JP2017009418A - 偏波解析装置、及び偏波解析方法 - Google Patents

偏波解析装置、及び偏波解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 計測可能な電磁波の周波数帯域を広げ、偏波の状態を簡単かつ高精度に検出する。【解決手段】 z−カットの六方晶、z−カットの三方晶、または(111)面の閃亜鉛鉱型結晶を角速度ωで回転し、前記回転する結晶にプローブ光と楕円偏光した電磁波を同期して入射し、結晶を透過したプローブ光を検出して、S(τ)=f(Ω)[A'1(Ω)cos(θ(Ω)−3φ)+iB'1(Ω)sin(θ(Ω)−3φ)]exp(−iΩτ)に基づいて周波数解析することで前記電磁波の楕円率と旋光角を求める。ここで、Ωは前記電磁波の角周波数、A'1は電磁波の電場ベクトルの軌跡を表わす楕円の長軸方向の長さ、B'1は前記楕円の短軸方向の長さ、θは前記プローブ光の偏光方向に対する前記長軸方向の角度、φは前記プローブ光の偏光方向に対する前記非線形光学結晶のa軸の角度、τは前記プローブ光と前記電磁波の相対遅延、f(Ω)は前記非線形光学結晶の複素屈折率の関数である。【選択図】図1

Description

本発明は、非線形光学結晶を用いた偏波解析測定に関する。
近年の超短パルスレーザ技術の進歩により、これまで技術的に難しかったテラヘルツ周波数帯から中赤外周波数帯域の光(電磁波)の発生と検出が可能になってきた。テラヘルツ波は、一般に1THz(波長300μm)前後の光をいう。テラヘルツ波の発生、検出には、非線形光学結晶を用いる。非線型光学結晶として、GaPやZnTeなどの閃亜鉛構造の結晶を用いることが多い。
角速度ωで回転する閃亜鉛鉱型の電気光学結晶の(110)面に、テラヘルツ波パルスとプローブ光を同期させて照射し、検出されたプローブ光から特定の角周波数成分を取り出すことで、テラヘルツ波の大きさと偏光方向を同時に測定する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この方法によると、入射テラヘルツ波に対して電気光学結晶を相対的に回転させることで、特定の角周波数成分から偏波方向と電波の大きさを簡便に特定することができる。
また、(110)面の閃亜鉛鉱型の電気光学結晶を用いて、特許文献1で提案されている検出信号式から楕円偏光のテラヘルツ波の楕円率と旋光角を求める手法が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
一方で、非線形光学結晶として、GaSe等の六方晶を用いることもある。とりわけ、GaSe結晶は広帯域のパルス検出に有利であることが知られており(たとえば、非特許文献2参照)、テラヘルツ周波数帯域から中赤外周波数帯域の光の発生・検出に利用されている。閃亜鉛鉱型結晶を用いる場合は特定の周波数領域の分析に限られるが、GaSe結晶を用いることで、計測する周波数帯域幅を広げることができる。
特許文献1の方法では、検出用の非線形光学結晶は(110)面の閃亜鉛鉱型結晶に限られているが、テラヘルツ帯の電磁波の検出には、GaSe等の六方晶やニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の三方晶も利用されている。GaSe結晶は、周波数の高い中赤外領域の電磁波の検出にも頻繁に利用される。LiNbO3は非線形光学定数が大きく、中赤外からテラヘルツ帯の電磁波の発生および検出に用いることができる。さらに結晶面が<111>方向に配向した閃亜鉛鉱型結晶も、任意の波形のテラヘルツ光の発生と検出に有用である。
国際公開WO2013/077097号明細書
K. Oguchi, N. Yasumatsu, and S. Watanabe, "Polarization detection of terahertz radiation via the electro-optic effect using zinc blende crystal symmetry," Journal of the Optical Society of America B Vol. 31, 3170-3180 (2014) K. Liu, J.Z. Xu, and X.C. Zhang, "GaSe crystals for broadband terahertz wave detection," Appl. Phys. Lett. Vol. 85, Number 6, pp. 863 (2004)
特許文献1の手法をGaSe等の六方晶やLiNbO3等の三方晶、あるいは(111)面の閃亜鉛鉱型結晶に適用することができれば、計測可能な電磁波の周波数帯域が大きく広がり、汎用性を広げることができる。しかしながら、六方晶のGaSe結晶や三方晶のLiNbO3結晶は閃亜鉛鉱型結晶と結晶構造が異なるため、電気光学結晶の回転を利用した偏光計測を行うには、新しい数式の定式化と実証実験が必要となる。また、同じ閃亜鉛鉱型の結晶でも、結晶を切断する面の方向によってその性質が異なるため、別の定式化が必要である。
そこで、計測可能な電磁波の周波数帯域を広げた偏波解析の手法と構成を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、電磁波検出用の非線形光学結晶として、z−カットの六方晶、z−カットの三方晶、または(111)面の閃亜鉛鉱型結晶を用い、入射電磁波に対して相対的に角速度ωで回転する非線形光学結晶を透過したプローブ信号から、偏光電磁波の楕円率eと旋光角θを求める。
具体的には、発明の一つの側面で提供される偏波解析装置は、
電気光学効果を有する非線形光学結晶を角速度ωで回転させる回転機構と、
回転する前記非線形光学結晶に楕円偏光した電磁波を導く第1光学系と、
前記電磁波の前記非線形光学結晶への入射と同期して、プローブ光を前記非線形光学結晶に入射する第2光学系と、
前記非線形光学結晶を透過したプローブ光を検出信号として検出する検出器と、
前記検出信号を、
S(τ)=f(Ω)[A'1(Ω)cos(θ(Ω)−3φ)
+iB'1(Ω)sin(θ(Ω)−3φ)]exp(−iΩτ)
の解析式で解析して、前記電磁波の楕円率と旋光角を求める解析部、
