JP2017008152A - インクおよびそのインクを用いた電磁誘導加熱調理器 - Google Patents

インクおよびそのインクを用いた電磁誘導加熱調理器 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁誘導加熱調理器において、加熱調理を精度よく実行するには調理容器の温度を正確に検知することが課題の一つである。また、トッププレートには高度な意匠性と快適な操作性が求められ、適度な透光性を有するガラスを実現し意匠性と操作性を向上することが第二の課題である。
【解決手段】金は有機化合物あるいはコロイドとして含有し、また、鉄、ビスマス、チタンは有機化合物あるいはコロイドとして含有し、なおかつ、シリコン化合物を含有し、これらの物質を有機溶剤に添加し、さらに、増粘成分を添加して調整したインクおよびそのインクを用いた電磁誘導加熱調理器とすることにより、赤外線透過性と可視光透過性を制御することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線透過性と可視光透過性に優れたインクおよびそのインクを用いて一般家庭用および業務用に使用する電磁誘導加熱調理器に関するものである。
電磁誘導加熱調理器の天面に配置されるトッププレートに載置された調理容器を加熱コイルにより電磁誘導加熱する電磁誘導加熱調理器は、安全、清潔、高効率という優れた特徴が認知され広く普及している。
電磁誘導加熱調理器は、円環状に形成された加熱コイルにインバータ回路を接続し、インバータ回路から加熱コイルへ高周波電流を供給する制御回路を有している。制御回路によってインバータ回路は、加熱コイルに高周波電流を供給することによって、加熱コイルでは高周波磁束が発生する。この高周波磁束を加熱コイルの近傍でトッププレートに載置された鍋等器物に供給することによって、調理容器の底部にうず電流が発生し、そのうず電流と鍋等器物の固有抵抗に基づいて鍋等器物が誘導加熱される。ここで、調理容器(負荷)の温度を検出する手段を備えて、インバータ回路の出力を制御するものがある。
電磁誘導加熱調理器においては、調理容器の温度を検出して所望の温度に自動調節する機能が要求されてきており、特に、油調理などにおいては、過熱による油発火を防止する機能が不可欠なものとなってきているため正確で素早い温度検出手段が不可欠である。
従来、この種の電磁誘導加熱調理器は、耐熱ガラス、または、セラミックをトッププレートとして用い、トッププレート下部の温度を検知して加熱動作を制御している。これはトッププレート下部にサーミスタなど接触式の温度センサーを設けて調理容器の温度がトッププレートを介して検知され、制御回路に信号を送って所定の温度になるように加熱動作を制御するように構成されていたものであり、熱伝導率が高いとは言えない耐熱ガラスやセラミックを介しての熱伝導による温度検知であるため、本方式は必ずしも正確で素早い温度検出手段ではなかった。
このため、近年、トッププレート上に載置された調理容器の温度をより正確に、素早く検出するために赤外線センサーを備えて、インバータ回路の出力を制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。
図3および図4は、特許文献1に記載された従来の電磁誘導加熱調理器を示すものであり、図3および図4は赤外線センサーを備えた電磁誘導加熱調理器の図である。図3および図4において、電磁誘導加熱調理器の外郭を構成する本体1の上部に耐熱ガラス製のトッププレート2が設けられている。
被加熱物である調理容器3はトッププレート2に載置され、その調理容器3の温度を検知するために、トッププレート2の下方には、赤外線センサー4が設けられており、調理容器3からの赤外線を赤外線センサー4に導くための導光部5が備えてられている。
赤外線センサー4はトッププレート2の方向に向けて取り付けられており、 導光部5は調理容器3からの赤外線放射を赤外線センサー4に導光し、赤外線センサー4は温度を検知する。
トッププレート2の下方には、円環状に形成された加熱コイル6へ高周波電流を供給す
るインバータ回路を備えた制御回路7を有している。制御回路7によってインバータ回路は、加熱コイル6に高周波電流を供給することによって、加熱コイル6では高周波磁束が発生する。この高周波磁束を加熱コイル6の近傍でトッププレートに載置された調理容器3に供給することによって、調理容器3の底部にうず電流が発生し、そのうず電流と調理容器3の固有抵抗に基づいて調理容器3が誘導加熱される。
