JP2017009256A - ヒートポンプ式貯湯装置の運転方法およびヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システム - Google Patents

ヒートポンプ式貯湯装置の運転方法およびヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】太陽光発電装置によって発電された電力の更なる有効活用を図ることができ、需要家における消費電力を大幅に削減することが可能なヒートポンプ式貯湯装置の運転方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明にかかるヒートポンプ式貯湯装置の運転方法の構成は、ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力量、需要家の電気機器の翌日のベース電力量、太陽光発電装置の翌日の昼間の発電量、および余剰発電量を予測し、深夜電力によって朝までに沸き上げる深夜沸き上げ電力量を算出し、沸き上げ可能電力量と深夜沸き上げ電力量との比率から所定の関係に基づいて補正用のタンク効率を求め、所定の初期タンク効率と補正用のタンク効率とから翌日の必要電力量を補正し、補正前後の必要電力量の差分を深夜沸き上げ電力量から引くことにより、深夜沸き上げ電力量を削減するようにヒートポンプ式貯湯装置の運転時間を設定することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、需要家において太陽光発電装置と併設されたヒートポンプ式貯湯装置の運転方法、かかるヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムに関するものである。
住宅等における熱源の1つとしてヒートポンプ式貯湯装置がある。ヒートポンプ式貯湯装置では、料金が安価な深夜時間帯(例えば23時〜7時)の電力を利用して湯水を生成し、生成した湯水を貯湯タンク(貯湯槽)に貯湯しておく。そして、貯湯された湯水を、日中、必要に応じて貯湯槽から給湯設備等に供給して使用する。
また近年、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う太陽光発電装置の普及が進んでいる。これに伴い、太陽光発電装置とヒートポンプ式貯湯装置とを連携させた運転システムが開発されている。例えば特許文献1の貯湯式給湯システムでは、太陽光発電装置が発電する電力のうち、ヒートポンプ式貯湯装置の沸き上げ運転に用いることのできる電力である余剰電力の翌日の値を予測している。そして、予測された翌日の余剰電力が多い場合には、それが少ない場合に比べて、夜間沸き上げ運転(深夜沸き上げ運転)の沸き上げ量を少なくしている。
特許文献1によれば、翌日の太陽光発電の余剰電力の発生量を予測し、その予測結果に応じて、夜間沸き上げ運転の沸き上げ量を変化させる。このため、太陽光発電の余剰電力を給湯に有効に利用し、夜間沸き上げ運転に使用する電力を低減することができると述べている。
特開2013−148287号公報
特許文献1の構成によれば、夜間沸き上げ運転の沸き上げ量を算出した後、その算出値から、翌日の余剰電力沸き上げ運転による沸き上げ熱量の予測値を減じた値を、夜間沸き上げ運転により沸き上げるべき熱量として算出する(特許文献1の段落0022)。しかしながら、さらに需要家における消費電力を大幅に削減し、買電を削減することが要請されている。
本発明は、このような課題に鑑み、需要家において太陽光発電装置と併設されたヒートポンプ式貯湯装置において、太陽光発電装置によって発電された電力の更なる有効活用を図ることができ、需要家における消費電力を大幅に削減することが可能なヒートポンプ式貯湯装置の運転方法およびヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかるヒートポンプ式貯湯装置の運転方法の代表的な構成は、ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力量を所定の初期タンク効率を用いて予測し、需要家の電気機器の翌日の消費電力量であるベース電力量を予測し、太陽光発電装置の翌日の昼間の発電量を予測し、翌日の発電量からベース電力量を引くことにより余剰発電量を予測し、余剰発電量のうち、ヒートポンプ式貯湯装置で使用可能な分の少なくとも一部を沸き上げ可能電力量とし、必要電力量から沸き上げ可能電力量を引くことにより、深夜電力によって朝までに沸き上げる深夜沸き上げ電力量を算出し、沸き上げ可能電力量と深夜沸き上げ電力量との比率から所定の関係に基づいて補正用のタンク効率を求め、所定の初期タンク効率と補正用のタンク効率とから翌日の必要電力量を補正し、補正前後の必要電力量の差分を深夜沸き上げ電力量から引くことにより、深夜沸き上げ電力量を削減するようにヒートポンプ式貯湯装置の運転時間を設定することを特徴とする。
