JP2017008122A - ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いて得られる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】構成するポリエステル樹脂組成物への分散性や親和性を高め、カルボジイミド化合物を失活させず、増粘を抑え、品位に優れた成形体ができるポリエステル樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)及びカルボジイミド化合物(C)を含有するポリエステル樹脂組成物。ポリエステル樹脂(A)はガラス転移温度が20〜130℃の非晶性ポリエステル樹脂であり、ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(C)の質量比(A/C)が10/90〜85/15であり、ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(C)の合計100質量部に、ポリエステル樹脂(B)を50〜300質量部含有するポリエステル樹脂組成物。ポリエステル樹脂(B)が220℃以下の融点を持ち、ポリエステル樹脂(A)及び(B)が共重合成分として有機スルホン酸金属塩化合物を含有するポリエステル樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂とカルボジイミド化合物を含有するポリエステル樹脂組成物に関する。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)やポリエチレンテレフタレートボトル(PETボトル)などのポリエステル樹脂から成形された成形体は、透明性、耐熱性に優れることから、各種包装、工業用途で使用されている。そして、ポリエステル樹脂の加水分解を抑制するために、従来から、カルボジイミド化合物が、ポリエステル樹脂の添加剤として広く使用されてきた。
添加剤として使用されるカルボジイミド化合物は、ハンドリング性を高めるために、ペレット状に押し固められたものが用いられてきた。しかし、カルボジイミド化合物は、ポリエステル樹脂に対する分散性や親和性が劣り、結果的に相溶しないため、カルボジイミド化合物を添加して得られたポリエステル樹脂成形体は、透明性が損ねられることがあり、また耐加水分解性を十分に高めることができなかった。また、PETフィルムの製造においては、延伸時にフィルムが破断したり、製造されたPETボトルにおいては、カルボジイミド化合物がゲルや粒状の未溶融物等の原因となることがあった。
カルボジイミド化合物の相溶性を向上させるために、カルボジイミド化合物を熱可塑性樹脂に高濃度に含有させたマスターバッチを調製しておき、これをポリエステル樹脂の溶融成形時に添加する方法がある(例えば、特許文献1)。
PETフィルム等の製造においても、加水分解に対する耐久性を高めるために、カルボジイミド化合物を含有するマスターバッチペレットを用いることがあった。前記カルボジイミド化合物はハンドリング性を高めるため、ペレット状に押し固めたものを用いてきた。ところが、カルボジイミド化合物は単独ではポリエチレンテレフタレートに対する分散性や親和性が劣り、結果的に相溶せず、透明性を損ねたり、耐加水分解性を十分に高めることができなかった。また、ポリエステルフィルムにおいては延伸時に破断したり、ポリエステルボトルにおいてはゲルやブツ等の欠陥となることがあった。
相溶性を上げるために、ポリエチレンテレフタレートとカルボジイミドからなるマスターバッチなども検討されているが、マトリックスとして用いるポリエチレンテレフタレートの融点は254℃であり、マスターバッチの溶融加工時には260℃くらいまで温度を高くする必要があり、その溶融加工時に少なからずポリエステルが加水分解を起こす懸念があった。加水分解後のポリエステル末端に対しカルボジイミド化合物が反応するため、本来目的とするマスターバッチ添加後の成形体における耐加水分解性を十分に発現することができなかった。
溶融加工時の加水分解を低減するために、マトリックスとして用いる樹脂の融点を220℃以下にすることも検討されているが、反応して得られたマスターバッチ中のカルボジイミド濃度が高くなることから、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートボトル等の成形体を構成する樹脂組成物に添加した際に、カルボジイミド基と成形体を構成する樹脂組成物中のカルボキシル基が反応し、樹脂組成物が増粘することにより、ポリエステルフィルムにおいては延伸時に破断したり、ポリエステルボトルにおいてはゲルやブツ等の欠陥となることがあった。
特開2013−49790号公報
本発明は、上記のような問題点を解決し、成形体を構成するポリエステル樹脂組成物への分散性や親和性を高めた上で、カルボジイミド化合物を失活させることなく、増粘を抑えることができ、品位に優れた成形体を得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)及びカルボジイミド化合物(C)を含有するポリエステル樹脂組成物であって、ポリエステル樹脂(A)はガラス転移温度が20〜130℃の非晶性ポリエステル樹脂であって、ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(C)の質量比(A/C)が10/90〜85/15であり、ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(C)の合計100質量部に対して、ポリエステル樹脂(B)を50〜300質量部含有してなることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
(2)ポリエステル樹脂(B)は融点を有し、融点が220℃以下である(1)記載のポリエステル樹脂組成物。
(3)ポリエステル樹脂(A)が、共重合成分として有機スルホン酸塩化合物を0.05〜10モル%含有する(1)又は(2)記載のポリエステル樹脂組成物。
(4)ポリエステル樹脂(B)樹脂が、共重合成分として有機スルホン酸金属塩化合物を0.1〜20モル%含有する(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を含有することを特徴とする樹脂ペレット。
(6)(5)記載の樹脂ペレットを熱可塑性樹脂に含有させて溶融成形されたことを特徴とする成形体。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、カルボジイミド化合物が均一に分散されているため、成形体を構成するポリエステル樹脂組成物への分散性や親和性に優れ、かつ、カルボジイミド化合物を失活させることなく、増粘を抑えることができる。このため、本発明のポリエステル樹脂組成物を用いると、品位に優れ、耐加水分解性にも優れた成形体を得ることが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)及びカルボジイミド化合物(C)を含有するものであり、この樹脂組成物を含有する樹脂ペレットは、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂(以下、マトリックス樹脂ということがある)を成形する際に、カルボジイミド化合物のマスターバッチとして添加して、成形体の耐加水分解性を向上させることができる。
<ポリエステル樹脂(A)>
