ニトロメチル(nitromethyl)基、1−ニトロエチル(1−nitroethyl)基、2−ニトロエチル(2−nitroethyl)基、2−ニトロイソブチル(2−nitroisobutyl)基、1,2−ジニトロエチル(1,2−dinitroethyl)基、1,3−ジニトロイソプロピル(1,3−dinitroisopropyl)基、2,3−ジニトロ−t−ブチル(2,3−dinitro−t−butyl)基、1,2,3−トリニトロプロピル(1,2,3−trinitropropyl)基、シクロプロピル(cyclopropyl)基、シクロブチル(cyclobutyl)基、シクロペンチル(cyclopentyl)基、シクロヘキシル(cyclohexyl)基、4−メチルシクロヘキシル(4−methylcyclohexyl)基、1−アダマンチル(1−adamantyl)基、2−アダマンチル(2−adamantyl)基、1−ノルボルニル(1−norbornyl)基、2−ノルボルニル(2−norbornyl)基等が挙げられる。
R、Raが示す、置換もしくは無置換の炭素数1以上50以下のアルコキシ(alkoxy)基は、−OYで表される基である。Yの具体例としては、メチル(methyl)基、エチル(ethyl)基、プロピル(propyl)基、イソプロピル(isopropyl)基、n−ブチル(n−butyl)基、s−ブチル(s−butyl)基、イソブチル(isobutyl)基、t−ブチル(t−butyl)基、n−ペンチル(n−pentyl)基、n−ヘキシル(n−hexyl)基、n−ヘプチル(n−heptyl)基、n−オクチル(n−octyl)基、ヒドロキシメチル(hydroxymethyl)基、1−ヒドロキシエチル(1−hydroxyethyl)基、2−ヒドロキシエチル(2−hydroxyethyl)基、2−ヒドロキシイソブチル(2−hydroxyisobutyl)基、1,2−ジヒドロキシエチル(1,2−dihydroxyethyl)基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル(1,3−dihydroxyisopropyl)基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル(2,3−dihydroxy−t−butyl)基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル(1,2,3−trihydroxypropyl)基、クロロメチル(chlorometyl)基、1−クロロエチル(1−chloroetyl)基、2−クロロエチル(2−chloroetyl)基、2−クロロイソブチル(2−chloroisobutyl)基、1,2−ジクロロエチル(1,2−dichloroetyl)基、1,3−ジクロロイソプロピル(1,3−dichloroisopropyl)基、2,3−ジクロロ−t−ブチル(2,3−dichloro−t−butyl)基、1,2,3−トリクロロプロピル(1,2,3−trichloropropyl)基、ブロモメチル(bromomethyl)基、1−ブロモエチル(1−bromoethyl)基、2−ブロモエチル(2−bromoethyl)基、2−ブロモイソブチル(2−bromoisobutyl)基、1,2−ジブロモエチル(1,2−dibromoethyl)基、1,3−ジブロモイソプロピル(1,3−dibromoisopropyl)基、2,3−ジブロモ−t−ブチル(2,3−dibromo−t−butyl)基、1,2,3−トリブロモプロピル(1,2,3−tribromopropyl)基、ヨードメチル(iodomethyl)基、1−ヨードエチル(1−iodoethyl)基、2−ヨードエチル(2−iodoethyl)基、2−ヨードイソブチル(2−iodoisobutyl)基、1,2−ジヨードエチル(1,2−diiodoethyl)基、1,3−ジヨードイソプロピル(1,3−diiodoisopropyl)基、2,3−ジヨード−t−ブチル(2,3−diiodo−t−butyl)基、1,2,3−トリヨードプロピル(1,2,3−triiodopropyl)基、アミノメチル(aminomethyl)基、1−アミノエチル(1−aminoethyl)基、2−アミノエチル(2−aminoethyl)基、2−アミノイソブチル(2−aminoisobutyl)基、1,2−ジアミノエチル(1,2−diaminoethyl)基、1,3−ジアミノイソプロピル(1,3−diaminoisopropyl)基、2,3−ジアミノ−t−ブチル(2,3−diamino−t−butyl)基、1,2,3−トリアミノプロピル(1,2,3−triaminopropyl)基、シアノメチル(cyanomethyl)基、1−シアノエチル(1−cyanoethyl)基、2−シアノエチル(2−cyanoethyl)基、2−シアノイソブチル(2−cyanoisobutyl)基、1,2−ジシアノエチル(1,2−dicyanoethyl)基、1,3−ジシアノイソプロピル(1,3−dicyanoisopropyl)基、2,3−ジシアノ−t−ブチル(2,3−dicyano−t−butyl)基、1,2,3−トリシアノプロピル(1,2,3−tricyanopropyl)基、ニトロメチル(nitromethyl)基、1−ニトロエチル(1−nitroethyl)基、2−ニトロエチル(2−nitroethyl)基、2−ニトロイソブチル(2−nitroisobutyl)基、1,2−ジニトロエチル(1,2−dinitroethyl)基、1,3−ジニトロイソプロピル(1,3−dinitroisopropyl)基、2,3−ジニトロ−t−ブチル(2,3−dinitro−t−butyl)基、1,2,3−トリニトロプロピル(1,2,3−trinitropropyl)基等が挙げられる。
