JP2017007402A - ステアリング装置 - Google Patents

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【課題】電磁クラッチ機構を周辺部材と干渉することなく搭載でき、しかも、簡易な構造を有すると共に、大型化が抑制されたステアリング装置を提供すること。
【解決手段】ステアリング装置1は、操舵部材が連結された操舵軸10と、操舵軸10に一体回転可能に取り付けられたウォームホイール14と、ハウジングHと、操舵軸10に同軸かつ相対回転可能に設けられ、転舵機構に連結された出力軸16と、操舵軸10と出力軸16との間の動力伝達を断続する電磁クラッチ機構15とを含む。電磁クラッチ機構15は、ハウジングHの内部空間Sに収容配置されている。電磁クラッチ機構15の機構部51は、電磁石54とウォームホイール14を挟んだ反対側に配置されている。ウォームホイール14の磁性部31は、磁気回路の一部を形成している。
【選択図】図2

Description

本発明は、ステアリング装置に関する。
操舵部材と転舵機構との機械的な連結をなくし、ステアリングホイールの操舵角を角度センサによって検出するとともに、そのセンサ出力に応じて制御される転舵用アクチュエータの駆動力を転舵機構に伝達するようにしたステアバイワイヤシステムが提案されている(たとえば下記特許文献1参照)。
一方、ステアバイワイヤシステムを搭載する場合には、転舵用アクチュエータ等に不具合が発生した場合であっても転舵輪の転舵を実行できるように、対策を講じる必要がある。
そのような対策を講じたステアリング装置として、下記特許文献2,3には、操舵部材と転舵機構とを電磁クラッチ機構を介して連結し、正常運転中には、操舵部材と転舵機構との機械的な連結を解除し、異常発生時には、操舵部材と転舵機構とを機械的に連結する構成が開示されている。
特開2013−132950号公報 特許4927608号公報 特許4347100号公報
ステアリング装置に電磁クラッチ機構を搭載する場合、たとえば、インターミディエイトシャフトと、ステアリングコラムとの間に電磁クラッチ機構を介装することが考えられる。
しかしながら、この場合、電磁クラッチ機構が周辺部材と干渉するおそれがある。また、電磁クラッチ機構を搭載後のステアリング装置は、大型化が抑制されていることが望ましい。さらに、電磁クラッチ機構を簡易な構造で実現することも望まれている。
そこで、本発明の目的は、電磁クラッチ機構を周辺部材と干渉することなく搭載でき、しかも、簡易な構造を有すると共に、大型化が抑制されたステアリング装置を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1の発明は、操舵部材(3)が連結された操舵軸(10)と、磁性材料を含む磁性部(31)を有し、前記操舵軸に一体回転可能に取り付けられた歯車(14)と、少なくとも前記歯車を収容するハウジング(H)と、前記操舵軸に同軸かつ相対回転可能に設けられ、転舵機構(A)に連結された出力軸(16)と、前記ハウジングの内部空間(S)に収容配置され、前記操舵軸と前記出力軸との間の動力伝達を断続する電磁クラッチ機構(15)とを含み、前記電磁クラッチ機構は、前記操舵軸と前記出力軸とを連結/連結解除可能に設けられた機構部(51)と、コイルへの通電により、前記機構部が前記操舵軸と前記出力軸とを連結/連結解除可能とするための磁場を発生させ磁気回路を形成する電磁石(54)とを含み、前記機構部は、前記電磁石と前記歯車を挟んだ反対側に配置されており、前記磁性部は、前記磁気回路(85)の一部を形成する、ステアリング装置(1)を提供する。
なお、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2に記載の発明は、前記電磁クラッチ機構は、磁性材料を含んで形成され、前記機構部を作動させるためのアーマチュア(126)をさらに含み、前記アーマチュアは、前記電磁石と前記歯車を挟んだ反対側に配置されて、前記磁性部と共に前記磁気回路の一部を形成する、請求項1に記載のステアリング装置である。
請求項3に記載の発明は、前記アーマチュアは、前記磁性部に対し、同伴回転可能に設けられている、請求項2に記載のステアリング装置である。
請求項4に記載の発明は、前記機構部は、ツーウェイクラッチ(106)を含み、前記ツーウェイクラッチは、前記操舵軸および前記出力軸の一方に同軸に連結された内輪(104)と、前記操舵軸および前記出力軸の他方に同軸に連結され、前記内輪に相対回転可能に設けられた外輪(105)と、前記内輪の外周と前記外輪の内周とによって形成されるくさび空間(129)に、前記内輪の周方向に並んで配置されるローラ対(123)と、前記操舵軸回りに相対回転可能に設けられ、互いに反対向きの所定の方向に移動されることにより、前記ローラ対を互いに接近する方向に押圧する一対の押圧部材(131,132)とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリング装置である。
請求項5に記載の発明は、前記電磁クラッチ機構は、磁性材料を含んで形成され、前記機構部を作動させるためのアーマチュア(126)をさらに含み、前記アーマチュアは、前記電磁石と前記歯車を挟んだ反対側に配置され、前記磁性部と共に前記磁気回路を形成しており、前記アーマチュアは、前記操舵軸の軸方向に沿って移動可能に設けられており、前記アーマチュアは、当該軸方向への移動により、前記一対の押圧部材を互いに反対方向に移動させる、請求項4に記載のステアリング装置である。
請求項6に記載の発明は、前記一対の押圧部材は、第1および第2の押圧部材(131,132)を含み、前記アーマチュアは、前記第1の押圧部材に摺接する第1の摺接面(153)と、前記第2の押圧部材に摺接する第2の摺接面(154)とを含み、前記第1および第2の摺接面は、前記操舵軸の所定の軸方向に向かうに従って周方向の両側に互いに離れるように設けられている、請求項5に記載のステアリング装置である。
請求項1によれば、電磁クラッチ機構がハウジングの内部空間に収容配置されている。ハウジングの内部に電磁クラッチ機構を収容配置するので、電磁クラッチ機構が周辺部材と干渉することを回避できる。
また、ハウジングの内部空間において、電磁石が歯車に対し機構部と反対側に配置されている。すなわち、電磁クラッチ機構が歯車を挟んで分割配置されている。そのため、ハウジングの内部空間を有効に活用して電磁クラッチ機構を配置できる。これにより、ステアリング装置の大型化を抑制できる。
