JP2017002008A - (3r,4s)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(s)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンの製造方法 - Google Patents

(3r,4s)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(s)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 特定の不純物及び光学異性体の含有量が低減した、高純度の(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンを効率的に製造する方法を提供する。【解決手段】 CBS触媒存在下、ベンジル保護ケト体とボランを反応させ、ベンジル保護体を製造する際、必要量のボランの一部を予め反応系中に存在させた状態でベンジル保護ケト体を投入し、残りのボランを後から追加して反応を行う。【選択図】 なし

Description

本発明は、エゼチミブ(化学名称:(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐2‐アゼチジノン)の合成中間体である(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノン新規な製造方法に関する。
下記式(4)
Figure 2017002008
で示される(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐2‐アゼチジノン(以下、エゼチミブとも言う。)は、小腸における胆汁性及び食事性コレステロールの吸収を選択的に阻害し、血中のコレステロールを低下させる治療薬として知られている。このような治療薬として用いられるエゼチミブは、非常に高純度であることが望まれることから、製造過程において不純物の生成を抑制することが極めて重要である。
エゼチミブの製造方法としては、下記式(2)
Figure 2017002008
で示される(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3‐オキソ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノン(以下、ベンジル保護ケト体とも言う。)から不斉還元反応により、下記式(3)
Figure 2017002008
で示される(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノン(以下、ベンジル保護体とも言う。)を合成し、続いて該ベンジル保護体を触媒量のパラジウム炭素の存在下、水素添加反応によって脱保護を行うことで製造する方法が知られている。
そして、上記不斉還元反応の方法について、例えば特許文献1には、ベンジル保護ケト体及び下記式(1)
Figure 2017002008
(Rは任意のアルキル基又はアリル基。)
で示される化合物(以下、CBS触媒とも言う。)をテトラヒドロフラン(以下、THFとも言う。)に溶解させ、ボランジメチルスルフィド錯体を加えて反応させてベンジル保護体とする方法が記載されている。また、特許文献2には、CBS触媒とボランジメチルスルフィド錯体をTHFに溶解させ、ベンジル保護ケト体を後から添加して反応させてベンジル保護体とする方法が記載されている。そして、特許文献3には、微生物を用いて不斉還元反応を行う方法が記載されている。さらに特許文献4には、不斉配位子を有するルテニウム触媒と水素ガスを用いて不斉還元反応を行う方法が記載されている。
特許2803908号 国際公開第2010/113182号パンフレット 特許3679715号 国際公開第2007/144780号パンフレット
本発明者が、前記特許文献の条件に基づいてエゼチミブの製造を行ったところ、特許文献1に記載の方法では、副生成物として下記式(5)
Figure 2017002008
で示される光学異性体が多量に生成し、ベンジル保護体の光学純度が低いものとなり、脱保護して得られたエゼチミブの光学純度も低いものであった。また、特許文献2に記載の方法では、高い立体選択性は得られるが、副生成物として下記式(6)
Figure 2017002008
で示される(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐2‐ヒドロキシ‐(3(S)‐ヒドロキシ‐3‐フェニルプロピル)‐(4‐ヒドロキシフェニル)アゼチジン(以下、ジオール体とも言う。)が多量に生成し、当該不純物は晶析によって除去可能であるが、ベンジル保護体の収率が大幅に低下した。そして、特許文献3及び4に記載の方法では、製造に特殊な設備を要するため、工業化には適していない。
したがって、本発明の目的は、ベンジル保護ケト体を不斉還元反応によってベンジル保護体を製造する方法において、光学異性体、及びジオール体の生成量が低減された、高純度のベンジル保護体を効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、不斉還元反応の方法について鋭意検討を行った。その結果、CBS触媒の存在下、ボランを用いて不斉還元反応を行う際に、CBS触媒と使用量の一部のボランを予め混合し、続いてベンジル保護ケト体を添加し、その後残りのボランを添加して反応を進行させることによって、驚くべきことに、ジオール体の生成量の増加もなく、且つ立体選択性が高く光学異性体の少ない、高純度のベンジル保護体が効率的に得られることが分かった。
