以下では、図1を用いて、本実施形態に係る電力供給システム1の構成について説明する。
電力供給システム1は、種々の施設(本実施形態においては、住宅とする)に設けられ、電力を図示せぬ負荷へと供給するものである。電力供給システム1は、主として、分電盤2と、第一電力経路21と、太陽光発電部3と、パワーコンディショナ4と、第一電力センサ11と、燃料電池5と、第二電力センサ12と、第三電力センサ13と、蓄電装置6と、第二電力経路22と、を具備する。
分電盤2は、供給された電力を負荷に分配するものである。分電盤2は、電力の供給元として、商用電源100、太陽光発電部3、燃料電池5及び蓄電装置6に所定の電力経路を介して接続される。
なお、本実施形態において負荷とは、住宅において電力を消費する電化製品等が接続される回路である。負荷は、例えば部屋ごとや、大きな電力を消費する機器専用のコンセントごとに設けられ、それぞれ分電盤2に接続される。
第一電力経路21は、電力が流通可能な経路である。第一電力経路21は、導線等で構成される。第一電力経路21の一側端部は、商用電源100(電力会社の電力系統)に接続される。第一電力経路21の他側端部は、分電盤2に接続される。こうして、分電盤2と商用電源100とは、第一電力経路21を介して電力が流通可能に構成される。
太陽光発電部3は、自然エネルギー(太陽光)を利用して発電するものである。太陽光発電部3は、図示せぬ太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部3は、例えば住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。太陽光発電部3は、電力(直流電力)を発電すると共に、当該発電した電力を出力可能に構成される。太陽光発電部3は、第一電力経路21の中途部(以下では「第一接続部31」と称する)に接続される。
パワーコンディショナ4は、電力を適宜変換するものである。パワーコンディショナ4は、太陽光発電部3と第一電力経路21(第一接続部31)との間に接続される。パワーコンディショナ4は、電力の入力側が太陽光発電部3に接続され、当該太陽光発電部3から出力された電力(直流電力)が入力される。パワーコンディショナ4は、太陽光発電部3から入力された直流電力を交流電力に変換し、当該変換した交流電力を出力可能に構成される。
第一電力センサ11は、設置箇所の電力を検出するものである。第一電力センサ11は、第一電力経路21において第一接続部31よりも分電盤2側(下流側)に設置される。第一電力センサ11は、後述する燃料電池5と電気的に接続される。第一電力センサ11は、検出結果を燃料電池5に送信可能に構成される。
燃料電池5は、水素等の燃料を用いて発電するものである。燃料電池5は、固体酸化物形燃料電池(SOFC : Solid Oxide Fuel Cell)や制御部等を備える。燃料電池5は、第一電力経路21の中途部(以下では「第二接続部32」と称する)に接続される。第二接続部32は、第一電力経路21において第一電力センサ11よりも分電盤2側(下流側)に配置される。燃料電池5は、第一電力センサ11と電気的に接続される。燃料電池5は、第一電力センサ11から送信された検出結果を受信可能に構成される。
また、燃料電池5は、後述する発電計画に基づいて発電し、当該発電した電力を出力可能に構成される。燃料電池5で発電された電力は、他の電力の供給元(具体的には、商用電源100や、太陽光発電部3、蓄電装置6)からの電力に優先して分電盤2に供給される。燃料電池5は、最大発電電力が700Wに設定される。また、燃料電池5は、図示せぬ貯湯ユニットを備える。燃料電池5は、発電時に発生する熱を用いて、前記貯湯ユニットで湯を沸かすことができる。
また、燃料電池5は、自ら行った発電に関する情報と、第一電力センサ11からの検出結果と、により、分電盤2に供給される電力(負荷の消費電力、以下同様)に関する情報を算出(取得)することができる。燃料電池5は、負荷の消費電力に基づいて発電可能な負荷追従機能を有する。また、燃料電池5は、負荷の消費電力に関する情報や、前記貯湯ユニットの湯が使用される給湯需要に関する情報を学習する機能(以下では「学習機能」と称する)を有する。
