JP2018040416A - 回転伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステアバイワイヤ方式の回転伝達装置のコンパクト化を図るとともに、簡便な構造で操舵反力を付与すること。【解決手段】入力軸3と出力軸6との間の回転の伝達と遮断を切り替える2方向クラッチ10と、2方向クラッチ10の切り替え操作を行うアーマチュア31と、アーマチュア31に対向して設けられるロータ32と、ロータ32に対向して設けられ、このロータ32にアーマチュア31を吸着する磁力を与える電磁コイル33と、を有する電磁クラッチ30と、ロータ32に与えられた磁力によって、運転者のステアリング操作に伴う操舵反力を生じさせる反力機構40と、を有する回転伝達装置を構成する。【選択図】図1
Description
この発明は、入力軸から出力軸への回転の伝達と遮断を切り替える回転伝達装置に関する。
回転伝達装置は、ステアバイワイヤ方式を採用した車両のように、運転者のステアリング操作によって軸周りに回転する入力軸(操舵軸)と、車輪を左右に転舵するステアリング装置に接続された出力軸(転舵軸)との断続を切り替え可能な機構に採用されることが多い。
例えば、特許文献1に係る構成においては、入力軸と出力軸との間の、回転の伝達と遮断を切り替えるクラッチと、転舵装置を駆動して左右の車輪を転舵する転舵モータを備えている。このクラッチは、通常時には遮断されており、入力軸と出力軸は機械的に非連結の状態となっている。この状態で、運転者がステアリング操作を行うと、その操作量が入力軸に設けられた転舵角センサ及び転舵トルクセンサで検知され、各センサによる検知量に基づいて、反力モータ制御部が、反力モータを駆動して入力軸に操舵反力を付与し、運転者に自然な操舵感を与えるとともに、転舵モータ制御部が、転舵モータを駆動して左右の車輪を転舵する。そして、反力モータ等に何らかの不具合が生じたときには、クラッチが入力軸側から出力軸側への回転伝達が可能な連結状態に切り替えられ、通常のステアリング装置と同様に、運転者のステアリング操作に基づく車輪の転舵を可能としている。
また、特許文献2に係る構成においては、クラッチと反力モータを一体化することによって、回転伝達装置全体としてのコンパクト化を図っている。
特許文献1、2に係る構成においては、クラッチと反力モータが別部材となっているため、構成全体としての十分なコンパクト化や軽量化が困難となる問題がある。また、クラッチ機構の一部に反力モータを直接組み込む構成とすることも考えられるが、その場合、反力モータに3相のモータ用コイルを組み込む必要があり、配線や反力モータ用コイルの構造が複雑となって、コスト高につながる問題がある。
そこで、この発明は、ステアバイワイヤ方式の回転伝達装置のコンパクト化を図るとともに、簡便な構造で操舵反力を付与することを課題とする。
この課題を解決するために、この発明においては、入力軸と出力軸との間の回転の伝達と遮断を切り替える2方向クラッチと、前記2方向クラッチの切り替え操作を行うアーマチュアと、前記アーマチュアに対向して設けられるロータと、前記ロータに対向して設けられ、このロータに前記アーマチュアを吸着する磁力を与える電磁コイルと、を有する電磁クラッチと、前記ロータに与えられた磁力によって、運転者のステアリング操作に伴う操舵反力を生じさせる反力機構と、を備えた回転伝達装置を構成した。
この構成によると、電磁クラッチの構成部品であるロータを、反力機構の一部として機能させることができ、電磁クラッチに反力機構を個別に設けた場合と比較して部品点数を削減することができる。このため、電磁クラッチと反力機構の両機能を確保しつつ、構成全体としてのコンパクト化及び軽量化を図ることができる。
