JP2016540938A - バルブ及びバルブの製造方法 - Google Patents

バルブ及びバルブの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、バルブ201に関し、特に、内側空間204と、内側空間を部分的に包囲する壁202,203と、を持つ供給器具のためのバルブに関する。内側空間は、より小さい第1の端部205と、反対側にあるより大きい第2の端部215と、を持ち、第1の端部は、0mmより大きく且つ0.2mm以下である寸法を持ち、内側空間は、バルブを通る開口を形成し、又は、バルブの閉止部によって、第1の端部において閉止され、バルブの閉止部は、0.1mm以下の厚みを持つ。規定された寸法を具備する開口、又は、容易に破られることができる比較的薄い閉止部が存在するため、バルブが機能しない可能性が低減され得る。

Description

本発明は、バルブ及びバルブの製造方法に関し、バルブの製造装置、及び、バルブを製造するためのコンピュータプログラムに関する。また、本発明は、バルブを形成するためのモールド構造にも関する。
国際公開第2013/139685号は、中央開口、上面、及び、下面を規定しているリング形式のベースを有し、上面及び下面は、平面状であり、ベースからベースの反対側の方向において互いに合流しており、上面及び下面は、少なくとも60°の角度を形成し、その自由端は、バルブが安静である場合に開いているスリットを規定する吸気装置のためのバルブに関する。
国際公開第2010/107723号は、流体及び微粒子を供給するように構成されたダックビル弁と、挿入部をダックビル弁の内側に収容するように構成されたベース部を持つ挿入部と、開口を有し、流体及び微粒子をダックビル弁を透過させるように構成されるとともに、流体及び微粒子によって引き起こされる背圧に応答して、ダックビル弁の壁のための支持を供給するように構成されたW字型部と、を有する逆止弁を特徴とする装置を提供している。
米国特許出願公開第2004/265523号は、流体容器に対する逆止弁の結合構造、及び、流体容器が膨張後、流体の漏れが全くない、流体容器の拡大を確実に維持することが可能な流体容器の製造装置を開示している。逆止弁が、熱可塑性容器フィルムの1つだけに結合されるため、逆止弁の両フィルムは、容器フィルムの1つに固定され、これにより、逆止弁をしっかりと閉止して、逆流を防止する。結果として、流体容器の拡大が、流体容器が膨張後も確実に維持される。上記製造装置は、逆止弁を形成するためにフィルムを正確に配置する上下ローラ制御装置を含む。結果として、当該制御装置は、信頼性のある逆止弁を持つ流体容器を製造することができる。
米国特許出願公開第2012/085958号は、プラスチック射出成形によって膨張口を有して一体的に形成されたプラスチック製本体を有するプラスチック製膨張口構造を開示している。膨張口は、膨張装置通路と、一体的に形成された復元ユニットと、を含む。膨張装置通路ユニットは、膨張又は収縮を実行するために、膨張装置の通路ためのノッチを有して形成される。復元ユニットは、膨張の間、ノッチが確実に膨張装置を囲み、膨張が停止された場合に高い気密性を保証するため、弾性復元力をノッチに付与する。
飲料のフローを制御するために、スリット開口を具備する、ゴムでできたバルブ、特に、液状シリコーンゴム(LSR:liquid silicone rubber)でできたバルブが、飲料供給器具において用いられる。スリットバルブは、液状射出成形(LIM:liquid injection molding)によって生成されることができ、各バルブにおいてスリットを生成するためのスリット処理がそれに続く。しかしながら、スリットの両側の壁において、高分子及び原子は、再結合する性質を持ち、これは、スリットの固着閉鎖につながる。バルブは、バルブの2つの側の間に圧力差がある場合、開いてはならない、即ち、バルブ機能が損なわれてはならない。
哺乳瓶及び吸い飲みなどの子供用の飲料器具において、空気バルブ及びドリンクバルブとしてスリットバルブを付与することが通常行なわれている。バルブ機能が故障した場合、もはや正常化されない飲料器具における負圧のために、子供は、飲料器具から液体を吸うことができない。スリット開口を押し開けるために、機械的応力がスリットの通常の方向において手動で付与される必要がある。この動作は、手又はピンなど、外部物体を飲料器具に少なくとも挿入することを必要とする。これは、衛生的でなく、細菌に感染する可能性がある。さらに、この手動操作は、一般的に、一般ユーザにとって複雑過ぎて、スリット開口を具備するバルブを含む製品の高い故障率につながる。
本発明の目的は、バルブ機能を供給する際に、故障の可能性がよい低いバルブを提供することである。さらに、バルブを製造するための製造方法、製造装置、及び、コンピュータプログラムを提供すること、並びに、バルブを形成するためのモールド構造を提供することも本発明の目的である。
本発明の第1の態様において、内側空間と、当該内側空間を部分的に包囲する壁と、を持つバルブであって、前記内側空間は、第2の端部よりも小さい第1の端部と、前記第1の端部の反対側にある前記第1の端部よりも大きい前記第2の端部と、を持ち、前記第1の端部は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である寸法を持ち、前記内側空間は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、前記バルブを通る開口を形成し、又は、前記バルブの閉止部によって前記第1の端部において閉じられており、前記バルブの前記閉止部は、0.1mm以下の厚みを持つ、バルブが提供される。
内側空間が、第2の端部よりも小さい第1の端部と、前記第1の端部の反対側にある前記第1の端部よりも大きい前記第2の端部と、を持ち、前記第1の端部は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である寸法を持ち、前記内側空間は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、前記バルブを通る開口を形成し、又は、前記バルブの閉止部によって前記第1の端部において閉じられており、前記バルブの前記閉止部は、0.1mm以下の厚みを持つため、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である第1の端部における開口が、バルブが、そのバルブ機能を供給することができることを既に保証し、又は、バルブが最初に閉じられている場合、バルブに何の圧力も付与されていなければ、比較的小さい厚みの閉止部が、バルブに圧力が付与された場合、閉止部が比較的容易に破られることができ、これにより、バルブ機能が提供され得ることを保障している。従って、これらの寸法を持つバルブは、バルブの故障の可能性を低減する。
