以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<歯間清掃具>
本発明の歯間清掃具は、合成樹脂からなる基材部と、エラストマからなる軟質部とを備えている。
基材部を構成する合成樹脂材料としては、例えば、合成樹脂、合成樹脂に粒状充填材、繊維状充填材及び板状充填材よりなる群から選ばれる少なくとも1種の充填材を添加配合した樹脂組成物等が挙げられる。充填材の中でも、基材部、特に芯基材部の機械特性(剛性等)、芯基材部ひいては清掃部2の折れ難さ、耐久性等の観点から、板状充填材及び繊維状充填材が好ましく、芯基材部の撓み性を高める観点から板状充填材がより好ましい。
前記合成樹脂は、歯間清掃具の分野で常用される合成樹脂を特に限定なく使用でき、例えば、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、飽和ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、プロピオン酸セルロース、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等の熱可塑性樹脂やシリコン樹脂が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、清掃部の折れを防止する観点から、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド等の融点が150℃以上である熱可塑性樹脂が好ましく、清掃部の折れ防止や成形加工性の観点から、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等の融点が150℃以上でありかつ少なくとも一部が結晶性である熱可塑性樹脂がより好ましく、ポリプロピレンがさらに好ましい。ポリプロピレンは、成形温度が低く、サイクルタイムを短縮して生産性を向上できるとともに、成形設備に対する熱負荷が少ないことから特に好ましい。樹脂組成物中の熱可塑性樹脂として融点150℃以上の熱可塑性樹脂を用いると、基材部の成形時間、特に冷却時間を短縮して生産効率を高めることができ、その結果、歯間清掃具の生産性を向上でき、ひいては歯間清掃具の生産コストを低減できる。熱可塑性樹脂は1種を単独で又は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
また、前記充填材のうち、繊維状充填材は、繊維状又は柱状の形状、及びミリメートルオーダー乃至ミクロンオーダーの寸法を有する無機化合物である。繊維状充填材のアスペクト比は好ましくは2以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上である。繊維状充填材としては特に限定されないが、人体に対する安全性や入手容易性の観点から、ガラス繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウム繊維等を好ましく使用でき、さらに価格等を加味すると、ガラス繊維及びワラストナイトがより好ましく、ガラス繊維がさらに好ましい。繊維状充填材は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。繊維状充填材は、基材部、特に芯基材部の機械特性(特に芯基材部の軸方向の剛性)を高める観点からは、板状充填材よりも好ましい。
また、板状充填材は、板状又は鱗片状又は薄片状の形状、及びミクロンオーダーの寸法を有する無機化合物である。板状充填材としては特に限定されないが、人体に対する安全性や入手容易性の観点から、ガラスフレーク、マイカ、タルク、クレイ、シリカ等を好ましく使用でき、マイカ、タルク等がより好ましく、タルクがさらに好ましい。板状充填材は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。板状充填材は、芯基材部の撓み性を高める観点からは、繊維状充填材よりも好ましい。
また、繊維状充填材と板状充填材とを併用することもできる。この併用において、繊維状充填材及び板状充填材の使用割合を適宜選択することによって、芯基材部の撓み性を芯基材部の折れが起こり難い程度に維持しながら、芯基材部の機械特性を向上させ得るので、芯基材部凹部の形成による該凹部周辺での芯基材部の機械特性の低下を補填することができる。該併用の具体例としては、例えば、ガラス繊維とタルクとの併用等が挙げられる。ガラス繊維とタルクとの併用において、例えば、タルクをガラス繊維よりも多く使用することによって、芯基材部の撓み性の保持及び機械特性の向上を両立させることができる。なお、粒状充填材としても、合成樹脂の添加剤として用いられる公知の粒状充填材を特に限定なく使用できる。上記各充填材としては各種市販品を使用することもできる。
