以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<歯間清掃具>
本発明の歯間清掃具は、合成樹脂からなる基材部と、エラストマからなる軟質部とを備えている。
基材部を構成する合成樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、飽和ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、プロピオン酸セルロース、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)などの熱可塑性合成樹脂材料を採用できる。また、基材部を構成する合成樹脂材料として、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマや、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、合成ゴムなどの熱硬化性エラストマなども採用できる。加えて、基材部を構成する合成樹脂材料としては、生産性を向上するため融点が150℃以上の結晶性を有する熱可塑性合成樹脂材料を採用することが好ましい。特に、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)は、基材部10の折れを防止できることから好ましく、ポリプロピレンは、成形温度が低く、サイクルタイムを短縮して生産性を向上できるとともに、成形設備に対する熱負荷が少ないことから最も好ましい。
基材部を構成する合成樹脂材料に対しては、歯間への挿入時や歯間清掃時における清掃部の折れを防止するため、板状や粒状のガラスフレーク、マイカ、タルクなどの粉体や、ガラス繊維や炭素繊維やアラミド繊維など繊維材を添加することができる。
軟質部を構成するエラストマとしては、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマや、、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、合成ゴムなどの熱硬化性エラストマなどを採用できる。特に、基材部を構成する合成樹脂材料との相溶性を有する材料が好ましく、例えば基材部をポリプロピレンで構成する場合には、軟質部をポリオレフィン系エラストマ又はスチレン系エラストマで構成することが好ましい。なお、エラストマとしては、添加材を添加したものを採用することもできる。
次に、歯間清掃具1の具体的な形状について図面を参照しながら説明する。
図1〜図4に示すように、歯間清掃具1は、その機能で区別すると、歯間清掃用の清掃部2と、持ち手としてのハンドル部3とを備え、その素材で区別すると、合成樹脂からなる基材部10と、エラストマからなる軟質部20とを備えている。この歯間清掃具1は、図1(a)に示すように、複数個の歯間清掃具1を切り離し可能に並列状に連結してなる歯間清掃具連結体5の形態に製作され、利用者は、歯間清掃具連結体5の一側から順番に歯間清掃具1を連結部13において切り離して、順次使用することになる。歯間清掃具1の連結個数は任意に設定可能である。
(基材部)
基材部10は、熱可塑性合成樹脂からなり、図1に示すように、ハンドル部3を構成する扁平な細長い板状のハンドル基材部11と、ハンドル基材部11の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部12と、隣接するハンドル基材部11を切り離し可能に連結する連結部13とを備えている。
ハンドル基材部11は、扁平な細長い板状に形成したが、指で摘まんで歯間を清掃し易い形状であれば、扁平な細長い板状以外の任意の形状、例えば横断面形状を円形やオーバル形状(楕円形、長円形、角丸長方形、卵形、小判形、俵形(短辺部が曲線状の長方形、丸角長方形)など)や涙滴形状や多角形などに構成した棒状、板状、連続的又は段階的に曲がっている形状に形成したり、ハンドル基材部に湾曲部や凹部を持ち易さ向上のために設けたりすることもできる。ハンドル基材部11の先端部は芯基材部12側へ行くにしたがって幅狭に構成されて、芯基材部12に滑らかに連設されている。
ハンドル基材部11の寸法は、指で摘まんで歯間を清掃し易い寸法であれば任意の寸法に設定でき、図1に示すハンドル基材部11では、例えば長さL1は10mm〜25mm、幅W1は4mm〜8mm、把持部分の厚さt1は1.0mm〜2.0mmに設定されている。このように、ハンドル基材部11を薄肉に構成しているので、基材部10を成形するときに、ハンドル基材部11の収縮による寸法バラツキを少なくできるとともに、ヒケを防止して、軟質部20を成形するための第2金型40、41への基材部10の装填不良を防止できる。
芯基材部12は、略直線状の細長い軸状に形成され、ハンドル基材部11と芯基材部12とは略同一軸線状に配置され、芯基材部12とハンドル基材部11とは同一平面内に配置されている。芯基材部12の把持部側には外部に露出する露出部12aが形成され、芯基材部12の先端側部分にはエラストマが被覆されて歯間に挿入可能な芯本体12bが形成され、少なくとも軟質部が被覆している部分は先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されている。
幅狭に構成されるハンドル基材部11の先端部側面のアール(湾曲部)の終点から軟質部20の被覆部21aの基端部までの芯基材部12の露出部12aの長さL2は、操作性を考慮して、例えば10mm〜40mm、好ましくは10mm〜25mmに設定され、清掃用軟質部21の長さL3は歯間に対する清掃性を考慮して、例えば12mm〜25mmに設定されている。挿入性、応力集中緩和の観点から芯基材部12の断面形状は円形が好ましいが、オーバル形状や涙滴形状や多角形などの断面形状であっても構わない。