とを有し、
前記解析式中のΩは前記電磁波の角周波数、A'1は前記電磁波の電場ベクトルの軌跡を表わす楕円の長軸方向の長さ、B'1は前記楕円の短軸方向の長さ、θは前記プローブ光の偏光方向に対する前記長軸方向の角度、φは前記プローブ光の偏光方向に対する前記非線形光学結晶のa軸の角度、τは前記プローブ光と前記電磁波の相対遅延、f(Ω)は前記非線形光学結晶の複素屈折率の関数であり、
前記非線形光学結晶は、z−カットの六方晶、z−カットの三方晶、または(111)面の閃亜鉛鉱型結晶であることを特徴とする。
広い周波数帯域で偏波の状態を簡単かつ高精度に検出することができる。
実施形態の偏波解析装置の概略構成図である。 実施形態で用いる角度の定義を示す図である。 閃亜鉛鉱型結晶とGaSe結晶の構造の相違を示す図である。 検証実験用の光学系の模式図である。 GaSeの結晶軸の定義を示す図である。 GaSe結晶と(111)面の閃亜鉛鉱型結晶の楕円率の測定結果を示す図である。 GaSe結晶と(111)面の閃亜鉛鉱型結晶の旋光角の測定結果を示す図である。 実施形態の手法の適用例を示す図である。 実施形態の手法の適用例を示す図である。
図1は、実施形態の偏波解析装置10の概略構成図である。実施形態では、電磁波検出用の非線形光学結晶13として、(110)面の閃亜鉛鉱型結晶以外の結晶を用いる。図1の例では、z-カットのGaSe結晶13を用いる。z-カットとは、結晶の切り出し面が(001)面の結晶である。六方晶の(001)面は4指数表示の(0001)面と等値であり、c軸に垂直な面である。GaSe結晶13を角速度ωで回転させ、楕円偏光の電磁波とプローブ光を同期してGaSe結晶に入射する。GaSe結晶13を透過するプローブ光信号を検出して周波数解析を行うことで、楕円偏向した電磁波の旋光角θと楕円率eを求め、電磁波の電場振幅と偏波の方向を同時に決定する。
偏波解析装置10は、電磁波を出力する光源11と、電磁波検出用のGaSe結晶13と、GaSe結晶13を角速度ωで回転させるモータ14と、電磁波をGaSe結晶13に導く光学系19aと、GaSe結晶13からの信号光を検出する検出器15と、検出された信号光を解析する解析部16を有する。
光源11は、電磁波発生用の非線形光学結晶12を用いる。図示しないパルス光源(レーザダイオード等)からのポンプ光を、偏光子P1を介して非線形光学結晶12に入射することで、中赤外からテラヘルツ帯の電磁波が生成される。非線形光学結晶12は、GaP、ZnTe等の閃亜鉛鉱型結晶でもよいし、GaSe等の六方晶でもよい。また有機非線形光学結晶(DAST:4-N,N-Dimethylamino-4'-methylstilbazolium tosylate)や、周期分極処理をしたニオブ酸リチウム(LiNbO3)を用いてもよい。また光伝導アンテナを用いた電磁波の生成でもよい。非線形光学結晶12の種類、パルス波長、非線形光学結晶12への入射角等を調整することで、中赤外からテラヘルツ帯にかけての所望の周波数の電磁波を生成することができる。実施形態では、光源11はたとえば波長4.3μm〜300μm(1THz〜70THz)の電磁波を出力するが、波長3μm〜3mmの電磁波を出力してもよい。
光源11から出力される電磁波は、光学系19aにより、角速度ωで回転する検出用のGaSe結晶13に導かれる。電磁波により物質の特性を測定する場合は、光学系19aの所定の位置Cに試料保持部が配置され、サンプルが挿入される。屈折率異方性のサンプルや、らせん構造などの鏡像異方性(キラリティ)のサンプルを透過することで、直線偏光の電磁波が楕円偏光になる。
GaSe結晶13への電磁波(ポンプ光)の入射と同期して、光学系19bにより、偏光子P2を通過したプローブ光をGaSe結晶13に入射する。プローブ光パルスは、別途プローブ光源を用いて生成してもよいし、光源11で用いられるパルス光源の出力光の一部を分岐して用いてもよい。
GaSe結晶13を透過したプローブ光は、信号光として検出器15で検出される。GaSe結晶13から出力されるプローブ光は、電磁波の照射によりGaSe結晶13に生じた屈折率変化を反映している。検出器15は、入射するプローブ光を図示しない1/4波長板で円偏光の光に変換し、プリズム等の光学素子で互いに直交する2つの偏波成分に分離して、その差分ΔI(t)を検出する。GaSe結晶13に楕円偏光の電磁波が印加されることで、GaSe結晶13の屈折率が変化し、屈折率が異方的な値をもつ(ポッケルス効果)。この屈折率の異方性により、検出器15で円偏光に変換されるプローブ光は、楕円偏光となる。楕円偏光では直交する2つの偏波成分の大きさ(強度)が異なるため、その差分ΔI(t)が検出される。
解析部16は、検出器15の出力から検出信号S(τ)を取得し、検出信号S(τ)の周波数解析を行ってGaSe結晶13に入射した電磁波の楕円率eと旋光角θを求める。GaSe結晶13内部の屈折率変化は、印加される電磁波の大きさ(電界の振幅)に依存するため、ΔI(t)から電磁波の強度と偏光方向を測定することができる。なお、τは遅延ステージによるプローブ光と電磁波の到着時間の相対差(相対遅延)である。
偏波解析装置10を物性測定に適用する場合は、解析部16の出力を物性判定部17に接続する。物性判定部17は、解析部16により求められた楕円率eと旋光角θの少なくとも一方に基づいて、試料の物性を判定する。物性測定への適用例については後述する。解析部16と物性判定部17を、パーソナルコンピュータ等のひとつのプロセッサ18で構成してもよい。
図2は、実施形態で用いる角度の定義を示す図である。プローブ光の偏光方向をx軸にとり、GaSe結晶13のa軸とx軸がなす角度をφとおく。また、計測対象である楕円偏光した電磁波の長軸方向とx軸のなす角(旋光角)をθとおく。電磁波の楕円率eを、電場ベクトルの楕円軌跡の長軸と短軸の比と定義する。計測で求めたいのは、楕円偏光した電磁波の旋光角θと楕円率eである。
発明者らは、z-カットの六方晶(GaSe等)、z-カットの三方晶(LiNbO3等)、及び(111)面の閃亜鉛鉱型結晶を用いる場合、検出信号Sと、θ、φの間に式(1)の関係が成り立つことを発見した。
Figure 2017009418

