JP2017005851A - 電力制御方法および電力制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートポンプ式貯湯装置の電力不足による買電を抑制しつつ、太陽光発電装置の電力の余剰分を有効活用することにより電力系統の逆潮流を低減する。【解決手段】本発明にかかる電力制御方法の構成は、太陽光発電装置の翌日の発電出力を予測し、需要家の電気機器の翌日の消費電力であるベース電力負荷を予測し、翌日の発電出力からベース電力負荷を引くことにより余剰電力を予測し、ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力負荷を予測し、余剰電力がヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を上回る時間帯をヒートポンプ式貯湯装置の動作時間帯とし、余剰電力のうち、ヒートポンプ式貯湯装置が消費しなかった分の電力を蓄電池に蓄電し、余剰電力が低下したことによりヒートポンプ式貯湯装置の電力が不足した場合には、蓄電池から放電して電力を供給することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、ヒートポンプ式貯湯装置、太陽光発電装置および蓄電池が併設されている需要家の電力を制御する電力制御方法および電力制御システムに関するものである。
住宅等における熱源の1つとしてヒートポンプ式貯湯装置がある。ヒートポンプ式貯湯装置では、料金が安価な深夜時間帯(例えば23時〜7時)の電力を利用して湯水を生成し、生成した湯水を貯湯タンク(貯湯槽)に貯湯しておく。そして、貯湯された湯水を、日中、必要に応じて貯湯槽から給湯設備等に供給して使用する。
また近年、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う太陽光発電装置の普及が進んでいる。これに伴い、太陽光発電装置とヒートポンプ式貯湯装置とを連携させた運転システムが開発されている。例えば特許文献1の貯湯式給湯システムでは、太陽光発電装置が発電する電力のうち、ヒートポンプ式貯湯装置の沸き上げ運転に用いることのできる電力である余剰電力の翌日の値を予測している。そして、予測された翌日の余剰電力が多い場合には、それが少ない場合に比べて、夜間沸き上げ運転(深夜沸き上げ運転)の沸き上げ量を少なくしている。
特許文献1によれば、翌日の太陽光発電の余剰電力の発生量を予測し、その予測結果に応じて、夜間沸き上げ運転の沸き上げ量を変化させる。このため、太陽光発電の余剰電力を給湯に有効に利用し、夜間沸き上げ運転に使用する電力を低減することができると述べている。
特開2013−148287号公報
特許文献1の構成によれば、翌日の太陽光発電の余剰電力の発生量に基づいて、夜間沸き上げ運転の沸き上げ量を減らしている。このため、予測が外れ、余剰電力の発生量が少なかった場合、ヒートポンプ式貯湯装置を稼動させるための電力が不足することが起こりうる。すると、湯水の沸き上げを行うことが困難になるため、買電せざるを得ないという課題がある。
また他の課題として、住宅に設置された太陽光発電装置によって発電された電力は、その一部が住宅内において消費され、余剰分は電力系統に逆潮流している。近年、太陽光発電装置が急速に普及していることにより、その逆潮流電力が年々増大しており、系統電圧の上昇や、電力系統が余剰電力を吸収できない事態が発生することが危惧されている。
特許文献1のように太陽光発電装置によって発電された電力をヒートポンプ式貯湯装置において使用することにより、逆潮流の抑制に一定の効果は得られる。しかしながら、今後の太陽光発電装置の更なる普及に備え、太陽光発電装置の余剰電力を需要家側でより有効活用することが可能な手法の開発が要請されていた。
本発明は、このような課題に鑑み、ヒートポンプ式貯湯装置および太陽光発電が併設された需要家において、天候不良等によるヒートポンプ式貯湯装置の電力不足を解消することにより買電を抑制しつつ、太陽光発電装置が発電した電力の余剰分を有効活用することにより電力系統の逆潮流を低減することが可能な電力制御方法および電力制御システムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる電力制御方法の代表的な構成は、ヒートポンプ式貯湯装置、太陽光発電装置および蓄電池が併設されている需要家の電力を制御する電力制御方法であって、太陽光発電装置の翌日の発電出力を予測し、需要家の電気機器の翌日の消費電力であるベース電力負荷を予測し、翌日の発電出力からベース電力負荷を引くことにより余剰電力を予測し、ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力負荷を予測し、余剰電力がヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を上回る時間帯をヒートポンプ式貯湯装置の動作時間帯とし、太陽光発電装置が発電した電力のうち、ヒートポンプ式貯湯装置が消費しなかった分の電力を蓄電池に蓄電し、余剰電力が低下したことによりヒートポンプ式貯湯装置の電力が不足した場合には、蓄電池から放電して電力を供給することを特徴とする。
