JP2014185366A - 白金の回収方法及び白金の回収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ない環境負荷で、安全、簡便に、かつ経済的に白金を回収できる方法及び装置を提供すること。
【解決手段】本発明の白金の回収方法は、過酸化水素及び金属イオンを含む電解液に、回収すべき白金を含む白金源11及び対極24を浸漬した状態下に、白金と対極24との間に電位を印加し、白金の電位を0.1V以上1.5V(対可逆水素電極)に制御して白金を前記電解液中に溶解させ;該電解液中に溶解した白金を、該電解液中に浸漬した状態の作用極31に還元析出させることで白金を回収する。
【選択図】図1

Description

本発明は、白金の回収方法及び白金の回収装置に関する。
白金は高い触媒作用を有することから、固体高分子形燃料電池の電極触媒や、内燃機関の排気ガスの浄化触媒等として広く用いられている。この他、超伝導体、蛍光発光体及び磁性体等にも用いられている。白金は希少金属であることから、白金を含む使用済みの廃棄物から白金を回収する試み古くからなされている。例えば、白金を含む廃棄物を王水に溶解して、溶液中から白金を回収する方法や、白金を含む廃棄物を硫酸等の鉱酸に溶解して、白金を含む不溶解残渣を濾別し、該不溶解残渣を溶解して得られた液から白金を回収する方法が行われてきた。しかし、これらの方法では、王水等の高濃度プロトン酸を用いることから、廃棄の際の環境負荷が大きいという問題がある。そこで、これらの方法の改良が種々提案されている。
例えば特許文献1においては、金属基体の表面に形成された白金めっきを剥離して回収する方法が提案されている。この方法では、表面を白金で被覆された金属基体を陽極とし、フッ化物溶液を電解溶液として用い、陽極電解処理を行うことで白金を金属基体から剥離している。しかし、この方法では、フッ化物溶液としてフッ化アンモニウム及びフッ化水素アンモニウムを用いていることから、安全性や、廃棄の際の環境負荷の点で有利とは言えない。
特許文献2においては、イオン液体中に白金を溶解させた後、該イオン液体から白金を電解析出によって回収する方法が提案されている。この方法で用いられるイオン液体は高価なものであることから、この方法は経済的な観点から有利とは言えない。
特許文献3においては、スパッタリングや蒸着などの手法によって薄膜を形成するときに用いられる治具や部材に不可避的に付着した白金を、サンドブラストによって取り除き、そのとき発生するブラスト粉から白金を回収する方法が提案されている。この方法においては、白金を含むブラスト粉を希硫酸に投入し、白金以外の金属を溶解して濾過した後、濾別された固形分を王水に溶解し、その溶解液に塩化アンモニウムを添加して、白金を塩化白金酸アンモニウム塩として回収している。この方法では、上述した方法と同様に王水を用いていることから、環境負荷の点で有利とは言えない。
特開平7−109594号公報 特開2011−122242号公報 特開2012−219314号公報
本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る白金の回収方法及び白金の回収装置を提供することにある。
本発明は、過酸化水素及び金属イオンを含む電解液に、回収すべき白金を含む白金源及び対極を浸漬した状態下に、白金と該対極との間に電位を印加し、白金の電位を0.1V以上1.5V(対可逆水素電極)に制御して白金を前記電解液中に溶解させ、
前記電解液中に溶解した白金を、該電解液中に浸漬した状態の作用極に還元析出させることで白金を回収する、白金の回収方法を提供するものである。
また本発明は、前記の方法に好適に用いられる装置として、
白金溶解槽及び白金回収槽を備えた白金の回収装置であって、
前記白金溶解槽は、回収すべき白金を含む白金源における白金に電位を印加する手段及び該手段の対極を有し、
前記白金回収槽は、作用極及び該作用極の対極を有し、
前記白金溶解槽は、過酸化水素及び金属イオンを含む電解液が該溶解槽に入れられた状態で、前記手段に、0.1V以上1.5V(対可逆水素電極)の電位を印加できるように構成されており、
前記白金回収槽は、白金が溶解している前記電解液が該回収槽に入れられた状態で、前記作用極に、白金の還元析出が可能な電位を印加できるように構成されている、白金の回収装置を提供するものである。
本発明によれば、少ない環境負荷で、安全、簡便に、かつ経済的に白金を回収することができる。