開いている第1の端部に関する本発明の基本的態様は、本発明者によって、以下のように理解されている。
水のような液体が、制限を通って空気の中に入るためには、表面張力に打ち勝つため、特定の圧力差が必要である。例えば、ダックビル弁に関し、水がバルブに入るため(即ち、漏れの発生のため)に必要な開口は、表面張力の2倍を圧力差で割ったものに等しい。
Figure 2016540938
一般的な飲料に関し、これは、
Figure 2016540938
を意味する。
本発明によれば、初期開口(即ち、何の圧力も付与されていない場合の開口)の寸法が、遮断方向に増加している圧力がある場合、最終的な開口が、上記の等式における値よりも小さい値に留まるように、決定される。
遮断方向における圧力差に起因するダックビル弁の開口における変化は、(FEMシミュレーションの評価、又は、実際のバルブの分析を考慮して)以下の等式に従う。なお、実際の挙動に影響を与えるパラメータ(等式における係数に要約されている)は、例えば、長さ、幅、高さ、壁の厚さ、材料剛性、及び、全体形状である。
Figure 2016540938
バルブの初期開口は、図15に図示されるように、0.2mmよりも小さくあるべきであることが分かった。
上記発見は、ダックビル弁に注目しているが、上記発見は、他のバルブのタイプにも適用されることに留意すべきである。
スリットを閉じる上述の固着が、バルブの内側空間の開いた第1の端部を供給することによって、(以下において更に議論されるように)回避され、同時に、この開いた第1の端部が適切な大きさを有する場合、遮断方向の沿った液体の漏れが回避され得ると理解することが、本発明の一部である。
好適な実施形態において、第1の端部は、バルブに何の圧力も付与されていない場合、0mmより大きく且つ0.1mm以下である寸法を持つ。さらに、閉止部の厚みは、好ましくは、0.05mm以下であり、更に好ましくは、0.01mm以下である。閉止部のこれらの小さな厚みは、バルブの機能の故障可能性を更に低減し得る。バルブは、好ましくは、供給器具用に適合されている。
バルブの内側空間は、好ましくは、テーパ状の断面を持つ。第1の端部の寸法は、好ましくは、バルブの内側空間のテーパ状の断面内の第1の端部の寸法を表している。
本発明の他の態様では、バルブを製造するための製造方法であって、前記製造方法は、バルブ材料供給ユニットによって、前記バルブを生成するためのバルブ材料を供給するステップと、生成ユニットによって、生成されるバルブが、内側空間と、前記内側空間を部分的に包囲する壁と、を持つように、前記供給されたバルブ材料を用いて、前記バルブを生成するステップと、を有し、前記内側空間は、第2の端部よりも小さい第1の端部と、前記第1の端部の反対側にある前記第1の端部よりも大きい前記第2の端部と、を持ち、前記第1の端部は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である寸法を持ち、前記内側空間は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、前記バルブを通る開口を形成し、又は、前記バルブの閉止部によって前記第1の端部において閉じられており、前記バルブの前記閉止部は、0.1mm以下の厚みを持つ、製造方法が提供される。
供給されるバルブ材料は、好ましくは、弾性材料であり、特に、ゴムである。好適な実施形態では、それは、LSR(液状シリコーンゴム)である。
好ましくは、上記製造方法は、前記バルブを形成するためのモールド構造を供給するステップを更に有し、前記モールド構造が、第1の壁と、反対側にある第2の壁と、を具備するキャビティを有し、前記バルブの前記内側空間を形成するための内側空間形成要素が、前記第1の壁から前記第2の壁に向かって前記キャビティ内に延在しており、前記第2の壁に対向する前記内側空間形成要素の表面が、0mmより大きく且つ0.2mm以下である最小の寸法を持つとともに、前記第2の壁に対して0mmと0.1mmとの間の距離を持ち、前記バルブを生成するステップが、前記内側空間を具備する前記バルブを形成するための前記モールド構造において前記バルブ材料を硬化させるステップと、前記モールド構造から前記硬化されたバルブ材料を解放するステップと、を含む。
前記第2の壁に対向する前記内側空間形成要素の表面が、0mmより大きく且つ0.2mm以下である最小の寸法を持つとともに、前記第2の壁に対して0mmと0.1mmとの間の距離を持つため、最初の硬化後、バルブ材料は、バルブ機能を供給するために、最小寸法が、0mmより大きく且つ0.2mm以下である開口、又は、バルブ材料が、圧力を付与した場合に、通常使用中、容易に破壊され得る比較的薄い閉止部を持つ。結合の固着及び強度の性質が増加されるように、切断面に影響を与えうる後続のスリット形成又は切断処理は、必ずしも必要でない。従って、ユーザは、いかなる追加の操作又は動作に煩わされない。
表面は、各寸法が測定される方向に依存して、様々な寸法を持つことができる。表面が円形である場合、寸法は、方向に独立し、この場合、表面の直径が、最小の寸法であるとみなされる。表面が、様々な直径を持つ場合、例えば、楕円形状の表面である場合、最小の直径が、最小の寸法であるとみなされる。表面が、矩形である、又は、様々な長さを有する様々な側を持つ他の形状を持つ場合、最小の寸法は、最小の長さを持つ側の寸法である。
第2の壁に対向する内側空間形成要素の表面が、第2の壁に対して、0mmと0.1mmとの間の距離を持つため、この距離は、a)0mmに等しい、又は、b)0mmより大きく且つ0.1mmより小さい、又は、c)0.1mmに等しい。或る実施形態では、第2の壁に対向している内側空間形成要素の表面は、第2の壁に対して、0mmと0。05mmとの間の距離を持つ。他の実施形態では、この距離は、0mmと0.01mmとの間にある。これらのより小さい距離は、更に低減された厚みを持つ閉止部につながり、また、通常使用中、閉止部のより容易な破壊につながることができ、これにより、バルブ機能の故障の可能性を更に低減可能としている。
内側空間形成要素は、好ましくは、テーパ状の断面を持つ。さらに、キャビティは、硬化されたバルブ材料が、V字型又は球状の壁を持つように形作られてもよい。ここで、壁の内側は、内側空間形成要素によって形成されるとともに、壁の外側は、キャビティの壁によって形成される。あるいは、キャビティは、硬化されたバルブ材料が内側空間を具備する板を形成するように形作られてもよく、板の外側が、キャビティの壁によって形成されるとともに、内側空間が、内側空間形成要素によって形成される。