上記構成によれば、需要家では、ヒートポンプ式貯湯装置および太陽光発電装置に加えて、更に蓄電池が併設される。そして、太陽光発電装置が発電した電力は、ヒートポンプ式貯湯装置を動作させるために使用され、ヒートポンプ式貯湯装置が消費しなかった分の電力は蓄電池に蓄電される。これにより、余剰分の電力の電力系統への逆潮流を低減することができる。
また上記構成では、天候不良やベース負荷の一時的な増大などによって余剰電力が低下すると、上述したように蓄電池に蓄電しておいた余剰分の電力がヒートポンプ式貯湯装置に供給される。これにより、天候不良等によるヒートポンプ式貯湯装置の電力不足を解消することができ、需要家の買電を抑制することが可能となる。また蓄電池に蓄電された太陽光発電装置の電力を使用することにより、かかる太陽光発電装置の電力の更なる有効活用を図ることができる。
上記蓄電池は、余剰電力からヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を減算した電力の時間積分値を蓄電可能な容量を有するとよい。蓄電池は、蓄電容量が大きくなるにしたがってコストが増大する。そこで、かかる構成のように蓄電池の容量を、太陽光発電装置が発電しヒートポンプ式貯湯装置を含む住宅内の負荷で消費した残りの電力を蓄電可能な容量とすることにより、蓄電池を低容量とすることができる。したがって、高価な蓄電池にかかる設備コストを削減し、且つ装置を小型化しつつ、上述した利点を得ることが可能となる。
上記太陽光発電装置の発電開始後に蓄電池に蓄電され放電可能な電力量が、余剰電力からヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を引いたときに不足する電力の時間積分値を上回る時刻を、ヒートポンプ式貯湯装置の動作開始時刻とするとよい。これにより、ヒートポンプ式貯湯装置の動作開始時刻を早めることができるため、ヒートポンプ式貯湯装置の運転時間を延長することができ、深夜電力による沸き上げ時間の短縮、および太陽光発電装置によって発電される電力の更なる有効活用を図ることが可能となる。
上記ヒートポンプ式貯湯装置の動作開始後に太陽光発電装置から蓄電池に蓄電され放電可能な電力量が、余剰電力からヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を引いたときに不足する電力の時間積分値を上回る時刻を、ヒートポンプ式貯湯装置の動作終了時刻とするとよい。これにより、ヒートポンプ式貯湯装置の動作終了時刻を遅らせることができるため、ヒートポンプ式貯湯装置の運転時間を延長することができ、深夜電力による沸き上げ時間の短縮、および太陽光発電装置によって発電される電力の更なる有効活用を図ることが可能となる。
上記太陽光発電装置の発電開始後の実際の発電出力が予測した翌日の発電出力を下回った場合には、実際の余剰電力がヒートポンプ式貯湯装置の必要電力を上回る時刻まで、または太陽光発電装置の発電開始後に蓄電池に蓄電され放電可能な電力量が、実際の余剰電力からヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を引いたときに不足する電力の時間積分値を上回る時刻まで、ヒートポンプ式貯湯装置の動作開始時刻を遅らせるとよい。