図1は、本発明の白金の回収方法を実施するために好適に用いられる装置の模式図である。 図2は、本発明の白金の回収方法を実施するために好適に用いられる別の装置の模式図である。 図3は、実施例及び比較例における白金の溶解量を示すグラフである。 図4は、実施例における白金の還元析出状態を示す走査型電子顕微鏡像である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の白金の回収方法を実施するために好適に用いられる装置が模式的に示されている。同図に示す装置10は2つの槽を備えている。これらの槽は、白金溶解槽(以下、単に「溶解槽」とも言う。)20と、白金回収槽(以下、単に「回収槽」とも言う。)30である。溶解槽20においては、回収すべき白金を含む白金源中の白金が、電気化学的手法によって電解液中に溶出する操作が行われる。一方、回収槽30においては、電解液中に溶出した白金が、電気化学的手法によって還元析出する操作が行われる。
溶解槽20及び回収槽30はいずれも電解液の貯留が可能な構造をしている。また溶解槽20及び回収槽30は、非連通の状態で別個に配置されており、両槽間で電解液の流通は行われない。
図1に示すとおり、溶解槽20には、回収すべき白金を含む白金源11の収容保持が可能な保持容器21が備えられている。保持容器21は、導電性かつ透水性のものである。保持容器21は、導線22を介して直流電源23に電気的に接続されている。したがって保持容器21は、該保持容器21内に収容保持された状態の白金源に含まれる白金に対して、直流電源23からの電位を印加する手段として機能する。なお、直流電源23としては、後述するとおり、三極方式のポテンシオスタット及び/又はガルバノスタットを用いることができる。
保持容器21としては、例えば導電性の線条体を編成して形成された籠状体(バスケット)や、導電性材料からなり、かつ複数の穿孔が形成されている籠状体(バスケット)などを用いることができる。保持容器21を構成する導電性材料としては、白金源11に含まれる白金に電位を印加することの妨げにならない材料であれば、その種類に特に制限はない。そのような材料としては、例えばステンレス、多孔性カーボン、タングステン、モリブデン、金、チッ化クロムなどが挙げられる。
溶解槽20には、保持容器21と対で用いられる対極24が備えられている。対極24は、保持容器21内に保持された白金源11中の白金を、電気化学的手法で電解液中に溶出させるときの相手方の電極となるものである。したがって対極24は、上述した直流電源23に導線25を介して電気的に接続されている。対極24は、電気化学的手法によって白金を電解液中に溶出させることの妨げにならない材料及び形状を有していればよい。例えば対極24は、白金、金、ステンレス、カーボン、タングステン、モリブデン、イリジウム、パラジウム等の材料からなる広面積の板状体等から構成することができる。
溶解槽20は、該溶解槽20内に電解液が入れられた状態で、保持容器21内に収容保持された状態の白金源に含まれる白金に対して、可逆水素電極(以下、「RHE」とも言う。)を基準として所定の電位を印加できるような構成になっている。この目的のために、溶解槽20内の電解液中にRHE(図示せず)を浸漬・配置することができる。そして、上述した直流電源23として、三極方式のポテンシオスタット(図示せず)を用い、該ポテンシオスタットにおける作用極を保持容器21に接続し、参照極をRHEに接続し、かつ対極を対極24に接続する。このようにすることで、保持容器21を介して電気的に接続されている白金源11中の白金の電位を、RHEに対して所定の値に容易に設定することができる。
溶解槽20は、その構造が一室でもよく、二室に仕切られていてもよい。溶解槽20が二室に仕切られている場合、仕切り部位は液絡構造となっていることが好ましい。液絡構造とするには、例えばイオン伝導性の隔膜を用いて溶解槽20内を仕切ればよい。そのようなイオン伝導性の隔膜としては、例えばはスルホン酸基を有するポリ(フルオロエチレン)樹脂などが挙げられる。このようにして溶解槽20を二室に仕切った場合、一室に保持容器21を配置し、他方の一室に対極24を配置することが好ましい。
溶解槽20とともに用いられる回収槽30には、図1に示すとおり、作用極31及び該作用極31の対極32が備えられている。作用極31は、導線33を介して直流電源34に電気的に接続されている。作用極31は、回収槽30内に、白金が溶解した電解液を入れた状態において、該電解液中の白金を電気化学的手法で還元析出させるために用いられる。作用極31を構成する材料としては、白金の電気化学的な還元析出の妨げにならず、かつ析出した白金の品位を下げない導電性材料であれば、その種類に特に制限はない。そのような材料としては、例えば白金、金、カーボン、ステンレス、ニッケル、クロムなどが挙げられる。