芯基材部12の中心線に対する芯基材部12の外面のテーパ形状のなす角度θ1は、歯間への挿入性を考慮して、0.15°〜2.0°に設定されている。芯本体12bの先端側部分の直径は0.3mm〜0.6mmに設定され、芯本体12bの基端部の直径は0.8mm〜2.4mmに設定されている。ただし、芯基材部12のテーパ形状のなす角度θ1は、芯基材部12の全長にわたって同じ角度θ1に設定したが、芯基材部12の先端側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に小さくなるように設定することもできる。また、露出部12aを全長にわたって同じ直径の軸状に形成し、芯本体12bのみを先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成することもできる。更に、露出部12aを省略し、芯本体12bをハンドル基材部11に直接的に連設することも可能である。
本実施の形態では、ハンドル基材部11の長手方向に延びる中心線と芯基材部12の軸線とを略同一軸線状に配置したI型の歯間清掃具1に本発明を適用したが、ハンドル基材部11の中心線と芯基材部12の軸線とを任意の位置関係に配置した歯間清掃具に対しても本発明を適用でき、例えばハンドル基材部11の中心線と芯基材部12の軸線とを間隔をあけて平行配置した歯間清掃具に本発明を適用することもできるし、ハンドル基材部11の中心線を芯基材部12の軸線に対して、
例えば120°の角度を付けて設けた、所謂L型の歯間清掃具1や清掃部に連結するハンドル部等が約140°〜160°の滑らかな曲線形状を有するカーブ型の歯間清掃具に対しても本発明を適用できる。
また、基材部10を構成する合成樹脂材料に繊維材を添加する場合には、繊維材は、その長さ方向が基材部10の長さ方向に沿った方向となるように配向されていることが好ましく、このように構成することで、基材部10の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具1の使用時における、芯基材部12の折れや座屈を効果的に防止できる。
(軟質部)
軟質部20は、図1〜図4に示すように、エラストマ材料を用いて基材部10に一体的になるよう成形したもので、芯基材部12に外装した清掃用軟質部21を備えている。ただし、軟質部20として、芯本体12bの基端部に歯間への挿入を規制する環状の挿入規制部を設けたり、ハンドル基材部11に滑り止め部を設けたりすることも可能である。挿入規制部や滑り止め部は、清掃用軟質部21とは独立に成形することも可能であるが、金型構造が複雑になるので、清掃用軟質部21の基部に連なるように形成することが好ましい。
清掃用軟質部21は、芯基材部12に被覆される軟質被覆部(以下、単に被覆部)21aと、被覆部21aに長さ方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成した複数の清掃用突起部21bとを有している。被覆部21aの肉厚は、厚過ぎると被覆部21aに覆われている芯本体12bの直径を小さくする必要が生じるため、歯間への挿入時における清掃部2の剛性が大きく低下するだけでなく、成形時にカルマン渦が発生し易かったりカルマン渦の影響を大きく受ける恐れがあるため好ましくなく、薄過ぎると清掃部2の基端部までエラストマ材料を充填できないので好ましくない。このため、被覆部21aの肉厚は、0.1mm〜0.2mmに設定することが好ましい。
被覆部21aは、先端側から基端側に向けて断面形状が次第に大きくなるテーパ形状である。このテーパ形状により、清掃用軟質部21には図4に示すように、長手方向に二つ以上の使用想定範囲(本例では使用想定範囲SSS、SS、S)が設定されている。各使用想定範囲は、歯間の大きさを所定の範囲ごとに区分し、各区分に該当する歯間を清掃する際に用いられるべき長手方向の使用範囲として設定されるものであり、ユーザごとに又は一ユーザの口腔内の各歯間ごとに異なる歯間サイズに対し、一種類又は一本の歯間清掃具1で清掃可能とするように二つ以上設けられている。
歯間の大きさの区分は、適宜設定することができる。例えば、0.7mm〜0.8mm以下の隙間の歯間をSSSサイズ(ISO16409に規定されるブラシサイズ「1」に相当するサイズ)の歯間、0.9mm〜1.0mmの隙間の歯間をSSサイズ(同じくブラシサイズ「2」に相当するサイズ)の歯間、1.1mm〜1.2mmの隙間の歯間をSサイズ(同じくブラシサイズ「3」に相当するサイズ)の歯間と決め、このような三つの連続した範囲に区分することができる。そして、各区分に該当する長手方向の使用範囲(使用想定範囲)については、各区分に対応した被覆部21aの断面の大きさの範囲を決めることで求めることができる。このような大きさの範囲は、各区分に属するサイズの歯間を磨くにあたって適した被覆部21aの大きさの範囲であり、被覆部21aの外周に設けられる清掃用突起部21bの数、大きさ、清掃部単位長さあたりの体積等によって適宜設定することができる。
例えば後述するような清掃用突起部21bの形態を備える本例においては、それぞれ外径0.8mm未満の範囲、0.8mm以上1.0mm未満の範囲、及び1.0mm以上1.1mm以下の範囲と決めることができる。断面形状の大きさは、このような円形断面の外径でもよいし、その他、外周長でもよいし断面積でもよく、歯間の大きさに対応する大きさを示すものであれば特に限定されない。このように被覆部21aの断面形状の大きさの範囲がそれぞれ決まると、これに対応する長手方向の位置(範囲)も決まり、その範囲がそれぞれ図4に示す三つの使用想定範囲SSS、SS、Sとして設定される。