上記構成では、沸き上げ可能電力量、および深夜沸き上げ電力量の比率(以下、昼夜の沸き上げ電力量比率と称する)によって、補正用のタンク効率を求める。タンク効率とは、ヒートポンプ式貯湯装置の貯湯タンクに貯湯された湯水の熱量のうち、需要家が実際に使用する熱量(消費する熱量)を、湯水を沸き上げる際の熱量で除算した値である。
例えば、深夜に沸き上げを行う場合、湯水の沸き上げが完了した後から実際に需要家が湯水を使用するまでの間に、湯水から徐々に放熱が生じる。このため、需要家が実際に使用する(ことができる)熱量は少なくなる。一方、昼間に沸き上げを行う場合、沸き上げられた湯水を需要家が使用するまでの時間が短くなるため、湯水からの放熱は少ない(需要家が実際に使用する熱量は多くなる)。また昼間のほうが深夜よりも気温が高いため、昼間に沸き上げを行う場合は更に放熱が抑制される。したがって、昼夜の沸き上げ電力量比率において、昼間の沸き上げに用いることが可能な沸き上げ可能電力量の割合が増えるにつれてタンク効率が向上する。
そこで上記構成では、昼夜の沸き上げ電力量比率から求めた補正用のタンク効率を基に翌日の必要電力量を補正する。そして、補正前後の必要電力量の差分を深夜沸き上げ電力量から引くことにより、深夜沸き上げ電力量を削減するようにヒートポンプ式貯湯装置の運転時間を設定する。これにより、ヒートポンプ式貯湯装置において昼間の沸き上げ量の割合が増えるにしたがって、深夜の沸き上げ量が更に削減される。したがって、太陽光発電装置によって発電された電力の更なる有効活用を図りつつ、需要家における消費電力を大幅に削減することが可能となる。
上記ヒートポンプ式貯湯装置の運転方法では、気象情報から翌日の気温と水温を取得し、ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の消費電力量を求め、翌日の発電量からベース電力量を引いた電力のうち、ヒートポンプ式貯湯装置の消費電力と消費電力を継続できる時間の積を余剰発電量とするとよい。かかる構成によれば、ヒートポンプ式貯湯装置を余剰発電量の範囲内で動作させることできる。したがって、昼間に沸き上げを行った際の買電を回避し、需要家の消費電力ひいては電気料金の抑制を図ることが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明にかかるヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムの代表的な構成は、需要家におけるヒートポンプ式貯湯装置の過去の運転履歴データと、需要家における過去の消費電力履歴データと、過去の気象情報データと、ヒートポンプ式貯湯装置のタンク効率を記憶するデータ記憶手段と、翌日の気象情報を取得する気象情報取得手段と、ヒートポンプ式貯湯装置の運転状態を取得する運転状態取得手段と、ヒートポンプ式貯湯装置を制御する運転制御手段と、を含み、運転制御手段は、過去の運転履歴データ、翌日の気象情報および所定の初期のタンク効率を参照してヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力量を予測し、過去の消費電力履歴データを参照して需要家の電気機器の翌日の消費電力量であるベース電力量を予測し、翌日の気象情報を参照して太陽光発電装置の翌日の昼間の発電量を予測し、翌日の発電量からベース電力量を引くことにより余剰発電量を予測し、余剰発電量のうち、前記ヒートポンプ式貯湯装置で使用可能な分の少なくとも一部を沸き上げ可能電力量とし、必要電力量から沸き上げ可能電力量を引くことにより、深夜電力によって朝までに沸き上げる深夜沸き上げ電力量を算出し、沸き上げ可能電力量と深夜沸き上げ電力量との比率から所定の関係に基づいて補正用のタンク効率を求め、所定の初期タンク効率と補正用のタンク効率とから翌日の必要電力量を補正し、補正前後の必要電力量の差分を深夜沸き上げ電力量から引くことにより、深夜沸き上げ電力量を削減するようにヒートポンプ式貯湯装置の運転時間を設定することを特徴とする。
上述したヒートポンプ式貯湯装置の運転方法における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該ヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムにも適用可能である。