作用極31と対で用いられる対極32は、作用極31において白金を電気化学的手法で還元析出させるときの相手方の電極となるものである。したがって対極32は、上述した直流電源34に導線35を介して電気的に接続されている。対極31は、電気化学的手法によって白金を還元析出させることの妨げにならない材料及び形状を有していればよい。例えば対極32としては、先に述べた溶解槽20に備えられている対極24と同様の材料及び/又は形状のものを用いることができる。
回収槽30においては、溶解した白金を含む電解液が該回収槽30内に入れられた状態で、作用極31に、白金の還元析出が可能な電位を印加できるような構成になっている。この目的のために、回収槽30内の電解液中に、電位差の基準となる参照電極(図示せず)を浸漬・配置することができる。そして、上述した直流電源34として、三極方式のポテンシオスタット(図示せず)を用い、該ポテンシオスタットにおける作用極を作用極31に接続し、参照極を参照電極に接続し、かつ対極を対極32に接続する。このようにすることで、作用極31の電位を、参照電極に対して所定の値に容易に設定することができる。参照電極としては、溶解槽20に用いられる電極であるRHEを用いてもよいし、あるいは当該技術分野において公知の他の電極、例えばAg/AgCl電極、飽和カロメル電極(SCE)などを用いてもよい。
以上の構成を有する装置を用いた白金の回収方法について説明すると、本方法においては、先ず溶解槽20において白金源11中に含まれている白金を、電解液中に溶解させる工程を行う。白金源11は白金を含んでいる。この白金は、狭義の金属白金だけでなく、白金を含有する合金も包含する広い概念のものである。以下の説明において、「白金源11に含まれる白金」に言及するときには、特に断りのない限り、この広義の概念での白金を指す。白金源11の具体例としては、使用済みの燃料電池の白金含有電極触媒、内燃機関の排気ガス浄化用白金含有触媒、各種化学反応に用いられる白金含有触媒、石油化学工業に使用された白金含有触媒、使用済みの白金カイロ触媒などが挙げられる。これらの白金源11は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、白金源11は電解液中で保形性を有し、かつ該白金源11自身に導線22の接続が可能な場合には、図1に示す保持容器21を用いることは要さず、白金源11に導線22を直接に接続してもよい。
溶解槽20に用いられる電解液は、水を媒体とする水性電解液であることが好ましい。この水性電解液には、支持電解質を添加しておくことが好ましい。支持電解質としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば支持電解質として硫酸を用いることができる。本方法は、この水性電解液に過酸化水素を添加することを特徴の一つとしている。本発明者らの検討の結果、電解液中に過酸化水素及び金属イオンを存在させた状態下に白金源11に含まれる白金に電位を印加すると、意外にも、白金が加速度的に電解液中に溶解することが判明した。
過酸化水素の存在による白金の溶解は、電解液中での過酸化水素の濃度が低くても十分に促進されることが判明した。また、電解液中に含まれる過酸化水素の濃度は、これが高いほど白金の溶解が促進されることも判明した。尤も、過酸化水素の濃度が過度に高くなると、白金の溶解の促進効果が飽和してくる。これらの観点から、電解液中に含まれる過酸化水素の濃度は、1mmol/dm3以上3000mmol/dm3以下とすることが好ましく、10mmol/dm3以上1000mmol/dm3以下とすることが更に好ましく、100mmol/dm3以上500mmol/dm3以下とすることが一層好ましい。