また、燃料電池5は、学習機能により学習した情報に基づいて、負荷の消費電力量が比較的多い期間(時間帯や曜日等)を推定する。燃料電池5は、前記推定した結果に基づいて、住宅の居住者のライフスタイルを考慮した発電計画を作成する。燃料電池5は、発電計画を作成すると、前記発電計画に従って発電を行う。すなわち、燃料電池5は、発電計画に従うことにより、住宅の居住者のライフスタイルを考慮した最適なタイミングで発電を行うことができる。なお、発電計画は、学習機能により学習した情報に基づいて、適宜更新される。
第二電力センサ12は、設置箇所の電力を検出するものである。第二電力センサ12は、第一電力経路21において第二接続部32よりも分電盤2側(下流側)に設置される。第二電力センサ12は、後述する蓄電装置6と電気的に接続される。第二電力センサ12は、検出結果を蓄電装置6に送信可能に構成される。
第三電力センサ13は、設置箇所の電力を検出するものである。第三電力センサ13は、燃料電池5と第一電力経路21(第二接続部32)との間に設置される。第三電力センサ13は、後述する蓄電装置6と電気的に接続される。第三電力センサ13は、検出結果を蓄電装置6に送信可能に構成される。
蓄電装置6は、電力の充放電が可能なものである。蓄電装置6は、充電した電力を負荷に供給(放電)することができる。蓄電装置6は、系統連系可能に構成され、分電盤2等を介して商用電源100に接続して運用される。蓄電装置6は、図示せぬリチウムイオン電池や、日時を計時する計時部、所定の情報を記録する記録部、制御部等を備える。蓄電装置6は、第二電力センサ12及び第三電力センサ13と電気的に接続される。蓄電装置6は、第二電力センサ12及び第三電力センサ13からの検出結果を受信可能に構成される。
また、蓄電装置6は、第三電力センサ13からの検出結果に基づいて、燃料電池5で発電された電力に関する情報(例えば、発電量や、発電を行った日時、発電を行った期間等に関する情報)を取得する。蓄電装置6は、前記取得した情報を前記記録部に記録する。こうして、蓄電装置6は、燃料電池5で発電された電力の履歴を保持する。
また、蓄電装置6は、負荷の消費電力に関する情報に基づいて放電を行うと共に放電量を変更する負荷追従運転可能に構成される。蓄電装置6は、自ら行った充放電に関する情報と、第二電力センサ12からの検出結果と、により、負荷の消費電力に関する情報を取得する。蓄電装置6は、放電可能な最も小さい電力(最小放電電力)が100Wに設定される。すなわち、蓄電装置6は、100Wよりも小さい電力で放電を行わない。蓄電装置6の最小放電電力は、当該蓄電装置6の放電効率を考慮して設定される。
第二電力経路22は、電力が流通可能な経路である。第二電力経路22は、導線等で構成される。第二電力経路22の一側端部は、分電盤2に接続される。第二電力経路22の他側端部は、蓄電装置6に接続される。こうして、分電盤2と蓄電装置6とは、第二電力経路22(すなわち、第一電力経路21とは異なる経路)を介して電力が流通可能に構成される。
以下では、電力供給システム1における電力の供給態様について簡単に説明する。
太陽光発電部3で発電された電力は、パワーコンディショナ4を介して出力され、第一電力経路21を介して分電盤2に供給される。また、商用電源100からの電力や、燃料電池5で発電された電力も、第一電力経路21を介して分電盤2に供給される。こうして、住宅の居住者は、照明を点灯させたり、調理器具やエアコンを使用したりすることができる。このように、太陽光発電部3や燃料電池5で発電された電力を分電盤2(負荷)に供給することで、商用電源100からの買電を減らし、電力料金の節約を図ることができる。
また、太陽光発電部3で発電された電力や、商用電源100からの電力は、適宜の時間帯に第一電力経路21及び第二電力経路22を介して蓄電装置6に供給される。蓄電装置6に供給された電力は、当該蓄電装置6に充電される。蓄電装置6に充電された電力は、所定のタイミングで蓄電装置6から放電され、第二電力経路22を介して分電盤2に供給される。こうして、例えば料金単価が割安な深夜時間帯に商用電源100からの電力を、蓄電装置6に充電させておき、住宅内の電力需要が増加する昼間に使用することもできる。
