JP2017082922A - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1軸と第2軸との間における回転力の伝達をオン状態からオフ状態へ円滑に切り換えることができる駆動力伝達装置を提供する。
【解決手段】幅規定部135,140の相対位置が第2の相対位置へ変化すると、ローラ123a,123bを弾性体124の弾力付勢力に抗して近接させる方向に移動させ、ローラ123a,123bがカム面122または内周面部121と係合せずに隙間S1,S2を生じるオフ状態とする。幅規定部135,140の相対位置が第1の相対位置へ変化すると、ローラ123a,123bを弾性付勢力によって互いに離反する方向にに移動させ、ローラ123a,123bのうち、回転方向の下流側のローラがカム面122および内周面部121に隙間なく係合し、上流側のローラはカム面122または内周面部121との間に隙間S1,S2を生じているオン状態とする。
【選択図】図9

Description

この発明は、第1軸と第2軸との間の回転力の伝達のオン/オフを切り換える駆動力伝達装置に関する。
下記特許文献1に記載された回転伝達装置は、2方向クラッチと、2方向クラッチを断続するための電磁クラッチとを含む。2方向クラッチは、外輪および内輪と、外輪と内輪との間に組込まれた一対のローラと、一対のローラを保持する制御保持器および回転保持器とを備えている。制御保持器および回転保持器は、一対のローラが移動可能なポケットの周方向幅を規定している。
電磁クラッチに設けられた電磁コイルが通電されていない状態では、ポケットの周方向幅が比較的広く設定されている。この状態では、一対のローラの間に配置された弾性部材によって一対のローラの双方が互いに離反する方向に押され、これら一対のローラが外輪の内周面および内輪の外周面の双方に隙間なく係合する。これにより、2方向クラッチが接続状態にある。
一方、電磁クラッチに設けられた電磁コイルが通電されると、制御保持器に力が作用し、この力によって制御保持器と回転保持器とが相対回動し、その結果、ポケットの周方向幅が狭くなる。そのため、一対のローラは、制御保持器および回転保持器に押されて互いに接近する方向に移動し、外輪の内周面および内輪の外周面との係合がそれぞれ解除される。これにより、2方向クラッチが切断状態になる。
特開2013−092191号公報
特許文献1に記載の回転伝達装置では、2方向クラッチの接続状態において、一対のローラのいずれもが内輪および外輪に隙間なく係合する(すなわち噛み合う)ので、2方向クラッチの内部に回転トルクが残留するおそれがある。この残留回転トルクが大きいと、2方向クラッチを接続状態から切断状態に切り換えるべく制御保持器が相対回動させる際に、一対のローラのうち少なくとも一方と第1軸(内輪)または第2軸(外輪)との間で係合解除されないおそれがある。この場合、2方向クラッチを接続状態から切断状態へと円滑に切り換えることができないおそれがある。換言すると、第1軸と第2軸との間における回転力の伝達をオン状態からオフ状態へ円滑に切り換えることができないおそれがある。
そこで、この発明は、第1軸と第2軸との間における回転力の伝達をオン状態からオフ状態へ円滑に切り換えることができる駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、互いに同軸に設けられた第1の軸(25)と第2の軸(26)との間に設けられ、前記第1の軸と前記第2の軸との間の回転力の伝達のオン/オフを切り換える駆動力伝達装置(1)であって、前記第1の軸は、外周面部(122)を備え、前記第2の軸は、前記外周面部に対向する内周面部(121)を備え、前記外周面部と前記内周面部との間には、少なくとも一つのくさび空間(129)が形成されており、前記くさび空間内に配置された一対のローラ(123a,123b)と、当該一対のローラを前記周方向に互いに離反する方向へ弾力付勢する弾性体(124)と、前記ローラに一対一対応で設けられ、対応する前記ローラと当接して、前記くさび空間内において前記一対のローラが前記周方向に移動可能な移動可能領域(P)の周方向幅(W)を規定する一対の幅規定部材(135,140)とを含み、前記一対の幅規定部材は、前記移動可能領域の前記周方向幅を比較的広く規定する第1の相対位置と、前記移動可能領域の前記周方向幅が比較的狭く設定された第2の相対位置との間で、前記周方向に相対移動可能に設けられており、前記一対の幅規定部材の前記周方向の相対位置が前記第1の相対位置から前記第2の相対位置へ変化すると、前記一対のローラを前記弾性体の弾力付勢力に抗して前記周方向に近接する方向に移動させ、前記一対のローラが前記外周面部または前記内周面部と係合せずに隙間(S1,S2)を生じるようなオフ状態が実現され、前記一対の幅規定部材の前記周方向の相対位置が前記第2の相対位置から前記第1の相対位置へ変化すると、前記一対のローラを前記弾力付勢力によって互いに離反する方向に移動させ、前記一対のローラのうち、回転方向の下流側のローラが前記外周面部および前記内周面部に隙間なく係合し、前記回転方向の上流側のローラは前記外周面部または前記内周面部との間に隙間(S3,S4)を生じるようなオン状態が実現される、駆動力伝達装置を提供する。
なお、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2に記載の発明は、前記一対の幅規定部材の前記周方向の相対位置が前記第1の相対位置にある状態で、前記第2の軸の前記回転方向への回転に伴って前記一対の幅規定部材を同じ回転方向へと移動させるつれ回り構造(171)をさらに含み、前記一対の幅規定部材のうち、前記回転方向の上流側のローラに対応する上流側の幅規定部材は、前記つれ回り構造により、前記第1の軸および前記第2の軸の回転と共に前記回転方向に移動して、前記一対のローラのうちの前記回転方向の上流側のローラを、前記外周面部または前記内周面部との間に隙間(S3,S4)を生じる状態に移動させ、当該ローラは、前記弾性体を介して下流側のローラを前記外周面部および前記内周面部に隙間なく係合するように移動させる、請求項1に記載の駆動力伝達装置である。