しかも、歯車の磁性部が磁気回路の一部を形成している。そのため、電磁石からの電磁力を用いて、歯車を挟んで反対側に配置された機構部を動作させることが可能である。そのため、機構部を駆動するための構成を簡易な構造で実現できる。
ゆえに、電磁クラッチ機構を周辺部材と干渉することなく搭載でき、しかも、簡易な構造を有すると共に、大型化が抑制されたステアリング装置を提供できる。
請求項2によれば、アーマチュアは、歯車に対し機構部と同じ側において移動可能に設けられている。アーマチュアは、磁性部と共に磁気回路の一部を形成している。したがって、歯車の磁性部を、アーマチュアを吸引するための吸引部として機能させることができる。これにより、電磁石を用いて、歯車を挟んで反対側に配置された機構部を動作させる構成を、より簡易な構造で実現できる。
請求項3によれば、アーマチュアが、磁性部に対し同伴回転可能に設けられている。そのため、仮にアーマチュアの一部が磁性部に接触したとしても、アーマチュアと磁性部との間に大きな摩擦等は発生しない。
請求項4によれば、このツーウェイクラッチでは、ローラ対が内輪および外輪の双方に係合する状態で接続状態になる。この接続状態から、一対の押圧部材を互いに反対向きの所定の方向に移動することにより、ローラ対が互いに接近する方向に移動させられる。この場合、内輪および外輪の少なくとも一方に対するローラ対の係合が外れる。その結果、ツーウェイクラッチが切断状態になる。これにより、操舵軸と出力軸とを連結/連結解除する機構部を、ツーウェイクラッチによって実現できる。
請求項5によれば、アーマチュアの、操舵軸の軸方向への移動に伴い、一対の押圧部材が互いに反対方向に移動する。そのため、アーマチュアを操舵軸の軸方向のいずれかに移動させることにより、ローラ対を互いに接近する方向に移動させることができる。これにより、ツーウェイクラッチを、接続状態と切断状態との間で良好に切り換えることができる。
請求項6によれば、第1および第2の摺接面は、所定の軸方向に向かうに従って周方向の両側に互いに離れるように設けられている。そのため、アーマチュアを、操舵軸の所定の軸方向とは反対側へ移動させることにより、第1および第2の押圧部材を互いに反対向きの所定の方向に移動させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置の概略構成を示す図である。 図2は、図1に示すハウジングの断面図である。 図3は、ウォームホイールを図2の矢視IIIから見た図である 図4Aは、図2に示す移動部材の斜視図である。 図4Bは、図2の切断面線IVB−IVBから見た断面図である 図5は、図4Bに示すツーウェイクラッチの斜視図である。 図6Aおよび図6Bは、図4Aに示すセパレータの斜視図である。 図7は、前記ツーウェイクラッチの締結状態における、前記アーマチュアと、前記ウォームホイールとの間の位置関係を示す図である。 図8は、前記ツーウェイクラッチの解放状態における、当該ツーウェイクラッチの断面図である。 図9は、前記ツーウェイクラッチの解放状態における、前記アーマチュアと、前記ウォームホイールとの間の位置関係を示す図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置1の概略構成を示す図である。
ステアリング装置1は、転舵輪2を転舵するための転舵機構Aに対する、ステアリングホイール等の操舵部材3の機械的な連結が解除された、いわゆるステアバイワイヤシステムを採用している。
ステアリング装置1において、操舵部材3の回転操作に応じて、転舵アクチュエータ4の動作が制御される。この動作は、転舵軸6の車幅方向の直線運動に変換される。この転舵軸6の直線運動は、転舵用の左右の転舵輪2の転舵運動に変換され、これにより車両の転舵が達成される。
具体的には、転舵アクチュエータ4は、たとえばモータを含む。このモータの駆動力は、転舵軸6に関連して設けられた運動変換機構(ボールねじ装置等)により、転舵軸6の軸方向の直線運動に変換される。この転舵軸6の直線運動は、転舵軸6の両端に連結されたタイロッド7に伝達され、ナックルアーム8の回動を引き起こす。これにより、ナックルアーム8に支持された転舵輪2の操向が達成される。転舵機構Aは、転舵軸6、タイロッド7およびナックルアーム8を含む。転舵軸6を支持する転舵軸ハウジング9は、車体Bに固定されている。
操舵部材3は、操舵軸10に連結されている。操舵軸10は、車体Bに固定されたステアリングコラム5のハウジングHによって、回転可能に支持されている。操舵軸10は、操舵部材3と一体回転可能である。操舵軸10には、モータ11と、モータ11の出力回転を減速させる減速機12とが取り付けられている。減速機12は、たとえば、モータ11により回転駆動されるウォーム軸13と、ウォーム軸13と噛み合い、操舵軸10に固定されたウォームホイール(歯車)14とを含む。
操舵軸10は、電磁クラッチ機構15を介して、転舵機構Aに連結されている。具体的には、転舵機構Aの転舵軸6はラック軸を含む。このラック軸に係合するピニオン19を先端部に有するピニオン軸18には、インターミディエイトシャフト17を介して、出力軸16が接続されている。出力軸16は、操舵軸10に同軸かつ相対回転可能に設けられている。操舵軸10と出力軸16との間には、電磁クラッチ機構15が介装されている。
ステアリング装置1には、操舵軸10に関連して、操舵部材3の操舵角を検出するための操舵角センサ20が設けられている。また、操舵軸10には、操舵部材3に加えられた操舵トルクを検出するためのトルクセンサ21が設けられている。トルクセンサ21は、ステアリングコラム5のハウジングH内に収容されている。
また、ステアリング装置1には、転舵輪2に関連して、転舵輪2の転舵角を検出するための転舵角センサ22、車速を検出する車速センサ23等が設けられている。センサ20〜23を含む種々のセンサ類の各検出信号は、マイクロコンピュータを含む構成のECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)から構成される制御装置24に入力されるようになっている。制御装置24は、操舵角センサ20によって検出された操舵角と、車速センサ23によって検出された車速とに基づいて目標転舵角を設定する。また、制御装置24は、この目標転舵角と、転舵角センサ22によって検出された転舵角との偏差に基づいて、転舵アクチュエータ4を駆動制御する。
