JP2017003805A - 駆動装置、レンズ装置および撮影機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定筒の開口部を介し、光学素子を保持する保持部材を光軸方向に移動させるガイド部材とスリーブ部との摺動部に簡便に潤滑剤を注入できる駆動装置、レンズ装置および撮影機器を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの光学素子の保持と前記光学素子を光軸方向へ移動させることが可能であるとともに、前記光軸方向に空けられた第1の開口部を有するスリーブ部を備える保持部材と、前記第1の開口部に挿入され、前記保持部材を保持するガイド部材と、前記ガイド部材を保持する固定筒と、を有する駆動装置であって、前記スリーブ部は、前記光軸方向に直交する方向から見て前記ガイド部材が一部露出する第2の開口部を有し、前記固定筒は、第3の開口部を有し、前記光軸方向に直交する方向から見た際に、前記第2の開口部及び前記第3の開口部を介して前記ガイド部材の一部が露出するように構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも1つの光学素子の保持と前記光学素子を光軸方向へ移動させることが可能であるとともに、前記光軸方向に空けられた第1の開口部を有するスリーブ部を備える保持部材と、前記第1の開口部に挿入され、前記保持部材を保持するガイド部材と、前記ガイド部材を保持する固定筒と、を有する駆動装置であって、前記スリーブ部は、前記光軸方向に直交する方向から見て前記ガイド部材が一部露出する第2の開口部を有し、前記固定筒は、第3の開口部を有し、前記光軸方向に直交する方向から見た際に、前記第2の開口部及び前記第3の開口部を介して前記ガイド部材の一部が露出するように構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は駆動装置、レンズ装置および撮影機器に関し、例えばカメラ(ビデオカメラやスチルカメラ等)におけるレンズ駆動装置およびこれを用いたカメラに好適なものである。
デジタルカメラなどの撮影機器のレンズ駆動装置において、光学系の変倍・合焦などのためにレンズを保持する部材を光軸方向へ移動可能に支持する構造の一つとして、バー・スリーブ構造が挙げられる。この構造では、アクチュエーターなどの駆動装置によってレンズ保持部材に光軸方向の力を加えることで、レンズ保持部材に設けられたスリーブ部(スリーブ形状)がガイドバーに対して摺動して光軸方向への移動が行われる。
特許文献1には、レンズ保持部材をバー・スリーブ構造で光軸方向に駆動する機構の一例が開示されている。このレンズ駆動装置では、ガイドバーと摺動するレンズ保持部材のスリーブ部に含油軸受けを用いている。この構造では、含油軸受けに含まれる潤滑油が、ガイドバーとの摺動抵抗を軽減させている。
従来、このようなバー・スリーブ構造において、含油軸受けのような潤滑油を含んだ部品を設けていない場合、摺動性・耐摩耗性などの向上のため、その摺動面にグリスなどの潤滑油を塗布していた。しかし、グリスなどの潤滑油は、一方でその粘性がアクチュエーター駆動に対しては抵抗となる。近年、小型化や省電力化の進むレンズ駆動装置においては、レンズ保持部材を駆動するアクチュエーターも非常に小型になっている。
したがって、アクチュエーターの発生力に対して、グリスの粘性による抵抗も影響が大きい。そして、一般的にグリスは摺動箇所に塗布する量が多くなる程に、粘性による抵抗力が増す傾向にある。また、塗布量が少なすぎると、グリスによる摺動性の向上の効果は薄れる。そのため、摺動箇所に適切な量のグリスを塗布することが、レンズ駆動装置の組立工程においては重要である。
しかし、バー・スリーブ構造は、一般的にレンズ駆動装置の内側に存在している。従って、レンズ駆動装置を一旦組み立てた後に、レンズ駆動装置の外側からグリスの塗布量の追加や除去などの調整を行うことは困難である。もし、組立後の検査工程でバー・スリーブに適切なグリス量が塗布されていないことが分かり、グリス量の調整作業を行う場合は、レンズ駆動装置からレンズ保持部材を取り出して作業を行う必要がある。
組立工程において、このようにレンズ保持部材の取り出し作業が入ることは、作業時間が増加してコストアップの要因となる。また、バー・スリーブ構造に、特許文献1のように含油軸受けを追加することは部品点数の増加、部品形状の複雑化によって、コストアップやレンズ駆動装置の大型化を招くこととなる。