本発明のポリエステル樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂(A)は、主として、ジカルボン酸成分、グリコール成分から構成されるものであり、これらの変性体を含むものである。
ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等の脂環式ジカルボン酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は単独使用あるいは2種以上の併用が可能である。
前記したジカルボン酸の中でも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸やイソフタル酸を用いることが好ましく、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸やイソフタル酸の含有量は、30モル%以上であることが好ましく、いずれか一方もしくは両者を合計した含有量が50モル%以上であることがより好ましく、さらには70モル%以上であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)を構成するグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロブタンジメタノール等の脂環族グリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコール;2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのようなビスフェノール類(ビスフェノールA)のアルキレンオキシド付加体やビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのようなビスフェノール類(ビスフェノールS)のアルキレンオキシド付加体等も使用することができる。
前記したグリコール成分の中でも、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、イソソルビド等が好ましく、中でもエチレングリコールやネオペンチルグリコールが好ましく、これらの含有量は、いずれか一方もしくは両者を合計した含有量が50モル%以上であることがより好ましく、さらには70モル%以上であることが好ましい。
本発明において、ポリエステル樹脂(A)は、上記ジカルボン酸成分が2種以上のジカルボン酸で構成されるか、またはグリコール成分が2種以上のグリコールで構成されることが好ましく、ジカルボン酸成分とグリコール成分の両方が、それぞれ2種以上で構成されていてもよい。
本発明において、ポリエステル樹脂(A)は、有機スルホン酸塩化合物を共重合成分として含有することが好ましい。有機スルホン酸塩化合物を共重合成分として含有する共重合ポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂組成物を使用することによって、成形体を構成する樹脂組成物の粘度上昇を抑制することができる。
有機スルホン酸塩化合物としては、スルホン酸塩を有するジカルボン酸、スルホン酸塩を有するグリコ−ルが挙げられる。
有機スルホン酸塩化合物の共重合量は、ポリエステル樹脂(A)の0.05〜10モル%であることが好ましく、0.15〜7.5モル%であることがより好ましく、0.25〜5モル%であることがさらに好ましい。有機スルホン酸塩化合物の含有量が0.05モル%未満では、成形体の粘度上昇抑制効果が十分でなく、一方、有機スルホン酸塩化合物の含有量が10モル%を超えると、得られる成形体の耐加水分解性が低下することがある。
有機スルホン酸塩化合物をポリエステル樹脂(A)に共重合するため使用する原料としては、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホテレフタル酸などが挙げられる。また、上記ジカルボン酸にエチレングリコールなどを付加させた3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸リチウム等のジグリコールエステルや、上記ジカルボン酸にメタノールなどを付加させた5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホテレフタル酸ジメチル、5−カリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチル等のジカルボン酸のエステルが挙げられる。
また、上記以外に、2−スルホ−1,4−ブタンジオ−ル、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘキサンジオ−ル等のグリコールの金属塩化合物が挙げられる。
中でも、粘度上昇抑制効果と耐加水分解性付与のバランスが良い点で、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステル等を原料として使用することが好ましく、粘度上昇抑制を効果的に付与できる点で5−ナトリウムスルホイソフタル酸を原料として使用することが特に好ましい。
また、ポリエステル樹脂(A)には、必要に応じて、ヒドロキシカルボン酸を共重合してもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−(β−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸類、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトン等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸を共重合する場合、共重合量は、全ジカルボン酸成分の20モル%以下とすることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂(A)には、少量であれば、3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコール、モノカルボン酸、モノアルコールを共重合してもよい。
3官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、3官能以上のアルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。
3官能以上のカルボン酸や3官能以上のアルコールを共重合する場合、共重合量は、全ジカルボン酸成分や全グリコール成分に対して、それぞれ5モル%以下であることが好ましく、4モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。3官能以上のカルボン酸や3官能以上のアルコールの共重合量が5モル%を超えると、得られるマスターバッチを用いて成形体に加工する際に、延伸性等の加工性を損ねることがある。
