JP2017020522A - 駆動力伝達装置およびそれを備えた操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ローラクラッチを解放状態に維持するために必要な駆動力を低減できる駆動力伝達装置およびそれを備えた操舵装置を提供すること。【解決手段】第1の押圧部材131の第1の被摺接面138は、第1の傾斜角θ1が、移動部材55が中間位置にある場合よりも解放位置にある場合で小さくなるように設けられている。第2の押圧部材132の第2の被摺接面143は、第2の傾斜角θ2が、移動部材55が中間位置にある場合よりも解放位置にある場合で小さくなるように設けられている。【選択図】図10C

Description

本発明は、第1の軸と第2の軸との間で、回転駆動力の伝達/切断を切換え可能な駆動力伝達装置、およびそれを備えた操舵装置に関する。
下記特許文献1に記載の回転伝達装置は、電磁クラッチとローラクラッチ(2方向クラッチ)とを含む。このローラクラッチは、外輪の内周と内輪の外周とによって形成されたくさび空間に介装された一対のローラを含む。一対のローラは、制御保持器および回転保持器という2つの保持器で保持されている。制御保持器のフランジと回転保持器のフランジとの対向面間には、制御保持器の軸方向の移動に同伴して回転保持器を制御保持器に対して回転させるボールカム構造が設けられている。電磁クラッチの通電/電源遮断によって制御保持器を軸方向移動させることにより、制御保持器および回転保持器が相対回転し、この相対回転により、一対のローラを、内輪および外輪に係合する係合位置と、内輪および外輪の少なくとも一方への係合が外れている非係合位置との間で移動させることができ、これにより、ローラクラッチの断続が切り換えられる。
特開2013−92191号公報
しかしながら、特許文献1に記載の回転伝達装置では、ボールカム構造を回転保持器と一体化させているため、回転保持器の形状が複雑になり、コストアップの要因になっている。また、ボールとカムとの摺動面に高硬度性が要求されているから熱処理等が必要であり、また、鋼材料でなくセラミックスを用いてカムを形成することもできるが、いずれも場合もコストアップになるおそれがある。したがって、ボールカム構造に代わる新規な構造を有するローラクラッチが望まれている。
本願発明者は、ローラクラッチとして、くさび空間に配置されるローラを、内輪および外輪に係合する係合位置に向けて弾性押圧する弾性部材と、ローラを係合位置から離脱する方向に押圧可能に設けられた押圧部材と、押圧部材に摺接し、軸方向移動可能な移動部材とを備えたローラクラッチを採用することを検討している。このローラクラッチは、通電により磁場を発生する電磁石を有する駆動ユニットによって駆動される。内輪および外輪にローラが係合しているローラクラッチの締結状態では、移動部材が締結位置にありかつ駆動ユニットはオフである。駆動ユニットによる移動部材の軸方向一方の移動に伴って、押圧部材が、ローラを係合位置から離脱する方向に向けて押圧する。締結状態において駆動ユニットがオンにされ電磁石によって磁場が発生されると、この磁場の働きにより、解放位置に向けて移動部材が軸方向一方に移動させられる。移動部材が解放位置に配置されると、内輪および外輪へのローラの係合が外れ、これにより、ローラクラッチが解放状態になる。
ところで、移動部材が解放位置に保持されている状態では、弾性部材の弾性押圧力により、締結位置に向かう力が移動部材に作用する。弾性部材の弾性押圧力に抗って、移動部材を解放位置に保持し続けるためには、軸方向一方側へ向かう駆動力を移動部材に付与し続ける必要がある。
したがって、本発明の目的は、ローラクラッチを解放状態に維持するために必要な駆動力を低減できる駆動力伝達装置およびそれを備えた操舵装置を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、互いに同軸に配置された第1の軸(10;202)と第2の軸(16;203)との間で回転駆動力の伝達/切断を切換え可能な駆動力伝達装置(15;15A)であって、前記第1の軸に同軸に連結された内輪(104;204)と、前記第2の軸に同軸に連結され、前記内輪に相対回転可能に設けられた外輪(105;205)と、前記内輪の外周と前記外輪の内周とによって形成されるくさび空間(129)に配置されるローラ(123a,123b)と、前記ローラを、前記内輪および前記外輪に係合する係合位置(129a,129b)に向けて弾性押圧する弾性部材(124)と、被摺接面(153,154)を有し、前記ローラを前記係合位置から離脱する方向に押圧可能に設けられた押圧部材(131,132)と、前記被摺接面に摺接し、軸方向一方(X1)への移動に伴って、前記ローラを前記係合位置から離脱する方向に向けて押圧するように前記押圧部材を移動させる移動部材(55)とを含み、前記駆動力伝達装置は、通電により磁場を発生する電磁石(54)を有し、前記移動部材を、前記内輪および前記外輪に前記ローラが係合している所定の締結位置と、当該締結位置に対して前記軸方向一方側にあり、前記内輪および前記外輪の少なくとも一方への前記ローラの係合が外れている所定の解放位置との間で移動させる駆動ユニット(53)をさらに含み、前記被摺接面は、前記被摺接面の前記移動部材と接触する接触領域(PC,PC)における軸方向に対する傾斜角(θ,θ)が、前記移動部材が前記締結位置と前記解放位置との間の所定の中間位置(M)にある場合よりも前記解放位置にある場合で小さくなるように設けられている、駆動力伝達装置を提供する。
なお、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2に記載の発明は、前記ローラは、前記くさび空間に周方向に並んで配置されるローラ対(123)を含み、前記弾性部材は、前記ローラ対のうち周方向一方(Y1)側の第1のローラ(123a)を、前記くさび空間の周方向他方(Y2)側に設けられ前記内輪および前記外輪に係合する第1の係合位置(129a)に向けて弾性押圧し、かつ前記ローラ対のうち周方向他方側の第2のローラ(123b)を、前記くさび空間の周方向一方側に設けられ前記内輪および前記外輪に係合する第2の係合位置(129b)に向けて弾性押圧しており、前記押圧部材は、第1の被摺接面(153)を有し、前記第1のローラを前記第1の係合位置から離脱する方向に押圧可能に設けられた第1の押圧部材(131)と、第2の被摺接面(154)を有し、前記第1の押圧部材に周方向に相対移動可能に設けられ前記第2のローラを前記第2の係合位置から離脱する方向に押圧可能に設けられた第2の押圧部材(132)とを含み、前記移動部材は、前記第1の被摺接面に周方向一方側から摺接すると共に、前記第2の被摺接面に周方向他方側から摺接し、軸方向一方への移動に伴って、前記第1のローラを前記第1の係合位置から離脱する方向に向けて押圧するように前記第1の押圧部材を移動させ、かつ前記第2のローラを前記第2の係合位置から離脱する方向に向けて押圧するように前記第2の押圧部材を移動させており、前記移動部材の前記締結位置は、前記内輪および前記外輪に各ローラが係合している位置であり、前記移動部材の前記解放位置は、各ローラの、前記内輪および前記外輪の少なくとも一方への係合が外れる位置であり、前記第1の被摺接面および前記第2の被摺接面は、前記第1の被摺接面の前記移動部材と接触する第1の接触領域(PC)における軸方向に対する第1の傾斜角(θ)および前記第2の被摺接面の前記移動部材と接触する第2の接触領域(PC)における軸方向に対する第2の傾斜角(θ)が、前記移動部材が前記中間位置にある場合よりも前記解放位置にある場合で小さくなるように設けられている、請求項1に記載の駆動力伝達装置である。
請求項3に記載の発明は、操舵部材(3)が連結された操舵軸(10)と、前記操舵軸に相対回転可能に設けられ、転舵機構(A)に連結された出力軸(16)と、請求項1または2に記載の駆動力伝達装置(15)とを含み、前記第1の軸は、前記操舵軸および前記出力軸の一方を含み、前記第2の軸は、前記操舵軸および前記出力軸の他方を含む、操舵装置(1)を提供する。