請求項3に記載の発明は、前記つれ回り構造は、前記第2の軸と前記一対の幅規定部材との間に、前記第1の軸および前記第2の軸の軸方向に介装された弾性部材(172)を含む、請求項1または2に記載の駆動力伝達装置である。
請求項4に記載の発明は、前記一対の幅規定部材は、その前記周方向の相対位置が前記第1の相対位置にある状態で互いに係合することにより、前記周方向幅の上限を規定している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動力伝達装置である。
請求項5に記載の発明は、前記第1の軸および前記第2の軸の軸方向に変位可能に設けられ、前記軸方向の変位に伴って前記一対の幅規定部材の相対位置を前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間で切り換えるセパレータ(126)をさらに含み、前記一対の幅規定部材は、その前記周方向の相対位置が前記第1の相対位置にある状態で、前記セパレータには係合せずに、当該一対の幅規定部材同士が周方向に係合する、請求項4に記載の駆動力伝達装置である。
請求項6に記載の発明は、前記一対の幅規定部材は、前記一対のローラを前記くさび空間内に保持しておくための一対の保持器(131,132)にそれぞれ設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動力伝達装置である。
請求項1の構成によれば、オン状態において、第1の軸および第2の軸の回転方向の下流側のローラが、外周面部および内周面部に隙間なく係合している。そのため、オン状態において第1の軸と第2の軸との間における回転力の伝達を良好に行うことができる。また、オン状態において、第1の軸および第2の軸の回転方向の上流側のローラは、外周面部または内周面部との間に隙間を生じている。すなわち、オン状態において、一対のローラのうち1つのローラのみしか外周面部および内周面部に係合しないので、当該ローラと外周面部および内周面部との間に回転トルクが残留しないか、あるいは残留するとしても小さな回転トルクしか残留しない。したがって、第1の軸と第2の軸との間における回転力の伝達をオン状態からオフ状態へ切り換える際に、ローラと外周面部および内周面部との係合解除を円滑に行うことができ、ゆえに、第1の軸と第2の軸との間における回転力の伝達を円滑に切り換えることができる。
請求項2の構成によれば、一対の幅規定部材の相対位置が第1の相対位置にある状態で第2の軸が回転すると、一対の幅規定部材が、当該軸の回転につれ回りして当該軸と同じ回転方向に移動させられる。このとき、回転方向の上流側のローラに対応する上流側の幅規定部材が、回転方向の上流側のローラを、外周面部または内周面部との間に隙間を生じる状態に移動させる。このとき、当該ローラは、弾性体を介して下流側のローラを外周面部および内周面部に隙間なく係合するように移動させる。これにより、オン状態において、回転方向の下流側のローラと外周面部および内周面部とを確実に係合させることができ、これにより、第1の軸と第2の軸とが空転するのを防止できる。
請求項3の構成によれば、第1の軸または第2の軸と一対の幅規定部材との間に介装された弾性部材によって、当該軸と一対の幅規定部材との間に、第1の軸および前記第2の軸の軸方向に沿う弾力付勢力が付与される。そのため、当該軸と弾性部材との間、および弾性部材と一対の幅規定部材との間にそれぞれ摩擦力が発生し、これにより、回転方向への第1の軸または第2の軸の回転に伴って、一対の幅規定部材を回転方向へと回転させることができる。ゆえに、つれ回り構造を簡単な構成で実現できる。
請求項4の構成によれば、一対の幅規定部材は、その相対位置が第1の相対位置にある状態で互いに係合し、これにより、周方向幅の上限が規定される。一対の幅規定部材の相対位置が第1の相対位置にある状態、すなわちオン状態では、移動可能領域の周方向幅が一対の幅規定部材によって決定されるのであるが、一対の幅規定部材が他の部材を介さずに直接係合するために、当該一対の幅規定部材の周方向位置を精度良く規定することができる。そのため、移動可能領域の周方向幅の大きさがばらつくのを抑制または防止でき、これにより、回転方向の上流側のローラと外周面部および内周面部との間の隙間が広くなり過ぎることを防止できる。
請求項5の構成によれば、一対の幅規定部材の相対位置が第1の相対位置にある状態、すなわちオン状態では、移動可能領域の周方向幅が一対の幅規定部材によって決定されるのであるが、一対の幅規定部材の周方向位置がセパレータを介さずに互いに直接係合するために、当該一対の幅規定部材の周方向位置を精度良く規定することができる。そのため、移動可能領域の周方向幅の大きさがばらつくのを抑制または防止でき、これにより、上流側のローラと外周面部および内周面部との間の隙間が広くなり過ぎることを防止できる。
請求項6の構成によれば、一対のローラを保持するための保持器によって、当該一対のローラの周方向位置を規制する。これにより、保持器と幅規定部材とを別個に設ける場合と比較して、部品点数の低減を図ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動力伝達装置としてのクラッチユニットが搭載された操舵装置の概略構成を示す図である。 図2は、前記クラッチユニットの断面図である。 図3は、前記クラッチユニットに含まれるツーウェイクラッチの構成を示す斜視図である。 図4は、前記ツーウェイクラッチの構成を示す分解斜視図である。 図5は、図2の切断面線V−Vから見た断面図である。 図6は、前記ツーウェイクラッチのオフ状態を示す模式図である。 図7は、前記ツーウェイクラッチのオフ状態を示す断面図である。 図8は、前記ツーウェイクラッチのオン状態を示す模式図である。 図9A,9Bは、前記ツーウェイクラッチのオフ状態を示す断面図である。 図10は、第1の保持器の変形例を示す斜視図である。 図11は、第2の保持器の変形例を示す斜視図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動力伝達装置の一例としてのクラッチユニット1が搭載された操舵装置2の概略構成を示す図である。