車両の正常運転中は、制御装置24は、電磁クラッチ機構15を切断状態として、操舵部材3と転舵機構Aとを機械的に切り離す。この状態で、制御装置24は、操舵角センサ20、トルクセンサ21等が出力する検出信号に基づいて、操舵部材3が操舵された方向と逆方向を向く適当な反力を操舵部材3に付与するように、モータ11を駆動制御する。モータ11の出力回転は減速機12によって減速(増幅)され、操舵軸10を介して操舵部材3に伝達される。すなわち、車両の正常運転中は、モータ11および減速機12が反力発生機構として機能する。
一方、車両がイグニション・オフの状態である場合や、ステアバイワイヤシステムに不調が生じた等の異常発生の場合には、制御装置24は、電磁クラッチ機構15を接続状態として、操舵部材3と転舵機構Aとを機械的に連結させる。これにより、操舵部材3による転舵機構Aの直接操作を可能としている。電磁クラッチ機構15を介して操舵軸10と転舵機構Aとを機械的に連結可能な構成を採用することにより、ステアバイワイヤシステムの機械的なフェールセーフを実現している。
また、例えば転舵アクチュエータ4又はモータ11の一部に不調が生じた場合は、制御装置24は、操舵角センサ20、トルクセンサ21等が出力する検出信号に基づいて、転舵機構Aに操舵補助力を付与するように、他方を駆動制御する。モータ11の出力回転は、減速機12によって減速され、出力軸16、インターミディエイトシャフト17およびピニオン軸18を介して転舵機構Aに伝達される。転舵アクチュエータ4の出力回転は運動変換機構により転舵機構Aに伝達される。すなわち、異常発生の場合には、モータ11および減速機12、又は転舵アクチュエータ4および運動変換機構が、操舵補助機構として機能する。
とくに、転舵アクチュエータ4の不調時には、モータ11および減速機12によって、操舵補助機構と反力発生機構とを兼用することができる。そのため、操舵補助機構および反力発生機構をそれぞれ別に設ける場合と比較して、コストダウンを図ることができる。
また、反力発生機構が、モータ11だけでなく、モータ11の出力を増幅する減速機12を有しているので、大きな回転トルクを反力として発生させることができる。これにより、所望の大きさの反力を操舵部材3に付与できる。
ステアリングコラム5は、少なくとも減速機12を収容するハウジングHを有している。電磁クラッチ機構15は、ハウジングHの内部空間S(図2参照)に収容されている。
図2は、ハウジングHの断面図である。図2の断面図は、図4Bの切断面線II−IIから見ている。
操舵軸10は、操舵部材3(図1参照)に連なるミドルシャフト27と、ミドルシャフト27に同軸に固定された入力軸28と、ウォームホイール14が外嵌固定された内軸29と、入力軸28および内軸29を同一軸線上に連結するトーションバー30とを含む。ミドルシャフト27を介して入力軸28に操舵トルクが入力されたときに、トーションバー30が弾性的にねじり変形し、これにより、入力軸28と内軸29とが相対回転する。操舵トルクは、トルクセンサ21により、入力軸28と内軸29との相対回転量に基づいて検出される。
操舵軸10を支持するステアリングコラム5は、ミドルシャフト27の少なくとも一部を収容する筒状のジャケットJと、ジャケットJに対し操舵軸10の軸方向下部(転舵機構A側)に配置され、トルクセンサ21の少なくとも一部を収容すると共にトルクセンサ21を保持するセンサハウジング26と、センサハウジング26に対し操舵軸10の軸方向下部に配置され、減速機12を収容する減速機ハウジング25とを有している。センサハウジング26および減速機ハウジング25は、ハウジングHに含まれる。
ステアリングコラム5は、車両後方側に配置された上部取付構造体71により車体Bの所定部72に取り付けられるとともに、車両前方側に配置された下部取付構造体73により車体Bの所定部74に取り付けられている。ジャケットJが、上部取付構造体71により支持され、減速機ハウジング25が下部取付構造体73により支持されている。この状態で、操舵軸10は、車両の前後方向に対して斜め姿勢(操舵部材3(図1参照)が上方に位置する斜め姿勢)に支持されている。
ステアリングコラム5は、チルト中心軸75の回りに揺動可能に支持されている。ステアリングコラム5をチルト中心軸75の回りに揺動させ傾けることにより操舵部材3(図1参照)の高さ位置を調整するチルト調整機能が、上部取付構造体71および下部取付構造体73によって実現されている。下部取付構造体73は、チルトヒンジ機構として機能する。
センサハウジング26は、減速機ハウジング25(より具体的には、ウォームホイール収容部35)に対し、操舵軸10の軸方向上部に連結されている。トルクセンサ21は、操舵軸10を取り囲む環状をなしており、センサハウジング26の内周26aに嵌合支持されている。
センサハウジング26は、減速機ハウジング25に固定されている。センサハウジング26は、減速機ハウジング25の上端に突き当てられた外筒38と、内周39aに第1の軸受50の外輪50aを支持する内筒39と、外筒38と内筒39との間を接続する環状壁40とを含む。
トルクセンサ21は、入力軸28および内軸29に関連して設けられた磁気回路形成機構44に生じた磁束に基づいて操舵トルクを検出する。磁気回路形成機構44は、入力軸28および内軸29の一方に一体回転可能に連結された多極磁石45と、多極磁石45の磁界内に配置され、入力軸28および内軸29の他方と一体回転可能に連結された一対の磁気ヨーク46とを含み、磁気回路を形成する。
トルクセンサ21は、一対の磁気ヨーク46とそれぞれ磁気的に結合された一対の集磁リング47と、一対の集磁リング47の集磁部(図示しない)間の磁束を検出するホールIC等の磁束検出要素(図示しない)と、これらを保持する樹脂製の環状の本体48とを備えている。配線49は、トルクセンサ21の本体48から径方向外方に延びている。センサハウジング26が、第1の軸受50を介して内軸29を回転可能に支持している。第1の軸受50の内輪50bは、内軸29に一体回転可能に嵌合されている。
減速機ハウジング25は、ウォーム軸13を収容保持する筒状のウォーム軸収容部34と、ウォームホイール14を収容保持するウォームホイール収容部35とを、単一の材料で交差状に一体に形成している。ウォームホイール収容部35がセンサハウジング26に固定されている。