前記構成においては、前記反力機構が、発電用コイルを有し、磁力を与えられた前記ロータの回転に伴って前記発電用コイルに誘起電圧を生じさせて発電するとともに操舵反力を生じさせるようにした構成とするのが好ましい。このようにすると、簡便な構成で、運転者のステアリング操作に対する操舵反力を付与することができるとともに、この操舵に伴う発電も期待できる。このため、バッテリからの電力の持ち出しを極力低減することができ、バッテリの小容量化による車両のさらなる軽量化を図ることができる。
前記発電用コイルを有する構成においては、前記発電用コイルの数と、前記ロータの極数を同数とするとともに、隣り合う前記発電用コイル同士の周方向間隔、及び、前記ロータの隣り合う極同士の周方向間隔を均等とした構成とするのが好ましい。このようにすれば、発電用コイルと、この発電用コイルと径方向に対向するロータの極の複数の対が形成され、運転者のステアリング操作に伴って、発電用コイルとロータの極の複数の対が同時に接離する。この接離が同時に生じることによって、発電用コイルに大きな誘起電圧を発生させることができるとともに、大きな操舵反力を得ることができる。この誘起電圧及び操舵反力の大きさは、ステアリングの操作速度が大きいほど、すなわち、発電用コイルとロータの極との接離速度が大きいほど大きくなる。
前記各構成においては、前記ロータの前記電磁コイルに対向する面にクローポール型の磁極対が形成された構成とするのが好ましい。このように、ロータにクローポール型の磁極対を形成することによって、その数に対応した磁極を高い密度で形成することができ、ロータの小型化を図ることができる。
前記各構成においては、前記反力機構が、前記電磁コイルの径方向外側に配置された構成とするのが好ましい。このように、反力機構を配置することにより、軸方向の長さがコンパクトになり、例えば、軽自動車等の小型乗用車にも、この回転伝達装置を容易に搭載することができる。
前記各構成に示す回転伝達装置は、ステアリングシャフトと一体に回転する前記入力軸とステアリング装置に接続された前記出力軸との間の回転の伝達と遮断を切り替えるとともに、前記入力軸に操舵反力を与え得る自動車用ステアバイワイヤ装置に採用することができる。
この発明に係る回転伝達装置は、電磁クラッチの構成部品であるロータに与えられた磁力によって、運転者のステアリング操作に伴う操舵反力を生じさせるようにしたので、電磁クラッチと操舵反力を生じさせる反力機構を別部材として構成した場合と比較して、部品点数の削減を図ることができる。このため、回転伝達装置のコンパクト化・軽量化を図ることができるとともに、簡便な構造で操舵反力を付与することができる。
この発明に係る回転伝達装置1の一実施形態を図1から図10を用いて説明する。この回転伝達装置1は、図1及び図2に示すように、ステアリングシャフト2と一体に回転する入力軸3(操舵軸)と、車輪4を左右に転舵するステアリング装置5に接続された出力軸6(転舵軸)との間の回転の伝達と遮断を切り替えるとともに、入力軸3に操舵反力を与え得る自動車用ステアバイワイヤ装置に用いられる。
この回転伝達装置1は、2方向クラッチ10と、電磁クラッチ30と、反力機構40を主要な構成要素としている。この2方向クラッチ10、電磁クラッチ30、及び、反力機構40は、ハウジング50内に収納されている。
2方向クラッチ10は、図1及び図3に示すように、出力軸6の軸端部に設けられ、その内周に円筒面11aが形成された外輪11と、入力軸3の軸端部に設けられ、その外周に周方向等間隔に複数のカム面12aが形成された内輪12と、円筒面11aとカム面12aの間に配置された係合子としての一対のローラ13、13と、一対のローラ13、13の間に配置され、この一対のローラ13、13を互いに周方向逆向きに付勢する付勢部材14と、各ローラを保持する保持器15と、を備える。
カム面12aは、周方向の両端部に形成された傾斜面12a1、12a1と、両傾斜面12a1、12a1の間に形成された内輪12の接線に沿う平坦面12a2とで構成されている。両傾斜面12a1、12a1の周方向外側には、後述する保持器15の柱部15a2、15b2が配置される。そして、外輪11と内輪12の間には、周方向の中央部と比較して、両側ほど円筒面11aとカム面12aとの間の径方向隙間が狭くなる楔空間が形成される。
