以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態では、操作装置101及び車両用シフト装置500について説明する。先ず、操作装置101を用いた車両用シフト装置500について説明を行う。図1は、本発明の第1実施形態に係わる操作装置101を用いた車両用シフト装置500を説明する斜視図である。図2は、図1に示すZ1側から見た車両用シフト装置500の上面図である。図3(a)は、図1に示すY2側から見た車両用シフト装置500の正面図であり、図3(b)は、図1に示すX1側から見た車両用シフト装置500の側面図である。図4は、車両用シフト装置500の分解斜視図である。
本発明の第1実施形態の操作装置101を用いた車両用シフト装置500は、図1ないし図3に示すような箱状の外観を呈し、図4に示すように、操作者によって把持されるシフトノブ50Nと、操作者によるシフトノブ50Nの傾倒操作を受けて多方向への操作が行える操作装置101と、操作装置101からの信号を受けて車両側機器に信号を送信する制御部50Cと、操作装置101の操作部材1が位置する複数のポジションを検出する位置検出手段(図示していない)と、を備えて構成されている。他に、本発明の第1実施形態では、車両用シフト装置500は、図4に示すように、操作装置101の主要な部分(後述する図6(a))を覆うように配設された箱状のケースK1(枠体として支持体2の一部を担っている)と、ケースK1の開口部K1kを覆うカバーK2と、ケースK1に収容され制御部50Cが搭載された配線基板19と、を有している。そして、この車両用シフト装置500は、車両に搭載され、第1方向D1(図3(a)に示すX方向)と第1方向D1と直交する第2方向D2(図3(b)に示すY方向)との傾倒操作が行える、車両のシフト操作のために用いられる。
先ず、車両用シフト装置500のシフトノブ50Nは、図4に示すように、操作者によって把持し易いように細長い形状で形成され、図1及び図3に示すように、図4に示す操作装置101の操作部材1(後述する操作軸11)を覆うようにして係合されて配設されている。
次に、車両用シフト装置500の制御部50Cは、集積回路(IC、Integrated Circuit)を用いて構成され、箱状のケースK1に収容された配線基板19(図4を参照)に搭載されている。そして、制御部50Cは、図示していないコネクタを介して車両側機器に接続され、シフトノブ50Nの傾倒操作を受けて操作がされた位置情報信号を車両側機器に送信している。この位置情報信号を受けて、車両側では、シフトパターンに対応した動作を行うとともに、シフトパターンにおけるシフトノブ50Nのポジションをインストルメントパネル等に設けられた表示部に表示するようにしている。
次に、車両用シフト装置500の位置検出手段は、図示はしていないが、抵抗体パターンが形成された基板と抵抗パターンを摺接する摺動子とから構成される回転型可変抵抗器を用いており、第1方向D1の傾倒操作での複数のポジションを検出するための第1位置検出器と、第2方向D2の傾倒操作での複数のポジションを検出するための第2位置検出器と、を有して構成されている。そして、第1位置検出器及び第2位置検出器は、箱状のケースK1に収容されている。なお、後述するが、第1位置検出器が支持体2の傾倒軸(第1傾倒軸)21j(後述する図7(b)を参照)に係合されて傾倒軸21jの回転角度を検出しているとともに、第2位置検出器が支持体2の第2傾倒軸22j(後述する図7(a)を参照)に係合されて第2傾倒軸22jの回転角度を検出している。
また、位置検出手段には、第1位置検出器及び第2位置検出器からのそれぞれの信号を処理する第1信号処理部51S及び第2信号処理部52Sを有しており、第1信号処理部51S及び第2信号処理部52Sは、図4に示すように、配線基板19に搭載されている。また、第1信号処理部51S及び第2信号処理部52Sのそれぞれは、図示しないフレキシブルプリント基板(FPC、Flexible printed circuits)を介して、第1位置検出器及び第2位置検出器のそれぞれに接続されている。そして、第1信号処理部51Sは、第1位置検出器からの信号に基づいて第2傾倒軸22jの回転角度を算出し、この回転角度から操作部材1の第1方向D1への移動を検出している。同様にして、第2信号処理部52Sは、第2位置検出器からの信号に基づいて傾倒軸21jの回転角度を算出し、この回転角度から操作部材1の第2方向D2への移動を検出している。
最後に、車両用シフト装置500のケースK1、カバーK2及び配線基板19について説明する。先ず、車両用シフト装置500のケースK1は、軟磁性体である鋼板に曲げ加工を行って作製されており、図4に示すように、一方面が開放された開口部K1kを有して、箱状に形成されている。このケースK1には、操作装置101の主要部分や配線基板19等が収容されている。
また、ケースK1には、図1に示すように、天井面の中央部に設けられた第1貫通孔K1aと、シフトノブ50N(操作軸11)を挟んで天井面にそれぞれ設けられた4つの第2貫通孔K1bと、対向する一対の側面(図1に示すY方向側の面)にそれぞれ設けられた4つの第3貫通孔K1c(図1に示すY1方向側の側面の2つの第3貫通孔K1cは隠れて図示されていない)と、2つの第3貫通孔K1cの間に設けられた第4貫通孔K1d(図1に示すY1方向側の第4貫通孔K1dは隠れて図示されていない)と、が形成されている。
そして、第1貫通孔K1aには、図4に示すように、操作装置101の操作軸11(操作部材1)が挿通されて、操作軸11の一方側がケースK1の天井面の上方側に露出している。また、図2に示すように、車両用シフト装置500をZ1側から上面視すると、第2貫通孔K1bから操作装置101の変更手段S8(後述するネジ部品)が臨まれる。また、図3(a)に示すように、車両用シフト装置500をY2側から側面視すると、第3貫通孔K1cからも操作装置101の変更手段S8が臨まれる。また、第4貫通孔K1dには、図1に示すように、操作装置101の第2傾倒軸22j(後述する)が挿通されている。
次に、車両用シフト装置500のカバーK2は、軟磁性体である鋼板に抜き加工を行って作製されており、図4に示すように、ケースK1の開口部K1kを覆う形状で形成されている。これにより、ケースK1及びカバーK2が軟磁性体である鋼板から形成されているので、車両用シフト装置500が組み立てられた際には、操作装置101を構成する磁性体(後述する、可動側磁性体MM、対向側磁性体TM、傾倒側磁性体KM)から発生する磁気が、ケースK1及びカバーK2から外部に漏れることを防止することができる。このことにより、外部機器への磁気により悪影響を防止することができる。なお、図示はしていないが、カバーK2はケースK1と係合されている。