ウォームホイール14は、内軸29の軸方向下端部に一体回転可能で且つ軸方向移動不能に連結されている。ウォームホイール14は、内軸29に一体回転可能に結合される円環板状の磁性部31と、磁性部31の周囲を取り囲んで外周面部に歯32aを形成する合成樹脂部材32とを含み、全体として円環板状をなしている。磁性部31は、ウォームホイール14の径方向外方に向けて張り出すハブであり、ウォームホイール14の芯金部として機能する。磁性部31は、たとえば合成樹脂部材32の樹脂成形時に金型内にインサートされ、磁性部31と合成樹脂部材32とは一体回転可能に結合される。
図3は、ウォームホイール14を図2の矢視IIIから見た図である
磁性部31は、磁性材料(たとえば炭素鋼(たとえばS10CやS25C))を用いて形成されている。磁性部31の、アーマチュア58(図2参照)に対向する部分には、ウォームホイール14の周方向に沿って延びる1つまたは複数(図3では、たとえば3つ)のスリット81が穿設されている。スリット81は、全体として1つの円環をなしており、スリット81によって、磁性部31が、ウォームホイール14の径方向に2分割されている。磁性部31の内周部31aと外周部31bとを繋ぐブリッジ82が、スリット81と同数、ウォームホイール14の周方向に等間隔に設けられてられており、ブリッジ82によって各スリット81の両端部が分断されている。スリット81は、後述する電磁石54とアーマチュア58との間に磁路を有効に形成するために形成されている。
磁性部31は、電磁石54の下側の面に形成された下面54aに近接対向している。そのため、磁性部31は、電磁石54の電磁コイル56a(図2参照)の周囲に形成される磁場内に配置されている。
再び図2を参照して、出力軸16は、ウォームホイール収容部35から、軸方向の下方(転舵機構A側)に突き出すように設けられている。出力軸16は、内軸29に同軸かつ内軸29の外周を囲み、出力軸16の内周と、内軸29の外周との間には微小隙間が形成されている。出力軸16は、内軸29の外周に介装された第2の軸受36によって、内軸29に同軸かつ相対回転可能に支持されている。第2の軸受36として、図2に示すような転がり軸受が採用されてもよいし、すべり軸受が採用されてもよい。出力軸16は、インターミディエイトシャフト17(図1参照)等を介して転舵機構A(図1参照)に連なっている。
ウォームホイール収容部35は、第3の軸受37を介して出力軸16を回転可能に支持している。第3の軸受37は、操舵軸10の軸方向に関し、ウォームホイール14の下方に配置されている。第3の軸受37の内輪37aは、出力軸16に一体回転可能に嵌合されている。
ハウジングHの内部空間Sは、ウォームホイール14によって、ウォームホイール14に対し操舵軸10の軸方向の下方側(転舵機構A側)の第1の空間Saと、ウォームホイール14に対し操舵軸10の軸方向の上方側(操舵部材3側)の第2の空間Sbとに仕切られている。
電磁クラッチ機構15は、機構部51と駆動部52とを含む。機構部51は、次に述べるツーウェイクラッチ106を含む。駆動部52は、環状の電磁石54と、電磁石54からの電磁力を受けて機構部51を作動させるための移動部材55とを含む。
図4Aは、移動部材55の斜視図である。
移動部材55は、アーマチュア58と、複数のセパレータ126とを含む。アーマチュア58と、複数のセパレータ126とは、一体移動可能に設けられている。セパレータ126は、ツーウェイクラッチ106のローラ対123と同数、設けられている。
アーマチュア58は、操舵軸10を挿通するための穴が中央部に形成された円環形状である。アーマチュア58は、磁性材を含む材料から構成されている。アーマチュア58は、磁性部31の軸方向の下方側(転舵機構A側)の下面31cに対向する対向面58aと、対向面58aと反対側の反対面58bとを有している。
セパレータ126は、操舵軸10の軸方向に延びる柱形状であり、その軸方向端部がアーマチュア58に固定されている。具体的には、各セパレータ126の軸方向端部は、アーマチュア58の反対面58bに固定されている。セパレータ126は本実施例では金属から構成されているが、樹脂など他の材料を用いて構成してもよい。セパレータ126とアーマチュア58は一体成形されていても、別部材が公知の方法で接合されていてもよい。
図2に示すように、機構部51は、ハウジングHの内部空間Sのうち、下方の第1の空間Saに収容配置されている。電磁石54は、ハウジングHの内部空間Sのうち、上方の第2の空間Sbに収容配置されている。すなわち、電磁石54は、操舵軸10の軸方向に関し、ウォームホイール14に対し機構部51と反対側に配置されている。電磁石54は、センサハウジング26の環状壁40の内側側面40aに固定されている。電磁石54は、操舵軸10と同軸に銅線等が巻き付けられた電磁コイル56aと、電磁コイル56aに近接して配置されるコア56bとを有する。
本実施例では、アーマチュア58は、操舵軸10の軸方向に関し、ウォームホイール14に対し電磁石54と反対側に配置されている。すなわち、アーマチュア58は、操舵軸10の軸方向に関し、ウォームホイール14に対し機構部51と同じ側に設けられている。
また、移動部材55は、後述する第1の位置(図7Aおよび図7B参照)と、後述する第2の位置(図9Aおよび図9B参照)との間で、操舵軸10の軸方向に沿って移動可能に設けられている。移動部材55の第1および第2の位置は、それぞれ、電磁コイル56aへの通電に伴って当該電磁コイル56aの周囲に形成される磁場(電磁石54により形成される磁場)内に配置されている。電磁コイル56aの磁場に磁界が形成された状態では、磁性部31がアーマチュア58を吸引し、これにより、アーマチュア58が、磁性部31に向けて移動し、それに伴い、移動部材55も磁性部31に向けて移動する。
図4Bは、図2の切断面線IVB−IVBから見た断面図である。図5は、図4Bに示すツーウェイクラッチ106の斜視図である。図5では、ツーウェイクラッチ106から外輪105を除いた構成を示している。
以下、図2、図4Bおよび図5を参照して、ツーウェイクラッチ106について説明する。
以降の説明において、操舵軸10の軸方向を軸方向Xとする。内輪104の軸方向および外輪105の軸方向は、軸方向Xと一致する。また、軸方向Xのうち、ツーウェイクラッチ106から見て上方側(車両の後方側)の軸方向を軸方向一方X1とし、軸方向Xのうち、ツーウェイクラッチ106から見て下方側(車両の前方側)の軸方向を軸方向他方X2とする。