本発明によれば、需要家において太陽光発電装置と併設されたヒートポンプ式貯湯装置において、太陽光発電装置によって発電された電力の更なる有効活用を図ることができ、需要家における消費電力を大幅に削減することが可能なヒートポンプ式貯湯装置の運転方法およびヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムを提供することが可能である。
本実施形態にかかるヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムの構成を説明する図である。 本実施形態にかかるヒートポンプ式貯湯装置の運転方法について説明するフローチャートである。 需要家における電力負荷のシミュレーション結果を例示した図である。 沸き上げ電力量比率とタンク効率との関係を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態にかかるヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムの構成を説明する図である。以下、図1に示すヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムについて詳述しながら、本実施形態にかかるヒートポンプ式貯湯装置の運転方法についても併せて説明する。また以下の説明では、ヒートポンプ式貯湯装置を貯湯装置120、その運転制御システムを運転制御システム100、その運転方法を単に運転方法と称する。
図1(a)は運転制御システム100の全体構成を示す図であり、図1(b)は運転制御装置130の構成を示すブロック図である。図1(a)に示すように、本実施形態の運転制御システム100は運転制御装置130を含んで構成されるHEMS(Home Energy Management System)である。運転制御装置130とサーバ106とは、インターネット104(WAN:Wide Area Network)によって接続されている。
需要家の住宅102の室内に配置されている空調機(以下、エアコン102aと称する)、テレビ102b、冷蔵庫102c等の電気機器は、LAN(Local Area Network)によって運転制御装置130に接続されている。なお、以下の説明では、エアコン102a、テレビ102bおよび冷蔵庫102c等の電気機器を総称する際には単に電気機器と称する。
住宅102の室外には、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う太陽光発電装置110が設置されている。また住宅102の室外には、ヒートポンプ122によって生成した湯水を貯湯タンク124に貯湯し、かかる湯水を給湯設備(不図示)に供給する貯湯装置120が設置されている。これらの太陽光発電装置110および貯湯装置120もLANによって運転制御装置130に接続されている。
図1(b)に示す運転制御装置130は、本実施形態では主に貯湯装置120の動作(運転)を制御する。運転制御装置130は、貯湯装置120の動作を制御する運転制御手段140、および各種データを記憶するデータ記憶手段150を含んで構成される。なお、本実施形態では、運転制御手段140およびデータ記憶手段150は運転制御装置130に含まれる構成を例示するが、これに限定するものではなく、運転制御手段140およびデータ記憶手段150を別々の装置としてもよい。
運転制御手段140は、気象情報取得手段144および運転状態取得手段146としても機能する。気象情報取得手段144は、インターネット104を介してサーバ106から翌日の気象情報を取得する。運転状態取得手段146は、貯湯装置120の運転状態を取得する。これらの各手段は、具体的には運転制御装置130で実行されるプログラムである。
データ記憶手段150は、運転履歴データ152、消費電力履歴データ154、気象情報データ156およびタンク効率データ158を記憶する。運転履歴データ152は、需要家(住宅102)における貯湯装置120の過去の運転履歴のデータであり、運転状態取得手段146が取得した貯湯装置120の運転状態の履歴データを蓄積したものである。消費電力履歴データ154は、需要家(住宅102)における電気機器の過去の消費電力の履歴データである。気象情報データ156は、気象情報取得手段144が取得した気象情報を蓄積した過去の気象情報のデータである。タンク効率データ158は、貯湯装置120のタンク効率のデータである。
図2は、本実施形態にかかるヒートポンプ式貯湯装置の運転方法について説明するフローチャートである。以下、運転制御システム100における運転制御手段140の動作について詳述しながら、本実施形態にかかる運転方法についても併せて説明する。