これにより、余剰電力が低下した場合であっても、安定した運用を図ることが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明にかかる電力制御システムの代表的な構成は、ヒートポンプ式貯湯装置、太陽光発電装置および蓄電池が併設されている需要家の電力を制御する電力制御システムであって、需要家におけるヒートポンプ式貯湯装置の過去の運転履歴データと、需要家における過去の消費電力履歴データとを記憶するデータ記憶手段と、翌日の気象情報を取得する気象情報取得手段と、需要家の電力を制御する電力制御手段と、を含み、電力制御手段は、翌日の気象情報を参照して太陽光発電装置の翌日の発電出力を予測し、過去の消費電力履歴データを参照して需要家の電気機器の翌日の消費電力負荷であるベース電力負荷を予測し、翌日の発電出力からベース電力負荷を引くことにより余剰電力を予測し、過去の運転履歴データを参照してヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力負荷を予測し、余剰電力がヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を上回る時間帯をヒートポンプ式貯湯装置の動作時間帯とし、太陽光発電装置が発電した電力のうち、ベース電力負荷およびヒートポンプ式貯湯装置の電力負荷を除いた分の電力を蓄電池に蓄電し、天候不良等により余剰電力が不足した場合には、蓄電池から放電して電力を供給することを特徴とする。
上述した電力制御方法における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該電力制御システムにも適用可能である。
本発明によれば、ヒートポンプ式貯湯装置および太陽光発電が併設された需要家において、天候不良等によるヒートポンプ式貯湯装置の電力不足を解消することにより買電を抑制しつつ、太陽光発電装置が発電した電力の余剰分を有効活用することにより電力系統の逆潮流を低減することが可能な電力制御方法および電力制御システムを提供することが可能である。
第1実施形態にかかる電力制御システムの構成を説明する図である。 第1実施形態にかかる電力制御方法について説明するフローチャートである。 第1実施形態にかかる電力制御方法について説明するフローチャートである。 第1実施形態の電力制御方法について解説する模式図である。 図2のステップS210の貯湯装置の動作時間帯の決定処理の他の実施形態を説明する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、第1実施形態にかかる電力制御システム100の構成を説明する図である。以下、図1に示す電力制御システムについて詳述しながら、本実施形態にかかる電力制御方法についても併せて説明する。
図1(a)は電力制御システム100の全体構成を示す図であり、図1(b)は電力制御装置130の構成を示すブロック図である。図1(a)に示すように、本実施形態の電力制御システム100は電力制御装置130を含んで構成されるHEMS(Home Energy Management System)である。電力制御装置130とサーバ106とは、インターネット104(WAN:Wide Area Network)によって接続されている。
需要家の住宅102の室内に配置されている空調機(以下、エアコン102aと称する)、テレビ102b、冷蔵庫102c等の電気機器は、LAN(Local Area Network)によって電力制御装置130に接続されている。なお、以下の説明では、エアコン102a、テレビ102bおよび冷蔵庫102c等の電気機器を総称する際には単に電気機器と称する。
住宅102の室外には、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う太陽光発電装置110が設置されている。また住宅102の室外には、ヒートポンプ122によって生成した湯水を貯湯タンク124に貯湯し、かかる湯水を給湯設備(不図示)に供給するヒートポンプ式貯湯装置(以下、貯湯装置120と称する)が設置されている。更に本実施形態では、太陽光発電装置110によって発電された電力を蓄電する蓄電池128が設置されている。これらの太陽光発電装置110、貯湯装置120および蓄電池128もLANによって電力制御装置130に接続されている。
図1(b)に示す電力制御装置130は、本実施形態では主に貯湯装置120および蓄電池128の動作(運転)を制御する。電力制御装置130は、貯湯装置120および蓄電池128の動作を制御する運転制御手段140、および各種データを記憶するデータ記憶手段150を含んで構成される。なお、本実施形態では、運転制御手段140およびデータ記憶手段150は電力制御装置130に含まれる構成を例示するが、これに限定するものではなく、運転制御手段140およびデータ記憶手段150を別々の装置としてもよい。
運転制御手段140は、電力制御手段142および気象情報取得手段144としても機能する。電力制御手段142は、後に詳述するように需要家(住宅102)の電力、特に貯湯装置120および蓄電池128の電力を制御する。気象情報取得手段144は、インターネット104を介してサーバ106から翌日の気象情報を取得する。これらの各手段は、具体的には電力制御装置130(運転制御手段140)で実行されるプログラムである。