ポリエステル樹脂(A)に共重合するモノカルボン酸としては、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、モノアルコールとしては、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。モノカルボン酸、モノアルコールを共重合する場合、共重合量は、全ジカルボン酸成分、全グリコール成分に対して、それぞれ0.2〜20モル%であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)は、非晶性のポリエステル樹脂であり、ガラス転移温度が20〜130℃であることが必要であり、中でもガラス転移温度が30〜120であることが好ましく、さらには40〜110℃であることが好ましい。ガラス転移温度が20℃未満であると、得られた樹脂組成物をマスターバッチとして取扱う際にブロッキング等の懸念があり、作業性を低下させることがある。また、ガラス転移温度が130℃を超えると、溶融混練する際の溶融粘度が高く作業性が低下するばかりか、せん断発熱により不必要に混練温度が高くなることで、ポリエステル樹脂の加水分解が起こりカルボジイミド化合物を失活させる懸念が高まる。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、共重合するモノマーを適宜選択することにより、上記範囲に制御することができる。
ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は1000〜20000であることが好ましく、1500〜15000であることがより好ましく、2000〜10000であることがさらに好ましく、2500〜5000であることが最も好ましい。ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が1000未満であると、得られるポリエステル樹脂組成物は、マスターバッチとして用いたときに、相溶性が不足し、成形体の透明性を損ねることがある。一方、ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が20000を超えると、カルボジイミド化合物と混合して溶融混練する際の溶融粘度が高くなり、作業性が低下するばかりか、せん断発熱により必要以上に混練温度が高くなることで、ポリエステル樹脂(A)の加水分解が起こり、前述のように、カルボジイミド化合物の一部が反応する懸念が高まる。また数平均分子量が高いとポリエステル樹脂組成物におけるエステル基濃度が高まるため、耐加水分解性が低下する傾向がある。
ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量を制御する方法としては、重合時のポリエステル溶融物を所定の粘度で重合を終了する方法、分子量の高いポリエステルを製造したのち解重合剤を添加して分子量を制御する方法、モノアルコールやモノカルボン酸を添加する方法等が挙げられる。中でも、所定の粘度で重合を終了する方法が好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、ポリエステル樹脂変性体を含有してもよい。ポリエステル樹脂変性体としては、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルエステル、アクリル変性ポリエステル樹脂などが挙げられる。得られる成形体の耐加水分解性向上の観点から、有機ジイソシアネート成分により変性されたポリエステルポリウレタン樹脂が好ましい。なお、ポリエステルポリウレタン樹脂を使用すると、カルボジイミド化合物による架橋密度が高まるため、得られる成形体は、上記のように耐加水分解性が向上するが、熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを使用してフィルムを製膜するときには、ポリエチレンテレフタレートとの相溶性が低下して、延伸性に劣ることがある。
本発明で用いるポリエステルポリウレタン樹脂は、上記成分から構成されるポリエステル樹脂に有機ジイソシアネート成分を付与することにより得られる。
有機ジイソシアネート成分として、公知のイソシアネートを用いることができる。具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4′−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4′−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネートなどのイソシアネートが挙げられる。中でも反応性、耐候性などの観点から、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好適に用いられる。
これらの有機ジイソシアネートは、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリエステルポリウレタン樹脂におけるポリエステル樹脂成分含有量は40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。ポリエステルポリウレタン樹脂中のポリエステル樹脂成分の含有量が少ないと、得られる成形体において耐加水分解性向上効果が十分でないことがある。
ポリエステルポリウレタン樹脂は、公知の方法で製造することができる。例えば、共重合ポリエステル樹脂と有機ジイソシアネートを溶剤中で溶液重合する方法などが挙げられる。溶液重合では、予め得られた共重合ポリエステル樹脂をトルエンなどの汎用溶剤に溶解した後、有機ジイソシアネート成分とウレタン化触媒を仕込み、40〜80℃で反応させて、ポリエステルポリウレタン樹脂を得ることができる。また、ウレタン化の反応性を高めるために、共重合ポリエステル樹脂に対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることが好ましい。ウレタン化触媒としては、ジブチルチンジラウレート、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物、トリエチレンジアミンなどのアミン系のものが挙げられる。
<ポリエステル樹脂(B)>
本発明で用いるポリエステル樹脂(B)は、主として、ジカルボン酸成分、グリコール成分から構成されるものであり、これらの変性体を含むものである。
ポリエステル樹脂(B)を構成するジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等の脂環式ジカルボン酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸が挙げられる。これらの多塩基酸成分は単独使用あるいは2種以上の併用が可能である。
前記したジカルボン酸の中でも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用いることが好ましく、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の含有量は、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましい。
そして、ポリエステル樹脂(A)と同様に、有機スルホン酸塩化合物を共重合成分として含有することが好ましい。有機スルホン酸塩化合物を共重合成分として含有するポリエステル樹脂(B)を含有するポリエステル樹脂組成物を使用することによって、成形体を構成する樹脂組成物の粘度上昇を抑制することができる。
