JP2017003275A - 光学測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光源から出射する光の光量に対して、受光部で受光する光の光量を十分に確保することを可能とする。【解決手段】光学測定装置1は、光源部10A,10B及び受光部20を備える。また、光学測定装置1において測定対象物3の背景として用いられる背景板4は、光学異方性を有している。背景板4は、光源部10A,10Bから近赤外光L1,L2を入射したときに、受光部20の方向へ出射する拡散反射光L3の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい。【選択図】図1
Description
本発明は、光学測定装置に関する。
測定対象物に対して測定光を照射することで、測定対象物からの拡散反射光を受光部において受光して、測定対象物に係る測定を行う光学測定装置が知られている。このような光学測定装置では、所謂ホワイト板というような標準反射板を利用して測定系の補正を行うことが一般的である。また、測定対象物における測定光の吸収率が低い場合には、背景板として標準反射板を用いることで、測定対象物に入射して標準反射板で拡散された光のうち測定対象物を通過した光の一部を受光して測定に利用することができる。
しかしながら、標準反射板を背景板として用いた測定では、受光部で受光する光の光量が十分ではない場合がある。この点において、光源から出射する光の光量を増すことで対応することも考えられるが、光量の増加が測定対象物に影響を与えることも考えられる。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、光源から出射する光の光量に対して、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる光学測定装置を提供することを目的とする。
本願発明は、
(1)測定対象物に対して、測定光を照射する光源と、
前記測定対象物からの拡散反射光を受光する受光手段と、
前記測定対象物を挟んで、前記光源及び前記受光手段と対向して配置される背景板と、
を備える光学測定装置であって、
前記背景板は、前記光源からの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい光学測定装置、
である。
(1)測定対象物に対して、測定光を照射する光源と、
前記測定対象物からの拡散反射光を受光する受光手段と、
前記測定対象物を挟んで、前記光源及び前記受光手段と対向して配置される背景板と、
を備える光学測定装置であって、
前記背景板は、前記光源からの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい光学測定装置、
である。
本発明によれば、光源から出射する光の光量に対して、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる光学測定装置が提供される。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
本願の光学測定装置は、(1)測定対象物に対して、測定光を照射する光源と、前記測定対象物からの拡散反射光を受光する受光手段と、前記測定対象物を挟んで、前記光源及び前記受光手段と対向して配置される背景板と、を備える光学測定装置であって、前記背景板は、前記光源からの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度[W/sr]が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きいことを特徴とする。ここで、「平面鏡による正反射の方向」とは、背景板として平面鏡を用いた場合に光源からの光が正反射される方向を意味する。
上記の光学測定装置によれば、光源からの光を入射したときに、受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい背景板を用いることにより、従来の背景板を使用する場合と比較して、受光手段の方向へ出射する光の放射強度が増大するため、光源から出射する光の光量に対して、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる。
(2)上述の(1)に記載の光学測定装置であって、前記光源を複数備え、前記複数の光源は、前記測定対象物に対して互いに異なる方向から前記測定光を照射し、前記背景板は、背景板の各位置において、前記複数の光源の何れかからの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きいことを特徴とする。