データ記憶手段150は、運転履歴データ152および消費電力履歴データ154を記憶する。運転履歴データ152は、需要家(住宅102)における貯湯装置120の過去の運転履歴のデータを蓄積したものである。消費電力履歴データ154は、需要家(住宅102)における電気機器の過去の消費電力の履歴データである。
図2および図3は、第1実施形態にかかる電力制御方法について説明するフローチャートである。特に、図2は、貯湯装置の動作時間を決定する処理について説明するフローチャートであり、図3は、電力制御手段142による貯湯装置および蓄電池の電力の制御について説明するフローチャートである。以下、電力制御システム100における電力制御手段142の動作について詳述しながら、本実施形態にかかる運転時間設定方法についても併せて説明する。
本実施形態の電力制御方法では、運転制御手段140は電力制御手段142として機能する。図2に示すように、電力制御手段142は、気象情報取得手段144として取得した翌日の気象情報を参照し、太陽光発電装置110の翌日の昼間の発電出力を予測する(ステップS202)。次に電力制御手段142は、データ記憶手段150に記憶されている電気機器の過去の消費電力履歴データ154を参照し、需要家(住宅102)の翌日の電気機器の消費電力であるベース電力負荷を予測する(ステップS204)。
図4は、第1実施形態の電力制御方法について解説する模式図である。図4(a)では、需要家の1日におけるベース電力負荷および太陽光発電装置110の発電出力を例示している。図4(a)に示すように、住宅102では、終日動作している電気機器もあるため、ベース電力は時間帯によって変動しつつも終日消費されている。太陽光発電装置110は、朝6:30頃から夜16:30頃、すなわち日照がある時間帯のみに発電が行われ、電力が生成されている。
上述したように翌日の発電出力およびベース電力負荷を予測したら、電力制御手段142は、翌日の発電出力からベース電力負荷を引くことにより余剰電力を予測する(ステップS206)。図4(b)では、図4(a)に例示する太陽光発電装置110の翌日の発電出力からベース電力負荷を引いた余剰電力を例示している。
続いて電力制御手段142は、データ記憶手段150に記憶されている貯湯装置120の過去の運転履歴データ152、および翌日の気象情報(気温と給水温度)を参照し、貯湯装置120の翌日の必要電力負荷を予測する(ステップS208)。貯湯装置120の翌日の必要電力負荷の時間積分は、住宅102において翌日必要となる湯水を生成するために必要となる電力量のことであり、翌日必要となる貯湯量(熱量)と換言することもできる。
そして電力制御手段142は、余剰電力が貯湯装置120の必要電力負荷を上回る時間帯をかかる貯湯装置120の動作時間帯として決定する(ステップS210)。図4(b)に示す例では、余剰電力が貯湯装置120の必要電力負荷を上回る9時頃〜15時頃を貯湯装置120の動作時間帯としている。
ここで、従前は貯湯装置120の沸き上げは、翌日の必要電力負荷のすべてについて深夜電力を使用し、早朝(例えば7時)に沸き上げが完了するように動作させていた。これに対し上記の動作では、翌日の必要電力負荷を深夜時間帯(不図示)と日中の動作時間帯(図4(b))に配分し、深夜電力による沸き上げを短縮している。翌日の必要電力負荷に対して日中の動作時間帯を十分に取れるのであれば、深夜電力による沸き上げを最小限(午前中に使用する湯水の分のみ)にまで削減することができる。
続いて、電力制御手段142による貯湯装置120および蓄電池128の電力の制御について説明する。図3に示すように、まず電力制御手段142は太陽光発電装置110の動作開始を監視する(ステップS222)。そして、太陽光発電装置110が動作を開始したら(ステップS222のYES)、電力制御手段142は貯湯装置120の動作開始を監視する(ステップS224)。
電力制御手段142は、貯湯装置120が動作を開始するまでは(ステップS224のNO)、太陽光発電装置110が発電した電力からベース負荷を差し引いた電力を蓄電池128に蓄電する(ステップS226)。一方、貯湯装置120が動作を開始したら(ステップS224のYES)、電力制御手段142は、太陽光発電装置110が発電した電力を貯湯装置120に供給する(ステップS228)。
