JP2017007107A - カール部付き紙製容器の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環状のカール代65を有する紙製の原形容器1’を作る。このカール代65の少なくとも一部は、外に向かって凸の湾曲部65cをなしている。カール代65の幅Wは、湾曲部65cの特定箇所65xで最も広く、これによりカール代65の先端縁66は、特定箇所65xを頂点66bとする山形66aを描くようになっている。環状の第1成形溝を有するカール成形用第1型を、原形容器1’に対して中心軸線L方向に移動させることにより、第1成形溝をカール代65の先端縁66に当てて、カール代65を外側に折り返す。この頂点66bからカール代65の折り返しを開始する。折り返されたカール代を第1成形溝で押すことにより、カール代65の先端縁66を第2成形溝に当てる。これにより、カール代65を内側に巻き込んでカール部5を成形する。
【選択図】図3
Description
上記原形容器の上記カール代の幅を周方向に変化させ、上記湾曲部の特定箇所で上記カール代の幅を最も広くし、この特定箇所から周方向に遠ざかるにしたがって、上記カール代の幅を徐々に狭くし、これによりカール代の先端縁が上記特定箇所を頂点とする山形を描くようにし、上記第2の工程において、上記カール成形用第1型の上記第1成形溝が上記カール代の先端縁における上記山形の頂点に最初に当たり、この頂点から上記カール代の折り返しを開始することを特徴とする。
また、最初に折り返しが開始される特定箇所は加工負荷が最も高くなるが、当該箇所はカール代の湾曲部にあり圧縮荷重に対する強度が高いので、座屈の発生を確実に回避できる。しかも、この湾曲部は外に向かって凸となっていて折り返し易いので、円滑にカール部を成形できる。
上記絞り成形用第2型を上記絞り成形用第1型に向かって移動することにより、紙製ブランクから、底部と、胴部と、胴部の開口縁から上記中心軸線方向と交差する方向に外に向かって突出する鍔部とを成形する絞り成形工程と、
上記カール成形用第2型を上記絞り成形用第1型を通過するように移動させることにより、上記カール成形用第2型の内周面と上記絞り成形用第1型の外周面で、上記鍔部の周縁から上記中心軸線と平行に延びる上記カール代を成形するカール代成形工程と、
を実行して、上記原形容器を得、
上記カール成形用の第1型と第2型を互いに接合し、上記第1成形溝と上記第2成形溝が協働して環状の成形空間を形成した状態で、上記カール成形用の第1型と第2型を上記カール代成形工程とは逆方向に移動させることにより、上記カール代の先端縁を上記第1成形溝と上記第2成形溝に順次に当て、上記第2、第3の工程を連続して実行する。
この構成によれば、カール部付き紙製容器を1枚のブランクから成形することができる。しかも金型の入れ替え無しに一連の工程を連続して実行することにより成形を行うので、生産効率が高い。
上記原形容器の上記カール代の幅を周方向に変化させ、上記湾曲部の特定箇所で上記カール代の幅を最も広くし、この特定箇所から周方向に遠ざかるにしたがって、上記カール代の幅を徐々に狭くし、これによりカール代の先端縁が上記特定箇所を頂点とする山形を描くようにし、上記第2の工程において、上記カール成形用第1型の上記第1成形溝が上記カール代の先端縁における上記山形の頂点に最初に当たり、この頂点から上記カール代の折り返しを開始することを特徴とする。
上記他の態様でも、上記一の態様と同様の理由により、カール代における座屈発生を回避できる。
この構成によれば、カール代の先端縁に山形を多く形成でき、その結果、先端縁において山形の裾野部が占める領域(傾斜領域)を十分に確保しつつ山形の裾野部の傾斜を比較的大きくすることができるので、上記折り返しの加工負荷の一層の軽減を図ることができる。
この構成によれば、加工負荷が最も高い特定箇所すなわち山形の頂点が、圧縮荷重に対する強度が最も低い箇所から離れているので、座屈の発生をより一層確実に回避できる。
最初に、成形が完了した最終形状の紙製容器1について、図1、図2、図3(A)、図4(A)を参照しながら説明する。容器1は、底部2と、胴部3と、胴部3の開口縁から容器1の中心軸線Lと交差する方向に外に向かって張り出す環状の鍔部4と、この鍔部4の外周縁4x(容器1の開口側の周縁)に形成されたカール部5とを備えている。