本発明の他の態様では、バルブを形成するとともに、請求項1記載の製造方法によって用いられるためのモールド構造であって、前記モールド構造は、第1の壁と、反対側にある第2の壁と、を具備するキャビティと、前記バルブの内側空間を形成するための内側空間形成要素と、を有し、前記内側空間形成要素は、前記第1の壁から前記第2の壁へ向かって前記キャビティ内に延在し、前記第2の壁に対向する前記内側空間形成要素の表面は、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である最小の寸法を持つとともに、前記第2の壁に対して0mmと0.1mmとの間の距離を持つ、モールド構造が提供される。
本発明の他の態様では、請求項4乃至10のいずれか1項に記載の製造方法に従って製造されたバルブ材料が提供される。
本発明の他の態様では、請求項4記載の製造方法を実行するための製造装置であって、前記製造装置は、前記バルブを生成するためのバルブ材料を供給するバルブ材料供給ユニットと、生成されるバルブが、内側空間と、当該内側空間を部分的に包囲する壁と、を持つように、前記供給されるバルブ材料を用いることによって、前記バルブを生成するための生成ユニットと、を有し、前記内側空間は、第2の端部よりも小さい第1の端部と、前記第1の端部の反対側にある前記第1の端部よりも大きい前記第2の端部と、を持ち、前記第1の端部は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である寸法を持ち、前記内側空間は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、前記バルブを通る開口を形成し、又は、前記バルブの閉止部によって前記第1の端部において閉じられており、前記バルブの前記閉止部は、0.1mm以下の厚みを持つ、製造装置が提供される。
好ましくは、上記製造装置は、前記バルブを形成するためのモールド構造を供給するモールド構造供給ユニットを更に有し、前記モールド構造が、第1の壁と、反対側にある第2の壁と、を具備するキャビティを有し、前記バルブの内側空間を形成するための内側空間形成要素が、前記第1の壁から前記第2の壁に向かって前記キャビティ内に延在し、前記第2の壁に対向する前記内側空間形成要素の表面が、0mmより大きく且つ0.2mm以下である最小の寸法を持つとともに、前記第2の壁に対して0mmと0.1mmとの間の距離を持ち、前記生成ユニットが、前記内側空間を具備する前記バルブを形成するための前記モールド構造において、前記バルブ材料を硬化させるための硬化ユニットと、前記モールド構造から前記硬化されたバルブ材料を解放するための解放ユニットと、を含む。
本発明の他の態様では、バルブを製造するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータプログラムが、製造装置を制御するコンピュータ上で実行された場合に、請求項13記載の前記製造装置に、請求項4記載の製造方法の各ステップを実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラムが提供される。
請求項1のバルブ、請求項4の製造方法、請求項11のモールド構造、請求項12のバルブ、請求項13の製造装置、及び、請求項15の製造コンピュータプログラムが、同様及び/又は同一の好適な実施形態、特に、従属項に記載されるような実施形態を持つことが理解されるべきである。
本発明の好ましい実施形態が、従属項又は各独立項の上記実施形態の任意の組み合わせであってもよいことが理解されるべきである。
本発明のこれらの態様及び他の態様が、以下に説明される実施形態を参照して、明確且つ明らかとなるであろう。
図1は、従来のバルブを概略的且つ例示的に図示している。 図2は、従来のバルブを概略的且つ例示的に図示している。 図3は、本発明に従ったバルブの実施形態を概略的且つ例示的に図示している。 図4は、本発明に従ったバルブの実施形態を概略的且つ例示的に図示している。 図5は、図3及び図4に図示されるバルブ材料を製造するための製造方法の実施形態を例示的に図示しているフローチャートを示している。 図6は、製造プロセスの間に用いられるモールド構造を概略的且つ例示的に図示している。 図7は、製造プロセスの間に用いられるモールド構造を概略的且つ例示的に図示している。 図8は、製造方法を実行するための製造装置の実施形態を概略的且つ例示的に図示している。 図9は、本発明に従ったバルブの他の実施形態を概略的且つ例示的に図示している。 図10は、本発明に従ったバルブの他の実施形態を概略的且つ例示的に図示している。 図11は、モールド構造の他の実施形態を概略的且つ例示的に図示している。 図12は、モールド構造の他の実施形態を概略的且つ例示的に図示している。 図13は、従来の切断ステップ又はスリット形成ステップを概略的且つ例示的に図示している。 図14は、従来の切断ステップ又はスリット形成ステップを概略的且つ例示的に図示している。 図15は、遮断方向における圧力に対するダックビル弁のバルブ開口の例示的な関係を図示しているグラフを示している。
図1は、バルブ1の2つの壁2,3の間にスリット4を具備する従来技術のバルブ1の断面図を概略的且つ例示的に示している。図2は、バルブ101の2つの壁102,103の間にスリット104を持つ他の従来技術のバルブ断面図を概略的且つ例示的に示している。
図1に示されるバルブ1の壁2,3は、ぴったりとくっついている壁(フラッシュウォール)である。一方、図2に示されるバルブ101の壁102,103は、V字型である。2つのフラッシュウォール2,3を具備するバルブ1は、開口圧力の方向とは独立した開口圧力を持つ。即ち、図1において、バルブ1を開くために必要な圧力は、圧力方向が上から下へ向かう方向か、又は、下から上へ向かう方向かとは無関係である。図2に示されるV字型バルブ101については、開口圧力は、圧力方向に依存している。V字型バルブ101は、ダックビル弁としてみなされてもよい。両バルブ1,101は、初期ギャップがゼロである開口を持つ。
図3及び図4は、本発明に従った初期開口を持つバルブの実施形態を概略的且つ例示的に示している。図3の断面図において、バルブ201は、壁202,203の間にスリット204を具備する壁202,203を有し、ここで、スリット204は、テーパ状の断面を持ち、壁202,203は、好ましくは、真っ直ぐである。好適には、上記断面は、等脚台形(二等辺四辺形)を形成する。各壁202,203の表面も、テーパ状であってもよい。しかしながら、各壁202,203の表面は、例えば、長方形など、他の形状を持っていてもよい。