ここで、Ωは計測する楕円偏光の電磁波の角周波数、φは入射プローブ光の偏光方向に対する非線形光学結晶(この例ではGaSe結晶13)のa軸の角度である。GaSe結晶13は角速度ωで回転しているので、角度φはωtで変化する。
式(1)では、さまざまな周波数成分を含む電磁波を計測することを念頭におき、信号強度S(τ)を角周波数Ωの積分として表わしているが、単一の角周波数成分のみが含まれるものとして、積分を省略してもよい。図1では、積分を省略した形式の解析式を示している。τは計測対象の電磁波とプローブ光の間の結晶到達時間の差(相対遅延)を表わす。A'1とB'1は、楕円偏光の電磁波の電場ベクトルの軌跡をあらわす楕円の長軸方向と短軸方向の長さを表わす。したがって、A'1とB'1の比が計測できれば、楕円率eが決定できる。式(1)中のf(Ω)は、結晶の複素屈折率の関数である。関数f(Ω)については後述する。
GaSe結晶13を用いて電磁波を検出する場合に、式(1)のように新たな定式化が必要になるのは、(110)面の閃亜鉛鉱型結晶と、六方晶や三方晶との結晶構造の相違による。特許文献1では、図3(A)のような閃亜鉛鉱型結晶の(110)面を用いていたが、GaSe結晶13は、図3(B)に示す結晶構造を有する。結晶構造の違いにより、非線形光学定数のテンソル成分や結晶の性質が異なり、プローブ光の検出信号を記述する解析式が異なる。
図4は、式(1)の妥当性を検証する実験で用いる光学系20の模式図である。図1と重複する部分は簡略化して説明する。ポンプパルス光をZnTe結晶21に照射して生成された電磁波は、ミラー(放物面鏡でも良い)22,24により複屈折板25に導かれる。ミラー22とミラー24の間に配置されるSi(シリコン)板23により、不要なポンプパルス光を遮断できる。ポンプパルス光が直線偏光の場合ZnTe結晶で生成された電磁波は直線偏光である。Si板23と複屈折板25の間に偏光子を挿入して直線偏光にしても良い。複屈折板25を透過することで、直線偏光は楕円偏光に変換される。複屈折板25の厚さは、たとえば0.6THzで1/4波長板として働くように最適化されている。電磁波の偏光方向と複屈折板25の屈折率固有軸の角度が45度の場合、複屈折板25を通過することで、0.6THzの周波数成分は楕円偏光となる。
楕円偏光の電磁波は、ミラー26およびミラー27を介して、GaSe結晶29に入射する。楕円偏光の電磁波のGaSe結晶29への入射と同期して、ミラー28によりプローブパルスをGaSe結晶29へ入射する。
GaSe結晶29は、角速度ωで回転しているので、式(1)のφをφ=ωT+φ0と置き換える。ここで、Tは計測時間、φ0はT=0におけるφの値である。式(1)のφにωT+φ0を代入することで、実験で得られる信号は式(2)のように記述できる。なお、説明を簡単にするために、周波数成分の積分は省略する。
Figure 2017009418