本実施形態の運転方法では、図2に示すように、運転制御手段140は、まずデータ記憶手段150に記憶されている貯湯装置120の過去の運転履歴データ152、タンク効率データ158における初期のタンク効率、および気象情報取得手段144として取得した翌日の気象情報(気温と給水温度)を参照して貯湯装置120の翌日の必要電力量を予測する(ステップS202)。貯湯装置120の翌日の必要電力量とは、住宅102において翌日必要となる湯水を生成するために必要となる電力量のことであり、翌日必要となる貯湯量(熱量)と換言することもできる。なお、初期のタンク効率については、後に図4を参照して詳述する。
次に運転制御手段140は、データ記憶手段150に記憶されている電気機器の過去の消費電力履歴データを参照し、需要家(住宅102)の電気機器の翌日の消費電力量であるベース電力量を予測する(ステップS204)。続いて、運転制御手段140は、翌日の気象情報を参照して、太陽光発電装置110の翌日の昼間の発電量を予測する(ステップS206)。
図3は、需要家における電力負荷のシミュレーション結果を例示した図である。図3(a)は、需要家(住宅102)における従来の消費電力量の変化を例示している。図3(a)に示すように、住宅102では、終日動作している電気機器もあるため、ベース電力は時間帯によって変動しつつも終日消費されている。太陽光発電装置110は、朝6:30頃から夜16:30頃、すなわち日照がある時間帯のみに発電が行われ、電力が生成されている。
貯湯装置120は、深夜3:30頃から深夜電力を利用して湯水の生成を行い、朝6:00に沸き上げを完了している。そして、貯湯タンク124に貯湯された湯水が日中に消費されることにより湯水が不足すると、夜間に追加沸き上げが行われる(図3(a)では夜21:00頃を例示している)。
図2に戻り、上述したようにステップS202〜ステップS206において翌日の必要電力量、翌日のベース電力量および翌日の昼間の発電量を予測したら、次に運転制御手段140は、余剰電力量を予測する(ステップS208)。余剰電力量は、太陽光発電装置110の翌日の発電量から電気機器のベース電力量を引くことによって算出される。
図3(a)の例では、太陽光発電装置110が発電を行っている朝6:30〜夕方16:30の間の発電量から、同じ時間帯のベース電力を除算する(曲線160a)。すると、図3(a)の曲線160aと曲線160bによって囲まれた領域の電力量が余剰電力量として算出される。
上述したように余剰電力量を予測したら、運転制御手段140は、貯湯装置120において深夜電力によって朝までに沸き上げる深夜沸き上げ電力量を算出する(ステップS210)。詳細には、運転制御手段140は、余剰発電量のうち、前記ヒートポンプ式貯湯装置で使用可能な分の少なくとも一部を沸き上げ可能電力量とし、ステップS202で予測した貯湯装置120の必要電力量から沸き上げ可能電力量を引くことにより、貯湯装置120における深夜沸き上げ電力量を算出する。
図4は、沸き上げ電力量比率とタンク効率との関係を示すグラフである。すなわち、図4に示すグラフは、データ記憶手段150に記憶されているタンク効率データ158である。上述したようにステップS210において深夜沸き上げ電力量を算出したら、運転制御手段140は、沸き上げ可能電力量および深夜沸き上げ電力量を用いて昼夜の沸き上げ電力量比率を算出する(ステップS212)。図4は、昼夜の沸き上げ電力量比率として、沸き上げ可能電力量率(沸き上げ可能電力量/貯湯装置120の翌日の必要電力量)を例示している。
続いて運転制御手段140は、ステップS212において算出した沸き上げ電力量比率と貯湯装置120のタンク効率との所定の関係に基づいて、補正用のタンク効率を算出する(ステップS214)。タンク効率とは、貯湯装置120の貯湯タンク124に貯湯された湯水の熱量のうち、需要家が実際に使用する熱量(消費する熱量)を、湯水を沸き上げる際の熱量で除算した値である。
深夜に沸き上げを行う場合、湯水の沸き上げが完了した後から実際に需要家が湯水を使用するまでの間に、湯水から徐々に放熱が生じるため、需要家が実際に使用する(ことができる)熱量は少なくなる。一方、昼間に沸き上げを行う場合、沸き上げられた湯水を需要家が使用するまでの時間が短くなるため、湯水からの放熱は少ない。したがって、需要家が実際に使用する熱量は多くなる。昼間のほうが深夜よりも気温が高いため、昼間に沸き上げを行う場合は更に放熱が抑制される。このため、昼夜の沸き上げ電力量比率において、昼間の沸き上げ量である沸き上げ可能電力量の割合が増えるにつれてタンク効率は向上する。