なお、底部2と胴部3の境界部6は横断面Rをなしており、図1、図2において2本の細線で表す。同様に、胴部3と鍔部4の境界部7も2本の細線で表す。
底部2には、補強のための低い隆起部2aが形成されている。
胴部3において、短軸方向に対峙する壁部分には、内に向かって若干突出するとともに中心軸線Lに沿って延びる補強リブ3aが形成されている。この補強リブ3aは境界部6を超えて底部2の隆起部2aまで延びている。
胴部3において、長軸方向に対峙する壁部分にも、内に向かって突出する補強のための湾曲部3bが形成されている。
上記カール成形用下型13の上面の内周縁には、環状をなしほぼ半円弧の断面形状を有する成形溝13x(第1成形溝)が形成されている。成形溝13xは、全周にわたって同一断面形状をなし同一高さにある。
押さえ枠24もスプリング(図示しない)により下方に付勢されており、図示しない係止手段により下限位置が設定されている。
カール成形用上型23の内周面23yは垂直をなし、後述するようにカール代成形面として提供される。
カール代65の成形が終了した時、カール代65の先端縁66は、図10(A)に示すように、成形空間30の上方かつ近傍に位置している。
このように、上記カール代65の先端縁66の折り返し開始が全周にわたって同時に行われず、最初は局所的に行われるので、加工負荷を軽減できカール代65の座屈を回避することができる。
上記第1実施形態では、カール代65のコーナー部65cの端(すなわち、辺部65a,65bとの境界部)に山形66aの頂点66bを配置したが、図13〜図15に示す第2実施形態のように、コーナー部65cの任意の箇所、例えば中央65zを特定箇所に設定し、山形66aの頂点66bを配置してもよい。
この折返し工程において、成形溝71は上記先端縁66Aの山形66aの頂点66bに最初に当たり、折り返しが開始される。この点は前述の実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
例えば、容器、原形容器は中心軸線方向から見て真円形であってもよい。この場合、カール代における周方向に等距離離れた複数箇所を、特定箇所とするのが好ましい。
特許請求の範囲において種々の成形型の移動について記述しているが、この移動は相対的移動を意味し、当該成形型が実際に移動する場合の他、当該型が静止した状態で他の構成要素が移動する場合も含む。
1’,1A’ 原形容器
2 底部
3 胴部
4x 鍔部の外周縁(容器の開口側の周縁)
5,5A カール部
12 絞り成形用下型(絞り成形用第1型)
12y 絞り成形用下型の外周面
13 カール成形用下型(カール成形用第1型)
13x 第1成形溝
22 絞り成形用上型(絞り成形用第2型)
23 カール成形用上型(カール成形用第2型)
23x 第2成形溝
23y カール成形用上型の内周面
30 成形空間
65,65A カール代
65a 長辺部
65b 短辺部
65c コーナー部(湾曲部)
65d 辺部
65e 円弧部(湾曲部)
65x、65y 境界部(特定箇所)
65z コーナー部の中央(特定箇所)
65x’、65x”、65z’、65z” 特定箇所
66,66A カール代の先端縁
66a 山形
66b 山形の頂点
70 カール成形用第1型
71 第1成形溝
80 カール成形用第2型
81 第2成形溝
90 カール成形用第3型
91 第3成形溝
Claims (6)
- 開口側に中心軸線方向に延びる環状のカール代を有し、このカール代の少なくとも一部が外に向かって凸の湾曲部をなす紙製の原形容器を作る第1の工程と、
環状の第1成形溝を有するカール成形用第1型を、上記原形容器に対して上記中心軸線方向に移動させることにより、上記第1成形溝を上記カール代の先端縁に当てて、このカール代の先端縁を外側に折り返す第2の工程と、
上記カール成形用第1型の上記第1成形溝で上記折り返された上記カール代を押すことにより、上記カール代の先端縁を、上記カール成形用第1型に対向配置されたカール成形用第2型の環状の第2成形溝に当て、これにより、上記カール代を内側に巻き込んでカール部を成形する第3の工程と、