本発明の目的は、固定筒の開口部を介し、光学素子を保持する保持部材を光軸方向に移動させるガイド部材とスリーブ部との摺動部に簡便に潤滑剤を注入できる駆動装置、レンズ装置および撮影機器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る駆動装置は、少なくとも1つの光学素子の保持と前記光学素子を光軸方向へ移動させることが可能であるとともに、前記光軸方向に空けられた第1の開口部を有するスリーブ部を備える保持部材と、前記第1の開口部に挿入され、前記保持部材を保持するガイド部材と、前記ガイド部材を保持する固定筒と、を有する駆動装置であって、前記スリーブ部は、前記光軸方向に直交する方向から見て前記ガイド部材が一部露出する第2の開口部を有し、前記固定筒は、第3の開口部を有し、前記光軸方向に直交する方向から見た際に、前記第2の開口部及び前記第3の開口部を介して前記ガイド部材の一部が露出するように構成されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係るレンズ装置、撮影機器は、上記駆動装置を有することを特徴とする。
本発明によれば、固定筒の開口部を介し、光学素子を保持する保持部材を光軸方向に移動させるガイド部材とスリーブ部との摺動部に簡便に潤滑剤を注入できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
《第1の実施形態》
先ず、本発明の実施形態に係る駆動装置としてのレンズ駆動装置を搭載した光学機器としての撮影機器について説明し、次に本発明の実施形態に係る駆動装置としてのレンズ駆動装置を説明する。
先ず、本発明の実施形態に係る駆動装置としてのレンズ駆動装置を搭載した光学機器としての撮影機器について説明し、次に本発明の実施形態に係る駆動装置としてのレンズ駆動装置を説明する。
(光学機器(撮影機器))
1)撮影機器の光学的構成
図4に示すように、変倍レンズ群を含む撮影光学系は、物体側より順に凸凹凸凸の4群(第1群L1乃至第4群L4)で構成される。L1は固定の第1群レンズ、L2は光軸方向に移動することにより変倍動作を行う第2群レンズ、L3は光軸直交面内で移動して振れ補正を行う第3群レンズ、L4は光軸方向に移動することにより合焦動作を行う第4群レンズである。このような撮影光学系は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラなどの撮影装置本体に取り付けられ、または光学系と装置本体とが一体化した撮影機器として使用される。
1)撮影機器の光学的構成
図4に示すように、変倍レンズ群を含む撮影光学系は、物体側より順に凸凹凸凸の4群(第1群L1乃至第4群L4)で構成される。L1は固定の第1群レンズ、L2は光軸方向に移動することにより変倍動作を行う第2群レンズ、L3は光軸直交面内で移動して振れ補正を行う第3群レンズ、L4は光軸方向に移動することにより合焦動作を行う第4群レンズである。このような撮影光学系は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラなどの撮影装置本体に取り付けられ、または光学系と装置本体とが一体化した撮影機器として使用される。
2)撮影機器の機械的構成
図4において、1は第1群レンズL1を保持する1群鏡筒、2は第2群レンズL2を保持する2群移動枠(保持枠)、3は第3群レンズL3を光軸直交方向に移動させるシフトユニット(振れ補正装置)、4は第4群レンズL4を保持する4群移動枠である。また、5は固定筒、6はCCDなどの撮像素子が固定されるCCDホルダである。CCDホルダ6と1群鏡筒1は、固定筒5にビス止めされている。
図4において、1は第1群レンズL1を保持する1群鏡筒、2は第2群レンズL2を保持する2群移動枠(保持枠)、3は第3群レンズL3を光軸直交方向に移動させるシフトユニット(振れ補正装置)、4は第4群レンズL4を保持する4群移動枠である。また、5は固定筒、6はCCDなどの撮像素子が固定されるCCDホルダである。CCDホルダ6と1群鏡筒1は、固定筒5にビス止めされている。
また、図3において、8、9は保持枠(2群移動枠)2の光軸方向の移動に際し保持枠2を回転させることなく支持するガイドバーであり、固定筒5とCCDホルダ6によって位置決め固定されている。なお、4群移動枠4についても、光軸方向の移動に際し4群移動枠4を回転させることなく支持する不図示の2つのガイドバーが設けられている。
図3において、13は第2群レンズL2を光軸方向に駆動し、変倍動作を行わせるためのズームモーターで固定筒5にビスで固定される。