上記のように、背景板の各位置において、複数の光源の何れかからの光を入射したときに、受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい構成とすることで、複数の光源からの光を好適に受光手段の方向へ出射することができ、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる。
(3)上述の(2)に記載の光学測定装置であって、前記受光手段に含まれる1つの画素上へ結像する前記背景板上の領域には、前記複数の光源各々からの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい領域が含まれる態様とすることができる。
上記のように、1つの画素上へ結像する前記背景板上の領域において、複数の光源各々に関して受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい領域が含まれる構成とすることで、複数の光源の一部のみからの光を1つの画素が受光する構成を回避することができ、測定対象物に係る測定の精度が向上すると考えられる。
(4)上述の(1)〜(3)に記載の光学測定装置であって、前記背景板は、前記光源から入射する光をその表面で正反射して前記受光手段の方向へ出射する態様とすることができる。
上記のように、背景板において、光源から入射する光をその表面で正反射して受光手段の方向へ出射する構成とすることで、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる構成を実現することができる。
(5)上述の(1)〜(3)に記載の光学測定装置であって、前記背景板は、透光性を有する基材と、前記基材内に分散されて前記基材とは異なる屈折率を有する複数の異屈折率部とを含み、前記異屈折率部は、前記光源からの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きくなるように配向されている態様とすることができる。
上記のように、背景板において、基材と異屈折率部との屈折率の差を利用して、光源から入射する光を正反射して受光手段の方向へ出射する構成とすることで、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる構成を実現することができる。
(6)上述の(1)〜(3)に記載の光学測定装置であって、前記背景板は、透光性を有する箱材と、前記箱材に収容された複数のMEMSミラーとを含み、前記MEMSミラーは、前記光源から入射する光を正反射して前記受光手段の方向へ出射するように傾斜されている態様とすることができる。
上記のように、背景板において、箱材の内部に設けられたMEMSミラーが光源から入射する光を正反射して受光手段の方向へ出射する構成とすることで、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる構成を実現することができる。
(7)上述の(6)に記載の光学測定装置であって、前記MEMSミラーを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記光源及び前記受光手段の配置に応じて前記MEMSミラーの傾斜を制御する態様とすることができる。
上記のように、MEMSミラーの傾斜を制御する構成を備えることで、例えば、光源と受光手段との配置を変更した場合でも、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる構成を背景板により容易に実現することができる。
(8)上述の(1)〜(3)に記載の光学測定装置であって、前記背景板は、液晶部を含み、前記液晶部は、前記光源から入射する光を正反射して前記受光手段の方向へ出射するように実効屈折率が調整されている態様とすることができる。
上記のように、背景板において、液晶部を利用して光源から入射する光を受光手段の方向へ出射する構成とすることで、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる構成を実現することができる。
(9)上述の(8)に記載の光学測定装置であって、前記液晶部を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記光源及び前記受光手段の配置に応じて前記液晶部の屈折率を制御する態様とすることができる。
上記のように、液晶部を制御する構成を備えることで、例えば、光源と受光手段との配置を変更した場合でも、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる構成を背景板により容易に実現することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明に係る光学測定装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
図1は、本発明の実施形態に係る光学測定装置1の概略構成を説明する図である。図1