次に電力制御手段142は、余剰電力(太陽光発電装置110が発電した発電出力からベース負荷を差し引いた電力)が、貯湯装置120の消費電力を上回っているか(余剰電力>貯湯装置120の消費電力)を判断する(ステップS230)。そして、余剰電力が消費電力を上回っていた場合(ステップS230のYES)、電力制御手段142は、余剰電力のうち貯湯装置120が消費しなかった分の電力を蓄電池128に蓄電する(ステップS232)。
また電力制御手段142は、余剰電力が消費電力を下回っているか(余剰電力<貯湯装置120消費電力)を判断する(ステップS234)。余剰電力が消費量を下回っていなかったら(ステップS234のNO)、すなわち余剰電力と消費量がほぼ同等であったら、電力制御手段142は、貯湯装置120が動作終了するまで(ステップS238のNO)、ステップS228〜ステップS238の処理を繰り返す。
余剰電力が消費電力を下回っていたら(ステップS234のYES)、電力制御手段142は、蓄電池128に蓄電された電力を放電して貯湯装置120に供給する(ステップS236)。すなわち電力制御手段142は、余剰電力が低下したことにより貯湯装置120の電力が不足した場合には、蓄電池128から放電して電力を供給する。図4(c)では、一時的な天候不良等により12時前後の発電出力が低下した場合を例示している。また、ベース負荷が一時的に増大した場合にも、同様に余剰電力が低下する。
図3に戻り、電力制御手段142は、上述した処理を繰り返しつつ貯湯装置120の動作終了を監視し(ステップS238)、貯湯装置120の動作が終了したら(ステップS238のYES)、太陽光発電装置110の動作終了を監視する(ステップS240)。そして、電力制御手段142は、太陽光発電装置110の動作が終了するまでは(ステップS240のNO)、かかる太陽光発電装置110が発電した電力を蓄電池128に蓄電し、太陽光発電装置110の動作が終了したら(ステップS240のYES)、制御を停止する。
上記説明したように、本実施形態の電力制御方法および電力制御システム100によれば、太陽光発電装置110が発電した電力は、貯湯装置120を動作させるために使用され、貯湯装置120が消費しなかった分の電力は蓄電池128に蓄電される。これにより、余剰分の電力の電力系統への逆潮流を低減することができる。また本実施形態の構成では、天候不良等によって余剰電力が低下したら、蓄電池128に蓄電しておいた余剰分の電力を貯湯装置120に供給する。これにより、天候不良等による貯湯装置120の電力不足を解消し、需要家の買電を抑制することが可能となる。加えて、蓄電池128に蓄電された太陽光発電装置110の電力を使用することにより、かかる太陽光発電装置110の電力の更なる有効活用を図ることができる。
なお、上述した蓄電池128の容量は、余剰電力から貯湯装置120の必要電力負荷を減算した電力の時間積分値を蓄電可能な容量とするとよい。換言すれば、蓄電池128を、太陽光発電装置110が発電した電力のうち、電気機器および貯湯装置120が消費しなかった残りの電力を蓄電可能な容量とするとよい。
蓄電池128は蓄電容量が大きくなるにしたがってコストが増大し、装置が大型化する。したがって、上述したように貯湯装置120が消費しなかった残りの電力を蓄電可能な容量とする、すなわち必要分の電力を蓄電可能な容量とすることにより、蓄電池128の低容量化、ひいては設備コストの削減および装置の小型化を図ることが可能となる。
なお、本実施形態では、余剰電力および貯湯装置120の必要電力負荷は予測値を用いているため、その値を用いると厳密には蓄電池の容量は日によって異なることとなる。したがって、実際の運用時には、太陽光発電装置110や貯湯装置120のスペックや、所定期間内の余剰電力負荷および貯湯装置120の必要電力負荷の平均値を参照して蓄電池128の容量を決定するとよい。更に好ましくは、そのようにして決定した容量に余裕分を加算した容量、例えば1.5倍程度の安全率を乗算した値とするとよい。
図5は、図2のステップS210の貯湯装置120の動作時間帯の決定処理の他の実施形態を説明する図である。図5(a)は、貯湯装置120の動作時間帯の決定処理の第2実施形態について説明する図である。図5(b)は、貯湯装置120の動作時間帯の決定処理の第3実施形態について説明する図である。図5(c)および(b)は、貯湯装置120の動作時間帯の決定処理の第4実施形態について説明する図である。
(第2実施形態)