R、Raが示すハロゲン(halogen)原子の具体例としては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などが挙げられる。
ここで、電子受容性材料の具体的な化合物として、以下の化合物4−15および4−16を例示することができる。化合物4−15のLUMO準位は、−4.40eVであり、化合物4−16のLUMO準位は、−5.20eVである。ただし、本実施形態に係る有機電界発光素子にて用いられる電子受容性材料が以下の化合物4−15および4−16に限定されるわけではない。
なお、電子受容性材料のドープ量は、陽極側正孔輸送層131にドープ可能な量であれば特に制限されない。例えば、電子受容性材料のドープ量は、陽極側正孔輸送層131に含まれる陽極側正孔輸送材料の総質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下であってもよく、好ましくは0.5質量%以上5質量%以下であってもよい。
(1−4−2.中間正孔輸送材料層の構成)
中間正孔輸送材料層133は、中間正孔輸送材料を含む。中間正孔輸送材料層133は、例えば、陽極側正孔輸送層131上に形成される。
中間正孔輸送材料層133に含まれる中間正孔輸送材料は、公知の正孔輸送材料ならば、いずれも使用可能である。例えば、中間正孔輸送材料は、陽極側正孔輸送材料として上記で例示した正孔輸送材料であってもよい。
ただし、中間正孔輸送材料は、下記の一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(2)において、
Ar1〜Ar3は、互いに独立して、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール(aryl)基、または置換もしくは無置換の環形成炭素数5以上50以下のヘテロアリール(heteroaryl)基であり、
Ar4は、水素原子、重水素原子、ハロゲン(halogen)原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール(aryl)基、置換もしくは無置換の環形成炭素数5以上50以下のヘテロアリール(heteroaryl)基、または置換もしくは無置換の炭素数1以上50以下のアルキル(alkyl)基であり、
L1は、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上18以下のアリーレン(arylene)基、または置換もしくは無置換の環形成炭素数5以上15以下のヘテロアリーレン(heteroarylene)基である。
Ar1〜Ar3の具体例としては、フェニル(phenyl)基、ビフェニル(biphenyl)基、ターフェニル(terphenyl)基、ナフチル(naphthyl)基、アントリル(anthryl)基、フェナントレニル(phenanthrenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、インデニル(indenyl)基、ピレニル(pyrenyl)基、フルオランテニル(fluoranthenyl)基、トリフェニレニル(triphenylenyl)基,ピリジル(pyridyl)基、フラニル(furanyl)基、ピラニル(pyranyl)基、チエニル(thienyl)基、キノリル(quinolyl)基、イソキノリル(isoquinolyl)基、ベンゾフラニル(benzofuranyl)基、ベンゾチエニル(benzothienyl)基、インドリル(indolyl)基、カルバゾリル(carbazolyl)基、ベンゾオキサゾリル(benzoxazolyl)基、ベンゾチアゾリル(benzothiazolyl)基、キノキサリル(quinoxalyl)基、ベンゾイミダゾリル(benzoimidazolyl)基、ピラゾリル(pyrazolyl)基、ジベンゾフラニル(dibenzofuranyl)基、およびジベンゾチエニル(dibenzothienyl)基などを挙げることができる。Ar1〜Ar3の好ましい具体例としては、フェニル(phenyl)基、ビフェニル(biphenyl)基、ターフェニル(terphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、カルバゾリル(carbazolyl)基、およびジベンゾフラニル(debenzofuranyl)基などを挙げることができる。