基材部の材料として合成樹脂に充填材を添加配合した樹脂組成物を用いる場合、充填材の添加量は特に限定されないが、基材部の剛性向上、芯基材部12の折れ難さ(弾力性)、復元性、清掃部の歯間への挿入性等をバランス良く保持することを考慮すれば、樹脂組成物全量の5〜50重量%が好ましく、10〜45重量%がより好ましい。なお、合成樹脂としてポリプロピレンを用いた場合には、充填材の添加量は、樹脂組成物全量の15〜40重量%がさらに好ましく、20〜35重量%が特に好ましい。また、合成樹脂としてポリブチレンテレフタレートやポリアミドを用いた場合には、充填材の添加量は、樹脂組成物全量の12〜40重量%がさらに好ましく、15〜35重量%が特に好ましい。なお、充填材の形状に応じて、前記範囲内から適宜選択するのがよい。基材部を構成する合成樹脂又は樹脂組成物と、後述する軟質部を構成するエラストマとが相溶性を有することが好ましい。この場合には、軟質部が基材部から剥離することを効果的に防止できるので、歯間清掃具の耐久性をさらに向上させることができる。
軟質部を構成するエラストマとしては、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマや、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、合成ゴムなどの熱硬化性エラストマなどを採用できる。特に、基材部を構成する合成樹脂材料との相溶性を有する材料が好ましく、例えば基材部をポリプロピレンで構成する場合には、軟質部をポリオレフィン系エラストマ又はスチレン系エラストマで構成することが好ましく、基材部をシリコン樹脂で構成する場合には、軟質部をシリコンゴムで校正することが好ましい。なお、エラストマとしては、添加材を添加したものを採用することもできる。
次に、歯間清掃具1の具体的な形状について図面を参照しながら説明する。
歯間清掃具1は、図1に示すように、その機能で区別すると、歯間清掃用の清掃部2と、持ち手としてのハンドル部3とを備え、その素材で区別すると、合成樹脂からなる基材部10と、エラストマからなる軟質部20とを備えている。本例の歯間清掃具1は、複数個の歯間清掃具1を切り離し可能に並列状に連結してなる歯間清掃具連結体5の形態に製作され、利用者は、歯間清掃具連結体5の一側から順番に歯間清掃具1を連結部13において切り離して、順次使用することになる。歯間清掃具1の連結個数は任意に設定可能である。
(基材部)
基材部10は、熱可塑性合成樹脂またはシリコン樹脂からなり、ハンドル部3を構成する扁平な細長い板状のハンドル基材部11と、ハンドル基材部11の先端部に連設した細長い軸状の清掃部を含む芯基材部12と、隣接するハンドル基材部11を切り離し可能に連結する連結部13とを備えている。
ハンドル基材部11は、扁平な細長い板状に形成したが、指で摘まんで歯間を清掃し易い形状であれば、扁平な細長い板状以外の任意の形状、例えば横断面形状を円形やオーバル形状(楕円形、長円形、卵形、小判形、俵形(短辺部が曲線状の長方形、丸角長方形)など)や涙滴形状や多角形などに構成した棒状に形成したり、ハンドル基材部に湾曲部や凹部を持ち易さ向上のために設けたり、ハンドル部全体を1方向に段階的若しくは連続的に湾曲する形状にすることもできる。ハンドル基材部11の先端部は芯基材部12側へ行くにしたがって幅狭に構成されて、芯基材部12に滑らかに連設されている。
ハンドル基材部11の寸法は、指で摘まんで歯間を清掃し易い寸法であれば任意の寸法に設定でき、図1に示すハンドル基材部11では、例えば長さL1は10mm〜25mm、幅W1は4mm〜8mm、把持部分の厚さt1は1.0mm〜2.0mmに設定されている。このように、ハンドル基材部11を薄肉に構成しているので、基材部10を成形するときに、ハンドル基材部11の収縮による寸法バラツキを少なくできるとともに、ヒケを防止して、軟質部20を成形するための後述の第2金型40、41への基材部10の装填不良を防止できる。
芯基材部12は、略直線状の細長い軸状に形成される清掃部を有しており、図1では全体が略直線状に形成される例を示しているが、清掃部以外の芯基材部を段階的もしくは連続的に1方向へ湾曲する形状に形成できる。芯基材部12全体が略直線状に形成される場合は、ハンドル基材部11と芯基材部12とは略同一軸線状に配置され、芯基材部が何れの形状であっても、芯基材部12とハンドル基材部11とは同一平面内に配置される。芯基材部12は、ハンドル基材部11側、すなわち基端側は、所定幅の軟質突条部23が軸方向に被覆される基端側芯部12aと、基端側芯部12aの先端の位置となる軸方向途中部から先端部にわたり全周に清掃用軟質部21が被覆される先端側の清掃芯部12bとを備えており、清掃芯部12bは先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されている。芯基材部全体が略直線状に形成される場合は、芯基材部12は先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されることが好ましい。