次に、車両用シフト装置500の配線基板19は、一般的な片面のプリント配線板(printed wiring board)を用いており、前述したように、制御部50C及び信号処理部(51S、52S)が搭載されている。また、配線基板19には、図示はしていないが、信号処理部(51S、52S)と位置検出手段との電気的接続のためのフレキシブルプリント基板が接続されているとともに、外部機器との接続のためのコネクタが搭載されている。
ここで、本発明の第1実施形態における、操作装置101を用いた車両用シフト装置500のシフト操作について、図5を用いて具体的に説明する。図5は、車両用シフト装置500の操作を具体的に説明する図であって、図5(a)は、車両のシフトの配置(シフトパターン)を示した平面図であり、図5(b)は、シフトノブ50Nのポジション位置を示した平面図である。図5(a)に示すシフトパターンは、前述したインストルメントパネル等に設けられた表示部に表示される。また、図5(b)に示すポジション位置は、シフトノブ50N(操作部材1)が操作されて、操作部材1が移動した位置を模式化したものである。
本発明の第1実施形態の車両用シフト装置500は、シフトノブ50Nが変速機に直接接続されている機械制御方式の車両ではなく、電子制御方式の車両に適用される。故に、操作装置101から送信されるシフト位置の情報信号だけで、車両のシフト操作が行われる。このシフト位置は、前述したインストルメントパネル等に設けられた表示部に表示されたシフトパターンに示されている。
例えば、シフトノブ50N(操作部材1)が図5(b)に示す第2ポジションP2に位置し、シフト位置が図5(a)に示すニュートラルモード“N”に位置する場合、シフトノブ50NをY1方向に傾倒操作して、図5(b)に示す前1段ポジションS21にすると、図5(a)に示すリバースモード“R”にシフト位置が移動したという情報信号が車両側に送信され、車両のシフト操作が行われる。そして、操作者は、操作が完了したためシフトノブ50Nから手を離すので、シフトノブ50Nが自動復帰して、第2ポジションP2に戻るようになる。
また、その後の操作で、第2ポジションP2に位置するシフトノブ50NをY2方向に傾倒操作し、図5(b)に示す後1段ポジションS23、後2段ポジションS24と順に操作すると、リバースモード“R”にあったシフト位置が、図5(a)に示すニュートラルモード“N”、ドライブモード“D”へと順に移動する。この操作を受けて、図5(a)に示すドライブモード“D”にシフト位置が移動したという情報信号が車両側に送信され、車両のシフト操作が行われる。そして、操作者は、操作が完了したためシフトノブ50Nから手を離すので、シフトノブ50Nが自動復帰して、第2ポジションP2に戻るようになる。
このようにして、車両用シフト装置500は、リバースモード“R”、ニュートラルモード“N”及びドライブモード“D”を有するオート操作に対して、基準位置であるオート操作ポジションを操作装置101の操作部材1の第2ポジションP2に割り付けて使用している。この際に、前述したように、リバースモード“R”からドライブモード“D”に切り換えるため、操作装置101の操作部材1は、後1段ポジションS23、後2段ポジションS24とY2方向に2段に傾倒操作できるようになっている。同様にして、ドライブモード“D”からリバースモード“R”に切り換えるため、操作装置101の操作部材1は、図5(b)に示す前1段ポジションS21、前2段ポジションS22とY1方向に2段に傾倒操作できるようになっている。なお、操作装置101の操作部材1のY方向への移動方向、所謂傾倒方向を、車両のシフト操作の第2方向D2として割り付けを行っている。
一方、例えば、図5(a)に示すドライブモード“D”にシフト位置がある場合、第2ポジションP2に位置するシフトノブ50NをX2方向に傾倒操作し、図5(b)に示す操作部材1の第1ポジションP1にすると、ドライブモード“D”にあったシフト位置が、図5(a)に示すマニュアルモード“M”に移動する。この際に、操作者がシフトノブ50Nから手を離しても、操作部材1(シフトノブ50N)は、第1ポジションP1に留まり、操作部材1の傾倒状態をそのまま維持している。
また、その後の操作で、第1ポジションP1に位置するシフトノブ50NをY1方向に傾倒操作し、図5(b)に示す前方ポジションS11にすると、図5(a)に示すシフトアップモード“+”にシフト位置が移動したという情報信号が車両側に送信され、車両のシフトアップ操作が行われる。同様にして、第1ポジションP1に位置するシフトノブ50NをY2方向に傾倒操作し、図5(b)に示す後方ポジションS13にすると、図5(a)に示すシフトダウンモード“−”にシフト位置が移動したという情報信号が車両側に送信され、車両のシフトダウン操作が行われる。
このようにして、車両用シフト装置500は、シフトアップモード“+”及びシフトダウンモード“−”を有するマニュアル操作に対して、基準位置であるマニュアル操作ポジションを操作装置101の操作部材1の第1ポジションP1に割り付けて使用している。なお、操作装置101の操作部材1が第1ポジションP1と第2ポジションP2とを移動するX方向への移動方向、所謂傾倒方向を、車両のシフト操作の第1方向D1として割り付けを行っている。また、図3及び図4でも、説明を分かり易くするため、傾倒操作の第1方向D1及び第2方向D2を図示している。
次に、操作装置101について説明する。図6は、本発明の第1実施形態の操作装置101を説明する図であって、操作装置101の主要な部分の斜視図である。図7(a)は、図6に示すY2側から見た正面図であり、図7(b)は、図6に示すX1側から見た側面図である。図8は、図6に示す固定部材3を省略した斜視図である。図9は、図8に示す支持体2の傾倒部材23を省略した斜視図である。図10(a)は、図9に示すY2側から見た正面図であり、図10(b)は、図9に示すX1側から見た側面図である。なお、図6ないし図10は、操作部材1が、第1方向D1の第1ポジションP1に位置する状態で、第2方向D2の傾倒操作がされない基準位置にある場合を示している。