操舵装置2は、転舵輪3を転舵するための転舵機構Aと、ステアリングホイール等の操舵部材4および操舵軸5を含む操舵機構Bとの機械的な連結が解除されている、いわゆるステアバイワイヤシステムとされている。そして、ステアバイワイヤシステムの機械的なフェールセーフ機構を実現するべく、操舵軸5と転舵機構Aに設けられたピニオン軸9との間にクラッチユニット1が介装されて、クラッチユニット1により回転力の伝達のオン(接続)/オフ(切断)が切り換えられている。
操舵装置2は、転舵機構Aと操舵機構Bとを含む。
転舵機構Aは、転舵軸10、転舵アクチュエータ11、一対のタイロッド12および一対のナックルアーム13を含む。各タイロッド12は、一端が転舵軸10の対応する端部と連結されて、他端が対応するナックルアーム13を介して対応する転舵輪3と連結されている。転舵軸10がその軸方向(車幅方向)に移動することによって転舵輪3の転舵角が変化する。転舵アクチュエータ11は、モータ(図示しない)と、当該モータの駆動力を転舵軸10の軸方向への移動に変換するボールねじ装置等の運動変換機構(図示しない)とを含む。
操舵装置2は、ピニオン軸9においてピニオン9aが形成されている部分と転舵軸10とを収容するラックハウジング15をさらに含む。ラックハウジング15は、車体14に固定されている。
操舵機構Bは、操舵部材4の操舵角を検出するための操舵角センサ16と、操舵部材4に加えられた操舵回転トルクを検出するための回転トルクセンサ17とを含む。操舵機構Bは、転舵輪3の転舵角を検出するための転舵角センサ21と、車速を検出する車速センサ18とを含む。操舵角センサ16、回転トルクセンサ17、転舵角センサ21および車速センサ18を含む種々のセンサ類の各検出信号は、ECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)から構成される制御ユニット20に入力されるようになっている。
操舵部材4が操作されて操舵軸5が回転させられると、制御ユニット20は、操舵角センサ16によって検出された操舵角と、車速センサ18によって検出された車速とに基づいて目標転舵角を設定する。制御ユニット20は、この目標転舵角と、転舵角センサ21によって検出された転舵角との偏差に基づいて転舵アクチュエータ11を駆動制御する。これにより、操舵部材4による転舵機構Aの操作を可能としている。
また、制御ユニット20は、回転トルクセンサ17や操舵角センサ16等が出力する検出信号に基づいて、操舵部材4が操舵された方向と逆方向を向く適当な反力を操舵部材4に付与するように、モータ23を駆動制御する。モータ23の出力回転は減速機24によって減速(増幅)され、操舵軸5を介して操舵部材4に伝達される。
また、前述したように、操舵軸5とピニオン軸9との間に、この発明の一実施形態に係る駆動力伝達装置が適用されたクラッチユニット1が介装されるが、このクラッチユニット1は、操舵装置2のフェールセーフのための機構を実現している。
クラッチユニット1は、入力軸25および出力軸26を含むインターミディエイトシャフト6の途中部に介装されている。インターミディエイトシャフト6の一端は、自在継手7を介して操舵軸5と連結されており、インターミディエイトシャフト6の他端は、自在継手8を介してピニオン軸9の一端に連結されている。ピニオン軸9は、その他端にピニオン9aを有している。ピニオン9aには、転舵軸10のラック10aが噛み合わされている。
インターミディエイトシャフト6は、操舵軸5に連結された第1軸としての入力軸25と、ピニオン軸9に連結された第2軸としての出力軸26とを含む。入力軸25と出力軸26とは、互いに同軸上に配置されている。
入力軸25と出力軸26との間に、クラッチユニット1が介装されている。クラッチユニット1は、入力軸25と出力軸26との間の回転力の伝達のオン/オフを切り換え可能な装置である。
車両の正常運転中は、制御ユニット20は、クラッチユニット1を解除状態として、操舵部材4と転舵機構Aとを機械的に切り離す。一方、車両がイグニション・オフの状態である場合や、ステアバイワイヤシステムに不調が生じた等の異常発生の場合には、制御ユニット20は、クラッチユニット1を締結状態として、操舵部材4と転舵機構Aとを機械的に連結させる。
この状態では、運転者の操舵部材4の操作に応じて、操舵部材4および操舵軸5が回転すると、操舵回転トルクが操舵部材4から操舵軸5に伝達される。操舵回転トルクは、操舵軸5およびインターミディエイトシャフト6を介して、ピニオン軸9に伝達され、ピニオン軸9が回転する。ピニオン軸9の回転は、転舵軸10の軸方向の運動に変換される。転舵軸10の軸方向の運動により、転舵輪3の転舵角が変化する。これにより、操舵部材4による転舵機構Aの直接操作を可能としている。
クラッチユニット1は、操舵装置2のインターミディエイトシャフト6に適用できるだけでなく、操舵装置の他の軸にも適用できる。また、クラッチユニット1は、操舵装置以外の他の装置に用いられる軸(たとえば、工作機の主軸や、風力発電用のプロペラが取り付けられた軸や、列車の車軸等)にも適用することができる。
図2は、クラッチユニット1の断面図である。
以下の説明では、入力軸25および出力軸26の軸方向を軸方向Xとする。また、軸方向Xのうち、出力軸26側から入力軸25側へ向かう方向(図2の紙面の右側)を軸方向X1とし、入力軸25側から出力軸26側へ向かう方向(図2の紙面の左側)を軸方向X2とする。軸方向X2は、軸方向X1の逆方向である。入力軸25および出力軸26の半径方向を、径方向Zとする。入力軸25および出力軸26の周方向を周方向Yとする。また、周方向Yのうち、出力軸26側から入力軸25を見たときに時計回りとなる方向をY1方向(図3参照)とし、出力軸26側から入力軸25を見たときに反時計回りとなる方向をY2方向(図3参照)とする。
入力軸25は、軸方向Xに延びる内軸101と、内軸101の軸方向X2側の端部に同軸に連結された内輪104とを含む。出力軸26は、軸方向Xに延びる軸部32と、軸部32の軸方向X1側の端部に同軸に連結された外輪105とを含む。
クラッチユニット1は、内輪104と外輪105との回転力の伝達のオン(接続)/オフ(切断)を行なうツーウェイクラッチ40と、ツーウェイクラッチ40の断続を駆動するための電磁吸引部50と、ツーウェイクラッチ40および電磁吸引部50を収容するためのハウジング60とを含む。