請求項4に記載の発明は、前記傾斜角は、前記移動部材が前記中間位置にある場合よりも、前記移動部材が前記解放位置にある場合で小さくなるように設けられている、請求項1または2に記載の駆動力伝達装置である。
請求項1によれば、移動部材が解放位置にある場合には、移動部材が締結位置と解放位置との間の所定の中間位置にある場合に比べて、接触領域における軸方向に対する傾斜角(以下、単に「傾斜角」という。この項において同じ)が小さい。すなわち、ローラクラッチの解放状態では、傾斜角が相対的に小さく、そのため、移動部材に作用する駆動力の、周方向への分力割合が高い。
弾性部材の弾性押圧力に抗って、移動部材を解放位置に保持し続けるためには、軸方向一方側へ向かう所定の大きさの駆動力を移動部材に付与し続ける必要があるが、移動部材が解放位置にある状態で傾斜角が相対的に小さいので、移動部材を解放位置に保持し続けるのに必要な駆動力を低減できる。これにより、ローラクラッチを解放状態に保つのに必要な駆動力を低減できる。
請求項2によれば、ローラクラッチの解放状態、すなわち移動部材が解放位置にある場合には、中間位置にある場合に比べて、第1の接触領域における軸方向に対する第1の傾斜角(以下、単に「第1の傾斜角」という。この項において同じ)および第2の接触領域における軸方向に対する第2の傾斜角(以下、単に「第2の傾斜角」という。この項において同じ)が、それぞれ小さい。すなわち、移動部材が解放位置に位置する状態では、第1および第2の傾斜角が相対的に小さく、そのため、移動部材に作用する駆動力の、周方向への分力割合が高い。
弾性部材の弾性押圧力に抗って、移動部材を解放位置に保持し続けるためには、軸方向一方側へ向かう所定の大きさの駆動力を移動部材に付与し続ける必要があるが、移動部材が解放位置にある状態で第1および第2の傾斜角が相対的に小さいので、移動部材を解放位置に保持し続けるのに必要な駆動力を低減できる。これにより、ローラクラッチを解放状態に保つのに必要な駆動力を低減できる。
請求項3によれば、請求項1に関連した作用効果と同等の作用効果を奏する。
請求項4によれば、請求項1に関連した作用効果と同等の作用効果を奏する。
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動力伝達装置の一例としての電磁クラッチ機構が搭載された操舵装置の概略構成を示す図である。 図2は、図1に示すハウジングの断面図である。 図3は、ウォームホイールを図2の矢視IIIから見た図である 図4Aは、図2に示す移動部材の斜視図である。 図4Bは、図2の切断面線IVB−IVBから見た断面図である 図5は、図4Bに示すツーウェイクラッチの斜視図である。 図6は、図4Aに示すセパレータの斜視図である。 図7は、前記ツーウェイクラッチの締結状態における、アーマチュアと、電磁ユニットとの間の位置関係を示す図である。 図8は、前記ツーウェイクラッチの解放状態における、当該ツーウェイクラッチの断面図である。 図9は、前記ツーウェイクラッチの解放状態における、前記アーマチュアと、前記電磁ユニットとの間の位置関係を示す図である。 図10Aは、前記移動部材の引き込みに伴う第1および第2の傾斜角の変化を示す模式図である。 図10Bは、前記移動部材の引き込みに伴う第1および第2の傾斜角の変化を示す模式図である。 図10Cは、前記移動部材の引き込みに伴う第1および第2の傾斜角の変化を示す模式図である。 図11は、電磁ユニットによる移動部材の電磁力吸引特性を示すグラフである。 図12は、比較例の形態に係る第1または第2の押圧部を示す図である。 図13は、前記駆動力伝達装置の一例としての電磁クラッチユニットを、インターミディエイトシャフトの途中部に配置した状態を示す図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動力伝達装置の一例としての電磁クラッチ機構15が搭載された操舵装置1の概略構成を示す図である。
操舵装置1は、転舵輪2を転舵するための転舵機構Aに対する、ステアリングホイール等の操舵部材3の機械的な連結が解除された、いわゆるステアバイワイヤシステムを採用している。
操舵装置1において、操舵部材3の回転操作に応じて、転舵アクチュエータ4の動作が制御される。この動作は、転舵軸6の車幅方向の直線運動に変換される。この転舵軸6の直線運動は、転舵用の左右の転舵輪2の転舵運動に変換され、これにより車両の転舵が達成される。
具体的には、転舵アクチュエータ4は、たとえばモータを含む。このモータの駆動力は、転舵軸6に関連して設けられた運動変換機構(ボールねじ装置等)により、転舵軸6の軸方向の直線運動に変換される。この転舵軸6の直線運動は、転舵軸6の両端に連結されたタイロッド7に伝達され、ナックルアーム8の回動を引き起こす。これにより、ナックルアーム8に支持された転舵輪2の操向が達成される。転舵機構Aは、転舵軸6、タイロッド7およびナックルアーム8を含む。転舵軸6を支持する転舵軸ハウジング9は、車体Bに固定されている。
操舵部材3は、操舵軸(第1の軸)10に連結されている。操舵軸10は、車体Bに固定されたステアリングコラム5のハウジングHによって、回転可能に支持されている。操舵軸10は、操舵部材3と一体回転可能である。操舵軸10には、モータ11と、モータ11の出力回転を減速させる減速機12とが取り付けられている。減速機12は、たとえば、モータ11により回転駆動されるウォーム軸13と、ウォーム軸13と噛み合い、操舵軸10に固定されたウォームホイール14とを含む。
操舵軸10は、電磁クラッチ機構(駆動力伝達装置)15を介して、転舵機構Aに連結されている。具体的には、転舵機構Aの転舵軸6はラック軸を含む。このラック軸に係合するピニオン19を先端部に有するピニオン軸18には、インターミディエイトシャフト17を介して、出力軸(第2の軸)16が接続されている。出力軸16は、操舵軸10に同軸かつ相対回転可能である。操舵軸10と出力軸16との間には、電磁クラッチ機構15が介装されている。換言すると、電磁クラッチ機構15は、操舵軸10と出力軸16との間で、回転駆動力の伝達/切断を切り換える。
操舵装置1には、操舵軸10に関連して、操舵部材3の操舵角を検出するための操舵角センサ20が設けられている。また、操舵軸10には、操舵部材3に加えられた操舵トルクを検出するためのトルクセンサ21が設けられている。トルクセンサ21は、ステアリングコラム5のハウジングH内に収容されている。
また、操舵装置1には、転舵輪2に関連して、転舵輪2の転舵角を検出するための転舵角センサ22、車速を検出する車速センサ23等が設けられている。センサ20〜23を含む種々のセンサ類の各検出信号は、マイクロコンピュータを含む構成のECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)から構成される制御装置24に入力されるようになっている。制御装置24は、操舵角センサ20によって検出された操舵角と、車速センサ23によって検出された車速とに基づいて目標転舵角を設定する。また、制御装置24は、この目標転舵角と、転舵角センサ22によって検出された転舵角との偏差に基づいて、転舵アクチュエータ4を駆動制御する。
車両の正常運転中は、制御装置24は、電磁クラッチ機構15を切断状態として、操舵部材3と転舵機構Aとを機械的に切り離す。この状態で、制御装置24は、操舵角センサ20、トルクセンサ21等が出力する検出信号に基づいて、操舵部材3が操舵された方向と逆方向を向く適当な反力を操舵部材3に付与するように、モータ11を駆動制御する。モータ11の出力回転は減速機12によって減速(増幅)され、操舵軸10を介して操舵部材3に伝達される。すなわち、車両の正常運転中は、モータ11および減速機12が反力発生機構として機能する。