また、図5に示すように、電磁誘導加熱調理器においては、操作内容、調理遂行過程、加熱状態などを電子的な発光で操作部等の表示部21に表示させ、操作を誘導したり、加熱状況を分かりやすくしたり、あるいは、より高い外観性を備えた表示にしたりする試みがある。
従来、電磁誘導加熱調理器における操作部等の表示部21は、本体1の前面に配置されるのが一般的であったが、近年は表示の見易さや操作のし易さ等の理由により天面のトッププレート2への配置に重点を置くものが主流になりつつある。
一例として、誘導加熱が開始されると加熱コイル外周近傍に設けた発光表示部22が点灯するようにしたものがある。
前記従来の電磁誘導加熱調理器の発光表示部は、例えば図5に示すような構成のものがあり(トッププレートのみ図示)、外郭を形成する本体ケースとケース上面に設けられた光を透過させる耐熱ガラスなどの材料で形成されたトッププレート2と、トッププレート2の下部には調理容器3を誘導加熱する加熱コイルが設けられた電磁誘導加熱調理器の本体内に発光部品を備えるものである。
特開2005−038660号公報
上述したように、電磁誘導加熱調理器においては、赤外線センサー4による調理容器3の温度検知を正確に素早く実施することと、光学的な表示によりトッププレート2の操作性と意匠性を向上することが求められている。
しかしながら、これらの要求特性を同時に実現しようとしたときには時として相反する要素を包含している。
通常、赤外線センサー4の検知を良好にしようとすればトッププレート2が良好に赤外線を透過せしめるようにする必要のため、トッププレート2は無色透明か無色透明に近い耐熱ガラスを用い、トッププレート2における赤外線センサー4の配置直上部のセンサー窓には色彩を発する処理を何も施さないことが望ましい。
トッププレート2に何らの色彩処理をしない場合、確かに良好な赤外線透過性は得られるが、無色透明のガラスを通して電磁誘導加熱調理器本体内部の部品構成が露見し、外観上の悪影響を生じることになるため、通常、赤外線センサー配置直上部以外はさまざまな色調の耐熱インクで印刷され意匠性を出している。
しかしながら、赤外線センサー配置直上部においては、トッププレートに色彩を発する処理をする場合には赤外線の透過性を十分に考慮したインクにするとともに、外部からセンサー窓を通じて内部の部品構成が露見しないよう十分に高い可視光遮蔽性を有する必要
があり、つまり、センサー窓部の色彩処理には高い赤外線透過性と低い可視光透過性を同時に実現する必要がある。
さらに、近年、操作部などの表示部は発光ダイオードで火力や操作内容などの情報を電磁誘導加熱調理器使用者に伝えるように構成されている。電磁誘導加熱調理器を操作しない時点にはこれらの表示は不要であり、使用時のみ発光ダイオードから発せられる光により表示内容が鮮明に示されることが望ましく、しかも、センサー窓部と同様に発光ダイオード発光周辺部の諸部品の構成は外部から見えないようにしつつ、なお且つ、発光ダイオードより発せられる可視光は十分に透過することが操作性上も意匠性上も重要になる。
上述のように、トッププレートにおいては、その部位に応じて必要とされる光学特性が異なり、特に、赤外線と可視光の透過度は赤外線センサーの検知性能、操作部などの表示部の表示性、意匠性に大きな影響を及ぼすため、部位に応じて赤外線と可視光を所望の透過率に制御する技術開発が大きな課題であり、ましてや、上記の課題を単一の表面処理で満足させるのは難しく大きな課題であった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、赤外線透過性と可視光透過性を同時に実現するとしたインクおよびそのインクを用いた電磁誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明においては電磁誘導加熱調理器のトッププレート用に赤外線と可視光の透過性を制御する光学特性調整用のインクを発明し、これをトッププレートに処理した電磁誘導加熱調理器としたものである。
本発明の誘導加熱調理器のトッププレートに用いられるインクは光学特性調整用のインクであり、当該インクは、金は有機化合物あるいはコロイドとして含有し、また、鉄、ビスマス、チタンは有機化合物あるいはコロイドとして含有し、なおかつ、シリコン化合物を含有し、これらの物質を有機溶剤に添加し、さらに、増粘成分を添加して調整したものである。