清掃用突起部21bは、被覆部21aの長さ方向に相互に間隔をあけて形成されるとともに、被覆部21aの周方向に間隔をあけて配置されている。本例では、長手方向に沿って複数形成された清掃用突起部21bの列が、軟質被覆部21aの周方向に間隔をおいて、複数列設けられている。清掃用突起部21bの各列は、具体的には、後述する第2金型40、41により成形できるように、型開閉方向の一側方に突出する2つ1組の列22A,22Bと、他側方に突出する2つ1組の列22C,22Dと、合わせ面40a、41aに沿って一側方へ突出する1つの列22Eと、被覆部21aから合わせ面40a、41aに沿って他側方へ突出する1つの列22Fの計6列形成されている。ただし、清掃用突起部21bは、上述した以外の配列パターンで形成することも可能で、例えば、被覆部21aから、十文字状に外方へ突出する4つ1組の清掃用突起部21bを軸方向に間隔をあけて設けることや、被覆部21aにリング状に外方へ突出するも可能である。
そして、これら清掃用突起部21bの列のうち、一部の列(本例では列22A,22B,22C,22D)には、使用想定範囲SSSと使用想定範囲SSの境界位置に対応して、長手方向に沿った軟質突起部の間隔が比較的大きくなる突起部間領域23A,23B,23C,23Dがそれぞれ設けられるとともに,使用想定範囲SSと使用想定範囲Sの境界位置に対応して、同様の突起部間領域24A,24B,24C,24Dがそれぞれ設けられている。これにより、歯間への挿入の際、当該突起部間領域23A〜24Dで当該列ごとの軟質突起部の重なり量が小さくなるか、或いは重なりが無くなり、挿入時の抵抗が小さくなり、さらに当該領域から基端側の軟質突起部を挿入する際の抵抗は逆に相対的に大きくなって、この挿入抵抗の変化(低減した挿入抵抗が逆に増大)することにより、使用するユーザは使用想定範囲の限界位置、すなわち使用想定範囲SSSと使用想定範囲SSの境界位置/使用想定範囲SSと使用想定範囲Sの境界位置をそれぞれ認識することができるのである。
本例では一部の列にのみ使用想定範囲の境界位置に対応した突起部間領域を設けているが、すべての列に設けることも可能である。ただし、一つの上記境界位置に対応してすべての列に突起部間領域を設けると、当該境界位置において周囲に軟質突起部がまったくなくなり、清掃性が低下するため、これを避けることが好ましい。また、一列にのみこのような突起部間領域を設けることもできる。しかし、上記挿入抵抗の変化を大きくして限界位置の認識をより確実にするためには、図1〜4に示した本例のように、少なくとも芯基材部を挟んでその両側に対面して設けられる対を為す列とすることが好ましい。
突起部間領域23A,23B,23C,23Dと突起部間領域24A,24B,24C,24Dは、いずれも各列の領域が軸方向にずれているが、一致していてもよい。上述の抵抗変化は、突起部間領域を挟んで列方向基端側に立設している軟質突起部21bに当接することで生じることから、本例のように各列の領域が軸方向に若干ずれている場合、各列における突起部間領域の基端位置、すなわち突起部間領域に臨む基端側の軟質突起部21bの根元部先端側位置が、最も清掃用軟質部21の先端から近い列の当該基端位置(前記根元部先端側位置)が、対応する上記境界位置となるように設定されることが好ましい。
清掃用突起部21bの基端部の断面積や長さ、個数や配設間隔は、任意に設定可能である。成形性及び清掃性を考慮して、清掃用突起部21bの基端部の断面積は、0.03mm2〜1.5mm2に設定することが好ましく、0.03mm2〜1.0mm2がさらに好ましく、0.04mm2〜0.8mm2が最も好ましい。、清掃用突起部21bの長さは0.1mm〜2.5mmに設定することが好ましく、0.3mm〜2.0mmに設定することがさらに好ましく、0.5mm〜1.7mmに設定することが最も好ましい。清掃用突起部21bの個数は20個〜120個に設定することが好ましい。また、清掃用突起部21bとして、円錐状のものを採用したが、軸方向に扁平な平板状の先細形状のものを採用することもできる。更に、清掃用突起部21bの断面形状としては、円形以外に、オーバル形状や涙滴形状や多角形などの任意の断面形状のものを採用できる。
上記の突起部間領域23A,23B,23C,23D、24A,24B,24C,24Dの長さは、該領域を臨む先端側の軟質突起部21bの突出長さよりも所定長さだけ大きく設定したものが好ましい。これにより、歯間への挿入の際、図5に示すように、突起部間領域内で倒れる軟質突起部21b同士が重ならないばかりか、所定長さの隙間25ができ、挿入抵抗の変化(使用時の段差感)を大きくして限界位置をより確実に認識しやすくなる。本例では同じ列の他の軟質突起部21b同士は歯間7に挿入されて倒れると互いに重なるように長さや間隔が設定されているが、これに限定されず、重ならないように設定することも勿論できる。また、突起部間領域を臨む軟質突起部同士も完全に重ならないものに限定されるものではなく、重なるものでも突起部間領域において同じ列の他の軟質突起部同士よりも重なり量は小さくすることができ、上記挿入抵抗の変化は大きくなるのでユーザは限界位置を認識することができる。
ところで、軟質部20を成形するときには、後述するように、第2金型40、41に設けた複数の保持ピン50〜52により、芯基材部12を第2成形空間42の中央部内に位置決め保持するため、歯間清掃具1の清掃部2のうちの保持ピンに対応する位置には、被覆部21aを貫通して、芯基材部12に芯基材部凹部14aを形成する、清掃部凹部14が形成される。芯基材部凹部14aは、第1金型30、31にて成形した直後の比較的高温の基材部10が、第2金型40、41に充填されるエラストマの熱に曝されて軟化し、この軟化した芯基材部12に保持ピンの先端部が当接することによって形成される。