一方、車両がイグニション・オフの状態である場合や、ステアバイワイヤシステムに不調が生じた等の異常発生の場合には、制御装置24は、電磁クラッチ機構15を接続状態として、操舵部材3と転舵機構Aとを機械的に連結させる。これにより、操舵部材3による転舵機構Aの直接操作を可能としている。電磁クラッチ機構15を介して操舵軸10と転舵機構Aとを機械的に連結可能な構成を採用することにより、ステアバイワイヤシステムの機械的なフェールセーフを実現している。
具体的には、転舵アクチュエータ4およびモータ11の一方に不調が生じた場合は、制御装置24は、操舵角センサ20、トルクセンサ21等が出力する検出信号に基づいて、転舵機構Aに操舵補助力を付与するように、他方を駆動制御する。モータ11の出力回転は、減速機12によって減速され、出力軸16、インターミディエイトシャフト17およびピニオン軸18を介して転舵機構Aに伝達される。転舵アクチュエータ4の出力回転は運動変換機構により転舵機構Aに伝達される。すなわち、異常発生の場合には、モータ11および減速機12、または転舵アクチュエータ4および運動変換機構が、操舵補助機構として機能する。
電磁クラッチ機構15は、たとえばハウジングHの内部空間S(図2参照)に収容されている。
図2は、ハウジングHの断面図である。図2の断面図は、図4Bの切断面線II−IIから見ている。
操舵軸10は、操舵部材3(図1参照)に連なるミドルシャフト27と、ミドルシャフト27に同軸に固定された入力軸28と、ウォームホイール14が外嵌固定された内軸29と、入力軸28および内軸29を同一軸線上に連結するトーションバー30とを含む。ミドルシャフト27を介して入力軸28に操舵トルクが入力されたときに、トーションバー30が弾性的にねじり変形し、これにより、入力軸28と内軸29とが相対回転する。操舵トルクは、トルクセンサ21により、入力軸28と内軸29との相対回転量に基づいて検出される。
操舵軸10を支持するステアリングコラム5は、トルクセンサ21の少なくとも一部を収容すると共にトルクセンサ21を保持するセンサハウジング26と、センサハウジング26に対し操舵軸10の軸方向下部に配置され、減速機12を収容する減速機ハウジング25とを有している。センサハウジング26および減速機ハウジング25は、ハウジングHに含まれる。センサハウジング26は、減速機ハウジング25(より具体的には、ウォームホイール収容部35)に対し、操舵軸10の軸方向上部に連結されている。トルクセンサ21は、操舵軸10を取り囲む環状をなしており、センサハウジング26の内周26aに嵌合支持されている。センサハウジング26は、減速機ハウジング25に固定されている。センサハウジング26が、第1の軸受50を介して内軸29を回転可能に支持している。
減速機ハウジング25は、ウォーム軸13を収容保持する筒状のウォーム軸収容部34と、ウォームホイール14を収容保持するウォームホイール収容部35とを、単一の材料で交差状に一体に形成している。ウォームホイール収容部35がセンサハウジング26に固定されている。
ウォームホイール14は、内軸29の軸方向下端部に一体回転可能で且つ軸方向移動不能に連結されている。ウォームホイール14は、内軸29に一体回転可能に結合される円環板状の磁性部31と、磁性部31の周囲を取り囲んで外周面部に歯32aを形成する合成樹脂部材32とを含み、全体として円環板状をなしている。磁性部31は、ウォームホイール14の径方向外方に向けて張り出すハブであり、ウォームホイール14の芯金部として機能する。磁性部31は、たとえば合成樹脂部材32の樹脂成形時に金型内にインサートされ、磁性部31と合成樹脂部材32とは一体回転可能に結合される。
図3は、ウォームホイール14を図2の矢視IIIから見た図である
磁性部31は、磁性材料(たとえば炭素鋼(たとえばS10CやS25C))を用いて形成されている。磁性部31の、アーマチュア58(図2参照)に対向する部分には、ウォームホイール14の周方向に沿って延びる1つまたは複数(図3では、たとえば3つ)のスリット81が穿設されている。スリット81は、全体として1つの円環をなしており、スリット81によって、磁性部31が、ウォームホイール14の径方向に2分割されている。磁性部31の内周部31aと外周部31bとを繋ぐブリッジ82が、スリット81と同数、ウォームホイール14の周方向に等間隔に設けられてられており、ブリッジ82によって各スリット81の両端部が分断されている。スリット81は、後述する電磁石54とアーマチュア58との間に磁路を有効に形成するために形成されている。
磁性部31は、電磁石54の下側の面に形成された下面54aに近接対向している。そのため、磁性部31は、電磁石54の電磁コイル56a(図2参照)の周囲に形成される磁界内に配置されている。
再び図2を参照して、出力軸16は、ウォームホイール収容部35から、軸方向の下方側(転舵機構A側)に突き出ている。出力軸16は、内軸29に同軸かつ内軸29の外周を囲み、出力軸16の内周と、内軸29の外周との間には微小隙間が形成されている。出力軸16は、内軸29の外周に介装された第2の軸受36によって、内軸29に同軸かつ相対回転可能に支持されている。出力軸16は、インターミディエイトシャフト17(図1参照)等を介して転舵機構A(図1参照)に連なっている。
ウォームホイール収容部35は、第3の軸受37を介して出力軸16を回転可能に支持している。第3の軸受37は、操舵軸10の軸方向に関し、ウォームホイール14の下方に配置されている。
ハウジングHの内部空間Sは、ウォームホイール14によって、ウォームホイール14に対し操舵軸10の軸方向の下方側(転舵機構A側)の第1の空間Saと、ウォームホイール14に対し操舵軸10の軸方向の上方側(操舵部材3側)の第2の空間Sbとに仕切られている。
電磁クラッチ機構15は、ツーウェイクラッチ(ローラクラッチ)106と、電磁ユニット53とを含む。ツーウェイクラッチ106は、その接続状態と解除状態とを切り換えるために軸方向Xに移動する移動部材55を含む。電磁ユニット53は、環状の電磁石54を含む。
図4Aは、移動部材55の斜視図である。
移動部材55は、アーマチュア58と、複数のセパレータ126とを含む。アーマチュア58と複数のセパレータ126とは一体移動可能である。セパレータ126は、ツーウェイクラッチ106のローラ対123と同数、設けられている。
アーマチュア58は、操舵軸10を挿通するための穴が中央部に形成された円環形状である。アーマチュア58は、磁性材を含む材料から構成されている。アーマチュア58は、磁性部31の軸方向の下方側(転舵機構A側)の下面31cに対向する対向面58aと、対向面58aと反対側の反対面58bとを有している。
セパレータ126は、操舵軸10の軸方向に延びる柱形状であり、その軸方向端部がアーマチュア58に固定されている。具体的には、各セパレータ126の軸方向端部は、アーマチュア58の反対面58bに固定されている。セパレータ126は本実施例では金属から構成されているが、樹脂など他の材料を用いて構成してもよい。セパレータ126とアーマチュア58は一体成形されていても、別部材が公知の方法で接合されていてもよい。
図2に示すように、ツーウェイクラッチ106は、ハウジングHの内部空間Sのうち、下方側(転舵機構A側)の第1の空間Saに収容配置されている。電磁石54は、ハウジングHの内部空間Sのうち、上方側(操舵部材3側)の第2の空間Sbに収容配置されている。電磁石54は、センサハウジング26の環状壁40の内側側面40aに固定されている。電磁石54は、操舵軸10と同軸に銅線等が巻き付けられた電磁コイル56aと、電磁コイル56aに近接して配置されるコア56bとを有する。
また、移動部材55は、後述する第1の位置(図7Aおよび図7B参照)と、後述する解放位置(図9Aおよび図9B参照)との間で、操舵軸10の軸方向に沿って移動可能である。移動部材55の締結位置および解放位置は、それぞれ、電磁コイル56aへの通電に伴って当該電磁コイル56aの周囲に形成される磁場(電磁石54により形成される磁場)内に配置されている。電磁コイル56aの周囲に磁場が形成された状態では、磁性部31がアーマチュア58を吸引し、これにより、アーマチュア58が、磁性部31に向けて移動し、それに伴い、移動部材55も磁性部31に向けて移動する。