有機スルホン酸塩化合物としては、上記したポリエステル樹脂(A)と同様のものを用いることが好ましい。有機スルホン酸塩化合物の共重合量は、ポリエステル樹脂(B)の0.1〜20モル%であることが好ましく、0.3〜10モル%であることがより好ましく、0.5〜5モル%であることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂(B)を構成するグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロブタンジメタノール等の脂環族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上のアルコール、等が挙げられる。さらに、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのようなビスフェノール類(ビスフェノールA)のアルキレンオキシド付加体やビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのようなビスフェノール類(ビスフェノールS)のアルキレンオキシド付加体等も使用することができる。これらの多価アルコール成分は単独使用あるいは2種以上の併用が可能である。
前記したグリコール成分の中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等が好ましく、そして、いずれか一方もしくは両者を合計した含有量が50モル%以上であることが好ましく、さらには、60モル%以上であることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂(B)には、必要に応じて、ヒドロキシカルボン酸を共重合してもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−(β−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸類、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトン等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸を共重合する場合、全ジカルボン酸成分に対して、ヒドロキシカルボン酸の共重合量は20モル%以下とすることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂(B)には、少量であれば、モノカルボン酸、モノアルコール、3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコールを共重合してもよい。3官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、3官能以上のアルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。ただし、3官能以上の多塩基酸を用いる場合、共重合ポリエステル樹脂の多塩基酸成分中、5モル%以下であることが好ましく、4モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコールの含有量が5モル%を超えると、得られるマスターバッチを用い、成形体を加工する際の延伸性等加工性を損ねることがある。
モノカルボン酸としては、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、モノアルコールとしては、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。モノカルボン酸、モノアルコールを共重合する場合、それぞれの共重合量は、全ジカルボン酸成分、全グリコール成分に対して、0.2〜20モル%とすることが好ましい。
前記ポリエステル樹脂(B)は、融点を有する結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましく、中でも融点が220℃以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(B)は、融点が220℃以下であることが好ましく、30〜210℃であることがより好ましく、40〜200℃であることがさらに好ましく、50〜195℃であることが最も好ましい。融点が220℃を超えると、カルボジイミド化合物との溶融混合時の混練温度が高くなり過ぎ、ポリエステル樹脂(B)の加水分解が起こり、カルボジイミド化合物の一部が反応する懸念が高まる。また、融点が30℃未満であると、得られたマスターバッチを取扱う際にブロッキング等の懸念があり、作業性が低下することがある。
ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量は3000〜20000とすることが好ましく、4000〜18000であることがより好ましく、5000〜16000であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量が3000未満であると、得られるポリエステル樹脂組成物の分子量が低く、樹脂組成物をペレット状で得る事ができず作業性が著しく低下する。一方、ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量が20000を超えると、カルボジイミド化合物と混合して溶融混練する際の溶融粘度が高くなり、作業性が低下するばかりか、せん断発熱により必要以上に混練温度が高くなることで、ポリエステル樹脂(B)の加水分解が起こり、前述のように、カルボジイミド化合物の一部が反応する懸念が高まる。また数平均分子量が高いとポリエステル樹脂組成物におけるエステル基濃度が高まるため、耐加水分解性が低下する傾向がある。
ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量を制御する方法としては、重合時のポリエステル溶融物を所定の粘度で重合を終了する方法、分子量の高いポリエステル樹脂を製造したのち解重合剤を添加して分子量を制御する方法、モノアルコールやモノカルボン酸を添加する方法等が挙げられる。中でも、所定の粘度で重合を終了する方法が好ましい。
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)を得るための製造方法としては、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法が挙げられる。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、180℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める。エステル化反応および重縮合反応の際には、触媒を用いてもよい。触媒としては、テトラブチルチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、アルミニウム化合物等の金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物等が挙げられる。触媒の使用量は、酸成分1モルに対し、0.1×10−4〜100×10−4モルとすることが好ましい。
<カルボジイミド化合物(C)>
本発明のポリエステル樹脂組成物を構成するカルボジイミド化合物(C)は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に有する化合物であり、分子内に有するカルボジイミド基の数により、モノカルボジイミド、ポリカルボジイミドに分類される。