このように保持ピン50〜52で保持される芯基材部12に対応する部位には、軟質突起部を成形することができない。そこで、このような保持ピンで保持される部位を上述の突起部間領域23A〜24Dの位置に配置すれば、軟質突起部を成形できないというデメリットをうまく解消することができることになる。すなわち本例では、突起部間領域23A〜24Dの位置に、清掃用軟質部を貫通して芯基材部に形成された芯基材部凹部14aに連通する清掃部凹部14が形成されている。このような凹部があると、上述した挿入抵抗の点でも抵抗が減って変化を大きくし、使用想定範囲SSS/SSの限界位置の認識をより確実なものにできる点でデメリットをメリットに変えることが可能となる。
図3に示すように、芯基材部12の外周面からの芯基材部凹部14aの最大深さdは、歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げ応力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部12が折れることを防止するため、0.01mm以上0.085mm以下、好ましくは0.01mm以上0.065mm以下に設定されている。また、芯基材部凹部14aに対応する位置における芯基材部あ12の最大横断面積は、該芯基材部凹部14aに隣接する位置での芯基材部12の横断面積の好ましくは70.0〜99.0%に設定した、最も好ましくは80.0〜97.9%に設定した、芯基材部凹部14aにおける応力集中の発生を少なくして、歯間への挿入時や歯間清掃時における芯基材部12の折れを一層効果的に防止できるように構成されている。
清掃部凹部14の正面形状は、前記保持ピンのピン先形状と同形状に形成され、例えば円形やオーバル形状や涙滴形状、正方形や長方形などの多角形状に形成されている。歯間清掃具1に設ける複数の清掃部凹部14は、全て同じ形状に形成することもできるし、清掃部2の先端部からの距離などに応じて異なる形状のものを任意に組み合わせて混在させることもできる。
清掃部凹部14をオーバル形状や涙滴形状や長方形などのように細長形状に形成する場合には、例えば図6に示す清掃部2Aのように、長方形の清掃部凹部14Aを周方向に隣接する清掃用突起部21b間に、長手方向が清掃部2の軸方向となるように形成することが好ましい。このように構成すると、清掃部凹部14Aの幅を狭くして、保持ピンの幅を小さくしつつ、芯基材部12に対する保持ピンのホールド性を十分に確保し、芯基材部凹部14Aaの深さを浅くして、芯基材部凹部14Aaを設けた位置における応力集中の発生を効果的に防止できるので好ましい。
清掃部凹部14の芯基材部凹部14aの底面は、図3に示すように、芯基材部凹部14aの深さ方向と直交する方向の平坦面で構成することも好ましいが、図7に示す清掃部凹部14Bの芯基材部凹部14Baのように、芯基材部12の外面に沿う円弧面で構成したり、中央部が盛り上がった2等辺三角形状の2つの傾斜面で構成したりすることができる。
芯基材部凹部14aの開口面積は、任意に設定可能であるが、0.08mm2〜0.35mm2、0.09mm2〜0.30mm2がさらに好ましく、0.1mm2〜0.25mm2に設定することが最も好ましい。また、1つの歯間清掃具1に形成する芯基材部凹部14aの総面積は0.9mm2〜1.3mm2に設定することが好ましい。芯基材部凹部14aの開口面積は、全て同じ大きさに設定することもできるが、芯基材部12の先端側の芯基材部凹部14aほど小さくなるように設定することが好ましい。なお、芯基材部凹部14aの開口面積とは、芯基材部凹部14aの深さ方向の中心線DL(図15参照)と直交する面に対する、芯基材部凹部14a内に露出する芯基材部12と清掃用軟質部21との境界線の投影図形で取り囲まれる面積を意味する。
清掃部凹部14は、清掃部2における上述の突起部間領域23A〜24Dが形成される第1側部と第2側部とに、清掃部2の軸方向に間隔をあけてそれぞれ複数個設けられている。ここで、清掃部2の第1側部と第2側部とは、第2金型40にて成形される清掃部2の部分と第2金型41にて成形される清掃部2の部分のことであり、扁平なハンドル基材部11の表面側と裏面側に対応する清掃部2の表面側半部と裏面側半部を意味する。図1〜図4に示す清掃部2では、第1側部と第2側部に清掃部凹部14が対面状に設けられ、各清掃部凹部14は深さ方向が第2金型40、41の型開閉方向となるように配置されている。
対面状に配置される1対の清掃部凹部14を1組として、清掃部2の軸方向に間隔をあけて3組の清掃部凹部14が設けられている。先端から一組目の清掃部凹部14は、該凹部14と同様、第1側部と第2側部に互いに略対面状に設けられた突起部間領域23A(23B)と23D(23C)にそれぞれ形成され、先端から2組目の清掃用凹部14は、同じく第1側部と第2側部に互いに略対面状に設けられた突起部間領域24A(24B)と24D(24C)にそれぞれ形成され、先端から3組目の清掃部凹部14は、同じく第1側部と第2側部において突起部間領域ではない基端寄りの軟質突起部21b間の隙間に設けられている。
清掃部凹部14の組数は、2組以上、望ましくは3組以上の組数設けることが好ましい。このように、清掃部凹部14の組数を3組以上又は4組以上に構成することで、歯間への挿入時や歯間清掃時に清掃部2に作用する曲げ応力を分散させることができるとともに、後述のように保持ピン50〜52による芯基材部12のホールド性を確保しつつ、芯基材部凹部14aの深さを浅くすることにより、歯間清掃時において、局部的に大きな曲げの力が作用することによる芯基材部12の折れを効果的に防止できる。
