JP2017007965A - ピルビン酸ナトリウムの製造方法 - Google Patents

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一英 芦澤
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哲郎 早瀬
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Abstract

【課題】ピルビン酸ナトリウムの優れた製造方法を提供すること。【解決手段】本発明のピルビン酸ナトリウムの製造方法は、ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えて、結晶を析出させることを包含している。【選択図】なし

Description

本発明は、ピルビン酸ナトリウムの製造方法に関する。
特許文献1〜5には、微生物を利用したピルビン酸ナトリウムの製造方法が開示されている。しかし、ピルビン酸ナトリウムは、化学合成によって製造されて、工業原料などとして市販されている。ピルビン酸ナトリウムのこのような製造方法の一例は、次の通りである。
まず、出発物質のピルビン酸メチルエステルをアルカリによって加水分解して、ピルビン酸ナトリウムの水溶液を生成する。当該水溶液を濃縮することによって、ピルビン酸ナトリウムの高濃度水溶液を生成する。当該高濃度水溶液を冷却することによって、結晶を析出させる。析出した結晶を、単離し、精製して、目的とするピルビン酸ナトリウムを得る。
上記製造方法は、ピルビン酸ナトリウムを化成品として供給する方法として非常に完成度の高い方法である。このため、国内の化学メーカーが、上記製造方法を実施して、高純度および安価なピルビン酸ナトリウムを製造販売している。
特開昭62−201589号公報(1987年9月5日公開) 特開昭62−275688号公報(1987年11月30日公開) 特開昭63−258586号公報(1988年10月26日公開) 特開昭64−55185号公報(1989年3月2日公開) 特開平9−47292号公報(1997年2月18日公開)
しかし、上記製造方法において、高濃度水溶液の冷却によってピルビン酸ナトリウムを結晶化させる単回の工程のみでは、収率が低い。ピルビン酸ナトリウムの収率を高めるために、上記製造方法は、例えば、結晶母液からの回収工程をさらに含んでいる必要がある。よって、上記製造方法は、結晶化されたピルビン酸ナトリウムの煩雑な品質管理を要するために、GMPに準拠した医薬品の有効成分の製造方法として十分な効率を有していない。
上述の課題を解決するために、本発明は、以下の製造方法を提供する。
(1)ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えて、結晶を析出させることを包含している、ピルビン酸ナトリウムの製造方法。
(2)上記有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メタノールおよびジオキサンからなる群から選択される1つ以上である、(1)に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
(3)上記有機溶媒は、アセトン、2−プロパノールまたはメタノールである、(2)に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
(4)上記有機溶媒は、メタノールおよびアセトンもしくは2−プロパノールの組合せである、(2)に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
(5)水溶液:総量の有機溶媒の容積比は、2:5〜1:20である、(1)〜(4)のいずれか1つに記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
(6)上記有機溶媒を加えた後の上記水溶液を低温において静置することをさらに包含している、(1)〜(5)のいずれか1つに記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
(7)上記結晶は0.35g/mL以上のかさ密度を有している、(1)〜(6)のいずれか1つに記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
(8)GMPに準拠した工業生産に応用可能である、(1)〜(7)のいずれか1つに記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
本発明は、ピルビン酸ナトリウムの優れた製造方法を提供することができる。
〔ピルビン酸ナトリウムの製造方法〕