本構成によるインクをトッププレートに印刷して600〜850℃で焼成し、有機成分を除去した後に0.05〜5μm厚さの薄膜形成部を設け、その薄膜内には金、鉄、ビスマス、チタン、シリコンを含有し、膜厚、成分量、焼成条件により、黒、緑、赤等の色彩を呈し、赤外線および可視光の透過性を制御可能となる。
上述のように、本発明のインクを印刷して薄膜形成部を設けたトッププレートは赤外線と可視光を所望の透過率に制御することができるため、赤外線センサー配置部のセンサー窓においては赤外線を良好に透過するので赤外線センサーによる正確で素早い温度検知が可能となり、良好な調理性能が得られるとともに、可視光の透過を適度に抑制するため電磁誘導加熱調理器本体内に配置される部品がセンサー窓を通じで露見することがなく、良好な意匠性が確保されるという効果を奏するものである。
さらに、操作部などの表示部(含む、発光ダイオードの発光表示部)においてトッププレートに本発明のインクを印刷して薄膜形成した場合、発光ダイオード発光時には発光ダイオードより発せられる可視光がトッププレートを透過して使用者に表示を認識せしめることが可能であるため良好な操作性が得られるとともに、薄膜形成部は可視光の透過を抑制しているので外部から本体内部の部品が露見されることがなく、高い意匠性も確保されるという効果を奏するものである。
本発明の実施の形態1における電磁誘導加熱調理器を示す要部断面模式図 本発明の実施の形態1における電磁誘導加熱調理器を示す要部断面模式図 従来の赤外線センサーを備えた電磁誘導加熱調理器の断面図 従来の電磁誘導加熱調理器における赤外線センサー近傍の拡大断面模式図 従来の赤外線センサーを備えた電磁誘導加熱調理器の平面図
本発明においては電磁誘導加熱調理器のトッププレート用に赤外線と可視光の透過性を制御する光学特性調整用のインクを発明し、これをトッププレートに処理したものである。
第1の発明は、金は有機化合物あるいはコロイドとして含有し、また、鉄、ビスマス、チタンは有機化合物あるいはコロイドとして含有し、なおかつ、シリコン化合物を含有し、これらの物質を有機溶剤に添加し、さらに、増粘成分を添加して調整したインクである。
本構成によるインクは無機物質から構成されるため高温焼成が可能であり、焼成中に溶剤や増粘成分が失われ、焼成後は無機物質が主に残存するため、耐熱性が高い塗膜が形成されるので、電磁誘導加熱調理器のトッププレートのように高温に曝される部材に適した耐久性を有するものである。
また、本インクは0.05〜5μm厚さの無機物質を主体とする薄膜を形成することができ、この薄膜によりトッププレートを構成する通常板厚が3〜6mmの耐熱ガラスの応力バランスを維持することができ、高い耐衝撃強度を維持できる。
さらに、その薄膜内には金、鉄、ビスマス、チタン、シリコンを含有し、膜厚、成分量、成分比、焼成条件により、黒、緑、赤等の色彩を呈し、赤外線および可視光の透過性を制御可能となる。
第2の発明は、特に、第1の発明のシリコン化合物として、酸化ケイ素の一形態であるコロイダルシリカ、アエロジル、あるいは、エチルヘキサン酸シリコン、テトラエトキシシラン等のシラン化合物のいずれかを用いたインクである。
上記シリコン含有物質は特に赤外線透過性の高位安定化と色調の安定化に重要な役割を果たすものであり、適量を本発明のインクに加えることにより、光学特性の安定化を図ることができる。
具体的には、焼成後の薄膜中にシリコン量として2.6〜14wt%添加することが望ましいが、2.6wt%未満であれば赤外線透過性能が不安定化し、14wt%を超えると色調が大きく変化し、可視光を透過させ過ぎる傾向が見られ、また、相対的に塗膜内での濃度が高すぎて塗膜の割れや剥離などの問題が生じる傾向がある。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明のインクを透明な結晶化ガラスもしくはホウケイ酸ガラスの少なくとも一部にスクリーン印刷などの手法で印刷後、600〜850℃で焼成し、金、鉄、ビスマス、シリコン、チタンを含有する有色不透明の薄膜形成部を設けたトッププレートを用いた電磁誘導加熱調理器である。
薄膜形成部は無機物質より構成されているので耐熱性が極めて高く、また、0.05〜
5μm厚さの薄膜であるため、トッププレートを構成する耐熱ガラスの応力バランスを維持することができ、高い耐衝撃強度を維持できる。