清掃部凹部14は、対面状に組を為すように配置することが好ましいが、周方向に一部重なる範囲内、即ち清掃部2の軸方向に対する清掃部凹部14の長さの範囲内で、清掃部2の軸方向にずらした位置に設けることもできる。また、図3に示すように、第1側部の清掃部凹部14と第2側部の清掃部凹部14とは同一軸線状に配置することが好ましいが、図8に示す清掃部2Dの清掃部凹部14Dのように、第1側部の清掃部凹部14Dの中心線と第2側部の清掃部凹部14Dの中心線とが、清掃部2Dの半径方向に一定距離ずらして平行配置されるように清掃部凹部14Dを形成することもできる。
また、清掃部2に対する清掃部凹部14の配設位置は、次のように構成することもできる。ただし、清掃部凹部14E及び芯基材部凹部14Eaと、清掃部凹部14及び芯基材部凹部14aとは、清掃部2に対する形成位置のみを変更したものであり、正面形状や深さや開口面積は、清掃部凹部14及び芯基材部凹部14aと同様に構成できる。
例えば、図9、図10に示す清掃部2Eの清掃部凹部14E及び芯基材部凹部14Eaのように、第1側部の清掃部凹部14Eと、それに対応する、清掃部2Eの先端から数えて同じ番目の第2側部の清掃部凹部14Eとが、清掃部2Eの周方向に重複しないように、清掃部2Eの軸方向に間隔をあけて形成することができる。この場合、いずれかの凹部14Eを突起部間領域に設けることが好ましい。図9では、第1側部における清掃部凹部14E間の略中央部に、第2側部の清掃部凹部14Eを配置したが、第1側部における隣接する清掃部凹部14E間の先端側或いは基端側に偏った位置に、第2側部の清掃部凹部14Eが配置されるように構成することもできる。
また、第1側部の全ての清掃部凹部14Eと、第2側部の全ての清掃部凹部14Eとを、清掃部2Eの周方向に重複しないように、清掃部2Eの軸方向に間隔をあけて形成することもできるし、第1側部の特定の清掃部凹部14Eと、それに対応する、清掃部2Eの先端から数えて同じ番目の第2側部の清掃部凹部14Eとが、清掃部2Eの周方向に重複しないように、清掃部2Eの軸方向に間隔をあけて形成することもできる。更に、第1側部の清掃部凹部14Eと、第2側部の清掃部凹部14Eの個数は、同じ個数にすることが好ましいが、異なる個数にすることもでき、例えば第1側部の清掃部凹部14Eの個数を、第2側部の清掃部凹部14Eの個数よりも1つ少なくすることができる。
このように、芯基材部12の第1側部と第2側部とに交互に芯基材部凹部14Eaが形成され、芯基材部12の軸方向の同じ位置に1対の芯基材部凹部が形成されることを防止できるので、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積を大きくして、芯基材部12の折れの発生を防止できる。また、芯基材部凹部が第2成形空間の周方向に重複しない場合、第1側部と第2側部の保持ピンが芯基材部の異なる位置に対して力を与えるため、周方向に重複する保持ピンの場合に比べ、軟質部成形時における芯基材部の振動が抑えられる。従って、形成される芯基材部凹部の深さが浅くなり、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積が大きくなって、芯基材部12の折れの発生を防止できる。更に、芯基材部12の長さ方向に対する、第2金型40の保持ピンと、第2金型41の保持ピンの間隔が短くなるので、芯基材部を安定性良く保持することが可能となる。
また、芯基材部を挟んで対面状に且つ深さ方向が第2金型の型開閉方向に対して周方向に角度をなすように、第1側部の清掃部凹部及び芯基材部凹部と、第2側部の清掃部凹部及び芯基材部凹部を配置することもできる。ただし、第1側と第2側部の清掃部凹部は、軸方向にずらして形成することもできる。型開閉方向に対する周方向の角度は、60°を超える場合には、隣接する清掃用軟質部成形部46に設ける保持ピン同士が干渉することがあるので、60°以下、望ましくは45°以下に設定することが好ましい。
このように、型開閉方向に対して角度を付けた位置に清掃部凹部を設けると、清掃用軟質部に外方へ突出する複数の清掃用突起部を形成する場合において、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。つまり、図14に示すように、清掃部凹部14Fは、芯基材部12Fを第2成形空間42の中央部に保持する保持ピンにより成形されるが、該保持ピン62の位置を、清掃用突起部21bの形成位置に干渉しないように、第2成形空間42に対して長さ方向及び周方向に調整できるので、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。また、ハンドル基材部11を扁平に構成しているので、指でハンドル基材部11を摘まんで臼歯間を清掃する際に、清掃部2Fはハンドル基材部11を含む面と略直交方向(型開閉方向)の面内において、図2に仮想線で示すように、湾曲することになるが、清掃部凹部14Fは、その深さ方向が型開閉方向に対して角度θ2をなすように配置されているので、清掃部凹部14Fを起点として芯基材部12Fが折れることを効果的に防止できる。
<製造方法>
次に、歯間清掃具の製造方法について説明する。
この歯間清掃具の製造方法は、図11〜図13に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する基材部成形工程と、第1金型30、31にて成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形する軟質部成形工程とを備えている。なお、第1金型30、31が第1金型の第1型及び第2型にそれぞれ相当し、第2金型40、41が第2金型の第1型及び第2型にそれぞれ相当する。