Ar4の具体例としては、フェニル(phenyl)基、ビフェニル(biphenyl)基、ターフェニル(terphenyl)基、ナフチル(naphthyl)基、アントリル(anthryl)基、フェナントレニル(phenanthrenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、インデニル(indenyl)基、ピレニル(pyrenyl)基、フルオランテニル(fluoranthenyl)基、トリフェニレニル(triphenylenyl)基,ピリジル(pyridyl)基、フラニル(furanyl)基、ピラニル(pyranyl)基、チエニル(thienyl)基、キノリル(quinolyl)基、イソキノリル(isoquinolyl)基、ベンゾフラニル(benzofuranyl)基、ベンゾチエニル(benzothienyl)基、インドリル(indolyl)基、カルバゾリル(carbazolyl)基、ベンゾオキサゾリル(benzoxazolyl)基、ベンゾチアゾリル(benzothiazolyl)基、キノキサリル(quinoxalyl)基、ベンゾイミダゾリル(benzoimidazolyl)基、ピラゾリル(pyrazolyl)基、ジベンゾフラニル(dibenzofuranyl)基、ジベンゾチエニル(dibenzothienyl)基、メチル(methyl)基、エチル(ethyl)基、プロピル(propyl)基、イソプロピル(isopropyl)基、n−ブチル(n−butyl)基などを挙げることができる。Ar4の好ましい具体例としては、フェニル(phenyl)基、ビフェニル(biphenyl)基、ターフェニル(terphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、カルバゾリ(carbazolyl)ル基、およびジベンゾフラニル(dibenzofuranyl)基を挙げることができる。
L1の単結合以外の具体例としては、フェニレン(phenylene)基、ビフェニレン(biphenylene)基、ターフェニレン(terphenylene)基、ナフチレン(naphthylene)基、アントリレン(anthrylene)基、フェナントリレン(phenanthrenylene)基、フルオレニレン(fluorenylene)基、インデニレン(indenylene)基、ピレニレン(pyrenylene)基、フルオランテニレン(fluoranthenylene)基、トリフェニレニレン(triphenylenylene)基、ピリジレン(pyridylene)基、フラニレン(furanylene)基、ピラニレン(pyranylene)基、チエニレン(thienylene)基、キノリレン(quinolylene)基、イソキノリレン(isoquinolylene)基、ベンゾフラニレン(benzofuranylene)基、ベンゾチエニレン(benzothienylene)基、インドリレン(indolylene)基、カルバゾリレン(carbazolylene)基、ベンゾオキサゾリレン(benzoxazolylene)基、ベンゾチアゾリレン(benzothiazolylene)基、キノキサリレン(quinoxalylene)基、ベンゾイミダゾリレン(benzoimidazolylene)基、ピラゾリレン(pyrazolylene)基、ジベンゾフラニレン(dibenzofuranylene)基、およびジベンゾチエニレン(dibenzothienylene)基などを挙げることができる。L1の好ましい具体例としては、単結合、フェニレン(phenylene)基、ビフェニレン(biphenylene)基、ターフェニレン(terphenylene)基、フルオレニレン(fluorenylene)基、カルバゾリレンcarbazolylene)基、およびジベンゾフラニレン(dibenzofuranylene)基を挙げることができる。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物2−1〜2−16を例示することができる。ただし、一般式(2)で表される化合物は、以下の化合物2−1〜2−16に限定されるわけではない。
中間正孔輸送材料層133は、中間正孔輸送材料として、上記の一般式(2)で表される化合物を含むことにより、正孔輸送特性を向上させることができる。これにより、有機電界発光素子100の発光寿命を向上させることができる。
なお、一般式(2)で表される化合物は、陽極側正孔輸送材料として、陽極側正孔輸送層131に含まれていてもよい。陽極側正孔輸送層131が一般式(2)で表される化合物を含む場合、正孔輸送特性を向上させることができる。これにより、有機電界発光素子100の発光寿命がより向上するため、好ましい。
(1−4−3.発光層側正孔輸送層の構成)
発光層側正孔輸送層135は、下記の一般式(1)で表される化合物を含む。発光層側正孔輸送層135は、例えば、中間正孔輸送材料層133上に発光層140と隣接するように形成される。
発光層側正孔輸送層135は、発光層側正孔輸送材料として、上記の一般式(1)で表される化合物を含むことにより、発光層140にて消費されなかった電子から正孔輸送層130を保護することができる。また、発光層側正孔輸送層135は、上記の一般式(1)で表される化合物を含むことにより、発光層140で発生した励起状態のエネルギー(energy)が正孔輸送層130に拡散することを防止することができる。したがって、上記構成によれば、発光層側正孔輸送層135は、正孔輸送層130の通電耐久性を向上させることができる。