また、操舵軸10の回転方向に沿う方向を周方向Yとする。内輪104の周方向、外輪105の周方向、およびウォームホイール14の周方向は、周方向Yと一致する。また、周方向Yのうち、軸方向他方X2側から見て時計回りの周方向を周方向一方Y1とし、周方向Yのうち、軸方向他方X2側から見て反時計回りの周方向を周方向他方Y2とする。
また、操舵軸10の回転半径方向を、径方向Zとする。内輪104の径方向、外輪105の径方向、およびウォームホイール14の径方向は、径方向Zと一致する。
ツーウェイクラッチ106は、出力軸16(図2参照)に同軸に連結された外輪105と、内軸29(図2参照)に同軸に連結され、かつ外輪105に相対回転可能に設けられた内輪104と、内輪104の外周と外輪105の内周とによって形成される一または複数の(この実施形態では、たとえば3つの)くさび空間129のそれぞれに、周方向Yに並んで配置される、第1のローラ123aおよび第2のローラ123bからなるローラ対123と、操舵軸10回りに相対回転可能に設けられた第1および第2の押圧部材131,132とを含む。第1の押圧部材131が周方向他方Y2に向けて移動することにより、各ローラ対123の第1のローラ123aが周方向他方Y2に向けて押圧移動させられる。また、第2の押圧部材132が周方向一方Y1に向けて移動することにより、各ローラ対123の第2のローラ123bが周方向一方Y1に向けて押圧移動させられる。
外輪105は、図2に示すように、たとえば、出力軸16と一体に設けられている。すなわち、外輪105と出力軸16とを一体に含む出力軸部材57が設けられている。出力軸部材57は、たとえば鋼等の金属材料を用いて形成されている。また、外輪105を、出力軸16と別部材を用いて設けるようにしてもよい。
ウォームホイール14が固定されている内軸29に内輪104が連結されており、かつ、移動部材55が内輪104と同伴回転可能に設けられているので、ウォームホイール14と移動部材55とは同伴回転する。すなわち、アーマチュア58が、磁性部31に対し同伴回転可能に設けられている。
図4Bに示すように、各くさび空間129は、外輪105の内周に形成された円筒面121と、内輪104の外周に形成され、円筒面121と径方向Zに対向するカム面122とによって区画される。各くさび空間129は、周方向Yの両端に向かうに従って狭くなっている。各くさび空間129には、第1および第2のローラ123a,123bを互いに離反する周方向Yに弾性押圧する弾性部材124が配置されている。弾性部材124としてコイルばね等を例示できる。カム面122は、周方向Yに対し互いに反対の方向に傾斜するように設けられた一対の傾斜面127a,127bと、傾斜面127a,127b同士を接続する平坦なばね支持面128とを含む。
各ローラ対123は、周方向一方Y1側の第1のローラ123aと、周方向他方Y2側の第2のローラ123bとを含む。
第1の押圧部材131は、柱状の第1の押圧部135と、第1の押圧部135を一括して支持する環状の第1の支持部(図示しない)とを含む。第1の支持部は、たとえば複数の第1の押圧部135を支持する。第1の押圧部材131は、第1の支持部が内輪104および外輪105と同軸をなすように、かつ内輪104および外輪105に相対回転可能に設けられている。第1の押圧部135は、ローラ対123と同数(この実施形態では3つ)で、軸方向Xに延びる柱状で、周方向Yに等間隔に配置されている。第1の押圧部135および第1の支持部は、合成樹脂材料または金属材料を用いて一体に設けられていてもよい。第1の押圧部材131は、ローラ対123および弾性部材124を保持する保持器として機能していてもよい。
第2の押圧部材132は、柱状の第2の押圧部140と、第2の押圧部140を一括して支持する環状の第2の支持部141(図5参照)とを含む。第2の支持部141は、たとえば複数の第2の押圧部140を支持する。第2の押圧部材132は、第2の支持部141が内輪104および外輪105と同軸をなすように、かつ内輪104および外輪105に相対回転可能に設けられている。第2の押圧部140は、ローラ対123と同数(この実施形態では3つ)で、軸方向Xに延びる柱状で、周方向Yに等間隔に配置されている。第2の押圧部140および第2の支持部141は、合成樹脂材料または金属材料を用いて一体に設けられていてもよい。第2の押圧部材132は、ローラ対123および弾性部材124を保持する保持器として機能していてもよい。
図4Bおよび図5に示すように、第1の押圧部材131および第2の押圧部材132は、第1の押圧部135と第2の押圧部140とが周方向Yに交互に並ぶように組み合わされる。
図4Bおよび図5に示すように、各第1の押圧部135と、当該第1の押圧部135が押圧可能な第1のローラ123aが含まれるローラ対123の周方向一方Y1側で隣接するローラ対123の第2のローラ123bに押圧可能な第2の押圧部140(以下、「隣ローラ対123の第2の押圧部140」という)との間には、対応する1つのセパレータ126が、軸方向Xに延びた状態で挿入されている。各第1の押圧部135の周方向他方Y2側には、当該第1の押圧部135が押圧可能な第1のローラ123aと対をなす第2のローラ123bを押圧するための第2の押圧部140が、ローラ対123を介して隣り合っている。また、各第1の押圧部135の周方向一方Y1側には、隣ローラ対123の第2の押圧部140が、セパレータ126を介して隣り合っている。
図4Bおよび図5に示すように、各第1の押圧部135の周方向他方Y2側の面には、ローラ対123の第1のローラ123aを押圧するための第1の押圧面137が形成されている。第1の押圧面137は、たとえば平坦面によって構成されている。第1の押圧面137は、平坦面によって構成されているものに限られず、第1のローラ123aに、面接触、線接触または点接触するものであってもよい。
図4Bおよび図5に示すように、各第1の押圧部135の周方向一方Y1側の面には、第1の被摺接面138が形成されている。セパレータ126の周方向他方Y2側の面には第1の摺接面153が形成されている。第1の摺接面153と第1の被摺接面138とは線接触状態になるような形状に形成されている。具体的には、本実施例では第1の被摺接面138は、周方向他方Y2側へ湾曲した曲面Cを含んでいる。第1の摺接面153は、周方向他方Y2側へ凸形状の曲面Dを含んでいる。曲面Cの曲率は曲面Dの曲率よりも小さく設定されており、曲面Cと曲面Dとは線接触している。つまり、第1の摺接面153と第1の被摺接面138とは線接触している。セパレータ126の軸方向Xの移動に伴って曲面C上における曲面Dとの接触位置も曲面C上を移動するが、通常状態では曲面Cから逸脱することはない。