スリット204は、バルブ201内において、開いた内側空間、即ち、開口を形成している。スリット204のテーパ状の断面のため、スリットは、より小さな第1の端部205と、より大きな第2の端部215と、を有する。より小さな第1の端部205は、初期的に、0mmより大きく且つ0.1mm以下である幅を持つ。これらの寸法は、バルブ201に何の圧力も付与されておらず、壁202,203がともにくっついていない状況に関連するものである。バルブ201の2つの向かい合った側の間に圧力差がある場合、又は、バルブ201の対向している壁202,203が互いに接触し、くっついている場合、スリット204は、第1の端部205においてより広がる、又は、最初開いていたスリット204は、閉じられる。壁202,203がスリット204の第1の端部205においてくっついている場合、この結合は、容易に破られることができ、スリット204は、バルブ201の通常使用により再び容易に分割されることができる。製造後の切断動作によってではなく、製造プロセスの間にスリットが形成されるため、スリットの2つの側は、切断動作によって形成されるスリットよりもくっつきにくい性質を持つ。さらに、バルブのスリットの2つの側の間の凝集力は、製造後の切断動作によって製造されたスリットにおける凝集力よりも弱い。このため、スリットの2つの側がくっつく頻度は少なく、くっついた場合でも、引き離すのは容易である。
図4の断面図において、バルブ301は、2つの壁302,303と、その中間にあるテーパ状の断面を持ったスリット304と、を持つ。壁302,303は、好ましくは、真っ直ぐである。好適には、上記断面は、等脚台形(二等辺四辺形)を形成する。各壁302,303の表面も、テーパ状であってもよい。しかしながら、各壁302,303の表面は、例えば、長方形など、他の形状を持っていてもよい。
スリット304は、バルブ301内において、開いた内側空間、即ち、開口を形成している。テーパ状の断面のため、スリット304は、より小さな第1の端部305と、より大きな第2の端部315と、を有する。より小さな第1の端部305は、初期的に、0mmより大きく且つ0.1mm以下である幅を持つ。これらの寸法は、この実施形態においても、バルブ301に何の圧力も付与されておらず、壁302,303がともにくっついていない状況に関連するものである。壁302,303が互いにくっついている場合、対応する結合は、バルブ301の通常使用により容易に分割されることができる。
図4に示されるバルブ301は、V字型の壁302,303を持つダックビル弁である。勿論、バルブの壁も、他の形状を有していてもよい。例えば、それらは、球状であってもよく、ドーム形状であってもよく、又は、図3に概略的且つ例示的に示されるように、略長方形であってもよい。ここで、スリットを形成している壁の内側は、スリット204のテーパ状の断面を形成するために、傾斜していてもよい。
以下では、本発明に従ったバルブを製造するための製造方法の実施形態が、図5に示されるフローチャートを参照して、例示的に説明される。
ステップ401において、モールド構造が供給される。図3に概略的且つ例示的に図示されるバルブ201を製造するためのモールド構造211が、図6に概略的且つ例示的に図示されている。
図6に示されるモールド構造211は、第1の壁213、反対側の第2の壁214、及び、第1の壁213から第2の壁214に向かってキャビティ210内に延在しているスリット形成要素209、即ち、内側空間形成要素を具備するキャビティ210を有する。ここで、第2の壁214に対向するスリット形成要素209の表面212は、0mmより大きく且つ0.1mm以下である最小の寸法を持つ。スリット形成要素209は、コア又はピン、特に、鋭いコア又はピンであるとみなされてもよい。スリット形成要素209の表面212は、円形であってもよいし、長方形であってもよいし、又は、他の形状であってもよい。表面212が円形である場合、0mmより大きく且つ0.1mm以下である最小の寸法は、表面の直径であり、表面212が長方形である場合、0mmより大きく且つ0.1mm以下である最小の寸法は、長方形の表面の最小の辺の長さである。
この実施形態では、キャビティ210は、スリット形成要素209を受けるための開口及び第1の壁213を具備する第1の部品250と、第2の壁214を具備する第2の部品251と、の2つの部品を持つ包囲ケースによって形成されている。第1の部品250及び第2の部品251の一方は、溝を有し、第1の部品250及び第2の部品251の他方は、第1及び第2の部品250,251の適切な位置決めを保証するため、溝にフィットする突起を有する。さらに、キャビティ210及びスリット形成要素209は、キャビティ210の第2の壁214に対向しているスリット形成要素209の表面212が、第2の壁214に対して、0mmと0.01mmとの間の距離を持つような寸法を有する。即ち、この距離は、0mmであってもよいし、0mmより大きく且つ0.01mmより小さくてもよいし、又は、0.01mmであってもよい。さらに、スリット形成要素209は、テーパ状の断面を持つ。キャビティ210は、最終的に形成されるバルブが、図3に概略的且つ例示的に図示されるような内側スリットを有する板であるように、形作られる。ここで、板の外側は、キャビティ210の壁によって形成され、内側スリット204は、スリット形成要素209によって形成される。
図4に概略的且つ例示的に図示されるバルブ301を製造するため、ステップ401において、図7に概略的且つ例示的に図示されているモールド構造311が、供給される。このモールド構造311も、第1の壁313、及び、反対側の第2の壁314を具備するキャビティ310を有する。ここで、スリット形成要素309が、第1の壁313から第2の壁314に向かってキャビティ310内に延在している。また、第2の壁314に対向するスリット形成要素309の表面312は、0mmより大きく且つ0.1mm以下である最小の寸法を持つ。さらに、この実施形態においても、第2の壁314に対向しているスリット形成要素309の表面312は、第2の壁314に対して、0mmと0.01mmとの間の距離を持ち、スリット形成要素309は、テーパ状の断面を持つ。この実施形態において、キャビティ310は、スリット形成要素309を受けるための開口及び第1の壁313を具備する第1の部品350と、第2の壁314を具備する第2の部品351と、の2つの部品を持つ包囲ケースによって形成されている。第1の部品350及び第2の部品351の一方は、溝を有し、第1の部品350及び第2の部品351の他方は、第1及び第2の部品350,351の適切な位置決めを保証するため、溝にフィットする突起を有する。