(基材部成形工程)
基材部成形工程では、図11に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する。より具体的には、第1金型30、31として、芯基材部成形部32aとハンドル基材部成形部32bとからなる第1成形空間32を複数並列状に形成し、隣接するハンドル基材部成形部32b間にそれに連通する1対の連結部成形部35をそれぞれ形成するとともに、これら複数の第1成形空間32の基端側にランナ33を形成し、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32をランナ33に連通したものを用い、ランナ33へ合成樹脂材料を供給することで、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32内に合成樹脂材料を充填して、複数の基材部10を同時成形することになる。そして、複数の基材部10とランナ部37とゲート部36と連結部13とを有する一次成形品10Aを製作する。
なお、基材部10は1つずつ成形することも可能であるが、複数個の基材部10を同時に成形することで、生産性を向上できるとともに、成形されたランナ部37を保持して、複数個の基材部10を同時に移載でき、作業性を向上できるので好ましい。また、ゲート34は、第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側、より好ましくは連結部成形部35よりも第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側であれば、任意の位置に形成することができるが、第1成形空間32の基端部にゲート34としてサイドゲートを形成すると、第2金型40、41に一次成形品10Aを装填する際に、一次成形品10Aのゲート部36が第2金型40、41間に挟み込まれるリスクを低減できるので好ましい。
また、第1金型30、31に、コールドランナからなるランナ33に代えてホットランナを設けることも可能であるが、第1金型30、31が大型になるとともに製作コストが高くなるので、コールドランナからなるランナ33を設けることが好ましい。また、ランナ部37により複数の基材部10を安定性良く連結できるので、一次成形品10Aを第2金型40、41に移載するときに、一次成形品10Aのハンドリング性を向上できるので好ましい。更に、ゲート34として例えば円柱形様若しくは紡錘形様で直径0.1〜1.5mmの範囲にあるピンゲートを採用すると、コールドランナを採用でき、ゲート34の間隔を狭くして成形品を小型に構成できるので好ましい。
(軟質部成形工程)
軟質部成形工程では、図12、図13に示すように、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aを第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形し、複数の歯間清掃具1を並列状に連設した歯間清掃具連結体5を得ることになる。
先ず、軟質部成形工程で用いる第2金型40、41について説明すると、第2金型40、41には、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aの複数の基材部10に対応する位置に複数の第2成形空間42が形成されるとともに、一次成形品10Aのランナ部37と複数のゲート部36と連結部13とに適合する嵌合空間43、44、45が形成されている。第2金型40、41と基材部10間には第2成形空間42として、芯基材部12を取り囲む清掃用軟質部成形部46が形成されている。清掃用軟質部成形部46の先端側において第2金型40、41との合わせ面40a、41aには、清掃用軟質部成形部46の先端部に開口するゲート47がそれぞれ形成され、これら複数のゲート47は第2金型40、41に形成した共通のランナ48に連通され、共通のランナ48から複数のゲート47を経て複数の第2成形空間42にエラストマ材料が供給されるように構成されている。なお、ゲート47の直径は0.1mm以上1.0mm以下に設定することが好ましい。
第2金型40、41には、清掃用軟質部成形部46の先端側部分と途中部と基端側部分とにそれぞれ対応させて1対の先端側保持ピン50と1対の途中部保持ピン51と1対の基端側保持ピン52とがそれぞれ対面状に設けられ、これら3組の保持ピン50〜52は、第2金型40、41の合わせ面40a、41aと略直交方向、言い換えると第2金型40、41の型開閉方向に移動自在に設けられ、基材部10の芯基材部12は、図13(b)に示すように、これら3組の保持ピン50〜52の先端部を清掃用軟質部成形部46内に突出させて、各組の保持ピン50〜52の先端部間に芯基材部12を挟持することで、清掃用軟質部成形部46の中央部に精度良く位置決め保持されるように構成されている。
ところで、清掃用軟質部成形部46に対してエラストマ材料を充填すると、芯基材部12が高温のエラストマ材料に曝されて軟化し、保持ピン50〜52の先端部により芯基材部12の外周面に芯基材部凹部14aが形成される。この芯基材部凹部14aは歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げ応力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部12が折れることがあるので、これを防止するため、芯基材部凹部14aの最大深さdは、芯基材部12に対する保持ピン50〜52の長さを調整することによって、0.01mm以上0.085mm以下、好ましくは0.01mm以上0.065mm以下に設定されている。