ある。このズームモーター13は、回転するローターと同軸のリードスクリュー13aを有している。リードスクリュー13aには、2群移動枠2に取り付けられたラック17が噛合っており、ローターの回転により、第2群レンズL2が光軸方向に駆動される。
ある。このズームモーター13は、回転するローターと同軸のリードスクリュー13aを有している。リードスクリュー13aには、2群移動枠2に取り付けられたラック17が噛合っており、ローターの回転により、第2群レンズL2が光軸方向に駆動される。
また、図3において、ねじりコイルばね18は、2群移動枠2、ガイドバー8、9、ラック17及びリードスクリュー13aのそれぞれのガタを片寄せし、これからの嵌合または噛合いのガタを防止している。
図4に戻って、シフトユニット3は固定筒5に位置決めされ、ビスにより固定されている。また、12は光学系の開口径を変化させる絞り装置であり、2枚の絞り羽根をお互いに逆方向に移動させて開口径を変化させる。
第4群レンズL4は、不図示のフォーカスモーター(CCDホルダ6に2本のビスで固定)によって、光軸方向に駆動されて合焦動作を行う。このフォーカスモーターは、回転するローターと同軸のリードスクリューを有し、リードスクリューには4群移動枠4に取り付けられたラックが噛合っており、ローターの回転により、第4群レンズL4が光軸方向に駆動される。
なお、保持枠(2群移動枠)2に形成された遮光部の光軸方向への移動を光学的に検出するフォトインタラプタは、第2群レンズL2が基準位置に位置していることを検出するためのズームリセットスイッチとして用いられる。また同様に、4群移動枠4に形成された遮光部の光軸方向への移動を光学的に検出するフォトインタラプタは、第4群レンズL4が基準位置に位置していることを検出するためのフォーカスリセットスイッチとして用いられる。
3)撮影機器の電気的構成
図5に、本発明の実施形態におけるレンズ駆動装置を用いた撮影機器(光学機器)の電気回路構成を示す。撮影機器である撮影装置120において、レンズを通してCCD113に結像した被写体の像は、カメラ信号処理回路101で所定の増幅やγ補正などの処理が施される。これらの所定の処理を受けた映像信号から、AFゲート102もしくはAEゲート103を通過して所定の領域のコントラスト信号を取り出す。
図5に、本発明の実施形態におけるレンズ駆動装置を用いた撮影機器(光学機器)の電気回路構成を示す。撮影機器である撮影装置120において、レンズを通してCCD113に結像した被写体の像は、カメラ信号処理回路101で所定の増幅やγ補正などの処理が施される。これらの所定の処理を受けた映像信号から、AFゲート102もしくはAEゲート103を通過して所定の領域のコントラスト信号を取り出す。
特に、AFゲート102を通過したコントラスト信号は、AF回路104により高域成分に関する1つもしくは複数の出力を生成する。CPU105では、AEゲート103の信号レベルに応じて、露出が最適であるかどうかを判別し、最適でない場合には絞りシャッター駆動源109を介して、最適な絞り値もしくはシャッター速度で、同駆動源を駆動する。
オートフォーカス動作では、AF回路104にて生成された出力がピークを示すようにCPU105がフォーカス駆動源であるフォーカス駆動源駆動回路111を駆動制御する。また、適正露出を得るために、CPU105は、AEゲート103を通過した信号出力の平均値を所定の値として、絞りエンコーダ108の出力がこの所定の値となるように絞りシャッター駆動源109を駆動制御して、開口径をコントロールする。
フォトインタラプタなどのエンコーダを用いたフォーカス原点センサ106は、フォーカスレンズ群(第4群レンズL4)の光軸方向の位置を検出するための基準位置を検出する。また、フォトインタラプタなどのエンコーダを用いたズーム原点センサ107は、ズームレンズ群(第2群レンズL2)の光軸方向の位置を検出するための基準位置を検出する。
なお、撮影装置における振れ角度の検出は、例えば撮影装置に固定された振動ジャイロなどの角速度センサの出力を積分して行う。ピッチ方向の振れ角度検出センサ114、ヨー方向の振れ角度検出センサ115のそれぞれの出力は、CPU105で処理される。ピッチ振れ角度検出センサ114からの出力に応じて、ピッチコイル駆動回路116を駆動制御し、図示していないピッチコイルへの通電制御が行われる。またヨー振れ角度検出センサ115からの出力に応じて、ヨーコイル駆動回路117を駆動制御し、図示していないヨーコイルへの通電制御が行われる。