S(τ、T)は、実験で時刻Tに得られるプローブ光の信号強度(電圧値)である。式(2)に相当するデータが取得されたなら、以下の数学的操作を行う。
まず、S(τ、T)にcos(3ωT)をかけて、時刻Tの積分を実行する。すなわち、S(τ、T)×cos(3ωT)のTについて、0から2π/ωまで積分する。この作業により、式(3)で表される値ξ1が得られる。
Figure 2017009418

ここで、Cは比例定数である。
次に、S(τ、T)にsin(3ωT)をかけて時刻Tの積分を実行する。すなわち、S(τ、T)×cos(3ωT)のTについて、0から2π/ωまで積分する。この作業により、式(4)で表される値ξ2が得られる。
Figure 2017009418

ここで、ξ1に対するξ2の比を式(5)の関数χと定義して、χを求める。
Figure 2017009418

χが求まったならば、式(6)と式(7)により、計測した楕円偏光電磁波の旋光角θと楕円率eを計算することができる。
Figure 2017009418

ここで、Re[χ]はχの実数部、Im[χ]はχの虚数部である。
T=0でのGaSe結晶29のa軸の向き、すなわち初期値φ0が既知であれば、実験値(信号Sの強度)から式(6)を用いて楕円偏光電磁波の旋光角θを得ることができる。楕円率eは式(7)から、φ0の値が既知であるかどうかに依らず決定することができる。
初期値φ0が既知でない場合、φ0を求めるために、たとえば以下の方法を用いることができる。
第1の手法として、あらかじめGaSe結晶29のa軸方向をX線回折等の方法を用いて決定する。エンコーダー付きの回転モーターにGaSe結晶29(または図1のGaSe結晶13)を取り付ける際に、a軸の方向と、エンコーダーが0°の読みとなる角度を合わせる。この作業を行うことで、実際の計測ではφ0=0として解析することができる。
第2の手法は、特許文献1の方法を一部利用する。閃亜鉛鉱型結晶の(110)面を用いた結晶回転法では、式(2)と異なり、検出信号にωTと3ωTの2つの角周波数成分が現れる。2つの角周波数成分(正弦波)の位相を解析することで、φ0の値を決定することができる。したがって、初めにたとえば(110)面のZnTe結晶を回転させて特許文献1の方法でφ0の値を決定し、計測したい電磁波の旋光角θ、すなわち偏波の方向を求める。次に、回転モーターから(110)面のZnTe結晶を取り外し、z−カットのGaSe結晶を取り付けて信号Sを取得する。式(2)〜(6)Sから(θ−3φ0)の値を決定する。ここで旋光角θは既知となっているから、計測で導かれた角度(θ−3φ0)から、φ0の値を求めることができる。
このように、検出器15で検出された信号S(τ、T)の周波数成分(3ω)を解析することで、楕円偏光した電磁波の電場ベクトルの楕円率eと旋光角θを決定することができる。これにより、入射電磁波の大きさと偏光方向を同時に計測することができる。
実施形態の効果を検証するために、図1の装置を組み立て、複数のファンクションジェネレータ(不図示)を同期させ、中空モーター(テクノハンズ株式会社製、型番HM0835E)を用いて、GaSe結晶13を正確に80Hzで回転させる。検出器15(図1参照)で検出される信号Sの周波数解析を行ったところ、検出信号Sから3ω(240Hz)で振動する成分を抽出することができる。上述の楕円率eと旋光角θの解析によって電場の大きさとその偏波方向を特定することができる。なお、GaSe結晶13の回転周波数は80Hz以外の周波数でもよい。
<関係式の導出>
次に、検出される電気光学信号、すなわち式(2)の導出手順を説明する。まず、座標系(x,y,z)と座標系(X,Y,Z)を、式(8)と式(9)で定義する。
Figure 2017009418

図5は、式(8)の説明に用いる結晶軸の定義を示す。GaSe等の六方晶は底面が正六角形の結晶構造を持つので、一般に、底面の正六角形内にベクトルaとベクトルbをとる。ベクトルaとベクトルbを含む面と垂直な方向(高さ方向)にベクトルcをとる。非線形光学の計算で用いる座標系はデカルト座標系(直交座標系)が一般的であるため、ベクトルaと同じ面内でベクトルaと直交する軸を決定する。ベクトルaの向きをx方向とすると、これに直交する向きをy方向とする。y方向は、ベクトルcとベクトルaのベクトル積(外積)で表される、ベクトル(c×a)で表記される。
次に、式(9)の説明をする。Z方向は、結晶に印加される電場(テラヘルツ電場あるいは中赤外電場)とプローブ光の進行方向を示す。実施形態で用いる結晶はz−カット、すなわちc軸に対して垂直に切った結晶なので、進行方向Zはベクトルzと平行である。
X方向は、非線形光学結晶(ここではGaSe結晶とする)に入射する前の直線偏光のプローブ光の電波の方向である。角度φは、図2を参照して説明したように、プローブ光電場の方向とGaSe結晶のa軸とのなす角度と定義する。Y方向は、X方向とZ方向の双方と直交する方向である。
次に、入射電磁波(ポンプ光)の電場E1(Z,t)とプローブ光の電場E2(Z,t)を、それぞれ式(10)と式(11)で定義する。
Figure 2017009418