また、蓄電装置6から電力が放電される場合には、商用電源100から所定の電力(本実施形態においては、50W)が買電される。こうして、蓄電装置6から電力が放電されている間は、商用電源100から買電することによって燃料電池5及び蓄電装置6からの電力が商用電源100へ逆潮流されるのを防止している。
また、燃料電池5で発電された電力や、蓄電装置6から放電された電力によって負荷の消費電力が十分に賄われる場合、太陽光発電部3で発電された電力は、商用電源100へ逆潮流され、売電することが可能である。こうして、住宅の居住者は、経済的メリットを得ることができる。
以下では、蓄電装置6の放電について詳細に説明する。
上述の如く負荷の消費電力には、燃料電池5で発電された電力が、蓄電装置6から放電される電力に優先して用いられる。したがって、蓄電装置6の放電は、燃料電池5で発電された電力と負荷の消費電力とを考慮して行われる。なお、蓄電装置6は、自ら行った充放電に関する情報と、第二電力センサ12からの検出結果と、により、負荷の消費電力に関する情報を取得する。したがって、蓄電装置6は、現時点で自ら放電を行っていない(蓄電装置6からの電力が分電盤2に供給されていない)場合には、第二電力センサ12で検出された電力(第一電力経路21を介して分電盤2に供給される電力)が、負荷の消費電力であると判断することができる。
そして、蓄電装置6は、燃料電池5で発電された電力を負荷の消費電力に対して優先して用いるため、少なくとも負荷の消費電力(すなわち、第二電力センサ12で検出された電力)が、後述する所定の閾値を超えた場合に放電可能な状態となる。
また、蓄電装置6は、燃料電池5で発電された電力を負荷の消費電力に対して優先して用いるため、負荷の消費電力から燃料電池5で発電された電力を差し引いた値に基づいた電力(負荷の消費電力に対して、燃料電池5で発電された電力の不足する分に基づいた電力)が放電可能となる。
以下では、前記閾値について詳細に説明する。
前記閾値とは、蓄電装置6において放電可能な状態となるか否かの判断に用いられる値である。閾値は、蓄電装置6(より詳細には、蓄電装置6の前記制御部、以下同様)によって燃料電池5で発電された電力の履歴に基づいて設定される。より詳細には、閾値は、前年の同時期における所定期間(例えば、前年の同時期の前後1ヶ月)における燃料電池5の発電量の平均値であり、蓄電装置6によって燃料電池5で発電された電力の履歴を使用して算出される。閾値は、後述するように所定の期間ごとに適宜変更される。
なお、電力供給システム1が住宅に導入されて間もない場合(履歴が十分に保持されていない場合)には、閾値として燃料電池5の最大発電電力と同一の値が設定される。すなわち、本実施形態においては、電力供給システム1が住宅に導入されて間もない場合、閾値として700Wが設定される。
以下では、図2のフローチャートを用いて、蓄電装置6における閾値の変更について説明する。
ステップS101において、蓄電装置6は、第三電力センサ13からの検出結果に基づいて取得した情報を記録する。こうして、蓄電装置6は、燃料電池5で発電された電力の履歴を保持する。
ステップS102において、蓄電装置6は、閾値を変更するタイミングとなったか否かを判断する。なお、本実施形態においては、1ヶ月ごと(例えば、毎月1日)に閾値が変更されるものとする。こうして、蓄電装置6は、前記計時部によって計時された日時が毎月1日午前0時となると、閾値を変更するタイミングとなったと判断する。
蓄電装置6は、閾値を変更するタイミングとなっていない(前記計時部によって計時された日時が1日午前0時ではない)と判断すると(ステップS102でNo)、閾値の変更を行わず、第三電力センサ13からの検出結果に基づいて取得した情報の記録を継続する(ステップS101参照)。