保持器15は、図1に示すように、制御保持器15aと回転保持器15bとからなる。制御保持器15aは、環状のフランジ15a1の片面外周部に、カム面12aの数と同数の柱部15a2を周方向に等間隔に設け、その隣り合う柱部15a2、15a2の間に、円弧状の長孔15a3を形成するとともに、外周に柱部15a2と反対向きに筒部15a4を設けた構成となっている。回転保持器15bは、環状のフランジ15b1の外周に、カム面12aの数と同数の柱部15b2を周方向に等間隔に設けた構成となっている。
制御保持器15aと回転保持器15bは、制御保持器15aの長孔15a3内に回転保持器15bの柱部15b2が挿入されて、図3(a)及び図4に示すように、制御保持器15aの柱部15a2と回転保持器15bの柱部15b2が周方向に交互に並ぶよう組み合わされている。そして、その組み合わせ状態で柱部15a2、15b2の先端部が外輪11と内輪12間に配置され、制御保持器15aのフランジ15a1及び回転保持器15bのフランジ15b1が、入力軸3の外周に嵌合された支持リング16と外輪11間に組み込まれている。
このように制御保持器15aと回転保持器15bを組み込むことによって、制御保持器15aの柱部15a2と回転保持器15bの柱部15b2との間には、ポケット17が形成される。このポケット17は、内輪12に形成されたカム面12aと径方向に対向している。一対のローラ13、13はこのポケット17内に配置され、この一対のローラ13、13の間に付勢部材14が配置される。
図1に示すように、制御保持器15aのフランジ15a1は、入力軸3の外周に形成されたスライド案内面3aに沿ってスライド自在に支持されている。回転保持器15bのフランジ15b1と入力軸3に嵌合された支持リング16間には、スラスト軸受18が組み込まれている。このスラスト軸受18は、回転保持器15bが電磁クラッチ20側に移動するのを防止するとともに、この回転保持器15bを回転自在に支持している。
図1及び図5に示すように、制御保持器15aのフランジ15a1と回転保持器15bのフランジ15b1間には、制御保持器15aの軸方向への直線運動を、制御保持器15aと回転保持器15bの相対的な回転運動に変換する運動変換機構としてのトルクカム19が設けられている。このトルクカム19は、制御保持器15aのフランジ15a1と回転保持器15bにおけるフランジ15b1の対向面それぞれに、周方向の中央部で深く、両端に向かうほど浅くなる一対のカム溝19a、19bを有し、その一対のカム溝19a、19b間に、ボール19cを組み込んだ構成となっている。
制御保持器15aのフランジ15a1に対し、回転保持器15bのフランジ15b1に接近する方向の外力が作用して、この制御保持器15aが軸方向に移動すると、図5(a)に示すように、ボール19cが、カム溝19a、19bの溝深さの最も深い位置に向けて転がり移動する。このとき、回転保持器15bは、制御保持器15aに対して一方向に相対回転する。この相対回転によって、制御保持器15aの柱部15a2と回転保持器15bの柱部15b2との間の間隔が狭くなり、一対のローラ13、13が付勢部材14の付勢力に抗して互いに接近する。すると、一対のローラ13、13は、ポケット17内に形成された楔空間の径方向隙間が広い場所(周方向の中央付近)に移動し、ローラ13と円筒面11a又はカム面12aの少なくとも一方との間(図3(a)においては円筒面11aとの間)に隙間が生じる。この隙間によって、入力軸3と出力軸6との間の回転伝達は遮断される。
その一方で、制御保持器15aに作用する外力が解除されると、付勢部材14の付勢力によって、一対のローラ13、13が、制御保持器15aの柱部15a2と回転保持器15bの柱部15b2との間の間隔を拡げるように逆向きに移動し、回転保持器15bは、制御保持器15aに対して、前記一方向とは逆方向に相対回転する。この相対回転に伴って、図5(b)に示すように、ボール19cが、カム溝19a、19bの溝深さの浅い位置に向けて転がり移動し、制御保持器15aは回転保持器15bと離間するように軸方向に移動する。このとき、一対のローラ13、13は、前記楔空間の径方向隙間が狭い場所(周方向の両端付近)に互いに逆向きに移動する。この移動によって、ローラ13と円筒面11a及びカム面12aが互いに係合した状態(以下において、スタンバイ状態と称する。図3(b)参照)となる。