式(10)における角度θ(Ω)は、図2を参照して説明したように、角周波数Ωで偏波面が回転する楕円偏の光電磁波の電場の長軸方向とX方向がなす角である。角度θ(Ω)が求めたい旋光角θに相当する。A'1(Ω)は長軸方向の電場振幅、B'1(Ω)は短軸方向の電場振幅である。式(11)におけるω2は、プローブ光の角周波数である。
次に、式(10)、(11)で定義した電場を用いて非線形光学結晶(この例ではGaSe結晶13)中で発生する角周波数ω3=ω2±Ωの非線形分極を求める。非線形光学テンソル計算を行うために、座標系(x,y,z)に座標変換を行う。座標変換により、式(10)と式(11)は、それぞれ式(12)と式(13)で記述される。
Figure 2017009418

ここでは、E1(Z,t)、E2(Z,t)などの具体的な値と詳細な計算手順は省略する。式(12)、(13)を用いて、GaSe結晶13中で発生する角周波数ω3=ω2±Ωの非線形分極は、式(14)で記述される。
Figure 2017009418

非線形光学定数dijは定数ではなく、角周波数数ω3、ω2、Ωの関数であるが、式(14)ではすべてのテンソル成分に変数(ω3;Ω,ω3−Ω)を付けると煩雑になるので、省略している。点群
Figure 2017009418

に属するGaSe結晶13では、式(14)中の3×6=18個のテンソル成分のうち、15個がゼロになり、残りの3個は式(15)のようになる。
Figure 2017009418

なお、点群の6(バー)は6回回反を表わし、mは鏡映を表わす。
式(15)を式(14)に代入すると、式(16)になる。
Figure 2017009418

今後は、周波数依存性を含めて、d16=d(ω3;Ω,ω3−Ω)と記述する。座標系(x,y,z)で表現されている式(16)を、座標系(X,Y,Z)を用いて表現する。計算を進めると、式(17)となる。
Figure 2017009418

ここで、P3X(ω3;Ω,ω3−Ω)とP3Y(ω3;Ω,ω3−Ω)は、それぞれ式(18)と式(19)で表される。
Figure 2017009418

非線形分極P3(Z,t)を求めたら、次に非線形光学結晶(GaSe)の中で発生する電場E3(Z,t)を計算する。まず、電場E3(Z,t)を式(20)で定義する。
Figure 2017009418

ここからは、結晶中において電磁波(角周波数Ω)とプローブ光(角周波数ω2)の伝搬速度が異なり、結晶内で光の吸収があるという一般的な場合について計算を進める。
結晶中でのMaxwell方程式
Figure 2017009418

を解くと、式(21)が得られる。
Figure 2017009418

電場の添え字Iは、XまたはYである(I=X or Y)。式(21)のlは非線形光学結晶の厚さである。また、式(21)中の
Figure 2017009418

は、結晶中の電磁波とプローブ光の複素波数の差であり、
Figure 2017009418

と表すことができる。ここでは、波長(周波数)の異なるプローブ光と電磁波の結晶中の進行速度の違いが考慮されている。換言すると、GaSe結晶13のプローブ光に対する屈折率と電磁波に対する屈折率の差が考慮されている。したがって、位相整合条件がそろわない場合でも、正しく解析することができる。また、kR(ω3)は複素波数kハット(ω3)の実数部(real part)である。これで結晶中に発生する電場E3が得られる。非線形光学結晶の通過後(l=Z)は、トータルの電場
Figure 2017009418

が空気中を伝搬していく。このうち、電磁波の電場E1は、近赤外から離れており検出器15で検知できないと仮定して、以降はE1を無視する。上述のように、検出器15で1/4波長板を通し、ウォラストンプリズム(WP)等の光学素子で電場を互いに直交する2つの成分に分離し、バランス検出法で差分信号ΔIを検出する。1/4波長板通過後の電場
Figure 2017009418

を式(22)で定義する。
Figure 2017009418

式(22)において、expの項を含む3×3の行列は、1/4波長板による位相付加を表わす。sign(ω3)は、角周波数ω3の成分と角周波数−ω3の成分が1/4波長板通過後も複素共役になるために付けている。すなわち、複素共役になることで、すべての周波数成分を合成した電場の時間波形が実数になるようにしている。計算を進めると、式(23)、(24)となる。
Figure 2017009418