具体的には、芯基材部12若しくは清掃部芯部12bの中心線に対する芯基材部12等の外面におけるテーパ形状のなす角度θ1は、歯間への挿入性を考慮して、0.15°〜2.0°に設定されている。清掃芯部12bの先端側部分の直径は0.3mm〜0.6mmに設定され、清掃芯部12bの基端部の直径は0.8mm〜2.4mmに設定されている。ただし、芯基材部12のテーパ形状のなす角度θ1は、芯基材部12の全長にわたって同じ角度θ1に設定したが、芯基材部12の先端側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に小さくなるように設定することもできる。また、基端側芯部12aを全長にわたって同じ直径の軸状に形成し、清掃芯部12bのみを先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成することもできる。
芯基材部12の基端側芯部12aの軸方向長さL2は、操作性を考慮して、例えば10mm〜40mm、好ましくは10mm〜25mmに設定される。清掃部以外の芯基材部が略直線状でない場合は、芯基材部の中心部の長さをL2とする。また、清掃用軟質部21の長さL3は歯間に対する清掃性を考慮して、例えば12mm〜25mmに設定されている。芯基材部12の断面形状は、挿入性、応力集中緩和の観点から円形が好ましいが、オーバル形状や涙滴形状や多角形などの断面形状であっても構わない。
本実施の形態では、ハンドル基材部11の長手方向に延びる中心線と芯基材部12の軸線とを略同一軸線状に配置したI型の歯間清掃具1とされているが、ハンドル基材部11の中心線と芯基材部12の軸線とを任意の位置関係に配置した歯間清掃具に対しても本発明を適用でき、例えばハンドル基材部11の中心線と芯基材部12の軸線とを間隔をあけて平行配置した歯間清掃具に本発明を適用することもできるし、ハンドル基材部11の中心線を芯基材部12の軸線に対して、例えば90°〜120°の角度を付けて設けた、所謂L型の歯間清掃具や清掃部以外の芯基材部とそれに連結するハンドル部が約140°〜160°の段階的或いは滑らかな曲線形状を有するカーブ型の歯間清掃具に対しても本発明を適用できる。
(軟質部)
軟質部20は、図1〜図3に示すように、エラストマ材料を用いて基材部10に一体的になるよう成形したもので、芯基材部12の先端側の清掃芯部12bに被覆される清掃用軟質部21と、該清掃用軟質部21の基端部21cに連続して、芯基材部12の基端側芯部12aの外周面上に軸方向に沿って被覆される所定幅の軟質突条部23とを備えている。清掃用軟質部21と軟質突条部23は独立に(二段階に分けて)成形することも可能であるが、金型構造が複雑になるので、一度に一体的に成形したものが好ましい。
清掃用軟質部21は、芯基材部12の軸方向途中部から先端部に至る清掃芯部12bの外周面全域にわたって被覆される軟質被覆部(以下、単に被覆部)21aと、被覆部21aに長さ方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成した複数の清掃用突起部21bとを有している。被覆部21aの肉厚は、厚過ぎると被覆部21aに覆われている清掃芯部12bの直径を小さくする必要が生じるため、歯間への挿入時における清掃部2の剛性が大きく低下するだけでなく、成形時にカルマン渦が発生し易かったりカルマン渦の影響を大きく受ける恐れがあるため好ましくなく、薄過ぎると清掃部2の隅々までエラストマ材料を充填できない虞が生じるので好ましくない。このため、被覆部21aの肉厚は、0.1mm〜0.2mmに設定することが好ましい。被覆部21aの外形は、清掃芯部12bの外形が反映され、先端側から基端側に向けて断面形状が次第に大きくなるテーパ形状とされている。
清掃用突起部21bは、被覆部21aの長さ方向に相互に間隔をあけて形成されるとともに、被覆部21aの周方向に間隔をあけて複数列配置されている。清掃用突起部21bは具体的には、図3に示すように、後述する第2金型40、41により成形できるように、型開閉方向の一側方に突出する2つ1組の列と、他側方に突出する2つ1組の列と、合わせ面40a、41aに沿って一側方へ突出する1つの列と、被覆部21aから合わせ面40a、41aに沿って他側方へ突出する1つの列の計6列形成されている。ただし、清掃用突起部21bは、上述した以外の配列パターンで形成することも可能で、例えば、被覆部21aから、十文字状や六角状に外方へ突出する4つ若しくは6つ1組の清掃用突起部21bを軸方向に間隔をあけて設けることも可能である。