本発明の第1実施形態の操作装置101は、図6及び図7に示すような外観を呈し、図6ないし図10に示すように、操作者の操作を受けて傾倒動作可能な操作部材1と、操作部材1を傾倒動作可能に支持する支持体2と、操作部材1とともに第2方向D2へ傾倒動作する複数の可動側磁性体MMと、複数の可動側磁性体MMのそれぞれと対向して配置された複数の対向側磁性体TMと、対向側磁性体TMの傾倒動作を止めるストッパー部6(後述する図12及び図13(b)を参照)と、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとの相対位置を変える変更手段S8と、を備えて構成されている。他に、操作装置101は、図7(b)に示すように、対向側磁性体TMの上方を覆うようにして配設された固定部材3と、図7(a)に示すように、操作部材1とともに第1方向D1(図7(a)に示すX1方向及びX2方向)へ傾倒動作する複数の傾倒側磁性体KMと、傾倒側磁性体KMと対向配置された傾倒側基体部KL5と、を有している。そして、操作装置101は、操作者の傾倒操作を受けて、操作部材1が第1ポジションP1及び第2ポジションP2(図5(b)を参照)間を移動する第1方向D1の傾倒動作と、第1方向D1と直交する第2方向D2(図7(b)に示すY1方向及びY2方向)の傾倒動作と、が行える多方向への操作が可能な装置となっている。
先ず、操作装置101の操作部材1について説明する。図11は、操作部材1を説明する図であって、図11(a)は、操作部材1の斜視図であり、図11(b)は、図11(a)に示すX1側から見た操作部材1の側面図である。
操作部材1は、非磁性体からなるポリブチレンテレフタレート(PBT、poly butylene terephtalate)等の合成樹脂材を成形して作製されており、図11に示すように、垂直方向(図11に示すZ方向)に延設された操作軸11と、操作軸11の他端側に設けられ操作軸11の軸中心が貫く平面に広がる基体部12と、基体部12の下方(図11に示すZ2方向)に設けられた脚部13と、を有して構成されている。
操作部材1の操作軸11は、図11に示すように、円柱状に形成され、操作軸11の他端側が基体部12と係合されている。また、この操作軸11の一方側(図6に示すZ1方向側)から、前述したように、車両用シフト装置500のシフトノブ50Nが覆われて配設される。なお、この操作軸11は、詳細な係合機構の図示はしていないが、シフトノブ50Nが係合されて固定されるようになる。
操作部材1の基体部12は、図11に示すように、操作軸11の軸中心が貫く平面に設けられ操作軸11を挟んで左右(図8に示すY1方向及びY2方向)に延設して形成されている。また、基体部12の中央部分には、操作軸11の軸中心と直交する貫通孔1hが設けられており、この貫通孔1hには、操作部材1の傾倒動作を可能にする傾倒軸(第1傾倒軸)21jが挿通されて嵌合されている。そして、操作部材1の第2方向D2(図6に示すY方向)への傾倒動作に伴って、基体部12も連動して傾倒動作を行うように構成されている。なお、第2方向D2への傾倒動作に伴って、脚部13も連動して傾倒動作を行うように構成されている。
また、基体部12は、操作装置101が組み立てられた際には、図10(b)に示すように、複数の可動側磁性体MMの間に配設されて、基体部12が傾倒軸21jを軸中心として回動した際には、可動側磁性体MMと当接するように構成されている。なお、本発明の第1実施形態では、図11に示すように、可動側磁性体MM(後述する第1可動側磁性体MF14)と平行となる面側(図10(b)示すZ2側)を第1押圧部1pとし、可動側磁性体MM(後述する第2可動側磁性体MF24)に対して傾斜している面側(図10(b)に示すZ1側)を第2押圧部1qとしている。
操作部材1の脚部13は、図11(a)に示すように、第1方向D1(図11(a)に示すX方向)延設した矩形状をしているとともに、図7(a)及び図10(a)に示すように、両端部が下方に曲げられた形状をしている。そして、操作部材1の第1方向D1及び第2方向D2(図7を参照)への傾倒動作に伴って、脚部13も連動して傾倒動作を行うように構成されている。なお、操作部材1として合成樹脂材を用いたが、これに限るものではなく、例えば、亜鉛(Zn)等の金属材を用いても良い。
次に、操作装置101の支持体2について説明する。図12は、支持体2を説明する図であって、傾倒部材23の斜視図である。支持体2は、図8に示すように、軸線方向が操作部材1の操作軸11と直交する傾倒軸(第1傾倒軸)21jと、軸線方向が操作軸11及び傾倒軸21jと直交する第2傾倒軸22jと、操作部材1の傾倒操作(第1方向D1への傾倒動作)に応じて第2傾倒軸22jを回動中心として回動する傾倒部材23と、第2傾倒軸22jが挿通され傾倒部材23を回動可能に支持している枠体(図示していない)と、から主に構成されている。なお、本発明の第1実施形態では、前述したが、枠体として、ケースK1を用いている。
支持体2の傾倒軸21j(第1傾倒軸)は、亜鉛(Zn)等の金属材を用いて作製されており、図9に示すように、円柱形状に形成され、基体部12の貫通孔1h(図11を参照)に挿入されて嵌合されているとともに、図8に示すように、回動可能に傾倒部材23に遊嵌されている。これにより、この傾倒軸21jを軸中心として、操作部材1の第2方向D2への傾倒動作を可能にしている。また、傾倒軸21jには、複数の可動側磁性体MMが回動可能に遊嵌されている。
支持体2の第2傾倒軸22jは、亜鉛(Zn)等の金属材を用いて作製されており、図9に示すように、円柱形状に形成され、操作軸11を挟んで第2方向D2側に1つずつ配設されている。そして、第2傾倒軸22jは、図8に示すように、傾倒部材23に嵌合されているとともに、図1に示すように、ケースK1(枠体)に設けられた第4貫通孔K1dに回動可能に挿通されている。
支持体2の傾倒部材23は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂材を成形して作製されており、図12に示すように、対向する2つのブロック状のベース体23gと、ベース体23gを連結し対向して配設された2つの連結壁23rと、で枠状形状に形成されている。そして、操作装置101が組み立てられた際には、図8に示すように、傾倒部材23の枠内に、操作部材1の基体部12(図示されていない)、複数の可動側磁性体MM及び複数の対向側磁性体TMが収容される。
傾倒部材23のベース体23gには、図12に示すように、対向する位置にそれぞれ第1穴部23aが形成されており、前述したように、この第1穴部23aに傾倒軸21jが挿通されて(図8を参照)、傾倒軸21jが回動可能に傾倒部材23に支持されている。これにより、この傾倒軸21jを軸中心(回動軸)として、操作部材1が第2方向D2への回動できるようになっており、それに伴って操作部材1の基体部12も、この傾倒軸21jを軸中心として回動するようになっている。また、ベース体23gの上面側には、後述するストッパー部6が設けられている。