白金源11に含まれる白金を電解液中へ溶解させるためには、該電解液中に過酸化水素に加えて金属イオンが存在していることが必要である。本発明者らが検討を推し進めたところ、金属イオンのうちでも、特に遷移金属イオンを電解液中に存在させることが、白金の溶解に効果が高いことが判明した。とりわけ、遷移金属イオンとして、鉄イオン、マンガンイオン、セリウムイオン、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオンを電解液中に存在させることが、白金の溶解の一層の促進の点から好ましい。ここで言う金属イオンとは、配位子が配位していないイオン、金属イオンに少なくとも1つの配位子が配位した錯イオン、及びオキシ化物イオン、オキシ水酸化物イオン等を広く包含する。電解液中に存在する金属イオンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した各種の遷移金属イオンのうち、鉄イオンを用いる場合には、二価の鉄イオン及び三価の鉄イオン並びにこれらのイオンを含む錯イオンを用いることができる。特に錯体を形成していない二価の鉄イオン(Fe2+)を用いると、白金の溶解が一層促進されるので好ましい。マンガンイオンを用いる場合には、二価のマンガンイオン、四価のマンガンイオン、六価のマンガンイオン及びこれらのマンガンのオキシ化物イオンを用いることができる。セリウムイオンを用いる場合には、三価のセリウムイオン及び四価のセリウムイオン等を用いることができ、特に三価のセリウムイオンを用いることが好ましい。
電解液中に含まれる金属イオンの総濃度は、0.01mmol/dm3以上1000mmol/dm3以下であることが好ましく、0.1mmol/dm3以上500mmol/dm3以下であることが更に好ましく、1mmol/dm3以上300mmol/dm3以下であることが一層好ましい。
以上の各成分を含む電解液中に白金源11を浸漬し、かつ対極24も電解液中に浸漬した状態下に、白金源11に電位を印加する。溶解槽20が二室である場合には、一室に白金源11を配置し、他方の一室に対極24を配置する。参照電極としてRHEを用いる場合には、白金源11が配置されているコンパートメントに該RHEを配置する。白金源11が配置されたコンパートメントには、過酸化水素及び金属イオンを含む電解液を供給する。対極24が配置されたコンパートメントには、白金源11が配置されたコンパートメントに供給された電解液と同種の電解液を供給してもよく、あるいは異種の電解液を供給してもよい。対極24が配置されたコンパートメントに異種の電解液を供給する場合、該電解液中に過酸化水素及び金属イオンが含まれていることは要しない。
白金源11に含まれる白金への電位の印加は、先に述べたとおり、白金源11が収容保持された保持容器21を介して行われる。これによって、白金が電解液中に首尾よく溶出する。白金の溶解は、白金に印加する電位に依存することが本発明者らの検討の結果判明した。詳細には、RHEを基準として、白金の電位を0.1V以上1.5Vに設定することで、白金源11に含まれる白金の溶解が促進される。特にRHEを基準とする白金の電位を0.4V以上1.4V以下に設定することが好ましく、0.6V以上1.3V以下に設定することが更に好ましい。白金の電位は、前記の範囲内で一定に維持しておいてもよく、あるいは前記の範囲内で時間の経過に伴い変化させてもよい。
白金源11に含まれる白金へ電位を印加している間、電解液は静止状態としておいてもよく、あるいは撹拌状態としておいてもよい。また電解液を不活性ガスでバブリングして溶存酸素を除去してもよく、あるいは溶存酸素が存在したままにしておいてもよい。更に、雰囲気は大気等の含酸素雰囲気でもよく、あるいは窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気でもよい。白金源11に含まれる白金へ電位を印加する時間は、白金源11の種類やそれに含まれる白金の量等に応じて適宜に設定することができる。
白金へ所定の電位を印加することによって、白金が電解液中へ溶出する。本発明者らが検討したところ、白金の溶出に連れて、電解液中の過酸化水素の濃度が減少することが判明した。したがって白金の溶出には、過酸化水素が分解して生成した分解生成物又は該分解生成物に至る前の中間体が関与していると考えられる。
以上の操作によって、電解液中に白金が溶出してなる液が得られる。この液には、溶出した白金に由来する白金イオン種が含まれている。次に、この液中に含まれる白金イオン種を還元析出させることで白金を回収する。白金イオン種の還元析出は、回収槽30において行われる。この目的のために、溶解槽20中の電解液(この電解液には白金イオン種が含まれている。)を、回収槽30内に移し替える。つまり、本方法では、白金が溶解した電解液を、回収槽30にバッチ方式で供給している。バッチ方式の電解液の供給に代えて、溶解槽20中の電解液を移動させずそのままにしておいて、該溶解槽20中に、回収槽30に配置すべき作用極31及び対極32を配置してもよい。
