JP2017008340A - 貴金属の回収方法及び回収装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】貴金属の付着した電気伝導体から、副次的な有害物質を発生させることなく、効率的に貴金属を回収することが可能な、貴金属の回収方法を提供する。【解決手段】実施形態の貴金属の回収方法は、電気伝導体2を、電解液aに浸漬した状態で、電気伝導体2に電位を加えて貴金属を前電解液aに溶解させる電解工程S100と、電解液aから発生する塩素ガスを回収する塩素ガス回収工程S300と、塩素ガスを、電位を印加した電極表面に接触させることで塩化物イオンを得る塩化物イオン化工程S400と、得られた塩化物イオンを電解液aに添加する塩化物イオン濃度増加工程S500と備える。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、貴金属の回収方法及び回収装置に関する。
従来、金(Au)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)等の貴金属は、燃料電池や、自動車の排ガス浄化触媒等、多くの産業において使用されている。これらの貴金属は資源量が少ないため、貴金属を用いた製品のコストが高くなる。そこで、使用済みの二次電池、燃料電池、電子基板等から、銅精錬ラインにおける処理や、湿式法あるいは乾式法の回収方法によって貴金属を回収することが行われている。
例えば、燃料電池は、水素と酸素を反応させることで発電する方法であり、発電時に二酸化炭素を発生させないクリーンな発電方法である。中でも固体高分子型燃料電池(PEFC)は、他の燃料電池に比べ低温で運転が可能、小型化が容易などのメリットを備えており家庭用分散電源として普及が進んでいる。また、燃料電池自動車への適用も検討されており、広く普及する可能性が高い。
PEFCには、電極材料として、電極周辺部材を一体化した膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)が使用されている。MEAには、触媒成分として、Pt、Ru、Co等の貴金属が含まれている。上記したように、これらの貴金属は資源量が少ないため、燃料電池のコストが高くなり、燃料電池の普及の課題となると考えられている。そこで、白金代替材料の探索や白金使用量を低減させる触媒の開発が行われているが、未だ十分な性能や再現性を得られていない。したがって、現状ではPEFCには貴金属の使用が不可欠であり、MEAから貴金属を回収してリサイクルすることが求められている。
燃料電池のMEAからの乾式法による貴金属の回収方法としては、燃料電池を焼却し、焼却残渣から貴金属を回収する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、例えば上記したPEFCには、燃料電池に強度や耐熱性など持たせるためにフッ素系高分子が使用されており、これらを燃焼させることで、フッ素含有化合物が生成されるため周辺環境や炉に対して悪影響を及ぼす可能性がある。
また、湿式の回収方法としては、王水溶解法などを適用することで白金及びその他貴金属を回収することが試みられている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、フッ素系高分子の撥水性により貴金属と王水などの電解液との接触が阻害され、効率的な貴金属の回収が困難となる可能性があった。
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであって、貴金属の付着した電気伝導体から、副次的な有害物質を発生させることなく、効率的に貴金属を回収することのできる貴金属の回収方法及び回収装置を提供することを目的とする。
本発明の貴金属の回収方法の一態様は、電気伝導体に付着された貴金属の回収方法であって、前記電気伝導体を、塩化物イオンを含む電解液に浸漬した状態で、前記電気伝導体に電位を加えて、前記貴金属を前記電解液に溶解させる電解工程と、前記電解液から発生する塩素ガスを回収する塩素ガス回収工程と、前記塩素ガス回収工程において回収された前記塩素ガスを、電位を印加した電極表面に接触させることで塩化物イオンを得る塩化物イオン化工程と、前記塩化物イオン化工程で得られた塩化物イオンを前記電解液に添加する塩化物イオン濃度増加工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の貴金属の回収装置の一態様は、電気伝導体に付着された貴金属の回収装置であって、内部に電解液を収容し、電気伝導体を前記電解液に浸漬するための貴金属電解槽と、前記貴金属電解槽内に収容された前記電気伝導体に電位を加える電位印加装置と、前記貴金属電解槽内で発生した塩素を回収し、電位を加えた電極表面に接触させて塩化物イオンを生成する塩素処理槽と、前記塩素処理槽で生成した前記塩化物イオンを前記電解液に添加する塩化物イオン濃度増加槽と、を備えることを特徴とする。