図5(a)は、動作開始時間を早める例を示している。電力制御手段142は、余剰電力よりも消費電力が大きい時刻から動作を開始することができる。すなわち太陽光発電装置110の発電開始後に蓄電池128に蓄電され放電可能な電力量が、余剰電力から貯湯装置120の必要電力負荷の時間積分値を引いたときに不足する電力量を上回る時刻を、貯湯装置120の動作開始時刻としてもよい。具体的には、図5(a)に示す例では、太陽光発電装置110の発電開始後に蓄電池128に蓄電され放電可能な電力量をAとし、余剰電力から貯湯装置120の必要電力負荷を引いたときに不足する電力の時間積分値をBとしている。そして、9時に動作開始する予定であった貯湯装置120の動作開始時刻を、「蓄電される電力量A>不足する電力量B」となる8時30分頃としている。
(第3実施形態)
図5(b)は、動作終了時間を遅らせる例を示している。電力制御手段142は、余剰電力が消費電力を下回る時刻まで動作を継続することができる。すなわち貯湯装置120の動作開始後に太陽光発電装置110から蓄電池128に蓄電され放電可能な電力量が、余剰電力から貯湯装置120の必要電力負荷の時間積分値を引いたときに不足する電力量を上回る時刻を、貯湯装置120の動作終了時刻としてもよい。具体的には、図5(b)に示す例では、貯湯装置120の動作開始後に太陽光発電装置110から蓄電池128に蓄電され放電可能な電力量をCとし、余剰電力から貯湯装置120の必要電力負荷を引いたときに不足する電力の時間積分値をDとしている。そして、15時に動作終了する予定であった貯湯装置120の動作終了時刻を、「蓄電される電力量C>不足する電力量D」となる16時30分頃としている。
上述した第2実施形態および第3実施形態の貯湯装置120の動作時間帯の決定処理によれば、動作開始時刻を早めたり、動作終了時刻を遅らせたりすることで、貯湯装置120の動作時間を延長することができる。これにより、深夜電力による沸き上げ時間の短縮することができ、且つ太陽光発電装置110によって発電される電力の更なる有効活用を図ることが可能となる。
(第4実施形態)
図5(c)および図5(d)は、太陽光発電装置110の発電出力が予測を下回った場合の制御を例示している。図5(c)に示す例では、破線が予測の余剰電力を示し、実線が実測の余剰電力を示している。気象情報の誤差により実測の余剰電力が予測の余剰電力を下回った場合、貯湯装置120の動作開始後に電力量Eの買電が生じてしまう。
そこで第4実施形態では、電力制御手段142は、「太陽光発電装置110の発電開始後の実際の発電出力が、予測した翌日の発電出力を下回った場合」には、「太陽光発電装置110の発電開始後に蓄電池128に蓄電され放電可能な電力量が、実際の余剰電力から貯湯装置120の必要電力負荷を引いたときに不足する電力の時間積分値を上回る時刻」まで、貯湯装置120の動作開始時刻を遅らせる。具体的には、図5(d)に示す例では、破線が予定されていた動作時間帯であり、実線が遅らせた動作時間帯である。太陽光発電装置110の発電開始後に蓄電池128に蓄電される電力量をA2とし、実際の余剰電力から貯湯装置120の必要電力負荷を引いたときに不足する電力の時間積分値をB2としている。そして、9時に動作開始する予定であった貯湯装置120の動作開始時間を、「蓄電され放電可能な電力量A2>不足する電力量B2」となる9時30分頃としている。
上述した第4実施形態の貯湯装置120の動作時間帯の決定処理によれば、余剰電力が予測より低下した場合であっても、買電を抑制しつつ、安定した運用を図ることが可能となる。
なお、図示は省略するが、余剰電力が予測を下回った場合には、余剰電力が必要電力負荷を上回るまで(同じくらいになるまで)貯湯装置120の動作開始時刻を遅らせてもよい。すなわち、太陽光発電装置110の発電開始後の実際の余剰電力が、予測した翌日の余剰電力を下回った場合、電力制御手段142は、実際の余剰電力が貯湯装置120の必要電力負荷を上回る時刻まで貯湯装置120の動作開始時刻を遅らせてもよい。これによっても、上記と同様の効果を得ることが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、ヒートポンプ式貯湯装置、太陽光発電装置および蓄電池が併設されている需要家の電力を制御する電力制御方法および電力制御システムに利用することができる。
100…電力制御システム、102…住宅、102a…エアコン、102b…テレビ、102c…冷蔵庫、104…インターネット、106…サーバ、110…太陽光発電装置、120…貯湯装置、122…ヒートポンプ、124…貯湯タンク、128…蓄電池、130…電力制御装置、140…運転制御手段、142…電力制御手段、144…気象情報取得手段、150…データ記憶手段、152…運転履歴データ、154…消費電力履歴データ

Claims (6)