このスタンバイ状態において、入力軸3(内輪12)を一方向に回転すると、一対のローラ13、13のうち一方のローラ13(前記回転の方向とは反対側に配置されたローラ13)が円筒面11aとカム面12aとの間に強く噛み込まれ、入力軸3の回転を出力軸6(外輪11)に伝達することができる。また、入力軸3を逆方向に回転すると、一対のローラ13、13のうち他方のローラ13が円筒面11aとカム面12aとの間に強く噛み込まれ、同様に、入力軸3の回転を出力軸6に伝達することができる。
図1及び図7に示すように、内輪12の軸方向の一端面とスライド案内3a面の交差部には、そのスライド案内3a面より大径の円筒形のホルダ嵌合面3bが形成され、そのホルダ嵌合面3bに、ばねホルダ20が嵌合されている。ばねホルダ20は、ホルダ嵌合面3bに対して回り止めされ、かつ、軸方向に移動不能に支持されている。
その外周には、図6に示すように、制御保持器15aの柱部15a2と回転保持器15bの柱部15b2間に配置される複数の回り止め片20aが形成されている。この回り止め片20aは、制御保持器15aと回転保持器15bとがポケット17の周方向幅を縮小する方向に相対回転した際に、制御保持器15aの柱部15a2及び回転保持器15bの柱部15b2を両側縁で受け止めて、対向する一対のローラ13、13を中立位置に保持する。
図6及び図7に示すように、ばねホルダ20の外周部には、各付勢部材14のそれぞれ外径側に張り出すばね保持片20bが設けられている。このばね保持片20bによって、一対のローラ13、13間の外径側への付勢部材14の逃げを防止している。
入力軸3の先端部と出力軸6との間、及び出力軸6とハウジング50との間には、それぞれ軸受21、22が設けられている。この軸受21、22によって、入力軸3と出力軸6、及び、出力軸とハウジング50は軸周りに相対回転可能となっている。
電磁クラッチ30は、図1に示すように、アーマチュア31と、アーマチュア31と軸方向に対向して設けられるロータ32と、ロータ32に対向して設けられる電磁コイル33と、を備える。アーマチュア31の内周縁は、支持リング16の外周に嵌合されて、軸周りに回転自在かつ軸方向に移動自在に支持されている。また、アーマチュア31の外周縁は、制御保持器15aに嵌合しており、アーマチュア31と制御保持器15aは、軸方向に一体に移動するように構成されている。
ロータ32は、図1に示すように、入力軸3と嵌合する筒状の嵌合筒部32aと、嵌合筒部32aの径方向外側に同軸に配置され、この嵌合筒部32aよりも大径筒状のヨーク32bと、嵌合筒部32aとヨーク32bを連設する円板部32cとを備えた、周方向断面がコの字形の部材である。図8に示すように、このロータ32の反力機構40に対向する面(ヨーク32b)にはクローポール型の磁極対が形成されている。このクローポール型の磁極対は、軸方向に対向する二個のヨーク構成部材32b1、32b2から構成される。
各ヨーク構成部材32b1、32b2には、図8に示すように、周方向に連続する山形の爪部32dが形成されており、一方のヨーク構成部材32b1、32b2に形成された爪部32dが、他方のヨーク構成部材32b1、32b2に形成された爪部32dとの間で隙間を保ちつつ、対向して配置されている。電磁コイル33に通電すると、各ヨーク構成部材32b1、32b2の周方向に並ぶ爪部32dには、その周方向に亘ってN極、S極の磁極が交互に形成される。この実施形態においては、各ヨーク構成部材32b1、32b2にはそれぞれ8個の爪部32dが形成されており、これによって、ロータ32全体として16極(8極対)の構成となる。