図4に示す例では、昼間沸き上げ率が0%、すなわちすべての湯水を深夜に沸き上げる場合、タンク効率は約75%である。上述したステップS202では、この値を初期のタンク効率としている。そして、タンク効率は、昼間沸き上げ率が増えるにしたがって上昇していき、昼間沸き上げ率が約80%のときに約80%となる。このように、図4に示す沸き上げ可能電力量率(昼夜の沸き上げ電力量比率)とタンク効率との関係式を用いることにより、ステップS212において算出した沸き上げ比率電力量から補正用のタンク効率を求めることが可能となる。
ステップS214で補正用のタンク効率を算出したら、運転制御手段140は、所定の初期タンク効率および補正用のタンク効率に基づいて貯湯装置120の翌日の必要電力量を補正する(ステップS216)。図4に示す例では、昼間の沸き上げ率0%から約80%になったとき、タンク効率は75%から80%になる。したがって、ステップS202で所定の初期のタンク効率(75%)を用いて予測した貯湯装置120の翌日の必要電力量に(0.75/0.80)の割合を乗算することにより、補正後の貯湯装置120の翌日の必要電力量が算出される。
上述したように貯湯装置120の翌日の必要電力量を補正したら、運転制御手段140は、深夜沸き上げ電力量を補正する(ステップS218)。詳細には、補正前後の必要電力量の差分を深夜沸き上げ電力量から引くことにより、補正後の深夜沸き上げ電力量が算出される。
次に運転制御手段140は、深夜沸き上げ電力量を削減するように、貯湯装置120の運転時間を設定する(ステップS220)。図3(b)では、図3(a)における深夜の沸き上げ量の一部を太陽光発電装置110が発電を行う時間帯に移行している。すなわち、深夜沸き上げ量の一部を昼間の沸き上げ量として、太陽光発電装置110の余剰電力によって沸き上げている。これにより、図3(a)に示すように深夜の沸き上げのみを行っていた際の深夜3:30頃の貯湯装置120の運転開始時間は、早朝4:30に設定される。
ここで重要な事は、図3(a)に示される貯湯装置120の必要電力量の合計よりも、図3(b)に示される貯湯槽値120の必要電力量の合計のほうが少なくなっていることである。これは、単に深夜の沸き上げ量の一部を昼間の沸き上げ量にシフトさせただけではなく、タンク効率を参照して深夜の沸き上げ量をさらに削減したためである。
さらに、昼間に沸き上げを行うことにより、その日の午前中に使用した湯水を補充することができる。このため、図3(b)に示す例では、図3(a)の夜21:00頃に行われている夜間の追加の沸き上げ量が減少している。したがって、追加の沸き上げに要していた電力ひいては電気料金の削減を図ることが可能となる。
図3(c)に示す例では、図3(a)における深夜の沸き上げ量の大部分を太陽光発電装置110が発電を行う時間帯に移行している。これにより、太陽光発電装置110の余剰電力量をより有効活用することができ、貯湯装置120での沸き上げに要する電力ひいては電気料金を更に削減することが可能となる。
また図3(c)に示す例では、深夜の沸き上げ量の大部分を昼間に太陽光発電装置110の余剰電力によって沸き上げている。図3(b)と図3(c)を比較すると、図3(b)では昼間の沸き上げが12:00頃に完了しているが、図3(c)では14:00頃に完了している。また、図3(b)では夜間の追加沸き上げが発生しているが、図3(c)では追加沸き上げが発生していない。これは、図3(c)の例では14:00の段階で貯湯タンクが満量となるため、すなわち12:00〜14:00の間に使用した湯水も補充することになったため、夜間の追加の沸き上げがなくなったものである。このように、昼間の沸き上げの時間帯については、太陽光発電装置110の余剰電力がある範囲において、できるだけ遅い時間に設定することが望ましいことがわかる。
上記説明したように、本実施形態のヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムおよび運転方法では、昼夜の沸き上げ電力量比率から求めた補正用のタンク効率を基に、深夜沸き上げ電力量を削減するように貯湯装置120の運転時間を設定する。これにより、昼間の沸き上げ量の割合が増えるにしたがって、昼間に移動した割合以上に深夜の沸き上げ量が削減される。したがって、太陽光発電装置110の余剰電力の更なる有効活用を図り、需要家における消費電力ひいては電気料金を大幅に削減することが可能となる。
なお、より好ましくは、運転制御手段140は、翌日の余剰発電量のうち、図3(a)に示す矩形160cのように、所定の消費電力とかかる消費電力を継続できる時間の積を余剰発電量とすることが好ましい。これにより、ヒートポンプ式給湯装置を動作させるための消費電力を余剰発電量内で確保することができる。