図4Bは、図2の切断面線IVB−IVBから見た断面図である。図5は、図4Bに示すツーウェイクラッチ106の斜視図である。図5では、ツーウェイクラッチ106から外輪105を除いた構成を示している。
以下、図2、図4Bおよび図5を参照して、ツーウェイクラッチ106について説明する。
以降の説明において、操舵軸10の軸方向を軸方向Xとする。内輪104の軸方向および外輪105の軸方向は、軸方向Xと一致する。また、軸方向Xのうち、ツーウェイクラッチ106から見て上方側(操舵部材3)の軸方向を軸方向一方X1とし、軸方向Xのうち、ツーウェイクラッチ106から見て下方側(転舵機構A側)の軸方向を軸方向他方X2とする。
また、操舵軸10の回転方向に沿う方向を周方向Yとする。内輪104の周方向、外輪105の周方向、およびウォームホイール14の周方向は、周方向Yと一致する。また、周方向Yのうち、軸方向他方X2側から見て時計回りの周方向を周方向一方Y1とし、周方向Yのうち、軸方向他方X2側から見て反時計回りの周方向を周方向他方Y2とする。
また、操舵軸10の回転半径方向を、径方向Zとする。内輪104の径方向、外輪105の径方向、およびウォームホイール14の径方向は、径方向Zと一致する。
ツーウェイクラッチ106は、出力軸16(図2参照)に同軸に連結された外輪105と、内軸29(図2参照)に同軸に連結され、かつ外輪105に相対回転可能に設けられた内輪104と、内輪104の外周と外輪105の内周とによって形成される一または複数の(この実施形態では、たとえば3つの)くさび空間129のそれぞれに、周方向Yに並んで配置される、第1のローラ123aおよび第2のローラ123bからなるローラ対123と、操舵軸10回りに相対回転可能に設けられた第1および第2の押圧部材131,132とを含む。第1の押圧部材131が周方向他方Y2に向けて移動することにより、各ローラ対123の第1のローラ123aが周方向他方Y2に向けて押圧移動させられる。また、第2の押圧部材132が周方向一方Y1に向けて移動することにより、各ローラ対123の第2のローラ123bが周方向一方Y1に向けて押圧移動させられる。
外輪105は、図2に示すように、たとえば、出力軸16と一体に設けられている。すなわち、外輪105と出力軸16とを一体に含む出力軸部材57が設けられている。出力軸部材57は、たとえば鋼等の金属材料を用いて形成されている。また、外輪105を、出力軸16と別部材を用いて設けるようにしてもよい。
ウォームホイール14が固定されている内軸29に内輪104が連結されており、かつ、移動部材55が内輪104と同伴回転可能であるので、ウォームホイール14と移動部材55とは同伴回転する。すなわち、アーマチュア58が、磁性部31に対し同伴回転可能である。
図4Bに示すように、各くさび空間129は、外輪105の内周に形成された円筒面121と、内輪104の外周に形成され、円筒面121と径方向Zに対向するカム面122とによって区画される。各くさび空間129は、周方向Yの両端に向かうに従って狭くなっている。各くさび空間129には、第1および第2のローラ123a,123bを互いに離反する周方向Yに弾性押圧する弾性部材124が配置されている。弾性部材124としてコイルばね等を例示できる。カム面122は、周方向Yに対し互いに反対の方向に傾斜するように設けられた一対の傾斜面127a,127bと、傾斜面127a,127b同士を接続する平坦なばね支持面128とを含む。
各ローラ対123は、周方向一方Y1側の第1のローラ123aと、周方向他方Y2側の第2のローラ123bとを含む。
第1の押圧部材131は、柱状の第1の押圧部135と、第1の押圧部135を一括して支持する環状の第1の支持部(図示しない)とを含む。第1の支持部は、たとえば複数の第1の押圧部135を支持する。第1の押圧部材131は、第1の支持部が内輪104および外輪105と同軸をなすように、かつ内輪104および外輪105に相対回転可能である。第1の押圧部135は、ローラ対123と同数(この実施形態では3つ)で、軸方向Xに延びる柱状で、周方向Yに等間隔に配置されている。第1の押圧部135および第1の支持部(図示しない)は、合成樹脂材料または金属材料を用いて一体に設けられていてもよい。第1の押圧部材131は、ローラ対123および弾性部材124を保持する保持器として機能していてもよい。
第2の押圧部材132は、柱状の第2の押圧部140と、第2の押圧部140を一括して支持する環状の第2の支持部141(図5参照)とを含む。第2の支持部141は、たとえば複数の第2の押圧部140を支持する。第2の押圧部材132は、第2の支持部141が内輪104および外輪105と同軸をなすように、かつ内輪104および外輪105に相対回転可能である。第2の押圧部140は、ローラ対123と同数(この実施形態では3つ)で、軸方向Xに延びる柱状で、周方向Yに等間隔に配置されている。第2の押圧部140および第2の支持部141は、合成樹脂材料または金属材料を用いて一体に設けられていてもよい。第2の押圧部材132は、ローラ対123および弾性部材124を保持する保持器として機能していてもよい。
図4Bおよび図5に示すように、第1の押圧部材131および第2の押圧部材132は、第1の押圧部135と第2の押圧部140とが周方向Yに交互に並ぶように組み合わされる。
図4Bおよび図5に示すように、各第1の押圧部135と、当該第1の押圧部135が押圧可能な第1のローラ123aが含まれるローラ対123に対して周方向一方Y1側で隣接するローラ対123に含まれる第2のローラ123bに押圧可能な第2の押圧部140(以下、「隣ローラ対123の第2の押圧部140」という)との間には、対応する1つのセパレータ126が配置されている。各第1の押圧部135の周方向他方Y2側には、当該第1の押圧部135が押圧可能な第1のローラ123aと対をなす第2のローラ123bを押圧するための第2の押圧部140が、ローラ対123を介して配置されている。また、各第1の押圧部135の周方向一方Y1側には、隣ローラ対123の第2の押圧部140が、セパレータ126を介して配置されている。
図4Bおよび図5に示すように、各第1の押圧部135の周方向他方Y2側の面には、ローラ対123の第1のローラ123aを押圧するための第1の押圧面137が形成されている。第1の押圧面137は、たとえば平坦面によって構成されている。第1の押圧面137は、平坦面によって構成されているものに限られず、第1のローラ123aに、面接触、線接触または点接触するものであってもよい。
図4B、図5および図10A〜10Cに示すように、各第1の押圧部135の周方向一方Y1側の面には、第1の被摺接面138が形成されている。セパレータ126の周方向他方Y2側の面には第1の摺接面153が形成されている。第1の摺接面153と第1の被摺接面138とは線接触状態になるような形状に形成されている。具体的には、本実施例では第1の被摺接面138は、周方向他方Y2側へ凹形状に屈曲する凹屈曲部C1と周方向一方Y1側へ凸形状に屈曲する凸屈曲部C2とが組み合わされた曲面Cを含んでいる。第1の摺接面153は、周方向他方Y2側へ凸形状に湾曲した曲面Dを含んでいる。曲面Cと曲面Dとは線接触している。移動部材55の軸方向Xの移動に伴って曲面C上における曲面Dとの接触領域(後述する第1の接触領域PC1(図10A〜10C参照))も曲面C上を移動するが、通常状態では曲面Cから逸脱することはない。
図4Bおよび図5に示すように、各第2の押圧部140の周方向一方Y1側の面には、ローラ対123の第2のローラ123bを押圧するための第2の押圧面142が形成されている。第2の押圧面142は、たとえば平坦面によって構成されている。第2の押圧面142は、平坦面によって構成されているものに限られず、第2のローラ123bに、面接触、線接触または点接触するものであってもよい。