回収槽30における白金の還元析出では、作用極31に所定の電位を印加して、電解液中の白金イオン種を金属白金に還元して作用極31上に析出させる。作用極31へ印加する電位は、白金イオン種が金属白金に還元する電位であれば、その値に特に制限はない。また、作用極31へ印加する電位は一定でもよく、あるいは時間の経過に伴い変化させてもよい。いずれの場合であっても、作用極31へ印加する電位は、例えば―1V以上+1V以下、特に−0.8V以上+0.7V以下とすることが好ましい。この電位は、RHEを参照電極として用いた場合の電位である。作用極31へ電位を印加する時間は、電解液中に含まれる白金イオン種の濃度等に応じて適宜に設定することができる。
図2には、本発明の方法を実施するために好適に用いられる別の装置10’が示されている。これまで説明してきた図1に示す装置10では、溶解槽20と回収槽30とが別個に独立しており、両者間に電解液の流通がない構造であったのに対して、図2に示す装置10’では、溶解槽20と回収槽30とが連通路40を通じて連通した構造になっている。連通路40は環状構造になっており、溶解槽20から回収槽30へ向けて電解液が送り出され、かつ回収槽30から出た電解液が溶解槽20へ送り戻される。つまり、電解液は溶解槽20と回収槽30との間を循環するようになっている。
図2に示す装置10’を用いた白金の回収方法は、電解液を循環させる点を除き、図1に示す装置10を用いた場合と同様である。図2に示す装置10’を用いた場合には、白金源11からの白金の溶解と、溶解して生成した白金イオン種の還元析出とを連続的に行うことができるので、白金の回収効率を一層高くできるという利点がある。なお、同図に示す装置10’を用いた場合、連通路40を循環する電解液は、定常流でもよく、あるいは断続流(ストップド・フロー)でもよい。
以上、詳述したとおり、本発明の方法によれば、従来の方法で用いられていた王水等の高濃度プロトン酸を用いることなく、安全かつ簡便に白金を回収することができる。しかも本発明の方法は、廃液処理が容易であり環境負荷が少ない。その上、高価な物質や複雑な装置が不要なので、経済的にも有利である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1ないし4並びに比較例1及び2〕
(1)白金溶解槽における白金の溶解
モデル白金源として1cm×1cmのPt板を用いた。対極としてAu板を用いた。参照電極としてRHEを用いた。白金溶解槽はガラスセルからなるものであり、二室に仕切られていた。仕切り用の隔膜としてナフィオン(登録商標)を用いた。
Pt板及びRHEは、仕切られた白金溶解槽の一室に配置し、Au板は他方の一室に配置した。Pt板をポテンシオスタットの作用極に接続し、またRHE及びAu板を参照極及び対極にそれぞれ接続した。
Pt板が配置されたコンパートメントには、294mmol/dm3のH22、10mmol/dm3のFeSO4及び0.5mol/dm3のH2SO4を含む水溶液を電解液として入れた。Au板が配置されたコンパートメントには、0.5mol/dm3のH2SO4を含む水溶液を電解液として入れた。
ポテンシオスタットを操作して、Pt板に印加する電位を、RHEに対して0.61Vから1.36Vの範囲で繰り返し連続掃引した。掃引速度は50mV/sとした。掃引時間は3時間とした。この操作によって白金を電解液中に溶解させた。なお、これらの操作はすべて窒素ガス雰囲気中で行った。
その後、電解液中からPt板を引き上げ、純水中で30分間の超音波洗浄を行った後、80℃で1時間減圧乾燥した。乾燥後のPt板の質量を、分解能1μgのマイクロ天秤を用いて測定し、その値を溶解前のPt板の質量から差し引くことで、Ptの溶解量を算出した。その結果を図3に示す。
また、FeSO4に代えて、Fe(NO33(実施例2)、Ce(NO33(実施例3)、及びCe(SO42(実施例4)を用いる以外は前記と同様にして、Pt板の溶解を行った。そしてPtの溶解量を測定した。その結果を図3に示す。なお、これらの金属イオンの濃度は、FeSO4(実施例1)の場合と同様に10mmol/dm3である。
更に、比較例として、電解液中に金属イオンを添加せずH22のみを添加した場合(比較例1)、及び電解液中に金属イオン及びH22の双方を添加しない場合(比較例2)についても、前記と同様の操作を行い、Ptの溶出量を測定した。その結果も図3に示す。
図3に示す結果から明らかなとおり、金属イオン及びH22が電解液中に含まれている場合には、それ以外の場合に比べてPtの溶解量が多くなることが判る。特に金属イオンとして二価の鉄イオンを用いた場合には、Ptの溶解量が極めて多くなることが判る。
(2)白金回収槽における白金の還元析出