本発明は、ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えて、結晶を析出させること(すなわち結晶化工程)を包含している、ピルビン酸ナトリウムの製造方法である。ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えることによって、当該水溶液からピルビン酸ナトリウムを容易に析出させ得る。このように、上記製造方法は、結晶化工程において単純な手法に基づいているので、非常に簡便である。また、結晶化工程において、結晶をさらに回収するために他の手法と組み合わせる場合、上記製造方法は、他の手法の選択において高い自由度を有している。以上のことから、上記製造方法を用いれば、最終的に得られるピルビン酸ナトリウムの品質管理および結晶化工程の管理が容易である。
上述した製造方法の主たる工程である結晶化工程の詳細を以下に説明する。なお、本明細書に使用されるとき、「ピルビン酸ナトリウムの水溶液」は、有機溶媒を加える前の水溶液を意味している。有機溶媒を加えた後の水溶液を示す場合には、その旨を明記する。
(有機溶媒)
上記結晶化工程に使用され得る有機溶媒としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メタノールおよびジオキサンが挙げられる。いずれかの有機溶媒を、ピルビン酸ナトリウムの水溶液に加えれば、当該水溶液からピルビン酸ナトリウムを容易に析出させ得る。有機溶媒は、上述の1種以上から選択され得る。
上記有機溶媒は、アセトン、2−プロパノールまたはメタノールであることが好ましい。アセトン、2−プロパノールまたはメタノールを使用すると、化学的純度の高いピルビン酸ナトリウムを入手し得る。アセトン、2−プロパノールまたはメタノールを使用すると、高いかさ密度を有しているピルビン酸ナトリウムを入手し得、メタノールを使用すると、特に高いかさ密度のピルビン酸ナトリウムを入手し得る。アセトンまたは2−プロパノールを使用すると、ピルビン酸ナトリウムを高い収率において入手し得る。
上記有機溶媒は、メタノールおよびアセトンもしくは2−プロパノールの組合せであることがより好ましい。いずれの組合せを使用しても、高い化学的純度および高いかさ密度のピルビン酸ナトリウムを、高い収率において入手し得、特に、有機溶媒としてメタノールおよび2−プロパノールの組合せを使用すると、すべての要素に優れている結晶化工程を実現し得る。
ピルビン酸ナトリウムの水溶液:総量の有機溶媒の容積比は、2:5〜1:20の範囲内である。この範囲に収まるように有機溶媒の量を調節すれば、ピルビン酸ナトリウムの水溶液から、ピルビン酸ナトリウムを適切に析出させ得る。使用される有機溶媒の種類に応じて、上記容積比の範囲内から特定の範囲が選択され得る。各有機溶媒(の組合せ)の、上記水溶液との容積比の範囲は以下の通りである。
水:エタノール=1:2〜1:4
水:1−プロパノール=1:2〜1:4
水:2−プロパノール=1:2〜1:4
水:アセトン=1:2〜1:4
水:メタノール=1:5〜1:10
水:ジオキサン=1:2〜1:4
水:メタノール:アセトン=1:3:2〜1:5:5
水:メタノール:2−プロパノール=1:3:2〜1:5:4。
上述した範囲にしたがった量において、ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えると、結晶化工程において得られるピルビン酸ナトリウムの化学的純度、かさ密度、および結晶化工程における収率を所望の通りに制御できる。
(ピルビン酸ナトリウムの水溶液)
上記結晶化工程に使用されるピルビン酸ナトリウムの水溶液は、任意の手段によって準備され得る。一実施形態において、ピルビン酸ナトリウムの水溶液は、当該分野において公知の化学反応に基づいて任意の出発物質をピルビン酸ナトリウムに変換することによって、生成され得る。化学反応の一例としては、ピルビン酸エチルエステルの、アルカリによる加水分解が挙げられる。当該アルカリの一例は、水酸化ナトリウムである。
生成されたピルビン酸ナトリウムの水溶液は、必要に応じて、所望の濃度に濃縮され得る。ピルビン酸ナトリウムの水溶液の濃縮は、当該分野において公知の手法に基づいて実施される。当該手法としては、例えば、加熱、および減圧下における蒸発が挙げられる。
他の実施形態において、ピルビン酸ナトリウムの水溶液は、市販のピルビン酸ナトリウムを水に溶解させることによって、準備され得る。例えば、所望の範囲から外れたかさ密度または化学的純度を有している安価なピルビン酸ナトリウムの市販品を水に溶解させた後に、上記結晶化工程に供することによって、所望のかさ密度または化学的純度を有しているピルビン酸ナトリウムを入手し得る。
ピルビン酸ナトリウムの水溶液は、20%(w/v)以上の濃度においてピルビン酸ナトリウムを含んでいることが好ましい。ピルビン酸ナトリウムの水溶液の濃度が、この値に該当していれば、上記結晶化工程において、当該水溶液からピルビン酸ナトリウムを適切に析出させ得る。ピルビン酸ナトリウムの水溶液は、30%(w/v)以上の濃度においてピルビン酸ナトリウムを含んでいることがより好ましい。ピルビン酸ナトリウムの水溶液の濃度が、この値に該当していれば、当該水溶液からのピルビン酸ナトリウムの収率を向上させ得る。なお、20℃におけるピルビン酸ナトリウムの水への溶解度は、32.3%(w/v)である。