を備えたカール部付き紙製容器の成形方法において、
上記原形容器の上記カール代の幅を周方向に変化させ、上記湾曲部の特定箇所で上記カール代の幅を最も広くし、この特定箇所から周方向に遠ざかるにしたがって、上記カール代の幅を徐々に狭くし、これによりカール代の先端縁が上記特定箇所を頂点とする山形を描くようにし、
上記第2の工程において、上記カール成形用第1型の上記第1成形溝が上記カール代の先端縁における上記山形の頂点に最初に当たり、この頂点から上記カール代の折り返しを開始することを特徴とするカール部付き紙製容器の成形方法。 - さらに絞り成形用の第1型と第2型とが用意され、上記カール成形用第1型が上記絞り成形用第1型を囲むように配置され、上記カール成形用第2型が上記絞り成形用第2型を囲むように配置され、
上記絞り成形用第2型を上記絞り成形用第1型に向かって移動することにより、紙製ブランクから、底部と、胴部と、胴部の開口縁から上記中心軸線方向と交差する方向に外に向かって突出する鍔部とを成形する絞り成形工程と、
上記カール成形用第2型を上記絞り成形用第1型を通過するように移動させることにより、上記カール成形用第2型の内周面と上記絞り成形用第1型の外周面で、上記鍔部の周縁から上記中心軸線と平行に延びる上記カール代を成形するカール代成形工程と、
を実行して、上記原形容器を得、
上記カール成形用の第1型と第2型を互いに接合し、上記第1成形溝と上記第2成形溝が協働して環状の成形空間を形成した状態で、上記カール成形用の第1型と第2型を上記カール代成形工程とは逆方向に移動させることにより、上記カール代の先端縁を上記第1成形溝と上記第2成形溝に順次に当て、上記第2、第3の工程を連続して実行することを特徴とする請求項1に記載のカール部付き紙製容器の成形方法。 - 開口側に中心軸線方向に延びる環状のカール代を有し、このカール代の少なくとも一部が外に向かって凸の湾曲部をなす紙製の原形容器を作る第1の工程と、
環状の第1成形溝を有するカール成形用第1型を、上記原形容器に対して上記中心軸線方向に移動させることにより、上記第1成形溝を上記カール代の先端縁に当てて、このカール代の先端縁を外側に折り返す第2の工程と、
カール成形用第2型の環状の第2成形溝を上記カール代の先端縁に対向配置させた状態で、このカール成形用第2型に向かってカール成形用第3型を移動させることにより、この第3カール成形用第3型の環状の第3成形溝で、上記折り返された上記カール代を押して、このカール代の先端縁を上記カール成形用第2型の第2成形溝に当て、これにより、上記カール代を内側に巻き込み、カール部を成形する第3の工程と、
を備えたカール部付き紙製容器の成形方法において、
上記原形容器の上記カール代の幅を周方向に変化させ、上記湾曲部の特定箇所で上記カール代の幅を最も広くし、この特定箇所から周方向に遠ざかるにしたがって、上記カール代の幅を徐々に狭くし、これによりカール代の先端縁が上記特定箇所を頂点とする山形を描くようにし、
上記第2の工程において、上記カール成形用第1型の上記第1成形溝が上記カール代の先端縁における上記山形の頂点に最初に当たり、この頂点から上記カール代の折り返しを開始することを特徴とするカール部付き紙製容器の成形方法。 - 上記原形容器の上記カール代が上記中心軸線方向から見た時に線対称の形状をなし、複数の上記湾曲部と、上記湾曲部を介して互いに連なる複数の辺部とを有し、これら辺部は直線状に延びるか上記湾曲部より曲率半径が大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカール部付き紙製容器の成形方法。
- 上記湾曲部と上記辺部との間の境界部が上記特定箇所として提供されることを特徴とする請求項4に記載のカール部付き紙製容器の成形方法。
- 上記原形容器の上記カール代が上記中心軸線方向から見た時に線対称の形状をなすとともに、曲率半径が連続して変化し、上記特定箇所が上記曲率半径の最も大きな箇所から周方向に離れていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカール部付き紙製容器の成形方法。
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