第4の発明は、特に、第3の発明の薄膜形成部は、波長910〜1550nmの赤外線を70%以上透過させるとともに、波長380〜750nmの可視光領域の透過性は5%以上、30%以下である電磁誘導加熱調理器である。
適切な条件下で焼成され、適切な膜厚を有する薄膜形成部は膜内に金、鉄、ビスマス、チタン、シリコンを含有しているため、これらの元素の配分に応じた光学特性が得られる。
当該薄膜形成部は、波長910〜1550nmの赤外線を70%以上透過させることが可能であり、これによりトッププレート上に載置された調理容器より発せられる赤外線を効率よく透過し、トッププレート直下の赤外線センサーの温度検知を正確且つ素早く実行できる。
また、当該薄膜形成部は、波長380〜750nmの可視光領域の透過性は5%以上、30%以下であるため有色不透明であり、薄膜形成部を通して外部から本体内構成部品を見ることができないが、可視光の透過性を一定程度有しているので本体内に配置された発光ダイオードより発せられる可視光は外部から確認できるので、発光ダイオードによる表示は良好に視認可能である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態のインクは電磁誘導加熱調理器のトッププレートの光学特性を調整するための薄膜形成部を形成するためのものである。
本実施の形態のインクの調合例においては、20%金含有金レジネート10重量部、6%鉄含有トリス(2−エチルヘキサン酸)鉄(III)・ミネラルスピリット液40重量部、25%ビスマス含有2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)2−エチルヘキサン酸溶液10重量部、40%シリカ含有トルエン分散コロイダルシリカ4重量部、7.7%チタン含有チタニウム2−エチルヘキサネート3重量部を原料成分とし、これらを3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールとベンジルアルコールの5:1混合溶剤16.5重量部に添加し、さらに、ロジン16.5重量部を添加して全量100重量部のインクとし印刷に供したが、必要に応じて消泡剤やレベリング剤等の微量添加助剤を加えて印刷性を向上した。
上述のごとき成分を伴うインクはスクリーン印刷により厚さ4mmの透明な結晶化ガラスの上に印刷され、その後800℃、20分間焼成することにより印刷部に薄膜形成部を設けたが、焼成過程においてほぼ全ての有機成分は焼失し、薄膜形成部は金、鉄、ビスマス、シリコン、チタンから成る無機物質を含有して黒緑色の外観を呈する約1μm厚さの膜とした。
なお、インクの原料成分には不純物として塩素やイオウが含まれる場合があるが、特に問題はない。
上記インクの成分において、金(Au)、鉄(Fe)、ビスマス(Bi)、シリコン(Si)、チタン(Ti)の元素を考慮すると、その重量比率として、25.4:30.5
:31.7:9.5:2.9(合計100)となるが、後述するように、この元素比率と膜厚の制御により所望の光学特性をガラスに付与することが可能である。
本実施の形態においては、金は金レジネートを原料成分としたが、金コロイドであっても問題はなく、鉄とビスマスとチタンの原料成分としては樹脂酸金属塩等、他の有機化合物やコロイドとすることも可能である。ここで、本実施の形態において、金は金レジネートを原料成分としたが、金コロイドとしても、前述のインクの調合例において、金レジネートを金コロイドに置き換えることで実施できるものである。
また、シリコンの原料成分としては上述のコロイダルシリカの他、アエロジル、あるいは、エチルヘキサン酸シリコン、テトラエトキシシラン等のシラン化合物のいずれかを用いることが可能であるが、特に、シリコンの添加は赤外線特性の安定化に欠かせない要素であり、他の原料成分との相溶性などを考慮した上での材料選定と添加量の決定が重要である。
シリコンの原料成分としてコロイダルシリカの他、アエロジル等の酸化ケイ素を用いる場合は特に粒径として平均50nm以下のものを用いることにより、インクの印刷性が良好になり、安定した光学特性が得られる。
さらに、本実施の形態においては、インクに増粘成分としてロジンを添加して適度な粘度や成分の分散性を向上させているが、ロジンの他、変性ロジン、セルロース系増粘剤、ヒマシ油、アクリル等合成樹脂などを用いることが可能であるとともに、溶解させるための溶剤成分も樹脂成分の溶解性に応じて変更可能である。