分子内に1個のカルボジイミド基を有するモノカルボジイミドとしては、例えば、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジ−tert−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリル−N′−フェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−フェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−トリルカルボジイミド、N−トリル−N′−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−トリルカルボジイミド、N,N′−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N′−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−トリルカルボジイミド等の芳香族モノカルボジイミド、N,N′−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N′−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド等の脂肪族/または脂環族モノカルボジイミドが挙げられる。
同一分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミドとしては、例えば、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(4,4′−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド等が挙げられる。
ポリカルボジイミドは、上述のモノカルボジイミドをポリマー化させて製造することができ、また市販品を用いることもできる。ポリカルボジイミドの市販品としては、例えば、ラインヘミー社製スタバックゾールP、ラインヘミー社製スタバックゾールP−100、ラインヘミー社製スタバックゾールP−400などの芳香族ポリカルボジイミド、日清紡ケミカル社製LA−1、日清紡ケミカル社製HMV−15CAなどの脂肪族/または脂環族ポリカルボジイミドを挙げることができる。
ポリカルボジイミドの製造方法として、上記の方法以外に、有機ジイソシアネートを用いて製造する方法が挙げられる。有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート等の各種有機ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができる。
有機ジイソシアネートとしては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネート等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら有機ジイソシアネートの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネートが好ましい。
カルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するために、モノイソシアネート等の末端封止剤を使用することができる。モノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、カルボジイミド化合物の末端封止剤として、上記モノイソシアネート以外に、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物を使用してもよい。活性水素化合物としては、脂肪族、芳香族、脂環族の化合物の中で、メタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級アミン、コハク酸、安息香酸、ジクロヘキサンカルボン酸等のカルボン酸、エチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等のチオール類やエポキシ基を有する化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、カルボジイミド化合物(C)は、ポリエステル樹脂との反応性を高めるため、末端にイソシアネート基を含有していることが好ましい。そのため、上記のような末端封止剤を用い、ポリカルボジイミドの末端イソシアネートを封止する場合であっても、末端にイソシアネート基を適度に残存させることが好ましい。具体的には、カルボジイミド化合物における末端イソシアネートの含有量は、0質量%より多く15質量%未満であることが好ましく、0.1〜12質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましい。
末端のイソシアネート基の含有量が0質量%であるカルボジイミド化合物においては、ポリエステル樹脂の末端ヒドロキシル基とイソシアネート基の反応が起こらない。したがって、マスターバッチにこのカルボジイミド化合物を用いた場合、マトリックス樹脂との相溶性、分散性が低下するため、得られる成形体は、不均一で、強度が低下することがある。
一方、末端のイソシアネート基が15質量%以上であるカルボジイミド化合物においては、ポリエステル樹脂(A)の末端ヒドロキシル基とイソシアネート基が過剰に反応し、架橋密度が高くなることで、マスターバッチにこのカルボジイミド化合物を用いた場合、マトリックス樹脂への分散性が低下したり、フィルム成形時に延伸性などが低下することがある。
本発明において、ポリカルボジイミド化合物の分子量は、1000〜10000であることが好ましく、1000〜9000であることが好ましく、1000〜8000であることがさらに好ましい。分子量が1000以下のポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド基濃度が低いので、ポリエステル樹脂組成物に多量添加しなければならず、マトリックス樹脂との相溶性が低下したり、得られる成形体は強度が低下することがある。一方、ポリカルボジイミド化合物は、分子量が10000を超えると、マトリックス樹脂との相溶性、分散性が低下するため、得られる成形体が不均一となり、強度が低下することがある。
ポリカルボジイミド化合物において、分子中のカルボジイミド基数は、2〜100であることが好ましく、2〜80であることがより好ましく、2〜60であることがさらに好ましい。カルボジイミド基数が2未満のモノカルボジイミドでは、ポリエステル樹脂などのエステル結合を持ったマトリックス樹脂などが加水分解する時に生成するカルボキシル基をトラップする効果が低下し、得られる成形体は、耐加水分解性が低下することがある。一方、ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド基数が100を超えると、架橋密度が上がり過ぎることがあり、得られるポリエステル樹脂組成物が不均一となったり、ゲル化する場合があり、このポリエステル樹脂組成物をマスターバッチとして用いてPETフィルム等を製膜すると、延伸性が低下して、フィルムが破断することがある。