ハウジング60は円筒状であり、その軸方向X2端部に軸受筒61が形成されている。軸受筒61の内周面と出力軸26の軸部32の外周面との間には、第1の転がり軸受71が配置されている。出力軸26は、第1の転がり軸受71を介して、ハウジング60に回転可能にかつ軸方向Xに移動不能に支持されている。
内輪104は、たとえば鋼材料を用いて形成されており、外輪105は、軸方向Xの一端が閉塞端である筒状をなし、鋼材料を用いて形成されている。外輪105の底部には、外輪105の内径を狭める環状段部38が形成されている。外輪105の環状段部38の内周と内輪104の軸方向X2側の端部の外周との間には、第2転がり軸受72が配置されている。これにより、内輪104が外輪105に対して回転可能にかつ軸方向Xに移動不能に支持されている。
図3は、クラッチユニット1に含まれるツーウェイクラッチ40の構成を示す斜視図である。図4は、ツーウェイクラッチ40の構成を示す分解斜視図である。図5は、図2の切断面線V−Vから見た断面図である。なお、図3および図4では、外輪105の図示を省略している。
図2〜図5を参照しながら、ツーウェイクラッチ40について説明する。
ツーウェイクラッチ40は、内輪104と、外輪105と、内輪104の外周と外輪105の内周とによって形成される一または複数の(この実施形態では、たとえば3つの)くさび空間129のそれぞれに、周方向Yに並んで配置される一対のローラ123a,123bと、内軸101回りに相対回転可能に設けられ、一対のローラ123a,123bを保持する第1の保持器131および第2の保持器132とを含む。
内輪104は、複数(たとえば3つ)のカム面122を含む外周面部を有している。また、この実施形態では、内輪104と内軸101とが一体に設けられているが、内輪104と内軸101とが別部材によって構成されていてもよい。外輪105は、円筒状の内周面部121を有している。
図4および図5に示すように、各くさび空間129は、外輪105の内周面部121と、内輪104の各カム面122とによって区画されている。各くさび空間129は、周方向Yの両端に向かうに従って狭くなっている。各くさび空間129には、第1および第2のローラ123a,123bを互いに離反する周方向Yに弾性押圧する弾性体124が配置されている。弾性体124としてコイルばね等を例示できる。カム面122は、周方向Yに等間隔に設けられている。各カム面122は、径方向Zに直交する平坦状の主面128と、主面128の周方向Yの両方に連続し、周方向Yに関して主面128に対して傾斜する一対の平坦状の傾斜面127a,127bとを含む。各傾斜面127a,127bは、主面128の端部と内輪104の外周部円筒面とを繋いでおり、周方向Yに沿って互いに反対の方向に傾斜している。
図3および図4に示すように、第1および第2の保持器131,132は、互いに相対回転可能に配置されている。第1の保持器131は、柱状の第1の幅規定部(幅規定部材)135と、第1の幅規定部135を一括して支持する環状の第1の支持部136とを含む。第1の支持部136は、たとえば複数の第1の幅規定部135を支持する。第1の保持器131は、第1の支持部136が内輪104および外輪105と同軸をなすように、かつ内輪104および外輪105に相対回転可能である。第1の幅規定部135は、ローラ123a,123bの対と同数(この実施形態では3つ)で、軸方向Xに延びる柱状で、周方向Yに等間隔に配置されている。第1の幅規定部135および第1の支持部136は、合成樹脂材料または金属材料を用いて一体に設けられていてもよい。
より具体的には、環状の第1の支持部136は、平板円環状の第1の環状部136aと、第1の環状部136aに対し、同軸かつ軸方向X1側に配置された円環状の第2の環状部136bとを含む。また、この実施形態では、第1の幅規定部135が第1の環状部136aと第2の環状部136bとを軸方向Xに連結している。
図4に示すように、各第1の幅規定部135は、軸方向Xに沿って延びる柱状である。各第1の幅規定部135は、対応するセパレータ126と第1のローラ123aとの間に配置されている。各第1の幅規定部135は、第2の環状部136bから軸方向X1側に突出した第1の規制突部139を含む。各第1の幅規定部135の周方向Y2側の側面には、第1のローラ123aに押圧可能な第1の押圧面137が形成されている。
図4および図5に示すように、各第1の幅規定部135の周方向Y1側の側面には、セパレータ126と摺接可能な第1の被摺接面138が形成されている。第1の被摺接面138は、軸方向X1に向かうに従って周方向Y1側に向かうような傾斜面に形成されている。
図4に示すように、第2の保持器132は、平板円環状の第3の環状部141と、第3の環状部141の内周部から軸方向X2側に向かって突出する複数の第2の幅規定部(幅規定部材)140とを有している。第3の環状部141は、第2の環状部136bの外周を取り囲むように配置されている(図4参照)。第2の幅規定部140は、ローラ123a,123bの個数と同数(この例では3つ)設けられており、周方向Yに等間隔を隔てて配置されている。各第2の幅規定部140は、対応するセパレータ126と第2ローラ41bとの間に配置されている。
第2の保持器132の第3の環状部141が、第1の保持器131の第2の環状部136bの外周を取り囲むので、第1の保持器131を内側保持器と呼ぶことができ、また、第2の保持器132を外側保持器と呼ぶことができる。
各第2の幅規定部140の周方向Y1側の側面には、第2のローラ123bと当接(押圧)可能な第2の押圧面142が形成されている。各第2の幅規定部140の周方向Y2側の側面には、セパレータ126と摺接可能な第2の被摺接面143が形成されている。第2の被摺接面143は、軸方向X1に向かうに従って周方向Y2に向かうような傾斜面に形成されている。
第3の環状部141には、各第2の幅規定部140と同じ位置に、軸方向X1に向かって突出する第2の規制突部144(図4では1つのみ図示)が設けられている。