ここで、本実施形態のインクを透明な結晶化ガラスに印刷、焼成して形成した薄膜形成部の光学特性を測定したが、赤外線透過性については波長910〜1550nmでの分光透過率を測定し、可視光透過性については、380〜750nmの分光透過率を測定した結果、赤外線は83%、可視光は26%の透過率となった。
赤外線透過率は低すぎると赤外線センサーの温度検知が正しく成されない可能性が高いので70%以上の透過率が必要であり、一方、可視光透過率は30%以上であると容易に可視光が透過されやすい反面、隠蔽性が低いのでガラスの直下にある本体収納部品が透けて見えて美観を損ねるので30%以内であることが必要であるが、発光ダイオードの光を適度に透過させて良好な表示状態を得るためには最低でも5%以上の可視光透過率が必要とされる。
ここで光学特性についてさらに検討を行った結果、トッププレートの薄膜形成部が、波長910〜1550nmの赤外線透過率70%以上、且つ、波長380〜750nmの可視光の透過率は5%以上30%以下であることを実現するためには、金(Au)、鉄(Fe)、ビスマス(Bi)、シリコン(Si)、チタン(Ti)各元素の比率を精密に設計してインクを調整することが重要となることが判明した。
また、インク中の金(Au)、鉄(Fe)、ビスマス(Bi)、シリコン(Si)、チタン(Ti)の元素としての合計添加量としては100gインク中に6〜10gとなるように調整すると、印刷に適したインクを調整することができ、6g未満となると濃度が薄すぎて色調が出ず、10gを超えると濃度が高すぎて薄膜形成部にクラックを生じることがある。
本実施の形態と同一の原料を用いて各元素の添加量を振った場合の光学特性を(表1)に示すが、(表1)中の元素構成比は金(Au)、鉄(Fe)、ビスマス(Bi)、シリ
コン(Si)、チタン(Ti)を合わせて100重量部とした場合の元素構成である。
また、インク中における溶剤と樹脂成分は合計で25±10重量部、溶剤と樹脂成分重量比は50:50とし、溶剤は3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールとベンジルアルコールの重量比5:1混合溶剤とした。
Figure 2017008152
なお、(表1)中の判定は、波長910〜1550nmの赤外線透過率70%以上、また、波長380〜750nmの可視光の透過率が5%以上且つ30%以下である場合を○判定とした。
以上の結果より、Auは可視光透過性に大きな影響を及ぼすため、23.3wt%以上の存在比率であることが望ましいが、過剰でも光学特性に悪影響が出るので、39.1%以内とすることが望ましい。
FeはAuとともに光の透過を制御するための重要成分であり、Au/Feの比率は0.7〜1.6程度が望ましいが、Feは赤外透過の選択性があり、多い方が好ましいが、過剰であると色調が赤味を増し、可視光の透過が高まってしまう。このため、FeはAuとの混合使用により適度に色調を調整し、可視光および赤外線透過の最適化を図ることが出来る。
また、Biは膜形成に重要な成分であり、20wt%未満では成膜性が悪化するので少なくとも20wt%の含有が望ましいが、添加量が多いと他の元素が相対的に減ることに
なり光学特性に悪影響を及ぼす可能性があるので35.6%以内とすることが望ましい。
さらに、Tiは多過ぎても少なすぎても赤外線透過率と可視光透過率双方に悪影響があり、1.2〜4.5wt%が適正値である。
本実施の形態において、Siは特に光学特性を安定化させるための重要な微量添加元素であることが判明しているが、上述のAu、Fe、Bi、Tiの存在比率を守った上で、2.6〜14.0wt%のSi添加を行うことにより、赤外線の透過率が向上且つ安定化し、さらに、所望の可視光透過率にすることが可能である。
Siは2.6wt%を下回ると赤外線透過率が70%を下回り、所望の検知性能を得られない一方、14.0wt%を上回ると可視光透過率が増し所望の隠蔽性が得られない可能性が高く、また、印刷性能にも悪影響を及ぼしてくるので、Siの添加量は2.6〜14.0wt%とすることが必要である。
次に、本実施の形態で得られたインクを電磁誘導加熱調理器に適用した形態を以下に図1と図2を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における電磁誘導加熱調理器を示す要部断面模式図、図2は、本発明の実施の形態1における電磁誘導加熱調理器を示す要部断面模式図である。