図4Bおよび図5に示すように、各第2の押圧部140の周方向一方Y1側の面には、ローラ対123の第2のローラ123bを押圧するための第2の押圧面142が形成されている。第2の押圧面142は、たとえば平坦面によって構成されている。第2の押圧面142は、平坦面によって構成されているものに限られず、第2のローラ123bに、面接触、線接触または点接触するものであってもよい。
図4Bおよび図5に示すように、各第2の押圧部140の周方向他方Y2側の面には、第2の被摺接面143が形成されている。移動部材55の周方向一方Y1側の面には第2の摺接面154が形成されている。第2の摺接面154と第2の被摺接面143とは線接触状態になるような形状に形成されている。具体的には、本実施例では第2の被摺接面143は、周方向一方Y1側へ湾曲した曲面Eを含んでいる。第2の摺接面154は、周方向一方Y1側へ凸形状の曲面Fを含んでいる。曲面Eの曲率は曲面Fの曲率よりも小さく設定されており、曲面Eと曲面Fとは線接触している。つまり、第2の摺接面154と第2の被摺接面143とは線接触している。移動部材55の軸方向Xの移動に伴って曲面E上における曲面Fとの接触位置も曲面E上を移動するが、通常状態では曲面Eから逸脱することはない。
図6Aおよび図6Bは、セパレータ126の構成を示す斜視図である。図6Aおよび図6Bでは、互いに異なる二方向から、セパレータ126を見ている。
各セパレータ126は、第1の押圧部135(図4B等参照)と隣ローラ対123の第2の押圧部140(図4B等参照)との間を挿通する挿通部151と、挿通部151の軸方向他方X2の端部に、周方向Yの双方に広がるくさび部152とを含む。くさび部152は、周方向他方Y2側の面に設けられた第1の摺接面153と、周方向一方Y1側の面に設けられた第2の摺接面154とを含む。くさび部152が第1および第2の押圧部材131,132(図4B等参照)に、軸方向他方X2側から摺接している。第1の摺接面153および第2の摺接面154の形状は前述の通りである。
図7Aおよび図7Bは、ツーウェイクラッチ106の締結状態における、アーマチュア58と、ウォームホイール14との間の位置関係を示す図である。図8は、ツーウェイクラッチ106の解放状態における、ツーウェイクラッチ106の断面図である。図9Aおよび図9Bは、ツーウェイクラッチ106の解放状態における、アーマチュア58と、ウォームホイール14との間の位置関係を示す図である。
図7Bは、図7Aの切断面線VIIB-VIIBから見た図であり、図9Bは、図9Aの切断面線IXB-IXBから見た図である。図2、図4Bおよび図7A〜図9Bを参照しながら、電磁クラッチ機構15の断続について説明する。
前述のように、磁性部31は、電磁コイル56aへの通電に伴って当該電磁コイル56aの周囲に形成される磁場内に配置されている。また、各アーマチュア58は、電磁コイル56aの周囲に形成される磁場内に配置されている。そのため、電磁コイル56a(電磁石54)、ウォームホイール14の磁性部31、およびアーマチュア58によって磁気回路85が構成されている。換言すると、磁性部31は、電磁石54の磁気回路85の一部を形成しており、また、アーマチュア58も、電磁石54の磁気回路85の一部を形成している。
そして、電磁コイル56aに電流が流れ、電磁コイル56aの周囲に磁場が形成されると、磁性部31がアーマチュア58を吸引し、これによりアーマチュア58が軸方向一方X1へ移動する。これに伴って、移動部材55が軸方向一方Xへ移動する。すなわち、ウォームホイール14の磁性部31の下面31cが、アーマチュア58を吸引するための吸引部として機能する。
電磁クラッチ機構15を接続状態とする際には、電磁石54への電力供給がオフとされる。この場合、電磁コイル56aに電流が流れないので、電磁コイル56aの周囲に磁場が発生せず、磁気回路85に磁束86が流れない。そのため、ウォームホイール14の磁性部31はアーマチュア58を軸方向一方X1側に吸引せず、そのため、移動部材55は、第1の位置(図7Aおよび図7Bに示す位置)に配置される。
移動部材55が第1の位置に配置されている状態では、ツーウェイクラッチ106が締結状態にある。この締結状態では、図4Bに示すように、各弾性部材124によって、各第1のローラ123aが、くさび空間129の周方向一方Y1側の端部の第1の係合位置129aに向けて弾性押圧されている。そのため、各第1のローラ123aが内輪104の外周および外輪105の内周に係合している。また、この状態では、図4Bに示すように、各弾性部材124によって、各第2のローラ123bが、くさび空間129の周方向他方Y2側の端部の第2の係合位置129bに向けて弾性押圧されている。そのため、第2のローラ123bが内輪104の外周および外輪105の内周に係合している。締結状態のツーウェイクラッチ106により内軸29と出力軸16とが連結され、これにより、操舵部材3(図1参照)と転舵機構A(図1参照)とが機械的に連結される。
一方、電磁クラッチ機構15を解除状態とする際には、電磁石54への電力供給がオンとされる。これにより、電磁コイル56aに電流が流れ、電磁コイル56aの周囲に磁場が発生する。その結果、磁気回路85に磁束86が流れる。このため、図9Aおよび図9Bに示すように、移動部材55が電磁クラッチ機構15により吸引されて、軸方向一方X1側に引き込まれ、軸方向一方X1に移動する(たとえば1〜2mm程度)。これにより、移動部材55が、第1の位置(図7Aおよび図7Bに示す位置)よりも軸方向一方X1側の第2の位置(図9Aおよび図9Bに示す位置)に配置される。移動部材55が第2の位置(図9Aおよび図9B参照)に配置された状態では、移動部材55は、磁性部31の下面31cに微小間隔S3(図9Aおよび図9B参照)を隔てて配置される。
前述のように、セパレータ126では、第1の摺接面153が、軸方向他方X2に向かうに従って周方向他方Y2に向かうような面からなり、かつ第2の摺接面154が、軸方向他方X2に向かうに従って周方向一方Y1に向かう面からなる。そのため、各セパレータ126の軸方向一方X1側への移動に伴い、第1の押圧部材131が周方向他方Y2側へ移動させられると共に第2の押圧部材132が周方向一方Y1側へ移動させられる。