図5に示すように、くさび空間129には、第1の幅規定部135の第1の押圧面137と、第2の幅規定部140の第2の押圧面142とによって、一対のローラ123a,123bを周方向Yに並んだ状態で収容するポケット(移動可能領域)Pの周方向幅Wが規定されている。ポケットPは周方向Yに長い空間であり、当該ポケットPに収容されている一対のローラ123a,123bが周方向Yに移動可能な領域である。第1の幅規定部135および第2の幅規定部140の周方向Yの相対位置を切り換えることより、ポケットPの周方向幅Wの広狭を変化させることができる。
ツーウェイクラッチ40は、さらに、第1の保持器131および第2の保持器132の各々と係合して、第1の保持器131および第2の保持器132の相対位置を切り換える複数(たとえば3つ)のセパレータ126とを含む。
図4に示すように、各セパレータ126は、軸方向Xに延びている。各セパレータ126は、軸方向X2側の端部に設けられ、軸方向X2に向かうにしたがって幅広となるくさび部152を含む。くさび部152は、周方向Y2側の側面に設けられた第1の摺接面153と、周方向Y1側の側面に設けられた第2の摺接面154とを含む。
第1の摺接面153は、軸方向X1に向かうにしたがって周方向Y1に向かう傾斜面である。この実施形態では、第1の摺接面153は球面の一部のような曲面に形成されている。第2の摺接面154は、軸方向X1に向かうにしたがって周方向Y2に向かう傾斜面である。この実施形態では、第2の摺接面154は球面の一部のような曲面に形成されている。なお、第1の摺接面153および第2の摺接面154は、平坦な傾斜面に形成されていてもよい。
図2に示すように、ツーウェイクラッチ40は、そのオン状態において、出力軸26の回転に伴って、第1および第2の幅規定部135,140を、出力軸26と同じ回転方向へと移動させるつれ回り構造171をさらに含む。つれ回り構造171は、第1および第2の幅規定部135,140に同伴回転可能に連結されたリング体130と、環状段部38とリング体130との間に配置された、ばね部材等の弾性部材172とを含む。弾性部材172は、環状段部38とリング体130との間で圧縮されている。そのため、弾性部材172とリング体130との間に摩擦が発生する。これにより、リング体130に連結されたセパレータ126は、出力軸26の回転に伴って、第1および第2の幅規定部135,140が出力軸26と同じ回転方向へと移動する。
具体的には、リング体130は、第1および第2の幅規定部135,140の先端面135b,140bに軸方向X2側から当接されている。この実施形態では、図4に示すように、リング体130が複数の弾性体124を一括して支持する弾性体保持器として機能しているが、弾性体保持器としての機能を有さなくてもよい。
図2および図4に示すように、バックプレート160は、平板円環状であり、入力軸25の内軸101に、軸方向Xに移動不能に嵌め合わされている。バックプレート160は、たとえば鋼材料を用いて形成されている。バックプレート160における軸方向X2側の面は、第2の環状部136bおよび第3の環状部141に、それぞれ摺接している。バックプレート160には、バックプレート160を軸方向Xに貫通する複数(この例では3つ)の長孔161が周方向Yに等間隔を隔てて形成されている。各長孔161には、第1の規制突部139、第2の規制突部144およびセパレータ126が挿通している。
図2に示すように、電磁吸引部50は、複数のセパレータ126に軸方向Xに同伴移動可能に設けられたアーマチュア155と、アーマチュア155に軸方向X1から対向する環状のロータ51と、ロータ51の軸方向X1側に配置された電磁石52とを含む。
アーマチュア155は、この実施形態では円盤状に設けられている。アーマチュア155は、磁性材料を用いて形成されている。電磁吸引部50の電磁石52の通電状態では、アーマチュア155が軸方向X1側に引き込まれる。
ロータ51は、入力軸25の内軸101に嵌め合わされた状態で内軸101に固定されている。電磁石52は、環状の電磁コイル52aと、電磁コイル52aを支持する環状のコア52bとを含む。コア52bは、ハウジング60の開口側に固定された蓋部材62に固定されている。蓋部材62から軸方向X1に延びる円筒状の軸受支持部63と入力軸25の内軸101との間には第3の転がり軸受73が配置されている。入力軸25の内軸101の軸方向X2端部は、第3の転がり軸受73および蓋部材62を介して、ハウジング60に相対回転可能にかつ軸方向Xに相対移動不能に支持されている。
図6は、ツーウェイクラッチ40のオフ状態を示す模式図である。図7は、ツーウェイクラッチ40のオフ状態を示す断面図である。図8は、ツーウェイクラッチ40のオン状態を示す模式図である。図9A,9Bは、ツーウェイクラッチ40のオフ状態を示す断面図である。図9Aには、入力軸25に対して出力軸26が周方向Y1に回転した状態が示され、図9Bには、入力軸25に対して出力軸26が周方向Y2に回転した状態が示されている。
図6および図8に示すように、各第1の幅規定部135の軸方向X2側の端部から、周方向Y1側に向けて第1の延設部135aが突出している。第1の延設部135aは、第1の幅規定部135の周方向Y1側の端部よりも周方向Y1寄りに突出している。第1の延設部135aは、リング体130と接触する第1の先端面135bと、後述する第2の延設部140aに軸方向Xに対向する第1の対向面135cとを含む。
各第2の幅規定部140の軸方向X2側の端部から、周方向Y2側に向けて第2の延設部140aが突出している。第2の延設部140aは、第2の幅規定部140の周方向Y2側の端部よりも周方向Y2寄りに突出している。第2の延設部140aは、リング体130と摺接する第2の先端面140bと、第1の延設部135aに軸方向Xに対向する第2の対向面140cとを含む。
第1および第2の延設部135a,140aは、セパレータ126のくさび部152の軸方向X側を取り囲んでおり、その先端面135b,140b同士が互いに突き当て可能に設けられている。そして、第1および第2の延設部135a,140a同士が互いに突き当てられた状態(図8に示すセパレータ126の接続位置)では、第1の幅規定部135および第2の幅規定部140のいずれもがセパレータ126に係合していない。
第1および第2の保持器131,132の相対位置を変化させることにより、ツーウェイクラッチ40を、オン状態とオフ状態との間で切り換えることができる。第1および第2の幅規定部135,140の相対位置の切り換えは、セパレータ126を軸方向Xに移動させることにより行う。