以上の制御により、図示していないシフト枠が光軸直交面内でシフト移動する。ピッチ方向の位置検出センサ118、ヨー方向の位置検出センサ119のそれぞれの出力は、CPU105で処理される。補正レンズ群L3がシフト移動すると、レンズ駆動装置内の通過光束が曲げられる。したがって、撮影装置に振れが生じることによって本来生ずるCCD113上での被写体像の変移を相殺する方向に、相殺する曲げ量だけ通過光束を曲げるように補正レンズ群L3をシフト移動させる。これにより、撮影装置が振れても結像している被写体像がCCD113上で動かない、いわゆる振れ補正を行うことができる。
CPU105は、ピッチ振れ角度検出センサ114およびヨー振れ角度検出センサ115により得られた撮影装置の振れ信号と、ピッチ位置検出センサ118およびヨー位置検出センサ119から得られたシフト量信号との差分に相当する信号を処理する。そして、差分に相当する信号に対して増幅および適当な位相補償を行った信号に基づいて、ピッチコイル駆動回路116およびヨーコイル駆動回路117によって、シフト枠3aをシフト移動させる。この制御によって、上記の差分信号がより小さくなるように補正レンズ群L3が位置決め制御され、目標位置に保たれる。
(駆動装置(レンズ駆動装置))
次に、本発明の実施形態に係る駆動装置としてのレンズ駆動装置について説明する。本実施形態に係るレンズ駆動装置は、変倍動作を行う第2群レンズL2を保持する保持部材としての2群移動枠(保持枠)2を光軸方向に移動させるものである。そして、組立工程において、摺動部に潤滑剤が適宜注入可能なものである。
次に、本発明の実施形態に係る駆動装置としてのレンズ駆動装置について説明する。本実施形態に係るレンズ駆動装置は、変倍動作を行う第2群レンズL2を保持する保持部材としての2群移動枠(保持枠)2を光軸方向に移動させるものである。そして、組立工程において、摺動部に潤滑剤が適宜注入可能なものである。
1)2群移動枠2に関するバー・スリーブ構造と、グリス塗布の必要性
次に、図3を用いて、本実施形態における2群移動枠(保持枠)2に関するバー・スリーブ構造を説明する。2群移動枠2に設けられた筒状のスリーブ部であるスリーブ2aのスリーブ穴(第1の開口部)2b、2cに挿入されるガイド部材としてのガイドバー8によって、2群移動枠2は光軸方向に摺動可能に保持されている。そして、ズームモーター13の回転によって、リードスクリュー13aと噛み合ったラック17が駆動されると、ラック17を保持した2群移動枠2は光軸方向に駆動される。
次に、図3を用いて、本実施形態における2群移動枠(保持枠)2に関するバー・スリーブ構造を説明する。2群移動枠2に設けられた筒状のスリーブ部であるスリーブ2aのスリーブ穴(第1の開口部)2b、2cに挿入されるガイド部材としてのガイドバー8によって、2群移動枠2は光軸方向に摺動可能に保持されている。そして、ズームモーター13の回転によって、リードスクリュー13aと噛み合ったラック17が駆動されると、ラック17を保持した2群移動枠2は光軸方向に駆動される。
ここで、ガイドバー8と、後述する内コマ穴(第2の開口部)2dを備えるスリーブ2aとの間には、摩擦力が働いており。この摩擦力によってバー・スリーブの摺動性が劣化する。また、繰り返し摺動することで、形状が摩耗する。形状が摩耗すると摺動性が劣化し、またバー・スリーブのガタ量が増大することで2群移動枠2の移動による騒音を増加させることもある。そのため、一般的にはこのバー・スリーブの摺動部に、潤滑剤(グリスなどの潤滑油であり、以下グリスと呼ぶ)を塗布している。それにより、摩擦の影響を軽減させて作動性能を向上させると共に、形状の摩耗を低減させている。
なお、グリスとしては、シリコン系、フッ素系、オレフィン系などを主成分とする種類が存在する。また、形態も液状、半固体状などが存在する。そして、トルク、粘性、温度による特性変化などにそれぞれ様々な特徴がある。2群移動枠2の駆動において所望の作動性能を得るためには、適切なグリスを選択する必要がある。
グリスを用いた場合、一般的には塗布する量が多い程、アクチュエーターでの駆動に対して、グリスの粘性が抵抗となる傾向にある。塗布量が多すぎると抵抗が大きくなり、2群移動枠2を駆動するアクチュエーターにも大きな駆動力が求められて消費電力も増加する。また塗布量が少なすぎると、グリスによる摺動性の向上の効果は薄れる。したがってレンズ駆動装置の組立においては、適切な量のグリスを塗布する必要がある。
2)グリス塗布穴5a・5b(第3の開口部)