第1の押圧部材131がセパレータ126に対して周方向他方Y2側に移動することにより、第1の押圧部135(第1の押圧面137)が、第1のローラ123aを、弾性部材124の弾性押圧力に抗って周方向他方Y2に向けて押圧移動させる。これにより、各第1のローラ123aが第1の係合位置129a(図4B参照)から離脱し、図8に示すように、各第1のローラ123aと外輪105の内周との間に隙間S1が形成される。すなわち、各第1のローラ123aの、内輪104の外周および外輪105の内周に対する係合が外れる。
また、第2の押圧部材131がセパレータ126に対して周方向一方Y1側に移動することにより、第2の押圧部140(第2の押圧面142)が、第2のローラ123bを、弾性部材124の弾性押圧力に抗って周方向一方Y1に向けて押圧移動させる。これにより、各第2のローラ123bが第2の係合位置129b(図4B参照)から離脱し、図8に示すように、各第2のローラ123bと外輪105の内周との間に隙間S2が形成される。すなわち、各第2のローラ123bの、内輪104の外周および外輪105の内周に対する係合が外れる。
移動部材55が第2の位置(図9Aおよび図9Bに示す位置)に配置されている状態では、ツーウェイクラッチ106が解除状態にある。この解除状態では、各ローラ123a,123bの、内輪104および外輪105に対する係合が解除される。解除状態のツーウェイクラッチ106により内軸29と出力軸16との機械的な連結が解除され、これにより、操舵部材3(図1参照)と転舵機構A(図1参照)とが連結解除される。
ところで、仮に、電磁クラッチ機構15をハウジングH(図2参照)の内部空間S(図2参照)に収容配置する構成でなく、インターミディエイトシャフトとステアリングコラムとの間に電磁クラッチ機構を配置する場合を考える。具体的には、たとえば特開2013−92191号公報に記載の駆動力伝達機構を、インターミディエイトシャフト17(図1参照)とステアリングコラム5(図1等参照)との間に介装する場合を考える。この場合には、当該駆動力伝達機構は大型の装置であるため、駆動力伝達機構のハウジングが、ステアリングコラム5の下部取付構造体73(図2参照)と干渉するおそれがある。また、駆動力伝達機構のハウジングの分だけ、インターミディエイトシャフト17を下側へずらす必要があり、このことに起因して、インターミディエイトシャフト17のジョイント部の折れ角によるトルク変動(角度伝達誤差)が生じるおそれがある。
以上により、この発明の一実施形態によれば、電磁クラッチ機構15がハウジングHの内部空間Sに収容配置されている。減速機12およびトルクセンサ21を収容するハウジングHの内部に電磁クラッチ機構15が収容配置されているので、電磁クラッチ機構15が周辺部材(たとえば下部取付構造体73)と干渉することを回避できる。
また、ハウジングHの内部において、電磁石54が、軸方向Xに関し、ウォームホイール14に対し機構部51と反対側に配置されている。すなわち、電磁クラッチ機構15がウォームホイール14を挟んで分割配置されている。そのため、ハウジングHの内部空間Sを有効に活用して電磁クラッチ機構15を配置できる。これにより、ステアリング装置1の大型化を抑制できる。
しかも、ウォームホイール14の磁性部31が、電磁石54の磁気回路85の一部を形成している。そのため、電磁石54からの電磁力を用いて、ウォームホイール14を挟んで反対側に配置された機構部51を動作させることが可能である。そのため、機構部51を駆動するための構成を簡易な構造で実現できる。
ゆえに、電磁クラッチ機構15を周辺部材と干渉することなく搭載でき、しかも、簡易な構造を有すると共に、大型化が抑制されたステアリング装置1を提供できる。
また、アーマチュア58は、ウォームホイール14に対し機構部51と同じ側において移動可能に設けられている。アーマチュア58は、磁性部31と共に、電磁石54の磁気回路85の一部を形成している。したがって、ウォームホイール14の磁性部31の下面31cを、アーマチュア58を吸引するための吸引部として機能させることができる。これにより、電磁石54からの電磁力を用いて、ウォームホイール14を挟んで反対側に配置された機構部51を動作させる構成を、より簡易な構造で実現できる。
また、アーマチュア58が、磁性部31に対し同伴回転可能に設けられているので、仮にアーマチュア58の一部が磁性部31に接触したとしても、アーマチュア58と磁性部31との間に大きな摩擦等は発生しない。 また、ツーウェイクラッチ106は、ローラ対123が内輪104および外輪105の双方に係合する状態で締結状態になる。この締結状態から、第1の押圧部材131を周方向他方Y2に向けて移動させ、かつ第2の押圧部材132を周方向一方Y1に向けて移動させることにより(互いに反対向きの所定の方向に移動させることにより)、ローラ対123が互いに接近する方向に押圧移動させることができる。これにより、内輪104および外輪105に対するローラ対123の係合が外れ、その結果、ツーウェイクラッチ106が解放状態になる。これにより、操舵軸10と出力軸16とを連結/連結解除する機構部51を、ツーウェイクラッチ106により実現できる。
また、くさび部152の第1および第2の摺接面153,154が、軸方向他方X2に向かうに従って周方向Yの両側に互いに離れるように設けられている。そのため、セパレータ126を軸方向一方X1へ移動させることにより、第1の押圧部材131を周方向他方Y2に向けて移動させ、かつ第2の押圧部材132を周方向一方Y1に向けて移動させることができ、これにより、ローラ対123を互いに接近する方向に押圧移動させることができる。ゆえに、ツーウェイクラッチ106の締結状態と解放状態との切換えを良好に行うことができる。
また、クラッチ機構が搭載されない構成のステアリング装置では、内軸29とインターミディエイトシャフト17とが接続されている。これに対し、ステアリング装置1では、内軸29に同軸かつ相対回転可能に設けられる出力軸16が、インターミディエイトシャフト17と接続されている。そのため、ステアリング装置1におけるインターミディエイトシャフト17の座標を、クラッチ機構が搭載されない構成のステアリング装置の場合と同等とすることができる。そのため、インターミディエイトシャフト17のジョイント部の折れ角によるトルク変動(角度伝達誤差)の発生を回避できる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、磁性部31における、電磁石54と対向する部分(スリット81の周囲の領域)の軸方向Xの厚みが、磁性部31におけるその他の領域よりも薄く設けられていてもよい。