セパレータ126は、軸方向X1側に引き込まれた所定の切断位置(図6に示すセパレータ126の位置)と、前記の切断位置よりも軸方向X2側に位置する接続位置(図8に示すセパレータ126の位置)との間で移動可能である。
セパレータ126が接続位置にあるとき、第1および第2の幅規定部135,140の相対位置は第1の相対位置(図5、図9Aおよび図9Bに示す第1および第2の幅規定部135,140の相対位置)にあり、このとき、第1の幅規定部135と第2の幅規定部140とによって規定されるポケットPの周方向幅Wは、比較的広く設定されている。
セパレータ126が接続位置にある状態で、電磁石52(図2参照)に通電されると、電磁石52がアーマチュア155を吸引する。これにより、アーマチュア155に連結された複数のセパレータ126が軸方向X1側に引き込まれる。この引き込みにより、複数のセパレータ126は、軸方向X1へ変位されて切断位置(図6に示すセパレータ126の位置)に配置される。
図6および図7を参照して、各セパレータ126が軸方向X1側へ変位すると、セパレータ126の第1の摺接面153が、第1の幅規定部135を周方向Y2側に押圧しながら、第1の幅規定部135の第1の被摺接面138を摺動する。そのため、第1の幅規定部135が周方向Y2側に移動する。また、各セパレータ126が軸方向X1側へ変位すると、セパレータ126の第2の摺接面154が、第2の幅規定部140を周方向Y1側に押圧しながら、第2の幅規定部140の第2の被摺接面143を摺動する。そのため、第2の幅規定部140が周方向Y1側に移動する。つまり、各セパレータ126が軸方向X1側へ変位すると、第1の幅規定部135とその周方向Y1に間隔をおいて隣接する第2の幅規定部140とが互いに離間する方向に移動する。したがって、各セパレータ126の軸方向X1側への変位により、第1および第2の幅規定部135,140によって規定されるポケットPの周方向幅Wが狭くなる。このとき、第1の保持器131がセパレータ126に対して周方向Y2に回動するとともに、第2の保持器132がセパレータ126に対して周方向Y1に回動する。このとき、バックプレート160の長孔161の軸方向X1側端部に第1の規制突部139が係合して第1の幅規定部135の移動が規制され、長孔161の軸方向X2側端部に第2の規制突部144が係合して第2の幅規定部140の移動が規制される。
そして、セパレータ126が切断位置に配置されると、すなわち、第1および第2の幅規定部135,140の相対位置が第2の相対位置(図7に示す第1および第2の幅規定部135,140の相対位置)に変わると、各第1の幅規定部135が周方向Y2側に移動する結果、各第1の幅規定部135の第1の押圧面137が対応する第1のローラ123aを周方向Y2側に向かって押圧するから、各第1のローラ123aが、弾性体124の弾力付勢力に抗して周方向Y2側に移動させられる。これにより、図7に示すように、各第1のローラ123aが主面128上から傾斜面127a上へ移動し、各第1のローラ123aと外輪105の内周面部121との間に隙間S1が形成される。つまり、各第1のローラ123aの、内輪104のカム面122および外輪105の内周面部121との係合が外れる。
また、第2の幅規定部140が周方向Y1側に移動する結果、各第2の幅規定部140の第2の押圧面142が対応する第2のローラ123bを周方向Y1側に向かって押圧するから、各第2のローラ123bが、弾性体124の弾力付勢力に抗して周方向Y1側に移動させられる。これにより、図7に示すように、各第2のローラ123bが主面128上から傾斜面127b上へと移動し、各第2のローラ123bと外輪105の内周面部121との間に隙間S1が形成される。つまり、各第2のローラ123bの、内輪104のカム面122および外輪105の内周面部121との係合が外れる。
第1および第2の幅規定部135,140の相対位置が第2の相対位置に変わった状態では、ツーウェイクラッチ40は、一対のローラ123a,123bがくさび空間129で内周面部121と係合せずに隙間S1,S2を生じるオフ状態となる。
なお、隙間S1および隙間S2が、ローラ123a,123bと外輪105の内周面部121との間に形成されるとして説明したが、ローラ123a,123bと内輪104のカム面122との間に形成されてもよい。
一方、電磁石52(図2参照)に対する通電を解除すると、アーマチュア155が電磁石52によって吸引されなくなる。アーマチュア155が吸引されなくなると、一対のローラ123a,123bを介して弾性体124の弾性付勢力を受けることによって、セパレータ126の第1の摺接面153が第1の被摺接面138から軸方向X2側へ変位し、セパレータ126の第2の摺接面154が第2の被摺接面143から軸方向X2側へ変位する。そのため、第1の幅規定部135が周方向Y1側に移動し、第2の幅規定部140が周方向Y2側に移動する。その結果、共通のセパレータ126に対応する第1の幅規定部135と第2の幅規定部140とが接近し、対向面135c,140c同士が係合する。したがって、一対の幅規定部135,140の相対移動が規制され、これにより、ポケットP(図5参照)の周方向幅W(図5参照)が上限を超えることが防止される。これにより、セパレータ126は接続位置(図8に示すセパレータ126の位置)に再び配置される。
また、セパレータ126の軸方向X2への変位に伴い、第1の幅規定部135および第2の幅規定部140による押圧が解除される。そのため、一対のローラ123a,123bが弾性体124の弾力付勢力によって互いに離反する方向に移動される。第1のローラ123aは、周方向Y1側へ移動され、第2のローラ123bは、周方向Y2側へ移動される。これにより、ローラ123a,123bは、主面128上から傾斜面127a,127b上に移動され、ツーウェイクラッチ40は、ローラ123a,123bが内周面部121と係合可能となるオン状態となる。
ツーウェイクラッチ40のオン状態では、入力軸25と出力軸26とは基本的には一体回転する。ただし、ローラ123a,123bのうちのいずれかがカム面122および内周面部121と係合するまでの間には、入力軸25と出力軸26とが相対回転することもある。