これに対して、蓄電装置6は、閾値を変更するタイミングとなった(前記計時部によって計時された日時が1日午前0時である)と判断すると(ステップS102でYes)、ステップS103において、新たな閾値を算出する。具体的には、蓄電装置6は、前年の同時期の前後1ヶ月における燃料電池5の発電量の履歴を前記記録部から読み出すと共に、当該読み出した履歴から燃料電池5の発電量の平均値を算出する。
ステップS104において、蓄電装置6は、前記算出した燃料電池5の発電量の平均値に基づいて閾値を変更する。具体的には、蓄電装置6は、前記発電量の平均値と同一の値を新たな閾値として設定する。例えば、蓄電装置6は、前記発電量の平均値が400Wであれば、新たな閾値を400Wとする。
このようにして、蓄電装置6において閾値は所定の期間ごとに適宜変更される。
以下では、本実施形態に係る電力供給システム1における電力の供給態様を明確とするため、図6を用いて、従来の電力供給システム901における電力の供給態様のうち、蓄電装置96の放電に関する具体的な供給態様について説明する。
従来の電力供給システム901は、図6に示すように、主として、分電盤92と、第一電力経路921と、第一電力センサ911と、燃料電池95と、第二電力センサ912と、蓄電装置96と、第二電力経路922と、を具備する。これらは、それぞれ本実施形態に係る電力供給システム1における分電盤2と、第一電力経路21と、第一電力センサ11と、燃料電池5と、第二電力センサ12と、蓄電装置6と、第二電力経路22と、に相当する。
従来の電力供給システム901においては、蓄電装置96の放電が行われる際に、第一電力経路921を介して分電盤92に供給される電力が、少なくとも燃料電池95の最大発電電力(700W)よりも大きくなるように設定される。すなわち、蓄電装置96は、第二電力センサ912の検出結果が700Wを超えた場合に、当該超えた分の電力を放電可能となる。このような構成により、蓄電装置96から放電された電力によって燃料電池95の学習機能が阻害されるのを防止している。
ここで、図6においては、例えば負荷の消費電力が700Wであって、燃料電池95で発電された電力が400Wである場合を示している。このような場合、負荷の消費電力(700W)に対して、燃料電池95で発電された電力(400W)では不足するため、不足する分の電力(300W)が商用電源100から買電される。こうして、不足した分の電力(300W)が商用電源100から買電されると、第二電力センサ912で検出される電力が700Wとなる。すなわち、蓄電装置96は、負荷の消費電力が燃料電池95の最大発電電力を超えていないと判断し、放電を行わない。
このように、従来の電力供給システム901においては、図6に示すような場合に、蓄電装置96の放電が行われないため、商用電源100からの買電量が増加する場合があった。すなわち、従来の電力供給システム901においては、燃料電池95で発電された電力が最大発電電力(700W)ではない場合に、蓄電装置96の放電の機会が限定されてしまい、商用電源100からの買電量が増加する場合があった。
これに対して、本実施形態に係る電力供給システム1においては、燃料電池5で発電された電力が最大発電電力(700W)ではない場合であっても、商用電源100からの買電量が増加するのを抑制することができるように構成される。
以下では、電力供給システム1における電力の供給態様のうち、蓄電装置6の放電が行われる際の具体的な供給態様について説明する。
なお、以下では説明の便宜上、太陽光発電部3は発電していないものとする。
まず以下では、図3を用いて、閾値として700Wが設定されている場合(すなわち、電力供給システム1が住宅に導入されて間もない場合)における、蓄電装置6の放電に関する電力の供給態様について説明する。
具体的には、図3を用いて、閾値として700Wが設定されている場合において、例えば負荷の消費電力が850Wであって、燃料電池5で発電された電力が700W(最大発電電力)である場合の電力の供給態様について説明する。