に示される光学測定装置1は、測定台2上に載置されて、所定の方向に搬送される測定対象物3を撮像する装置である。このような光学測定装置1は、例えば、測定対象物3の検査等に用いられる。光学測定装置1の測定対象物3は特に限定されない。
に示される光学測定装置1は、測定台2上に載置されて、所定の方向に搬送される測定対象物3を撮像する装置である。このような光学測定装置1は、例えば、測定対象物3の検査等に用いられる。光学測定装置1の測定対象物3は特に限定されない。
光学測定装置1は、近赤外光である測定光を搬送手段により搬送される測定対象物3に対して照射することにより得られる拡散反射光を測定し、その拡散反射光の強度又はスペクトル形状等に基づいて測定対象物3の光学測定を行う。このため、光学測定装置1は、測定対象物3を載置する背景板4、光源部10(10A,10B:光源)、受光部20(受光手段)、及び、分析部30を備える。なお、以下の実施形態では近赤外光を光学測定に使用する場合について説明するが、他の波長範囲の光を測定に用いてもよい。背景板4については後述する。
本実施形態で説明する光学測定装置1では、測定台2が例えばコンベア、シューター、リフト等の搬送手段により構成され、測定台2に載置された背景板4上の測定対象物3が搬送方向(図1における矢印A方向)に移動するとする。なお、受光部20は、搬送方向(矢印A方向)に対して垂直な方向に視野領域R2を有して撮像を行う。すなわち、受光部20がラインセンサである場合について説明する。
光源部10A,10Bは、近赤外光を背景板4上の測定対象物3が配置される領域に対して照射する。2つの光源部10A,10Bは、測定対象物3の搬送方向沿って、受光部20を挟んで配置されている。光源部10が照射する測定光の波長範囲は、測定対象物3によって適宜選択される。測定光としては、具体的には、波長範囲が800nm〜2500nmの光が好適に用いられ、特に1000nm〜2300nmの光が好適に用いられる。なお、本実施形態では、ハロゲンランプからなる光源を含む光源部10について説明する。
光源部10Aからの近赤外光L1及び光源部10Bからの近赤外光L2は、照射領域R1に対して出射される。照射領域R1とは、測定対象物3を載置する背景板4の表面の一部の領域である。この照射領域R1は、背景板4上において搬送方向(矢印A方向)に対して垂直な方向に延びるライン状に延びる領域である。上記のように、一方向に延びる照射領域R1を形成するため、光源部10A,10Bは、それぞれシリンドリカルレンズ等の補正用光学系を備え、ライン上に整形された近赤外光L1,L2が照射領域R1に対して照射される。
光源部10A,10Bから出力された近赤外光L1,L2は、照射領域R1上に載置された測定対象物3に入射する。測定対象物3に入射した光は測定対象物3の下の背景板4により反射された後、測定対象物3の表面から拡散反射光として拡散して出射される。そして、その一部が、拡散反射光L3として受光部20に入射する。なお、光源部10の構成は、上記の構成に限定されるものではない。
受光部20は、光源部10A,10Bから照射領域R1に対して照射される近赤外光が測定対象物3において拡散反射された拡散反射光L3をレンズ21から入射して、カメラ22において受光することで、測定対象物3の撮像を行う。カメラ22は、ライン状又は2次元に配置された画素により構成される受光面による受光により発生する電荷をA/D変換器によってデジタル変換し、波長領域ごとに光強度の分布を示すデジタル情報を生成する。生成されたデジタル情報は、受光部20から分析部30へ送られる。カメラ22は、照射領域R1に含まれ、背景板4上において搬送方向(矢印A方向)に対して垂直な方向に延びるライン状の視野領域R2からの光を受光面にて受光する。本実施形態では、図1に示すように、視野領域R2は、カメラの真下にある。すなわち、背景板4の視野領域R2から背景板4に垂直な方向に延びる線上に受光部20が配置される。
受光部20は、ハイパースペクトル画像を取得するハイパースペクトルセンサであってもよい。ハイパースペクトル画像とは、一画素がN個の波長データにより構成されている画像であり、画素毎にそれぞれ複数の波長に対応した反射強度データからなるスペクトル情報が含まれている。すなわち、ハイパースペクトル画像は、画像を構成する画素毎に、それぞれ複数波長の強度データを持つという特徴から、画像としての二次元的要素と、スペクトルデータとしての要素をあわせ持った三次元的構成のデータである。なお、本実施形態では、ハイパースペクトル画像とは、1画素あたり少なくとも5つの波長帯域における強度データを保有している画素によって構成された画像のことをいう。
なお、受光部20は、光源部10A,10Bからの近赤外光L1、L2が測定対象物3の表面で正反射した場合の正反射光ではなく、拡散反射光を撮像可能な位置に配置する。測定対象物3の表面における正反射光は、光量(強度)は多いがノイズが多いため、測定対象物3に係る情報を正確に検出することが困難である。したがって、拡散反射光L3のみを検出可能な位置に受光部20を配置する。