両ヨーク構成部材32b1、32b2は、ヨーク32bの周面に所定間隔で形成されたブリッジ部32eによって連設されている。このブリッジ部32eは、両ヨーク構成部材32b1、32b2を連設する強度を有する限りにおいて、その数が少ないほど、及び、周方向の幅が細いほど、ヨーク32bに形成される磁極への影響が小さくなるため好ましい。
電磁コイル33は、その通電によってロータ32に磁力を生じさせて、図1に示すように、その磁力でアーマチュア31をロータ32に吸着する。磁力によってアーマチュア31が吸着されると、このアーマチュア31に嵌合する2方向クラッチ10の制御保持器15aも同方向に移動する。制御保持器15aが軸方向(図1の左向き)に移動すると、上述したように、2方向クラッチ10の作用によって、入力軸3と出力軸6との間が遮断された状態となる。電磁コイル33と入力軸3の間には軸受34が介在して設けられており、入力軸3と電磁コイル33は軸周りに相対回転可能となっている。
反力機構40は、図1に示すように、ロータ32のヨーク32bを囲むように、電磁コイル33の径方向外側に配置されている。このように、反力機構40を径方向外側に配置することによって、軸方向の長さがコンパクトになり、例えば、軽自動車等の小型自動車にも、この回転伝達装置1を容易に搭載することができる。
この反力機構40は、コア41に発電用コイル42を巻き付けたものであって、図9(a)、(b)に示すように、このコア41の先端がヨーク32bに対向している。反力機構40の発電用コイル42の数と、ロータ32の極数は適宜決めることができるが、発電用コイル42の数及びロータ32の極数をいずれも、例えば16極(図9(a)参照)のように同数とするとともに、隣り合う発電用コイル42の周方向間隔、及び、ロータ32の隣り合う極同士の周方向間隔を均等とするのが好ましい。
このように、発電量コイル42の数と、ロータ32の極数を同数とするとともに、周方向間隔を均等とすることにより、発電用コイル42とこれと径方向に対向するロータ32の極の対が複数形成される。そして、運転者のステアリング操作に伴って、発電用コイル42とロータ32の極との複数の対が同時に接離する。この接離が同時に生じることによって、発電用コイル42に大きな誘起電圧を発生させることができるとともに、大きな操舵反力を得ることができる。この誘起電圧及び操舵反力の大きさは、ステアリングの操舵速度や操舵角が大きいほど、すなわち、発電用コイル42と極の接離速度が大きく、接離の回数が多いほど大きくなる。
発電用コイル42及びロータ32の極の数を多くすると、ステアリングの操作速度が小さく、あるいは、操作角が小さい場合であっても、発電用コイル42とロータ32の極との対の接離を確実に行うことができる。このため、運転者のステアリング操作によって、十分な発電量を得ることができるとともに、適切な大きさの操舵反力を発生させることができる。
この反力機構40は、モータ機能を備えていないため、積極的にロータに対して回転力(操舵反力)を与えることができないが、モータ機能を備えた反力機構(反力モータ)と比較して、構造を簡便化して低コスト化を図ることができる。
図10(a)に示すように、電磁コイル33への通電状態(ロータ32にアーマチュア31が吸着された状態)においては、ロータ32内に磁路(図10(a)中の矢印参照)が形成され、この磁路の一部がアーマチュア31及び反力機構40のコア41に入り込んだ状態となっている。この状態において、運転者の操作力によってステアリング(入力軸)を軸周りに回転すると、磁路と反力機構40との間の相互作用によって、発電用コイル42内に誘起電圧が生じるとともに、発電量を制御することでブレーキ力が発生し、ロータ32側に前記回転と逆向きの操舵反力が作用する。つまり、電磁コイル33が、2方向クラッチ10として伝達を遮断させるために用いている電流で、反力機能を得ることができる。