ポリカルボジイミド分子中のカルボジイミドの個数であるカルボジイミド基数は、ジイソシアネート化合物から得られたポリカルボジイミドであれば、(重合度−1)に相当する。例えば、21個のジイソシアネート化合物が鎖状につながって得られたポリカルボジイミドの重合度は21であり、分子鎖中のカルボジイミド基数は20である。通常、ポリカルボジイミドは、種々の重合度を有する分子の混合物であり、カルボジイミド基数は、平均値で表される。カルボジイミド基数は、13C−NMR、IR、GPC、滴定法またはそれらの組合せ等により測定でき、カルボジイミド基数として把握することが可能である。なお、13C−NMRでは130から142ppmに、IRでは2130〜2140cm−1にピークを観察することが可能である。
<ポリエステル樹脂組成物>
本発明のポリエステル樹脂組成物において、ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(C)の質量比(A/C)は、10/90〜85/15であることが必要であり、20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜75/25であることがより好ましい。両者の質量比が上記範囲内であると、ポリエステル樹脂組成物中のカルボジイミド化合物の分散性を向上させることができる。ポリエステル樹脂(A)の含有量が10未満であると、カルボジイミド化合物(C)の含有量が過多になるため、カルボジイミド化合物(C)の分散性が悪くなり、得られるポリエステル樹脂組成物を含有する樹脂ペレットを含有して成形された成形体は、延伸性などの加工性に劣るものとなり、耐加水分解性も低下することがある。一方、ポリエステル樹脂(A)の含有量が85を超えると、カルボジイミド化合物(C)の含有量が少なくなりすぎるため、成形体に十分な耐加水分解性を付与することができない。
そして、ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(C)の合計100質量部に対して、ポリエステル樹脂(B)を50〜300質量部含有することが必要であり、中でも、70〜200質量%であることが好ましく、90〜150質量%であることがより好ましい。ポリエステル樹脂(B)の含有量が50質量部未満であると、樹脂組成物中のカルボジイミド濃度が高くなることから、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートボトル等の成形体に添加した際に、カルボジイミド基と成形体を構成する樹脂組成物中のカルボキシル基が反応し、樹脂が増粘することにより、ポリエステルフィルムにおいては延伸時に破断したり、ポリエステルボトルにおいてはゲルやブツ等の欠陥となる場合がある。ポリエステル樹脂(B)の含有量が300質量部より多いと、樹脂組成物中の有効となるカルボジイミド基濃度が低くなるため、ポリエステル樹脂(B)が成形体を構成するポリエステル樹脂組成物中に増える事に起因して、得られる成形体が不均一となったり、成形体の強度低下が起こることがある。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(C)を溶融混練し、両者を所定量含有するポリエステル樹脂組成物(1)を作製し、次に、ポリエステル樹脂組成物(1)とポリエステル樹脂(B)とを溶融混練して、それぞれの成分を所定量含有するポリエステル樹脂組成物(2)を作製することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、発明の効果を損なわない範囲で、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、架橋剤、酸化防止剤、粘度調整剤、増量剤、染料、顔料、UV吸収剤、空隙形成剤、潤滑剤、ラジカル捕捉剤、熱安定剤、難燃剤、阻害剤、ブロッキング防止剤、表面活性剤、スリップ助剤、光沢向上剤、分解促進剤、粘度調整剤、分散安定剤等が挙げられる。
<樹脂ペレット>
本発明の樹脂ペレットは、上記した本発明のポリエステル樹脂組成物を含有するものである。前記二軸混練押出機等を用い溶融混練した後に、ダイの口金よりストランド状に引き取り、冷却した後、ペレタイズすることで製造することができる。
溶融混練を行う場合の混練温度は220℃以下であることが好ましい。混練温度を220℃以下に設定しても、溶融混練時のせん断発熱によって、樹脂温度が220℃を超える場合があるので、樹脂温度が220℃を超えないように、樹脂温度をモニターしながら、スクリュー回転数や吐出量を制御して、溶融混練を行うことが好ましい。また、用いるポリエステル樹脂(A)として、融点またはガラス転移温度が低めのものを用いることによって、溶融混練時のせん断発熱を低減することが可能となる。
得られた樹脂ペレットは、マスターバッチとして使用することができる。マスターバッチは必要に応じて乾燥などの熱処理を行ってもよい。
<熱可塑性樹脂>
上記樹脂ペレットは、ポリエステル樹脂等の各種熱可塑性樹脂(マトリックス樹脂)に混合した後、溶融成形することで成形体とすることができる。なお、本発明の樹脂ペレットは、ポリエステル樹脂(A)、(B)を用いているため、ポリエチレンテレフタレート等ポリエステル系のマトリックス樹脂に対し、特に好適に用いることができるが、特にポリエステル系のマトリックス樹脂に限定されるものではなく、相溶性等、問題の起きない範囲で広範に用いることができる。
マトリックス樹脂の酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましく、8mgKOH/g以下であることがより好ましく、6mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。マトリックス樹脂は、酸価が10mgKOH/gを超えると、混合するマスターバッチ中のカルボジイミド基が反応することで、耐加水分解性に寄与する有効カルボジイミド基濃度が低下し、期待する耐加水分解性が得られない場合がある。
<成形体>
本発明の成形体は、マトリックス樹脂として用いる熱可塑性樹脂に、樹脂ペレットを含有させて溶融成形したものであり、樹脂ペレットに含有するカルボジイミド化合物により、優れた耐加水分解性を有するものとなる。
このような効果は、特にマトリックス樹脂がポリエステル系樹脂である場合に有効的に発現する。耐加水分解性をさらに向上させるため、樹脂ペレットの添加量は、マトリックス樹脂のポリエステル樹脂のエステル基濃度(a当量/トン)と、マスターバッチを構成するポリエステル樹脂(A)のエステル基濃度(b当量/トン)の合計に対する、カルボジイミド化合物(B)のカルボジイミド基濃度(c当量/トン)との比(c/(a+b))は、0.1〜1.5であることが好ましく、0.2〜1.3であることがより好ましく、0.3〜1.1であることがさらに好ましく、0.5〜1.0であることが最も好ましい。比(c/(a+b))が0.1未満であると、期待する耐加水分解性が得られず、1.5を超えると、成形体におけるカルボジイミド基が過剰反応し、熱安定性の低下を引き起こしたり、ゲル化する場合があり、フィルムの製膜を行う場合に、延伸性が低下したり、破断することがある。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例および比較例で得られたポリエステル樹脂の評価に用いた測定法は次の通りである。
1.評価方法
(1)ポリエステル樹脂の数平均分子量
送液ユニット(島津製作所社製「LC−10ADvp型」)および紫外−可視分光光度計(島津製作所社製「SPD−6AV型」)を用い、GPC分析により求めた。なお、分析条件は検出波長が254nmであり、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、ポリスチレン換算により求めた。