ここで、本実施形態においては、第2群レンズL2を保持する保持枠としての2群移動枠2は、以下に示す駆動装置としてのレンズ駆動装置によりグリスが摺動部に塗布され易い形態として光軸方向に移動させられる。即ち、本実施形態のレンズ駆動装置では、固定筒5の側面にグリス塗布穴5a・5bを光軸方向に設け(図1、図6)、このグリス塗布穴5a・5bをガイドバー8とスリーブ2aの摺動部に対向させている(図2(c)のX−X断面である図2(d))。
ここで、本実施形態においては、第2群レンズL2を保持する保持枠としての2群移動枠2は、以下に示す駆動装置としてのレンズ駆動装置によりグリスが摺動部に塗布され易い形態として光軸方向に移動させられる。即ち、本実施形態のレンズ駆動装置では、固定筒5の側面にグリス塗布穴5a・5bを光軸方向に設け(図1、図6)、このグリス塗布穴5a・5bをガイドバー8とスリーブ2aの摺動部に対向させている(図2(c)のX−X断面である図2(d))。
ここで、スリーブ2aには、一般的に成形性などの観点から成形型のコマの入る内コマ穴2d(光軸直交方向視でガイドバーが一部露出する第2の開口部)がスリーブ穴(第1の開口部)2b、2cの間に設けられている。より詳細には、内コマ穴2dは、スリーブ2aの側面の一部が欠けた部分であって、第2群レンズL2の光軸と直交する方向から見た際に、固定筒の内部を露出させる開口である。なお、開口の形状は矩形であっても、楕円形状等であってもよい。
このため、グリス塗布穴5a・5bは、より具体的な位置として、内コマ穴2dの対向面であって内コマ穴2dの光軸方向の領域長さ内に収まるように配置される。
即ち、光学素子としての第2群レンズL2の光軸を含む所定の面にグリス塗布穴5a・5b(第3の開口部)を投影した領域の少なくとも一部は、前記所定の面に内コマ穴(第2の開口部)2dを投影した領域と重なっている。このような構成によって、光軸方向に直交する方向から見た際に、内コマ穴2d(第2の開口部)及びグリス塗布穴5a、5b(第3の開口部)を介して、ガイドバー8(ガイド部材)の一部が露出する。これにより、固定筒を装着後であってもスリーブ2aの内壁とガイドバー8との間に適量の潤滑剤を注入することが可能となる。
本実施形態では、グリス塗布穴5a・5bの径dは、スリーブ2aの外径D以下(d≦D)となっている。このような小穴であるグリス塗布穴5a・5bは、内コマ穴2d(光軸直交方向視でガイドバーが一部露出する第2の開口部)の領域内の一部となる大きさの径を有するものである。
上記構成により、先端の細い例えば注射器のような注入器具21(図2(a))を用いることで、グリス塗布穴5a・5bから、固定筒5の内側にあるガイドバー8とスリーブ2aとに、レンズ駆動装置の外側から正確にグリスを注入することが可能となる。このようにグリス塗布穴5a・5bから注入器具21を差し込むと、注入器具21の先端はスリーブ2aの内コマ穴2dに差し込むことが可能である。なお、グリスの除去に関し、グリス塗布穴5a・5bから、先端の細い、例えば綿棒のようなものを使うことで、バー・スリーブに塗布されたグリスを拭き取り除去することも可能である。
グリス注入後は、2群移動枠2を軸前後方向に移動させることで、グリスをなじませることが可能である。従来は、組み立てたレンズ駆動装置で所望の作動性能が得られていない場合は、2群移動枠2をレンズ駆動装置から取り出し、バー・スリーブにグリスを塗布してから、再度鏡筒に組むことで塗布量の調整を行っていた。しかし、本実施形態では、グリスを微量ずつ注入・除去して、2群移動枠2の作動性能評価を行い、所望の作動性能が得られた段階で注入・除去作業を終えることで、レンズ駆動装置の組み立てが容易になる。
3)スリーブとグリス塗布穴との位置関係
図6で、本実施形態におけるスリーブとグリス塗布穴との位置関係を説明する。図6はレンズ駆動装置が変倍動作を行うために、2群移動枠2が所定のストロークで動いた状態を示している。なお、ガイドバー8、スリーブ2a、グリス塗布穴5a・5b以外は不図示としている。図6(a)は2群移動枠2がストローク後端、(b)はストローク中央、(c)はストローク前端にある状態である。
図6で、本実施形態におけるスリーブとグリス塗布穴との位置関係を説明する。図6はレンズ駆動装置が変倍動作を行うために、2群移動枠2が所定のストロークで動いた状態を示している。なお、ガイドバー8、スリーブ2a、グリス塗布穴5a・5b以外は不図示としている。図6(a)は2群移動枠2がストローク後端、(b)はストローク中央、(c)はストローク前端にある状態である。