ピルビン酸ナトリウムの水溶液は、中性からアルカリ性を示すことが好ましい。当該水溶液が中性またはアルカリ性を示すとき、上記結晶化工程は、ピルビン酸ナトリウムの高い収率を示す。特に、ピルビン酸ナトリウムの水溶液のpHは約6〜9であることが好ましい。
ピルビン酸ナトリウムの水溶液は、ピルビン酸ナトリウム以外の溶質を含み得る。当該溶質としては、例えば、ピルビン酸エチル、水酸化ナトリウム、ピルビン酸および塩化水素が挙げられる。ピルビン酸ナトリウムの水溶液に含まれている当該溶質の総量の濃度は、1mol/L以下であることが好ましい。特にピルビン酸エチルまたはピルビン酸が少ないほど、ピルビン酸ナトリウムの収率が向上し得る。
(他の条件および追加の工程)
ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えた後に静置する時間は、特に限定されない。当該時間は、使用する有機溶媒(の組合せ)およびピルビン酸ナトリウムの水溶液の濃度に応じて、変更され得る。大量のアセトン(例えば、ピルビン酸ナトリウムの水溶液の10倍量)を、ピルビン酸ナトリウムの水溶液に加える場合、直ちにピルビン酸ナトリウムが析出するため、実質的に静置させる必要がない。上記時間は、例えば一晩〜4日間であり得る。
ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えた後に、混合物は冷却され得る。つまり、低温において当該混合物からピルビン酸ナトリウムを析出させる。当該混合物は、通常の冷蔵庫(例えば、3または4℃)において冷却され得る。当該混合物を冷却することによって、上述した静置の時間を短縮させ得る。
上記結晶化工程におけるピルビン酸ナトリウムの収率は、ピルビン酸ナトリウムの水溶液に溶解しているピルビン酸ナトリウムの0%(w/w)を超える値である。例えば、冷蔵庫に静置した2日間において、有機溶媒の種類によって結晶を析出させない場合がある。上記収率は、例えば、25%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、最も好ましくは80%以上である。
ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えるときの温度は、特に限定されない。当該温度の一般的な例は、日本工業規格に規定されている常温(20±15℃)または日本薬局方に規定されている標準温度(20℃)である。ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えた後に冷却する場合、冷却する温度より高い温度において、ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えることが好ましい。
上述した結晶化工程において析出した結晶は、続いて精製される。精製の手法としては、洗浄、さらなる晶析およびこれらの組合せが挙げられる。また、精製された結晶は、ろ過などによって分離された後に、減圧下または常圧下において乾燥されて、ピルビン酸ナトリウムの結晶を生成する。
(得られたピルビン酸ナトリウムの性質)
得られたピルビン酸ナトリウムのかさ密度は、0.08g/mL以上であり得る。0.08g/mLのかさ密度を有していれば、少なくとも1つ以上の用途における製品として有用と言える。0.08g/mLのかさ密度を有しているピルビン酸ナトリウムが実際に販売されているからである。例えば、大量のアセトンを有機溶媒として用いた場合、0.08g/mLのかさ密度を有している高い化学的純度のピルビン酸ナトリウムが、短時間かつ高収率に生成されている。
しかし、かさ密度の高いピルビン酸ナトリウムほど、産業上の有用性が高い。かさ密度の高いピルビン酸ナトリウムは、例えば、生成させたピルビン酸ナトリウムの製造、保管、輸送または加工を行う設備、機器および器具を小型化させ得る。よって、かさ密度の高いピルビン酸ナトリウムは、生産性および収益について高効率である。ピルビン酸ナトリウムのかさ密度は、例えば、0.30g/mL以上、好ましくは0.35g/mL以上、より好ましくは0.40g/mLである。これらのかさ密度の値は、有機溶媒の種類または組合せに応じて実現されている。
上記製造方法によれば、水蒸気の吸着性に優れたピルビン酸ナトリウムを生成し得る。例えば、上記製造方法によって得られたピルビン酸ナトリウムは、市販品より優れた水蒸気の吸着性を示し得る。このため、上記製造方法によって得られたピルビン酸ナトリウムは、空気中の取り扱いおよび加工が容易である。同様に、上記製造方法によれば、水分含量の少ないピルビン酸ナトリウムを生成し得る。以上のように、上記製造方法によれば、従来の市販品のピルビン酸ナトリウムと物性の異なるピルビン酸ナトリウムを得ることができる。
〔得られたピルビン酸ナトリウムの用途〕
(医薬用途および医療用途)
以上の項目において説明した製造方法によって得られたピルビン酸ナトリウムは、医薬および医療の分野において使用され得る。これまでに述べた通り、上記製造方法において、得られたピルビン酸ナトリウムの品質管理および結晶化工程の管理が、非常に容易である。