この場合、まずは、図3(a)に示すように、負荷の消費電力(850W)に対して燃料電池5で発電された電力(700W)だけでは不足が生じるため、不足した分の150Wの電力が商用電源100から買電される。
このように、不足した分の150Wの電力が商用電源100から買電されると、燃料電池5で発電された電力(700W)と合わせた850Wの電力が、第二電力センサ12で検出される。第二電力センサ12で850Wの電力が検出されると、蓄電装置6は、負荷の消費電力(850W)が閾値(700W)を超えていると判断し、放電可能な状態となる。
また、上述の如く蓄電装置6から放電される電力は、負荷の消費電力から燃料電池5で発電された電力を差し引いた値に基づいた電力となる。すなわち、図3に示すような場合には、負荷の消費電力(850W)から燃料電池5で発電された電力(700W)を差し引いた値に基づいた電力として150Wの電力が、蓄電装置6から放電可能となる。
なお、上述の如く蓄電装置6が放電を行う場合には、電力が商用電源100へ逆潮流されるのを防止するため、例えば50Wの電力が買電される。したがって、前記放電可能な150Wの電力から、商用電源100から買電する50Wの電力を差し引いた100Wが、最終的に蓄電装置6から放電される電力となる。なお、100Wの電力は、蓄電装置6が放電可能な電力である(蓄電装置6の最小放電電力と同一の値である)。
こうして、図3(b)に示すように、閾値として700Wが設定されている場合において、負荷の消費電力が850Wであって、燃料電池5で発電された電力が700W(最大発電電力)である場合には、100Wの電力が蓄電装置6から放電され、50Wの電力が商用電源100から買電される。このように、商用電源100からの買電量は、比較的少ないものとなる。
次に以下では、図4を用いて、閾値として400Wが設定されている場合(すなわち、新たな閾値に変更された場合)における、蓄電装置6の放電に関する電力の供給態様について説明する。
具体的には、図4を用いて、閾値として400Wが設定されている場合において、例えば負荷の消費電力が550Wであって、燃料電池5で発電された電力が400W(最大発電電力よりも小さい電力)である場合の電力の供給態様について説明する。
この場合、まずは、図4(a)に示すように、負荷の消費電力(550W)に対して燃料電池5で発電された電力(400W)だけでは不足が生じるため、不足した分の150Wの電力が商用電源100から買電される。
このように、不足した分の150Wの電力が商用電源100から買電されると、燃料電池5で発電された電力(400W)と合わせた550Wの電力が、第二電力センサ12で検出される。第二電力センサ12で550Wの電力が検出されると、蓄電装置6は、負荷の消費電力(550W)が閾値(400W)を超えていると判断し、放電可能な状態となる。
また、上述の如く蓄電装置6から放電される電力は、負荷の消費電力から燃料電池5で発電された電力を差し引いた値に基づいた電力となる。すなわち、図4に示すような場合には、負荷の消費電力(550W)から燃料電池5で発電された電力(400W)を差し引いた値に基づいた電力として150Wの電力が、蓄電装置6から放電可能となる。
なお、上述の如く蓄電装置6が放電を行う場合には、電力が商用電源100へ逆潮流されるのを防止するため、例えば50Wの電力が買電される。したがって、前記放電可能な150Wの電力から、商用電源100から買電する50Wの電力を差し引いた100Wが、最終的に蓄電装置6から放電される電力となる。なお、100Wの電力は、蓄電装置6が放電可能な電力である(蓄電装置6の最小放電電力と同一の値である)。
こうして、図4(b)に示すように、閾値として400Wが設定されている場合において、負荷の消費電力が550Wであって、燃料電池5で発電された電力が400W(最大発電電力)である場合には、100Wの電力が蓄電装置6から放電され、50Wの電力が商用電源100から買電される。このように、商用電源100からの買電量は、比較的少ないものとなる。
以上のように、電力供給システム1は、
発電した電力を負荷に供給可能な燃料電池5と、