ここで、(表1)のNo.1で示される、波長910〜1550nmの赤外線透過率が83%、380〜750nmの可視光透過率が26%となる本実施の形態のインクを厚さ4mmのトッププレート用の透明な結晶化ガラス下面において、センサー窓部24および操作部などの表示部21にスクリーン印刷後、800℃で20分間焼成して黒緑色の薄膜形成部25を形成したトッププレート2を電磁誘導加熱調理器の本体1に組み付けて性能を確認した。
なお、図1は、特に、センサー窓部24の近傍における光透過性の断面模式図を示し、図2は、特に、表示部21の近傍における光透過性の断面模式図を示している。センサー窓部24と操作部等の表示部21以外(換言すると、薄膜形成部25以外)は、トッププレート2の基材である結晶化ガラスの下面または上面に全面隈なく結晶化ガラスの無色透明部が無いように通常印刷部30を設けている。
図1に示すセンサー窓部24における薄膜形成部25の下方には、赤外線センサー4が配置されている。また、図2に示す操作部等の表示部21における薄膜形成部25の下方には、発光ダイオード26が配置されている。
この結果、本体1内の赤外線センサー4は極めて感度よく調理容器3の温度を検知することが確認できたとともに、センサー窓部24や操作部などの表示部21においても可視光の透過性が抑制制御されているので隠蔽性が高く、結晶化ガラスの直下の本体収納部品が透けて見えることはなく、表示部21においては本体1内部に配置された発光ダイオード26の光を適度に透過させて必要時に良好な表示状態を得ることができ、高い操作性と美観を実現した。
以上のように、本実施の形態においては電磁誘導加熱調理器のトッププレート用に赤外線と可視光の透過性を制御する光学特性調整用のインクを得ることが出来、この得られたインクをトッププレートに処理したものである。
本実施の形態では、金は有機化合物あるいはコロイドとして含有し、また、鉄、ビスマス、チタンは有機化合物あるいはコロイドとして含有し、なおかつ、シリコン化合物を含
有し、これらの物質を有機溶剤に添加し、さらに、増粘成分を添加して調整したインクである。
本構成によるインクは無機物質から構成されるため高温焼成が可能であり、焼成中に溶剤や増粘成分が失われ、焼成後は無機物質が主に残存するため、耐熱性が高い塗膜が形成されるので、電磁誘導加熱調理器のトッププレートのように高温に曝される部材に適した耐久性を有するものである。
また、本インクは0.05〜5μm厚さの無機物質を主体とする薄膜を形成することができ、この薄膜によりトッププレートを構成する通常板厚が3〜6mmの耐熱ガラスの応力バランスを維持することができ、高い耐衝撃強度を維持できる。
さらに、その薄膜内には金、鉄、ビスマス、チタン、シリコンを含有し、膜厚、成分量、成分比、焼成条件により、黒、緑、赤等の色彩を呈し、赤外線および可視光の透過性を制御可能となる。
なお、前記実施の形態では、インクをトッププレート用の結晶化ガラスに印刷する構成を説明したが、結晶化ガラスに換えてホウケイ酸ガラスを用いても良い。
以上のように、本発明にかかるインクおよび電磁誘導加熱調理器は、赤外線透過性と可視光透過性を制御することができるので、電磁誘導加熱調理器に限らず温度検知手段を備え、なお且つ、発光手段を使用して発光表示するさまざまな装置に適用できる。
1 本体
2 トッププレート
3 調理容器
4 赤外線センサー
21 表示部
24 センサー窓部
25 薄膜形成部
26 発光ダイオード

Claims (4)

  1. 金は有機化合物あるいはコロイドとして含有し、また、鉄、ビスマス、チタンは有機化合物あるいはコロイドとして含有し、なおかつ、シリコン化合物を含有し、これらの物質を有機溶剤に添加し、さらに、増粘成分を添加して調整したインク。
  2. シリコン化合物として、酸化ケイ素の一形態であるコロイダルシリカ、アエロジル、あるいは、エチルヘキサン酸シリコン、テトラエトキシシラン等のシラン化合物のいずれかを用いた請求項1に記載のインク。
  3. 請求項1または2に記載のインクを透明な結晶化ガラスもしくはホウケイ酸ガラスの少なくとも一部に印刷、焼成し、金、鉄、ビスマス、シリコン、チタンを含有する有色不透明の薄膜形成部を設けたトッププレートを用いた電磁誘導加熱調理器。
  4. 薄膜形成部は、波長910〜1550nmの赤外線を70%以上透過させるとともに、波長380〜750nmの可視光領域の透過性は5%以上、30%以下である請求項3に記載の電磁誘導加熱調理器。
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