発光層側正孔輸送層135は、より効果的に発光層140からの電子やエネルギーの拡散を防止するためには、発光層140の近傍に形成されることが好ましく、発光層140に隣接して形成されることがより好ましい。
また、発光層側正孔輸送層135は、上記の一般式(1)で表される化合物を含むことにより、有機電界発光素子100全体の電荷バランス(balance)を整え、陽極側正孔輸送層131にドープされた電子受容性材料が発光層140に拡散することを抑制することができる。これにより、発光層側正孔輸送層135は、正孔輸送層130全体の電荷輸送特性を向上させることができる。
したがって、発光層側正孔輸送層135は、上記の一般式(1)で表される化合物を含むことにより正孔輸送層130の電荷輸送性および通電耐久性を向上させることができる。これにより、発光層側正孔輸送層135は、有機電界発光素子100の発光寿命を向上させることができる。
(1−5.発光層の構成)
発光層140は、蛍光やりん光等によって光を発する層であり、例えば、ホスト(host)材料、および発光材料であるドーパント(dopant)材料等を含む。発光層140は、例えば、正孔輸送層130上に約10nm〜約60nmの膜厚で形成される。
発光層140に含まれるホスト材料およびドーパント材料としては、公知のホスト材料およびドーパント材料を使用することが可能である。例えば、発光層140は、フルオランテン(fluoranthene)誘導体、スチレン(styrene)誘導体、ピレン(pyrene)誘導体、アリールアセチレン(arylacetylene)誘導体、フルオレン(fluorene)誘導体、ペリレン(perylene)誘導体、クリセン(chrysene)誘導体、またはアントラセン(anthracene)誘導体等をホスト材料またはドーパント材料として含んでもよい。
ただし、発光層140は、一重項励起状態を経て発光する発光材料を含むことが好ましく、具体的には、下記の一般式(3)で表される化合物を含むことがより好ましい。
上記一般式(3)において、
Ar
5は、互いに独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1以上50以下のアルキル(alkyl)基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3以上50以下のシクロアルキル(cycloalkyl)基、置換もしくは無置換の炭素数1以上50以下のアルコキシ(alkoxy)基、置換もしくは無置換の炭素数7以上50以下のアラルキル(aralkyl)基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリールオキシ(aryloxy)基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリールチオ(arylthio)基、置換もしくは無置換の炭素数2以上50以下のアルコキシカルボニル(alkoxycarbonyl)基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール(aryl)基、置換もしくは無置換の環形成原子数5以上50以下のヘテロアリール(heteroaryl)基、置換もしくは無置換のシリル(silyl)基、カルボキシ(carboxy)基、ハロゲン(halogen)原子、シアノ(cyano)基、ニトロ(nitro)基、またはヒドロキシ(hydroxy)基であり、
nは、1以上10以下の整数である。
また、一般式(3)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物3−1〜3−12を例示することができる。ただし、一般式(3)で表される化合物が以下の化合物3−1〜3−12に限定されるわけではない。
発光層140が一般式(3)で表される化合物を含む場合、正孔輸送層130は、より顕著に正孔注入特性を向上させることができる。そのため、発光層140が一般式(3)で表される化合物を含む場合、有機電界発光素子100の発光特性をさらに向上させることができる。
なお、発光層140は、一般式(3)で表される化合物をホスト材料として含んでもよく、ドーパント材料として含んでもよい。