  1. ヒートポンプ式貯湯装置、太陽光発電装置および蓄電池が併設されている需要家の電力を制御する電力制御方法であって、
    前記太陽光発電装置の翌日の発電出力を予測し、
    前記需要家の電気機器の翌日の消費電力であるベース電力負荷を予測し、
    前記翌日の発電出力から前記ベース電力負荷を引くことにより余剰電力を予測し、
    前記ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力負荷を予測し、
    前記余剰電力が前記ヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を上回る時間帯を該ヒートポンプ式貯湯装置の動作時間帯とし、
    前記余剰電力のうち、前記ヒートポンプ式貯湯装置が消費しなかった分の電力を前記蓄電池に蓄電し、
    前記余剰電力が低下したことにより前記ヒートポンプ式貯湯装置の電力が不足した場合には、前記蓄電池から放電して電力を供給することを特徴とする電力制御方法。
  2. 前記蓄電池は、前記余剰電力から前記ヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を減算した電力の時間積分値を蓄電可能な容量を有することを特徴とする請求項1に記載の電力制御方法。
  3. 前記太陽光発電装置の発電開始後に前記蓄電池に蓄電され放電可能な電力量が、前記余剰電力から該ヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を引いたときに不足する電力の時間積分値を上回る時刻を、該ヒートポンプ式貯湯装置の動作開始時刻とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電力制御方法。
  4. 前記ヒートポンプ式貯湯装置の動作開始後に前記太陽光発電装置から前記蓄電池に蓄電される電力量が、前記余剰電力から該ヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を引いたときに不足する電力の時間積分値を上回る時刻を、該ヒートポンプ式貯湯装置の動作終了時刻とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電力制御方法。
  5. 前記太陽光発電装置の発電開始後の実際の余剰電力が前記予測した翌日の余剰電力を下回った場合には、実際の前記余剰電力が前記ヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を上回る時刻まで、または該太陽光発電装置の発電開始後に前記蓄電池に蓄電される電力量が、実際の前記余剰電力から該ヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を引いたときに不足する電力量の時間積分値を上回る時刻まで、該ヒートポンプ式貯湯装置の動作開始時刻を遅らせることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電力制御方法。
  6. ヒートポンプ式貯湯装置、太陽光発電装置および蓄電池が併設されている需要家の電力を制御する電力制御システムであって、
    需要家におけるヒートポンプ式貯湯装置の過去の運転履歴データと、需要家における過去の消費電力履歴データとを記憶するデータ記憶手段と、
    翌日の気象情報を取得する気象情報取得手段と、
    需要家の電力を制御する電力制御手段と、
    を含み、
    前記電力制御手段は、
    前記翌日の気象情報を参照して前記太陽光発電装置の翌日の発電出力を予測し、
    前記過去の消費電力履歴データを参照して前記需要家の電気機器の翌日の消費電力であるベース電力負荷を予測し、
    前記翌日の発電出力から前記ベース電力負荷を引くことにより余剰電力を予測し、
    前記過去の運転履歴データを参照して前記ヒートポンプ式貯湯装置の翌日の必要電力負荷を予測し、
    前記余剰電力が前記ヒートポンプ式貯湯装置の必要電力負荷を上回る時間帯を該ヒートポンプ式貯湯装置の動作時間帯とし、
    前記余剰電力のうち、前記ヒートポンプ式貯湯装置が消費しなかった分の電力を前記蓄電池に蓄電し、
    前記余剰電力が低下したことにより前記ヒートポンプ式貯湯装置の電力が不足した場合には、前記蓄電池から放電して電力を供給することを特徴とする電力制御システム。
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