ツーウェイクラッチ40のオン状態、すなわち一対の幅規定部135,140の相対位置が第1の相対位置にある状態では、ポケットPの周方向幅Wが、比較的広い間隔に設定されている。周方向幅Wは、弾性体124の自由状態において一対のローラ123a,123bの双方がカム面122および内周面部121に隙間なく係合することは不可能なように少し狭い間隔である。換言すると、周方向幅Wは、一対のローラ123a,123bの一方は、カム面122および内周面部121に隙間なく係合可能であるが、この場合、一対のローラ123a,123bの他方はカム面122または内周面部121との間に隙間S3,S4を生じるような間隔に設定されている。
また、ツーウェイクラッチ40のオン状態、すなわち一対の幅規定部135,140の相対位置が第2の相対位置にある状態では、入力軸25に対して出力軸26が回転すると、弾性部材172とリング体130との間に摩擦が発生するために、第1および第2の幅規定部135,140が出力軸26と同じ回転方向へと移動する。
ツーウェイクラッチ40のオン状態において、操舵部材4(図1参照)の操作や転舵輪3(図1参照)からの逆入力によって、出力軸26が入力軸25に対してたとえば周方向Y1側へ回転する場合には(出力軸26に周方向Y1側への回転トルクが生じると)、図9Aに示すように、ローラ123a,123bのうちの回転方向の上流側(周方向Y2側)の第2のローラ123bをカム面122または内周面部121との間に隙間S3を生じる状態に移動させ、第2のローラ123bは、弾性体124を介して下流側(周方向Y1側)の第1のローラ123aをカム面122および内周面部121に隙間なく係合するように移動させる。これにより、入力軸25と出力軸26との間での回転力の伝達が可能となる。
逆に、出力軸26が、入力軸25に対して周方向Y2側へ回転する場合には(出力軸26に周方向Y2側への回転トルクが生じると)、図9Bに示すように、ローラ123a,123bのうちの回転方向の上流側(周方向Y1側)の第1のローラ123aをカム面122または内周面部121との間に隙間S4を生じる状態に移動させ、第1のローラ123aは、弾性体124を介して下流側(周方向Y2側)の第2のローラ123bをカム面122および内周面部121に隙間なく係合するように移動させる。これにより、入力軸25と出力軸26との間での回転力の伝達が可能となる。
また、つれ回り構造171においてリング体130を廃止し、弾性部材172が直接幅規定部135,140に接続されていてもよい。
また、第1および第2の保持器131,132がそれぞれ第1および第2の幅規定部135,140を有しているものとして説明したが、一対のローラ123a,123bを保持する機能を有していなくてもよい。
以上によりこの実施形態によれば、ツーウェイクラッチ40のオン状態において、回転方向の下流側のローラ(ローラ123aまたはローラ123b)が、カム面122および内周面部121に隙間なく係合している。そのため、ツーウェイクラッチ40のオン状態において入力軸25と出力軸26との間における回転力の伝達を良好に行うことができる。また、ツーウェイクラッチ40のオン状態において、回転方向の上流側のローラ(ローラ123aまたはローラ123b)は、カム面122または内周面部121との間に隙間S3,S4を生じている。すなわち、ツーウェイクラッチ40のオン状態において、一対のローラ123a,123bのうち1つのローラのみしかカム面122および内周面部121に係合しないので、当該ローラとカム面122および内周面部121との間に回転トルクが残留しないか、あるいは残留するとしてもその回転トルクは小さい。したがって、入力軸25と出力軸26との間における回転力の伝達をオン状態からオフ状態へ切り換える際に、一対のローラ123a,123bと、カム面122および内周面部121との係合解除を円滑に行うことができ、ゆえに、入力軸25と出力軸26との間における回転力の伝達を円滑に切り換えることができる。
また、ツーウェイクラッチ40のオン状態において出力軸26が回転すると、一対の幅規定部135,140が、出力軸26の回転につれ回りして当該出力軸26と同じ回転方向に移動させられることにより、当該回転方向の上流側のローラに対応する幅規定部135,140が、回転方向の上流側のローラを、カム面122または内周面部121との間に隙間S3,S4を生じる状態に移動させる。このとき、当該ローラは、弾性体124を介して下流側のローラをカム面122および内周面部121に隙間なく係合するように移動させる。これにより、ツーウェイクラッチ40のオン状態において、回転方向の下流側のローラとカム面122および内周面部121とを確実に係合させることができ、ゆえに、入力軸25と出力軸26とが空転するのを防止できる。
また、ツーウェイクラッチ40のオン状態においては、回転方向の上流側のローラよりも回転方向の下流側のローラに大きな回転トルクが作用するが、比較的大きな回転トルクが作用する回転方向の下流側のローラをカム面122および内周面部121に係合させるので、ツーウェイクラッチ40のオン状態における入力軸25と出力軸26との間における回転力の伝達を、より一層良好に行うことができる。
また、一対の幅規定部135,140は、その相対位置が第1の相対位置にある状態で、対向面135c,140c同士が互いに係合する。したがって、一対の幅規定部135,140の相対移動が規制され、これにより、ポケットP(図5参照)の周方向幅W(図5参照)が上限を超えることが防止される。
一対の幅規定部135,140の相対位置が第1の相対位置にある状態、すなわちツーウェイクラッチ40のオン状態では、ポケットPの周方向幅が一対の幅規定部135,140によって決定される。このオン状態で、各幅規定部135,140とセパレータ126(たとえばくさび部152)が周方向Yに係合する場合を検討すると、この場合には、セパレータ126の寸法誤差等によっては各幅規定部135,140の周方向位置の精度が悪くなるおそれがあり、その結果、ポケットPの周方向幅Wの大きさがばらつくおそれがある。この場合、回転方向の上流側のローラとカム面122および内周面部121との間の隙間S3,S4が広くなり過ぎることも想定され、この場合、操舵部材4(図1参照)の遊びが大きくなり、操舵フィーリングが悪化するおそれがある。