傾倒部材23の連結壁23rには、図12に示すように、中央の部分で対向する位置にそれぞ設けられた第2穴部23bと、第2穴部23bを挟んだ両側の部分にそれぞれ設けられた第3穴部23cと、が形成されている。
連結壁23rの第2穴部23bには、前述したように、第2傾倒軸22jが挿通されて連結壁23rに嵌合されている(図8を参照)。そして、第2傾倒軸22jは、枠体(ケースK1)に回動可能に支持されている。これにより、この第2傾倒軸22jを回動軸(軸中心)として、傾倒部材23が第1方向D1への回動できるようになっており、傾倒部材23に係合された操作部材1も、この第2傾倒軸22jを軸中心として回動するようになっている。以上のことから、支持体2は、傾倒軸(第1傾倒軸)21jと第2傾倒軸22jと傾倒部材23と枠体(ケースK1)とを用いて、操作部材1を傾倒動作可能に支持していることとなる。
連結壁23rの第3穴部23cには、後述するネジ部品(変更手段S8の第1ボルト81)が挿入される。また、この第3穴部23cは、側面視して、ケースK1の第3貫通孔K1cと同じ投影位置に設けられており、図3(a)に示すように、操作装置101の変更手段S8(第1ボルト81)が臨まれるようになっている。
次に、操作装置101の固定部材3について説明する。図13は、固定部材3を説明する図であって、図13(a)は、固定部材3の上方斜視図であり、図13(b)は、固定部材3の下方斜視図である。固定部材3は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂材を成形して作製されており、図13に示すように、矩形で平板状のベース板3vと、ベース板3vの四方端から下方に延設された側壁3wと、から構成されて、下方が開放された箱状形状に形成されている。そして、操作装置101が組み立てられた際には、固定部材3は、図6及び図7に示すように、支持体2の傾倒部材23に載置されて、可動側磁性体MM及び対向側磁性体TMの上方を覆うようにして配設される。その際には、図7(b)に示すように、固定部材3と傾倒部材23とで、対向側磁性体TMの一部を挟持して支持するように構成されている。
また、固定部材3のベース板3vには、図13に示すように、中央部分に円形形状の第1貫通穴3aが設けられているとともに、第1貫通穴3aを挟んだ両側にそれぞれ2つの第2貫通穴3b(全部で4つ)が設けられている。この第1貫通穴3aには、図6に示すように、操作部材1の操作軸11が挿通されるようになり、第1貫通穴3aは、操作部材1の可動が可能な大きさで形成されている。また、4つの第2貫通穴3bは、上面視して、ケースK1の第2貫通孔K1bと同じ投影位置に設けられており、図2に示すように、操作装置101の変更手段S8が臨まれるようになっている。
また、固定部材3の側壁3wには、その下方端に、後述するストッパー部6が設けられている。このストッパー部6が設けられている部分は、固定部材3と支持体2の傾倒部材23とで対向側磁性体TMの一部を挟持している部分に相当し、この部分には、前述したように、傾倒部材23側にもストッパー部6が設けられている。
次に、操作装置101の傾倒側磁性体KM及び傾倒側基体部KL5について説明する。先ず、操作装置101の傾倒側磁性体KMは、図7(a)及び図10(a)に示すように、永久磁石EM4と永久磁石EM4の3面を囲むように配設されたヨークYM4とからなる磁性体であり、操作部材1が第1ポジションP1に移動した際に(図7(a)の状態)、傾倒側基体部KL5と当接または近接する第1傾倒磁石K14と、操作部材1が第2ポジションP2に移動した際に、傾倒側基体部KL5と当接または近接する第2傾倒磁石K24と、を組み合わせて構成されている。そして、傾倒側磁性体KMの第1傾倒磁石K14及び第2傾倒磁石K24は、支持体2の傾倒部材23に配設されて固定されて、操作部材1の第1方向D1への傾倒動作と連動して傾倒動作を行うように構成されている。なお、傾倒側磁性体KMを配設する際には、傾倒側基体部KL5と対向する対向面以外の部分をヨークYM4が永久磁石EM4を覆うようにした向きで配設する。
次に、操作装置101の傾倒側基体部KL5について説明する。傾倒側基体部KL5は、鉄等の軟磁性体からなり、図6及び図7に示すように、方形で板状形状をしており、図示はしていないが、ケースK1に固定されている。そして、傾倒側基体部KL5の第1方向D1(図6に示すX方向)の両側には、図7(a)に示すように、傾倒側磁性体KMが対向配置されるように構成されている。
また、傾倒側基体部KL5には、図9に示すように、可動側磁性体MMと対向する位置に、円形形状で貫通した貫通穴KL5hが4つ形成されている(図9では1つが隠れている)。これにより、傾倒側基体部KL5を下方側(図9に示すZ2方向側)から見ると、可動側磁性体MMがこの貫通穴KL5hから臨まれる。但し、後述する変更手段S8が、可動側磁性体MMとの間に配設されているので、変更手段S8も同時に臨まれる。
ここで、操作部材1が第1ポジションP1と第2ポジションP2とを移動する第1方向D1(図5(b)を参照)の動きについて説明する。
先ず、図7(b)に示す基準位置である第1ポジションP1から、操作者によりX1方向に傾倒操作がされて基準位置である第2ポジションP2に操作部材1が位置する際には、軟磁性体の傾倒側基体部KL5と傾倒側磁性体KM(第2傾倒磁石K24)とは対向して配置されているので、傾倒側基体部KL5と第2傾倒磁石K24とが引き合うようになる。そして、操作部材1が第2ポジションP2に留まり、操作部材1の傾倒状態がそのまま維持されるようになる。同時に、第1ポジションP1(図6(b)に示す状態)で互いに引き合っていた傾倒側基体部KL5と第1傾倒磁石K14とが引き剥がされるので、操作者に対して、強い吸引状態から弱い吸引状態への変化による節度感を与えることができる。
次に、基準位置である第2ポジションP2から、操作者によりX2方向に傾倒操作がされて基準位置である第1ポジションP1(図6(b)に示す状態)に操作部材1が位置する際には、同様に軟磁性体の傾倒側基体部KL5と傾倒側磁性体KM(第1傾倒磁石K14)とは対向して配置されているので、傾倒側基体部KL5と第1傾倒磁石K14とが引き合うようになる。そして、操作部材1が第1ポジションP1に留まり、操作部材1の傾倒状態がそのまま維持されるようになる。同時に、第2ポジションP2で互いに引き合っていた傾倒側基体部KL5と第2傾倒磁石K24とが引き剥がされるので、操作者に対して、強い吸引状態から弱い吸引状態への変化による節度感を与えることができる。