分析部30は、受光部20から送られる測定スペクトルの情報を受け取り、演算処理等を行う。分析部30により、吸収スペクトルの導出、測定スペクトルの2階微分スペクトルの導出、吸収スペクトルの2階微分スペクトルの導出等を行う構成としてもよい。また、測定対象物3に係る評価を行うための統計処理等が分析部30において行われる構成としてもよい。また、受光部20がハイパースペクトルセンサを有するハイパースペクトルカメラである場合、各画素に係るスペクトルの情報が分析部30に対して送られるので、分析部30においてこれらのスペクトル情報についての演算を行う構成とすることができる。
分析部30は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、受光部20等の他の機器との間の通信を行う通信モジュール、並びにハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、分析部30としての機能が発揮される。
上記の構成を有する光学測定装置1による検査方法には、測定台2に載置された背景板4の上の測定対象物3に対して近赤外光を照射することで、当該測定対象物3に係る拡散反射スペクトルを取得する取得工程と、取得工程で得られたスペクトルに基づいて、測定対象物3に係る分析を行う分析工程と、が含まれる。具体的には、光源部10A,10Bから照射領域R1へ向けて近赤外光L1,L2が照射される。光源部10から照射された近赤外光L1,L2は、測定対象物3へ入射する。測定対象物3で拡散反射した近赤外光のうち、光路L3方向に進み、受光部20へ到達する。受光部20では拡散反射スペクトルが取得される(取得工程)。受光部20で得られた拡散反射スペクトルは、分析部30へ送られ、分析部30において、測定対象物3の分析に係る処理が行われる(分析工程)。
ここで、本実施形態に係る光学測定装置1における背景板4は、光源部10A,10Bからの光を入射した際に、受光部20の方向へ出射する光の放射強度[W/sr]が他の方向へ出射する光の放射強度よりも大きいことを特徴とする。従来、背景板としては、ホワイト板と言われる平板状の標準反射板が用いられる。この標準反射板は、反射板表面で入射光を反射し、拡散反射光を各方向に対して均等に出射するものである。しかしながら、拡散反射光を各方向に対して均等に出射させるということは、受光部20で受光される光の強度も他の方向に対して出射された拡散反射光の強度と同じである。したがって、受光部20で受光する光の強度が測定感度に対して不十分となることや、受光する光に含まれるノイズの割合が高いために測定精度が低下することが考えられる。
これに対して、本実施形態に係る光学測定装置1に用いられる背景板4は、光学異方性を有し、光源部10A,10Bから近赤外光L1,L2を入射したときに、受光部20の方向へ出射する光の放射強度[W/sr]が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きいことを特徴とする。ここで、「平面鏡による正反射の方向」とは、背景板として平面鏡を用いた場合に光源からの光が正反射される方向を意味する。このような構成とすることで、光源から出射する光の光量に対して、受光部で受光する光の光量を十分に確保することができる。
従来の背景板では、各方向に出射する拡散反射光の強度をなるべく均一にすることが望まれる。これは、光源部10A,10Bと受光部20との位置関係を変更した場合であっても測定感度が変わらず且つ位置に応じて均一にすることが求められていたからである。しかしながら、従来の背景板において、受光部に入射する光の光量が不足する場合には、光源から測定対象物に対して出射する光の光量を増やす必要があった。しかしながら、測定対象物の光耐性が弱い場合には、測定対象物を照射する光の光量を増やすことにより測定対象物に対して損傷を与えることが考えられる。これに対して、本実施形態に係る光学測定装置1に用いられる背景板4は、受光部20が配置される方向に対する拡散反射光の強度が大きくなるような光学異方性を有することにより、測定対象物を照射する光の光量を増やさずに、受光部20に入射する光の光量を増やすことが可能となる。
光源部10A,10Bから近赤外光L1,L2を入射したときに、受光部20の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度より大きいという特徴を有する背景板4を実現する方法はいくつか挙げられる。以下、背景板4の例について説明する。
まず、第1の方法として、光源部10A,10Bから近赤外光L1,L2を直接(測定対象物3を配置せず)背景板4に照射した場合に、背景板4で正反射した近赤外光L1,L2が受光部20により受光される構成とする方法が挙げられる。これにより、背景板4から受光部20の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きくなる。