また、スリット81が、全体として1つの円環をなしているとして説明したが、スリット81が、たとえば2重円環状をなしており、スリット81によって、磁性部31が径方向に3分割されていてもよい。また、スリット81が、3重以上の多重円環状をなしていてもよい。
また、磁性部31にスリット81を形成しない構成としてもよい。
また、前述の実施形態では、くさび部152が第1および第2の押圧部材131,132に、軸方向他方X2側から摺接するものとして説明した。しかしながら、くさび部152が第1および第2の押圧部材131,132に、軸方向一方X1側から摺接するものであってもよい。この場合、くさび部152の第1および第2の摺接面153,154は、軸方向一方X1に向かうに従って周方向Yの両側に互いに離れるように設けられている。
また、前述の実施形態では、電磁石54を、軸方向Xに関しトルクセンサ21とずらして配置しているが、電磁石54とトルクセンサ21とが軸方向Xに少なくとも一部が重なっていてもよい。この場合、トルクセンサ21の外周を取り囲むように電磁石54が配置される。また、電磁石54は、センサハウジング26に収容される。
また、機構部51がツーウェイクラッチ106(図4B等参照)であるとして説明したが、機構部51は、摩擦クラッチを含む構成であってもよい。この場合、摩擦クラッチは、単板クラッチであってもよいし、多板クラッチ等の他のクラッチであってもよい。
また、機構部51は、噛み合いクラッチを含む構成であってもよい。
また、外輪105が出力軸16に連結されており、かつ内輪104が内軸29(操舵軸10)に連結されているとして説明したが、外輪105が内軸29(操舵軸10)に連結されており、かつ内輪104が出力軸16に連結されていてもよい。
また、センサハウジング26および減速機ハウジング25によってハウジングHが構成されているとしたが、ハウジングHは少なくとも減速機ハウジング25を含む構成であればよい。すなわち、ハウジングHは減速機12を収容していれば、トルクセンサ21を収容していなくてもよい。したがって、トルクセンサが設けられていないステアリング装置にも本願発明を適用できる。
また、操舵軸10に一体回転可能に取り付けられる歯車として、ウォームホイール14を例に挙げたが、歯車として他の種類の歯車を採用できる。
その他、本発明は特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
1…ステアリング装置、3…操舵部材、10…操舵軸、14…ウォームホイール(歯車)、15…電磁クラッチ機構、16…出力軸、31磁性部、54…電磁石、58…アーマチュア、80…シール部材、85…磁気回路、104…内輪、105…外輪、106…ツーウェイクラッチ、123…ローラ対、126…セパレータ、129…くさび空間、131…第1の押圧部材、132…第2の押圧部材、153…第1の摺接面、154…第2の摺接面、A…転舵機構、H…ハウジング、S…内部空間

Claims (6)

  1. 操舵部材が連結された操舵軸と、
    磁性材料を含む磁性部を有し、前記操舵軸に一体回転可能に取り付けられた歯車と、
    少なくとも前記歯車を収容するハウジングと、
    前記操舵軸に同軸かつ相対回転可能に設けられ、転舵機構に連結された出力軸と、
    前記ハウジングの内部空間に収容配置され、前記操舵軸と前記出力軸との間の動力伝達を断続する電磁クラッチ機構とを含み、
    前記電磁クラッチ機構は、
    前記操舵軸と前記出力軸とを連結/連結解除可能に設けられた機構部と、
    コイルへの通電により、前記機構部が前記操舵軸と前記出力軸とを連結/連結解除可能とするための磁場を発生させ磁気回路を形成する電磁石とを含み、
    前記機構部は、前記電磁石と前記歯車を挟んだ反対側に配置されており、
    前記磁性部は、前記磁気回路の一部を形成する、ステアリング装置。
  2. 前記電磁クラッチ機構は、磁性材料を含んで形成され、前記機構部を作動させるためのアーマチュアをさらに含み、
    前記アーマチュアは、前記電磁石と前記歯車を挟んだ反対側に配置されて、前記磁性部と共に前記磁気回路の一部を形成している、請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記アーマチュアは、前記磁性部に対し、同伴回転可能に設けられている、請求項2に記載のステアリング装置。
  4. 前記機構部は、ツーウェイクラッチを含み、
    前記ツーウェイクラッチは、
    前記操舵軸および前記出力軸の一方に同軸に連結された内輪と、
    前記操舵軸および前記出力軸の他方に同軸に連結され、前記内輪に相対回転可能に設けられた外輪と、
    前記内輪の外周と前記外輪の内周とによって形成されるくさび空間に、前記内輪の周方向に並んで配置されるローラ対と、
    前記操舵軸回りに相対回転可能に設けられ、互いに反対向きの所定の方向に移動されることにより、前記ローラ対を互いに接近する方向に押圧する一対の押圧部材とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリング装置。
  5. 前記電磁クラッチ機構は、磁性材料を含んで形成され、前記機構部を作動させるためのアーマチュアをさらに含み、
    前記アーマチュアは、前記電磁石と前記歯車を挟んだ反対側に配置され、前記磁性部と共に前記磁気回路を形成しており、
    前記アーマチュアは、前記操舵軸の軸方向に沿って移動可能に設けられており、
    前記アーマチュアは、当該軸方向への移動により、前記一対の押圧部材を互いに反対方向に移動させる、請求項4に記載のステアリング装置。
  6. 前記一対の押圧部材は、第1および第2の押圧部材を含み、
    前記アーマチュアは、前記第1の押圧部材に摺接する第1の摺接面と、前記第2の押圧部材に摺接する第2の摺接面とを含み、
    前記第1および第2の摺接面は、前記操舵軸の所定の軸方向に向かうに従って周方向の両側に互いに離れるように設けられている、請求項5に記載のステアリング装置。
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