このように、永久磁石EM4と軟磁性体の傾倒側基体部KL5という簡単な部品で、強い吸引力を生じさせることができ、操作部材1を第1ポジションP1及び第2ポジションP2に容易に固定することができる。更に、この永久磁石EM4がヨークYM4で覆われているので、簡単な構成で、より強い吸引力を生じさせることができる。
次に、操作装置101の対向側磁性体TM及び可動側磁性体MMについて説明する。図14は、本発明の対向側磁性体TM及び可動側磁性体MMを説明する図であって、図14(a)は、対向側磁性体TMの斜視図であり、図14(b)は、可動側磁性体MMの斜視図である。図15は、本発明の第1実施形態の対向側磁性体TM及び可動側磁性体MMを説明する図であって、図15(a)は、図10(b)に示す第1可動側磁性体MF14を省略した側面図であり、図15(b)は、図10(b)に示す第2可動側磁性体MF24を省略した側面図である。
先ず、操作装置101の対向側磁性体TMは、図14(a)に示すように、永久磁石EM4と永久磁石EM4の四方を囲むように配設されたホルダHD4とから構成されており、図15に示すように、傾倒軸21jを挟んで設けられた第1対向側磁性体TF14と第2対向側磁性体TF24を有している。なお、本発明の第1実施形態では、操作部材1が傾倒操作される一方向側(図15に示すY1方向側)に配設される対向側磁性体TMを第1対向側磁性体TF14とし、他方向側(図15に示すY2方向側)に配設される対向側磁性体TMを第2対向側磁性体TF24としている。
また、対向側磁性体TMのホルダHD4は、図14(a)に示すように、永久磁石EM4を収容できるような枠状に形成されており、長手方向(図14(a)に示すX方向)に延設され、長手方向の両端側には、突設された凸部HD4tがそれぞれ形成されている。そして、図7(b)に示すように、この凸部HD4tが固定部材3と傾倒部材23とに挟持されることにより、対向側磁性体TM(第1対向側磁性体TF14及び第2対向側磁性体TF24)が固定される。
また、対向側磁性体TMのホルダHD4には、傾倒部材23の第3穴部23cと対向する片側の側面に、図14(a)に示すように、ホルダHD4の枠を貫通する孔部HD4hが2つ設けられている。この孔部HD4hには、ネジ溝(後述する変更手段S8でもある)が切られており、後述するネジ部品(変更手段S8の第1ボルト81)が装着される。なお、ホルダHD4として、合成樹脂等の非磁性の材料を用いたが、鉄等の軟磁性体を用い、永久磁石EM4のヨークの機能を持たせても良い。
次に、操作装置101の可動側磁性体MMは、鉄等の軟磁性体からなり、図9及び図10(b)に示すように、板状部分が対向側磁性体TMと対向して配設されており、本発明の第1実施形態では、図15(b)に示す第1対向側磁性体TF14の下方に対向して配設された第1可動側磁性体MF14と、図15(a)に示す第2対向側磁性体TF24の上方に対向して配設された第2可動側磁性体MF24と、を一組有して構成されている。
更に、本発明の第1実施形態では、図15(b)に示す第2対向側磁性体TF24の下方に対向して配設された第1可動側磁性体MF14と、図15(a)に示す第1対向側磁性体TF14の上方に対向して配設された第2可動側磁性体MF24と、をもう一組有して構成されている。つまり、第1可動側磁性体MF14と第2可動側磁性体MF24の組合せで、二組有していることとなる。
そして、1組の第1可動側磁性体MF14と第2可動側磁性体MF24とは、支持体2の傾倒軸21jを挟んでそれぞれ設けられており、第1可動側磁性体MF14及び第2可動側磁性体MF24の一端側が傾倒軸21jに回動可能に遊嵌されている。また、もう一組の方の第1可動側磁性体MF14及び第2可動側磁性体MF24も同様に、支持体2の傾倒軸21jを挟んでそれぞれ設けられており、第1可動側磁性体MF14及び第2可動側磁性体MF24の一端側が傾倒軸21jに回動可能に遊嵌されている。
このように構成されていると、操作部材1が一方向(図15に示すY1方向)に傾倒操作された際に、傾倒操作側にある基体部12の第1押圧部1pにより、一方向側にある第1可動側磁性体MF14が押圧され、更に傾倒操作が同じ向きに継続された際に、傾倒操作側と反対側(図15に示すY2方向側)にある基体部12の第2押圧部1qにより、反対側(他方向側)にある第2可動側磁性体MF24が押圧されるようになる。つまり、操作部材1が一方向に傾倒操作された際に、1組の第1可動側磁性体MF14と第2可動側磁性体MF24が順次押圧されることとなる。
一方、操作部材1が他方向(図15に示すY2方向)に傾倒操作された際に、傾倒操作側、つまり他方向側にある基体部12の第1押圧部1pにより、他方向側にある第1可動側磁性体MF14が押圧され、更に傾倒操作が同じ向きに継続された際に、傾倒操作側と反対側、つまり一方向側(図15に示すY1方向側)にある基体部12の第2押圧部1qにより、一方向側にある第2可動側磁性体MF24が押圧されるようになる。つまり、操作部材1が他方向に傾倒操作された際に、もう1組の第1可動側磁性体MF14と第2可動側磁性体MF24が順次押圧されることとなる。
また、可動側磁性体MM(第2可動側磁性体MF24)には、図14(b)に示すように、上下(図14(b)に示すZ方向)に貫通する穴部MMhがそれぞれ2つ設けられている。また、図14(b)では、第1可動側磁性体MF14側が図示されていないが、同様にして第1可動側磁性体MF14(可動側磁性体MM)にも穴部MMhがそれぞれ2つ設けられている。そして、穴部MMhには、ネジ溝(後述する変更手段S8でもある)が切られており、図10に示すように、ネジ部品(変更手段S8の第2ボルト82)が装着されている。
また、第1可動側磁性体MF14に設けられた穴部MMhは、底面視して、傾倒側基体部KL5の貫通穴KL5hと同じ投影位置に設けられているとともに、第2可動側磁性体MF24に設けられた穴部MMhは、上面視して、ケースK1の第2貫通孔K1b及び固定部材3の第2貫通穴3bと同じ投影位置に設けられている。これにより、傾倒側基体部KL5を底面視すると、可動側磁性体MM(第1可動側磁性体MF14)及び変更手段S8が臨まれるとともに、車両用シフト装置500を上面視すると、図2に示すように、可動側磁性体MM(第2可動側磁性体MF24)及び変更手段S8が臨まれるようになる。