清掃用突起部21bの基端部の断面積や長さ、個数や配設間隔は、任意に設定可能である。成形性及び清掃性を考慮して、清掃用突起部21bの基端部の断面積は、0.03mm2〜1.8mm2程度に設定することが好ましく、清掃用突起部21bの長さは0.5mm〜3.0mm程度に設定することが好ましく、清掃用突起部21bの個数は20個〜120個に設定することが好ましい。また、清掃用突起部21bとして、円錐状のものを採用したが、軸方向に扁平な平板状の先細形状のものを採用することもできる。更に、清掃用突起部21bの断面形状としては、円形以外に、オーバル形状や涙滴形状、多角形などの任意の断面形状のものを採用できる。
軟質部20を成形するときには、後述するように、第2金型40、41に設けた複数の保持ピン50〜52により、芯基材部12を第2成形空間42の中央部内に位置決め保持するため、歯間清掃具1の清掃部2のうちの保持ピンに対応する位置には、図3(a)に示すように、被覆部21aを貫通して、芯基材部12に芯基材部凹部14aを形成する清掃部凹部14が形成される。芯基材部凹部14aは、第1金型30、31にて成形した直後の比較的高温の基材部10が、第2金型40、41に充填されるエラストマの熱に曝されて軟化し、この軟化した芯基材部12に保持ピンの先端部が当接することによって形成される。
図3(a)に示す芯基材部12の外周面からの芯基材部凹部14aの深さdの最大の値(芯基材部の外周面からの芯基材部凹部の最大深さ)は、歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げの力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部12が折れることを防止するため、0.01mm以上0.085mm以下、好ましくは0.01mm以上0.065mm以下に設定されている。また、芯基材部凹部14aに対応する位置における芯基材部12の最大横断面積は、該芯基材部凹部14aに隣接する位置での芯基材部12の横断面積の55.0〜99.6%、好ましくは80.0〜97.9%に設定され、芯基材部凹部14aにおける応力集中の発生を少なくして、歯間への挿入時や歯間清掃時における芯基材部12の折れを一層効果的に防止できるように構成されている。
なお、「芯基材部の外周面からの芯基材部凹部の最大深さ」とは、芯基材部凹部の開口部の外面から底面までの最短距離のうち最も大きな距離を意味する。すなわち、図11に示すように、芯基材部の長さ方向の中心線(図11のCL)を通る平面(図11のBS)と芯基材部凹部の端との接点(図11のB点およびT点)を結ぶ直線(図11のUL)を設定する。次に、ULの任意の点からCLに対して降ろした垂線(図11のDL)を設定する。このDLにおけるULとの交点(図11のC1)と、芯基材部凹部の底面(図11のCS)との交点(図11のC2)、を結ぶ直線(図11のDLa)の長さについて測定する。DLaの長さの測定は、B点とT点間(UL直線間)で測定しつつ、BSをCL中心に回転させながら行い、得られたDLa数値の最大値を「芯基材部の外周面からの芯基材部凹部の最大深さ」とする。
清掃部凹部14の正面形状は、前記保持ピンのピン先形状と同形状に形成され、例えば俵形(短辺部が曲線状の長方形、丸角長方形)以外に、楕円形や長方形或、涙滴形状、平行四辺形など清掃部軸の螺旋方向に長い形状に形成されている。歯間清掃具1に設ける複数の清掃部凹部14は、全て同じ形状に形成することもできるし、清掃部2の先端部からの距離などに応じて異なる形状のものを任意に組み合わせて混在させることもできる。清掃部凹部14をオーバル形状や涙滴形状や長方形などのように細長形状や清掃部軸の螺旋方向に長い形状に形成する場合には、長手方向が清掃部2の軸方向もしくは清掃軸の螺旋方向となるように形成することが好ましい。このように構成すると、同じ面積を有する円形状の保持ピンより芯基材部12に対する保持ピンのホールド力が強くなるため、軟質部の成形時に発生しやすい芯基材部の振動を抑えることができる。その結果、同じ面積を有する円形状の保持ピンの場合に比べ、軟質部成形時に芯基材部に形成される芯基材部凹部の深さが浅くなるため、芯基材部凹部を設けた位置における応力集中の発生を効果的に防止でき、歯間清掃具使用時の芯基材部の損傷を防止できるので好ましい。
芯基材部凹部14aの開口面積は、任意に設定可能であるが、0.08mm2〜0.35mm2、好ましくは0.1mm2〜0.25mm2に設定することが好ましい。また、1つの歯間清掃具1に形成する芯基材部凹部14aの総面積は0.9mm2〜1.3mm2に設定することが好ましい。芯基材部凹部14aの開口面積は、全て同じ大きさに設定することもできるが、芯基材部12の先端側の芯基材部凹部14aほど小さくなるように設定することが好ましい。なお、芯基材部凹部14aの開口面積とは、芯基材部凹部14aの深さ方向の中心線DL(図11参照)と直交する面に対する、芯基材部凹部14a内に露出する芯基材部12と清掃用軟質部21との境界線の投影図形で取り囲まれる面積を意味する。