図4B、図5および図10A〜10Cに示すように、各第2の押圧部140の周方向他方Y2側の面には、第2の被摺接面143が形成されている。移動部材55の周方向一方Y1側の面には第2の摺接面154が形成されている。第2の摺接面154と第2の被摺接面143とは線接触状態になるような形状に形成されている。具体的には、本実施例では第2の被摺接面143は、周方向一方Y1側へ凹形状に屈曲する凹屈曲部E1と周方向他方Y2側へ凸形状に屈曲する凸屈曲部E2とが組み合わされた曲面Eを含んでいる。第2の摺接面154は、周方向一方Y1側へ凸形状の曲面Fを含んでいる。曲面Eと曲面Fとは線接触している。移動部材55の軸方向Xの移動に伴って曲面E上における曲面Fとの接触領域(後述する第2の接触領域PC2(図0A〜10C参照))も曲面E上を移動するが、通常状態では曲面Eから逸脱することはない。
図6Aおよび図6Bは、セパレータ126の構成を示す斜視図である。図6Aおよび図6Bでは、互いに異なる二方向から、セパレータ126を見ている。
各セパレータ126は、第1の押圧部135(図4B等参照)と隣ローラ対123の第2の押圧部140(図4B等参照)との間を挿通する挿通部151と、挿通部151の軸方向他方X2の端部に、周方向Yの双方に広がるくさび部152とを含む。くさび部152は、周方向他方Y2側の面に設けられた第1の摺接面153と、周方向一方Y1側の面に設けられた第2の摺接面154とを含む。くさび部152が第1および第2の押圧部材131,132(図4B等参照)に、軸方向他方X2側から摺接している。
周方向他方Y2側の面に設けられた第1の摺接面153は、軸方向他方X2に向かうに従って周方向他方Y2に向かうような面によって構成されている。周方向一方Y1側の面に設けられた第2の摺接面154は、軸方向他方X2に向かうに従って周方向一方Y1に向かうような面によって構成されている。すなわち、くさび部152の第1および第2の摺接面153,154が、軸方向他方X2に向かうに従って周方向Yの両側に互いに離れるように設けられている。第1および第2の摺接面153,154は、平坦面(傾斜面)によって形成されていてもよい。
図7Aおよび図7Bは、ツーウェイクラッチ106の締結状態における、アーマチュア58と電磁ユニット53との間の位置関係を示す図である。図8は、ツーウェイクラッチ106の解放状態における、ツーウェイクラッチ106の断面図である。図9Aおよび図9Bは、ツーウェイクラッチ106の解放状態における、アーマチュア58と電磁ユニット53との間の位置関係を示す図である。
図7Bは、図7Aの切断面線VIIB-VIIBから見た図であり、図9Bは、図9Aの切断面線IXB-IXBから見た図である。図10A〜10Cは、電磁ユニット53による移動部材55の引き込みに伴う、第1の傾斜角θおよび第2の傾斜角θの変化を示す模式図である。図2、図4Bおよび図7A〜図10Cを参照しながら、電磁クラッチ機構15の断続について説明する。
前述のように、磁性部31は、電磁コイル56aへの通電に伴って当該電磁コイル56aの周囲に形成される磁場内に配置されている。また、各アーマチュア58は、電磁コイル56aの周囲に形成される磁場内に配置されている。そのため、電磁コイル56a(電磁石54)、ウォームホイール14の磁性部31、およびアーマチュア58によって磁気回路85が構成されている。換言すると、磁性部31は、電磁石54の磁気回路85の一部を形成しており、また、アーマチュア58も、電磁石54の磁気回路85の一部を形成している。
そして、電磁コイル56aに電流が流れ、電磁コイル56aの周囲に磁場が形成されると、磁性部31がアーマチュア58を吸引し、これによりアーマチュア58が軸方向一方X1へ移動する。これに伴って、移動部材55が軸方向一方X1へ移動する。すなわち、ウォームホイール14の磁性部31の下面31cが、アーマチュア58を吸引するための吸引部として機能する。
電磁クラッチ機構15を接続状態とする際には、電磁石54への電力供給がオフとされる。この場合、電磁コイル56aに電流が流れないので、電磁コイル56aの周囲に磁場が発生せず、磁気回路85に磁束86が流れない。そのため、ウォームホイール14の磁性部31はアーマチュア58を軸方向一方X1側に吸引せず、そのため、移動部材55は、締結位置(図7Aおよび図7Bに示す位置)に配置される。移動部材55が締結位置に配置されている状態では、移動部材55は、磁性部31の下面31cに大きな間隔S4(エアギャップAG。図7A参照)を隔てて配置される。
移動部材55が締結位置に配置されている状態では、ツーウェイクラッチ106が締結状態にある。この締結状態では、図4Bに示すように、各弾性部材124によって、各第1のローラ123aが、くさび空間129の周方向一方Y1側の端部の第1の係合位置129aに向けて弾性押圧されている。そのため、各第1のローラ123aが内輪104の外周および外輪105の内周に係合している。また、この状態では、図4Bに示すように、各弾性部材124によって、各第2のローラ123bが、くさび空間129の周方向他方Y2側の端部の第2の係合位置129bに向けて弾性押圧されている。そのため、第2のローラ123bが内輪104の外周および外輪105の内周に係合している。締結状態のツーウェイクラッチ106により内軸29と出力軸16とが連結され、これにより、操舵部材3(図1参照)と転舵機構A(図1参照)とが機械的に連結される。
一方、電磁クラッチ機構15を接続状態とする際には、電磁石54への電力供給がオンとされる。これにより、電磁コイル56aに電流が流れ、電磁コイル56aの周囲に磁場が発生する。その結果、磁気回路85に磁束86が流れる。このため、図9Aおよび図9Bに示すように、移動部材55が電磁クラッチ機構15により吸引されて、軸方向一方X1側に引き込まれ、軸方向一方X1に移動する(たとえば1〜2mm程度)。これにより、移動部材55が、締結位置(図7Aおよび図7Bに示す位置)よりも軸方向一方X1側の解放位置(図9Aおよび図9Bに示す位置)に配置される。移動部材55が解放位置(図9Aおよび図9B参照)に配置されている状態では、移動部材55は、磁性部31の下面31cに微小間隔S3(エアギャップAG。図9A参照)を隔てて配置される。
前述のように、セパレータ126では、第1の摺接面153が、軸方向他方X2に向かうに従って周方向他方Y2に向かうような面からなり、かつ第2の摺接面154が、軸方向他方X2に向かうに従って周方向一方Y1に向かう面からなる。そのため、各セパレータ126の軸方向一方X1側への移動に伴い、第1の押圧部材131が周方向他方Y2側へ移動させられると共に第2の押圧部材132が周方向一方Y1側へ移動させられる。
第1の押圧部材131がセパレータ126に対して周方向他方Y2側に移動することにより、第1の押圧部135が、第1のローラ123aを、弾性部材124の弾性押圧力に抗って周方向他方Y2に向けて押圧移動させる。これにより、各第1のローラ123aが第1の係合位置129a(図4B参照)から離脱し、図8に示すように、各第1のローラ123aと外輪105の内周との間に隙間S1が形成される。すなわち、各第1のローラ123aの、内輪104の外周および外輪105の内周に対する係合が外れる。
また、第2の押圧部材131がセパレータ126に対して周方向一方Y1側に移動することにより、第2の押圧部140が、第2のローラ123bを、弾性部材124の弾性押圧力に抗って周方向一方Y1に向けて押圧移動させる。これにより、各第2のローラ123bが第2の係合位置129b(図4B参照)から離脱し、図8に示すように、各第2のローラ123bと外輪105の内周との間に隙間S2が形成される。すなわち、各第2のローラ123bの、内輪104の外周および外輪105の内周に対する係合が外れる。
移動部材55が解放位置(図9Aおよび図9Bに示す位置)に配置されている状態では、ツーウェイクラッチ106が解除状態にある。この解除状態では、各ローラ123a,123bの、内輪104および外輪105に対する係合が解除される。解除状態のツーウェイクラッチ106により内軸29と出力軸16との機械的な連結が解除され、これにより、操舵部材3(図1参照)と転舵機構A(図1参照)とが連結解除される。