グリス塗布穴5a・5bのそれぞれの光軸方向位置は、2群移動枠2の光軸方向の作動範囲において、スリーブ2aの光軸方向前後端となるスリーブ穴2b・2cが光軸直交方向視でそれぞれ通過する位置にある。レンズ駆動装置の組立工程では、例えば図6(b)の状態でグリス塗布穴5a・5bからグリス注入を行う。
その後、2群移動枠2を図6(a)の状態まで駆動すると、スリーブ穴2bがグリス塗布穴5aから注入した箇所を通過するため、バーとの摺動面にグリスが塗布される。このとき、スリーブ穴2cはグリス塗布穴5a・5bのどちらの注入箇所も通過していないため、バーとの摺動面にグリスは塗布されない。しかし、図6(a)の状態から図6(c)の状態まで2群移動枠2を駆動すると、スリーブ穴2cはグリス塗布穴5bからの注入箇所を通過する。そのため、ガイドバーとの摺動面にグリスが塗布される。
このようにして、スリーブ穴2b・2cにグリスを塗布することが可能である。つまり従来と比べて、固定筒においてスリーブの内コマ穴と対向する面に穴を設けるのみという簡単な構成で、レンズ駆動装置の外側からバー・スリーブの摺動部(摺動面)にグリスを塗布することを可能としている。
(レンズ駆動装置のカメラ本体への保持構造)
図7を用いて、本実施形態におけるレンズ駆動装置の光学機器本体(カメラ本体)への保持構造を説明する。レンズ駆動装置はホールド部品30に支持されて、不図示のカメラ本体に保持されている。レンズ駆動装置のホールド部品30との位置決めが、ホールド部品30に設けられたボス部としてのボス形状30a・30bと、これに嵌合可能なグリス塗布穴5a・5bとの嵌合によって行われている。
図7を用いて、本実施形態におけるレンズ駆動装置の光学機器本体(カメラ本体)への保持構造を説明する。レンズ駆動装置はホールド部品30に支持されて、不図示のカメラ本体に保持されている。レンズ駆動装置のホールド部品30との位置決めが、ホールド部品30に設けられたボス部としてのボス形状30a・30bと、これに嵌合可能なグリス塗布穴5a・5bとの嵌合によって行われている。
従って、嵌合後はグリス塗布穴5a・5bが塞がれるため、ゴミや埃がグリス塗布穴5a・5bを通って鏡筒内に侵入することを防ぐことが可能である。また、特にグリス塗布穴を塞ぐ部品を新たに追加することがないため、部品点数増加や組立工程増加によるコストアップは生じない。
ここで、本実施形態においては、レンズ駆動装置を支持するホールド部品31がカメラ本体に保持されている構造としている。しかし、本発明はこれに限られず、レンズ駆動装置の外部に存在する部品にグリス塗布穴と嵌合するボス形状を設けても良い(ホールド部品以外の部品にボス形状が設けられていても良い)。また、撮影機器本体(カメラ本体)にレンズ駆動装置のグリス塗布穴と嵌合するボス形状を設け、レンズ駆動装置を直接に撮影機器本体(カメラ本体)に保持させる構成としても良い。
以上、本実施形態によれば、レンズ保持部材の作動性能を評価しながら塗布量を調整して、レンズ駆動装置を組み立てることが容易になる。また、レンズ駆動装置本体をカメラ本体に保持するためのホールド部品の位置決め形状を用いて、グリス塗布穴からレンズ駆動装置内部へゴミや埃が侵入することを防いでいる。したがって、これまでのカメラ構成部品に対して新たに部品を増やすこともないので、カメラ本体の大型化や部品点数の増加によるコストアップもない。
以上により、レンズ駆動装置のバー・スリーブへのグリスの塗布作業を容易にすることで、作動性能の向上・作業時間の短縮が可能である。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態に係るレンズ駆動装置に関し、図8を用いて説明する。第1の実施形態では、グリス塗布穴が光軸方向に複数箇所備わる構成であったが、本実施形態ではグリス塗布穴が光軸方向に1箇所のみ備わる点が異なる。図8では、図6と同様に、レンズ駆動装置が変倍動作を行うために、2群移動枠2が所定のストロークで動いた状態を示している。なお、ガイドバー8、スリーブ2a、グリス塗布穴5c以外は不図示としている。
次に、本発明の第2の実施形態に係るレンズ駆動装置に関し、図8を用いて説明する。第1の実施形態では、グリス塗布穴が光軸方向に複数箇所備わる構成であったが、本実施形態ではグリス塗布穴が光軸方向に1箇所のみ備わる点が異なる。図8では、図6と同様に、レンズ駆動装置が変倍動作を行うために、2群移動枠2が所定のストロークで動いた状態を示している。なお、ガイドバー8、スリーブ2a、グリス塗布穴5c以外は不図示としている。