本発明の貴金属の回収方法及び回収装置によれば、貴金属の付着した電気伝導体から、副次的な有害物質を発生させることなく、効率的に貴金属を回収することができる。
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の貴金属の回収方法は、電気伝導体に付着した貴金属や、電気伝導体に含まれる貴金属を、塩化物イオンを含む電解液aを用いて回収する方法である。
図1は、本実施形態の貴金属の回収方法における溶解運転の各工程を概略的に示すブロック図である。図1に示す貴金属の回収方法は、電気伝導体を、塩化物イオンを含む電解液aに浸漬した状態で、電気伝導体に電位を加えて、貴金属を電解液aに溶解させる電解工程S100と、電解工程で貴金属の溶解された電解液aを回収する電解液回収工程S200と、電解工程S100で電解液aから発生する塩素ガスを回収する塩素ガス回収工程S300と、回収された塩素ガスを、電位を印加した電極表面に接触させることで塩化物イオンを得る塩化物イオン化工程S400と、塩化物イオン化工程S400で得られた塩化物イオンを、電解液aに添加する塩化物イオン濃度増加工程S500とを備えている。本実施形態の貴金属の回収方法においては、上記工程S100から工程S500を行う溶解運転を繰り返すことで、電解液a中の塩化物イオン濃度が低下しないように調整しながら、電解液aを循環使用して、電解液a中に貴金属を溶解させることができる。なお、電解液回収工程S200は必須ではなく、必要に応じて行えばよい。
図2は、本実施形態の貴金属の回収方法に用いられる貴金属の回収装置1を概略的に示すブロック図である。貴金属の回収装置1は、内部に電解液aを収容し、電気伝導体2を電解液aに浸漬するための貴金属電解槽3と、貴金属電解槽3内の電気伝導体2に電位を加える電位印加装置4を備えている。
また、貴金属の回収装置1は、貴金属電解槽3内の電解液aを送り出して、再度貴金属電解槽3内に導入して循環させる循環配管5を備えている。循環配管5の経路には、貴金属回収タンク6及び塩化物イオン濃度増加槽7が介装されている。貴金属回収タンク6は、貴金属電解槽3において貴金属の溶解された電解液aを収容する。貴金属回収タンク6と塩化物イオン濃度増加槽7の間には、貴金属回収タンク6内の電解液aを塩化物イオン濃度増加槽7に送液するポンプ8が介装されている。また、塩化物イオン濃度増加槽7と貴金属電解槽3の間には、塩化物イオン濃度増加槽7内の電解液aを貴金属電解槽3に送液するポンプ10が介装されている。
電気伝導体2としては、例えば、貴金属の付着した電子基板や、燃料電池等、又はこれらから分離された部材等を用いることができる。このような部材として、例えば、燃料電池に備えられる電極材料を用いることが好ましい。これら電気伝導体に付着された貴金属は、金(Au)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)等である。
例えば、電気伝導体2として用いられる燃料電池の電極材の表面には、微粒子状のPt、Co、Ru等の貴金属が付着している。電気伝導体2の表面は、これを電解液aに浸漬した際に、電解液aと接触可能な部分である。そのため、例えば、電気伝導体2として燃料電池を使用する場合、燃料電池スタックから電極材料を分離せずにそのまま電解液aに浸漬することで、電極材料に付着した貴金属を電解液aに接触させることができる。このように、燃料電池スタックを解体することなく電気伝導体2として本実施形態の貴金属の回収方法に適用することができる。
本実施形態の貴金属の回収方法では、貴金属電解槽3内で、電気伝導体2に付着した貴金属を電解液aに溶解させる(電解工程S100)。
電解工程S100における、貴金属電解槽3内での貴金属の溶解は次のように行う。金属電解槽3内で、電気伝導体2を電解液aに浸漬した状態で、電位印加装置4によって電気伝導体2に電位を加える。そのため、貴金属電解槽3内には、電気伝導体2に電位を印加する際に対となる電極が備えられている。当該電極としては、電気伝導体2を用いてもよく、この場合、貴金属電解槽3内に2個以上の電気伝導体2を収容し、これら電気伝導体2の間に電位を加えることができる。
また、貴金属電解槽3内には、電気伝導体2に印加された電位を測定する参照電極が設置されていてもよい。参照電極としては、例えば、標準水素電極を用いることができる。また、貴金属電解槽3内の中央部付近に、貴金属電解槽3内を陽極側と陰極側の2つの空間に仕切る、多孔質等の膜を設けてもよい。これにより、陽極側で電解液中に溶解した貴金属のイオンが、陰極で析出することを抑制することができる。