次に、操作装置101のストッパー部6について説明する。ストッパー部6は、操作部材1が基準位置(第1ポジションP1或いは第2ポジションP2)から傾倒されて次の複数のポジションに位置する際に、対向側磁性体TMの傾倒動作を止める機能を有している。つまり、本発明の第1実施形態では、対向側磁性体TMの一部を挟持している固定部材3及び傾倒部材23に設けられている。
以下に、図10(a)の側面図、図16及び図17に示す模式図を交えながら、操作装置101における第2方向D2への動きとストッパー部6の詳細について説明することとする。なお、第2方向D2に移動する動きについては、この第1ポジションP1或いは第2ポジションP2を基準位置として(図6(b)を参照)、操作者の傾倒操作によって行われるが、ここでは、第2ポジションP2を基準位置とした動きについて詳細に説明する。図16は、本発明の第1実施形態の操作装置101における動作を説明する模式図であって、図16(a)は、基準位置の状態の図であり、図16(b)は、一方向(Y1方向)に傾倒した状態の図であり、図16(c)は、図16(b)より更に一方向(Y1方向)に傾倒した状態の図である。図17は、本発明の第1実施形態の操作装置101における動作を説明する模式図であって、図17(a)は、図16(a)と同じ基準位置の状態の図であり、図17(b)は、他方向(Y2方向)に傾倒した状態の図であり、図17(c)は、図17(b)より更に他方向(Y2方向)に傾倒した状態の図である。
先ず、操作者により操作部材1が図16(a)に示す基準位置(第2ポジションP2)から一方向(図15に示すY1方向)に傾倒操作されると、傾倒軸(第1傾倒軸)21jを回動軸として操作部材1の回動が行われ、傾倒操作側にある基体部12の第1押圧部1pが一方向側にある第1可動側磁性体MF14を押圧し、第1可動側磁性体MF14が下方に移動するようになる。一方、傾倒操作側にある第1対向側磁性体TF14の凸部HD4tを挟持している傾倒部材23に設けられたストッパー部6(図12に示すストッパー部6a)が第1対向側磁性体TF14の傾倒動作を止めるので、図16(b)に示すように、第1可動側磁性体MF14と第1対向側磁性体TF14との吸着が外れるようになる。そして、操作部材1は、基準位置(第2ポジションP2)から前1段ポジションS21(図5(b)を参照)に位置するようになる。従って、この強い吸引状態から弱い吸引状態への変化により、第2ポジションP2から前1段ポジションS21に移動する際の節度感(クリック感)が得られるようになる。
更に、操作者により一方向(Y1方向)への傾倒操作が継続されると、操作部材1の更なる回動が行われ、傾倒操作側と反対側(図15に示すY2方向側)にある基体部12の第2押圧部1qが反対側にある第2可動側磁性体MF24を押圧し、第2可動側磁性体MF24が上方に移動するようになる。一方、反対側にある第2対向側磁性体TF24の凸部HD4tを挟持している固定部材3に設けられたストッパー部6(図13(b)に示すストッパー部6b)が第2対向側磁性体TF24の傾倒動作を止めるので、図16(c)に示すように、第2可動側磁性体MF24と第2対向側磁性体TF24との吸着が外れるようになる。そして、操作部材1は、前1段ポジションS21から前2段ポジションS22(図5(b)を参照)に位置するようになる。従って、この強い吸引状態から弱い吸引状態への変化により、前1段ポジションS21から前2段ポジションS22に移動する際の節度感(クリック感)が同様に得られるようになる。
以上のように構成された本発明の第1実施形態の操作装置101は、操作者により操作部材1が一方向に傾倒操作されると、ストッパー部6aに止められた第1対向側磁性体TF14と第1可動側磁性体MF14との吸着が外れて、次にストッパー部6bに止められた第2対向側磁性体TF24と第2可動側磁性体MF24との吸着が外れるようになる。このことにより、各ポジション(前1段ポジションS21、前2段ポジションS22)に対応して、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMを容易に離反させることができる。従って、節度感を有した操作装置101を容易に作製することができる。
また、本発明の第1実施形態では、操作部材1をY1方向に傾倒させて、図16(b)及び図16(c)に示す一例のように、可動側磁性体MM(第1可動側磁性体MF14及び第2可動側磁性体MF24)と対向側磁性体TM(第1対向側磁性体TF14及び第2対向側磁性体TF24)とが離反した際に、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとがそれぞれの間に働く吸引力が消失しない位置に可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとを配設している。これにより、各ポジション(前1段ポジションS21、前2段ポジションS22)において、操作者による傾倒操作の力が取り除かれたときに、引き剥がされた可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとが互いの吸引力により再び吸引することとなる。このことにより、自動復帰のための付勢部材等を使用しなくても、操作部材1を基準位置に自動復帰させることができる。
また、上述した複数の可動側磁性体MMと複数の対向側磁性体TMとの配設位置関係の他に、下記のような配設位置関係にして複数の可動側磁性体MMと複数の対向側磁性体TMとを配設しても良い。つまり、初めの一対の第1磁性体MT14と第2磁性体MT24とが離反してから次の一対の第1磁性体MT14と第2磁性体MT24とが離反する迄に、初めの一対の第1磁性体MT14と第2磁性体MT24とをそれぞれの間に働く吸引力が消失しない位置に配設するようにし、次の一対の第1磁性体MT14と第2磁性体MT24とが離反した際に、初めの一対の第1磁性体MT14と第2磁性体MT24の間に働く吸引力が消失したとしても、次の一対の第1磁性体MT14と第2磁性体MT24とをそれぞれの間に働く吸引力が消失しない位置に配設するようにすると良い。これにより、操作者による傾倒操作の力が取り除かれたときに、先ず、次の一対の第1磁性体MT14と第2磁性体MT24との吸着が行われ、次に、初めの一対の第1磁性体MT14と第2磁性体MT24との吸着が行われて、自動復帰のための付勢部材等を使用しなくても、操作部材1を基準位置に自動復帰させることができる。