また、発光層140は、上述した以外にも、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(tris(8−quinolinolato)aluminum:Alq3)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(4,4’−bis(carbazol−9−ylbiphenyl:CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(4,4’−bis(9−carbazole)−2,2’−dimethyl−biphenyl:dmCBP)、ポリ(n−ビニルカルバゾール)(poly(n−vinylcarbazole):PVK)、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N−carbazolyl)triphenylamine:TCTA)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(1,3,5−tris(N−phenylbenzimidazol−2−yl)benzene:TPBI)、3−t−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(3−t−butyl−9,10−di(naphth−2−yl)anthracene:TBADN)、ジスチリルアリーレン(distyrylarylene:DSA)、ビス(2,2−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル(bis(2,2−diphenyl−vinyl)−1,1’−biphenyl:DPVBi)、1,4−ビス[2−(3−N−エチルカルバゾリル)ビニル]ベンゼン(1,4−bis[2−(3−N−ethylcarbazoryl)vinyl]benzene:BCzVB)、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン(4−(di−p−tolylamino)−4’−[(di−p−tolylamino)styryl]stilbene:DPAVB)、N−(4−((E)−2−(6−((E)−4−(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン−2−イル)ビニル)フェニル)−N−フェニルベンゼンアミン(N−(4−((E)−2−(6−((E)−4−(diphenylamino)styryl)naphthalen−2−yl)vinyl)phenyl)−N−phenylbenzenamine:N−BDAVBi)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(2,5,8,11−tetra−t−butylperylene:TBPe)、1,1−ジピレン(1,1−dipyrene)、1,4−ジピレニルベンゼン(1,4−dipyrenylbenzene)、1,4−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)ピレン(1,4−bis(N,N−diphenylamino)pyrene)などをホスト材料またはドーパント材料として含んでもよい。
また、発光層140は、特定の色の光を発する層として形成されてもよい。例えば、発光層140は、赤色発光層、緑色発光層、または青色発光層として形成されてもよい。
発光層140が青色発光層である場合、公知の青色ドーパントを使用することができる。例えば、青色ドーパントとして、ペリレン(perlene)誘導体、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジネート]ピコリネートイリジウム(III)(bis[2−(4,6−difluorophenyl)pyridinate]picolinateiridium:FIrpic)等のイリジウム(Ir)錯体などを使用することができる。
また、発光層140が赤色発光層である場合、公知の赤色ドーパントを使用することができる。例えば、赤色ドーパントとして、ルブレン(rubrene)誘導体、4−ジシアノメチレン−2−(p−ジメチルアミノスチリル)−6−メチル−4H−ピラン(4−dicyanomethylene−2−(p−dimethylaminostyryl)−6−methyl−4H−pyran:DCM)、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(bis(1−phenylisoquinoline)(acetylacetonate)iridium(III):Ir(piq)2(acac))等のイリジウム(Ir)錯体、オスミウム(Os)錯体、および白金錯体などを使用することができる。
さらに、発光層140が緑色発光層である場合、公知の緑色ドーパントを使用することができる。例えば、クマリン(coumarin)誘導体、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(tris(2−phenylpyridine)iridium(III):Ir(ppy)3)等のイリジウム(Ir)錯体などを使用することができる。
(1−6.電子輸送層の構成)