これに対し、この実施形態では、一対の幅規定部135,140がセパレータ126を介さずに互いに直接係合するために、当該一対の幅規定部135,140の周方向位置を精度良く規定することができる。そのため、ポケットPの周方向幅Wの大きさがばらつくのを抑制または防止でき、これにより、回転方向の上流側のローラとカム面122および内周面部121との間の隙間S3,S4が広くなり過ぎることを防止できる。
図10,11は、第1および第2の保持器131,132の変形例を示す斜視図である。
図10に示すように、各第1の幅規定部135には、各第1の規制突部139から径方向Zの外方に突出する第3の規制突部201が設けられている。また、図11に示すように、第2の保持器132の第3の環状部141には、第1の規制突部139が通るための挿通溝202が、複数(たとえば3つ)等間隔に設けられている。第3の環状部141には、軸方向X1側の面から軸方向X1に突出する第4の規制突部203が、複数(たとえば3つ)等間隔に設けられている。各第4の規制突部203は挿通溝202に対応して設けられ、第1の規制突部139が挿通溝202に挿通している状態で第3の規制突部201に係合する。このとき、第3の規制突部201と第4の規制突部203との係合により一対の幅規定部135,140の相対移動が規制され、これにより、ポケットP(図5参照)の周方向幅W(図5参照)が上限を超えることが防止される。
その他、本発明は特許請求の範囲内で種々の変更を加えることが可能である。
1…クラッチユニット(駆動力伝達装置)、25…入力軸(第1の軸)、26…出力軸(第2の軸)、121…内周面部、122…カム面(外周面部)、123a,123b…ローラ、124…弾性体、126…セパレータ、129…くさび空間、131…第1の保持器、132…第2の保持器、135…第1の幅規定部(幅規定部材)、140…第2の幅規定部(幅規定部材)、171…つれ回り構造、172…弾性部材、S1…隙間、S2…隙間、S3…隙間、S4…隙間、P…ポケット(移動可能領域)、W…周方向幅

Claims (6)

  1. 互いに同軸に設けられた第1の軸と第2の軸との間に設けられ、前記第1の軸と前記第2の軸との間の回転力の伝達のオン/オフを切り換える駆動力伝達装置であって、
    前記第1の軸は、外周面部を備え、前記第2の軸は、前記外周面部に対向する内周面部を備え、前記外周面部と前記内周面部との間には、少なくとも一つのくさび空間が形成されており、
    前記くさび空間内に配置された一対のローラと、
    当該一対のローラを前記周方向に互いに離反する方向へ弾力付勢する弾性体と、
    前記ローラに一対一対応で設けられ、対応する前記ローラと当接して、前記くさび空間内において前記一対のローラが前記周方向に移動可能な移動可能領域の周方向幅を規定する一対の幅規定部材とを含み、
    前記一対の幅規定部材は、前記移動可能領域の前記周方向幅を比較的広く規定する第1の相対位置と、前記移動可能領域の前記周方向幅が比較的狭く設定された第2の相対位置との間で、前記周方向に相対移動可能に設けられており、
    前記一対の幅規定部材の前記周方向の相対位置が前記第1の相対位置から前記第2の相対位置へ変化すると、前記一対のローラを前記弾性体の弾力付勢力に抗して前記周方向に近接する方向に移動させ、前記一対のローラが前記外周面部または前記内周面部と係合せずに隙間を生じるようなオフ状態が実現され、
    前記一対の幅規定部材の前記周方向の相対位置が前記第2の相対位置から前記第1の相対位置へ変化すると、前記一対のローラを前記弾力付勢力によって互いに離反する方向に移動させ、前記一対のローラのうち、回転方向の下流側の前記ローラが前記外周面部および前記内周面部に隙間なく係合し、前記回転方向の上流側のローラは前記外周面部または前記内周面部との間に隙間を生じるようなオン状態が実現される、駆動力伝達装置。
  2. 前記一対の幅規定部材の前記周方向の相対位置が前記第1の相対位置にある状態で、前記第2の軸の前記回転方向への回転に伴って前記一対の幅規定部材を同じ回転方向へと移動させるつれ回り構造をさらに含み、
    前記一対の幅規定部材のうち、前記回転方向の上流側のローラに対応する上流側の幅規定部材は、前記つれ回り構造により、前記第1の軸および前記第2の軸の回転と共に前記回転方向に移動して、前記一対のローラのうちの前記回転方向の上流側のローラを、前記外周面部または前記内周面部との間に隙間を生じる状態に移動させ、当該ローラは、前記弾性体を介して下流側のローラを前記外周面部および前記内周面部に隙間なく係合するように移動させる、請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 前記つれ回り構造は、前記第2の軸と前記一対の幅規定部材との間に、前記第1の軸および前記第2の軸の軸方向に介装された弾性部材を含む、請求項1または2に記載の駆動力伝達装置。
  4. 前記一対の幅規定部材は、その前記周方向の相対位置が前記第1の相対位置にある状態で互いに係合することにより、前記周方向幅の上限を規定している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動力伝達装置。
  5. 前記第1の軸および前記第2の軸の軸方向に変位可能に設けられ、前記軸方向の変位に伴って前記一対の幅規定部材の相対位置を前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間で切り換えるセパレータをさらに含み、
    前記一対の幅規定部材は、その前記周方向の相対位置が前記第1の相対位置にある状態で、前記セパレータには係合せずに、当該一対の幅規定部材同士が周方向に係合する、請求項4に記載の駆動力伝達装置。
  6. 前記一対の幅規定部材は、前記一対のローラを前記くさび空間内に保持しておくための一対の保持器にそれぞれ設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動力伝達装置。
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