図2は、上記の構成を実現するための背景板4の概略断面図である。背景板4は、反射角が調整された2種類の反射板41,42が透明樹脂43に埋め込まれた背景板4である。背景板4内に配置される2種類の反射板41,42のうち、一方の反射板41は、光源部10Aと受光部20との位置関係に対応した角度とされていて、反射板41が視野領域R2上にある場合には、近赤外光L1を正反射して受光部20に対して入射可能な角度とされている。また、他方の反射板42は、光源部10Bと受光部20との位置関係に対応した角度とされていて、反射板42が視野領域R2上にある場合には、近赤外光L2を正反射して受光部20に対して入射可能な角度とされている。透明樹脂43としては、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いることができる。
また、図2では、反射板41と反射板42とが重なっているように示している。実際には、反射板41,42の両方を同じ位置に配置することはできないので、背景板の各位置において、反射板41,42のいずれか一方が配置される。反射板41,42の配置は特に限定されないが、背景板4を上面から見たときに、反射板41,42のいずれも配置されていない領域が形成されないように、反射板41,42を配置することが好ましい。反射板41,42の何れも配置されていない領域は、反射板41,42が配置されている領域と比較して、受光部20に入射する光の光量が減少する。
なお、受光部20において、カメラ22内の受光面に配置される1つの画素で、光源部10Aからの近赤外光L1と、光源部10Bからの近赤外光L2との両方を均等に受光させるためには、1つの画素上へ結像する背景板上の領域において、反射板41,42の占める面積が同じとなるように反射板41,42を配置すればよい。また、搬送手段により測定台2が移動して、カメラ22の視野領域が移動した際にも、1つの画素上へ結像する背景板上の領域において、反射板41,42の占める面積が同じとなるように反射板41,42を配置すると、2つの光源部10A,10Bからの近赤外光L1,L2の光量に差があったとしても撮像毎に光量が変わるという問題は回避することができる。少なくとも、1つの画素上へ結像する背景板上の領域に、反射板41,42からの反射光が拡散反射光として入射させる領域が含まれる構成とすることで、光源部10A,10Bの一方のみからの光を1つの画素が受光する構成を回避することができるため、測定対象物3に係る測定の精度が向上すると考えられる。
なお、上述したように反射板41,42の角度は、光源部10A,10Bと受光部20の位置関係に応じて設定される。したがって、背景板4を使用する際の光源部10A,10B及び受光部20の配置は固定される必要がある。また、光源部10A,10B及び受光部20の配置が異なる他の光学測定装置の測定に背景板4を適用した場合には、受光部に入射する光の光量を増やすことはできない。
背景板4の変形例を図3〜図5に示す。図3(A)は、変形例に係る背景板4Aを二つの光源部を結ぶ方向(矢印A方向)を含んで垂直に切った断面図であり、図3(B)は、背景板4Aの平面図である。
背景板4Aは、ガラス又は金属等により構成され上面を山型に加工した基材44と、基材44の表面に成膜等により形成されたミラー層45とを含んで構成される。基材44の山型形状は矢印A方向に対して直交する方向に延びる複数の傾斜面44a,44bにより構成される。また、ミラー層45の厚さは均一とされているので、ミラー層45表面の傾斜は、傾斜面44a,44bと同じであり、同様の山型形状となっている。
傾斜面44a,44bのうち、一方側の傾斜面44aは、光源部10Aと受光部20との位置関係に対応した角度とされていて、傾斜面44aが視野領域R2上にある場合には、近赤外光L1を正反射して受光部20に対して入射可能な角度とされている。また、他方の傾斜面44bは、光源部10Bと受光部20との位置関係に対応した角度とされていて、傾斜面44bが視野領域R2上にある場合には、近赤外光L2を正反射して受光部20に対して入射可能な角度とされている。
上記の背景板4Aのように、表面のミラー層45が山型の凹凸を有する場合であっても、光学異方性を有し、光源部10A,10Bから近赤外光L1,L2を入射したときに、受光部20の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい構成を実現することができる。ミラー層45が凹凸を有する場合には、他の背景板よりも製造が容易であり、低コストでの製造が可能となる。