(2)ポリエステル樹脂の組成
NMR測定装置(日本電子社製「JNM−LA400型」)を用い、1H−NMR測定を行って、それぞれの共重合成分の組成を求めた。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
(3)ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)
JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製「ダイヤモンドDSC」)を用い、20℃から300℃まで10℃/分で昇温させたチャートから、ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)を読み取った。
(4)樹脂ペレットとポリエステル樹脂(マトリックス樹脂)の相溶性
実施例、比較例で得られたフィルムの外観を目視観察した。下記評価基準にて判断をした。
〇:透明性に優れる。
△:透明ではあるが、混合したマスターバッチの分散が不均一であり、揺らぎ感を有する。
×:不透明または濁りが生じている。
(5)延伸性
実施例、比較例において、フィルムを製造する際の操業性で延伸性を評価した。
〇:操業上の問題がなく、膜厚が均一なフィルムを得ることができる。
△:延伸はできるが、得られるフィルムの膜厚等が不均一。
×:破断等を伴い延伸ができない。
(6)耐加水分解性
得られたフィルムを、85℃×85%RH条件下、2000時間処理をした。処理前後のフィルムについて、引張破断強度を測定し、下記式より引張強度保持率を算出し、下記基準により耐加水分解性を判断した。評価結果は、◎または○であることが好ましく、特に◎であることが好ましい。
なお、フィルムを巾10mm、長さ150mmの短冊状に切り出したもの測定試料として使用し、引張破断強度は、23℃×50%RH、引張速度10mm/分の条件で測定した。
引張強度保持率(%)=(処理後のフィルムの引張破断強度)/(処理前のフィルムの引張破断強度)×100
◎:引張強度保持率が95%以上である。
〇:引張強度保持率が80%以上、95%未満である。
△:引張強度保持率が70%以上、80%未満である。
×:引張強度保持率が70%未満である。
(7)粘度変化
得られたフィルムを、フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として溶解し、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下、極限粘度(η)を測定した。
フィルム製造時にマトリックス樹脂として用いたポリエステル樹脂の極限粘度が0.60であるので、これと比較して、下記式より粘度変化率を算出し、下記基準により、粘度変化率を評価した。評価結果は、◎または○であることが好ましく、特に◎であることが好ましい。
粘度変化率(%)=η/0.60×100
◎:110%未満
○:110%以上、115%未満
△:115%以上、120%未満
×:120%以上
2.原料
(1)カルボジイミド化合物(C)
C1:芳香族型ポリカルボジイミド(ラインケミー社製「スタバックゾールP」、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)カルボジイミド、数平均分子量約700)
C2:脂環族型ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル社製「LA−1」、平均重合度15、末端イソシアネート基あり)
C3:芳香族型モノポリカルボジイミド(ラインケミー社製「スタバックゾールI」、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)
C4:脂環族型ポリカルボジイミド(日清紡社製「HMV−15CA」、平均重合度15、末端イソシアネート基なし)
(2)カルボジイミド化合物以外の化合物(エポキシ化合物)
X:EGMA(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体)−g(グラフト)−AS(アクリロニトリルスチレン)共重合体(日油社製「モディパーA4400」、EGMA/AS=70/30(質量比)、E/GMA=85/15(質量比))
(3)マトリックス樹脂として用いたポリエステル樹脂
ユニチカ社製 ポリエチレンテレフタレート樹脂(極限粘度0.60、酸価2mgKOH/g)
<ポリエステル樹脂(A)の調製>
調製例1
テレフタル酸50モル%、イソフタル酸48モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸2モル%、エチレングリコール75モル%、ネオペンチルグリコール60モル%および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、0.5時間エステル化反応を進行させた。0.5時間経過後、系内の温度を240℃にし、系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1〜10−5Pa)に到達してから、さらに0.4時間重合反応を行って、ポリエステル樹脂(A1)を得た。その結果を表1に示す。
調製例2〜11
使用するモノマーの種類とその組成および重合反応時間を表1のように変更した以外は、調製例1と同様にし、ポリエステル樹脂(A2)〜(A11)を得た。
<ポリエステルポリウレタン樹脂の調製>
調製例12
調製例2で得られたポリエステル樹脂(A2)に有機ジイソシアネート成分を付与することによりポリエステルポリウレタン樹脂(A12)を得た。具体的には、ポリエステル樹脂(A2)に対して、同量のトルエンを仕込み、100℃にて樹脂を溶解した。その後130℃まで温度を上昇させ、ポリエステル樹脂とトルエンの合計量のうち30重量%を蒸留し、反応系の脱水を行った。その後、系内を60℃まで冷却し、メチルエチルケトンをポリエステル樹脂量に対して40重量%、ジメチロールブタン酸9重量%を仕込み60℃にて30分撹拌した。その後、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート6重量%を仕込み、60℃にて30分撹拌を行い、続いて触媒としてジブチルチンジラウレートを加え、80℃に昇温し反応させた後、メチルエチルケトンで固形分濃度が30%になるように調整し、目的とするポリエステルポリウレタン(A12)を得た。
調製例1〜12で得られたポリエステル樹脂(A1)〜(A12)における、仕込組成、重合反応時間、最終組成を表1に示す。
<ポリエステル樹脂(B)の調製>
調製例13
テレフタル酸80モル%、イソフタル酸18モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸2モル%、エチレングリコール135モル%および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、0.5時間エステル化反応を進行させた。0.5時間経過後、系内の温度を240℃にし、系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1〜10−5Pa)に到達してから、さらに0.5時間重合反応を行って、ポリエステル樹脂(B1)を得た。その結果を表1に示す。
調製例14〜23