光学異性体が増加する原因としては、反応系中において、CBS触媒に対しベンジル保護ケト体が過剰に存在し、触媒を介さずに還元反応が進行しているためであると推測された。また、ジオール体が増加する原因としては、反応系中において、ベンジル保護ケト体に対しボランが過剰に存在する状態で還元反応が進行し、過剰に還元されたためであると推測された。そこで、反応初期ではベンジル保護ケト体に対してボランが小過剰存在する状態、すなわちCBS触媒と使用量の一部のボランを予め混合した液にベンジル保護ケト体を添加して反応させることでジオール体の生成を抑制し、反応後期ではベンジル保護ケト体が十分に消費され、CBS触媒に対してベンジル保護ケト体が過剰ではない状態でボランを追加して反応を進行させることで光学異性体の生成を抑制することができたと考えている。
また、本発明者がさらに検討したところ、還元剤であるボランはジメチルスルフィド錯体及びTHF錯体のいずれを用いても同等の反応性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、触媒量のCBS触媒の存在下、ボランを用いてベンジル保護ケト体の不斉還元反応を行い、ベンジル保護体を製造する方法において、CBS触媒及び使用するボランの量の一部が存在する反応系中にベンジル保護ケト体を添加して不斉還元反応を行い、その後、ボランの残部を添加し不斉還元反応を再進行させることを特徴とするベンジル保護体の製造方法、及び該製造方法で製造したベンジル保護体を、触媒量のパラジウム炭素存在下、水素添加によって脱保護してエゼチミブを製造するエゼチミブの製造方法である。
本発明によれば、CBS触媒の存在下、ボランを用いてベンジル保護ケト体の不斉還元反応を行い、ベンジル保護体を製造する方法において、CBS触媒と使用するボランの量の一部を予め混合し、続いてベンジル保護ケト体を添加し、その後、ボランの残部を添加して反応を進行させることで、不純物、特に光学異性体及びジオール体が低減された高純度のベンジル保護体を効率的に収率良く製造することができる。また、該ベンジル保護体を脱保護してエゼチミブを製造することにより、高純度のエゼチミブを効率よく製造することができる。
本発明は、CBS触媒の存在下、ボランを用いてベンジル保護ケト体の不斉還元反応を行い、ベンジル保護体を製造する方法において、CBS触媒と使用するボランの量の一部を予め混合し、続いてCBS触媒及び使用するボランの量の一部が存在する反応系中にベンジル保護ケト体を添加し、その後、ボランの残部を添加して反応を進行させることを特徴とする方法である。
本発明では、ベンジル保護体を製造する方法を実施するのに、原料としてベンジル保護ケト体を用い、CBS触媒存在下、還元剤であるボランをベンジル保護ケト体添加の前後に分割して添加することによって不斉還元を行うことで、不純物の生成量が抑制され、光学純度の高い、高純度のベンジル保護体を得られる。さらに、反応液にアルコール及び希酸を添加し反応を停止させ、必要であれば抽出溶媒を添加し、分液操作によってボランが除去された有機層を取得し、有機層を適当な溶媒に交換した後、ベンジル保護体の結晶を析出させることで、ベンジル保護体をジオール体及び光学異性体の含有量がより低減されたさらに高純度の結晶として効果的に取得することができて好ましい。
すなわち、本発明では、CBS触媒と使用するボランの量の一部を混合する錯形成工程、当該錯形成工程によって得られた溶液にベンジル保護ケト体を加えて反応させる一次反応工程、ボランの残部を追加して反応を再進行させる二次反応工程、アルコール及び希酸を加えて反応を停止させた後、有機層を抽出する抽出工程、抽出工程で得られた有機層を適当な溶媒に交換した後、ベンジル保護体を結晶化させる析出工程を連続して行うのが最も好ましい態様である。以下に、錯形成工程、一次反応工程、二次反応工程、抽出工程、析出工程を順に説明する。
<錯形成工程>
錯形成工程とは、反応溶媒中でCBS触媒とボランを混合し、反応活性種を含む溶液を得る工程である。
(CBS触媒)
本発明で使用されるCBS触媒は、下記式(1)
Figure 2017002008
(Rはアルキル基又はアリル基。)
で示される化合物であり、R体であれば良い。ホウ素原子上の置換基は特に制限されず、任意のアルキル基又はアリル基から選択され、好ましくは直鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
CBS触媒は、固体状態であっても良く、溶媒に溶解した溶液状態であっても良い。固体として用いる場合は、その結晶形体は特に制限されず、反応溶媒に溶解すればよく、結晶、アモルファス、またはこれらが混合した形態であってもよい。また、CBS触媒の形態も、特に制限されるものではなく、粉末、塊状物、またはこれらが混合した形状であってもよい。その他、対象物は、無水物であればよく、本錯形成工程で使用する反応溶媒を含む湿体であっても良い。また、不斉還元反応に影響を与えない範囲でその他溶媒を含んでいても良い。CBS触媒を溶液として用いる場合、下記反応溶媒やトルエン等の芳香族炭化水素に溶解した溶液を使用することができる。溶液として用いる際のCBS触媒の濃度は特に制限されないが、操作性や溶解度を考慮すると、CBS触媒1.0モルに対して、溶媒量は0.2L以上5.0L以下であることが好ましい。