清掃部凹部14は、清掃部2における第1側部と第2側部とに、清掃部2の軸方向に間隔をあけてそれぞれ複数個設けられている。ここで、清掃部2の第1側部と第2側部とは、第2金型40にて成形される清掃部2の部分と第2金型41にて成形される清掃部2の部分のことであり、本例では扁平なハンドル基材部11の表面側と裏面側に対応する清掃部2の表面側半部と裏面側半部を意味する。
図1〜図4に示す清掃部2では、第1側部と第2側部に清掃部凹部14が対面状に設けられ、各清掃部凹部14は深さ方向が第2金型40、41の型開閉方向となるように配置されている。
対面状に配置される1対の清掃部凹部14を1組として、清掃部2の軸方向に間隔をあけて3組の清掃部凹部14が設けられている。清掃部凹部14の組数は、2組以上、望ましくは3組以上の組数設けることが好ましい。このように、清掃部凹部14の組数を3組以上又は4組以上に構成することで、歯間への挿入時や歯間清掃時に清掃部2に作用する曲げの力によって生じる応力を分散させることができるとともに、後述のように保持ピン50〜52による芯基材部12のホールド性を確保しつつ、芯基材部凹部14aの深さを浅くすることにより、歯間清掃時において、局部的に大きな曲げの力が作用することによる芯基材部12の折れを効果的に防止できる。なお、「対面上に配置させる」とは、1対の清掃部凹部において、清掃部凹部から芯基材部の中心軸(図11のCL)方向(図11のDLの方向)において2つの清掃部凹部が重複することを意味する。言い換えると、芯基材部の長さ方向の中心線(図11のCL)を通る平面(図11のBS)と清掃部凹部の端との接点(図11のB点およびT点の上部に存在する清掃凹部の開口部端部E1点、E2点)を結ぶ直線ELの任意の点からCLに対して降ろした垂線(図11のDL)を設定する。次いで、BSをCL中心に回転させて得られる全ての清掃部凹部のDLにおいて、両方の清掃部凹部のDLを対比する場合、全てのDLもしくは一部のDLが重複する関係にあることを意味する。
軟質突条部23は、図3(b)にも示すように、軸方向に沿ったほぼ全域において、基端側芯部21aの外周面上における凹凸の無い領域15に被覆形成されている。この領域15は、ほぼ全長にわたって1.0mm以上の幅(周方向に沿った幅)を有し、この幅を確保することで軟質突条部23の付着性を維持している。本例は、このように基端側芯部21aの外周面の軟質突条部23被覆領域が凹凸の無い領域、特に、ほぼ全長にわたる突条を有さないため、芯基材部21の撓み性が阻害されることなく維持されている。ただし、前記領域15に撓み性を阻害しない程度の短い突条を設けることは可能であり、突条以外の凸部を形成することもできる。これにより、撓み方を制御すること、すなわち屈曲しやすい軸方向位置を適宜設定することが可能となる。
軟質突条部23の横断面あたりの最大突出寸法は、0.1mm以上0.5mm以下に設定することが好ましい。「最大突出寸法」は、領域15に凹凸があっても無いと仮定し、他の外周面と同じ曲率又は曲率変化の連続的な仮想面を想定して、該仮想面から軟質突条部23外面までの芯基材部軸を通る放射方向に沿った距離のうち最大のものとする。0.1mm以下だと清掃時の指の滑り止め効果を奏せず、0.5mmより大きくなると、撓み性に悪影響を及ぼす。0.2mm以上0.4mm以下がより好ましい。特に、清掃用軟質部21の基端部に連続する部位については、第1の軟質被覆部21の被覆部21a表面と段差が無く繋がるような面一状態となる寸法に設定してもよいし、被覆部21aよりも突出するように設定し、歯間へ挿入されることを阻止する段差部を形成したものも好ましい。
軟質突条部23は、基端側芯部12aの軸に対して対称な外周面上の二位置にそれぞれ被覆形成されている。本例では、これら2本の軟質突条部23がそれぞれ第2金型40及び第2金型41により成形されているが、金型40、41の合わせ面でそれぞれ成形することもできる。また、軟質突条部23は、このように2本設けるもの以外に、1本のみでもよいし、3本以上設けることもできる。1本のみ設ける場合には、例えば図10に示すように連結端部24は省略してもよく、連結端部24を省略する場合は、軟質突条部23の端部23aはできるだけ端まで肉厚がある状態で成形することが当該端部23からの剥がれを防止できる点で好ましい。また、軟質突条部23を2本以上設ける場合、本例のように軸に対して対称な位置に対を為すように設けることもできるし、或いは軸に対して同じ側の近接した位置に平行に設けることも好ましい例である。また、図7に示すように、基端側芯部12aの軟質突条部23が形成される領域15に、軸方向に沿った凹条部16を設け、その上に軟質突条部23を被覆形成することも好ましい例である。これにより軟質突条部23が剥がれにくい効果を奏するとともに、軟質突条部23を指で押さえて曲げる方向に撓みやすくなり、操作性をより向上させることができる。