この実施形態において、キャビティ310は、最終的に形成されるバルブ301が、V字型の壁302,303を持つように形作られる。ここで、壁302,303の内側は、スリット形成要素309によって形成され、壁302,303の外側は、キャビティ310の壁によって形成される。さらに、この実施形態においても、スリット形成要素309は、製造プロセスの間、好ましくは、LIMプロセスの間、スリットを形成しているコア又はピンであるとみなされてもよい。あるいは、各スリット形成要素209,309は、モールド内に固定され、別個の挿入開口が存在する。
ステップ402において、各モールド構造211,311にモールドされるバルブ材料208,308が供給される。特に、バルブ材料208,308は、各キャビティ201,301内に充填され、その後、キャビティは、各スリット形成要素209,309を用いることによって閉止される。即ち、この実施形態では、各キャビティ210,310を形成している各ケースが、各スリット形成要素209,309のための上部開口を有し、バルブ材料208,308で充填された後、各キャビティ210,310を閉止するために、各スリット形成要素209,309が、各キャビティ210,310の各開口内に入れられる。供給されるバルブ材料208,308は、好ましくは、LSR(液状シリコーンゴム)である。
ステップ403において、各モールド構造211,311内のバルブ材料208,308が、スリット204,304をそれぞれ具備するバルブ201,301を形成するために、硬化される。ここで、硬化されたバルブ材料208,308は、弾性を有する。硬化は、好ましくは、バルブ材料208,308を有する各モールド構造211,311を加熱することによって実行される。当該加熱は、最大で、170℃と220℃との間の温度で実行され得る。ステップ404において、硬化されたバルブ材料208,308が、バルブ201,301をそれぞれ供給するために、モールド構造211,311から解放される。特に、各モールド構造211,311から各バルブ201,301を解放するため、第1の部品250,350が、各ケースの第2の部品251,351から分離される。
上記製造方法の全てのステップ又は幾つかのステップは、手動で実行されてもよい。しかしながら、或る実施形態において、上記製造方法は、自動で実行されてもよい。特に、上記製造方法を実行するために、製造装置が使用され得る。製造装置500の実施形態が、図8に概略的且つ例示的に示されている。
製造装置500は、バルブを形成するモールド構造を供給するためのモールド構造供給ユニット501を有し、モールド構造は、第1の壁と、反対側にある第2の壁と、を具備するキャビティを有し、スリット形成要素が、第1の壁から第2の壁に向かってキャビティ内に延在し、第2の壁に対向するスリット形成要素の表面が、0mmより大きく且つ0.1mm以下である最小の寸法を持つ。モールド構造供給ユニット501は、バルブを製造するために用いられるために供給され得る、1又は幾つかのモールド構造が存在する場所を有していてもよい。図8において、モールド構造は、参照番号505によって示されている。
製造装置500は、モールド構造にモールドされるバルブ材料を供給するためのバルブ材料供給ユニット502を更に有する。例えば、バルブ材料供給ユニット502は、バルブ材料、特に、LSRを、モールド構造のキャビティ内に充填するように適合され、その後、モールド構造は、自動又は手動で、例えば、スリット形成要素又は別個のキャビティ封止部を用いることによって、閉じられてもよい。モールドされるバルブ材料を具備するモールド構造は、図8において、参照番号506で示されている。
製造装置500は、スリットを具備するバルブを形成するモールド構造においてバルブ材料を硬化するための硬化ユニット503を更に有し、ここで、硬化されたバルブ材料は、弾性を有する。硬化ユニット503は、好ましくは、所望の時間に亘って、所望の温度まで、材料を具備するモールド構造を加熱するための加熱ユニットである。硬化されたバルブ材料を有するモールド構造は、図8において、参照番号507で示されている。
製造装置500は、硬化されたバルブ材料をモールド構造から解放するための解放ユニット504を更に有し、解放された硬化済みバルブ材料、即ち、生成されたバルブは、図8において、参照番号508で示されている。例えば、解放ユニット504は、硬化されたバルブ材料をモールド構造から分離するための幾つかの機械的手段を有することができる。特に、解放ユニット504は、バルブから第1及び第2の部品を取り外すために、キャビティを形成しているケースの第1及び第2の部品を互いに分離させるように適合され得る。また、解放ユニット504は、スリット形成要素を保持するとともに、例えば、吹き込みによって、又は、機械的手段によって、バルブをスリット形成要素から分離するように適合され得る。
硬化ユニット503及び解放ユニット504は、供給されるバルブ材料を用いることによって、バルブ材料を生成するための生成ユニットを形成しているとみなされてもよい。
図9及び図10は、本発明に従ったバルブの他の実施形態を概略的且つ例示的に図示している。
図9の断面図において、バルブ601は、テーパ状の内側空間604を部分的に包囲している壁602,603を有する。好適には、断面は、等脚台形(二等辺四辺形)を形成する。内側空間604は、より小さな第1の端部605と、反対側にあるより大きな開いている第2の端部615と、を持ち、第1の端部605、即ち、第1の端部を形成している内側表面は、バルブ601に対して何の圧力も付与されていない場合、0mmより大きく且つ0.1mm以下である寸法を持つ。内側空間604は、バルブに何の圧力も付与されていない場合、バルブ601の閉止部630によって、第1の端部605において閉じられている。ここで、閉止部630は、0.05mm以下の厚みを持つ。閉止部630は、比較的薄いため、バルブ機能を供給するために、使用中に圧力がバルブ601に付与されると壊れる。壁602,603は、好ましくは、真っ直ぐである。また、壁602,603の各表面も、テーパ状であってもよい。しかしながら、壁602,603の表面は、例えば長方形などの、他の形状を有していてもよい。