また、保持ピン50〜52の先端部の軸方向に直交する横断面の断面積は、最も先端側に位置する保持ピン50が他の位置の保持ピンの先端部の横断面の断面積と比較し、略同一若しくは小さく、途中部保持ピン51及び基端側保持ピン52は、略同一若しくは途中部保持ピン51のほうが基端側保持ピン52よりも大きくなるように構成されている。つまり、清掃用軟質部成形部46の先端側部分は通路面積が小さくなるので、先端側保持ピン50の断面積をできる限り小さくすることで、エラストマ材料の流通抵抗を極力小さく設定するとともに、成形時に発生するカルマン渦の影響を抑えることにより、清掃用軟質部成形部46に対するエラストマ材料の充填不良を防止できるとともに、芯基材部12の過度の溶融を防止できるので好ましい。ただし、途中部保持ピン51は、軸方向に間隔をあけて複数組設けることも可能である。なお、保持ピンの先端部の横断面積は、成形時におけるブレや膨張収縮による面積の変動が極めて少ないので、これらを加味しても、それにより形成される清掃部凹部の開口部の面積と略同じになると推定できる。
保持ピン50〜52の先端部の横断面形状は、本実施の形態では円形に形成したが、成形時のカルマン渦による影響を更に抑えるために、清掃用軟質部成形部46の長さ方向に細長いオーバル形状や涙滴形状などに形成することも可能である。先端側保持ピン50の断面積は0.03mm2〜0.3mm2に設定されている。また、途中部保持ピン51の断面積は0.12mm2〜1.2mm2に設定されている。また、基端側保持ピン52の断面積は0.1mm2〜1.1mm2に設定されている。これらに設定することにより、成形時における芯基材部12の固定を確実にするだけでなく、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
保持ピン50〜52のうちの芯基材部12に当接する先端面は、保持ピン50〜52の軸方向と直交する平坦な面で構成すること以外に、例えば芯基材部12の外周面に沿った円弧面で構成したり、2等辺三角形状に連結した1対の傾斜面で構成したりすることも可能で、このように構成すると、芯基材部12と保持ピン60,61との接触面積を大きく設定して、芯基材部凹部14aの深さを浅く設定できるとともに、芯基材部12を第2成形空間42の中央部に精度良く保持でき、しかも芯基材部12のホールド性を向上できるので好ましい。また、先端面の形状の異なる保持ピンを任意に組み合わせて用いることもできる。
1対の先端側保持ピン50と1対の途中部保持ピン51と1対の基端側保持ピン52とは、それぞれ芯基材部12を挟んで同一軸線状に対面状に配置したが、保持ピン50〜52の少なくとも1組は、その軸線を清掃用軟質部成形部46の長さ方向に例えば基端側保持ピン52の直径の0.1〜1.0倍の長さだけずらして配置することができる。そして、このように1対の保持ピン52を清掃用軟質部成形部46の長手方向にずらして配置すると、保持ピン52間に芯基材部12を保持したときに、芯基材部12に当接させた保持ピン52の面積が事実上広くなるので、より一層強固に芯基材部12を保持することが可能となる。また、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
軟質部成形工程では、図13(a)に示すように、第2成形空間42に一次成形品10Aをセットして型閉じした状態で、図13(b)に示すように、1対の先端側保持ピン50と、1対の途中部保持ピン51と、1対の基端側保持ピン52とを清掃用軟質部成形部46内に突出させて、これら3組の保持ピン50〜52により芯基材部12を保持し、共通のランナ48を通じて複数のゲート47にエラストマ材料を射出供給して、清掃用軟質部成形部46へエラストマ材料を充填する。このとき、芯基材部12がエラストマ材料の熱により軟化して、保持ピン50〜52の先端部により芯基材部凹部14aが形成されるが、この芯基材部凹部14aの最大深さdが、0.01mm以上0.085mm以下、好ましくは0.01mm以上0.065mm以下に設定されるので、歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げの力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部12が折れることを防止できる。
また、保持ピン50の横断面積を保持ピン51、52の横断面積よりも小さく設定しているので、清掃用軟質部成形部46の先端部からの基端側へのエラストマ材料の充填が保持ピン50〜52により極力阻害されないようにすることで、射出圧に多少バラツキが生じたとしても、芯基材部12の湾曲を防止して、精度良くエラストマ材料からなる清掃用軟質部21を成形することができる。
こうして、基材部10に対して軟質部20を被覆した後、合成樹脂からなるランナ部37及びゲート部36を除去するとともに、ランナ48及びゲート47にて成形されたエラストマからなるランナ部55及びゲート部56を除去して歯間清掃具1を得ることになる。