不斉還元反応におけるCBS触媒の使用量は、ベンジル保護ケト体1.0モルに対して、0.05モル以上0.30モル以下であれば良く、0.10モル以上0.20モル以下であることが好ましい。CBS触媒の使用量が、ベンジル保護ケト体1.0モルに対して0.05モル未満では立体選択性が低下し、0.30モル超では反応活性が高くなり過ぎ、ジオール体の生成量が増加するため好ましくない。
(ボラン)
本発明においてボランとしては、THF錯体、ジメチルスルフィド錯体、ピリジン錯体を使用することができる。反応性を考慮すると、THF錯体及びジメチルスルフィド錯体を使用することが好ましく、安定性を考慮すると、ジメチルスルフィド錯体が特に好ましい。
本錯形成工程において添加するボランの使用量は、不斉還元反応で使用するボランの量の一部である。不斉還元反応で使用するボランの量、即ち添加するボランの総量はベンジル保護ケト体1.0モルに対して、0.7モル以上1.2モル以下であれば良く、0.7モル以上1.1モル以下であることがより好ましく、0.75モル以上1.0モル以下であることがさらに好ましい。添加するボランの総量がベンジル保護ケト体1.0モルに対して、0.7モル未満では、反応が完了せずベンジル保護ケト体が残存し、1.2モル超ではジオール体の生成量が増加し、収率が低下するため好ましくない。本錯形成工程において添加するボランの使用量はその一部であり、ベンジル保護ケト体1.0モルに対して、0.40モル以上0.65モル以下であれば良く、0.50モル以上0.65モル以下であることが好ましい。本錯形成工程において添加するボランがベンジル保護ケト体1.0モルに対して0.40モル未満では、後記する一次反応工程において反応転化率が60%未満となり、後記する二次反応工程において残部を添加した際に光学異性体が増加し、0.65モル超では、ジオール体の生成量が増加し、収率が低下するため好ましくない。残部は、後記する二次反応工程で添加される。
(反応溶媒)
本発明において反応溶媒は、非プロトン性極性溶媒、又はハロゲン化炭化水素が使用される。具体的には、非プロトン性極性溶媒としては、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、THF、1,4‐ジオキサン、ハロゲン化炭化水素としてはジクロロメタン、クロロホルム、1,2‐ジクロロエタンが挙げられ、操作性や反応性を考慮すると、THF、ジクロロメタンが好ましく、THFが特に好ましい。これらは単独で使用することも複数種混合して使用することもできる。
また、本錯形成工程において、反応溶媒の使用量は、使用する反応溶媒の種類や反応条件等によって適宜決定すれば良い。操作性や反応性を考慮すると、ベンジル保護ケト体1.0gに対して、2mL以上50mL以下であることが好ましく、3mL以上40mL以下であることがより好ましく、4mL以上30mL以下であることが特に好ましい。
(錯形成工程の操作条件)
本錯形成工程において、CBS触媒、ボラン及び反応溶媒を混合して錯形成を行い、反応活性種を含む反応液を得る方法は、特に制限されず、反応溶媒中でCBS触媒とボランが混合されれば良い。具体的には、CBS触媒と反応溶媒とを混合し、撹拌させておいたところにボランを加えても良く、またボランと反応溶媒を混合し、撹拌させておいたところにCBS触媒を加えても良い。操作性及びボランの安定性を考慮すると、CBS触媒と反応溶媒を予め混合し、後からボランを加える方法が好ましい。ボランはそのまま添加しても良く、前記反応溶媒でボランを希釈して添加しても良い。ボランを反応溶媒で希釈して添加する場合、その濃度は特に制限されないが、操作性や反応性を考慮すると、ボラン1.0モルに対して、反応溶媒の量は0.01L以上10L以下であれば良く、0.05L以上1L以下であることが好ましい。錯形成工程において、錯形成温度は反応性やボランの安定性を考慮すると、−30℃以上30℃以下であればよく、−20℃以上25℃以下であることが好ましく、−15℃以上20℃以下であることがより好ましい。また、錯形成時間は、錯形成の進行状況に応じて適宜決定すれば良く、通常は15分以上2時間以下である。
本錯形成工程で得られた反応活性種を含む溶液は、均一な溶液であり、後処理を行うことなく次の一次反応工程に使用することができる。
<一次反応工程>
一次反応工程とは、前記錯形成工程で得られた反応活性種を含む溶液にベンジル保護ケト体を投入し、不斉還元反応を行う工程である。本一次反応工程で得られた溶液を一次反応液とも言う。
(ベンジル保護ケト体)
本発明で使用されるベンジル保護ケト体は、特に制限されず、公知の方法で製造されたものを使用することができる。具体的には、特許文献1に記載された方法、すなわち、4−フルオロフェニルマグネシウムクロリド、塩化亜鉛を混合し、触媒量のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを添加し、下記式(7)
Figure 2017002008
で示される3‐[(3R,4S)‐[1‐(4‐フルオロフェニル)]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノン‐3‐イル]プロピオニルクロリドを加えて、カップリング反応を行うことで製造することができる。
ベンジル保護ケト体の純度は、特に制限されるものではない。すなわち、上記方法で得られたベンジル保護ケト体を公知の方法で高度に精製したものであってもよいし、精製していない粗体(粗ベンジル保護ケト体)であってもよい。粗体を対象物とする場合には、下記の実施例で詳述する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定された純度(ピーク面積比により求めた純度)が、80%以上の純度である粗体であることが好ましい。最終的に得られるエゼチミブの結晶の純度や収率を考慮すると、該純度が85%以上である粗体より好ましく、90%以上である粗体がさらに好ましく、95%以上である粗体が特に好ましい。