軟質突条部23は、それぞれ基端側軸部12aの基端部まで延び、当該位置において全周に被覆される連結端部24を介して互いに連結されるように構成されている。このように構成することで、軟質突条部23の成形を確実にすることができるとともに、連結端部24を成形する後述の金型40の連結端部成形部46cにゲートを設けることで、基端側からエラストマ材料を効率良く充填することができる。このような連結端部24は軟質突条部23の基端側を連結することで当該基端側からの剥がれを防止する効果も奏する。
勿論、このような連結端部24を省略することも可能である。また、連結端部24の有無にかかわらず、本例のように軟質突条部23をハンドル基材部11の先端位置まで延設するのではなく、基端側芯部12aの途中位置まで設けたものも可能である。また、図8に示すように、連結端部24から連続して更にハンドル基材部11上にエラストマからなる軟質把持部25を被覆形成したものも好ましい。このような軟質把持部25はハンドル部3を指でつまむ際の滑り止め部として機能するとともに軟質突条部23の剥がれも防止する機能を有する。図9に示すように、連結端部24を省略し、互いに連続する軟質突条部23と軟質把持部25を一つのみ設けたものも好ましい。
<製造方法>
次に、歯間清掃具の製造方法について説明する。
この歯間清掃具の製造方法は、図4〜図6に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する基材部成形工程と、第1金型30、31にて成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形する軟質部成形工程とを備えている。なお、第1金型30、31が第1金型の第1型及び第2型にそれぞれ相当し、第2金型40、41が第2金型の第1型及び第2型にそれぞれ相当する。
(基材部成形工程)
基材部成形工程では、図4に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する。より具体的には、第1金型30、31として、芯基材部成形部32aとハンドル基材部成形部32bとからなる第1成形空間32を複数並列状に形成し、隣接するハンドル基材部成形部32b間にそれに連通する1対の連結部成形部35をそれぞれ形成するとともに、これら複数の第1成形空間32の基端側にランナ33を形成し、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32をランナ33に連通したものを用い、ランナ33へ合成樹脂材料を供給することで、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32内に合成樹脂材料を充填して、複数の基材部10を同時成形することになる。そして、複数の基材部10とランナ部37とゲート部36と連結部13とを有する一次成形品10Aを製作する。
なお、基材部10は1つずつ成形することも可能であるが、複数個の基材部10を同時に成形することで、生産性を向上できるとともに、成形されたランナ部37を保持して、複数個の基材部10を同時に移載でき、作業性を向上できるので好ましい。また、ゲート34は、第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側、より好ましくは連結部成形部35よりも第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側であれば、任意の位置に形成することができるが、第1成形空間32の基端部にゲート34としてサイドゲートを形成すると、第2金型40、41に一次成形品10Aを装填する際に、一次成形品10Aのゲート部36が第2金型40、41間に挟み込まれるリスクを低減できるので好ましい。
また、第1金型30、31に、コールドランナからなるランナ33に代えてホットランナを設けることも可能であるが、第1金型30、31が大型になるとともに製作コストが高くなるので、コールドランナからなるランナ33を設けることが好ましい。また、ランナ部37により複数の基材部10を安定性良く連結できるので、一次成形品10Aを第2金型40、41に移載するときに、一次成形品10Aのハンドリング性を向上できるので好ましい。更に、ゲート34として例えば円柱形様若しくは紡錘形様で直径0.1〜1.5mmの範囲にあるピンゲートを採用すると、コールドランナを採用でき、ゲート34の間隔を狭くして成形品を小型に構成できるので好ましい。