図8(a)は2群移動枠2がストローク後端、(b)はストローク中央、(c)はストローク前端にある状態を示す。第3の開口部としてのグリス塗布穴5cは、光軸方向において、2群移動枠2の光軸方向の作動範囲で、内コマ穴2dの両端部の少なくとも一方と対向する位置に設けられる。言い換えれば、光軸を含む所定の面にグリス塗布穴5cを投影した領域の少なくとも一部が、所定の面において内コマ穴2dを投影した領域と重なっている。
このような構成によって、光軸方向に直交する方向から見た際に、内コマ穴2d(第2の開口部)及びグリス塗布穴5c(第3の開口部)を介して、ガイドバー8(ガイド部材)の一部が露出する。これにより、固定筒を装着後であってもスリーブ2aの内壁とガイドバーとの間に適量の潤滑剤を注入することが可能となる。
レンズ駆動装置の組立工程においては、例えば図8(b)の状態で、グリス塗布穴5cからグリス注入を行う。その後、2群移動枠2を図8(a)の状態まで駆動すると、スリーブ穴2bがグリス塗布穴5cから注入した箇所を通過するため、バーとの摺動面にグリスが塗布される。このとき、スリーブ穴2cはグリス塗布穴5cの注入箇所を通過していないため、バーとの摺動面にグリスは塗布されない。しかし、図8(a)の状態から図8(c)の状態まで2群移動枠2を駆動すると、スリーブ穴2cはグリス塗布穴5cからの注入箇所を通過する。そのため、ガイドバーとの摺動面にグリスが塗布される。
このようにして、スリーブ穴2b・2cにグリスを塗布することが可能である。したがって、グリス塗布穴の数が光軸方向において1個でもスリーブの長さとストロークとの大小関係を変更することで、スリーブ両端のスリーブ穴にグリスを塗布することが可能である。なお、ホールド部品を用いて、レンズ駆動装置をカメラ本体へ支持する構成については、第1の実施形態と同様である。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では、少なくとも1つの光学素子を保持する保持枠が第2群レンズL2を保持するものであったが、合焦レンズ群である第4群レンズL4を保持するものであっても良い。
上述した実施形態では、少なくとも1つの光学素子を保持する保持枠が第2群レンズL2を保持するものであったが、合焦レンズ群である第4群レンズL4を保持するものであっても良い。
また、光学素子としては、透過型レンズ(レンズ群)の他、反射型レンズ(レンズ群)、プリズム、フィルタ等であっても良い。
(変形例2)
なお、上述した実施形態で示したレンズ駆動装置は、撮影機器に搭載可能であることを述べたが、鏡筒内に光学素子(レンズ)を備えるレンズ装置に搭載可能であることは明らかである。そして、このレンズ装置は撮像素子を保持する保持装置(カメラ本体)と一体に構成されていても、保持装置(カメラ本体)に対して着脱可能なように構成されていてもよい。
なお、上述した実施形態で示したレンズ駆動装置は、撮影機器に搭載可能であることを述べたが、鏡筒内に光学素子(レンズ)を備えるレンズ装置に搭載可能であることは明らかである。そして、このレンズ装置は撮像素子を保持する保持装置(カメラ本体)と一体に構成されていても、保持装置(カメラ本体)に対して着脱可能なように構成されていてもよい。
(変形例3)
上述した実施形態では、第3の開口部としてグリス塗布穴5a、5b、5cはその断面が円形の貫通穴であったが、グリス塗布穴5a、5b、5cは、第2の開口部としての内コマ穴2dと類似の構成であってもよい。具体的には、グリス塗布穴5a、5b、5cは、固定筒の側面の一部が欠けている部分であり、固定筒の内部を露出させる開口であってもよく、この開口は一つであっても複数であってもよい。
上述した実施形態では、第3の開口部としてグリス塗布穴5a、5b、5cはその断面が円形の貫通穴であったが、グリス塗布穴5a、5b、5cは、第2の開口部としての内コマ穴2dと類似の構成であってもよい。具体的には、グリス塗布穴5a、5b、5cは、固定筒の側面の一部が欠けている部分であり、固定筒の内部を露出させる開口であってもよく、この開口は一つであっても複数であってもよい。
また、第2の開口部としての内コマ穴2dは、第3の開口部としてのグリス塗布穴5a、5bのようにその断面が円形の貫通穴であってもよい。
もちろん、上述の貫通穴の断面は円形でなくても、楕円形状や矩形等であってもよい。
2・・2群移動枠、2a・・スリーブ、2d・・内コマ穴、5・・固定筒、5a、5b・・グリス塗布穴、8・・ガイドバー
Claims (10)
- 少なくとも1つの光学素子の保持と前記光学素子を光軸方向へ移動させることが可能であるとともに、前記光軸方向に空けられた第1の開口部を有するスリーブ部を備える保持部材と、