ベンジル保護ケト体の結晶形態は、特に制限されず、反応溶媒に溶解すればよく、結晶、アモルファス、またはこれらが混合した形態であってもよい。また、ベンジル保護ケト体の形態も、特に制限されるものではなく、粉末、塊状物、またはこれらが混合した形状であってもよい。その他、対象物は、無水物であればよく、本一次反応工程で使用する反応溶媒を含む湿体であっても良い。また、反応に影響を与えない範囲でその他溶媒を含んでいても良い。
(一次反応工程の条件)
本一次反応工程において、前記錯形成工程で得られた反応活性種を含む溶液にベンジル保護ケト体を添加する方法は特に制限されず、固体のベンジル保護ケト体を添加しても良く、本一次反応工程で使用する反応溶媒に溶解した溶液を滴下しても良い。ベンジル保護ケト体を溶液として用いる場合の反応溶媒の使用量は、使用する反応溶媒の種類や反応条件等によって適宜決定すれば良い。操作性や反応性を考慮すると、ベンジル保護ケト体1gに対して、1mL以上20mL以下であることが好ましく、2mL以上18mL以下であることがより好ましく、3mL以上15mL以下であることが特に好ましい。一次反応の温度は反応性や立体選択性を考慮すると、−30℃以上10℃以下であればよく、−20℃以上5℃以下であることが好ましく、−15℃以上0℃以下であることがより好ましい。
本一次反応工程では、添加したベンジル保護ケト体の系中の残量が10〜40%となるまで反応させることが好ましい。反応時間は、30分以上であれば良く、1時間以上12時間以下であることが好ましい。本一次反応工程の反応時間が30分以下では、ベンジル保護ケト体が十分に消費されず、下記二次反応工程において反応を再進行させる際に、CBS触媒に対してベンジル保護ケト体が過剰に存在する状態になり、立体選択性が低下する。
<二次反応工程>
二次反応工程は、前記一次反応工程で得られた一次反応液にボランの残部を添加して、不斉還元反応を再進行させてベンジル保護体を含む溶液を得る工程である。本二次反応工程で得られた溶液を二次反応液とも言う。
(ボラン)
本二次反応工程で用いられるボランは、前記錯形成工程と同様のものを使用することができる。本二次反応工程で添加するボランの使用量は、ボランの残部であり、前記錯形成工程において添加したボランの使用量を考慮して、本二次反応工程で用いるボランの量との合計が不斉還元反応で使用されるボランの総量となるように設定すれば良い。なお、不斉還元反応で使用されるボランの総量は、前記したようにベンジル保護ケト体1.0モルに対して、0.7モル以上1.2モル以下であれば良く、0.7モル以上1.1モル以下であることがより好ましく、0.75モル以上1.0モル以下であることがさらに好ましい。
(二次反応工程の条件)
本二次反応工程において、前記一次反応工程で得られた一次反応液にボランを添加してベンジル保護体を含む二次反応液を得る方法は特に制限されない。一次反応液に添加するボランは、前記錯形成工程と同様にそのまま添加しても良く、前記錯形成工程及び一次反応工程で使用した反応溶媒でボランを希釈して添加しても良く、ボランを反応溶媒で希釈して添加する場合、その濃度は前記錯形成工程と同じものを使用することができる。二次反応の温度は反応性や立体選択性を考慮すると、−30℃以上10℃以下であればよく、−20℃以上5℃以下であることが好ましく、−15℃以上0℃以下であることがより好ましい。また、反応時間は、所望の反応転化率に応じて適宜決定すれば良く、上記反応温度の範囲において反応転化率を99%以上とするには、通常は1時間以上12時間以下である。
<抽出工程>
抽出工程は、前記二次反応工程で得られた二次反応液にアルコール及び希酸を添加して反応を停止させ、抽出溶媒を添加し、ベンジル保護体が含有した有機層を抽出する工程である。
(アルコール)
本抽出工程で使用するアルコールは、炭素数が1〜4で水と混和するものが使用することができ、具体的にはメタノール、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、t‐ブチルアルコールが挙げられ、操作性を考慮すると、メタノール、エタノールが好ましく、メタノールが特に好ましい。本抽出工程で使用するアルコールの量は、使用するアルコールの種類や反応条件によって適宜決定すれば良く、操作性や反応性を考慮すると、用いたベンジル保護ケト体1.0gに対して0.1mL以上20mL以下であることが好ましく、0.2mL以上15mL以下であることがより好ましく、0.3mL以上10mL以下であることがさらに好ましい。
(希酸)
本抽出工程で使用する希酸は、水溶性の有機酸及び無機酸を水に溶解させたものを使用することができ、溶解させる酸としては、具体的にはギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、酒石酸等の有機酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。操作性を考慮すると、無機酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。本抽出工程で使用する希酸の濃度は、使用する酸の種類や反応条件によって適宜決定すれば良く、操作性や反応性を考慮すると、0.0001モル/L以上3.0モル/L以下であることが好ましく、0.005モル/L以上2.0モル/L以下であることがより好ましく、0.001モル/L以上1.5モル/L以下であることがさらに好ましい。本抽出工程で使用する希酸の量は、特に制限されないが、操作性を考慮すると、用いたベンジル保護ケト体1.0gに対して0.2mL以上30mL以下であることが好ましく、0.4mL以上25mL以下であることがより好ましく、0.5mL以上20mL以下であることがさらに好ましい。