(軟質部成形工程)
軟質部成形工程では、図5及び図6に示すように、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aを第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形し、複数の歯間清掃具1を並列状に連設した歯間清掃具連結体5を得ることになる。
先ず、軟質部成形工程で用いる第2金型40、41について説明すると、第2金型40、41には、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aの複数の基材部10に対応する位置に複数の第2成形空間42が形成されるとともに、一次成形品10Aのランナ部37と複数のゲート部36と連結部13とに適合する嵌合空間43、44、45が形成されている。第2金型40、41と基材部10間には第2成形空間42として、芯基材部12の先端側の清掃芯部12bを取り囲む清掃用軟質部成形部46aと、該清掃用軟質部成形部46bの基端側に連通し、基端側芯部12aの外周面上の軸方向に沿った所定幅の二領域を臨む位置にそれぞれ形成される溝状の軟質突条部成形部46bと、各軟質突条部成形部46bの基端側に連通し、基端側芯部12aの基端部を取り囲む環状の連結端部成形部46cとを備えている。
清掃用軟質部成形部46aの先端側において第2金型40、41との合わせ面40a、41aには、清掃用軟質部成形部46aの先端部に開口するゲート47がそれぞれ形成され、これら複数のゲート47は第2金型40、41に形成した共通のランナ48に連通され、共通のランナ48から複数のゲート47を経て複数の第2成形空間42にエラストマ材料が供給されるように構成されている。なお、ゲート47の直径は0.1mm以上1.0mm以下に設定することが好ましい。本例ではこのように先端側からエラストマ材料を供給するように構成したが、基端側、すなわち連結端部成形部46cにエラストマ材料を供給するゲートを設けて基端側から第2成形空間42にエラストマ材料を供給することもできる。
第2金型40、41には、清掃用軟質部成形部46aの先端側部分と途中部と基端側部分とにそれぞれ対応させて1対の先端側保持ピン50と1対の途中部保持ピン51と1対の基端側保持ピン52とがそれぞれ対面状に設けられ、これら3組の保持ピン50〜52は、第2金型40、41の合わせ面40a、41aと略直交方向、言い換えると第2金型40、41の型開閉方向に移動自在に設けられ、基材部10の芯基材部12は、これら3組の保持ピン50〜52の先端部を清掃用軟質部成形部46a内に突出させて、各組の保持ピン50〜52の先端部間に芯基材部12を挟持することで、清掃用軟質部成形部46aの中央部に精度良く位置決め保持されるように構成されている。なお、「保持ピンを対面配置させる」とは、第一側部の保持ピンのピン先位置と第2側部の保持ピンのピン先位置が、芯基材部の中心線方向(図11のDLの方向)において重複することを意味する。保持ピンにより形成される2つの芯基材部凹部の位置関係が保持ピンのピン先の位置関係と一致することから、次のように言い換えられる。すなわち、芯基材部の長さ方向の中心線(図11のCL)を通る平面(図11のBS)と芯基材部凹部の端との接点(図11のB点およびT点)を結ぶ直線(図11のUL)の任意の点からCLに対して降ろした垂線(図11のDL)を設定する。次いで、BSをCL中心に回転させて得られる全ての清掃部凹部のDLにおいて、両方の清掃部凹部のDLを対比する場合、全てのDLもしくは一部のDLが重複する関係にあることを意味する。
清掃用軟質部成形部46aに対してエラストマ材料を充填すると、芯基材部12が高温のエラストマ材料に曝されて軟化し、保持ピン50〜52の先端部により芯基材部12の外周面に芯基材部凹部14aが形成される。この芯基材部凹部14aは歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げの力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部12が折れることがあるので、これを防止するため、芯基材部凹部14aの最大深さdは、芯基材部12に対する保持ピン50〜52の長さを調整することによって、0.01mm以上0.085mm以下、好ましくは0.01mm以上0.065mm以下に設定されている。