第1の被摺接面138の屈曲状の曲面Cは、図10A〜10Cに示すように、互いに連続する第1の面161、第2の面162および第3の面163とを含む。第1の面161、第2の面162および第3の面163は、軸方向他方X2側からこの順に配置されている。第1および第2の面161,162によって凹屈曲部C1が形成され、第2および第3の面162,163によって凸屈曲部C2が形成されている。この実施形態では、第1〜第3の面161〜163は、軸方向他方X2に向かうに従って周方向他方Y2に向かう傾斜面であり、それぞれ、軸方向Xに対して単一の傾斜角を有している。第1の面161の、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)α(たとえば20°)は、第2の面162の、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)α(たとえば40°)よりも小さい(α<α)。第3の面163の、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)α(たとえば25°)は、第2の面162の、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)αよりも小さい(α<α)。
また、第2の被摺接面143の屈曲状の曲面Eは、図10A〜10Cに示すように、互いに第4の面164と、第5の面165と、第6の面166とを含む。第4の面164、第5の面165および第6の面166は、軸方向他方X2側からこの順に配置されている。第4および第5の面164,165によって凹屈曲部E1が形成され、第5および第6の面165,166によって凸屈曲部E2が形成されている。この実施形態では、第4〜第6の面164〜166は、軸方向他方X2に向かうに従って周方向一方Y1に向かう傾斜面であり、それぞれ、軸方向Xに対して単一の傾斜角を有している。第4の面164の、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)β(たとえば20°)は、第5の面165の、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)β(たとえば40°)よりも小さい(β<β)。第6の面166の、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)β(たとえば25°)は、第5の面165の、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)βよりも小さい(β<β)。
以下、第1の被摺接面138(曲面C)の、第1の摺接面153との接触領域(図10A参照。以下「第1の接触領域」という)PC1における、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)を、第1の傾斜角θとして説明する。また、第2の被摺接面143(曲面E)の、第2の摺接面154との接触領域(図10A参照。以下「第2の接触領域PC2」という)PC2における、軸方向Xに対する傾斜角(鋭角の角度勾配)を、第2の傾斜角θとして説明する。
ツーウェイクラッチ106の締結状態、すなわち移動部材55が締結位置(図7Aおよび図7B参照)に配置されている状態では、第1および第2の接触領域PC1,PC2が、それぞれ、曲面Cの第1の面161上および曲面Eの第4の面164上に位置している。一方、ツーウェイクラッチ106の締結状態、すなわち移動部材55が解放位置(図9Aおよび図9B参照)に配置されている状態では、第1および第2の接触領域PC1,PC2が、それぞれ、曲面Cの第3の面163上および曲面Eの第6の面166上に位置している。
締結位置(図7Aおよび図7B参照)に配置されている移動部材55を、電磁ユニット53によって引き込み開始する際には、第1の接触領域PC1が第1の面161上にあり、第2の接触領域PC2が第4の面164上にある。このときの第1の傾斜角θの大きさは傾斜角αと等しく、また、第2の傾斜角θの大きさは傾斜角βと等しい。傾斜角αおよび傾斜角βは相対的に小さいので、移動部材55の引き込み開始時の第1および第2の傾斜角θ,θはそれぞれ小さい。
移動部材55の引き込み開始時には、移動部材55が締結位置(図7Aおよび図7B参照)にある。このとき、ローラ対123が内輪104および外輪105に係合しており、この係合を外すために、大きな吸引力(駆動力)を移動部材55に付与する必要がある。しかしながら、移動部材55が締結位置にある状態では、移動部材55と電磁石54との間のエアギャップAGが広いため、移動部材55に作用する吸引力が格段に低下するおそれがある。
この実施形態では、移動部材55の引き込み開始時には、第1の傾斜角θおよび第2の傾斜角θが相対的に小さく、そのため、移動部材55に作用する吸引力の、周方向Yへの分力割合が高い。したがって、移動部材55の引き込み開始時における、必要な吸引力を低減できる。そのため、エアギャップAGの存在のために移動部材55に作用する吸引力が低い場合であっても、移動部材55を好適に引込み開始させることができる。
移動部材55の引き込みに伴って、第1および第2の接触領域PC1,PC2が、それぞれ、曲面Cおよび曲面E上を軸方向一方X1側に向けて移動する。
移動部材55の引き込み開始後、図10A,10Bに示すように、第1の接触領域PC1が第1の面161上から第2の面162上に移動すると共に、第2の接触領域PC2が第4の面164上から第5の面165上に移動する。第1および第2の接触領域PC1,PC2がそれぞれ、第2および第5の面162,165上に位置するときの移動部材55の位置を中間領域M(図10B参照)とする。このとき、第1の傾斜角θの大きさは傾斜角αと等しく、また、第2の傾斜角θの大きさは傾斜角βと等しい。
移動部材55の引き込みがさらに進むと、図10Cに示すように、第1の接触領域PC1が第2の面162上から第3の面163上に移動すると共に、第2の接触領域PC2が第5の面165上から第6の面166上に移動する。第1および第2の接触領域PC1,PC2がそれぞれ、第3および第6の面163,166上に位置するとき、第1の傾斜角θの大きさは傾斜角αと等しく、また、第2の傾斜角θの大きさは傾斜角βと等しい。その後の引き込みにより、移動部材55が解放位置(図9Aおよび図9Bに示す位置)に配置される。
移動部材55が解放位置にある状態では、弾性部材124の弾性押圧力により、移動部材55に締結位置(図7Aおよび図7Bに示す位置)に向かう力が作用する。弾性部材124の弾性押圧力に抗って、移動部材55を解放位置に保持し続けるためには、軸方向一方側へ向かう吸引力を移動部材55に付与し続ける必要がある。
この実施形態によれば、ツーウェイクラッチ106の解放状態、すなわち移動部材55が解放位置(図9Aおよび図9B参照)にある場合には、移動部材55が中間領域M(図10B参照)にある場合に比べて、第1および第2の傾斜角θ,θが相対的に小さい。すなわち、移動部材55が解放位置(図9Aおよび図9B参照)に位置する状態では、第1および第2の傾斜角θ,θが相対的に小さく、そのため、移動部材55に作用する吸引力の、周方向Yへの分力割合が高い。これにより、移動部材55を解放位置に保持し続けるのに必要な駆動力を低減でき、ゆえに、ツーウェイクラッチ106を解放状態に保つのに必要な駆動力を低減できる。
したがって、ツーウェイクラッチ106の解放状態時における、電磁石54に流れる電流を低減することができ、その結果、電力消費を抑制でき、かつ電磁コイル56aの発熱量の低減を図ることができる。また、ツーウェイクラッチ106を解放状態に保つのに必要な吸引力を低減できる結果、電磁石54の小型化を図ることも可能である。