なお、背景板4と同様に、背景板4Aにおいても、山型の山の配置は適宜変更することができる。例えば、カメラ22内の受光面に配置される1つの画素で、光源部10Aからの近赤外光L1と、光源部10Bからの近赤外光L2との両方を均等に受光させるためには、1つの画素上へ結像する背景板上の領域において、反射板41,42の占める面積が同じとなるように傾斜面44a,44bの配置を変更することができる。また、図3では、傾斜面44a,44bがそれぞれライン状に延びている場合について説明したが、矢印A方向に対して直交する方向に傾斜面44a,44bが連続していなくてもよく、格子状となるように配置してもよい。ただし、その場合には、矢印A方向に沿って傾斜面44a,44bが交互に連続するように配置することが好ましい。
光学異方性を有し、光源部10A,10Bから近赤外光L1,L2を入射したときに、受光部20の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい背景板を実現する第2の方法について、図4を参照しながら説明する。図4に示す背景板4Bは、板状の基材46内に光学的な配向を有する微粒子47等を所定の方向に配列させることで、受光部20の方向へ出射する光の放射強度を制御している。基材46は透光性を有し、例えば、ガラスやポリテトラフルオロエチレン樹脂等を用いることができる。また、微粒子47としては、金属等のように、基材46の屈折率とは異なる屈折率を有し、且つ、扁平形状である等光学異方性を有する材料を用いることができる。基材46内で微粒子47を配向させた状態で分散させる方法としては、例えば、磁性体等を利用して微粒子47を配向させながら基材46を硬化する方法等が挙げられる。すなわち、微粒子47は、背景板4Bにおける異屈折率部として機能する。
また、微粒子47に代えて、基材46内に気泡を分散させる構成としてもよい。気泡によって背景板4Bの光学異方性を実現する方法としては、例えば、硬化前の基材に対して気泡を分散させた後、一の方向(図4での上下方向)に基材を引き延ばしながら硬化させることで、光学異方性のある気泡を有する基材46を実現することができる。このように、基材46内に分散された気泡についても、背景板4Bにおける異屈折率部として機能させることができる。
また、測定光が近赤外光である場合、近赤外光に対して高い反射率を有する液晶を背景板4Bとして用いることができる。液晶は、電気的な制御により、反射の方向や反射率の制御を行うことができることが知られている。したがって、例えば、図4に示すように、制御部35と接続して液晶の電気的制御を行う構成とすると、光源部10A,10B、及び受光部20の配置が移動した場合に、より好条件の測定ができるように、配置に対応させた制御を行うことができる。
なお、液晶を利用した背景板4Bとして、透過型液晶を使用し、透過型液晶の下方(測定対象物3を載置する側とは逆側)に平板状の反射板を配置する構成としてもよい。この場合、透過型液晶の実効屈折率変化を利用すると光学異方性を有する背景板4Bを実現することができる。透過型液晶の実効屈折率変化の制御を制御部35で行う構成とした場合、光源部10A,10B、及び受光部20の配置に対応させた制御を行うことができる。
液晶を用いる背景板と同様に、反射方向の制御が可能な背景板の例を図5に示す。図5(A)は、変形例に係る背景板4Cを二つの光源部を結ぶ方向(矢印A方向)を含んで垂直に切った断面図であり、図5(B)は、背景板4Cの平面図である。
図5に示す背景板4Cは、透光性を有する箱材48の内部に反射板として機能するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー49(49a,49b)が収容されている。また、箱材48の表面には必要に応じて保護膜50が設けられる。MEMSミラー49とは、制御部35の制御によりMEMSミラー49の傾斜を変更可能な機構を有するミラーであり、傾斜角は入力信号の電圧値によりそれぞれ制御される。したがって、光源部10A,10B、及び受光部20の配置に対応させて、制御部35の制御により、MEMSミラー49の傾斜を変更することで、光学異方性を実現することができる。なお、MEMSミラー49aは、光源部10Aと受光部20との位置関係に対応した角度とされていて、MEMSミラー49aが視野領域R2上にある場合には、近赤外光L1を正反射して受光部20に対して入射可能な角度とされている。また、MEMSミラー49bは、光源部10Bと受光部20との位置関係に対応した角度とされていて、MEMSミラー49bが視野領域R2上にある場合には、近赤外光L2を正反射して受光部20に対して入射可能な角度とされている。