これらの2つの直交する電場成分をウォラストンプリズムで分離し、バランス検出器で差分信号
Figure 2017009418

を求める。この差分信号は、式(25)のように変形することができる。
Figure 2017009418

式(25)の最終変形では、
Figure 2017009418

を無視している。これは、
Figure 2017009418

であるため、
Figure 2017009418

は2次の微小量であり無視できるからである。式(25)に式(21)を代入し、式(19)のP3Y(Ω,ω3−Ω)を用いると、式(26)が得られる。
Figure 2017009418

遅延ステージによる相対遅延exp(−iΩτ)の項を加えて差分信号S(τ)を求めると、式(27)が得られる。
Figure 2017009418

ここで、f(Ω)は、式(28)で表される。
Figure 2017009418

発生した和周波(SFG)と差周波(DFG)の電場強度はもともとのプローブ光の強度と比べて非常に小さいので、
Figure 2017009418

の項は無視している。
実験では、GaSe結晶13を回転モーター14に取り付けて回転させる。このとき、φ=ωT+φ0の関係にしたがって、GaSe結晶13の方位が時々刻々と変化する。したがって、式(27)は式(29)で表すことができる。
Figure 2017009418

式(29)は、式(2)と等価である。測定実験で信号S(τ)を検出て、式(29)から角周波数成分3ωの周波数解析を行うことで、係数であるf(Ω)A'1、f(Ω)B'1、および[θ(Ω)−3φ0]を決定することができる。
式(29)、すなわち式(2)を用いれば、不定角度φ0を除いて、測定対象である電磁波のベクトル時間波形を復元することができる。なお、未知の係数f(Ω)については、式(2)の被積分項の共通因子としてくくり出すことができる。その結果、調べたい周波数の電磁波の楕円率eと旋光角θを決定するだけならば、f(Ω)の値を知らなくても解析を行うことができる。なぜならば、f(Ω)の値は計測によって得られる楕円偏光電磁波の「振幅」だけに関係する量であり、楕円率eと旋光角θを解析するには、A'1(Ω)/B'1(Ω)のみ分かっていればよいからである。
今回の計測では、f(Ω)A'1とf(Ω)B'1の関数を実験的に導き出すことができるので、両者の割り算を行えば、共通因子であるf(Ω)を約分することができ、その結果、A'1(Ω)/B'1(Ω)の値を導き出すことができる。また、不定係数φ0は、上述した第1の手法または第2の手法で決定できる。
この解析は、z−カットのLiNbO3結晶を用いる場合も同様に当てはめることができる。同じ鏡映するLiNbO3結晶の場合、式(15)に相当する非線形光学定数は、
Figure 2017009418