(抽出溶媒)
本抽出工程において使用する抽出溶媒は、ベンジル保護体の溶解度が高く、水と混和しないものであればよく、具体的には酢酸エステルや芳香族炭化水素が挙げられ、操作性を考慮すると、酢酸エステルを使用することが好ましく、特に酢酸エチルを使用することが好ましい。
本抽出工程において使用する抽出溶媒の量は、使用する抽出溶媒の種類に応じて適宜決定すれば良いが、操作性を考慮すると、用いたベンジル保護ケト体1gに対して、2mL以上200mL以下であることが好ましく、4mL以上150mL以下であることがより好ましい。
(抽出工程の条件)
本抽出工程において、前記二次反応工程で得られた二次反応液にアルコールを添加する温度は、添加時に発生した水素で反応液が突沸しない範囲であれば良く、具体的には−30℃以上10℃以下であれば良く、−20℃以上5℃以下であることが好ましく、−15℃以上0℃以下であることがより好ましい。アルコールを添加してから撹拌させる時間は特に制限されないが、通常10分以上60分以下である。本抽出工程において、前記二次反応液にアルコールを添加し、反応を停止させた溶液に希酸を添加する温度は、反応液が突沸しない範囲であれば良く、具体的には−30℃以上20℃以下であれば良く、−20℃以上15℃以下であることが好ましく、−10℃以上10℃以下であることがより好ましい。希酸を添加してから撹拌する時間は特に制限されないが、通常10分以上60分以下である。二次反応液にアルコール及び希酸を添加した後、さらに抽出溶媒を添加、混合しベンジル保護体を有機層に抽出する。ベンジル保護体を含有した有機層を抽出する温度は、使用する抽出溶媒の種類や量等により適宜決定すれば良く、ベンジル保護体が結晶化しない温度であればよく、操作性を考慮すると10℃以上55℃以下であることが好ましく、15℃以上50℃以下であることがより好ましい。
<析出工程>
析出工程は、前記抽出工程で得られたベンジル保護体を含有した有機層を適当な溶媒に交換した後、該溶媒に溶解したベンジル保護体を結晶化させる工程である。
(晶析溶媒)
本析出工程で使用する晶析溶媒は、炭素数1〜4のアルコールであれば良く、操作性や収率を考慮すると、エタノール及び2‐プロパノールが好ましく、2‐プロパノールが特に好ましい。
本析出工程で使用する晶析溶媒の量は、使用する晶析溶媒の種類に応じて適宜決定すれば良いが、操作性を考慮すると、用いたベンジル保護ケト体1gに対して、2mL以上100mL以下であることが好ましく、3mL以上80mL以下であることがより好ましい。
(貧溶媒)
本析出工程において、脂肪族炭化水素を貧溶媒として晶析溶媒に添加しても良い。脂肪族炭化水素としては、炭素数5〜8のものを使用することができ、好ましくは直鎖脂肪族炭化水素であり、特に好ましくはヘキサン及びヘプタンである。
貧溶媒を添加する場合の貧溶媒の量は、使用する晶析溶媒の種類に応じて適宜決定すれば良いが、操作性を考慮すると、晶析溶媒10容量部に対して、1容量部以上20容量部以下であることが好ましく、2容量部以上15容量部以下であることがより好ましい。
(析出工程の条件)
本析出工程において、溶媒交換を行う方法は、前記抽出工程で得た有機層の溶媒を留去した後、晶析溶媒を添加すれば良い。有機層の溶媒を留去する方法は特に制限されず、常圧で加熱して留去しても、減圧留去しても、良い。操作性やベンジル保護体の安定性を考慮すると、減圧留去を行うのが好ましい。減圧留去を行う場合、温度は0℃以上70℃以下であることが好ましく、3℃以上65℃以下であることがより好ましく、5℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。有機層の溶媒の留去後、溶媒交換するために、残渣として得られたベンジル保護体に晶析溶媒を添加する。
本析出工程において、溶媒交換後にベンジル保護体が結晶として析出するが、析出したベンジル保護体は、そのまま固液分離しても良く、加熱して溶解させた後、冷却して再結晶化させてから固液分離しても良い。操作性や得られるベンジル保護体の純度を考慮すると、加熱して溶解させた後、冷却して再結晶化させるのが好ましい。
再結晶化させる場合、ベンジル保護体を溶解させる温度は、使用する晶析溶媒の種類や量に応じて適宜決定すれば良いが、操作性を考慮すると、60℃以上晶析溶媒の沸点以下であることが好ましく、65℃以上75℃以下であることがより好ましい。
再結晶化させる場合、溶媒交換の際に溶媒として晶析溶媒に加えて貧溶媒を添加しても良い。貧溶媒を添加する場合、貧溶媒を添加する順序は特に制限されず、晶析溶媒と同時に有機層の溶媒を留去して得られた残渣に添加しても良く、晶析溶媒を投入して加熱し、残渣を溶解させてから添加しても良い。操作性や得られるベンジル保護体の純度を考慮すると、有機層の溶媒を留去して得られた残渣を晶析溶媒に加熱して溶解させた後、貧溶媒を添加するのが好ましい。