本発明の第1実施形態では、もう一組の第1可動側磁性体MF14及び第2可動側磁性体MF24を有しているので、以上のようなY1方向への動きは、操作者によるY2方向への傾倒操作の際にも、以下のように同様に行われる。
先ず、操作者により操作部材1が図17(a)に示す基準位置(第2ポジションP2)から他方向(図15に示すY2方向)に傾倒操作されると、傾倒軸(第1傾倒軸)21jを回動軸として操作部材1の回動が行われ、傾倒操作側にある基体部12の第1押圧部1pが他方向側にある第1可動側磁性体MF14を押圧し、第1可動側磁性体MF14が下方に移動するようになる。一方、傾倒操作側にある第2対向側磁性体TF24の凸部HD4tを挟持している傾倒部材23に設けられたストッパー部6(図12に示すストッパー部6c)が第2対向側磁性体TF24の傾倒動作を止めるので、図17(b)に示すように、第1可動側磁性体MF14と第2対向側磁性体TF24との吸着が外れるようになる。そして、操作部材1は、基準位置(第2ポジションP2)から後1段ポジションS23(図5(b)を参照)に位置するようになる。従って、この強い吸引状態から弱い吸引状態への変化により、第2ポジションP2から後1段ポジションS23に移動する際の節度感(クリック感)が得られるようになる。
更に、操作者により他方向(Y2方向)への傾倒操作が継続されると、操作部材1の更なる回動が行われ、傾倒操作側と反対側(図15に示すY1方向側)にある基体部12の第2押圧部1qが反対側にある第2可動側磁性体MF24を押圧し、第2可動側磁性体MF24が上方に移動するようになる。一方、反対側にある第1対向側磁性体TF14の凸部HD4tを挟持している固定部材3に設けられたストッパー部6(図13(b)に示すストッパー部6d)が第1対向側磁性体TF14の傾倒動作を止めるので、図17(c)に示すように、第2可動側磁性体MF24と第1対向側磁性体TF14との吸着が外れるようになる。そして、操作部材1は、後1段ポジションS23から後2段ポジションS24(図5(b)を参照)に位置するようになる。従って、この強い吸引状態から弱い吸引状態への変化により、後1段ポジションS23から後2段ポジションS24に移動する際の節度感(クリック感)が同様に得られるようになる。
以上のように構成された本発明の第1実施形態の操作装置101は、操作者により操作部材1が他方向に傾倒操作されると、ストッパー部6cに止められた第2対向側磁性体TF24と第1可動側磁性体MF14との吸着が外れて、次にストッパー部6dに止められた第1対向側磁性体TF14と第2可動側磁性体MF24との吸着が外れるようになる。このことにより、各ポジション(後1段ポジションS23から後2段ポジションS24)に対応して、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMを容易に離反させることができる。このようにして、本発明の第1実施形態の操作装置101は、対向側磁性体TMの数を増やすこと無しに、他方向の傾倒操作にも対応することができ、節度感を有した操作装置101を容易に作製することができる。
以上説明したように、操作装置101のストッパー部6は、操作者による基準位置からの傾倒操作を受けて、操作部材1が位置する複数のポジションのそれぞれに対応して設けられている。つまり、図5(b)に示す前方ポジションS11及び前1段ポジションS21にはストッパー部6a、前2段ポジションS22にはストッパー部6b、後方ポジションS13及び後1段ポジションS23にはストッパー部6c、後2段ポジションS24にはストッパー部6d、が対応して設けられている。
以上のように、本発明の第1実施形態の操作装置101は、第2方向D2への傾倒動作を行うことができる。つまり、操作部材1が基準位置から傾倒されて複数のポジションに位置する際には、各複数のポジションに対応したストッパー部6(6a、6b、6c、6d)をそれぞれ有しているので、例えば基準位置(第2ポジションP2)から次のポジション(前1段ポジションS21或いは後1段ポジションS23)、次のポジション(前1段ポジションS21或いは後1段ポジションS23)から更に次のポジション(前2段ポジションS22或いは後2段ポジションS24)への切り換えに際し、それぞれに設けられたストッパー部6(ストッパー部6a或いはストッパー部6c、ストッパー部6b或いはストッパー部6d)により対向側磁性体TM(第1対向側磁性体TF14、第2対向側磁性体TF24)の傾倒動作が止められる。例えば操作部材1が第1ポジションP1(基準位置)に位置する際には、基準位置(第1ポジションP1)から次のポジション(前方ポジションS11或いは後方ポジションS13)への切り換えに際し、それぞれに設けられたストッパー部6(ストッパー部6a或いはストッパー部6c)により対向側磁性体TM(第1対向側磁性体TF14、第2対向側磁性体TF24)の傾倒動作が止められる。
これにより、各ポジション(前1段ポジションS21或いは前方ポジションS11、前2段ポジションS22、後1段ポジションS23或いは後方ポジションS13、後2段ポジションS24)において、可動側磁性体MM及び対向側磁性体TMとが引き剥がされて、お互い離反するようになり、その際の強い吸引状態から弱い吸引状態への変化で節度感を出すことができる。このことにより、従来例と比較して、節度感を生じさせる部分に摺動機構がないため、操作装置101の耐久性が優れている。
最後に、操作装置101の変更手段S8について説明する。図18は、本発明の第1実施形態の操作装置101における変更手段S8の作用を説明する模式図である。
変更手段S8は、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとの相対位置を変える手段であって、その構造が簡単なねじ機構を用いて構成している。つまり、変更手段S8のねじ機構として、図9に示すY方向の設けられた第1ボルト81(オスネジ)と対向側磁性体TMのホルダHD4の孔部HD4h(図14を参照)に切られたネジ溝(メスネジ)と、並びに、図10に示すZ方向の設けられた第2ボルト82(オスネジ)と可動側磁性体MMの穴部MMh(図14を参照)に切られたネジ溝(メスネジ)との組合せを用いている。そして、変更手段S8は、図15に示すように、対向側磁性体TMの近傍に配設され、変更手段S8の第1ボルト81は、対向側磁性体TMのホルダHD4に係合され(ねじ込まれ)ているとともに、変更手段S8の第2ボルト82は、可動側磁性体MMの穴部MMhに係合されて(ねじ込まれて)対向側磁性体TMに当接、或いは当接可能な位置に配設されている。なお、図示はしていないが、第1ボルト81は、回動可能であるが、例えばケースK1に抑えられて、水平方向(Y方向)の移動が規制されている。