電子輸送層150は、電子輸送材料を含み、電子を輸送する機能を有する層である。電子輸送層150は、例えば、発光層140上に約15nm〜約50nmの膜厚にて形成される。電子輸送層150に含まれる電子輸送材料は、公知の電子輸送材料を使用することが可能である。公知の電子輸送材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(tris(8−quinolinato)aluminium:Alq3)、および含窒素芳香環を有する化合物等を挙げることができる。含窒素芳香環を有する化合物の具体例としては、例えば、1,3,5−トリ[(3−ピリジル)−フェン−3−イル]ベンゼン(1,3,5−tri[(3−pyridyl)−phen−3−yl]benzene)のようなピリジン(pyridine)環を含む化合物、2,4,6−トリス(3’−(ピリジン−3−イル)ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジン(2,4,6−tris(3’−(pyridin−3−yl)biphenyl−3−yl)−1,3,5−triazine)のようなトリアジン(triazine)環を含む化合物、2−(4−(N−フェニルベンゾイニダゾリル−1−イル−フェニル)−9,10−ジナフチルアントラセン(2−(4−(N−phenylbenzoimidazolyl−1−yl−phenyl)−9,10−dinaphthylanthracene)のようなイミダゾール(imidazole)環を含む化合物等を挙げることができる。
(1−7.電子注入層の構成)
電子注入層160は、第2電極170からの電子の注入を容易にする機能を備えた層である。電子注入層160は、例えば、電子輸送層150上に約0.3nm〜約9nmの膜厚にて形成されてもよい。また、電子注入層160は、電子注入層160を形成する材料として公知の材料であれば、いずれを使用して形成されてもよい。電子注入層160を形成する材料の具体例としては、(8−キノリノラト)リチウム((8−quinolinato)lithium:Liq)、フッ化リチウム(LiF)、塩化ナトリウム(NaCl)、フッ化セシウム(CsF)、酸化リチウム(Li2O)、および酸化バリウム(BaO)等を挙げることができる。
(1−8.第2電極の構成)
第2電極170は、例えば、陰極であり、蒸着法またはスパッタリング法などを用いて電子注入層160上に形成される。具体的には、第2電極170は、金属、合金、または導電性化合物等のうち仕事関数が小さいものによって形成される。第2電極170は、例えば、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)等の金属、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)等の合金で反射型電極として形成されてもよい。また、第2電極170は、上記金属材料を20nm以下の薄膜、酸化インジウムスズ(ITO)および酸化インジウム亜鉛(In2O3−ZnO)などの透明導電性膜によって透過型電極として形成されてもよい。
(1−9.有機電界発光素子の変形例)
なお、図1で示した有機電界発光素子100の構造は、あくまでも一例であって、本実施形態に係る有機電界発光素子100が図1の構造に限定されるものではない。本実施形態に係る有機電界発光素子100は、少なくとも1つ以上の層がさらに複数層で形成されてもよく、他の層が追加されていてもよい。
また、本実施形態に係る有機電界発光素子100は、第1電極120と正孔輸送層130との間に正孔注入層を備えていてもよい。
正孔注入層は、第1電極120からの正孔の注入を容易にする機能を有する層である。正孔注入層は、例えば、第1電極120上に約10nm〜約150nmの膜厚にて形成されてもよい。正孔注入層は、正孔注入層を形成する材料として公知の材料であれば、いずれを使用して形成されてもよい。正孔注入層を形成する材料の具体例としては、トリフェニルアミン含有ポリエーテルケトン(poly(ether ketone)−containg triphenylamine:TPAPEK)、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(4−isopropyl−4’−methyldiphenyliodonium tetrakis(pentafluorophenyl)borate:PPBI)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−[4−(フェニル−m−トリル−アミノ)−フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン(N,N’−diphenyl−N,N’−bis−[4−(phenyl−m−tolyl−amino)−phenyl]−biphenyl−4,4’−diamine:DNTPD)、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(3−methylphenylphenylamino)triphenylamine:m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(N,N’−di(1−naphthyl)−N,N’−diphenylbenzidine:NPB)、4,4’,4”−トリス(ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(diphenylamino)triphenylamine:TDATA)、4,4’,4”−トリス(N,N−2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”−tris(N,N−2−naphthylphenylamino)triphenylamine:2−TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(polyaniline/dodecylbenzenesulphonic acid)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(poly(3,4−ethylenedioxythiophene)/poly(4−styrenesulfonate))、およびポリアニリン/10−カンファースルホン酸(polyaniline/10−camphorsulfonic acid)等を挙げることができる。