図10の断面図において、バルブ701は、テーパ状の内側空間704を部分的に包囲している壁702,703を有する。好適には、断面は、等脚台形(二等辺四辺形)を形成する。この実施形態においても、内側空間704は、より小さな第1の端部705と、反対側にあるより大きな開いている第2の端部715と、を持ち、第1の端部705、即ち、第1の端部705を形成している内側表面は、バルブ701に対して何の圧力も付与されていない場合、0mmより大きく且つ0.1mm以下である寸法を持つ。内側空間704は、バルブ701に何の圧力も付与されていない場合に存在している、閉止部730を第1の端部705において有している。閉止部730の厚みは、0.05mm以下であり、閉止部730の薄い厚みのため、バルブ機能を供給するために、使用中に圧力がバルブ701に付与されると容易に壊れる。壁702,703は、好ましくは、真っ直ぐである。また、壁702,703の各表面も、テーパ状であってもよい。しかしながら、壁702,703の表面は、例えば長方形などの、他の形状を有していてもよい。
図10に示されるバルブ701は、V字型の壁702,703を持つダックビル弁である。勿論、このバルブの壁も、他の形状を有していてもよい。例えば、それらは、球状であってもよく、ドーム形状であってもよく、又は、図9に概略的且つ例示的に示されるように、略長方形であってもよい。ここで、内側空間604を形成している壁602,603の内側は、内側空間604のテーパ状の断面を形成するために、傾斜していてもよい。図9及び図10に概略的且つ例示的に図示されるバルブ601,701を製造するために、図11及び図12に概略的且つ例示的に示されるモールド構造が、使用され得る。
図11に示されるモールド構造611は、第1の壁613、反対側の第2の壁614、及び、第1の壁613から第2の壁614に向かってキャビティ610内に延在している内側空間形成要素609を具備するキャビティ610を有する。ここで、第2の壁614に対向する内側空間形成要素609の表面612は、0mmより大きく且つ0.1mm以下である最小の寸法を持つ。この実施形態においても、内側空間形成要素609は、コア又はピンであるとみなされてもよい。内側空間形成要素609の表面612は、円形であってもよいし、長方形であってもよいし、又は、他の形状であってもよい。表面612が円形である場合、0mmより大きく且つ0.1mm以下である最小の寸法は、表面612の直径であり、表面612が長方形である場合、0mmより大きく且つ0.1mm以下である最小の寸法は、長方形の表面の最小の辺の長さである。
この実施形態では、キャビティ610は、内側空間形成要素609を受けるための開口及び第1の壁613を具備する第1の部品650と、第2の壁614を具備する第2の部品651と、の2つの部品を持つ包囲ケースによって形成されている。第1の部品650及び第2の部品651の一方は、溝を有し、第1の部品650及び第2の部品651の他方は、第1及び第2の部品650,651の適切な位置決めを保証するため、溝にフィットする突起を有する。さらに、キャビティ610及び内側空間形成要素609は、キャビティ610の第2の壁614に対向している内側空間形成要素609の表面612が、第2の壁614に対して、0.05mm以下である距離を持つような寸法を有する。さらに、内側空間形成要素609は、テーパ状の断面を持つ。キャビティ610は、最終的に形成されるバルブが、図9に概略的且つ例示的に図示されるような内側空間を有する板であるように、形作られる。ここで、板の外側は、キャビティ610の壁によって形成され、内側空間604は、内側空間形成要素609によって形成される。
図10に概略的且つ例示的に図示されるバルブ701を製造するため、図12に概略的且つ例示的に図示されているモールド構造711が、使用され得る。このモールド構造711も、第1の壁713、及び、反対側の第2の壁714を具備するキャビティ710を有する。ここで、内側空間形成要素709が、第1の壁713から第2の壁714に向かってキャビティ710内に延在している。また、第2の壁714に対向する内側空間形成要素709の表面712は、0mmより大きく且つ0.1mm以下である最小の寸法を持つ。さらに、この実施形態においても、第2の壁714に対向している内側空間形成要素709の表面712は、第2の壁714に対して、0.05mm以下である距離を持ち、内側空間形成要素709は、テーパ状の断面を持つ。この実施形態において、キャビティ710は、内側空間形成要素709を受けるための開口及び第1の壁713を具備する第1の部品750と、第2の壁714を具備する第2の部品751と、の2つの部品を持つ包囲ケースによって形成されている。第1の部品750及び第2の部品751の一方は、溝を有し、第1の部品750及び第2の部品751の他方は、第1及び第2の部品750,751の適切な位置決めを保証するため、溝にフィットする突起を有する。
この実施形態において、キャビティ710は、最終的に形成されるバルブ701が、V字型の壁702,703を持つように形作られる。ここで、壁702,703の内側は、内側空間形成要素709によって形成され、壁702,703の外側は、キャビティ710の壁によって形成される。さらに、この実施形態においても、内側空間形成要素709は、製造プロセスの間、好ましくは、LIMプロセスの間、スリットを形成しているコア又はピンであるとみなされてもよい。図11及び図12において、参照番号608,708は、好適には、LSR(液状シリコーンゴム)であるバルブ材料を示している。
キャビティ610,710の第2の壁614,714と内側空間形成要素609,709の表面612,712との間の距離のため、通常使用中に容易に壊れることができる、バルブ601,701の各閉止部630,730が形成され、これにより、これらの実施形態においても、図1及び図2に概略的且つ例示的に図示される従来のバルブを生成するために用いられるような追加のスリット作成ステップ又は切断ステップが必要でなく、製造プロセスを単純化することができる。
特に、従来のバルブ1,101を製造するための従来の製造プロセスでは、ナイフ6,106が、図13及び図14における双方向矢印7,107によって示される方向に沿って移動される必要があるが、図5乃至図7,図11及び図12を参照して上述された製造方法では、かかるナイフは、必ずしも必要でない。
図15は、遮断方向における圧力に対するダックビル弁のバルブ開口の例示的な関係を図示するグラフを示している。横軸は、容器(例えば、供給器具)の内側の圧力を示しており、縦軸は、例示的なバルブのバルブ開口を示している。
実線80は、漏れ線を示している。即ち、実線80は、閉じ込めの領域から、漏れの領域(即ち、バルブが液体を内側に維持できないほど、高過ぎる圧力、及び/又は、高過ぎるバルブ開口)を分割している。