本析出工程において、ベンジル保護体の結晶を析出させる温度は、使用する晶析溶媒及び貧溶媒の種類や量等により適宜決定すれば良く、ベンジル保護体が結晶化する温度であればよく、操作性を考慮すると10℃以上60℃以下であることが好ましく、15℃以上58℃以下であることがより好ましい。また、結晶を成長させる温度も使用する良溶媒及び貧溶媒の種類や量等により適宜決定すれば良く、操作性や収率、得られる結晶の純度等を考慮すると、−20℃以上20℃以下であることが好ましく。−15℃以上15℃以下であることがより好ましく、−10℃以上10℃以下であることがさらに好ましい。結晶を成長させる時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。
本発明で得られたベンジル保護体は、公知の方法、例えば触媒量のパラジウム炭素存在下、水素添加を行うことによってエゼチミブとすることができるが、この際、ベンジル保護体の結晶は必ずしも乾燥体である必要はなく、本発明で使用した溶媒を含む湿体であっても良い。本発明によって得られるベンジル保護体は、異性体の含有量が少ないものであり、非常に高純度である。そのため、過度な精製操作を行うことなく、効率的に、高収率で、医薬品用途とし得る高純度のエゼチミブを製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
本実施例において、エゼチミブの純度、並びに、脱フルオロ体の不純物量の測定は、以下のように高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行なった。なお、本発明において、溶液の体積は25℃におけるものとする。
<純度及び不純物量測定方法>
装置:高速液体クロマトグラフ装置(ウォーターズ社製)。
検出器:紫外吸光光度検出器(ウォーターズ社製)。
測定波長:230nm。
カラム:ZORBAX SB‐C18、内径4.6mm、長さ150mm(アジレント・テクノロジー社製)。
カラム温度:25℃付近の一定温度。
緩衝液:リン酸二水素ナトリウム2.4gを水1000mLに溶解させた水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて液性をpH5.0としたもの。
移動相A:緩衝液/アセトニトリル=800/200(体積比)。
移動相B:緩衝液/アセトニトリル=200/800(体積比)。
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
流速:毎分1.0mL。
測定時間:65分。
上記条件において、ベンジル保護体は約22.2分、ベンジル保護ケト体は約27.5分、ジオール体は約18.1分、エゼチミブは8.9分にピークが確認される。以下の実施例、比較例において、上記化合物の純度または含有量は、上記条件で測定される全ピークの面積値(溶媒由来のピークを除く)の合計に対する各化合物のピークの面積値の割合である。
Figure 2017002008
<光学純度及び異性体量測定方法>
装置:高速液体クロマトグラフ装置(ウォーターズ社製)。
検出器:紫外吸光光度検出器(ウォーターズ社製)。
測定波長:230nm。
カラム:CHIRALCEL OD‐H、内径4.6mm、長さ250mm(ダイセル社製)。
カラム温度:25℃付近の一定温度。
移動相:エタノール/ヘキサン=50/950(体積比)。
流速:毎分1.0mL
測定時間45分。
上記条件において、ベンジル保護体は27.6分、R異性体は24.0分に検出される。以下の実施例、比較例において、上記化合物の純度または含有量は、上記条件で測定される全ピークの面積値(溶媒由来のピークを除く)の合計に対する各化合物のピークの面積値の割合である。
製造例
撹拌翼、温度計を取り付けた5L三つ口フラスコ内を窒素置換し、3‐[(3R,4S)‐[1‐(4‐フルオロフェニル)]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノン‐3‐イル]プロピオン酸280g及びジクロロメタン3000mLを加え、撹拌混合し、溶解させた。反応液に塩化オキサリル126gを加え、25℃で8時間撹拌した後、濃縮乾固し、THF700mLに溶解させ、3‐[(3R,4S)‐[1‐(4‐フルオロフェニル)]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノン‐3‐イル]プロピオニルクロリドのTHF溶液を取得した。10L三つ口フラスコに撹拌翼、温度計を取り付け、フラスコ内を窒素置換し、塩化亜鉛180g、4‐フルオロフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(濃度1モル/L)1320mLを加え、撹拌混合し、0℃に冷却した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム76.1gを添加し、3‐[(3R,4S)‐[1‐(4‐フルオロフェニル)]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノン‐3‐イル]プロピオニルクロリドのTHF溶液を滴下し、同温で3時間撹拌した。20℃付近に昇温した後、希塩酸1500mL及び酢酸エチル5000mLを加え、有機層を抽出した。得られた有機層を10%食塩水1000mLで洗浄し、有機層を減圧下濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ベンジル保護ケト体883gを取得した。
実施例1