前記負荷の消費電力が所定の閾値を超えた場合、充電した電力を前記負荷へ放電可能な蓄電装置6と、
前記燃料電池5の発電量の履歴を記憶し、前記記憶した履歴に基づいて前記所定の閾値を変更する蓄電装置6(より詳細には、蓄電装置6の前記制御部)(制御手段)と、
を具備するものである。
このような構成により、商用電源100からの買電量が増加するのを抑制することができる。
具体的には、燃料電池5の発電量の履歴に基づいて閾値を変更するため、例えば燃料電池5の発電量が比較的少ないと思われる期間には閾値も小さいものとすることができる。したがって、このような期間においては、例えば図6に示した従来の電力供給システム901と比較して蓄電装置6の放電の機会を増加させることができ、ひいては商用電源100からの買電量が増加するのを抑制することができる。
また、電力供給システム1において、
前記蓄電装置6(より詳細には、蓄電装置6の前記制御部)(制御手段)は、
前記記憶した履歴から前記燃料電池5の発電量の平均値を算出し、前記算出した平均値に基づいて前記所定の閾値を変更するものである。
このような構成により、商用電源100からの買電量が増加するのを抑制することができる。
具体的には、負荷の消費電力が前記算出した平均値に基づいて変更された閾値を超えた場合に、超えた分の電力に対して蓄電装置6が放電を行うため、蓄電装置6の放電を、より過去の実績に基づいたものとすることができる。こうして、例えば図6に示した従来の電力供給システム901と比較して、より過去の実績に基づいて蓄電装置6の放電の機会を増加させることができ、ひいては商用電源100からの買電量が増加するのを抑制することができる。
また、電力供給システム1において、
前記蓄電装置6は、
前記負荷の消費電力が前記所定の閾値を超えた場合に、前記負荷の消費電力から前記燃料電池5が発電した電力を差し引いた値に基づいた電力を放電するものである。
このような構成により、燃料電池5の発電が阻害されるのを防止することができる。
具体的には、例えば図3(b)や図4(b)に示すように、前記差し引いた値に基づいた電力として100Wの電力が蓄電装置6から放電された場合であっても、第二電力センサ12から検出される電力は、燃料電池5で発電される電力よりも小さくならない。すなわち、第一電力経路21を介して分電盤2に供給される電力が、当初燃料電池5で発電された電力よりも小さくなるのを防止し、ひいては燃料電池5の発電が阻害されるのを防止することができる。
なお、本実施形態における燃料電池5で発電された電力が最大発電電力よりも小さい電力である場合(例えば、図4に示す400Wである場合)とは、例えば給湯需要が少ないために、燃料電池5が最大発電電力の発電を行うことができない場合等が想定される。換言すれば、給湯需要が少ない場合(例えば、冬季以外の季節)に、閾値を変更することにより、電力供給システム1を効率よく運用することができる。
なお、本実施形態に係る電力供給システム1は、電力供給システムの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る燃料電池5は、燃料電池の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る蓄電装置6は、蓄電装置の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る蓄電装置6の制御部は、制御手段の実施の一形態である。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
また、本実施形態に係る電力供給システム1は、住宅に採用されるものとしたが、これに限定するものではない。電力供給システムは、病院や、宿泊施設等の、種々の施設に採用することができる。
また、本実施形態に係る燃料電池5の最大発電電力の700Wや、蓄電装置6の最小放電電力の100W、蓄電装置6から電力が放電される場合における商用電源100からの買電電力の50Wは、実施の一形態であり、これらの値に限定するものではない。