電気伝導体2に印加される電位は、貴金属をイオン化して溶解させるように制御される。上記したように燃料電池の電極材料には、Pt、Co、Ru等複数の貴金属が付着されている。回収目的とする貴金属を溶解させるように電位を制御すれば、電気伝導体2に付着された上記貴金属のうち、所望の種類の貴金属を電解液a中に溶解させることができる。
電解液aは、塩化物イオン(Cl−)を含む溶液である。このような電解液aとして、塩酸水溶液、塩化ナトリウム水溶液等が挙げられる。電解液aに含まれる塩化物イオン濃度は貴金属の溶解に伴い変化するため、特に限定されるものではないが、貴金属の溶解性を向上させるため、0.1mol/L以上であることが好ましく、1mol/L以上であることがより好ましい。
上記で貴金属を溶解させた電解液aは、循環配管5を介して貴金属回収タンク6に送られ、貯留される(電解液回収工程S200)。貴金属回収タンク6内に貯留された電解液aは、ポンプ8によってさらに、塩化物イオン濃度増加槽7に送液され、貯留される。
ここで、貴金属、例えばPtは、下記式(1)、(2)に示される錯体形成平衡における右方向の反応(錯体形成反応)により塩化物イオンと錯体を形成する。貴金属は、錯体を形成することで安定化される。
印加電位が同じであれば、電解液a中の塩化物イオン濃度が高いほど上記式(1)、(2)に代表される錯体形成反応が促進され、貴金属の溶解速度が大きくなる。ところが、電気伝導体2に電位を印加すると、上記錯体形成反応が起こるとともに、下記式(3)に示す反応により塩素が発生する。塩素が発生すると、電解液a中の塩化物イオン濃度が減少し、貴金属電解槽3内での、電気伝導体2からの貴金属の溶解速度が低下するおそれがある。これを抑制するためには、貴金属を電解液aに溶解させる過程で、塩化物イオンを含む溶液を新たに加えたり、電解液aを取り替えたりする必要が生じる。
本実施形態の貴金属の回収方法では、図1に示す塩素ガス回収工程S300において、貴金属電解槽3で発生した塩素ガスを、図2に示す塩素処理槽9に移送する。塩素処理槽9内には、一対の電極12が備えられている。また、塩素処理槽9内には、電解液aが収容されている。
塩化物イオン化工程S400において、塩素処理槽9内で、電極12に電位印加装置11によって電位を印加して、この電位の印加された電極12の表面に塩素ガスを接触させて塩化物イオンを生成させる。生成した塩化物イオンは、塩素処理槽9内に収容された電解液aに溶解される。なお、本実施形態では、貴金属の回収効率を向上させるため、電解液aに、塩素処理槽9内で生成した塩化物イオンを溶解させているが、これに限定されず、電解液a以外の水溶液に溶解させてもよい。
塩素処理槽9は、配管14によって、塩化物イオン濃度増加槽7に接続されている。図1に示す塩化物イオン濃度増加工程S500において、塩素処理槽9で生成した塩化物イオンが混合された電解液aは、配管14を介して塩化物イオン濃度増加槽7に供給される。これにより、塩化物イオン濃度増加槽7内で、貴金属電解槽3で一旦低下した、電解液a中の塩化物イオン濃度が増加するように調整される。
塩化物イオン濃度増加槽7内で塩化物イオン濃度の調整された電解液aは、ポンプ10によって再度貴金属電解槽3に供給され、図1に示す電解工程S100において貴金属を電解するために使用することができる。
このように、本実施形態の貴金属の回収方法では、電解液a中の塩化物イオン濃度を、貴金属電解槽3で生じる塩素を用いて調整しながら、電解液aを循環使用することができる。そのため、電解液aの使用量を削減することができ、コストの削減につながる。また、貴金属電解槽3で生じる塩素ガスの外部への放出量を著しく低減することができる。さらに、貴金属電解槽3において、貴金属を溶解する電解液a中の塩化物イオン濃度の低減を抑制し、貴金属の溶解速度を維持することができる。
また、電解液aを循環使用する過程で、電解工程S100における被回収対象物の種類を変えて電気伝導体2を取り替えて使用することで、電解液a中に複数種の貴金属を溶解させることが可能である。この場合、取り替え使用する電気伝導体2の種類や量を選択し、回収目的とする種類の貴金属を所望の濃度で溶解させるように電位を調整すれば、所望の目的に応じた種類の貴金属イオンを、それぞれ所望の濃度で溶解させた電解液aを得ることができる。例えば、電気伝導体2として燃料電池の電極材料を用い、Pt、Co、Ruを電解液aに溶解させた後、電気伝導体2として電子基板等を用いて当該電解液aにAuを溶解させることで、Au、Pt、Co、Ruを溶解させた電解液aを調整することができる。