この誘起電圧によって、バッテリからの電力の持ち出しを極力低減することができ、バッテリの小型化・軽量化を図ることができる。また、この操舵反力によって、運転者は、運転者の操舵力によって機械的に車輪を転舵する通常のステアリング装置と同等の操舵感を得ることができる
通常は、電磁コイル33は通電されており、2方向クラッチ10によって入力軸3と出力軸6は機械的に非連結の状態となっている。ところが、何らかの不具合によって電磁コイル33への通電が遮断されると、図10(b)に示すように、ロータ32とアーマチュア31が離間し、上述したように、入力軸3と出力軸6が2方向クラッチ10を介して機械的に連結される。これにより、運転者のステアリング操作に基づく回転力によって左右の車輪を転舵する、通常のステアリング操作を行うことができる。
この実施形態においては、電磁コイル33の径方向外側に周方向に沿って、反力機構40を配置した構成を示したが、この反力機構40を電磁コイル33と同軸に配置した構成とすることもできる(図示せず)。このように反力機構40を配置すれば、回転伝達装置1の径方向のサイズを小さくすることが可能となる。この場合、反力機構40のコア41とロータ32のヨーク32bが対向するように、このロータ32の形状が適宜変更される。この反力機構40の配置を電磁コイル33の径方向外側とするか、同軸とするかについては、車両の搭載スペースの形状に対応して適宜決定することができる。
上記の実施形態に係る回転伝達装置は、すべての点で例示に過ぎず、ステアバイワイヤ方式の回転伝達装置のコンパクト化を図るとともに、簡便な構造で操舵反力を付与する、というこの発明の課題を解決し得る限りにおいて、各構成部材の形状、配置等を適宜変更することができる。
2 ステアリングシャフト
3 入力軸
5 ステアリング装置
6 出力軸
10 2方向クラッチ
30 電磁クラッチ
31 アーマチュア
32 ロータ
33 電磁コイル
40 反力機構
42 発電用コイル
3 入力軸
5 ステアリング装置
6 出力軸
10 2方向クラッチ
30 電磁クラッチ
31 アーマチュア
32 ロータ
33 電磁コイル
40 反力機構
42 発電用コイル
Claims (6)
- 入力軸(3)と出力軸(6)との間の回転の伝達と遮断を切り替える2方向クラッチ(10)と、
前記2方向クラッチ(10)の切り替え操作を行うアーマチュア(31)と、前記アーマチュア(31)に対向して設けられるロータ(32)と、前記ロータ(32)に対向して設けられ、このロータ(32)に前記アーマチュア(31)を吸着する磁力を与える電磁コイル(33)と、を有する電磁クラッチ(30)と、
前記ロータ(32)に与えられた磁力によって、運転者のステアリング操作に伴う操舵反力を生じさせる反力機構(40)と、
を備えた回転伝達装置。 - 前記反力機構(40)が、発電用コイル(42)を有し、磁力を与えられた前記ロータ(32)の回転に伴って前記発電用コイル(42)に誘起電圧を生じさせて発電するとともに操舵反力を生じさせるようにした請求項1に記載の回転伝達装置。
- 前記発電用コイル(42)の数と、前記ロータ(32)の極数を同数とするとともに、隣り合う前記発電用コイル(42)同士の周方向間隔、及び、前記ロータ(32)の隣り合う極同士の周方向間隔を均等とした請求項2に記載の回転伝達装置。
- 前記ロータ(32)の前記電磁コイル(33)に対向する面にクローポール型の磁極対が形成された請求項1から3のいずれか1項に記載の回転伝達装置。
- 前記反力機構(40)が、前記電磁コイル(33)の径方向外側に配置された請求項1から4のいずれか1項に記載の回転伝達装置。
- ステアリングシャフト(2)と一体に回転する前記入力軸(3)とステアリング装置(5)に接続された前記出力軸(6)との間の回転の伝達と遮断を切り替えるとともに、前記入力軸(3)に操舵反力を与え得る自動車用ステアバイワイヤ装置に用いられる請求項1から5のいずれか1項に記載の回転伝達装置。
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