点線81、破線82、及び、一点鎖線83は、それぞれ、0.4mm、0.2mm、0.1mmの異なる初期バルブ開口の3つの各場合に関する、バルブ開口を示している。0.4mmの初期開口に関する点線81は、漏れ線80と交差しており、このため、初期開口漏れは、およそ3ミリバールの圧力に対してしか回避されないことが分かる。対照的に、破線82及び一点鎖線83、即ち、0.2mm及び0.1mmから開始する開口の値は、漏れ線よりも下にあるままであり、より高い圧力に関しても漏れは発生しない。
図3、図4、図9、及び、図10を参照して上述されたバルブは、改善された性能を持つ。これは、バルブの壁が接触している場合、各側における壁の接触領域が、図1及び図2を参照して上述された従来のバルブが用いられる場合に存在する接触領域よりも小さいためである。即ち、接触領域がより小さいため、接触領域間の接触圧力は、各バルブが、圧力差により敏感であり、漏れに対してより強固であるように、より高い。また、図3、図4、図9、及び、図10を参照して上述されたバルブは、フローのより良い制御と、開口圧力のより小さな拡大と、を持つ。これは、初期開口、又は、初期閉止部が破壊された後の開口の形状及び位置精度が、従来のスリットバルブの形状及び位置精度よりも高いためである。さらに、図3、図4、図9、及び、図10を参照して上述されたバルブは、表面プロファイル及び内側表面のテクスチャにおける最大の制御を供給し、これにより、漏れのリスク、及び、強すぎる固着を低減させる。
内側空間のテーパ状の断面のため、また、内側空間の内側表面における表面微細構造のため、さらに、内側空間の内側表面がモールド及び硬化されるため、分子及び/又は原子が結合できる領域が、極めて小さい。結果、かかる結合が存在する場合、通常使用により付与される圧力によって、それは、比較的容易に破壊されることができる。
図3、図4、図9、及び、図10を参照して上述されたバルブは、より強固なデザインのため、改善された性能を持つ。また、当該バルブは、より小さい固着のため、より高い信頼性を持つ。さらに、より少ない製造ステップしか必要でないため、即ち、追加的なスリット作成ステップ又は切断ステップが必要でないため、製造プロセスが改善される。
上記バルブは、好ましくは、幼児向けのカップのためのバルブ、及び、哺乳瓶のためのバルブであるが、当該バルブは、スポーツ飲料、身体的活動の間の水分補給、休息中の水分補給、病院のベッド又はケアハウスにおける水分補給などを高齢者に供給するためのバルブであってもよい。当該バルブは、乳首及び/又は注ぎ口、特に、ボトル及び/又はおしゃぶりを形成することができる。
本発明に従ったバルブは、負圧の生成を回避するための(特に、哺乳瓶、幼児向けカップ、哺乳瓶の飲み口、吸い飲みなどの、子供向けの)供給器具又は飲料器具のための空気吸入バルブとして、特に有用であり得る。本発明に従ったバルブは、上述のように、空気吸入バルブとして使用される場合、負圧の生成を回避するだけでなく、液体の重さによる静水圧の場合であっても、空気吸入口を通じた液体(水、又は、他の飲料など)の漏れのリスクを回避又は少なくとも最小化する。
供給器具又は飲料器具のための空気吸入バルブの目的用の図3、図4、図9、及び、図10に図示されるような構成は、器具の内側が、図では、バルブの下である一方、器具の外側、即ち、周囲の空気が、バルブの上である。これらの方向及び教示は、単なる例示目的のためであり、本発明を限定するものではないと理解されるべきである。
上述の実施形態において、最初に存在する、又は、バルブが破壊された後に存在する、バルブにおける開口は、スリットであるが、他の実施形態では、バルブは、他の種類の開口を有していてもよい。さらに、上述の実施形態では、バルブが、モールドによって製造されているが、他の実施形態では、バルブは、機械加工などの他の製造プロセスを用いて製造されてもよい。ここで、当該機械加工は、機械的加工又はレーザ加工であってもよい。
図3、図4、図9、及び、図10を参照して上述された実施形態では、内側空間のより小さな第1の端部の幅が、0mmより大きく且つ0.1mm以下であったが、他の実施形態では、この幅は、0mmより大きく且つ0.2mm以下であってもよい。
本発明を実施する際、図面、開示、及び、添付の請求項の研究から、開示の実施形態に対する他の変形が、当該技術分野における当業者によって、理解及び実施され得る。
請求項中、「有する」なる用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形は、複数であることを除外しない。
単一のユニット又は装置が、請求項に記載の幾つかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが好適に用いられないということを示すものではない。
1又は幾つかのユニット又は装置によって実行される、モールド構造の準備、材料の準備、バルブ材料の硬化などの手順は、任意の他の数のユニット又は装置によって実行されてもよい。上記製造方法に従った製造装置の制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は、専用のハードウェアとして、実装され得る。
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記録媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に格納/配布されてもよいが、インターネットあるいは他の有線又は無線通信システムを介するなどして、他の形式で配布されてもよい。
請求項中の任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
本発明は、バルブ、特に、内側空間及び内側空間を部分的に包囲している壁を持つ供給器具のためのバルブに関する。内側空間は、より小さな第1の端部と、反対側にあるより大きな第2の端部と、を持ち、第1の端部は、0mmより大きく且つ0.2mm以下である寸法を持ち、内側空間は、バルブを通る開口を形成し、又は、バルブの閉止部によって第1の端部において閉じられており、バルブの閉止部は、0.1mm以下である厚みを持つ。所定の寸法を具備する開口、又は、容易に破壊され得る比較的薄い閉止部が存在するため、バルブ機能の故障の可能性が低減され得る。

Claims (15)

  1. 内側空間と、当該内側空間を部分的に包囲する壁と、を持つバルブであって、前記内側空間は、第2の端部よりも小さい第1の端部と、前記第1の端部の反対側にある前記第1の端部よりも大きい前記第2の端部と、を持ち、前記第1の端部は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である寸法を持ち、前記内側空間は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、前記バルブを通る開口を形成し、又は、前記バルブの閉止部によって前記第1の端部において閉じられており、前記バルブの前記閉止部は、0.1mm以下の厚みを持つ、バルブ。