より詳細には、上記結晶化工程は、特別な装置を必要とせず、溶質および溶媒を適切に配合すること、ならびに決められた操作条件にしたがって操作することによって、比較的容易に再現性の高い結果を実現し得る。さらに、かさ密度の高い(重量に対する容積の小さい)ピルビン酸ナトリウムは、取り扱いが非常に容易である。
以上の理由から、上記結晶化工程を利用することによって、医薬および医療の用途においてGMPに準拠した、ピルビン酸ナトリウムの工業生産に応用可能な、ピルビン酸ナトリウムの製造方法が実現され得る。なお、結晶化工程は多段階および一段階のいずれかであり得る。
ピルビン酸ナトリウムは、難病の一種であるミトコンドリア脳筋症(高乳酸血症)の治療薬になり得る。当該治療薬としての1日投与量は、0.5g/kg・日である。したがって、60kgの体重の患者は、1日に30gのピルビン酸ナトリウムの投与を受ける必要がある。例えば、0.08g/mLのかさ密度を有しているピルビン酸ナトリウムを使用した場合、1日投与量が375mLもの容積に達する。本明細書に説明されているピルビン酸ナトリウムのうち、例えば0.40g/mLのかさ密度を有しているピルビン酸ナトリウムを用いれば、1日投与量の容積は75mLまで減少する。したがって、かさ密度の高いピルビン酸ナトリウムを提供し得る本発明の製造方法は、治療薬として取り扱いの容易なピルビン酸ナトリウムを得るために、非常に優れている。
〔実施例1:ピルビン酸ナトリウムの析出に使用可能な溶媒〕
20%(w/v)のピルビン酸ナトリウムの粗体を含んでいる2mLの水溶液に、当該水溶液に対する種々の比率において10種の有機溶媒のそれぞれを加えた。これらの混合物を2日間にわたって冷蔵庫(約3℃)に静置した。それから、混合物からの結晶の析出の有無を確認した。析出した結晶のそれぞれを、ろ過し、洗浄し、減圧乾燥することによって、ピルビン酸ナトリウムを得た。得られたピルビン酸ナトリウムの量に基づいて収率を算出した。これらの結果を表1にまとめた。なお、粗体のかさ密度は0.38g/mLであった。
Figure 2017007965
表1に示した通り、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メタノールまたはジオキサンを加えた混合物において、結晶の析出を認めた。
〔実施例2:ピルビン酸ナトリウムの短時間析出〕
85gのピルビン酸ナトリウムの市販の粗体を含んでいる350gの水溶液に、2540mLのアセトンを加えた。混合物から一度に析出した結晶を、ろ過し、洗浄し、減圧乾燥することによって、69gのピルビン酸ナトリウムの結晶を得た。得られたピルビン酸ナトリウムの結晶は、0.08g/mLのかさ密度および99.0%以上の純度を有していた。以上のことから、ピルビン酸ナトリウムの水溶液に大量のアセトンを加えると、純度の高い結晶が短時間に得られることが分かった。
〔実施例3:アセトン、2−プロパノールまたはメタノールを用いた析出〕
25%(w/v)のピルビン酸ナトリウムの粗体を含んでいる20mLの水溶液に、当該水溶液に対する種々の比率において3種の有機溶媒のそれぞれを加えた。混合物を4日間にわたって冷蔵庫(約3℃)に静置した。析出した結晶のそれぞれを、ろ過し、洗浄し、減圧乾燥することによって、ピルビン酸ナトリウムを得た。得られたピルビン酸ナトリウムの量に基づいて収率を算出した。得られたピルビン酸ナトリウムの結晶を粉砕した後に、結晶のかさ密度を測定した。これらの結果を表2にまとめた。なお、粗体のかさ密度は0.08g/mLであった。
Figure 2017007965
表2に示す通り、得られた結晶のかさ密度は、いずれの溶媒を用いても、粗体と比べて大きく向上した。アセトンおよび2−プロパノールについては、実施例1より結晶の収率が向上した。
〔実施例4:アセトン、2−プロパノールおよび/またはメタノールを用いた析出〕
この実施例では、ピルビン酸ナトリウムの、水に対する溶解度(32.3%(w/v))に近い30%(w/v)のピルビン酸ナトリウムの市販の粗体を含んでいる20mLの水溶液を用いた。当該水溶液に対する種々の比率において3種の有機溶媒を、単独にか、または2種の組合せにおいて、当該水溶液に加えた。混合物を一晩にわたって冷蔵庫(約3℃)に静置した。析出した結晶のそれぞれを、ろ過し、洗浄し、減圧乾燥することによって、ピルビン酸ナトリウムを得た。得られたピルビン酸ナトリウムの量に基づいて収率を算出した。得られたピルビン酸ナトリウムの結晶を粉砕した後に、結晶のかさ密度を測定した。これらの結果を表3にまとめた。なお、粗体のかさ密度は0.38g/mLであった。
Figure 2017007965
表3に示す通り、得られた結晶のかさ密度は、いずれの溶媒を用いても、粗体のかさ密度と比べたとき、同じか、または向上した。なお、得られたピルビン酸ナトリウムが、粗体と同じかさ密度を有していた場合(150mLのメタノールおよび250mLのアセトン)、非常に高い収率(81%)を示した。