前記第1の開口部に挿入され、前記保持部材を保持するガイド部材と、
前記ガイド部材を保持する固定筒と、
を有する駆動装置であって、
前記スリーブ部は、前記光軸方向に直交する方向から見て前記ガイド部材が一部露出する第2の開口部を有し、
前記固定筒は、第3の開口部を有し、
前記光軸方向に直交する方向から見た際に、前記第2の開口部及び前記第3の開口部を介して前記ガイド部材の一部が露出するように構成されている、
ことを特徴とする駆動装置。 - 前記第3の開口部は、光学機器本体を保持するホールド部品もしくは前記光学機器本体に設けられるボス部と嵌合可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。 - 前記光学素子の光軸を含む所定の面に前記第3の開口部を投影した領域の少なくとも一部は、前記所定の面に前記第2の開口部を投影した領域と重なっている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
- 前記第3の開口部は、前記光軸方向に並んだ複数箇所に設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置。
- 前記第3の開口部は、1箇所のみに設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置。
- 前記光学素子は変倍レンズ群または合焦レンズ群であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動装置。
- 前記ガイド部材は前記光軸方向に設けられるガイドバーであり、
前記保持部材を前記ガイドバーに沿って移動させる駆動手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の駆動装置。 - 前記光学素子と、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の駆動装置と、を備える、
ことを特徴とするレンズ装置。 - 撮像素子と、
前記撮像素子に被写体の像を形成する請求項8に記載のレンズ装置と、を備える、
ことを特徴とする撮影機器。 - 前記撮像素子を保持する保持装置をさらに備え、
前記レンズ装置は、前記保持装置に対して着脱可能である、
ことを特徴とする請求項9に記載の撮影機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015118142A JP2017003805A (ja) | 2015-06-11 | 2015-06-11 | 駆動装置、レンズ装置および撮影機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015118142A JP2017003805A (ja) | 2015-06-11 | 2015-06-11 | 駆動装置、レンズ装置および撮影機器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017003805A true JP2017003805A (ja) | 2017-01-05 |
Family
ID=57754141
Family Applications (1)
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JP2015118142A Pending JP2017003805A (ja) | 2015-06-11 | 2015-06-11 | 駆動装置、レンズ装置および撮影機器 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2017003805A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110764212A (zh) * | 2018-07-26 | 2020-02-07 | 扬明光学股份有限公司 | 镜筒及其制造方法 |
WO2023280258A1 (zh) * | 2021-07-08 | 2023-01-12 | 华为技术有限公司 | 一种变焦镜头及其摄像头模组 |
-
2015
- 2015-06-11 JP JP2015118142A patent/JP2017003805A/ja active Pending
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