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る貴金属の回収方法は、第1の実施形態の貴金属の回収方法において、さらに、データ処理を用いて、電解液a中の塩化物イオン濃度を自動管理する塩化物イオン濃度管理工程を有する。図3は、第2の実施形態に係る貴金属の回収方法に用いられる貴金属の回収装置1bを概略的に示すブロック図である。図3において、図2と同様の機能を奏する構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図3に示すように、貴金属の回収装置1bにおいては、貴金属回収タンク6、塩化物イオン濃度増加槽7、塩素処理槽9にそれぞれ、サンプリングポート61、71、91及びデータ処理装置62、72、92が接続されている。また、貴金属の回収装置1bには、データ処理装置62、72、92で処理されたデータを入力させて、貴金属回収タンク6、塩化物イオン濃度増加槽7、塩素処理槽9の各槽内の塩化物イオン濃度を監視する中央データ処理装置15が設置されている。
塩化物イオン濃度管理工程において、サンプリングポート61、71、91において、それぞれ、貴金属回収タンク6、塩化物イオン濃度増加槽7、塩素処理槽9内の電解液a中の塩化物イオン濃度が測定される。サンプリングポート61、71、91における、塩化物イオン濃度の測定値は、それぞれ、データ処理装置62、72、92に入力される。
貴金属電解槽3内で貴金属を溶解するための塩化物イオン濃度の値、あるいは塩化物イオンの飽和濃度の値を、予め、データ処理装置62、72、92に入力しておく。データ処理装置62、72、92は、それぞれ、サンプリングポート61、71、91で測定された塩化物イオン濃度のデータを集積し、予め入力された塩化物イオン濃度の値との差異を評価して、評価データを中央データ処理装置15に入力する。
そして、中央データ処理装置15は、貴金属電解槽3内の電解液a中の塩化物イオン濃度の低減を抑制し、貴金属電解槽3内での貴金属の溶解速度を低下させないように、入力された各評価データに基づいて、塩素処理槽9から塩化物イオン濃度増加槽7への電解液aの供給量を制御する。
このように、貴金属の回収装置1bによれば、サンプリングポート61、71、91、データ処理装置62、72、92および中央データ処理装置15によって塩化物イオン濃度管理工程を行うことで、貴金属電解槽3内の電解液中の塩化物イオン濃度を自動管理し、電気伝導体から貴金属を効率よく回収することができる。
また、図2に示す貴金属の回収装置1を用いて、以下に説明する析出運転を行うことで、貴金属を溶解した電解液aから、回収された貴金属を取り出すことも可能である。図4は、析出運転の各工程を概略的に示すブロック図である。図4に示す析出運転は、貴金属の溶解した電解液aに電極を浸漬させた状態で、当該電極に電位を加えて、電解液a中の貴金属を当該出電極表面に析出させる析出工程S101と、析出工程S101で貴金属の析出された電解液aを回収する電解液回収工程S201とを備えている。そして、電解液回収工程S201で回収された電解液aを析出工程S101に再度供給することができる。なお、析出運転は、図3に示す貴金属の回収装置1bを用いた場合も同様に行うことができる。
上記の溶解運転を、電解液aを循環使用して行うことで電解液a中の貴金属イオン濃度が高くなる。例えば、析出運転は、このように電解液a中の貴金属イオン濃度が高くなった状態で行うことができる。
具体的には、溶解運転を行った後、貴金属電解槽3からの塩素ガスの回収(塩素ガス回収工程S300)、塩素処理槽9における電位印加装置11による電位の印加(塩化物イオン化工程S400)、塩化物イオン濃度増加槽7における塩化物イオン濃度の増加(塩化物イオン濃度増加工程S500)を停止する。そして、析出工程S101において図2に示す電位印加装置4によって、例えば、貴金属を析出させる電極の電位が標準水素電極電位(0V vs. SHE)に対してマイナスとなるように、析出電位を印加する。これにより、電解液aに溶解した貴金属が還元されて、当該電極に析出する。析出電位の大きさは、析出させる貴金属の種類によって適宜変更することができる。
析出運転においては、電極として、炭素電極等、電極表面に析出した貴金属を分離し易い材質の電極を用いることが好ましい。そのため、溶解運転において、上記した材質の電極を用いた場合には、これをそのまま析出運転における電極として用いることができる。溶解運転において、上記以外の材質の電極や、電気伝導体2を使用した場合、当該電極ないし電気伝導体2を上記析出させるための電極に取り換えてもよい。
また、貴金属は、その種類によって析出する電位が異なるため、析出工程S101における析出電位を制御することによって、目的とする種類の貴金属を選択的に析出させることも可能である。これにより、電解液a中に溶解させる複数種の貴金属の各濃度を調整することもできる。例えば、電解工程S100において、電気伝導体2に付着されたPt、Au、Co、Ru等の複数の貴金属を電解液aに溶解させた場合、析出電位を調整することで、上記貴金属のうち、遷移元素であるRu及びCoを析出させ、11族元素のPt及びAuを選択的に共存させた電解液aを調整することが可能である。