また上記のような矩形160cを設定することにより、ヒートポンプ式給湯装置を動作させるための消費電力が太陽光発電装置110の発電量の上限の曲線160bを超えることはない。したがって、昼間に沸き上げを行った際の買電を回避し、需要家の消費電力ひいては電気料金の抑制を図ることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、需要家において太陽光発電装置と併設されたヒートポンプ式貯湯装置の運転方法、かかるヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システムに利用することができる。
100…運転制御システム、102…住宅、102a…エアコン、102b…テレビ、102c…冷蔵庫、104…インターネット、106…サーバ、110…太陽光発電装置、120…貯湯装置、122…ヒートポンプ、124…貯湯タンク、130…運転制御装置、140…運転制御手段、144…気象情報取得手段、146…運転状態取得手段、150…データ記憶手段、152…運転履歴データ、154…消費電力履歴データ、156…気象情報データ、158…タンク効率データ、160a…曲線、160b…曲線、160c…矩形

Claims (3)

  1. ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力量を所定の初期タンク効率を用いて予測し、
    需要家の電気機器の翌日の消費電力量であるベース電力量を予測し、
    太陽光発電装置の翌日の昼間の発電量を予測し、
    前記翌日の発電量から前記ベース電力量を引くことにより余剰発電量を予測し、
    前記余剰発電量のうち、前記ヒートポンプ式貯湯装置で使用可能な分の少なくとも一部を沸き上げ可能電力量とし、
    前記必要電力量から前記沸き上げ可能電力量を引くことにより、深夜電力によって朝までに沸き上げる深夜沸き上げ電力量を算出し、
    前記沸き上げ可能電力量と前記深夜沸き上げ電力量との比率から所定の関係に基づいて補正用のタンク効率を求め、
    前記所定の初期タンク効率と前記補正用のタンク効率とから前記翌日の必要電力量を補正し、
    前記補正前後の必要電力量の差分を前記深夜沸き上げ電力量から引くことにより、該深夜沸き上げ電力量を削減するように前記ヒートポンプ式貯湯装置の運転時間を設定することを特徴とするヒートポンプ式貯湯装置の運転方法。
  2. 気象情報から翌日の気温と水温を取得し、
    前記ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の消費電力量を求め、
    前記翌日の発電量から前記ベース電力量を引いた電力のうち、前記ヒートポンプ式貯湯装置の消費電力と該消費電力を継続できる時間の積を前記余剰発電量とすることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式貯湯装置の運転方法。
  3. 需要家におけるヒートポンプ式貯湯装置の過去の運転履歴データと、需要家における過去の消費電力履歴データと、過去の気象情報データと、該ヒートポンプ式貯湯装置のタンク効率を記憶するデータ記憶手段と、
    翌日の気象情報を取得する気象情報取得手段と、
    ヒートポンプ式貯湯装置の運転状態を取得する運転状態取得手段と、
    前記ヒートポンプ式貯湯装置を制御する運転制御手段と、
    を含み、
    前記運転制御手段は、
    前記過去の運転履歴データ、翌日の気象情報および所定の初期のタンク効率を参照して前記ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力量を予測し、
    前記過去の消費電力履歴データを参照して前記需要家の電気機器の翌日の消費電力量であるベース電力量を予測し、
    前記翌日の気象情報を参照して太陽光発電装置の翌日の昼間の発電量を予測し、
    前記翌日の発電量から前記ベース電力量を引くことにより余剰発電量を予測し、
    前記余剰発電量のうち、前記ヒートポンプ式貯湯装置で使用可能な分の少なくとも一部を沸き上げ可能電力量とし、
    前記必要電力量から前記沸き上げ可能電力量を引くことにより、深夜電力によって朝までに沸き上げる深夜沸き上げ電力量を算出し、
    前記沸き上げ可能電力量と前記深夜沸き上げ電力量との比率から所定の関係に基づいて補正用のタンク効率を求め、
    前記所定の初期タンク効率と前記補正用のタンク効率とから前記翌日の必要電力量を補正し、
    前記補正前後の必要電力量の差分を前記深夜沸き上げ電力量から引くことにより、該深夜沸き上げ電力量を削減するように前記ヒートポンプ式貯湯装置の運転時間を設定することを特徴とするヒートポンプ式貯湯装置の運転制御システム。
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