となる。これを式(14)に代入して計算すると、d22=−d(ω3;Ω,ω3−Ω)とおけば、同じ手順で式(29)と同じ式を得ることができる。なお、z−カットのLiNbO3結晶の場合、d15、d31、d33は最終的な式には現れない。すなわち、点群3m(3回回映)に属するLiNbO3は、z−カットの場合、式(2)の解析式に影響するテンソル成分は、GaSe結晶と同等になる。
<(111)面の閃亜鉛鉱型結晶の使用>
上記の構成と手法は、GaSe結晶やLiNbO3結晶だけでなく、(111)面の閃亜鉛鉱型結晶にも適用することができる。<111>方向に配向する閃亜鉛鉱型結晶は、3回の回転対称性を有し、(110)面の閃亜鉛鉱型結晶を用いる特許文献1の解析式では、電界強度(振幅)と偏波の方向(位相)を求めることができない。
図6及び図7は、検出用の結晶としてGaSe結晶を用いたときと、(111)面のZnTe結晶を用いたときの測定結果の近似性を示す図である。図6は図4の実験系で計測した電磁波の楕円率α(ラジアン)の測定結果、図7は旋光角θ(ラジアン)の測定結果である。図6及び図7で、三角のマークがz-カットのGaSe結晶を用いたときの測定結果、白丸が(111)面のZnTe結晶を用いたときの測定結果、横軸は楕円偏光の電磁波に含まれる角周波数成分(THz)である。
図6において、α(Ω)が±π/4で円偏光となり、α(Ω)=0で直線偏光となる。図6の縦軸の上端は+π/4に対応し、入射電磁波は左周りの円偏光となる。図6の縦軸の下端は−π/4に対応し、入射電磁波は右回りの円偏光となる。1.25THz近傍の周波数成分と2.25THz近傍の周波数成分では、互いに直交する向きの直線偏光となる。
z−カットのGaSe結晶と(111)面のZnTe結晶で、計測したい電磁波の角周波数成分に対してほぼ等しい楕円率が得られることから、式(2)を用いる実施形態の解析方法は、(111)面の閃亜鉛鉱結晶を用いる場合にも有効に機能する。
図7の旋光角θの測定結果は、(6)式に含まれる不定性(3φ0)のため完全一致ではないが、z−カットのGaSe結晶と(111)面のZnTe結晶とで、同じ傾向を示すことがわかる。上述した第1の手法または第2の手法でT=0のときの結晶軸の初期角度φ0が特定されれば、2つの結晶の間で、角周波数成分に対する旋光角θの測定値はさらに近似する。
したがって、(111)面の閃亜鉛鉱型結晶を用いる場合も、式(2)を用いて楕円偏光した電磁波の旋光角と楕円率を求めることができる。
<偏光計測の応用例>
図8は、実施形態の偏光計測の応用例を示す図である。この例では、偏光計測を材料内部の残留応力検査に応用する。たとえば、可視光は透過せず、中赤外から遠赤外の周波数領域の光が透過するプラスチック材31の内部応力検査を行う。
プラスチック成型時の凝固の仕方などに起因して、プラスチック材31の内部に未知の応力が加わることが考えられる。応力のかかり方に応じて、プラスチック材31の面内でx方向とy方向で屈折率が異なる値をとる。一般に、x方向に引っ張り応力が働いている場合は、x方向の屈折率と、これに垂直なy方向の屈折率が異なる。プラスチック材31の複屈折を計測することで印加されている応力の大きさを推測することができる。
測定の目的は、屈折率固有軸であるx方向とy方向がどの方向を向いているかを決定することと、x方向とy方向の屈折率差を求めることである。屈折率固有軸が決定すれば、応力が固有軸の方向に印加されていると推測することができる。また、2つの固有軸の間の屈折率差が決まれば、印加されている応力の大きさを推測することができる。
測定手順を述べる前に、一般的な光学的性質を説明する。x方向とy方向に屈折率固有軸を有する材料に、x方向の直線偏光の光を入射した場合、その透過光はx方向の直線偏光である。この同じ材料に、y方向の直線偏光を入射した場合、その透過光はy方向の直線偏光である。
この同じ材料に、その偏光方向がx方向から45°傾いた直線偏光を入射した場合、その透過光は楕円偏光となる。楕円偏光の楕円率と旋光角を計測すれば、調べたい物質のx方向とy方向の屈折率差を決定することができる。
次に、具体的な測定手順を説明する。測定者にとって、屈折率固有軸(x方向、y方向)がどの方向なのかは未知である。そこで、入射する直線偏光の光の偏光方向を少しずつ変えながら、透過光の偏光計測を行う。上述した光学的性質から、入射光の偏光方向が屈折率固有軸と一致した場合には透過光も直線偏光である。したがって、どの角度で入射した光の透過光が直線偏光なのか、を調べることで、屈折率固有軸(x方向、y方向)を決定することができる。
屈折率固有軸(x方向、y方向)が決定できたら、その軸から45°傾けた偏光方向をもつ直線偏光の光を、試料であるプラスチック材31に入射し、その透過光を図1の偏波解析装置10を用いて観測する。透過光は楕円偏光になるから、その楕円率eと旋光角θを計測すれば、調べたい物質のx方向とy方向の屈折率差を決定することができる。
図9は、生体分子材料のキラリティー評価への適用を説明する図である。中赤外の周波数領域には多数の分子振動スペクトルが存在する。これらのスペクトルは、分子のキラリティ形状にしたがって、左周り円偏光と右回り円偏光に吸収率の差が生じる。これを円二色性という。入射電磁波に対して相対的に角速度ωで回転するGaSe結晶(あるいはLiNbO3等の三方晶、もしくは(111)面の閃亜鉛鉱型結晶)を用いた偏光計測を行うことで、以下に示す手順で分子のキラリティを決定することができる。
まず、測定した物質に直線偏光の光を入射する。例えば、左周り円偏光の光の吸収が強い物質を計測した場合、左周り円偏光成分がより多く減少するため、透過光は右回り円偏光の成分が多くなる。図8の残留応力検査と異なるのは、どのような偏光角度の直線偏光の光を入射しても、透過光は右回り円偏光の成分が多くなることである。右周り円偏光の光の吸収が強い物質を計測した場合は、透過光は直線偏光の向きにかかわらず、左回り円偏光の成分が多くなる。
したがって、図8の適用例と同様に、入射する直線偏光の光の偏光方向を少しずつ変えながら透過光の偏光計測を行い、すべての向きの直線偏光に対して透過光が右回り円偏光の成分が多くなることが確認できれば、その物質は左周り円偏光を吸収するキラリティを有する分子であると識別できる。同様に、すべての向きの直線偏光に対して透過光が左回り偏光の成分が多くなることが確認できれば、その物質は右回り偏光を吸収するキラリティ―を有する分子であることが識別できる。
分子のキラリティ検査は、特に薬剤検査において有用である。薬剤は分子のキラリティによって人体に与える影響が異なり、キラリティの異なる不純物の混入は深刻な問題を引き起こすが、このような問題を未然に防止することができる。
図8及び図9の物性測定は、図1の偏波解析装置10を用いて行うことができる。この場合、図1の光学系19aの位置Cに試料保持部を設置し、解析部16の出力(楕円率eおよび旋光角θ)に基づいて、物性判定部17で物性を判定する。上述した屈折率異方性の物質の屈折率差の測定や、分子のキラリティ評価の他に、生体イメージングや、医療診断にも適用することができる。中赤外からテラヘルツ帯の光は可視光に比べて光子エネルギーが低いため生体測定に適している。また、波長(ミリ)以上の浸透深さを持つため、生体内部の観察が可能である。キラルな構造の分子の周囲に異物(がん細胞など)が存在する場合に円二色性が敏感に変化することから、円二色性イメージングによる皮膚がんの早期診断にも適用可能である。
実施形態のように、非線形光学結晶を角速度ωで回転し、検出信号から3ω成分を抽出して楕円率と旋光角を求めることで、簡易かつ正確な測定やイメージングが可能になる。
実施形態では、六方晶としてGaSe結晶を、三方晶としてLiNbO3結晶を例に挙げたが、点群6(バー)m2に属する結晶や、点群3mに属する結晶をc軸と垂直な面でカット(z−カット)した結晶を用いることができる。
10 偏波解析装置
11 光源
12、21 非線形光学結晶(光源用)
13、29 非線形光学結晶(検出用)
14 モータ(回転機構)
15 検出器
16 解析部
17 物性判定部
18 プロセッサ
19a 電磁波用の光学系(第1の光学系)
19b プローブ光用の光学系(第2の光学系)