(1−10.有機電界発光素子の作製方法)
以上にて説明した、本実施形態に係る有機電界発光素子100の各層は、材料に応じて、真空蒸着法、スパッタリング法、各種塗布法などの適切な成膜方法にて形成することができる。
例えば、第1電極120、第2電極170、および電子注入層160などの金属層は、電子ビーム蒸着(electron beam evaporation)法、熱フィラメント蒸着(hot filament evaporation)法および真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、または電気めっき法および無電解めっき法などのめっき法により形成することができる。
また、正孔輸送層130、発光層140、および電子輸送層150などの有機層は、例えば、真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法)、スクリーン印刷(screen printing)法およびインクジェット(ink jet)印刷法といった印刷法、レーザ(laser)転写法、およびスピンコート(spin coat)法等の塗布法などにより形成することができる。
以上にて、本実施形態に係る有機電界発光素子100の一例について詳細に説明した。
<2.実施例>
以下では、実施例および比較例を参照しながら、本実施形態に係る有機電界発光素子について具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、あくまでも一例であって、本実施形態に係る有機電界発光素子が下記の例に限定されるものではない。
(2−1.一般式(1)で表される化合物の合成)
まず、一般式(1)で表される化合物の合成方法について具体的に説明する。なお、以下に述べる合成方法はあくまでも一例であって、一般式(1)で表される化合物の合成方法が下記の例に限定されるものではない。
以下の反応式1に従って、一般式(1)で表される化合物を合成した。
2,7−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)トリフェニレン(2,7−bis(trifluoromethanesulfonyloxy)triphenylene)(9.46g、18.0mmol)、9−フェニルカルバゾール−3−ボロン酸(9−phenylcarbazol−3−boronic acid)(10.9g、37.9mmol)のトルエン(toluene)懸濁液(200mL)に、2M炭酸ナトリウム(sodium carbonate:Na2CO3)水溶液(50mL)およびエタノール(ethanol:EtOH)(10mL)を加えて脱気した。アルゴン(argon)雰囲気下で、脱気した混合液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0):Pd(PPh3)4)(2.09g、1.80mmol)を加え、8時間撹拌しながら還流加熱を行った。反応後得られた沈殿物を水、トルエンで順次洗浄した後、熱ピリジン(pyridine)溶媒に溶かして活性炭処理した。得られたピリジン溶液から結晶化を行い、目的物である2,7−ビス(カルバゾール−3−イル)トリフェニレン(2,7−bis(carbazol−3−yl)triphenylene)(6.90g、53%)を淡黄色粉末として得た。なお、生成物は、FAB−MSで分子のイオンピーク(ion peak)(質量数710)を確認することによって同定した。
(2−2.有機電界発光素子の作製)
続いて、以下の作製方法により、本実施形態に係る有機電界発光素子を作製した。
まず、あらかじめパターニング(patterning)して洗浄処理を施したITO−ガラス基板に、紫外線オゾン(ozone:O3)による表面処理を行った。なお、ガラス基板におけるITO膜(第1電極)の膜厚は、150nmとした。オゾン処理後、表面処理済の基板を有機層成膜用蒸着機装置に投入し、10−4〜10−5Paの真空度にて、順に、陽極側正孔輸送層、中間正孔輸送材料層、発光層側正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を蒸着した。陽極側正孔輸送層、中間正孔輸送材料層、および発光層側正孔輸送層の膜厚はそれぞれ10nmとした。また、発光層および電子輸送層の膜厚は、それぞれ25nmとした。続いて、基板を金属成膜用蒸着装置に移し、10−4〜10−5Paの真空度にて電子注入層、および第2電極を蒸着した。電子注入層の膜厚は1nmとし、第2電極の膜厚は100nmとした。