具体的には、溶解運転において、電気伝導体2として燃料電池の電極材料と電子基板等を順に用い、電解液aにPt、Au、Co、Ruを溶解させて、その後、析出運転でRu及びCoを析出させれば、PtとAgを溶解させた電解液aを調整することができる。また、Au、Pt、Co、Ruを溶解させた電解液aについて、析出電位を調整することで、Pt及びAuを選択的に析出させることも可能である。このように、析出運転を行うことで、純度の高い貴金属を再析出させて、固体金属として回収することや、電解液a中に溶解された複数種の貴金属の各濃度を調整することが可能である。
以上、本実施形態の貴金属の回収方法によれば、溶解運転を行うことで、副次的な有害物質を発生させることなく、電気伝導体に付着した貴金属を効率的に、電解液中に回収することができる。また、析出運転を行うことで、電解液中に回収した貴金属を、純度を高めて析出させ、回収することも可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,1b…貴金属の回収装置、2…電気伝導体、3…貴金属電解槽、4…電位印加装置、5…循環配管、6…貴金属回収タンク、7…塩化物イオン濃度増加槽、8…ポンプ、9…塩素処理槽、10…ポンプ、11…電位印加装置、12…電極、14…配管、15…中央データ処理装置、61,71,91…サンプリングポート、62,72,92…データ処理装置,a…電解液、S100…電解工程、S200…電解液回収工程、S300…塩素ガス回収工程、S400…塩化物イオン化工程、S500…塩化物イオン濃度増加工程。
Claims (8)
- 電気伝導体に付着された貴金属の回収方法であって、
前記電気伝導体を、塩化物イオンを含む電解液に浸漬した状態で、前記電気伝導体に電位を加えて、前記貴金属を前記電解液に溶解させる電解工程と、
前記電解液から発生する塩素ガスを回収する塩素ガス回収工程と、
前記塩素ガス回収工程において回収された前記塩素ガスを、電位を印加した電極表面に接触させることで塩化物イオンを得る塩化物イオン化工程と、
前記塩化物イオン化工程で得られた塩化物イオンを前記電解液に添加する塩化物イオン濃度増加工程と
を備えることを特徴とする貴金属の回収方法。 - 前記貴金属は、微粒子状であり、前記電気伝導体の表面に付着していることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
- 前記電気伝導体は、電極材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の貴金属の回収方法。
- 前記電気伝導体は、燃料電池の電極材料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の貴金属の回収方法。
- 前記電解液は、塩酸を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貴金属の回収方法。
- さらに、前記貴金属の溶解された前記電解液に電極を浸漬させた状態で前記電極に電位を加えて、前記電解液中の前記貴金属を前記電極表面に析出させる析出工程を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の貴金属の回収方法。
- 前記電気伝導体として、複数種の貴金属が付着された前記電気伝導体を用い、前記電解工程における印加電位及び前記析出工程における印加電位を調整して、前記電解液中の前記複数種の貴金属の各濃度を調整することを特徴とする請求項6に記載の貴金属の回収方法。
- 電気伝導体に付着された貴金属の回収装置であって、
内部に電解液を収容し、電気伝導体を前記電解液に浸漬するための貴金属電解槽と、
前記貴金属電解槽内に収容された前記電気伝導体に電位を加える電位印加装置と、
前記貴金属電解槽内で発生した塩素を回収し、電位を加えた電極表面に接触させて塩化物イオンを生成する塩素処理槽と、
前記塩素処理槽で生成した前記塩化物イオンを前記電解液に添加する塩化物イオン濃度増加槽と、
を備えることを特徴とする貴金属の回収装置。
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JP2018135577A (ja) * | 2017-02-23 | 2018-08-30 | 株式会社東芝 | 遷移金属の回収方法および遷移金属の回収装置 |
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- 2015-06-17 JP JP2015121867A patent/JP2017008340A/ja active Pending
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