また、保持ピン50〜52の先端部の軸方向に直交する横断面の断面積は、最も先端側に位置する保持ピン50が他の位置の保持ピンの先端部の横断面の断面積と比較し、略同一若しくは小さく、途中部保持ピン51及び基端側保持ピン52は、略同一若しくは途中部保持ピン51のほうが基端側保持ピン52よりも大きくなるように構成されている。つまり、清掃用軟質部成形部46aの先端側部分は通路面積が小さくなるので、先端側保持ピン50の断面積をできる限り小さくすることで、エラストマ材料の流通抵抗を極力小さく設定するとともに、成形時に発生するカルマン渦の影響を抑えることにより、清掃用軟質部成形部46aに対するエラストマ材料の充填不良を防止できるとともに、芯基材部12の過度の溶融を防止できるので好ましい。なお、保持ピンの先端部の横断面積は、成形時におけるブレや膨張収縮による面積の変動が極めて少ないので、これらを加味しても、それにより形成される清掃部凹部の開口部の面積と略同じになると推定できる。
保持ピン50〜52の先端部の横断面形状は、本実施の形態では円形に形成したが、成形時のカルマン渦による影響を更に抑えるために、清掃用軟質部成形部46aの長さ方向に細長いオーバル形状や涙滴形状などに形成することも可能である。先端側保持ピン50の断面積は0.03mm2〜0.3mm2に設定されている。また、途中部保持ピン51の断面積は0.12mm2〜1.2mm2に設定されている。また、基端側保持ピン52の断面積は0.1mm2〜1.1mm2に設定されている。これらに設定することにより、成形時における芯基材部12の固定を確実にするだけでなく、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
こうして、基材部10に対して軟質部20を被覆した後、合成樹脂からなるランナ部37及びゲート部36を除去するとともに、ランナ48及びゲート47にて成形されたエラストマからなるランナ部55及びゲート部56を除去して歯間清掃具1を得ることになる。
次に、芯基材部の基端側芯部の外周面における軟質突条部が被覆される領域に、アンカー用の突条が存在する場合と存在しない場合について、撓み性がどのように影響するか検証した、有限要素解析の解析結果について説明する。
先ず、有限要素解析を行った実施例1、比較例1のモデルについて説明する。実施例1のモデルは、図12(a)に示すように、直径1.73mm、長さ15mmの丸棒状の芯基材部(基端側芯部)の外周面上の所定領域に、幅1mm、長さ15mm、中央位置での厚さ(芯基材部外周面からの高さ)0.3mmの略四角柱形状の軟質突条部を被覆形成したものとした。また、比較例1は、図12(b)に示すように、芯基材部(基端側芯部)を実施例1と同じ寸法形状の丸棒状を基本としつつ軟質突条部が被覆形成される所定領域に幅0.5mm、中央位置での基本丸棒形状の仮想外周面からの突出高さ0.15mmの略四角柱形状の突条を有するものとし、これに実施例1と同じく幅1mm、長さ15mmで、中央位置における前記仮想外周面からの高さ0.3mmの断面視凹状の軟質突条部を被覆形成したものとした。すなわち、突条を除く各部の寸法は実施例1とすべて共通とした。また、材料についても、芯基材部(基端側芯部)をポリプロピレン樹脂、軟質突条部をスチレン系エラストマとし、実施例1と比較例1で互いに同じ材料に設定した。
そして、実施例1、比較例1のモデルの一端部を芯基材部のハンドル側基端部とみなして固定状態とし、自由端とした他端から1.0mmの位置であって軟質突条部の上面中央の位置(上方)から、軸心方向に軸に直角に荷重0.1Nを掛けたときの他端中心部の軸からの変位量、同じ他端から1.0mmの位置であって軟質突条部の上面中央から90°周方向にずれた側方位置(側方)から、軸心方向に軸に直角に荷重0.1Nを掛けたときの他端中心部の軸からの変位量をそれぞれ有限要素解析にて解析した。
表1に、実施例1、比較例1の各方向からの荷重に対する変位量の解析結果を示す。表1から分かるように、比較例1では軟質突条部に指をかけて屈曲させる際の撓み性が低下することがわかる(0.08120mm)。また、比較例1では側方からの荷重による変位量は、実施例1と同程度に十分にあり(0.09909mm)、方向によって変位差が大きくなる(変位の比 1.22)。すなわち、撓み性に方向性が出てしまい、軟質突条部に指をかけて屈曲させる際に、該軟質突条部の上面から軸心の方向への撓み性が悪く、斜め方向や横方向に屈曲してしまうことがわかる。すなわち、思い通りの方向へ曲げることができず、操作性が低下することがわかる。これに対し、実施例1では、変位量は各方向とも十分にあり、変位の比も1.09と少なく、撓み性に方向性がなく思い通りの方向へ曲げることができ、操作性が良好であることがわかる。本解析は軟質突起部を1本のみ設けたモデルで比較したが、突条の有無で撓み性の方向性が大きく異なり、軸に対称な二位置にそれぞれ軟質突起部を合計2本設けたモデルで比較しても同じ傾向がより強調されることが予想できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。