なお、第2金型40、41に対する保持ピン50〜52の配設位置は、例えば、第2金型40の保持ピンを、それに対応する、清掃用軟質部成形部46の先端から数えて同じ番目の第2金型41の保持ピンに対して清掃用軟質部成形部46の周方向に重複しないように、清掃用軟質部成形部46の中心線方向に間隔をあけて形成することもできる。このように、第1金型40の保持ピンを第2金型41の保持ピンに対して軸方向にずらして配置すると、保持ピンを対面配置させる場合と比較して、芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部12の横断面積が大きくなるので、芯基材部12の折れの発生を防止できる。また、清掃用軟質部21の成形時に、保持ピンが第2成形空間の周方向に重複しない場合、第1側部と第2側部の保持ピンが芯基材部の異なる位置に対して力を与えるため、周方向に重複する保持ピンの場合に比べ、軟質部成形時における芯基材部の振動が抑えられる。従って、形成される芯基材部凹部の深さが浅くなり、芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部12の横断面積が大きくなって、芯基材部12の折れの発生を防止できる。更に、芯基材部12の長さ方向に対する保持ピンの間隔が実質的に短くなるので、芯基材部12を安定性良く保持することが可能となる。
また、図14に示す第2金型40、41の保持ピン62のように、芯基材部12を挟んで対面状に且つ軸方向が第2金型40、41の型開閉方向に対して周方向に角度θ2をなすように、第1金型40の保持ピン62と、第2金型41の保持ピン62とを配置することもできる。ただし、第1側と第2側部の保持ピン62は清掃用軟質部成形部46の長さ方向にずらして形成することもできる。角度θ2は、60°を超える場合には、隣接する清掃用軟質部成形部46に設ける保持ピン62と干渉することがあるので、60°以下、望ましくは45°以下に設定することが好ましい。なお、第2金型40、41に角度θ2の異なる複数種類の保持ピン62を設けることもできる。
このように、型開閉方向に対して角度θ2を付けた位置に保持ピン62を設けると、清掃用軟質部21に外方へ突出する複数の清掃用突起部21bを形成する場合において、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。つまり、保持ピン62は、芯基材部12を清掃用軟質部成形部46の中央部に保持する保持ピン62により成形されるが、該保持ピン62の位置を、清掃用突起部21bの形成位置に干渉しないように、清掃用軟質部成形部46に対して長さ方向及び周方向に調整できるので、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。また、ハンドル基材部11を扁平に構成しているので、指でハンドル基材部11を摘まんで臼歯間を清掃する際に、清掃部2はハンドル基材部11を含む面と略直交方向(型開閉方向)の面内において湾曲することになるが、保持ピン62は、型開閉方向に対して角度θ2をなすように配置されているので、該保持ピン62により形成される芯基材部凹部14Faを起点として芯基材部12が折れることを効果的に防止できる。
(通過試験結果)
次に、5種類の歯間清掃具のサンプル(実施例1〜実施例5)を作成し、通過径を測定した試験結果について説明する。
実施例1〜実施例5は、図9に示した形態と同様の形態の複数の突起部間領域を備えており、より具体的には、周方向4箇所の位置において、軸方向に1つ〜3つの突起部間領域を備えた構造で、且つ、先端側から数えて同じ順番の周方向4箇所の互いに対応する各突起部間領域は、図17の写真に示すように、互いに軸方向に重なり合って連続した集合空間を形成している。
実施例1〜3は、周方向4箇所の位置においてそれぞれ軸方向に2つの突起部間領域を備えたものであり、実施例4は、軸方向に3つの突起部間領域を備えたものであり、実施例5は軸方向に1つの突起部間領域を備えたものである。すなわち、実施例1〜3は、軸方向に2つの集合空間を備え、実施例4は、軸方向に3つの集合空間を備え、実施例5は軸方向に1つの集合空間を備えたものである。
試験は、実施例1の先端側から1つ目の突起部間領域で行った実施例1−1、2つ目の突起部間領域で行った実施例1−2、実施例2の先端側から1つ目の突起部間領域で行った実施例2−1、実施例3の先端側から1つ目の突起部間領域で行った実施例3−1、2つ目の突起部間領域で行った実施例3−2、実施例4の先端側から1つ目の突起部間領域で行った実施例4−1、2つ目の突起部間領域で行った実施例4−2、3つ目の突起部間領域で行った実施例4−3、実施例5の先端側から1つ目の突起部間領域で行った実施例5−1の合計9カ所において、ISO16409に準拠する方法にて各周方向4箇所の突起部間領域において、第1側部と第2側部に配設された清掃用突起部の内、突起部間領域に隣接する先端側の清掃用突起部が通過した際の通過径(通過径1)、突起部間領域に隣接する基端側の清掃用突起部が通過した際の通過径(通過径2)をそれぞれ測定した。
表1は、実施例1−1〜実施例5−5の合計9カ所について、図17で示す1〜10の各寸法をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製)を用いて測定した値(単位はmm)、通過径1と通過径2の測定結果、及び各通過径に対応するISOで規定されるブラシサイズを示している。尚、ブラシサイズは、通過径1の数値に基づき表2のISOサイズ対応表から得たサイズであり、「ISOsize1」は「通過径1」に対応するサイズ、「ISO size2」は「通過径2」に対応するサイズである。
表1から分かるように、実施例1−1〜実施例5−1のそれぞれの突起部間領域(の集合空間)において、当該領域の先端側のサイズに比べて基端側のサイズが1つ大きなサイズに変わっている。したがって、歯間への挿入時の抵抗が当該領域を通過する際、一旦抵抗が小さくなった後、一つ大きなサイズとなって抵抗が逆に大きくなり、この挿入抵抗の変化により使用するユーザは使用想定範囲の限界位置を明確に認識することができることは明らかである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。