また、本実施形態における説明では、便宜上、太陽光発電部3は発電していないものとしたが、太陽光発電部3は発電していてもよい。このように、太陽光発電部3が発電している場合であって、負荷の消費電力に対して燃料電池95で発電された電力では不足する場合には、当該不足する分の電力として、太陽光発電部3で発電された電力の一部(又は全部)が用いられる。
本実施形態に係る閾値は、前年の同時期における所定期間(例えば、前年の同時期の前後1ヶ月)における燃料電池5の発電量の平均値であるものとしたが、これに限定するものではない。
例えば、閾値は、前年の同時期の前後1ヶ月ではなく、現在の直近の1ヶ月や1週間、1日における燃料電池5の発電量の平均値であるものとしてもよい。また、閾値は、算出した平均値に基づく値であれば、当該平均値と同一とする必要はなく、当該平均値よりも若干(例えば、50W程度)大きい値であってもよい。このように、閾値を前記平均値よりも若干大きい値とすれば、負荷の消費電力が平均値よりも若干大きくなった場合であっても、当該負荷の消費電力を燃料電池5で発電された電力で賄いつつ、商用電源100からの買電量が増加するのを可及的に抑制することができる。
また、閾値は、前記算出した平均値に基づくものでなくとも、燃料電池5の発電量の履歴に基づいて設定されるものであればよい。例えば、閾値は、燃料電池5の発電量の履歴に基づいて、当該発電量の増減の傾向が分析され、当該分析結果に応じて設定されるものであってもよい。また、閾値は、例えば1日ごとに変更される場合には、翌日の燃料電池5の発電計画に基づいて設定されるものであってもよい。
また、閾値は、1ヶ月ごと(例えば、毎月1日)に変更されるものとしたが、前年の履歴や季節ごと、1週間ごと、1日ごと等に変更されるものであってもよい。
また、本実施形態においては、閾値は蓄電装置6の制御部によって変更されるものとしたが、これに限定するものではない。例えば、電力供給システムが、家庭用エネルギー管理システム(Home Energy Management System、以下では「HEMS」と称する)を具備し、当該HEMSにより閾値が変更されるものとしてもよい。以下にて、具体的に説明する。
図5は、本実施形態に係る電力供給システム1の構成の別例を示したブロック図である。当該別例において、電力供給システム1は、HEMS7を具備する。
HEMS7は、住宅内で使用される電気機器を制御するシステムである。HEMS7は、携帯端末等を用いて負荷の消費電力を可視化し、その視覚化した情報を住宅の居住者に報知することができる。HEMS7は、燃料電池5及び蓄電装置6と電気的に接続される。HEMS7は、燃料電池5及び蓄電装置6の動作に関する情報や電力に関する情報を取得すると共に、管理(制御)することができる。
このような構成において、HEMS7は、燃料電池5で発電された電力の履歴を取得すると共に、記憶(保持)することができる。また、HEMS7は、負荷の消費電力に関する情報を取得することができる。こうして、HEMS7は、閾値を算出すると共に、当該閾値を用いて蓄電装置6が放電可能な状態となるか否かの判断を行う。そして、HEMS7は、蓄電装置6が放電可能な状態であると判断した場合には、当該蓄電装置6を制御して放電を行う。
このような構成によれば、住宅内の情報の管理や各種の電気機器の制御をHEMS7を用いて一元的に行うことができるため、電力供給システム1の運用をより効率よく行うことができる。
具体的には、燃料電池5は、一般的に、発電の燃料となるガス漏れ検知や、寿命の関係上、発電を停止する期間がある。したがって、HEMS7が、燃料電池5で発電された電力の履歴を取得すると共に記憶(保持)したり、負荷の消費電力に関する情報を取得したりすることで、電力供給システム1の運用をより効率よく行うことができる。
また、電力供給システム1がHEMS7を具備した場合には、蓄電装置6が放電可能な状態であるか否かの判断に閾値を用いるのではなく、HEMS7が負荷の消費電力から燃料電池5で発電された電力を差し引いた値に基づいた電力を蓄電装置6から放電することができる。このような構成により、電力供給システム1の運用をより効率よく行うことができる。