図5(A)では、搬送方向である矢印A方向に沿って、MEMSミラー49a,49bが交互に連続するように制御されている。また、図5(B)では、矢印A方向に対して直交する方向(すなわち、受光部20のラインセンサが配列する方向)に沿って、MEMSミラー49a,49bが交互に連続するように制御されている。このように、2つの光源部10A,10Bからの光のうち受光部20に入射する光の光量(放射強度)を増加させるためのMEMSミラー49の傾斜の制御の方法は、適宜変更することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、2つの光源部10A,10Bが受光部20を挟んで対向配置されている場合について説明したが、光学測定装置1には少なくとも1つの光源部10と1つの受光部20とが含まれていればよい。すなわち、光源部10の数は適宜変更することができる。光源部10が1つの場合には、例えば背景板4の場合には、光源部10からの測定光を入射した場合に、受光部20に対して出射する光の放射強度を平面鏡による正反射の方向を除く他の方向に対して出射する光の放射強度よりも大きくするように、複数の反射板を傾斜させる構成とすることが好ましい。
また、光源部10が複数ある場合には、背景板の各位置において、複数の光源部10の何れかからの測定光を入射した場合に、受光部20に対して出射する光の放射強度を平面鏡による正反射の方向を除く他の方向に対して出射する光の放射強度よりも大きくすることができる構成を備えることで、複数の光源部10から受光部20に対して入射させる光を増加させることができる。
さらに、本発明は、例えば光源部10が点光源等である場合にも適用ができる。例えば、光源部10が点光源である場合には、背景板の各位置において、光源部10からの測定光を入射した場合に、受光部20に対して出射する光の放射強度を平面鏡による正反射の方向を除く他の方向に対して出射する光の放射強度よりも大きくするために、背景板4内の反射板の傾斜角度、背景板4Aのミラー層45表面の傾斜の角度、又は背景板4CのMEMSミラー49の傾斜の角度を位置毎に異ならせればよい。
1…光学測定装置、2…測定台、3…測定対象物、4…背景板、10,10A,10B…光源部、20…受光部、30…分析部、35…制御部。
Claims (9)
- 測定対象物に対して、測定光を照射する光源と、
前記測定対象物からの拡散反射光を受光する受光手段と、
前記測定対象物を挟んで、前記光源及び前記受光手段と対向して配置される背景板と、
を備える光学測定装置であって、
前記背景板は、前記光源からの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい光学測定装置。 - 前記光源を複数備え、
前記複数の光源は、前記測定対象物に対して互いに異なる方向から前記測定光を照射し、
前記背景板は、各位置において、前記複数の光源の何れかからの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい請求項1に記載の光学測定装置。 - 前記受光手段に含まれる1つの画素へ結像する前記背景板上の領域には、前記複数の光源各々からの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きい領域が含まれる請求項2記載の光学測定装置。
- 前記背景板は、前記光源から入射する光をその表面で正反射して前記受光手段の方向へ出射する請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学測定装置。
- 前記背景板は、
透光性を有する基材と、前記基材内に分散されて前記基材とは異なる屈折率を有する複数の異屈折率部とを含み、
前記異屈折率部は、前記光源からの光を入射したときに、前記受光手段の方向へ出射する光の放射強度が、平面鏡による正反射の方向を除く他方向へ出射する光の放射強度よりも大きくなるように配向されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学測定装置。 - 前記背景板は、
透光性を有する箱材と、前記箱材に収容された複数のMEMSミラーとを含み、
前記MEMSミラーは、前記光源から入射する光を正反射して前記受光手段の方向へ出射するように傾斜されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学測定装置。 - 前記MEMSミラーを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記光源及び前記受光手段の配置に応じて前記MEMSミラーの傾斜を制御する請求項6記載の光学測定装置。 - 前記背景板は、液晶部を含み、
前記液晶部は、前記光源から入射する光を正反射して前記受光手段の方向へ出射するように実効屈折率が調整されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学測定装置。 - 前記液晶部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記光源及び前記受光手段の配置に応じて前記液晶部の屈折率を制御する請求項8記載の光学測定装置。
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