図11は、電磁ユニットによる移動部材の電磁力吸引特性を示すグラフである。図11では、横軸にエアギャップAGを示し、縦軸に必要吸引力を示す。図11中、「実施例」とあるのは、本実施形態に係る電磁クラッチ機構15を指し、「比較例」とあるのは、比較例の形態に係る電磁クラッチ機構190を示す。電磁クラッチ機構15と電磁クラッチ機構190との相違点は、被摺接面(第1の被摺接面138、第2の被摺接面143、被摺接面192)の形状のみであり、その他の点は共通している。図12は、比較例の形態に係る電磁クラッチ機構190の第1の押圧部191または第2の押圧部196を示す図である。第1および第2の押圧部191,196は、それぞれ、第1および第2の押圧部135,140(図4B等参照)に対応する部材である。
図12に示すように、比較例の形態に係る第1または第2の押圧部191,196では、被摺接面192を有しているが、被摺接面192は、径方向から見て単一の傾斜角γ(たとえば35°)を有する傾斜面のみで形成されている。また、このとき、セパレータの、対応する摺接面(図示しない)も、被摺接面192に整合する傾斜面によって形成されている。
図10A〜10Cおよび図12に示すように、第1の面161の傾斜角αおよび第4の面164の傾斜角βは、傾斜角γよりも小さい。第2の面162の傾斜角αおよび第5の面165の傾斜角βは、傾斜角γよりも大きい。第3の面163の傾斜角αおよび第6の面166の傾斜角βは、傾斜角γよりも小さい。
図11に示すように、移動部材55の引き込み開始時において必要な吸引力(引き込み開始時必要吸引力)は、比較例の形態に係る電磁クラッチ機構190よりも本実施形態に係る電磁クラッチ機構15の方が小さい。また、移動部材55を解放位置(図9Aおよび図9B参照)に保持し続けるために必要な吸引力(解放保持必要吸引力)も、比較例の形態に係る電磁クラッチ機構190よりも本実施形態に係る電磁クラッチ機構15の方が小さい。
また、本実施形態では、第1の被摺接面138が、角度の異なる3つの面(第1〜第3の面161〜163)を組み合わせて構成されており、また、第2の被摺接面143が、角度の異なる3つの面(第4〜第6の面164〜166)を組み合わせて構成されている。そのため、2つの面の角度変化を組み合せることにより、本実施形態に係る電磁クラッチ機構15を採用する場合と比較して、移動部材55のストローク量を抑えることが可能である。この場合、図11に示すように、移動部材55が締結位置(図9Aおよび図9B参照)にある状態でのエアギャップAGを狭く設けることができる。これにより、エアギャップAGが広いことに起因する、移動部材55に作用する吸引力の低下を抑制できる。
また、前述の実施形態では、内輪104を内軸29(操舵軸10)に連結し、かつ外輪105を出力軸16に連結する構成を例に挙げて説明したが、内輪104を出力軸16に連結し、かつ外輪105を内軸29(操舵軸10)に連結するようにしてもよい。
また、本発明に係る駆動力伝達装置を、ステアリングコラム5(図1参照)のハウジングH(図2参照)内ではなく、インターミディエイトシャフト17(図1参照)の途中部に配置することもできる。
図13は、駆動力伝達装置の一例としての電磁クラッチユニット15Aを、インターミディエイトシャフト17の途中部に配置した状態を示す図である。
インターミディエイトシャフト17は、内軸29(図2参照)およびピニオン軸18(図1参照)の一方に連結された第1のインターミディエイトシャフト202と、第1のインターミディエイトシャフト202に同軸で、内軸29およびピニオン軸18の他方に連結された第2のインターミディエイトシャフト203とを含む。第1のインターミディエイトシャフト202と第2のインターミディエイトシャフト203との間には、電磁クラッチユニット(駆動力伝達装置)15Aが介装されている。換言すると、電磁クラッチ機構15は、第1のインターミディエイトシャフト202と第2のインターミディエイトシャフト203との間で、回転駆動力の伝達/切断を切り換える。
電磁クラッチユニット15Aは、図1等に示す電磁クラッチ機構15に代えて用いられ、電磁クラッチ機構15と同様の断続制御が行われる。すなわち、車両の正常運転中は、電磁クラッチユニット15Aが切断状態とされ、操舵部材3(図1参照)と転舵機構A(図1参照)とが機械的に切り離される。一方、車両がイグニション・オフの状態である場合や、ステアバイワイヤシステムに不調が生じた等の異常発生の場合には、電磁クラッチユニット15Aが接続状態とされ、操舵部材3と転舵機構Aとが機械的に連結される。
電磁クラッチユニット15Aは、ツーウェイクラッチ(ローラクラッチ)206と、電磁ユニット253と、ツーウェイクラッチ206および電磁ユニット253を収容するハウジング208とを含む。
ハウジング208は、第2のインターミディエイトシャフト203側の軸方向が縮径する円筒状をなしている。ハウジング208の縮径側の端部には、小径の筒状部209が結合されている。筒状部209の内周に第4の軸受210が配置されており、第4の軸受210によって、第2のインターミディエイトシャフト203が回転可能にかつ軸方向に移動不能に支持されている。
電磁ユニット253は、電磁石を含む。電磁ユニット253の電磁石は、次に述べる点を除いて、前述の電磁ユニット53の電磁石54(図2参照)と同等の構成を有している。そのため、電磁石に、図2と同一の参照符号を付している。
図13の例では、電磁石54とアーマチュア58との間に磁性部31(図2参照)ではなく、後述するロータ272を介在させている。また、電磁石54の外周は、ハウジング208に内嵌固定されている。電磁石54は、内輪204によって、第6の軸受274を介して相対回転可能にかつ軸方向Xに相対移動不能に支持されている。
ツーウェイクラッチ206は、内輪204および外輪205を含む。
内輪204は、第1のインターミディエイトシャフト202に同軸かつ同伴回転可能に連結された軸部211と、軸部211の途中部に設けられた大径部212とを有している。内輪204の大径部212の外周には、複数(たとえば3つ)のカム面222が形成されている。
外輪205は、軸方向の第2のインターミディエイトシャフト203側に閉塞端を有する筒状をなし、金属材料を用いて形成されている。外輪205の閉塞端に、第2のインターミディエイトシャフト203が同軸かつ同伴回転可能に連結されている。外輪205は、図13に示すように、第2のインターミディエイトシャフト203と一体に設けられていてもよいし、第2のインターミディエイトシャフト203と別部材で設けられていてもよい。
外輪205の内周には、閉塞端側から順に、第1の環状段部213、および第1の環状段部213よりも大径の第2の環状段部214が形成されている。第1の環状段部213の内周と、第2のインターミディエイトシャフト203側の軸部211の端部の外周との間には第5の軸受215が配置されており、外輪205が、第5の軸受215を介して、内輪204を回転可能にかつ軸方向に移動不能に支持している。第2の環状段部214の内周には、円筒面221が形成されている。
ツーウェイクラッチ206は、内輪204の外周と外輪205の内周とによって形成される一または複数の(この実施形態では、たとえば3つの)くさび空間のそれぞれに、周方向に並んで配置される、第1のローラおよび第2のローラからなるローラ対と、内輪204の軸部211回りに相対回転可能に設けられた第1および第2の押圧部材と、軸方向に移動可能に設けられ、第1および第2の押圧部材と係合する移動部材を含む。
ツーウェイクラッチ206のくさび空間は、外輪205の内周に形成された円筒面221と、内輪204の外周に形成されたカム面222とによって区画されている。ツーウェイクラッチ206のくさび空間は、ツーウェイクラッチ106のくさび空間129(図4B等参照)と同等の構成を有している。そのため、図13では、くさび空間に、図4B等と同一の参照符号を付し、それらの説明を省略する。
また、ツーウェイクラッチ206の第1のローラおよび第2のローラは、ならびにこれらを含むローラ対は、それぞれ、ツーウェイクラッチ106の第1のローラ123a、第2のローラ123bおよびローラ対123と同等の構成を有している。そのため、図13では、第1のローラ、第2のローラおよびローラ対に、図4B等と同一の参照符号を付し、それらの説明を省略する。