撹拌翼、温度計を取り付けた500mL三つ口フラスコ内を窒素置換し、THF200mL及びCBS触媒1.11g(ベンジル保護ケト体に対して0.1当量)を投入し、撹拌混合した。反応液を−10℃まで冷却し、ジメチルスルフィドボラン1.83g(ベンジル保護ケト体に対して0.6当量)を加え、同温で30分間撹拌した。反応液にベンジル保護ケト体20.0gを添加し、同温で1時間撹拌した。反応液の温度を保ったままボラン0.37g(ベンジル保護ケト体に対して0.15当量)を加え、さらに2時間撹拌した。反応終点での反応液中のベンジル保護体含有量は83.42%、ジオール体含有量は6.52%であった。反応液にメタノール20mLを加え、30分間撹拌し、1M塩酸50mLを加え、さらに30分間撹拌した。反応液を25℃付近まで昇温し、酢酸エチル100mLを加え、有機層を抽出した。得られた有機層を10%食塩水200mLで洗浄し、有機層を減圧下濃縮した。残渣に2‐プロパノール100mLを加え、75℃に加熱し固体を溶解させ、反応液にヘプタン100mLを加えた。反応液を2℃付近まで冷却して固体を析出させ、析出した結晶を減圧濾過によって濾取し、2‐プロパノール20mLとヘプタン20mLの混合液で洗浄し、減圧乾燥して、ベンジル保護体16.71g(ベンジル保護体:純度98.8%、ジオール体含有量0.47%、光学異性体含有量0.99%)を得た(収率83.2%)。
実施例2
実施例1において、錯形成工程で添加するジメチルスルフィドボランを1.98g(ベンジル保護ケト体に対して0.65当量)、二次反応工程で添加するジメチルスルフィドボランを0.47g(ベンジル保護ケト体に対して0.15当量)に変更した以外は同様の操作を行い、ベンジル保護体16.05g(ベンジル保護体:純度98.1%、ジオール体含有量0.59%、光学異性体含有量0.91%)を得た(収率79.6%)。尚、反応終了時点でのベンジル保護体の含有量は81.98%、ジオール体の含有量は7.14%であった。
実施例3
実施例1において、錯形成工程で添加するジメチルスルフィドボランを1.22g(ベンジル保護ケト体に対して0.4当量)、二次反応工程で添加するジメチルスルフィドボランを1.22g(ベンジル保護ケト体に対して0.4当量)に変更した以外は同様の操作を行い、ベンジル保護体16.49g(ベンジル保護体:純度99.0%、ジオール体含有量0.30%、光学異性体含有量1.13%)を得た(収率82.1%)。尚、反応終了時点でのベンジル保護体の含有量は87.21%、ジオール体の含有量は4.94%であった。
実施例4
攪拌翼、温度計、冷却器を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、実施例1で取得したベンジル保護体3.0gを投入し、2‐プロパノール30mLを加え撹拌混合し、パラジウム炭素0.15gを分散させた。反応液に、ギ酸1.11g及びギ酸アンモニウム0.38gを添加し、40℃付近で3時間撹拌した。反応液を濾過して不溶物を除去し、ろ液に水15mLを加えて固体を析出させた。得られたスラリーを3℃に冷却して8時間撹拌した後、析出した結晶を減圧濾過によって濾取し、2‐プロパノール2mLと水1mLの混合液で洗浄し、減圧乾燥して、エゼチミブ粗体の結晶2.0g(エゼチミブ:純度99.8%、光学異性体含有量0.22%)を得た。攪拌翼、温度計、冷却器を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、エゼチミブ粗体2.0gを投入し、エタノール20mL及び水10mLを加え撹拌混合し、60℃に加熱して固体を溶解させた。反応液を2℃付近に冷却して4時間撹拌した後、析出した結晶を減圧濾過によって濾取し、エタノール1.3mLと水0.7mLの混合液で洗浄し、減圧乾燥してエゼチミブ1.8g(エゼチミブ純度99.9%、光学異性体未検出)を得た(収率74.4%)。
比較例1
撹拌翼、温度計を取り付けた500mL三つ口フラスコ内を窒素置換し、THF200mL、CBS触媒1.11g(ベンジル保護ケト体に対して0.1当量)及びベンジル保護ケト体20.0gを投入し、撹拌混合した。反応液を−10℃まで冷却し、ジメチルスルフィドボラン2.20g(ベンジル保護ケト体に対して0.75当量)を加え、同温で8時間撹拌した。反応終点での反応液中のベンジル保護体の含有量は83.05%、ジオール体含有量は5.59%であった。反応液にメタノール20mLを加え、30分間撹拌し、1M塩酸50mLを加え、さらに30分間撹拌した。反応液を25℃付近まで昇温し、酢酸エチル100mLを加え、有機層を抽出した。得られた有機層を10%食塩水200mLで洗浄し、有機層を減圧下濃縮した。残渣に2‐プロパノール100mLを加え、75℃に加熱し固体を溶解させ、反応液にヘプタン100mLを加えた。反応液を2℃付近まで冷却して固体を析出させ、析出した結晶を減圧濾過によって濾取し、2‐プロパノール20mLとヘプタン20mLの混合液で洗浄し、減圧乾燥して、ベンジル保護体16.39g(ベンジル保護体:純度97.9%、ジオール体含有量0.42%、光学異性体含有量13.99%)を得た(収率81.6%)。
比較例2