Claims (8)

  1. 電気光学効果を有する非線形光学結晶を角速度ωで回転させる回転機構と、
    回転する前記非線形光学結晶に楕円偏光した電磁波を導く第1光学系と、
    前記電磁波の前記非線形光学結晶への入射と同期して、プローブ光を前記非線形光学結晶に入射する第2光学系と、
    前記非線形光学結晶を透過したプローブ光を検出信号として検出する検出器と、
    前記検出信号を、
    S(τ)=f(Ω)[A'1(Ω)cos(θ(Ω)−3φ)
    +iB'1(Ω)sin(θ(Ω)−3φ)]exp(−iΩτ)
    の解析式で解析して、前記電磁波の楕円率と旋光角を求める解析部、
    とを有し、
    前記解析式中のΩは前記電磁波の角周波数、A'1は前記電磁波の電場ベクトルの軌跡を表わす楕円の長軸方向の長さ、B'1は前記楕円の短軸方向の長さ、θは前記プローブ光の偏光方向に対する前記長軸方向の角度、φは前記プローブ光の偏光方向に対する前記非線形光学結晶のa軸の角度、τは前記プローブ光と前記電磁波の相対遅延、f(Ω)は前記非線形光学結晶の複素屈折率の関数であり、
    前記非線形光学結晶は、z−カットの六方晶、z−カットの三方晶、または(111)面の閃亜鉛鉱型結晶であることを特徴とする偏波解析装置。
  2. 前記検出器は、前記プローブ光の互いに直交する光成分の強度差を前記検出信号として検出することを特徴とする請求項1に記載の偏波解析装置。
  3. 前記解析部は、前記検出信号から3ωの周波数成分を抽出し、前記楕円率と前記旋光角を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の偏波解析装置。
  4. 前記電磁波は、中赤外からテラヘルツ帯の電磁波であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏波解析装置。
  5. 前記第1光学系の所定の位置に配置される試料保持部と、
    前記解析部の出力に接続され、前記楕円率と前記旋光角の少なくとも一方を用いて試料の物性を決定する物性判定部と、
    をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏波解析装置。
  6. 前記物性判定部は、前記楕円率と前記旋光角に基づいて、屈折率異方性の物質の屈折率差を決定することを特徴とする請求項5に記載の偏波解析装置。
  7. 前記物性判定部は、前記旋光角の方向に基づいて、分子のキラリティを決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項にに記載の偏波解析装置。
  8. 電気光学効果を有する非線形光学結晶を角速度ωで回転させ、
    楕円偏光した電磁波を角速度ωで回転する前記非線形光学結晶に導き、
    前記電磁波の前記非線形光学結晶への入射と同期して、プローブ光を前記非線形光学結晶に入射し、
    前記非線形光学結晶を透過したプローブ光を検出信号Sとして検出し、
    前記検出信号を、
    S(τ)=f(Ω)[A'1(Ω)cos(θ(Ω)−3φ)
    +iB'1(Ω)sin(θ(Ω)−3φ)]exp(−iΩτ)
    の解析式を用いて解析して、前記電磁波の楕円率と旋光角を求める、
    工程を有し、
    前記解析式中のΩは前記電磁波の角周波数、A'1は前記電磁波の電場ベクトルの軌跡を表わす楕円の長軸方向の長さ、B'1は前記楕円の短軸方向の長さ、θは前記プローブ光の偏光方向に対する前記長軸方向の角度、φは前記プローブ光の偏光方向に対する前記非線形光学結晶のa軸の角度、τは前記プローブ光と前記電磁波の相対遅延、f(Ω)は前記非線形光学結晶の複素屈折率の関数であり、
    前記非線形光学結晶は、z−カットの六方晶、z−カットの三方晶、または(111)面の閃亜鉛鉱型結晶であることを特徴とする偏波解析方法。
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