白金源として1cm×1cmのPt板を用いた。対極としてAu線を用いた。白金溶解槽はガラスセルからなり、二室にナフィオンの隔膜で仕切られており、作用極及び参照極側に294mmol/dm3のH22及び0.5mol/dm3のH2SO4を含む水溶液を、対極側に0.5mol/dm3のH2SO4水溶液をそれぞれ電解液として入れた。Pt板に印加する電位を、RHEに対して0.61V から1.36Vの範囲で繰り返し連続掃引した。掃引速度は50mV/sとした。掃引時間は16時間とした。この操作によって白金を電解液中に溶解させた。なお、これらの操作はすべて窒素ガス雰囲気中で行った。得られた電解液を、一室のガラスセルに移し替えた。グラッシーカーボン(GC)からなる作用極、Au線からなる対極、及びAg/Ag2SO4からなる参照極を一室のガラスセルにセットした。GCからなる作用極に印加する電位を、Ag/Ag2SO4に対して−0.65Vに設定し、6時間保持した。これによって、作用極に白金を還元析出させた。この作用極表面の走査型電子顕微鏡像を図4に示す。元素分析を行った結果、同図中の白く見える斑点状粒子が白金であることが確認された。
〔実施例5〕
本実施例は、実施例1での白金溶解槽における白金の溶解において、電解液中でのFeSO4の濃度を100mmol/dm3に増加した例である。これ以外の条件は実施例1と同様にして、白金溶解槽における白金の溶解量を測定した。この結果を図3に示す。
10 白金の回収装置
11 白金源
20 白金溶解槽
21 保持容器
22,25 導線
23 直流電源
24 対極
30 白金回収槽
31 作用極
32 対極
33,35 導線
34 直流電源
40 連通路

Claims (8)

  1. 過酸化水素及び金属イオンを含む電解液に、回収すべき白金を含む白金源及び対極を浸漬した状態下に、白金と該対極との間に電位を印加し、白金の電位を0.1V以上1.5V(対可逆水素電極)に制御して白金を前記電解液中に溶解させ、
    前記電解液中に溶解した白金を、該電解液中に浸漬した状態の作用極に還元析出させることで白金を回収する、白金の回収方法。
  2. 前記金属イオンが遷移金属イオンである請求項1に記載の白金の回収方法。
  3. 前記金属イオンが二価の鉄イオンである請求項2に記載の白金の回収方法。
  4. 前記白金源を、導電性かつ透水性の保持容器内に入れ、該保持容器を介して該白金源に含まれる白金に電位を印加する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の白金の回収方法。
  5. 前記白金源として、使用済みの燃料電池の電極触媒を用いる請求項1ないし4のいずれか一項に記載の白金の回収方法。
  6. 白金溶解槽及び白金回収槽を備えた白金の回収装置であって、
    前記白金溶解槽は、回収すべき白金を含む白金源における白金に電位を印加する手段及び該手段の対極を有し、
    前記白金回収槽は、作用極及び該作用極の対極を有し、
    前記白金溶解槽は、過酸化水素及び金属イオンを含む電解液が該溶解槽に入れられた状態で、前記手段に、0.1V以上1.5V(対可逆水素電極)の電位を印加できるように構成されており、
    前記白金回収槽は、白金が溶解している前記電解液が該回収槽に入れられた状態で、前記作用極に、白金の還元析出が可能な電位を印加できるように構成されている、白金の回収装置。
  7. 前記白金溶解槽と前記白金回収槽とが非連通の状態で別個に配置されており、
    前記白金溶解槽で得られた、白金が溶解した前記電解液を、前記白金回収槽にバッチ方式で供給可能になっている請求項6に記載の白金の回収装置。
  8. 前記白金溶解槽と前記白金回収槽とが連通路を通じて連通しており、
    前記白金溶解槽で得られた、白金が溶解した前記電解液を、前記白金回収槽に流通方式で供給可能になっている請求項6に記載の白金の回収装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015161019A (ja) * 2014-02-28 2015-09-07 株式会社東芝 燃料電池の膜電極接合体からの貴金属の回収法
WO2019211318A1 (en) * 2018-05-02 2019-11-07 Syddansk Universitet Method for dissolving precious metals

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