  2. 前記閉止部の厚みが、0.05mm以下である、請求項1記載のバルブ。
  3. 前記バルブが、供給器具に適合している、請求項1記載のバルブ。
  4. バルブを製造するための製造方法であって、前記製造方法は、
    バルブ材料供給ユニットによって、前記バルブを生成するためのバルブ材料を供給するステップと、
    生成ユニットによって、生成されるバルブが、内側空間と、前記内側空間を部分的に包囲する壁と、を持つように、前記供給されたバルブ材料を用いて、前記バルブを生成するステップと、
    を有し、
    前記内側空間は、第2の端部よりも小さい第1の端部と、前記第1の端部の反対側にある前記第1の端部よりも大きい前記第2の端部と、を持ち、前記第1の端部は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である寸法を持ち、前記内側空間は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、前記バルブを通る開口を形成し、又は、前記バルブの閉止部によって前記第1の端部において閉じられており、前記バルブの前記閉止部は、0.1mm以下の厚みを持つ、製造方法。
  5. 前記バルブを形成するためのモールド構造を供給するステップを更に有し、前記モールド構造が、第1の壁と、反対側にある第2の壁と、を具備するキャビティを有し、前記バルブの前記内側空間を形成するための内側空間形成要素が、前記第1の壁から前記第2の壁に向かって前記キャビティ内に延在しており、前記第2の壁に対向する前記内側空間形成要素の表面が、0mmより大きく且つ0.2mm以下である最小の寸法を持つとともに、前記第2の壁に対して0mmと0.1mmとの間の距離を持ち、
    前記バルブを生成するステップが、
    前記内側空間を具備する前記バルブを形成するための前記モールド構造において前記バルブ材料を硬化させるステップと、
    前記モールド構造から前記硬化されたバルブ材料を解放するステップと、
    を含む、請求項4記載の製造方法。
  6. 前記第2の壁に対向している前記内側空間形成要素の前記表面が、前記第2の壁に対して0mmと0.05mmとの間の距離を持つ、請求項5記載の製造方法。
  7. 前記内側空間形成要素が、テーパ状の断面を持つ、請求項5記載の製造方法。
  8. 前記キャビティが、前記硬化されたバルブ材料がV字型又は球状の壁を持つように、形作られ、前記壁の内側が、前記内側空間形成要素によって形成されるとともに、前記壁の外側が、前記キャビティの壁によって形成される、請求項5記載の製造方法。
  9. 前記キャビティが、前記硬化されたバルブ材料が内側空間を具備する板を形成するように、形作られ、前記板の外側が、前記キャビティの壁によって形成されるとともに、前記内側空間が、前記内側空間形成要素によって形成される、請求項5記載の製造方法。
  10. 前記供給されるバルブ材料が、液状シリコーンゴムである、請求項4記載の製造方法。
  11. バルブを形成するとともに、請求項5記載の製造方法によって用いられるためのモールド構造であって、前記モールド構造は、
    第1の壁と、反対側にある第2の壁と、を具備するキャビティと、
    前記バルブの内側空間を形成するための内側空間形成要素と、
    を有し、
    前記内側空間形成要素は、前記第1の壁から前記第2の壁へ向かって前記キャビティ内に延在し、
    前記第2の壁に対向する前記内側空間形成要素の表面は、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である最小の寸法を持つとともに、前記第2の壁に対して0mmと0.1mmとの間の距離を持つ、モールド構造。
  12. 請求項4乃至10のいずれか1項に記載の製造方法に従って製造される、バルブ。
  13. 請求項4記載の製造方法を実行するための製造装置であって、前記製造装置は、
    前記バルブを生成するためのバルブ材料を供給するバルブ材料供給ユニットと、
    生成されるバルブが、内側空間と、当該内側空間を部分的に包囲する壁と、を持つように、前記供給されるバルブ材料を用いることによって、前記バルブを生成するための生成ユニットと、
    を有し、
    前記内側空間は、第2の端部よりも小さい第1の端部と、前記第1の端部の反対側にある前記第1の端部よりも大きい前記第2の端部と、を持ち、前記第1の端部は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、0mmよりも大きく且つ0.2mm以下である寸法を持ち、前記内側空間は、何の圧力も前記バルブに付与されていない場合、前記バルブを通る開口を形成し、又は、前記バルブの閉止部によって前記第1の端部において閉じられており、前記バルブの前記閉止部は、0.1mm以下の厚みを持つ、製造装置。
  14. 前記製造装置が、
    前記バルブを形成するためのモールド構造を供給するモールド構造供給ユニットを更に有し、
    前記モールド構造が、第1の壁と、反対側にある第2の壁と、を具備するキャビティを有し、前記バルブの内側空間を形成するための内側空間形成要素が、前記第1の壁から前記第2の壁に向かって前記キャビティ内に延在し、前記第2の壁に対向する前記内側空間形成要素の表面が、0mmより大きく且つ0.2mm以下である最小の寸法を持つとともに、前記第2の壁に対して0mmと0.1mmとの間の距離を持ち、
    前記生成ユニットが、
    前記内側空間を具備する前記バルブを形成するための前記モールド構造において、前記バルブ材料を硬化させるための硬化ユニットと、
    前記モールド構造から前記硬化されたバルブ材料を解放するための解放ユニットと、
    を含む、請求項13記載の製造装置。
  15. バルブを製造するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータプログラムが、製造装置を制御するコンピュータ上で実行された場合に、請求項13記載の前記製造装置に、請求項4記載の製造方法の各ステップを実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム。
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