このように構成された変更手段S8は、先ず、第1ボルト81を回動させることにより、永久磁石EM4を収容したホルダHD4を水平方向(図18に示すY1方向及びY2方向)に移動させて、対向側磁性体TMの水平方向の位置を簡単に移動することができる。これにより、傾倒軸21jに対する対向側磁性体TMの位置を変えて傾倒軸21jと対向側磁性体TMとの間隔距離(図18に示すL1)を変えることができる。このことにより、対向側磁性体TMと可動側磁性体MMとの吸引力が働く位置(作用点)と傾倒軸21jの位置(支点)との距離(間隔距離、L1)が変わるので、操作者が操作する位置(力点)と傾倒軸21jの位置との間隔距離(図18に示すL2)との関係(L1/L2のレーバー比)から(“てこの原理”により)、操作者の受ける力が変わるようになる。具体的には、間隔距離(L1)を長くすると操作者に与える力を強くすることができ、間隔距離(L1)を短くすると操作者に与える力を弱くすることができる。
一方、変更手段S8は、第2ボルト82を回動させることにより、永久磁石EM4を垂直方向(図18に示すZ1方向及びZ2方向)に移動させて、対向側磁性体TMの垂直方向の位置を簡単に移動することができる。これにより、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとの間隔距離を変えることができ、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとの間に働く吸引力を変えることができる。例えば、第1対向側磁性体TF14を上方側(図18に示すZ1方向側)に移動させると、第1対向側磁性体TF14と第1可動側磁性体MF14との吸引力を低下させるとともに、第1対向側磁性体TF14と第2可動側磁性体MF24との吸引力を向上させることができる。このため、操作者による一方向側(Y1方向側)への傾倒操作の際に、最初のポジションへの傾倒操作(1段目の傾倒操作)に対して操作者の受ける力を弱めることができるとともに、他方向側(Y2方向側)への傾倒操作の際に、2段目の傾倒操作に対して操作者の受ける力を強めることができる。このようにして、操作者の受ける力を容易に変えることができる。
このようにして、ネジ(第1ボルト81及び第2ボルト82)を回すという簡単な操作で、対向側磁性体TMの位置を容易に動かすことができ、操作者に対する操作荷重感や節度感等の操作感触を容易に変えることができる。また、変更手段S8として、その構造が簡単なねじ機構を用いて構成しているので、操作装置101を容易に作製することができる。
以上に説明してきたように、本発明の第1実施形態の操作装置101は、第1方向D1及び第2方向D2への傾倒操作を好適に行うことができるので、図5(a)に示すシフトの配置(シフトパターン)を有した車両用シフト装置500に好適に適用することができる。つまり、操作装置101の第1方向D1への傾倒操作では、操作部材1の第1ポジションP1と第2ポジションP2との間の傾倒操作が行え、車両用シフト装置500は、マニュアルモード“M”とドライブモード“D”との間の節度感を有したシフト操作を行うことができる。また、操作装置101の第2方向D2への傾倒操作では、各ポジション(前1段ポジションS21或いは前方ポジションS11、前2段ポジションS22、第2ポジションP2或いは第1ポジションP1、後1段ポジションS23或いは後方ポジションS13、後2段ポジションS24)間の傾倒操作が行え、車両用シフト装置500は、リバースモード“R”、ニュートラルモード“N”及びドライブモード“D”の節度感を有したシフト操作を行うことができる。しかも従来例と比較して、節度感を生じさせる部分に摺動機構がないため、耐久性が優れた車両用シフト装置500を提供することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
<変形例1><変形例2>
上記第1実施形態では、変更手段S8として、対向側磁性体TMを移動して、対向側磁性体TMと傾倒軸21jとの間隔距離、或いは、対向側磁性体TMと可動側磁性体MMとの間隔距離の両方とも変える機構を有した構成としたが、これに限るものではなく、少なくとも一方を変える構成でも良い(変形例1)。また、対向側磁性体TMを移動して対向側磁性体TMと可動側磁性体MMとの間隔距離を変える構成としたが、これに限るものではなく、可動側磁性体MMを移動して対向側磁性体TMと可動側磁性体MMとの間隔距離を変える構成としても良い(変形例2)。
<変形例3>
上記第1実施形態では、変更手段S8としてその構造が簡単なねじ機構を好適に用いて構成したが、これに限るものではなく、例えば、ギアとカムを組み合わせたメカニカル機構でも良い。
<変形例4>
上記第1実施形態では、対向側磁性体TM(第1対向側磁性体T14及び第2対向側磁性体T24)の大きさや形状を同じにして、磁界の強さを同じにした構成としたが、対向側磁性体TMの大きさや形状を変えて、左右で違う磁界の強さにしても良い。これにより、第2方向D2での操作感を変えることができる。
<変形例5>
上記第1実施形態では、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとが互いに吸引される位置、つまり当接している位置或いは少し離間している位置になるように対向配置するように好適に構成したが、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとの間に、合成樹脂で作製された緩衝部材を設ける構成でも良い。これにより、可動側磁性体MMと対向側磁性体TMとが吸着して当接する際の衝撃を和らげることができ、当接による音の発生や対向側磁性体TMの損傷を低減することができる。
<変形例6>
上記第1実施形態において、対向側磁性体MTの凸部HD4tとストッパー部6との間に、合成樹脂で作製された緩衝部材を設ける構成でも良い。これにより、凸部HD4tとストッパー部6とが当接する際の衝撃を和らげることができ、当接による音の発生を低減することができる。
<変形例7>
上記第1実施形態では、位置検出手段として、回転型可変抵抗器を好適に用いたが、これに限るものではない。例えば磁気式のセンサを用い、操作部材1の動きを検出するようにしても良い。
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。