さらに、水:メタノールが1:10および1:5のとき、実施例3より収率が向上した。溶媒としてメタノール単独と比べて、水:メタノール:アセトンが1:3:5のとき、大きく収率が向上し、水:メタノール:アセトンが1:5:2のとき、高いかさ密度を維持しつつ、収率が向上した。メタノールを単独に加えたときと比べて、水:メタノール:2−プロパノールが1:5:2および1:5:4のいずれのときでも、高いかさ密度を維持しつつ、収率が大きく向上した。
〔実施例5:得られた結晶の性質の分析〕
(水蒸気の吸着性)
実施例4において水:メタノール:2−プロパノールが1:5:4である条件で得られたピルビン酸ナトリウムの結晶(以下、実施例と記載する)を、水蒸気の吸着性について実施例4の粗体(以下、比較例と記載する)と比較した。2gの試料の水蒸気の吸着性を、動的水蒸気吸脱着装置(DVS Intrinsic)を用いて測定した。装置内の相対湿度を0%から90%まで10%単位において上昇させたときの、各試料の重量変化に基づいて水蒸気の吸着性を決定した。測定温度を25℃に設定した。測定結果を表4に示す。イタリックによって示した数値は、6時間にわたって90%の相対湿度を維持しても平衡に達しなかったことを表している。
Figure 2017007965
表4に示す通り、70%の相対湿度までは、実施例および比較例の間において、水蒸気の吸着性に大きさ差は認められなかった。しかし、80%の相対湿度において、比較例の重量増加は、実施例の重量増加の約2.5倍に達した。
(結晶の水分含量)
実施例および比較例の水分含量を、カールフィッシャー法の電量滴定法にしたがって測定した。その結果を表5に示す。
Figure 2017007965
表5に示す通り、実施例は、比較例より約1%低い水分含量を示した。
(収率に対するpHの影響)
再結晶化における収率に対するpHの影響を次の通りに決定した。50mLの水に15gのピルビン酸ナトリウム(30%(w/v))を溶解させた水溶液(pH6.85)を準備した。0.1mol/Lの塩酸または水酸化ナトリウムを水溶液に加えた酸性水溶液(pH4.16)およびアルカリ性水溶液(pH8.37)を準備した。3つの水溶液に、250mLのメタノールおよび200mLの2−プロパノールを加えて、結晶を析出させた。析出した結晶を精製し、その重量に基づいて各水溶液からの収率を決定した。その結果を表6に示す。
Figure 2017007965
表6に示すように、塩酸を加えたpH4.16の酸性水溶液からの収率は、何も加えていないpH6.85の水溶液からの収率と比べて10%の低下を示した。水酸化ナトリウムを加えたpH8.37のアルカリ性水溶液からの収率は、何も加えていないpH6.85の水溶液からの収率とほぼ同じであった。収率を考慮すると、酸性条件を避けて、中性からアルカリ性であることが好ましいことがわかった。酸性条件において収率が低下したのは、加えられた塩酸の作用によって、ピルビン酸ナトリウムの一部がピルビン酸に変換されたためだと予想される。
本発明は、ピルビン酸ナトリウムを利用する医薬、医療、農薬、工業、研究および細胞培養の分野に利用することができる。

Claims (8)

  1. ピルビン酸ナトリウムの水溶液に有機溶媒を加えて、結晶を析出させることを包含している、ピルビン酸ナトリウムの製造方法。
  2. 上記有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メタノールおよびジオキサンからなる群から選択される1つ以上である、請求項1に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
  3. 上記有機溶媒は、アセトン、2−プロパノールまたはメタノールである、請求項2に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
  4. 上記有機溶媒は、メタノールおよびアセトンもしくは2−プロパノールの組合せである、請求項2に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
  5. 水溶液:有機溶媒の容積比は、2:5〜1:20である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
  6. 上記有機溶媒を加えた後の上記水溶液を低温において静置することをさらに包含している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
  7. 上記結晶は0.35g/mL以上のかさ密度を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
  8. GMPに準拠した工業生産に応用可能である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のピルビン酸ナトリウムの製造方法。
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