ここで、陽極側正孔輸送層、中間正孔輸送材料層、および発光層側正孔輸送層が、多層構造の正孔輸送層に相当する。陽極側正孔輸送層、中間正孔輸送材料層、および発光層側正孔輸送層は、実施例および比較例ごとに、それぞれ以下の表1に示した材料を用いて作製した。
なお、表1において、例えば「化合物2−1,化合物4−15」との記載は、陽極側正孔輸送材料が化合物2−1であり、ドープされた電子受容性材料が化合物4−15であることを意味する。また、電子受容性材料のドープ量は、陽極側正孔輸送材料の質量に対して3質量%とした。
また、表1において、化合物1は、上記で合成方法を示した2,7−ビス(カルバゾール−3−イル)トリフェニレンを表す。化合物4−15、4−16は、以下の化学式で表される電子受容性材料を意味し、化合物6−1、6−2、6−3は、以下の化学式で表される正孔輸送材料を意味する。
また、発光層のホスト材料としては、以下で化学式を示す9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(9,10−di(2−naphthyl)anthracene:ADN)(化合物3−2)を用い、ドーパント材料としては、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(2,5,8,11−tetra−t−butylperylene:TBP)を用いた。なお、ドーパント材料は、ホスト材料の質量に対して3質量%添加した。さらに、電子輸送層は、Alq3にて形成し、電子注入層は、LiFにて形成し、第2電極は、アルミニウム(Al)にて形成した。
(2−3.評価結果)
次に、作製した有機電界発光素子の駆動電圧、発光効率および発光寿命を評価した。評価結果を以下の表1に示す。なお、各実施例および比較例の駆動電圧、および発光効率は、10mA/cm2の電流密度における測定値である。また、発光効率および発光寿命は、比較例1における測定値を1としたときの相対値として示す。
また、測定は、Keithley Instruments社製2400シリーズのソースメーター(source meter)、色彩輝度計CS−200(株式会社コニカミノルタホールディングス(Konica Minolta Holdings)製、測定角1°)、測定用PCプログラムLabVIEW8.2(株式会社日本ナショナルインスツルメンツ(National Instruments)製)を使用して暗室内で行った。
表1の結果を参照すると、実施例1〜8は、比較例1〜5に対して、ほぼ同等以上の発光効率を有し、かつ発光寿命が向上していることがわかった。したがって、第1電極と発光層との間に、陽極側正孔輸送層、中間正孔輸送材料層、および発光層側正孔輸送層を設けることによって、有機電界発光素子の発光寿命を向上させることができることが確認できた。
具体的には、実施例1〜8と、比較例1とを比較すると、実施例1〜8の特性の方が良好であった。比較例1では、陽極側正孔輸送層に電子受容性材料(化合物4−15、4−16)がドープされていない。したがって、陽極側正孔輸送層には、電子受容性材料がドープされている必要があることがわかる。
実施例1と、比較例2とを比較すると、実施例1の特性の方が良好であった。また、実施例5と、比較例4とを比較すると、実施例5の特性の方が良好であった。比較例2では、中間正孔輸送材料層と発光層側正孔輸送層とに含まれる化合物が、実施例1に対して入れ替わっており、比較例4では、中間正孔輸送材料層と発光層側正孔輸送層とに含まれる化合物が、実施例5に対して入れ替わっている。したがって、一般式(1)で表される化合物を含む発光層側正孔輸送層は、発光層に隣接する必要があることがわかる。
また、実施例1〜8と、比較例3および5とを比較すると、実施例1〜8の特性の方が良好であった。比較例3および5では、発光層側正孔輸送層に一般式(1)で表される化合物1ではなく、一般式(2)で表される正孔輸送材料2−1が用いられている。したがって、発光層側正孔輸送層は、一般式(1)で表される化合物を含む必要があることがわかる。
以上にて説明したように、本実施形態によれば、第1電極(陽極)と発光層との間に、電子受容性材料がドープされた陽極側正孔輸送層、中間正孔輸送材料層、および一般式(1)で表される化合物を含む発光層側正孔輸送層が積層されて設けられるため、有機電界発光素子の発光寿命を向上させることができる。
これは、一般式(1)で表される化合物を含む発光層側正孔輸送層を配置することにより、発光層側正孔輸送層が、発光層で消費されなかった電子から正孔輸送層を保護するためであると考えられる。また、発光層側正孔輸送層が、発光層で発生した励起状態のエネルギーの正孔輸送層への拡散を防止し、かつ素子全体のチャージバランス(charge balance)を整えるためであると考えられる。さらに、一般式(1)で表される化合物を含む発光層側正孔輸送層を配置することにより、発光層側正孔輸送層が第1電極(陽極)付近に設けた陽極側正孔輸送層に含まれる電子受容性材料の発光層への拡散を抑制するためであると考えられる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。