撹拌翼、温度計を取り付けた500mL三つ口フラスコ内を窒素置換し、THF200mL及びCBS触媒1.11g(ベンジル保護ケト体に対して0.1当量)を投入し、撹拌混合した。反応液を−10℃まで冷却し、ジメチルスルフィドボラン2.20g(ベンジル保護ケト体に対して0.75当量)を加え、同温で30分間撹拌した。反応液にベンジル保護ケト体20.0gを添加し、同温で2時間撹拌した。反応終点での反応液中のベンジル保護体含有量は69.91%、ジオール体含有量は12.79%であった。反応液にメタノール20mLを加え、30分間撹拌し、1M塩酸50mLを加え、さらに30分間撹拌した。反応液を25℃付近まで昇温し、酢酸エチル100mLを加え、有機層を抽出した。得られた有機層を10%食塩水200mLで洗浄し、有機層を減圧下濃縮した。残渣に2‐プロパノール100mLを加え、75℃に加熱し固体を溶解させ、反応液にヘプタン100mLを加えた。反応液を2℃付近まで冷却して固体を析出させ、析出した結晶を減圧濾過によって濾取し、2‐プロパノール20mLとヘプタン20mLの混合液で洗浄し、減圧乾燥して、ベンジル保護体13.82g(ベンジル保護体:純度98.0%、ジオール体含有量0.69%、光学異性体含有量1.02%)を得た(収率68.8%)。
比較例3
比較例1で取得したベンジル保護体を用いて、実施例4と同様の操作を行った。エゼチミブ粗体として1.8g(エゼチミブ純度99.2%、光学純度7.79%)を取得し、エゼチミブ1.4g(エゼチミブ純度99.7%、光学異性体含有量4.69%)を得た(収率57.9%)。

Claims (5)

  1. 触媒量の下記式(1)
    Figure 2017002008
    (Rは任意のアルキル基又はアリル基)
    で示される化合物の存在下、ボランを用いて下記式(2)
    Figure 2017002008
    で示される(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3‐オキソ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンの不斉還元反応を行い、下記式(3)
    Figure 2017002008
    で示される(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンを製造する方法において、上記式(1)で示される化合物及び使用するボランの量の一部が存在する反応系中に(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3‐オキソ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンを添加して不斉還元反応を行い、その後、ボランの残部を添加し不斉還元反応を再進行させることを特徴とする(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンの製造方法。
  2. 触媒量の下記式(1)
    Figure 2017002008
    (Rは任意のアルキル基又はアリル基)
    で示される化合物と使用するボランの量の一部を混合し、反応活性種を含む溶液を得る錯形成工程、反応活性種を含む溶液に(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3‐オキソ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンを添加して不斉還元反応を行い、一次反応液を得る一次反応工程、一次反応液にボランの残部を添加し不斉還元反応を再進行させ、二次反応液を得る二次反応工程、二次反応液にアルコール及び希酸を加えて反応を停止させ、抽出溶媒を加えて(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンを含む有機層を得る抽出工程、(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンを含む有機層を溶媒交換した後、(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンを結晶化させる析出工程を含む、請求項1に記載の(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンの製造方法。
  3. 使用するボランの量が(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3‐オキソ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノン1.0モルに対して0.7モル以上1.2モル以下であり、使用するボランの量の一部が(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3‐オキソ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノン1.0モルに対して0.40モル以上0.65モル以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 使用するボランの量の一部の存在下、不斉還元反応を行う際の反応時間が30分以上である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法で製造した(3R,4S)‐1‐(4‐フルオロフェニル)‐[3(S)‐ヒドロキシ‐3‐(4‐フルオロフェニル)プロピル]‐[4‐(フェニルメトキシ)フェニル]‐2‐アゼチジノンを、触媒量のパラジウム炭素存在下、水素添加によって脱保護し、下記式(4)
    Figure 2017002008
    で示されるエゼチミブを製造することを特徴とするエゼチミブの製造方法。
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