また、ツーウェイクラッチ206の第1の押圧部材および第2の押圧部材も、それぞれ、ツーウェイクラッチ106の第1の押圧部材131(図4B等参照)および第2の押圧部材132(図4B等参照)と同等の構成を有している。ツーウェイクラッチ206の第1の押圧部材131は、曲面C(図10A〜10C等参照)を含む第1の被摺接面138(図4B等参照)を有している。また、ツーウェイクラッチ206の第2の押圧部材は、曲面E(図10A〜10C等参照)を含む第2の被摺接面143(図4B等参照)を有している。図13では、第1の押圧部材および第2の押圧部材に図4B等と同一の参照符号を付し、それらの説明を省略する。
また、ツーウェイクラッチ206の移動部材も、ツーウェイクラッチ106の移動部材55(図4A等参照)と同等の構成を有している。そのため、移動部材に図4A等と同一の参照符号を付し、それらの説明を省略する。すなわち、移動部材55は、アーマチュア58(図4A等参照)と、複数のセパレータ126とを含む。セパレータ126は、曲面Dを含む第1の摺接面153(図10A〜10C等参照)と、曲面Fを含む第2の摺接面154(図10A〜10C等参照)とを有している。曲面Cと曲面Dとは線接触し、移動部材55の軸方向Xの移動に伴って曲面C上における曲面Dとの接触領域(第1の接触領域PC1(図10A〜10C参照))が曲面C上を移動する。また、曲面Eと曲面Fとは線接触し、移動部材55の軸方向Xの移動に伴って曲面E上における曲面Fとの接触領域(第2の接触領域PC2(図10A〜10C参照))が曲面E上を移動する。
以上、この発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、曲面Cおよび曲面Eを、それぞれ、凹形状に屈曲する凹屈曲部C1,E1と凸形状に屈曲する凸屈曲部C2,E2とを組み合わせたものであるとして説明したが、凹屈曲部に代えて凹形状に湾曲する凹湾曲部を設けてもよいし、凸屈曲部に代えて凸形状に湾曲する凸湾曲部を設けてもよい。
前述の実施形態では、本願発明を、くさび空間129に2つのローラ123a,123bを配置したツーウェイクラッチ106,206に適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、くさび空間に1つのローラを配置したワンウェイのクラッチに適用することもできる。
また、本発明は、操舵装置1に搭載される駆動力伝達装置だけでなく、他の駆動力伝達機構(たとえば2輪駆動と4輪駆動とを切り換えるための駆動力伝達機構)にも適用可能である。
その他、本発明は特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
1…操舵装置、3…操舵部材、10…操舵軸(第1の軸)、15…電磁クラッチ機構(駆動力伝達装置)、15A…電磁クラッチユニット(駆動力伝達装置)、16…出力軸(第2の軸)、53…駆動ユニット、54…電磁石、55…移動部材、104…内輪、105…外輪、106…ツーウェイクラッチ(ローラクラッチ)、123…ローラ対、123a…第1のローラ、123b…第2のローラ、124…弾性部材、129…くさび空間、129a…第1の係合位置、129b…第2の係合位置、131…第1の押圧部材、132…第2の押圧部材、153…第1の被摺接面、154…第2の被摺接面、202…第1のインターミディエイトシャフト、203…第2のインターミディエイトシャフト、204…内輪、205…外輪、206…ツーウェイクラッチ(ローラクラッチ)、A…転舵機構、M…中間位置、PC…第1の接触領域、PC…第2の接触領域、X1…軸方向一方、Y1…周方向一方、Y2…周方向他方、θ…第1の傾斜角、θ…第2の傾斜角

Claims (4)

  1. 互いに同軸に配置された第1の軸と第2の軸との間で回転駆動力の伝達/切断を切換え可能な駆動力伝達装置であって、
    前記第1の軸に同軸に連結された内輪と、
    前記第2の軸に同軸に連結され、前記内輪に相対回転可能に設けられた外輪と、
    前記内輪の外周と前記外輪の内周とによって形成されるくさび空間に配置されるローラと、
    前記ローラを、前記内輪および前記外輪に係合する係合位置に向けて弾性押圧する弾性部材と、
    被摺接面を有し、前記ローラを前記係合位置から離脱する方向に押圧可能に設けられた押圧部材と、
    前記被摺接面に摺接し、軸方向一方への移動に伴って、前記ローラを前記係合位置から離脱する方向に向けて押圧するように前記押圧部材を移動させる移動部材とを含み、
    前記駆動力伝達装置は、通電により磁場を発生する電磁石を有し、前記移動部材を、前記内輪および前記外輪に前記ローラが係合している所定の締結位置と、当該締結位置に対して前記軸方向一方側にあり、前記内輪および前記外輪の少なくとも一方への前記ローラの係合が外れている所定の解放位置との間で移動させる駆動ユニットをさらに含み、
    前記被摺接面は、前記被摺接面の前記移動部材と接触する接触領域における軸方向に対する傾斜角が、前記移動部材が前記締結位置と前記解放位置との間の所定の中間位置にある場合よりも前記解放位置にある場合で小さくなるように設けられている、駆動力伝達装置。
  2. 前記ローラは、前記くさび空間に周方向に並んで配置されるローラ対を含み、
    前記弾性部材は、前記ローラ対のうち周方向一方側の第1のローラを、前記くさび空間の周方向他方側に設けられ前記内輪および前記外輪に係合する第1の係合位置に向けて弾性押圧し、かつ前記ローラ対のうち周方向他方側の第2のローラを、前記くさび空間の周方向一方側に設けられ前記内輪および前記外輪に係合する第2の係合位置に向けて弾性押圧しており、
    前記押圧部材は、第1の被摺接面を有し、前記第1のローラを前記第1の係合位置から離脱する方向に押圧可能に設けられた第1の押圧部材と、第2の被摺接面を有し、前記第1の押圧部材に周方向に相対移動可能に設けられ前記第2のローラを前記第2の係合位置から離脱する方向に押圧可能に設けられた第2の押圧部材とを含み、
    前記移動部材は、前記第1の被摺接面に周方向一方側から摺接すると共に、前記第2の被摺接面に周方向他方側から摺接し、軸方向一方への移動に伴って、前記第1のローラを前記第1の係合位置から離脱する方向に向けて押圧するように前記第1の押圧部材を移動させ、かつ前記第2のローラを前記第2の係合位置から離脱する方向に向けて押圧するように前記第2の押部材を移動させており、
    前記移動部材の前記締結位置は、前記内輪および前記外輪に各ローラが係合している位置であり、前記移動部材の前記解放位置は、各ローラの、前記内輪および前記外輪の少なくとも一方への係合が外れる位置であり、
    前記第1の被摺接面および前記第2の被摺接面は、前記第1の被摺接面の前記移動部材と接触する第1の接触領域における軸方向に対する第1の傾斜角および前記第2の被摺接面の前記移動部材と接触する第2の接触領域における軸方向に対する第2の傾斜角が、前記移動部材が前記中間位置にある場合よりも前記解放位置にある場合で小さくなるように設けられている、請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 操舵部材が連結された操舵軸と、
    前記操舵軸に相対回転可能に設けられ、転舵機構に連結された出力軸と、
    請求項1または2に記載の駆動力伝達装置とを含み、
    前記第1の軸は、前記操舵軸および前記出力軸の一方を含み、
    前記第2の軸は、前記操舵軸および前記出力軸の他方を含む、操舵装置。
  4. 前記傾斜角は、前記移動部材が前記中間位置にある場合よりも、前記移動部材が前記解放位置にある場合で小さくなるように設けられている、請求項1または2に記載の駆動力伝達装置。
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