使用するモノマーの種類とその組成および重合反応時間を表1のように変更した以外は、調製例13と同様にし、ポリエステル樹脂(B2)〜(B11)を得た。
調製例13〜23で得られたポリエステル樹脂(B1)〜(B11)における、仕込組成、重合反応時間、最終組成を表1に示す。
なお、表1中における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
SEA:セバシン酸
ADA:アジピン酸
SIPA:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
EG:エチレングリコール
PG:プロパンジオール
BD:1,4−ブタンジオール
NPG:ネオペンチルグリコール
TCD:トリシクロデカンジメタノール
ISB:イソソルビド
HDI:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
実施例1
ポリエステル樹脂(A)30質量部、カルボジイミド化合物(C1)70質量部を均一混合した後、総仕込み量3kgをロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製CE−W−1型)を用いて、スクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS型)の主供給口に供給し溶融混練を行った。途中、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)で脱気を行い、ダイスからストランド状に引き取り水槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングした後、ポリエステル樹脂組成物(1)ペレットを得た。溶融混練は、押出機のバレル温度設定150℃、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmの条件で行った。
上記溶融混練にて得られたポリエステル樹脂組成物(1)ペレットを十分に乾燥してから、ポリエステル樹脂組成物ペレット(1)100質量部に対してポリエステル樹脂(B)が150質量部となるように均一混合した後、総仕込み量3kgをロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製CE−W−1型)を用いて、スクリュー径26mmの二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS型)の主供給口に供給し溶融混練を行った。途中、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)で脱気を行い、ダイスからストランド状に引き取り水槽にて冷却固化し、ペレタイザでカッティングした後、ポリエステル樹脂組成物(2)ペレットを得た。溶融混練は、押出機のバレル温度設定200℃、吐出量20kg/h、スクリュー回転数300rpmの条件で行った。
マトリックス樹脂(ポリエステル樹脂)と得られたポリエステル樹脂組成物(2)ペレットを十分に乾燥してから混合した。このとき、ポリエステル樹脂組成物(2)ペレットが1質量%となるように混合した後、温度280℃で混練しTダイより押出した。これを35℃に温調した冷却ドラム上に静電印加法で密着させて急冷することで厚さ260μmのシートを得た。前記シートを90℃で縦方向に3倍に延伸し、120℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに続いて230℃で5秒間熱処理を行ない、厚さ25μmであるポリエステルフィルムを得た。
実施例2〜35、比較例1〜5
使用するポリエステル樹脂(A)の種類とカルボジイミド化合物(C)の種類と配合比率、ポリエステル樹脂(B)の種類と配合比率などを表2、3に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例2〜35および比較例1〜5のポリエステル樹脂組成物(2)ペレットを得た。
そして、実施例1と同様にして、得られたポリエステル樹脂組成物(2)ペレットとマトリックス樹脂(ポリエステル樹脂)とを用い、厚さ25μmであるポリエステルフィルムを得た。
実施例1〜35、比較例1〜5で得られたポリエステルフィルムについて、相溶性、粘度変化、延伸性、耐加水分解性の評価を行った。その結果を表2、3に示す。
実施例1〜35で得られたポリエステル樹脂組成物〔ポリエステル樹脂組成物ペレット(2)〕はマスターバッチとしてのハンドリングに優れ、それを用いて得られたポリエステルフィルムは、相溶性、粘度変化、延伸性、耐加水分解性の評価のいずれにも優れるものであった。
比較例1では、ポリエステル樹脂組成物(1)におけるポリエステル樹脂(A)の含有量が所定量よりも少なかったため、カルボジイミド化合物(C)が均一に分散されておらず、このため、成形体を得る際の延伸性に劣り、得られた成形体は耐加水分解性にも劣るものであった。
比較例2では、ポリエステル樹脂組成物(1)におけるポリエステル樹脂(A)の含有量が所定量よりも多く、カルボジイミド化合物(C)の含有量が少なかったため、得られた成形体は耐加水分解性に劣るものであった。
比較例3では、ポリエステル樹脂組成物(2)におけるポリエステル樹脂(B)の含有量が所定量よりも少なかったため、粘度変化率が大きく、成形体を得る際の増粘度合が大きいものであった。
比較例4では、ポリエステル樹脂組成物(2)におけるポリエステル樹脂(B)の含有量が所定量よりも多かったため、成形体を得る際の延伸性に劣るものであった。
比較例5では、ポリエステル樹脂組成物中にカルボジイミド化合物を用いなかったため、成形体を得る際の延伸性に劣り、得られた成形体は耐加水分解性に劣るものであった。

Claims (6)

  1. ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)及びカルボジイミド化合物(C)を含有するポリエステル樹脂組成物であって、ポリエステル樹脂(A)はガラス転移温度が20〜130℃の非晶性ポリエステル樹脂であって、ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(C)の質量比(A/C)が10/90〜85/15であり、ポリエステル樹脂(A)とカルボジイミド化合物(C)の合計100質量部に対して、ポリエステル樹脂(B)を50〜300質量部含有してなることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. ポリエステル樹脂(B)は融点を有し、融点が220℃以下である請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. ポリエステル樹脂(A)が、共重合成分として有機スルホン酸塩化合物を0.05〜10モル%含有する請求項1又は2記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. ポリエステル樹脂(B)樹脂が、共重合成分として有機スルホン酸金属塩化合物を0.1〜20モル%含有する請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を含有することを特徴とする樹脂ペレット。
  6. 請求項5記載の樹脂ペレットを熱可塑性樹脂に含有させて溶融成形されたことを特徴とする成形体。

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